特許拒絶査定不服審判
2018-012229
光ファイバ接続器および光ファイバの接続方法
- 審判番号
- 2018-012229
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-084910外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年09月11日
- 審決日
- 2019年04月01日
- 公報発行日
- 2019年05月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 分類
- P18 .121-WY (G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-84910「光ファイバ接続器および光ファイバの接続方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月18日出願公開、特開2014-238572、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年4月16日(国内優先権主張日 平成25年5月7日)を出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 4月27日付け:拒絶理由通知書
平成29年 7月 6日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年11月27日付け:拒絶理由通知書(最後)
平成30年 1月31日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 6月 6日付け:補正の却下の決定、拒絶査定(同年同月12日送達)
平成30年 9月11日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(平成30年6月6日付け拒絶査定)の概要は、本願の請求項1ないし7に係る発明は、以下の引用文献1ないし4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
引用文献等一覧
1.特開平9-318836号公報
2.特開2008-292709号公報
3.特開2013-15793号公報
4.特開2013-15791号公報
第3 本願発明
本願の請求項1ないし7に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は、平成30年9月11日付け手続補正書によって補正された、特許請求の範囲の1ないし7に記載された事項により特定される発明であり、次のとおりのものである。
「【請求項1】
両端から挿入されて突き合わせ接続される一対の光ファイバを挟み込む一対の素子と、
前記一対の素子間に挿入される前記一対の光ファイバの被覆をそれぞれ除去して裸光ファイバとする一対の被覆除去部と、
前記被覆除去部によって被覆が除去された前記裸光ファイバどうしの突き合わせ部分を前記素子間で把持し固定するクランプ部と、を備え、
前記一対の素子は、
前記一対の光ファイバがそれぞれ挿入され、各光ファイバの径方向移動を規制しつつ前記一対の被覆除去部に導く溝部または孔部である前記一対のガイド部と、
開閉可能であり、閉状態において前記一対の被覆除去部による被覆除去後の前記裸ファイバの前記突き合わせ部分を把持固定する第1把持固定部と、
開閉可能であり、閉状態において前記第1把持固定部によって前記突き合わせ部分を把持固定した前記一対の光ファイバの被覆部分をそれぞれ把持固定する一対の第2把持固定部と
を有し、
前記一対の第2把持固定部のそれぞれにおける前記光ファイバに接する部分の光ファイバ長手方向の寸法が、各光ファイバの座屈しない長さとされており、
前記被覆除去部は、
挿入される光ファイバの長手方向と直交する方向に貫通した窓孔と、
前記光ファイバの挿入される光ファイバ挿通孔と、
前記光ファイバ挿通孔と前記窓孔を介して対向する裸光ファイバ挿通孔と、
前記光ファイバの挿入方向の後側に行くに従って先細りに突出するテーパ円筒状となって前記裸光ファイバ挿通孔の周囲に形成される環状刃部と、
前記環状刃部の外周において、前記窓孔の貫通方向及び前記光ファイバの長手方向と直交する方向の両方にそれぞれ突設し、前記窓孔の両方の内側面に達する一対の主板状刃部と、
前記環状刃部の外周において、前記窓孔の貫通方向の両方にそれぞれ突設し、前記被覆除去部の前記貫通方向の両方の側面と面一となる側面を有する一対の副板状刃と
を有し、
前記環状刃部は、先端とは反対の端である基端の外周縁が前記窓孔の両方の内側面に達する、
光ファイバ接続器。
【請求項2】
前記一対の素子の一方はベース部材であり、他方は前記ベース部材に対向する蓋体であり、
前記蓋体は、前記裸光ファイバの突き合わせ部分を前記ベース部材との間に挟み込む中央蓋と、前記中央蓋の両端側にそれぞれ設けられて前記光ファイバの被覆を前記ベース部材との間に挟み込む被覆把持蓋と、前記被覆把持蓋のさらに両端側に設けられた端部蓋と、を備え、
前記第1把持固定部は、前記中央蓋と前記中央蓋に対向する部分のベース部材との間に前記突き合わせ部分を把持固定し、
前記第2把持固定部は、前記被覆把持蓋と前記被覆把持蓋に対向する部分のベース部材との間に前記被覆部分を把持固定し、
前記ガイド部は、前記端部蓋と前記端部蓋に対向する部分のベース部材との間に形成され、前記素子の両端から挿入された前記光ファイバを、前記被覆把持蓋と前記ベース部材との間に導き、
前記クランプ部は、前記中央蓋および前記被覆把持蓋と、前記中央蓋および前記被覆把持蓋に対向する部分のベース部材とを保持し、
前記端部蓋の両側面に、それぞれ、外側面を有する第1側面凹部が形成され、
前記ベース部材の、前記蓋体に対向する対向面に、前記第1側面凹部にそれぞれ嵌合する一対の第1位置決め凸部が突出して形成され、
前記第1位置決め凸部は、前記第1側面凹部の外側面に対向する内側面を有する、請求項1に記載の光ファイバ接続器。
【請求項3】
前記端部蓋の両側面に、それぞれ前記第1側面凹部に対して前記ガイド部の方向に位置を違えて第2側面凹部が形成され、
前記ベース部材の前記対向面に、前記第2側面凹部にそれぞれ嵌合する一対の第2位置決め凸部が突出して形成されている、請求項2に記載の光ファイバ接続器。
【請求項4】
前記被覆把持蓋の両側面に、それぞれ第3側面凹部が形成され、
前記第2位置決め凸部の一部は、前記第3側面凹部に嵌合する、請求項2または3に記載の光ファイバ接続器。
【請求項5】
前記中央蓋またはこれに対向する部分のベース部材に、前記裸光ファイバの先端を突き合わせ接続可能に位置決めする調心溝が形成されている請求項2~4のうちいずれか1項に記載の光ファイバ接続器。
【請求項6】
前記被覆除去部は、前記環状刃部の外周の周方向の複数箇所に突設した板状刃部を有する請求項1~5のうちいずれか1項に記載の光ファイバ接続器。
【請求項7】
両端から挿入されて突き合わせ接続される一対の光ファイバを挟み込む一対の素子と、
前記一対の素子間に挿入される前記一対の光ファイバの被覆をそれぞれ除去して裸光ファイバとする一対の被覆除去部と、
前記被覆除去部によって被覆が除去された前記裸光ファイバどうしの突き合わせ部分を前記素子間で把持し固定するクランプ部と、を備え、
前記一対の素子は、前記一対の光ファイバがそれぞれ挿入され、各光ファイバの径方向移動を規制しつつ前記一対の被覆除去部に導く溝部または孔部である前記一対のガイド部と、開閉可能であり、閉状態において前記一対の被覆除去部による被覆除去後の前記裸ファイバの前記突き合わせ部分を把持固定する第1把持固定部と、開閉可能であり、閉状態において前記第1把持固定部によって前記突き合わせ部分を把持固定した前記一対の光ファイバの被覆部分をそれぞれ把持固定する一対の第2把持固定部とを有し、前記一対の第2把持固定部のそれぞれにおける前記光ファイバに接する部分の光ファイバ長手方向の寸法が、各光ファイバの座屈しない長さとされており、前記被覆除去部は、挿入される光ファイバの長手方向と直交する方向に貫通した窓孔と、前記光ファイバの挿入される光ファイバ挿通孔と、前記光ファイバ挿通孔と前記窓孔を介して対向する裸光ファイバ挿通孔と、前記光ファイバの挿入方向の後側に行くに従って先細りに突出するテーパ円筒状となって前記裸光ファイバ挿通孔の周囲に形成される環状刃部と、前記環状刃部の外周において、前記窓孔の貫通方向及び前記光ファイバの長手方向と直交する方向の両方にそれぞれ突設し、前記窓孔の両方の内側面に達する一対の主板状刃部と、前記環状刃部の外周において、前記窓孔の貫通方向の両方にそれぞれ突設し、前記被覆除去部の前記貫通方向の両方の側面と面一となる側面を有する一対の副板状刃とを有し、前記環状刃部は、先端とは反対の端である基端の外周縁が前記窓孔の両方の内側面に達する、光ファイバ接続器を使用し、
前記一対の光ファイバを、前記一対の素子間を開いた状態でそれぞれ前記素子の両端から前記ガイド部を経て前記被覆除去部に導いて、前記被覆を前記環状刃部により前記裸光ファイバから分離して前記主板状刃部および前記副板状刃により切断することによって除去し、前記被覆を除去した裸光ファイバどうしを突き合わせ接続し、次いで、前記クランプ部により前記素子を閉じて突き合わせ部分を前記素子間で把持し固定する光ファイバの接続方法。」
第4 引用文献
1 引用文献1
引用文献1(特開平9-318836号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】 光ファイバ(7、54)同士を突き合わせ接続するための光ファイバ接続器(1)であって、
一体化時に光ファイバを挟み込むベース(2、51)および蓋体(3、52)からなる二つ割り構造の素子(1A、50)と、該素子を内側に挟み込むことにより側圧を与えて素子の一体化状態を維持するコ字状のクランプバネ(4)と、ベースと蓋体との間において光ファイバを突き合わせ接続可能に位置決め調心する調心機構(8、55)とを備えてなり、
クランプバネはコ字の開口側から内側に素子が圧入可能になっていることを特徴とする光ファイバ接続器。
【請求項2】 クランプバネの両フランジ部(26)に、それぞれクランプバネの内側に圧入された素子のベースまたは蓋体のいずれかと係合して、クランプバネの奥行き方向において素子を位置決めする位置決め係合手段(27)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ接続器。
【請求項3】 ベースおよび蓋体の互いに相手側と重ね合わせられる当接面(5、6、53、58)の少なくともいずれか一方に、クランプバネの外側から挿入される光ファイバを調心機構に導く光ファイバガイド溝(9、56)が形成され、該光ファイバガイド溝の両側部には光ファイバをガイドして光ファイバガイド溝から調心機構に導くテーパ状のガイド壁(11、57)が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の光ファイバ接続器。」
(2)「【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明の第1実施形態を、図1から図5を参照して説明する。図中符号1は、本実施形態の光ファイバ接続器である。この光ファイバ接続器1は、図1および図2に示すように、一体化時に概略断面長方形のロッド状となる二つ割り構造を構成するベース2および蓋体3からなる素子1Aと、該素子1Aの全体をほぼ収納可能な細長コ字状のクランプバネ4とを備えている。
【0012】ベース2および蓋体3は、図2および図3に示すように、ともに断面長方形のロッド状の部材であって、互いの当接面5、6を重ね合わせることにより一体化されるようになっている。本実施形態のベース2と蓋体3とは、共にプラスチック等の適度な硬度を有する材料によって形成されている。
【0013】図2および図3に示すように、ベース2の当接面5の長手方向中央部には、単心の光ファイバ心線7を突き合わせ接続可能に位置決め調心する調心機構としてのV溝8が形成され、当接面5の長手方向両端部にはベース2の外側から挿入される光ファイバ心線7をV溝8の近傍に導く光ファイバガイド溝9が形成されている。これらV溝8と光ファイバガイド溝9とは、ベース2の長手方向に沿った同一直線上に配置されている。また、光ファイバガイド溝9は全体としてV溝8より調心精度が低くなっているが、光ファイバガイド溝9のV溝8に近い端部のみは、その両側部に突設されたガイド壁11によって調心精度が高められた導入部10とされている。この導入部10は、V溝8側の調心精度がV溝8とほぼ等しくなっているとともに、導入部10のV溝8と対向する反対側の端部は、光ファイバガイド溝9よりさらに拡張された溝になっており、光ファイバ心線7の先端の被覆を除去して露出させた裸ファイバ7aを光ファイバガイド溝9から容易に導入できるようになっている。
【0014】前記ガイド壁11は、一括成形によってベース2の当接面5に突設されているので、簡便に形成することができる。V溝8には、光ファイバ心線7の先端の被覆を除去して露出させた裸ファイバ7aが収納される。光ファイバガイド溝9には、光ファイバ心線7の被覆部分が収納される。光ファイバ心線7の被覆部分は、導入部10まで挿入可能になっている。
【0015】図2に示すように、ベース当接面5の長手方向3カ所には、蓋体当接面6に形成された係合凹部14と係合される係合凸部15と、蓋体当接面6に突設された係合凸部15と係合される係合凹部14とが形成されている。係合凸部15の先端には、係合凹部14に対する相対回転を可能とする湾曲面16が形成されており、図4および図5に示すように、ベース2と蓋体3とを一体化した時に係合した全ての係合凹部14と係合凸部15の組の相対回転の軸線が素子1Aの幅方向(図4、図5左右)一側部に沿った同一直線上に配置されて、この直線を軸線としてベース2と蓋体3の相対回転が可能になる。ベース2と蓋体3の相対回転の軸線は光ファイバ接続器1の軸線と平行であり、しかも光ファイバ接続器1の側部に位置されるので、互いに係合された係合凹部14と係合凸部15とはベース2と蓋体3の開閉用のヒンジの機能を果たす。
【0016】蓋体3は、図2および図3に示すように、ベース2のV溝8に対応する中央蓋17と、光ファイバガイド溝9に対応する端部蓋18の三つの部分を直列に配列した構成になっている。中央蓋17と端部蓋18との間は、連結される相手側に向けて突設された連結端部19同士を導入部10上で突き合わせて直列に連結される。また、中央蓋17と端部蓋18とは、各連結端部19に開口するガイド壁収納穴13に導入部10を収納することにより、それぞれベース2に対して位置決めされるようになっている。両端部蓋18には、図3に示すように、光ファイバガイド溝9に収納された光ファイバ心線7の上部(図3上側)を収納する光ファイバ収納溝20が形成されている。中央蓋17の当接面6は平坦面であるが、V溝8に対応する位置にV溝8に収納された裸ファイバ7aの上部を収納する裸ファイバ収納溝を形成することも可能である。こうすることにより、より径の太い裸ファイバ7aにも対応することが可能になる。
【0017】素子1Aの長手方向両端部には、図2および図3に示すように、光ファイバガイド溝9に光ファイバ心線7を挿入するための漏斗状の挿入凹部21が形成されている。また、素子1Aの長手方向両端部の常時クランプバネ4の外側に露出する露出部22は角形になっているので、工具等で固定することが簡便である。
【0018】図1および図4、図5に示すように、素子1Aの係合凹部14、係合凸部15に対向する反対側の側部には、ベース2と蓋体3との間を開放するための楔24が挿入される楔挿入溝25が開口されている。楔挿入溝25は、素子1Aの長手方向4カ所でベース2と蓋体3のそれぞれの当接面5、6をえぐって形成されており、クランプバネ4のクランプ力に抗して楔24が圧入されることによりベース2と蓋体3との間が押し開かれるようになっている。素子1Aは、楔挿入溝25がクランプバネ4の開口部23に露出する向きでクランプバネ4に挿入される。なお、楔挿入溝25に楔24を圧入した時には、係合された係合凹部14と係合凸部15とが構成する回転軸線を中心としてベース2と蓋体3とが楔挿入溝25を拡張する方向に相対回転して離間するようになっている。楔24は、平坦に形成された先端面24aを楔挿入溝25の最奥部に突き当てるようにして圧入されるようになっている。また、楔24は、楔挿入溝25の目的開口幅に相当する厚さ寸法t1を有しているので、楔挿入溝25に圧入するだけで常に一定の開口量で安定して楔挿入溝25を開口することができるようになっている。
【0019】クランプバネ4は、素子1Aよりやや短い細長の部材であって、ベリリウム銅等の材料で形成されている。ベリリウム銅の場合、目的形状に成形後時効硬化処理を行ったものや、熱処理後フッ素樹脂等でコーティングしたもの等がより好ましい。クランプバネ4は、一対のフランジ部26の間を押し広げるようにして、開口部23から素子1Aがその内側に圧入されるようになっている。各フランジ部26の中央部には、該フランジ部26を屈曲成形した位置決め凸部27がクランプバネ4の内側に向けて突設されており、クランプバネ4の内側に素子1Aを挿入した時に、該素子1Aのベース2および蓋体3のそれぞれの外面に形成された位置決め凹部28、29に位置決め凸部27が係合して、素子1Aがクランプバネ4の定位置に安定にクランプ支持されるようになっている。位置決め凸部27は、請求項2記載の位置決め係合手段に相当する。
【0020】位置決め凸部27は両フランジ部26間で対向する位置に形成され、位置決め凹部28、29はベース2、蓋体3の幅方向(図4左右)中央部に形成されており、両フランジ部26の間に素子1Aをクランプバネ4でクランプした時には、これら位置決め凸部27、位置決め凹部28、29とV溝8とが同一直線上に配列され、V溝8に挿入した光ファイバ心線7の直径方向にクランプ力が安定に作用するようになっている。また、素子1Aのクランプ時には、一方のフランジ部26にベース2の外面30が面接触する一方、他方のフランジ部26は蓋体3の位置決め凹部29に係合した位置決め凸部27のみが蓋体3と接触してクランプ力を作用させるようになっているので、クランプバネ4においては素子1Aが常時安定した向きでクランプされるとともに、素子1Aに挟み込んだ光ファイバ心線7にクランプ力を確実に作用させることができる。また、他方のフランジ部26と蓋体3との間には隙間が形成されるので、この隙間を利用することにより、フランジ部26をベース2側のフランジ部26に対して離間する方向に変形させて位置決め凸部27を蓋体3の位置決め凹部29から離脱させることが容易になり、クランプバネ4内からの素子1Aの取り出し作業を簡便に行うことができる。
【0021】両フランジ部26は、それぞれ長手方向(クランプバネ4の長手方向)2カ所に形成されたスリット12によって3分割されている。スリット12の形成位置は、両フランジ部26で対応しており、しかも、蓋体3の中央蓋17と端部蓋18との境界に位置しているので、素子1Aの中央蓋17や端部蓋18に対応するそれぞれの部分における光ファイバ心線7のクランプ力を個別に調整することができる。なお、コ字状のクランプバネ4は、例えばC形のクランプバネに比べて加工が容易であり、特に、スリット12を形成する場合に有利である。しかも、スリット12を形成した場合の比較では、C形等のクランプバネに比べて各部分の変形が他の部分のクランプ力にほとんど影響を与えないので、取り扱いが簡便であり、光ファイバ心線7の接続や接続切り替えの作業性を向上することができる。
【0022】以下、本実施形態の作用および効果を説明する。本実施形態の光ファイバ接続器1は、楔挿入溝25に楔24を挿入してベース2と蓋体3との間の圧接力を緩めておき(図5参照)、素子1Aの両挿入凹部21から光ファイバ心線7を挿入してV溝8上で突き合わせることにより、光ファイバ心線7同士を容易に突き合わせ接続できるようになっている。
【0023】すなわち、素子1A両端の挿入凹部21から光ファイバ心線7をV溝8に向けて押し込めば、予め光ファイバ心線7の先端に露出させておいた裸ファイバ7aが光ファイバガイド溝9にガイドされつつ導入部10に至り、該導入部10の奥側に押し込まれるにしたがって次第に精密に調心されてV溝8に導入される。したがって、光ファイバ心線7は途中で引っ掛かること無くスムーズにV溝8まで押し込むことができる。この時、裸ファイバ7aが心線被覆部分に比べて曲がりやすい上、楔24の挿入によってベース51と蓋体52との間に微小な隙間が形成されて導入部10から裸ファイバ7aが離脱しやすくなっているが、裸ファイバ7aは導入部10の両側部のガイド壁11によってガイドされるので、導入部10から離脱することなくV溝8まで押し込まれる。ベース51と蓋体52との間に形成される隙間が多少大きくなっても、蓋体3のガイド壁収納穴13からガイド壁11全体が抜き出ることは無いので、光ファイバ心線7の径が大きくベース51と蓋体52との間に形成すべき隙間を大きくとる場合であっても、裸ファイバ7aのV溝8への挿入作業性を維持することができ、光ファイバ心線7の径に幅広く対応することができる。
【0024】なお、導入部10は、光ファイバ心線7の被覆部分が通過できない開口量になっているので、裸ファイバ7aの長さを調整しておけば、光ファイバ心線7の素子1Aへの押し込み量を調整することができる。また、素子1Aを透明の樹脂で形成した場合には、外側から光ファイバ心線7の挿入状態を目視することができるが、クランプバネ4の開口部23によって素子1Aの露出量を十分に確保できるので挿入状態の確認が容易であり、効率良く作業を進めることができる。
【0025】光ファイバ心線7同士の突き合わせが完了したら、楔24を楔挿入溝25から引き抜き、クランプバネ4の弾性力でベース2と蓋体3との間に光ファイバ心線7を挟み込み、光ファイバ心線7同士の接続状態を維持する。楔挿入溝25に再度楔24を圧入すればベース2と蓋体3との間での光ファイバ心線7のクランプを解除することができ、容易に光ファイバ心線7を接続切替することができる。また、楔24を挿入する楔挿入溝25を選択すれば片側の光ファイバ心線7についてのみクランプを解除することも可能であり、接続切替の作業性を向上することができる。
【0026】前記光ファイバ接続器1では、楔挿入溝25がクランプバネ4の開口部23に露出しているので、楔24を楔挿入溝25に挿抜する作業を目視しながら効率良く行うことができる。また、本実施形態の光ファイバ接続器1によれば、素子1Aを開口部23からクランプバネ4に圧入するだけで組み立てることができるので、極めて容易に組み立てることができ、フランジ部26を弾性変形させるだけでクランプバネ4から素子1Aを簡便に取り出すこともできる。しかも、外観角形であるので、作業台上で転がりにくいとともに、工具等で固定することも簡便であるので、各種作業の作業性が向上する。また、クランプバネ4は、形状が単純で製造が容易である上、蓋体3側のフランジ部26は蓋体3の中央部に当接可能な大きさであれば良いので、全体を小型に形成することができ、低コスト化が容易である。」
上記記載から、引用文献1には、次の発明(以下「引用文献1発明」という。)が記載されていると認められる。
「光ファイバ同士を突き合わせ接続するための光ファイバ接続器であって、
一体化時に光ファイバを挟み込むベースおよび蓋体からなる二つ割り構造の素子と、該素子を内側に挟み込むことにより側圧を与えて素子の一体化状態を維持するコ字状のクランプバネと、ベースと蓋体との間において光ファイバを突き合わせ接続可能に位置決め調心する調心機構とを備えてなり、
クランプバネはコ字の開口側から内側に素子が圧入可能になっており、
ベースおよび蓋体の互いに相手側と重ね合わせられる当接面に、クランプバネの外側から挿入される光ファイバを調心機構に導く光ファイバガイド溝が形成され、
調心機構としてのV溝には、光ファイバ心線の先端の被覆を除去して露出させた裸ファイバが収納され、光ファイバガイド溝には、光ファイバ心線の被覆部分が収納される、
光ファイバ接続器。」
2 引用文献2
引用文献2(特開2008-292709号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0041】
また、本発明に係る光接続部材は、光コネクタの形態に限らない。例えば、メカニカルスプライスの形態も採りうる。
図11(A)に示すように、光接続部材であるメカニカルスプライス1Dは、作業現場において被覆付き光ファイバに装着することのできるメカニカルスプライスであり、両側から被覆付きの光ファイバ20同士を挿入して、中央の接続部である接続キャピラリ40Bのガラスファイバ挿入穴42に両側からガラスファイバ21をそれぞれ挿入して、突き合わせ接続するものである。また、接続キャピラリ40Bの両端は、それぞれ前記フェルール40の後端面40bと同様の構成であり、ガラスファイバ挿入穴42の挿入口が、光ファイバ20の端部から被覆24を除去する被覆除去部10として機能する。また、中央の接続キャピラリ40Bの左右両側には、それぞれ、上記ガイドキャピラリ17、撓み空間16、固定部30が左右対称に設けられている。
【0042】
このように構成されたメカニカルスプライス1Dは、左右からそれぞれ光ファイバ20を挿入し、光ファイバ20をガイドキャピラリ17に挿入して径方向の位置決めをすると共に、光ファイバ20の先端面を、接続キャピラリ40Bの被覆除去部10に押し付ける。それにより、容易に被覆24を除去してガラスファイバ21を接続キャピラリ40Bのガラスファイバ挿入穴42に挿入することができる。このため、被覆付きの光ファイバ20同士を、メカニカルスプライス1Dへの挿入前に被覆除去作業を行うことなく、接続キャピラリ40Bのガラスファイバ挿入穴42内で容易に接続することができる。さらに、それぞれの光ファイバ20は撓み空間16内に撓み部20cを形成した状態で固定部30により固定できるため、それぞれのガラスファイバ21に、それぞれの先端面同士を突き合わせる方向の弾性付勢力が付与される。これにより、接続状態が安定して維持される。
【0043】
また、図11(B)に示す光接続部材であるメカニカルスプライス1Eのように、撓み空間16を一方側のみに設けるようにしても良い。
【0044】
また、メカニカルスプライス1D,1Eの接続キャピラリ40Bには、中央部分にフェルール40と同様の切欠き43が設けられており、ガラスファイバ挿入穴42が露出している。そのため、ガラスファイバ21同士の接続面に上記の屈折率整合材44または薄膜18を容易に入れることができる。また、ガラスファイバ21をそれぞれガラスファイバ挿入穴42に挿入して突き合わせる際に、切欠き43から空気を逃がして円滑に接続を行うことができる。
なお、切欠き43に薄膜18を入れる場合には、薄膜18がガラスファイバ21同士の接続抵抗となるため、両側から突き合わせ方向の弾性付勢力が付与されるメカニカルスプライス1Dの形態が好ましい。
【0045】
なお、本発明の光接続部材は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、ガラスファイバ挿入穴42の挿入口42a(図5参照)の内側は面取りされて
いることが望ましい。例えば、図12(A)に示すように、円弧状の曲面で面取り(R面取り45a)すると良い。あるいは、図12(B)に示すように、直線的な平面で面取り(C面取り45b)しても良い。これにより、光ファイバ20をガラスファイバ挿入穴42に挿入しやすくなる。
【0046】
そして、ガラスファイバ挿入穴42の先端である面取り45a,45bの大径端44の内径D2は、前記挿入口42aの内径と同様に、被覆24を構成する第1被覆層22の外径d2よりも小さく、ガラスファイバ21の外径d3よりも大きいと良い。
【0047】
また、図13(A)及び(B)に示すように、被覆24の先端外周部に予め初期傷25を設けておくと良い。初期傷25は、被覆24の外周面に、周方向に均等間隔で複数個(図13(A)においては4個)設けるとともに、軸方向に被覆除去長さよりも短い所定の長さ設けるのが好ましい。初期傷25の断面形状は例えばV字状とすることができるが、単に切れ目を設けるだけでも良い。これにより、被覆24が外側に剥け易くなるので、容易に被覆24を除去することができる。
【0048】
また、図14(A)に示すように、光ファイバ20の端面20aから一定の距離、例えば被覆除去長さ(例えば0.5~1mm程度)の位置に、光ファイバ20の周方向に連続して初期傷26を設けても良い。この場合の初期傷26は、光ファイバ20の端部に向かって内側へ切れ込む切れ目が良い。これにより、ガラスファイバ挿入穴42に光ファイバ20を押し付けると、図14(B)に示すように、端部の被覆24bが図中右方向へ押し込まれて、初期傷26に沿って外側へ広がるので、容易に被覆24bを除去することができる。また、初期傷26の位置を端面20aから被覆除去長さに設定することにより、所望の長さの被覆24を除去することができる。
【0049】
図15に、ガラスファイバ挿入穴42の挿入口42aの断面形状の別の例を示す。
この挿入口42aでは、挿入口42aの先端面から内部に向かって内径が徐々に小さくなるようなテーパ部42cが設けられている。テーパ部42cの先端部42bにおける内径は、光ファイバ20の外径d1よりも小さく、光ファイバ20のガラスファイバ21の外径d3よりも大きいものである。さらには、先端部42bが第1被覆層22に当接するように、先端部42bにおける内径がd2より小さいことが好ましい。また、テーパ部42cのテーパ角度は、30°から90°が好ましい。
【0050】
図15の構成の挿入口42aに光ファイバ20を押し付けると、先端部42bに被覆24の端面24aが当接して、ガラスファイバ21から被覆24が剥離されて、ガラスファイバ21の先端はガラスファイバ挿入穴42に押し込まれる。そして、テーパ部42bに沿って光ファイバ20を挿入することになるため、光ファイバ20の先端部の位置決めを高精度で行うことができる。」
上記記載から、引用文献2には、次の事項が記載されていると認められる。
「中央の接続部である接続キャピラリのガラスファイバ挿入穴に両側からガラスファイバをそれぞれ挿入して、突き合わせ接続するメカニカルスプライスにおいて、左右からそれぞれ光ファイバを挿入し、光ファイバをガイドキャピラリに挿入して径方向の位置決めをすると共に、光ファイバの先端面を、接続キャピラリの被覆除去部に押し付け、被覆を除去してガラスファイバを接続キャピラリのガラスファイバ挿入穴に挿入すること。」
3 引用文献3
引用文献3(特開2013-15793号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0011】
まず、図28(a)~(d)に示す実施例の組立方法を用いる光コネクタ100について説明する。
前記光コネクタ100は、光ファイバ12が内挿固定されたフェルール10を有している。フェルール10に内挿固定された光ファイバ12を、以下、内蔵光ファイバとも言う。
前記光コネクタ100は、前記フェルール10先端(前端)の突き合わせ接合用の接合端面11とは反対の後側に、単心の光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバ1の被覆2を除去する被覆除去部材30を有する。前記被覆除去部材30は、被覆付き光ファイバ1の被覆2を除去する被覆除去部31(被覆除去刃)を有する。また、被覆除去部材30は、フェルール10の後端部から後側へ延出する後側延出片27に固定して、フェルール10後端から後側に離隔させて設けられている。
また、この光コネクタ1は、フェルール10の後側に、前記被覆除去部材30により被覆2が除去された裸光ファイバ3を内蔵光ファイバ12後端に突き合わせた突き合わせ接続部(図28(c)、(d)の符号P。突き合わせ部分。以下、単に接続部とも言う)を把持固定するためのクランプ部20を有する。」
(2)「【0097】
図6に示すように、被覆除去部材30は、前方側に裸光ファイバ挿通孔33を、後方側に被覆付き光ファイバ挿通孔34を有する。裸光ファイバ挿通孔33及び被覆付き光ファイバ挿通孔34は、いずれも光ファイバの長手方向に沿って形成された円形孔である。裸光ファイバ挿通孔33と被覆付き光ファイバ挿通孔34との間には、光ファイバの長手方向に交差する方向に貫通した窓孔32が形成されている。被覆除去部31は、窓孔32が裸光ファイバ挿通孔33とつながる側の側面に形成されている。図示例の被覆除去部材30の被覆除去刃31は、光ファイバ挿通孔33の周囲にテーパ状に形成された環状刃部31aと、窓孔32の形成方向に対して垂直に形成された水平刃部31bを有する。
【0098】
図28(a)及び図28(b)に示すように、収容溝26から被覆除去部材30に向けて挿入光ファイバ1を前進させると、挿入光ファイバ1先端は被覆付き光ファイバ挿通孔34に挿入される。被覆付き光ファイバ挿通孔34は直線状であり、挿入光ファイバ1を被覆除去刃31に向けて真っ直ぐ位置決めすることができる。挿入光ファイバ1は、その先端が被覆付き光ファイバ挿通孔34を通過すると、窓孔32を横断して、先端が被覆除去刃31に当接する。そして、挿入光ファイバ1は、その先端が被覆除去刃31に向けて押圧されることにより、被覆2が除去されて、裸光ファイバ3が裸光ファイバ挿通孔33に挿入される。このとき、裸光ファイバ3と被覆2との間に環状刃部31aが差し込まれることにより、被覆2を裸光ファイバ3から容易に剥離することができる。また、裸光ファイバ3から円筒状に剥離された被覆2を水平刃部31bで2つに分断することにより、不要な被覆2を窓孔32の上下から容易に排出することができる。
【0099】
被覆付き光ファイバ挿通孔34後端の入口(ファイバ入口)には、外から内へ向けて径が縮小するテーパ穴34aが設けられている。被覆付き光ファイバ1の先端がテーパ穴34aに案内されることにより、被覆付き光ファイバ挿通孔34への差込みがより確実になる。
また、裸光ファイバ挿通孔33の出口には、内から外へ向けて径が拡大するテーパ穴33aが設けられている。裸光ファイバ3が裸光ファイバ挿通孔33から出る方向に若干の余裕があることにより、裸光ファイバ挿通孔33から調心溝25へ裸光ファイバ3を容易に誘導することができる。」
(3)引用文献3の図6は、次のとおりのものである。
【図6】
上記記載から、引用文献3には、次の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「光ファイバが内挿固定されたフェルールを有する光コネクタにおいて、被覆付き光ファイバの被覆を除去する被覆除去部材を設け、
被覆除去部材は、前方側に裸光ファイバ挿通孔を、後方側に被覆付き光ファイバ挿通孔を有し、
裸光ファイバ挿通孔と被覆付き光ファイバ挿通孔との間には、光ファイバの長手方向に交差する方向に貫通した窓孔が形成され、
被覆除去部材の被覆除去刃は、光ファイバ挿通孔の周囲にテーパ状に形成された環状刃部と、窓孔の形成方向に対して垂直に形成された水平刃部を有すること。」
4 引用文献4
引用文献4(特開2013-15791号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0011】
まず、図37(a)~(d)に示す実施例の光コネクタ100について説明する。
前記光コネクタ100は、光ファイバ12が内挿固定されたフェルール10を有している。フェルール10に内挿固定された光ファイバ12を、以下、内蔵ファイバとも言う。
前記光コネクタ100は、前記フェルール10先端(前端)の突き合わせ接合用の接合端面11とは反対の後側に、単心の光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバ1の被覆2を除去する被覆除去部材30を有する。前記被覆除去部材30は、被覆付き光ファイバ1の被覆2を除去する被覆除去部31(被覆除去刃)を有する。また、被覆除去部材30は、フェルール10の後端部から後側へ延出する後側延出片27に固定して、フェルール10後端から後側に離隔させて設けられている。
また、この光コネクタ1は、フェルール10の後側に、前記被覆除去部材30により被覆2が除去された裸光ファイバ3を内蔵ファイバ12後端に突き合わせた突き合わせ接続部(図37(c)、(d)の符号P。突き合わせ部分。以下、単に接続部とも言う)を把持固定するためのクランプ部20を有する。」
(2)「【0087】
図6(a)~(c)は、図37(a)~(d)に例示した被覆除去部材30の具体例を示す。この被覆除去部材30は、図6(b)、(c)において左側を前、右側を後とするように光コネクタ100内に配置されている。
図6(a)~(c)に示すように、被覆除去部材30は、前方側に裸光ファイバ挿通孔33を、後方側に被覆付き光ファイバ挿通孔34を有する。裸光ファイバ挿通孔33及び被覆付き光ファイバ挿通孔34は、コネクタ前後方向に沿って同軸上に形成された円形孔である。裸光ファイバ挿通孔33と被覆付き光ファイバ挿通孔34との間には、裸光ファイバ挿通孔33及び被覆付き光ファイバ挿通孔34の軸線に交差する方向に被覆除去部材30を貫通する窓孔32が形成されている。被覆除去部31(被覆除去刃)は、被覆除去部材30の窓孔32を形成する前後方向の壁部のうちの裸光ファイバ挿通孔33の形成されている側の壁部に形成されている。
【0088】
被覆除去部材30は、例えば金属等の硬質材料や樹脂からなるボディ30aに、裸光ファイバ挿通孔33、被覆付き光ファイバ挿通孔34、窓孔32、被覆除去刃31が形成された構成となっている。また、被覆除去部材30(詳細にはそのボディ30a)は、外観矩形板状に形成されている。この被覆除去部材30のボディ30aは、より具体的には長方形板状に形成されており、被覆除去部材30は前記ボディ30aの長手方向をコネクタ前後方向に揃えて前記クランプベース部21に取り付けられている。
前記窓孔32は前記ボディ30aの板厚を貫通する貫通孔となっている。裸光ファイバ挿通孔33及び被覆付き光ファイバ挿通孔34は、窓孔32の軸線に直交する方向の軸線を以て形成されている。前記ボディ30aは、前記裸光ファイバ挿通孔33の前端が開口する前端面35aと、被覆付き光ファイバ挿通孔34の後端が開口する後端面35bとを有する。前記前端面35aは前記ボディ30aの4面の外周面のうちの1面である。前記後端面35bは前記ボディ30aの4面の外周面のうち、前記前端面35aとは反対側に位置する1面である。
【0089】
図示例の被覆除去部材30の被覆除去刃31は、裸光ファイバ挿通孔33が貫通するテーパ円筒状の既述の環状刃部31aと、この環状刃部31aの外周面からその軸線に垂直の方向(環状刃部31aの径方向)に突出する板状刃部31bを有する。
環状刃部31aは、被覆除去部材30の前後方向において、裸光ファイバ挿通孔33が形成されている側の壁部(前壁部)から後側に向かって窓孔32内に突出する筒形の突起状に形成されている。環状刃部31aは、前記前壁部の前記窓孔32に臨む面(窓孔前側内壁面32a)から後側に突出している。この環状刃部31aは、その外周面が、前端側から後側に行くに従って先細りのテーパ円筒状に形成されている。裸光ファイバ挿通孔33は、環状刃部31a及び前壁部を貫通しており、その前端が被覆除去部材30のボディ30a前端面35aに開口している。この裸光ファイバ挿通孔33には、被覆除去によって挿入ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ3が挿入される。また、裸光ファイバ挿通孔33は、前記裸光ファイバ3をクランプ部20の調心溝25へ案内する微細孔である。
【0090】
図示例の被覆除去部材30において、前記板状刃部31bは、窓孔32の形成方向(窓孔32の軸線方向)に垂直の板状に形成されている。また、図示例の被覆除去部材30において、前記板状刃部31bは、環状刃部31aからその径方向両側に張り出している。
【0091】
図示例の被覆除去部材30において、前記板状刃部31bは、環状刃部31aと、窓孔32を挟んでボディ30a幅方向両側に位置する壁部36(以下、横壁部とも言う)とを橋絡している。窓孔32の両側の横壁部36は、環状刃部31aを介して両側に該環状刃部31aから離隔して位置する。
【0092】
図示例の被覆除去部材30のボディ30aは金属や樹脂製の一体成形品であり、前記板状刃部31bは、被覆除去部材30の横壁部36及び環状刃部31aと一体に形成されている。この板状刃部31bは、環状刃部31aの窓孔前側内壁面32aからの突出寸法全体にわたって、環状刃部31aと横壁部36との間に形成されている。
なお、被覆除去部材30のボディ30aは必ずしも一体成形品である必要は無く、複数部材によって組み立てた構成のものであっても良い。
【0093】
また、図6(c)に示すように、前記板状刃部31bは、窓孔前側内壁面32aから後側へ向かって板厚が次第に縮小するテーパ状(テーパ板状)に形成されている。図示例の板状刃部31bは、その後端の刃先の稜線が、環状刃部31a後端(後端の稜線)から環状刃部31aの軸線に垂直に真っ直ぐに延在形成されている。環状刃部31aを介して両側の板状刃部31b後端の稜線は、環状刃部31aの軸線に垂直の同一直線上に位置している。
板状刃部31bの板厚方向両側の面間の刃先角度θは、例えば20~40度に設定できる。但し、この刃先角度θは、被覆付き光ファイバ挿通孔34から被覆除去部材30に対して前方へ向かって押し込む挿入ファイバ1の押し込み力(作業者の手作業による押し込み力)等に鑑みて、被覆除去を実現できる角度であれば良く、20~40度の範囲に限定されるものでは無い。
【0094】
図37(a)及び図37(b)に示すように、この光コネクタ100は、収容溝26に挿入した挿入ファイバ1を該光コネクタ100に対してその前方に向かって前進させると、挿入ファイバ1先端が被覆付き光ファイバ挿通孔34に挿入される。図6(a)~(c)に示すように、被覆付き光ファイバ挿通孔34は、コネクタ前後方向の軸線に沿って真っ直ぐに延在形成されている。この被覆付き光ファイバ挿通孔34は、被覆除去部材30において窓孔32から後側の後壁部を前後方向に貫通している。被覆付き光ファイバ挿通孔34の前端は、前記後壁部の窓孔32に臨む面、すなわち窓孔32の窓孔前側内壁面32aに対面する窓孔後側内壁面32bに開口している。被覆付き光ファイバ挿通孔34は、挿入ファイバ1を環状刃部31aの軸線上に真っ直ぐに延在する状態に位置決めすることができる。
【0095】
挿入ファイバ1は、光コネクタ100に対する前進によって、被覆付き光ファイバ挿通孔34から前側へ突出させた先端を被覆除去刃31に押圧する(図37(b)参照)ことができる。そして、挿入ファイバ1は、その先端が被覆除去刃31に向けて押圧されることにより、被覆2が除去されて、裸光ファイバ3が裸光ファイバ挿通孔33に挿入される。
このとき、被覆除去刃31は、裸光ファイバ3と被覆2との間に環状刃部31aが差し込まれることにより、被覆2を裸光ファイバ3から容易に剥離することができる。また、被覆除去刃31は、裸光ファイバ3の周囲の被覆2を板状刃部31bで2つに分断することにより、裸光ファイバ3から分離された不要な被覆2の、環状刃部31aからの分離、除去を円滑に進行させることができる。
【0096】
環状刃部31a後端の円形の稜線(刃先)の径は、挿入ファイバ1の裸光ファイバ3外径と同等、あるいは裸光ファイバ3外径に比べて僅かに径大とされる。環状刃部31a後端の稜線(刃先)の径は、例えば、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ3外径に、挿入ファイバ1の被覆2の肉厚(被覆厚)の半分以下、あるいは3分の1以下の寸法を加えた大きさとすることができる。
また、裸光ファイバ挿通孔33後端部の入口(ファイバ入口)を、後側に行くほど径(内径)が大きくなる末広がりのテーパ状に形成し、環状刃部31a後端の円形の刃先の径を、前記ファイバ入口の前側の内径に比べて僅かに径大としても良い。
【0097】
被覆付き光ファイバ挿通孔34後端の入口(ファイバ入口)には、外から内へ向けて径
が縮小するテーパ穴34aが設けられている。被覆付き光ファイバ1の先端がテーパ穴34aに案内されることにより、被覆付き光ファイバ挿通孔34への差込みがより確実になる。
また、裸光ファイバ挿通孔33の前端の出口には、内から外へ向けて径が拡大するテーパ穴33aが設けられている。裸光ファイバ3が裸光ファイバ挿通孔33から出る方向に若干の余裕があることにより、裸光ファイバ挿通孔33から調心溝25へ裸光ファイバ3を円滑に誘導することができる。
【0098】
被覆除去部材30の板状刃部31bは、その後端の刃先の稜線が、環状刃部31a後端の稜線から環状刃部31aの軸線に垂直に真っ直ぐに延在する構成(図6(a)~(c)参照)に限定されない。板状刃部31bとしては、その後端の刃先の稜線が、環状刃部31a後端の稜線から僅かに前側にずれた位置にて、環状刃部31aの軸線に垂直に真っ直ぐに延在する構成も採用可能である。但し、この場合の板状刃部31b後端の刃先(稜線)は、環状刃部31aによって裸光ファイバ3から円筒状に剥離された被覆2を2つに分断して、環状刃部31a外周からの被覆2の分離、除去を円滑に進行させる点で、コネクタ前後方向における位置が環状刃部31a後端に接近した位置であることが好ましい。
また、板状刃部31bは、環状刃部31a後端からコネクタ前後方向前側へ行くにしたがって、その刃先の環状刃部31a外周面からの距離が増大する形状としても良い。」
(3)「【0160】
被覆除去部材の被覆除去刃の板状刃部は、図6(a)~(c)に例示した構成に限定されない。
例えば図35(a)~(c)に示す被覆除去部材30(図中符号30Aを付記する)は、図6(a)~(c)に例示した被覆除去部材30について板状刃部の構成を変更したものである。この被覆除去部材30Aの被覆除去刃31(図中符号31Aを付記する)の板状刃部に図中31cを付記する。この被覆除去部材30Aの被覆除去刃31Aの板状刃部31cは、図6(a)~(c)に例示した被覆除去部材30の板状刃部31bの環状刃部31a外周からの突出寸法を小さくし、その延在方向(前後方向)ほぼ全長にわたって横壁部36から離隔させた構成となっている。環状刃部31a外周面から突出する板状刃部31cの突端と横壁部36との間にはクリアランスが確保されている。
前記板状刃部31cは、環状刃部31a外周に該環状刃部31aの軸線方向(前後方向)全長にわたって、環状刃部31a外周面からの突出寸法一定で延在突出するリブ状の突片とされている。
【0161】
図示例の被覆除去部材30Aの板状刃部31cは、窓孔前側内壁面32a付近に位置する前端部のみが横壁部36と繋がって(一体に形成されている)いる。この板状刃部31cは、該前端部を除く延在方向のほぼ全長が横壁部36から離隔している。
なお、被覆除去刃31Aとしては、板状刃部31cの延在方向全長が横壁部36から離隔する構成としても良い。
【0162】
この被覆除去部材30Aは、環状刃部31aによって挿入ファイバ1の裸光ファイバ3から円筒状に剥離され板状刃部31cによって2つに分断された被覆2が、板状刃部31cと横壁部36との間に確保されたクリアランスを移動できる。このため、この被覆除去部材30Aは、板状刃部31cによって分断された被覆2の環状刃部31a付近からの移動を円滑にでき、分断された被覆2が環状刃部31a付近に滞留することを防ぐことができる。
【0163】
一方、図6(a)~(c)に例示した被覆除去部材30の板状刃部31bは、既述のように被覆除去部材30の横壁部36と環状刃部31aとに一体に形成されている。この板状刃部31bは、環状刃部31a外周面から突出する突端の前後方向全体が横壁部36と一体化されている構成となっている。
この板状刃部31bは、かかる構成により、被覆除去刃31にその後方から押圧される挿入ファイバ1の押圧力に対する機械的強度を容易に確保できるといった利点がある。このように、板状刃部31bの機械的強度を確保しやすい構成は、特に、板状刃部31bの板厚の縮小、換言すれば図6(c)に示す刃先角度θの縮小に有利である。
【0164】
被覆除去部材の被覆除去刃は、環状刃部31aの径方向両側にひとつづつ、計2つの板状刃部を突設した構成に限定されない。環状刃部31a外周に突設する板状刃部は3以上であっても良い。
被覆除去刃としては、例えば図36(a)に示すように、環状刃部31a外周の3箇所に板状刃部31cを突設した構成や、図36(b)に示すように、環状刃部31a外周の4箇所に板状刃部31cを突設した構成も採用可能である。
なお、図示例では、環状刃部31aの軸線方向全長にわたって該環状刃部31a外周からリブ状に突出する板状刃部31cを採用した構成を例示したが、この板状刃部31cを、適宜、横壁部36と環状刃部31aとを橋絡する構成の板状刃部31bに変更しても良い。
【0165】
被覆除去刃において複数の板状刃部は、環状刃部31a外周の周方向に均等配置する。
板状刃部が2つの場合は、既述のように、板状刃部を環状刃部31aの径方向両側にひとつづつ配置する。3以上の板状刃部は、環状刃部31a外周の周方向に均等配置する。複数の板状刃部を環状刃部31a外周の周方向に均等配置した構成であれば、被覆除去部材の被覆除去刃に向かって挿入ファイバ1を前進、押圧して挿入ファイバ1先端の被覆除去を行う際に、挿入ファイバ1周方向(外周方向)において被覆除去を均等に進行させることができる。
【0166】
板状刃部は、環状刃部31a後端からコネクタ前後方向前側へ行くにしたがって、環状刃部31a外周面からの突出寸法が増大する形状としても良い。この場合も、板状刃部は、その前端側から後端側へ行くにしたがって板厚が次第に小さくなるテーパ状(テーパ板状)に形成される。この板状刃部は、環状刃部31aとは反対の突端側の、該板状刃部の後端から窓孔前側内壁面32a付近までの範囲あるいは全長が刃先(稜線)とされた構成とする。」
(4)引用文献4の図6、図35、図36は、次のとおりのものである。
【図6】
【図35】
【図36】
(5)引用文献4の図36において、4箇所の板状刃部31cのうち2箇所の板状刃部31cが被覆除去部材の横壁部の方向に向かい、2箇所の板状刃部31cが窓孔の貫通方向に向かっていること、及び、環状刃部の基端の外周縁は、被覆除去部材の横壁部に達していないことが示されている。
上記記載及び図に示された事項から、引用文献4には、次の事項(以下「引用文献4記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「光ファイバが内挿固定されたフェルールを有する光コネクタにおいて、被覆付き光ファイバの被覆を除去する被覆除去部材を設け、
被覆除去部材は、前方側に裸光ファイバ挿通孔を、後方側に被覆付き光ファイバ挿通孔を有し、
裸光ファイバ挿通孔と被覆付き光ファイバ挿通孔との間には、裸光ファイバ挿通孔及び被覆付き光ファイバ挿通孔の軸線に交差する方向に交差する方向に貫通した窓孔が形成され、
被覆除去部材の被覆除去刃は、裸光ファイバ挿通孔が貫通するテーパ円筒状の環状刃部と、この環状刃部の外周面からその軸線に垂直の方向に突出する板状刃部を有し、
環状刃部外周の4箇所に板状刃部を突設し、
板状刃部は、被覆除去部材の横壁部と環状刃部とを橋絡する構成であり、
4箇所の板状刃部のうち2箇所の板状刃部が被覆除去部材の横壁部の方向に向かい、2箇所の板状刃部が窓孔の貫通方向に向かい、
環状刃部の基端の外周縁は、被覆除去部材の横壁部に達していないこと。」
第5 対比・判断
1 本願発明1
(1)対比
本願発明1と引用文献1発明を対比する。
ア 引用文献1発明の「光ファイバ接続器」は、本願発明1の「光ファイバ接続器」に相当する。
イ 引用文献1発明の「光ファイバ接続器」は、「光ファイバ同士を突き合わせ接続するための」ものであって、引用文献1発明の「素子」は、「二つ割り」のものであるから、一対のものであり、「一体化時に光ファイバを挟み込むベースおよび蓋体からなる」ものであるから、引用文献1発明のこの「素子」は、本願発明1の「両端から挿入されて突き合わせ接続される一対の光ファイバを挟み込む一対の素子」に相当する。
ウ 引用文献1発明の「クランプバネ」は、「該素子を内側に挟み込むことにより側圧を与えて素子の一体化状態を維持する」ものであり、引用文献1発明において、「調心機構としてのV溝には、光ファイバ心線の先端の被覆を除去して露出させた裸ファイバが収納される」から、引用文献1発明の「クランプバネ」は、裸ファイバの突き合わせ部分を素子間で把持し固定しているといえ、本願発明1の「被覆が除去された前記裸光ファイバどうしの突き合わせ部分を前記素子間で把持し固定するクランプ部」に相当する。
エ 引用文献1発明の「光ファイバガイド溝」は、突き合わせ接続される一対の光ファイバを導く溝であって、光ファイバの径方向移動を規制しているといえるから、本願発明1の「前記一対の光ファイバがそれぞれ挿入され、各光ファイバの径方向移動を規制し」「導く溝部または孔部である前記一対のガイド部」に相当する。
オ 引用文献1発明は、「調心機構としてのV溝には、光ファイバ心線の先端の被覆を除去して露出させた裸ファイバが収納され」ており、「光ファイバガイド溝には、光ファイバ心線の被覆部分が収納され」ており、「素子」はクランプバネによって一体化状態を維持されるので、開閉可能とされており、素子によって、裸ファイバ及び光ファイバ心線の被覆部分がともに把持、固定されているといえるから、引用文献1発明において、裸ファイバ、光ファイバ心線の被覆部分を把持、固定する部分は、それぞれ、本願発明1の「開閉可能であり、閉状態において」「前記裸ファイバの前記突き合わせ部分を把持固定する第1把持固定部」、「開閉可能であり、閉状態において前記第1把持固定部によって前記突き合わせ部分を把持固定した前記一対の光ファイバの被覆部分をそれぞれ把持固定する一対の第2把持固定部」に相当する。
したがって、本願発明1と引用文献1発明を対比したときの一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「両端から挿入されて突き合わせ接続される一対の光ファイバを挟み込む一対の素子と、
被覆が除去された前記裸光ファイバどうしの突き合わせ部分を前記素子間で把持し固定するクランプ部と、を備え、
前記一対の素子は、
前記一対の光ファイバがそれぞれ挿入され、各光ファイバの径方向移動を規制し導く溝部または孔部である前記一対のガイド部と、
開閉可能であり、閉状態において前記一対の被覆除去部による被覆除去後の前記裸ファイバの前記突き合わせ部分を把持固定する第1把持固定部と、
開閉可能であり、閉状態において前記第1把持固定部によって前記突き合わせ部分を把持固定した前記一対の光ファイバの被覆部分をそれぞれ把持固定する一対の第2把持固定部と、
を有する
光ファイバ接続器。」
【相違点1】
本願発明が、「前記一対の素子間に挿入される前記一対の光ファイバの被覆をそれぞれ除去して裸光ファイバとする一対の被覆除去部」を有し、「前記被覆除去部によって被覆が除去され」、一対のガイド部が光ファイバを「前記一対の被覆除去部に導」き、第1把持固定部が「被覆除去部による被覆除去後の」裸ファイバの突き合わせ部分を把持固定し、「前記被覆除去部は、挿入される光ファイバの長手方向と直交する方向に貫通した窓孔と、前記光ファイバの挿入される光ファイバ挿通孔と、前記光ファイバ挿通孔と前記窓孔を介して対向する裸光ファイバ挿通孔と、前記光ファイバの挿入方向の後側に行くに従って先細りに突出するテーパ円筒状となって前記裸光ファイバ挿通孔の周囲に形成される環状刃部と、前記環状刃部の外周において、前記窓孔の貫通方向及び前記光ファイバの長手方向と直交する方向の両方にそれぞれ突設し、前記窓孔の両方の内側面に達する一対の主板状刃部と、前記環状刃部の外周において、前記窓孔の貫通方向の両方にそれぞれ突設し、前記被覆除去部の前記貫通方向の両方の側面と面一となる側面を有する一対の副板状刃とを有し」、「前記環状刃部は、先端とは反対の端である基端の外周縁が前記窓孔の両方の内側面に達する」のに対し、引用文献1発明は、このような被覆除去部を有していない点。
【相違点2】
本願発明1においては、「前記一対の第2把持固定部のそれぞれにおける前記光ファイバに接する部分の光ファイバ長手方向の寸法が、各光ファイバの座屈しない長さとされて」いるのに対し、引用文献1発明においては、このような事項が特定されていない点。
(2)判断
事案に鑑み、まず、相違点1について検討する。
上記相違点1について、光ファイバの突き合わせ接合及び把持固定において共通するものといえる、被覆の除去を容易にするという課題に基づき、引用文献1発明に引用文献4技術事項を適用し、その素子において、裸ファイバが突き合わせ接合される部分より前に、引用文献4技術事項のとおりの被覆除去部材を設けることは、当業者が容易になし得たことであったと考えられる。
しかし、このように引用文献1発明において引用文献4技術事項を適用したとしても、上記相違点1に係る構成における、「前記環状刃部の外周において、前記窓孔の貫通方向の両方にそれぞれ突設し、前記被覆除去部の前記貫通方向の両方の側面と面一となる側面を有する一対の副板状刃とを有し」、「前記環状刃部は、先端とは反対の端である基端の外周縁が前記窓孔の両方の内側面に達する」という構成をただちに導き出すことはできない。
そして、審判請求書における審判請求人(出願人)の主張も参酌すると、本願発明1が上記相違点1に係る構成を備えたことによって、引用文献4記載事項における構成よりも被覆片の排出性が高まるという効果があり得ることを否定することはできず、仮に、引用文献1発明への引用文献4記載事項の適用において、被覆除去部における窓孔の貫通方向に向かう板状の刃部の貫通方向の長さ及び環状刃部の基端の外周縁の幅が、当業者が設計において考慮するべきものだったとしても、そのあり得る効果まで考慮すると、本願発明1が、当業者が容易に発明できたものであったとすることはできない。
また、同様に、上記相違点1に係る構成は、引用文献2及び3にも記載されていない。
したがって、本願発明1は、引用文献1ないし4に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
2 本願発明2ないし7
本願発明2ないし6は、本願の請求項1に従属する請求項2ないし6に係る発明であって、本願発明1の構成を全て含むものであるから、上記1に記載したものと同様の理由によって、引用文献1ないし4に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
また、本願発明7は、「光ファイバ接続器」の発明である、本願発明1を、実質的に同じ発明特定事項を含む形で、「光ファイバの接続方法」にしたものであるから、上記1に記載したものと同様の理由によって、引用文献1ないし4に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願の請求項1ないし7に係る発明は、上記第3のとおりに補正され、上記第5のとおり、これらの発明は、原査定の引用文献1ないし4に基づいて、当業者が容易に発明できたものではないから、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-012229