特許拒絶査定不服審判
2018-010985
商品注文管理方法、記憶媒体およびプログラム
- 審判番号
- 2018-010985
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-146678外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年08月09日
- 審決日
- 2019年10月08日
- 公報発行日
- 2019年11月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】石橋 幸明
- 【請求人代理人】特許業務法人あい特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017-146678「商品注文管理方法、記憶媒体およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月21日出願公開、特開2019- 28674、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成29年7月28日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年11月16日付け:拒絶理由通知書
平成30年 1月19日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 4月10日付け:拒絶査定
平成30年 8月 9日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 元年 7月10日付け:拒絶理由通知書(最後)(当審拒絶理由通知)
令和 元年 7月23日 :意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(平成30年4月10日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献1-8に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.「よくわかる!アスクルWebサイト」,[online],アスクル株式会社,2016年12月9日,pp.1-11,[平成29年11月15日検索],インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20161209061527/http://www.askul.co.jp/guide/hajimete/02/>
2.「ご注文の取消し(キャンセル)・変更について」,[online],アスクル株式会社,2012年6月4日,pp.1-5,[平成29年11月15日検索],インターネット<https://web.archive.org/web/20120604001851/http://www.askul.co.jp/guide/order/cancel.html>
3.「配送・配送料について(お届けについて)」,[online],アスクル株式会社,2016年12月9日,pp.1-12,[平成29年11月15日検索],インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20161209063106/https://www.askul.co.jp/guide/knowledge/delivery.html>
4.特開2015-127856号公報
5.特開平9-147041号公報
6.特開2012-146118号公報
7.特開2009-26216号公報
8.特開2000-137868号公報
第3 本願発明
本願請求項1-3に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、令和元年7月23日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
商品注文および商品注文の管理のためにコンピュータによって実行される方法であって、
商品を注文するための商品注文画面において、発注者が商品の到着を希望する到着希望日を受け付ける到着希望日受け付け工程と、
商品を注文するための商品注文画面において、受け付けた前記到着希望日に対応付けて商品注文を受け付ける注文受付工程と、
受け付けた商品注文についての取引の成立を仮決定する取引仮決定工程と、
管理している配送先の住所に基づいて、商品の発送から配送先への到着までに要する配送日数を算出し、前記到着希望日と、前記配送日数と、発送元の発送可能日および発送不能日とに基づいて、前記到着希望日に商品が配送先に到着するようなタイミングで発送可能な時刻を算出し、そのような時刻を締め切り時刻として取得する締め切り時刻取得工程と、
仮決定されている取引の内容を、前記到着希望日に対応付けて管理する取引管理工程であって、前記締め切り時刻までの期間は、仮決定されている取引の内容の変更、および仮決定されている取引のキャンセルの少なくとも一方を許容可能に管理する取引管理工程と、
前記締め切り時刻に達した場合に、前記締め切り時刻に管理されている内容によって、仮決定されている取引の成立を確定させる取引確定工程とを含む、商品注文管理方法。」
なお、本願発明2-3は、それぞれ本願発明1に対応する「プログラム」、プログラムを記録した「記録媒体」の発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「アスクルWebサイトでの注文方法をご紹介します。」(第1頁)
イ 「ステップ1 ログインする」(第1頁)
ウ 「ステップ2 ほしい商品を見つける」(第4頁)
エ 「例えば、コピー用紙を買いたいとき。右の図の赤枠部分に「コピー用紙」と入力して、【検索】ボタンを押します。」(第4頁)
オ 「買いたいコピー用紙を決めたら、【カゴに入れる】ボタンを押します。」(第5頁)
カ 「ステップ3 商品を注文する」(第6頁)
キ 「買う物を全てカゴに入れたら、ここでカゴの中身を確認してみましょう。」(第6頁)
ク 「買い忘れはないですね?
では、【ご注文手続へ】を押して注文へ!」(第7頁)
ケ 「お届け日を変更する方法は、下のボタンを押して確認してください。」(第8頁)
コ 「「お届け日」が表示されている部分右端の「お届け日の変更」ボタンを押します。」(第8頁)
サ 「「お届け日の変更」画面になりますので、お届け日の候補の中からご希望の日付を選びます。」(第9頁)
シ 「【お買い上げ】ボタンを押して、「注文完了」画面が表示されれば、注文完了です。」(第10頁)
ス 「間違って商品を注文してしまったときは、こちらで「キャンセル・変更」方法を確認しましょう。キャンセル・変更について」(第10頁)
(2)引用文献1の上記スにおいて、「キャンセル・変更について」がリンク付けされており、当該部分をクリックすることにより表示される、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「取消し・変更が可能な時間について
ご注文の取消し、変更ができる時間はご注文時間、お届け日によって異なります。
詳しくは以下の表をご覧ください。」(第1頁)
イ 上記アの「以下の表」を参照すると、日曜・祝日を除く注文日における、取消し・変更ができる時間として、次の旨が記載されていると認められる。
【注文当日に配送する場合】
<注文時刻> <取消し・変更が可能な時刻>
0時~7時 :注文時刻から1時間
7時~7時50分 :8時まで
7時50分~9時50分 :注文時刻から10分間
9時50分~10時 :10時まで
10時~11時 :(取消し・変更不可)
【注文翌日に配送する場合】
<注文時刻> <取消し・変更が可能な時刻>
0時~7時 :注文時刻から1時間
7時~7時50分 :8時まで
7時50分~16時50分 :注文時刻から10分間
16時50分~17時 :17時まで
17時~18時 :(取消し・変更不可)
ウ 「※日曜・祝日については、終日ご注文時間から1時間となります。」(第2頁)
上記アないしウから、上記引用文献2には、注文の取消し・変更が可能な期間が、注文日(平日・日曜・祝日の別)又は注文時刻に応じて一意的に決定され、当該期間は、注文時点から一定時間が経過するまで、所定時刻まで、又は、無し(取消し・変更不可)の何れかである旨が開示されている。
したがって、上記(1)及び(2)から、引用文献1及び2には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「Webサイトでの商品の注文方法であって(引用文献1の第1頁)、
商品を検索して買いたい商品を決めて「カゴに入れる」ボタンを押し、カゴの中身を確認した後、「ご注文手続へ」を押し(引用文献1の第4-7頁)、
「お届け日の変更」ボタンを押し、候補の中から希望の日付を選び(引用文献1の第8-9頁)、
「お買い上げ」ボタンを押して注文完了する(引用文献1の第10頁)、
商品注文方法において、
注文の取消し・変更が可能な期間が、配送日(当日・翌日の別)、注文日(平日・日曜・祝日の別)、注文時刻に応じて一意的に決定され、当該期間は、
(1)注文時点から一定時間が経過するまで
(2)所定時刻まで
(3)無し(すなわち、取消し・変更不可)
の何れかである商品注文方法。」
2 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3の第7-8頁の記載からみて、当該引用文献3には、「商品画面において商品の在庫状況を表示する。」という技術的事項が記載されていると認められる。
3 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4の段落【0052】-【0060】【0106】-【0126】の記載からみて、当該引用文献4には、「通常の注文数及び予約注文の注文数に応じて在庫引当を行って在庫情報を管理する。」という技術的事項が記載されていると認められる。
4 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5の段落【0005】-【0010】【0016】-【0022】の記載からみて、当該引用文献5には、「実在庫、予約在庫、出荷予定量、入荷予定量等に基づいて在庫の引当管理を行う。」という技術的事項が記載されていると認められる。
5 引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6の段落【0029】の記載からみて、当該引用文献6には、「在庫切れの品目は注文を受け付けないようにする。」という技術的事項が記載されていると認められる。
6 引用文献7について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献7の段落【0162】-【0166】の記載からみて、当該引用文献7には、「仮発注から本発注までの残り時間を表示する。」という技術的事項が記載されていると認められる。
7 引用文献8について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献8の段落【0005】の記載からみて、当該引用文献8には、「注文から所定時間以内であれば何回でも注文を変更できるようにする。」という技術的事項が記載されていると認められる。
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 本願発明1の「商品注文管理方法」に関して
引用発明の商品注文方法は、Webサイトにおける商品の選択・注文方法、お届け日の選択方法、注文の取消し・変更に関する方法であって、Webサイトコンピュータによって実行されることは明らかであることから、引用発明の商品注文方法は、本願発明1の「商品注文および商品注文の管理のためにコンピュータによって実行される方法」である「商品注文管理方法」に相当するといえる。
イ 本願発明1の「到着希望日受け付け工程」及び「注文受付工程」に関して
引用発明では、「ご注文手続へ」を押し、次に「お届け日の変更」ボタンを押し、候補の中から希望の日付を選ぶことから、引用発明は、本願発明1の「商品を注文するための商品注文画面において、発注者が商品の到着を希望する到着希望日を受け付ける到着希望日受け付け工程」及び「商品を注文するための商品注文画面において、受け付けた前記到着希望日に対応付けて商品注文を受け付ける注文受付工程」を備えているといえる。
ウ 本願発明1の「取引仮決定工程」、「取引確定工程」及び「取引管理工程」に関して
引用発明では、配送日、注文日、注文時刻に応じて、注文の取消し・変更が可能な期間が定められており、当該期間中は、注文が本願発明1のように「仮決定」の状態であるといえる。また、当該期間を過ぎると注文が取消し・変更できなくなる、すなわち、注文が確定されることから、引用発明は、本願発明1の「受け付けた商品注文についての取引の成立を仮決定する取引仮決定工程」、「前記締め切り時刻に達した場合に、前記締め切り時刻に管理されている内容によって、仮決定されている取引の成立を確定させる取引確定工程」及び「仮決定されている取引の内容を、前記到着希望日に対応付けて管理する取引管理工程であって、前記締め切り時刻までの期間は、仮決定されている取引の内容の変更、および仮決定されている取引のキャンセルの少なくとも一方を許容可能に管理する取引管理工程」を備えているといえる。
エ 本願発明1の「締め切り時刻取得工程」に関して
引用発明では、注文の取消し・変更が可能な期間が配送日、注文日、注文時刻に応じて一意的に決定されており、当該期間を決定する点において、本願発明1の「締め切り時刻取得工程」に対応する。
ただし、引用発明では、締め切り時刻が、配送日、注文日、注文時刻に応じて一意的に決定されており、「配送日数を配送先の住所に基づいて算出」していないとともに、「発送元の配送可能日や配送不可能日」には基づいていない。すなわち、引用発明の「締め切り時刻取得工程」は、本願発明1のように「管理している配送先の住所に基づいて、商品の発送から配送先への到着までに要する配送日数を算出し、前記到着希望日と、前記配送日数と、発送元の発送可能日および発送不能日とに基づいて、前記到着希望日に商品が配送先に到着するようなタイミングで発送可能な時刻を算出」するもの、ではない。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「商品注文および商品注文の管理のためにコンピュータによって実行される方法であって、
商品を注文するための商品注文画面において、発注者が商品の到着を希望する到着希望日を受け付ける到着希望日受け付け工程と、
商品を注文するための商品注文画面において、受け付けた前記到着希望日に対応付けて商品注文を受け付ける注文受付工程と、
受け付けた商品注文についての取引の成立を仮決定する取引仮決定工程と、
締め切り時刻取得工程と、
仮決定されている取引の内容を、前記到着希望日に対応付けて管理する取引管理工程であって、前記締め切り時刻までの期間は、仮決定されている取引の内容の変更、および仮決定されている取引のキャンセルの少なくとも一方を許容可能に管理する取引管理工程と、
前記締め切り時刻に達した場合に、前記締め切り時刻に管理されている内容によって、仮決定されている取引の成立を確定させる取引確定工程とを含む、商品注文管理方法。」
<相違点>
本願発明1の「締め切り時刻取得工程」においては、「管理している配送先の住所に基づいて、商品の発送から配送先への到着までに要する配送日数を算出し、前記到着希望日と、前記配送日数と、発送元の発送可能日および発送不能日とに基づいて算出し、そのような時刻を締め切り時刻として取得」するのに対し、引用発明における「締め切り時刻取得工程」においては、「配送日数を算出」することなく、また、「発送元の発送可能日および発送不能日」にも基づかず、締め切り時刻を、配送日(当日・翌日の別)、注文日(平日・日曜・祝日の別)及び注文時刻に基づいて一意的に取得(決定)している点。
(2)相違点についての判断
上記相違点について検討すると、本願発明1の締め切り時刻取得工程が、「管理している配送先の住所に基づいて、商品の発送から配送先への到着までに要する配送日数を算出し、前記到着希望日と、前記配送日数と、発送元の発送可能日および発送不能日とに基づいて、前記到着希望日に商品が配送先に到着するようなタイミングで発送可能な時刻を算出し、そのような時刻を締め切り時刻として取得する」という構成が、上記「第4」の引用文献3-8にも記載されておらず、公知技術であるとはいえない。また、当該構成は周知技術であるとはいえないとともに、当該構成とすることが、当業者にとって設計的事項であるともいえない。。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献3-8に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2-3について
本願発明2-3は、それぞれ本願発明1に対応する「プログラム」、プログラムを記録した「記録媒体」の発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献3-8に示された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1は、「管理している配送先の住所に基づいて、商品の発送から配送先への到着までに要する配送日数を算出し、前記到着希望日と、前記配送日数と、発送元の発送可能日および発送不能日とに基づいて、前記到着希望日に商品が配送先に到着するようなタイミングで発送可能な時刻を算出し、そのような時刻を締め切り時刻として」取得するという事項を有するものとなっており、上記「第5」で示したとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-8に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
さらに、審判請求時の補正により、本願発明1に対する「プログラム」、プログラムを記録した「記録媒体」の発明である本願発明2-3は、上記事項に対応する構成を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-8に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第7 当審拒絶理由について
当審では、請求項1乃至3の「コンピュータとしての制御装置」という記載の意味が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、令和元年7月23日の手続補正において、請求項1乃至3について「コンピュータ」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明1-3は、当業者が引用発明及び引用文献3-8に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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