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特許拒絶査定不服審判

2018-007476

筋肉トレーニングシステム

審判番号
2018-007476
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-557151
請求日
2018年05月31日
審決日
2019年05月30日
公報発行日
2019年09月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】KAATSU JAPAN株式会社
  • 【請求人代理人】稲葉 良幸
  • 【請求人代理人】大貫 敏史
  • 【請求人代理人】江口 昭彦
  • 【請求人代理人】内藤 和彦
  • 【請求人代理人】佐藤 睦
  • 【請求人代理人】佐藤 宏樹
審判長/審判官
  • 審判長 森次 顕
  • 審判官 尾崎 淳史
  • 審判官 藤本 義仁
分類
P18 .121-WZ (A63B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2017-557151「筋肉トレーニングシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 9月 8日国際公開、WO2017/149690〕について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は,成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,平成28年3月2日を国際出願日とする日本語でされた国際特許出願(特願2017-557151号)であって,平成29年12月8日付けで拒絶理由が通知され,平成30年2月2日に意見書及び手続補正書が提出されたが,同年3月2日付けで拒絶査定がなされ,同査定の謄本は同月7日に出願人に送達された。 これに対して,平成30年5月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,当該請求と同時に手続補正書が提出されたところ,当審において,同年11月12日付けで拒絶理由が通知され,平成31年1月10日に意見書及び手続補正書の提出がされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1及び2に係る発明は,平成31年1月10日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりものであって,そのうち請求項1に係る発明(以下,「本願発明1」という。)はつぎのとおりのものである。 「【請求項1】 ガス袋を有し,使用者の四肢の特定部分に巻き付けられた状態で前記ガス袋内の気体の量に基づいた加圧力を前記特定部分に付与するように構成されるベルトと, 外部から送信された制御指令を受信し,前記制御指令に基づいて前記ベルトの前記ガス袋に対する気体の供給量及び排出量を制御することにより前記ベルトが前記特定部分に付与する加圧力を制御するように構成される制御装置と, 外部のデータベースと, 前記制御指令に対応する情報を記録する記録部を有し,所定の態様で操作された場合に前記制御装置に対して前記制御指令を無線通信で送信しかつ前記記録部に記録した情報を前記データベースに無線通信で送信するように構成される携帯情報端末装置と,を備え, 前記携帯情報端末装置から前記データベースに送信された情報は,蓄積され,分析され,活用され, 前記制御指令は,前記使用者の年齢及び/又は運動歴に応じて設定した加圧力の情報を含み, 前記携帯情報端末装置の操作により送信された前記制御指令に基づいて,前記制御装置が前記ベルトの前記ガス袋に対する気体の供給量及び排出量を制御することにより,前記使用者の前記四肢の前記特定部分に付与する加圧力を遠隔的に制御するように構成されている, 筋肉トレーニングシステム。」 第3 引用文献 1 国際公開2016/006123号(以下,「引用文献1」という。) (1)平成30年11月12日付けの当審による拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知」という。)において,引用文献1として引用され,本願出願前に国際公開がされた引用文献1には,つぎの事項が記載されている。 ア 「[0053] 次いで,図6及び図7のフローチャート並びに図8のテーブル等を用いて,本実施形態に係る筋肉トレーニング方法(加圧トレーニング)について説明する。 [0054] 本実施形態に係る筋肉トレーニング方法(加圧トレーニング)は,図6に示すように,使用者P(図4)の四肢の少なくとも何れか一つにベルト1を巻き付けて特定加圧力を付与することにより使用者Pの筋肉の血流を止めることなく制限しつつ,使用者Pの筋肉に特定重量の負荷を付与するための負荷運動を使用者Pに複数回実施させる加圧運動工程(S30等)と,特定加圧力の付与を続行したまま負荷運動の実施を休止させる運動休止工程(S40等)と,を交互に繰り返すことにより使用者Pの筋肉を増強させる方法である。以下,各工程について具体的に説明することとする。 [0055] まず,加圧運動工程(S30等)を実施する前に,使用者Pの四肢の少なくとも何れか一つに付与される特定加圧力を設定する(加圧力設定工程:S10)。ここで,加圧力設定工程S10について,図7のフローチャート及び図8のテーブルを用いて詳細に説明する。 [0056] 加圧力設定工程10では,図7に示すように,最初に,使用者Pの四肢の少なくとも何れか一つにベルト1を巻き付け,特定装着圧でベルト1を装着する(装着工程:S11)。特定装着圧は,使用者Pの年齢や運動経験等によって異ならせることが好ましい。例えば,図8のテーブルに示すように,ベルト1を腕に装着する場合において,使用者Pが高齢者(70歳以上)である場合には特定装着圧を15~20mmHgに設定し,使用者Pが中高年(50歳以上69歳以下)である場合には特定装着圧を20~30mmHgに設定し,使用者Pが一般(49歳以下)である場合には特定装着圧を30~30mmHgに設定することができる。また,ベルト1を脚に装着する場合において,使用者Pが運動経験豊富なアスリートである場合には,特定装着圧を50~60mmHgに設定することができる。 [0057] なお,装着工程S11では,インストラクタが加除圧制御装置100の入力装置を用いて特定装着圧を設定し,加除圧制御装置100の制御部120を起動させる。これにより,制御部120がポンプ110を駆動制御し,ガス袋内の気圧(ベルト1が筋肉に与える加圧力)をその特定装着圧に一致させることができる。 [0058] 装着工程S11に次いで,特定装着圧よりも高い加圧力を使用者Pに付与する(加圧工程:S12)。最初の加圧工程S12で付与する加圧力の値は,ベルト1を腕に装着する場合には特定装着圧よりも10mmHg程度高い値とするのが好ましい。また,ベルト1を脚に装着する場合には,特定装着圧よりも20mmHg程度高い値とするのが好ましい。加圧工程S12においても,インストラクタが加除圧制御装置100の入力装置を用いて加圧力の値を設定し,加除圧制御装置100の制御部120を起動させることにより,ベルト1が筋肉に与える加圧力をその設定値に一致させることができる。 [0059] 次いで,加圧工程S12において使用者Pの手の平(又は足の甲)の色が赤色乃至赤褐色になったか否かを判定する(判定工程:S13)。判定工程S13において使用者Pの手の平(足の甲)の色が未だピンク色であるような場合には,加圧工程S12で付与した加圧力を除去して特定装着圧まで戻し(除圧工程:S14),加圧力の設定値を上昇させた上で(設定圧上昇工程:S15),加圧工程S12を再度実施する。設定圧上昇工程S15で上昇させる加圧力は,ベルト1を腕に装着する場合には10mmHg程度とし,ベルト1を脚に装着する場合には20mmHg程度とするのが好ましい。除圧工程S14においては,インストラクタが加除圧制御装置100の入力装置を用いて制御部120に除圧を行うための制御を行わせることにより,除圧を行うことができる。設定圧上昇工程S15においては,インストラクタが加除圧制御装置100の入力装置を用いて加圧力の値を設定し,加除圧制御装置100の制御部120を起動させることにより,ベルト1が筋肉に与える加圧力をその設定値に一致させることができる。 [0060]その後,判定工程S13において使用者Pの手の平(足の甲)の色が赤色乃至赤褐色になるまで加圧工程S12,除圧工程S14及び設定圧上昇工程S15を複数回ずつ繰り返し実施し,判定工程S13において使用者Pの手の平(足の甲)の色が赤色乃至赤褐色になった場合には,そのときの加圧力を特定加圧力として設定する(設定工程:S16)。 [0061] これらの工程群を経て設定される特定加圧力は,図8のテーブルに示されている「適正圧」の範囲内にほぼ収まることが本願発明の発明者の研究により明らかになっている。例えば,ベルト1を腕に装着する場合において使用者Pが高齢者(70歳以上)である場合には,上記工程群を経て設定される特定加圧力は40~60mmHgの範囲内にほぼ収まる。但し,使用者Pの体調等によって特定加圧力は変化するため,図8に示された値に左右されることなく,あくまでも判定工程S13による判定(使用者Pの手の平の色が赤色乃至赤褐色になったか否か)を経て特定加圧力を設定することとする。」 イ 「[0077]次に,図9~図24を用いて,本発明の第二実施形態に係る筋肉トレーニング方法(加圧トレーニング)について説明する。本実施形態に係る加圧トレーニングは,第一実施形態で使用した加除圧制御装置100とは異なる装置(装着式制御装置100Aを含む筋肉トレーニングシステム)を用いて実施されるものである。本実施形態においては,当該システムの構成を中心に説明することとし,第一実施形態と共通する構成については,第一実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略することとする。 [0078] まず,図9~図11を用いて,本実施形態に係る加圧トレーニングで使用される筋肉トレーニングシステムの構成について説明することとする。本実施形態における筋肉トレーニングシステムは,ベルト1Aと,装着式制御装置100Aと,を備えている。図9は,ベルト1Aの外面(外側に露出する面)を表す図である。本実施形態におけるベルト1Aは,第一実施形態におけるベルト1と同様に,使用者の四肢の少なくとも一つに巻き付けられて筋肉に加圧力を付与する帯状の部材であり,その内部には,図示されていないガス袋が設けられている。ベルト1A及びガス袋を構成する材料やベルト1A及びガス袋の幅・長さは第一実施形態と同様であるので,詳細な説明を省略する。 [0079]ベルト1Aの外面には,第一実施形態におけるベルト1と同様に,面ファスナ10が設けられている。また,ベルト1Aの一方の端部1aには,連結部材20Aを介してバックル30が取り付けられている。バックル30は,第一実施形態におけるものと同様である。連結部材20Aは,ベルト1Aの一方の端部1aとバックル30とを連結するための部材であり,第一実施形態と同様に例えば人工皮革等の可撓性を有する素材で構成することができる。本実施形態における連結部材20Aには,図9に示すように,装着式制御装置100Aを装着させる装着部21Aが設けられており,装着部21Aには,装着式制御装置100Aの接続口111A(図10(B))に接続されるベルト側接続口22Aが設けられている。ベルト側接続口22Aはガス袋内部に連通しており,後述するように,このベルト側接続口22Aを通して,ガス袋の中に気体(本実施形態では空気)が送り込まれ,またはガス袋の中の気体が外部へ抜かれることになる。」 [0080] 例えば腕用のベルト1Aを使用者の腕の付け根に装着する際には,第一実施形態(図4)と同様に,まずベルト1Aを腕の付け根(特定部分)に巻き付けてループ形状を作り,ベルト1Aの一方の端部1aに取り付けられたバックル30にベルト1の他方の端部1bを通してベルト1Aを折り返し,バックル30に通したベルト1Aの他方の端部1bを把持しながらベルト1Aを締め付ける。そして,ベルト1Aの締め付けにより所定の加圧力を付与した状態で面ファスナ10を用いてベルト1Aのループ形状を維持する。これにより,所定の加圧力が所望の筋肉に付与された状態でベルト1Aが使用者の腕の付け根に装着されることとなる。ベルト1Aを使用者の腕の付け根(特定部分)に装着した状態でガス袋へ空気が送り込まれると,ベルト1Aが筋肉を締付け,加圧力を与えるのである。逆に,その状態でガス袋内の空気が抜かれれば,ベルト1Aが筋肉に与える加圧力が小さくなる。」 ウ 「[0084] 装着式制御装置100Aの制御部120Aは,ポンプ110Aを制御するものである。制御部120Aは,圧力計で測定されたポンプ110A内の気圧が所定の設定値になるように,弁112Aを閉じた状態でポンプ110Aを駆動させて空気をベルト1Aのガス袋へ送り,或いはポンプ110Aが備える弁112Aを開放してガス袋内の空気を抜くという制御を行う。つまり,制御部120Aは,弁112Aの開閉を含めたポンプ110Aの制御を行うものとなっている。 [0085] また,装着式制御装置100Aは,図11に示すように,各種情報を記録するための情報記録部113Aを有している。情報記録部113Aは,使用者毎の特定加圧力等の各種情報を記録することができ,また,記録した情報を消去することができるように構成されている。制御部120Aは,情報記録部113Aから読み出した特定加圧力をベルト1Aで特定部分に付与するようにベルト1Aのガス袋に対する気体の供給量及び排出量を制御することができる。 [0086] 本実施形態においては,情報記録部113Aとして,筐体101Aに対して着脱自在なメモリカードを採用している。情報記録部113Aとしてのメモリカードを筐体101Aから取外し,図示していない外部装置(親機)を用いてメモリカードに特定加圧力を書き込み,特定加圧力が書き込まれたメモリカードを筐体101Aに取り付けることができる。従って,特定加圧力を随時更新することが可能となる。 [0087] また,装着式制御装置100Aは,図11に示すように,各種情報の送受信を行うための情報送受信部114Aを有している。情報送受信部114Aは,図示していない外部装置で設定された特定加圧力等の各種情報を受信したり,加圧トレーニングの実施履歴等の各種情報を外部装置に送信したりするように構成されている。情報記録部113Aは,情報送受信部114Aで受信した特定加圧力等の各種情報を記録することができる。」 エ 「[0088] また,装着式制御装置100Aは,図11に示すように,各種情報の入力を行うための操作入力部115Aを有している。操作入力部115Aは,各種動作指令を入力したり,特定加圧力等の各種情報を入力したりするためのものである。情報記録部113Aは,操作入力部115Aで入力した特定加圧力等の各種情報を記録することができる。また,制御部120Aは,操作入力部115Aで入力された特定加圧力をベルト1Aで特定部分に付与するようにベルト1Aのガス袋に対する気体の供給量及び排出量を制御することができる。 [0089] また,装着式制御装置100Aは,図11に示すように,各種情報を視覚的に表示(出力)するための表示部116Aを有している。表示部116Aは,操作入力部115Aによって入力された特定加圧力等の各種情報を表示するためのものである。本実施形態においては,表示部116Aとして,図10(A)に示すように筐体101Aの一表面に表示される表示画面を採用している。この表示画面は,操作入力部115Aとしても機能するタッチパネルとされている。なお,各種情報を視覚的に表示するための表示部116Aに代えて(又は表示部116Aとともに),各種情報を音声で出力するための音声出力部を設けてもよい。また,各種動作指令を音声で入力することができる操作入力部115Aを採用することもできる。」 オ 図8 カ 図9 キ 図10 ク 図11 (2)引用文献1に記載された発明 上記(1)の記載を総合すると,引用文献1には,つぎの発明が記載されているものと認められる。 「ベルトと,装着式制御装置とを備えている筋肉トレーニングシステムであって, ベルトは,使用者の四肢の少なくとも一つに巻き付けられて筋肉に加圧力を付与する帯状の部材であり,その内部にはガス袋が設けられており, ベルトの連結部材には,装着式制御装置を装着させる装着部が設けられており, 装着式制御装置は,各種情報を記録するための情報記録部を有しており, 情報記録部は,使用者毎の特定加圧力等の各種情報を記録することができ, 装着式制御装置は,ポンプを制御する制御部を有しており, 制御部は,情報記録部から読み出した特定加圧力をベルトで特定部分に付与するようにベルトのガス袋に対する気体の供給量及び排出量を制御することができ, 装着式制御装置は,各種情報の送受信を行うための情報送受信部を有しており, 情報送受信部は,外部装置で設定された特定加圧力等の各種情報を受信したり,加圧トレーニングの実施履歴等の各種情報を外部装置に送信したりするように構成されており, 情報記録部は,情報送受信部で受信した特定加圧力等の各種情報を記録することができるものであり, 装着式制御装置は,各種情報の入力を行うための操作入力部と,操作入力部によって入力された特定加圧力等の各種情報を表示する表示部を有している, 筋肉トレーニングシステム。」の発明(以下,「引用発明1」という。)。 第4 当審の判断 1 本願発明1と引用発明1との対比 (1)引用発明1の「ベルト」は,「使用者の四肢の少なくとも一つに巻き付けられて筋肉に加圧力を付与する帯状の部材であり,その内部にはガス袋が設けられて」いることから,本願発明1の「ガス袋を有し,使用者の四肢の特定部分に巻き付けられた状態で前記ガス袋内の気体の量に基づいた加圧力を前記特定部分に付与するように構成されるベルト」に相当する。 (2)引用発明1の「装着式制御装置」が有する「ポンプを制御する制御部」は,「情報記録部から読み出した特定加圧力をベルトで特定部分に付与するようにベルトのガス袋に対する気体の供給量及び排出量を制御することができ」るものであるところ,引用発明1の「制御部」は,情報記録部から読み出した特定加圧力を付与するように制御されるのであるから,制御指令に基づいてポンプを制御して気体の供給量及び非出量を制御していることは明らかであり,本願発明1の「外部から送信された制御指令を受信し,前記制御指令に基づいて前記ベルトの前記ガス袋に対する気体の供給量及び排出量を制御することにより前記ベルトが前記特定部分に付与する加圧力を制御するように構成される制御装置」と引用発明1の「制御部」とは,「制御指令に基づいて前記ベルトの前記ガス袋に対する気体の供給量及び排出量を制御することにより前記ベルトが前記特定部分に付与する加圧力を制御するように構成される制御装置」である点で共通するものである。 (3)引用発明1の「装着式制御装置」が有する「各種情報を記録するための情報記録部」は,「使用者毎の特定圧力等の各種情報を記録することができる」ものであり,「情報送受信部で受信した特定加圧力等の各種情報を記録することが」できるものであるから,本願発明1の「記録部」とは,「制御指令に対応する情報を記録する」ものである点で共通するものといえる。 (4)本願発明1の「制御装置」は,「携帯情報端末装置の操作により送信された前記制御指令に基づいて,前記ベルトの前記ガス袋に対する気体の供給量及び排出量を制御することにより,前記使用者の前記四肢の前記特定部分に付与する加圧力を遠隔的に制御するように構成されている」のであるから,本願発明1の「制御装置」と引用発明1の「装着式制御装置」とは,送信された「制御指令」に基づいてガス袋に対する気体の供給量及び排出量を制御することにより,前記使用者の前記四肢の前記特定部分に付与する加圧力を制御するように構成されるものである点で共通するものである。 2 一致点・相違点 上記1の検討を踏まえれば,本願発明1と引用発明1とは,つぎの一致点で一致し,各相違点で相違するものである。 <一致点> 「ガス袋を有し,使用者の四肢の特定部分に巻き付けられた状態で前記ガス袋内の気体の量に基づいた加圧力を前記特定部分に付与するように構成されるベルトと, 外部から送信された制御指令を受信し,前記制御指令に基づいて前記ベルトの前記ガス袋に対する気体の供給量及び排出量を制御することにより前記ベルトが前記特定部分に付与する加圧力を制御するように構成される制御装置と,を備え, 外部から送信された前記制御指令に基づいて,前記制御装置が前記ベルトの前記ガス袋に対する気体の供給量及び排出量を制御することにより,前記使用者の前記四肢の前記特定部分に付与する加圧力を制御するように構成されている, 筋肉トレーニングシステム。」 <相違点1> 本願発明1は「外部のデータベース」を有するのに対し,引用発明1の「外部装置」は「データベース」であるのか明らかでない点。 <相違点2> 本願発明1は,「携帯情報端末装置」が「前記制御指令に対応する情報を記録する記録部を有し,所定の態様で操作された場合に前記制御装置に対して前記制御指令を無線通信で送信」し,「前記携帯情報端末装置の操作により送信された前記制御指令に基づいて,前記制御装置が前記ベルトの前記ガス袋に対する気体の供給量及び排出量を制御することにより,前記使用者の前記四肢の前記特定部分に付与する加圧力を遠隔的に制御するように構成されている」のに対し,引用発明1は,「各種情報を記録するための情報記録部」(本願発明1の「記録部」に相当。)は「装着式制御装置」にあり,「装着式制御装置」の「情報送受信部」が「外部装置で設定された特定加圧力」の情報を受信するように構成されており,「特定加圧力」を「前記ベルトの前記ガス袋に対する気体の供給量及び排出量を制御することにより,前記使用者の前記四肢の前記特定部分に付与する加圧力を制御する」ように構成されているものの,「携帯情報端末装置」を有しておらず,携帯情報端末装置により「遠隔的に制御する」ものではない点。 <相違点3> 本願発明1は,「携帯情報端末装置」が「前記記録部に記録した情報を前記データベースに無線通信で送信するように構成される」のに対し,引用発明1においては,「装着式制御装置」は 「加圧トレーニングの実施履歴等の各種情報を外部装置に送信」するものの,そのような制御を行うための「携帯情報端末装置」を有しておらず,また,加圧トレーニングの実施履歴等の各種情報が送信される「外部装置」が「データベース」であるとは特定されない点。 <相違点4> 本願発明1は,「前記携帯情報端末装置から前記データベースに送信された情報は,蓄積され,分析され,活用され」るのに対し,引用発明1は「携帯情報端末装置」を有しておらず,「外部装置」が「データベース」であるのか明らかでなく,また,外部装置に送信された加圧トレーニングの実施履歴等の各種情報は,「蓄積され,分析され,活用され」るとは特定されていない点。 <相違点5> 本願発明1の「制御指令」は,「前記使用者の年齢及び/又は運動歴に応じて設定した加圧力の情報を含む」のに対し,引用発明1は,そのように特定されない点。 3 各相違点についての当審の判断 (1)相違点1について ア 当審拒絶理由において引用された本願出願前に出願公開された特開2013-106633号公報(以下,「引用文献2:という。)には「【0097】 また,以上説明した実施形態においては,記憶制御部24が,情報処理装置20の動作中に算出部23で算出した加圧力の最大値をメモリカード90に書き込む例を示したが,算出部23で算出した加圧力を,情報処理装置20の動作開始時からの経過時間に対応させてメモリカード90に書き込むこともできる。このようにすると,実行加圧力の時間履歴を事後的に確認することができる。また,情報処理装置20の動作開始時から一定時間(例えば5分間)経過する毎に,その一定時間(5分間)において算出部23で算出した加圧力の最大値をメモリカード90に書き込んでもよい。このようにすると,情報処理装置20の動作開始時から一定時間毎の実行加圧力の最大値を事後的に確認することができる。【0098】 また,以上説明した実施形態においては,情報処理装置20の算出部23で算出した加圧力をメモリカード90に書き込んで管理する例を示したが,算出部23で算出した加圧力を無線通信手段を介して外部装置に送信し,この外部装置で管理してもよい。」と記載されている。 上記段落【0097】の記載を踏まえると,段落【0098】に記載の「外部装置で管理」するとは,「加圧力あるいは一定時間における加圧力の最大値をメモリカード90に書き込んだ場合と同様な管理を行うこと,即ち,加圧力を情報処理装置20の動作開始時からの経過時間に対応させて記憶し,実行加圧力の時間履歴を事後的に確認することができるようにすること,あるいは,一定時間経過する毎に,その一定時間において算出部23で算出した加圧力の最大値を記憶し,情報処理装置20の動作開始時から一定時間毎の実行加圧力の最大値を事後的に確認することができるようにすること」,であるといえる。 そして,一般に,「データベース」とは,「系統的に整理・管理された情報の集まり。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を意味する用語であることから,引用文献2に記載の「外部装置」は,加圧力に関する複数の情報を,系統的に整理して記憶(蓄積)していることが明らかであるから,「データベース」であるといえる。 イ 同じく当審拒絶理由において引用された本願出願前に米国において出願公開された米国特許出願公開第2015/0224364号明細書(以下,引用文献3という。)には,「[0054]好ましい実施形態によれば,サーバ30は,トレーニングが完了したら携帯型リモートコントローラ20から運動関連情報を受信するためにインターネットを介して携帯型サーバ30に接続されている。したがって,運動関連情報は,手動で携帯型リモートコントローラ20の有効な制御のうちの一つによりサーバ30に送信されるか,あるいは,携帯型リモートコントローラ20を検出することによって自動的にサーバ30に送信されることができる。サーバ30は,携帯型リモートコントローラ20に累積的に記憶された運動関連情報を最小化するように,運動関連情報を格納及び分析するように構成されている。このように,携帯型リモートコントローラ20は,”WiFi"接続あるいは,モバイル通信ネットワークを通じてサーバ30と無線接続されることができる。好ましくは,サーバ30は,ユーザが携帯型リモートコントローラ20を使用して,任意のインターネットブラウザによりサーバ30にアクセスできるウェブベースのプラットフォームとすることができる。」,「[0057]特に,運動関連情報は,運動用器具装置10とサーバ30との間で直接通信されないように,携帯型リモートコントローラ20によりサーバ30に送信されなければならない。また,運動関連情報が携帯型リモートコントローラ20に格納されないように,運動関連情報は,携帯型リモートコントローラ20を通してサーバに送信され,格納される。つまり,運動関連情報は,携帯型リモートコントローラ20の記憶領域を占有しない。ユーザが運動関連情報を検索したい場合は,ユーザは,携帯型リモートコントローラ20をサーバ30に接続するために利用することができる。[0058]サーバ30は,運動関連情報を分析後に携帯リモートコントローラ20への分析報告を生成する分析センター31と,ユーザが運動用器具装置10に対する修正された運動プログラムを選択することを可能とする分析報告に関する携帯リモートコントローラ20への推奨アドバイスを生成する命令センター32とを含む。[0059]したがって,サーバ30は,携帯型リモートコントローラ20により送信された運動関連情報に関する分析報告を生成する。ユーザは携帯型リモートコントローラ20により,分析報告を閲覧することができる。つまり,運動関連情報の計算及び分析は,リモートコントローラ20ではなく,分析センター31により実行される。このように,分析報告は,フィットネス評価でのユーザの長所と短所を測定する。その結果,分析報告は,トレーニングの前,あるいは後で,及び/または,ユーザの肉体的フィットネス向上を測定するために,現在の分析報告とそれ以前の(複数の)分析報告との比較を示すことができる。」(摘示は当審により日本語に翻訳したもの。)と記載されているように,引用文献3には,トレーニングの終了後,携帯型リモートコントローラから送信された運動関連情報を受信するように構成されたサーバであって,携帯型リモートコントローラから送信された運動関連情報を記憶(蓄積)し,分析して,分析報告を作成するサーバが記載されているところ,当該サーバでの分析報告は,複数の以前の分析報告などを蓄積しているものであるから,当該サーバは,運動関連情報に関する「データベース」を構成するものであるといえる。 ウ 上記ア及びイのことからすれば,本願出願前において,(送信された運動に関する情報を蓄積し,分析し,活用する)「データベース」は周知であるといえるので,引用発明1において,「外部装置」をそのような「データベース」とすることにより,相違点1に係る本願発明1の構成のようにすることは,当業者が適宜なし得る程度のことである。 (2)相違点2について 本願出願の出願時において,一般に,スマートフォンなどを用いて,機器の操作を円滑的に行うようにすることは,慣用技術にすぎないものである。 また,当審拒絶理由通知において引用した米国特許出願公開第2013/0178334号明細書(以下,「引用文献4」という。)には,運動装置で実行する運動プログラムを記憶するメモリを有し,運動装置と通信可能に接続されると,運動プログラムを無線で送信する,タブレット型のコンピュータ,ラップトップPC,電話等の外部計算装置が記載されており(段落[0045]~[0093]),特に段落[0093]においては,「運動装置は,外部の計算装置に通信可能に接続されると,運動装置は,運動装置のコンソールの電子機器のメモリ内に格納された運動プログラムを実行することができる。選択的に,運動装置は,外部の計算装置のメモリに格納された運動プログラムを実行するようにしてもよい。さらには,運動プログラムは,インターネットを通じ外部計算装置を介して運動装置にストリーミングされてもよい。」と記載されているように,当該「外部計算装置」は,「前記制御指令に対応する情報を記録する記録部を有し,所定の態様で操作された場合に前記制御装置に対して前記制御指令を無線通信で送信」する「携帯情報端末装置」に相当するものである。 してみると,引用発明1において,引用文献4に記載されているような「タブレット型のコンピュータ」のような「外部計算装置」である「各種情報を記録するための情報記録部」を有する「携帯情報端末装置」から「装着式制御装置」に制御指令を無線通信で送信し,「装着式制御装置」を遠隔的に制御するようにすることで,上記相違点2に係る本願発明1のように構成することは,当業者であれば容易になし得る程度のことである。 (3)相違点3について 上記(2)で検討したように,引用発明1において,「携帯情報端末装置」を用いるようにすることは当業者が容易になし得る程度のことにすぎず,上記(1)で検討したように,引用発明1において「データベース」に運動情報を送信し,記録するようにすることも当業者が適宜なし得る程度のことである。 してみると,引用発明1において,「加圧トレーニングの実施履歴等の各種情報を外部装置に送信」することに代えて,「データベース」に送信するに際して,「携帯情報端末装置」を用いて行うようにして,相違点3に係る本願発明1の構成のようにすることも,当業者が適宜なし得る程度のことにすぎない。 (4)相違点4について 上記(1)において検討したように,「送信された運動に関する情報」をサーバーが「蓄積し,分析し,活用する」ものは,周知の技術であり,このように蓄積されたサーバーの情報は,データベースを構成するものといえる。 してみると,引用発明1において,外部に送信される「情報」を「蓄積され,分析され,活用される」ようにすることも,引用文献2及び3に記載されている周知技術に基づいて当業者が適宜なし得ることであるといえる。 そして,引用発明1において,「加圧トレーニングの実施履歴等の各種情報を外部装置に送信」することに代えて,「データベース」に送信するに際して,携帯情報端末装置を用いて行うようにすることの想到容易性については,上記(3)で検討したとおりである。 以上のとおりであるから,相違点4は,当業者が容易に想到し得ることである。 (5)相違点5について ア 上記1(1)のア及び図8に記載されているように,引用文献1の「特定装着圧」と「特定加圧力」は,使用者Pの年齢や運動経験等によって異ならせるものとなっており,当該特定加圧力は,加除圧制御装置の制御部の駆動制御によって付与するものとなっている(段落[0056]~[0057])。よって,制御指令は,使用者の年齢及び/又は運動歴に応じて設定した特定加圧力の情報を含むものであるといえる。 してみると,引用発明1の「使用者毎の特定加圧力等の各種情報を記録する」「情報記録部」から読み出した「特定加圧力」をベルトで特定部分に付与するように制御するものであるところ,ここでの「特定加圧力」は,「年齢や運動歴に応じて大体適正圧に収まるもの」として設定されるものであるから,本願発明1と引用発明1とは,共に「制御装置」が「使用者の年齢及び/又は運動歴に応じて設定した加圧力の情報」を含む「制御指令」により,制御されるものである点でも共通するものといえる。 してみると,上記相違点5は,実質的な相違点ではない。 イ 当審拒絶理由通知で引用した特開2012-179463号公報(以下,「引用文献5」という。)の段落【0125】には,加圧筋力トレーニングを実施するにあたって,ガス袋の空気圧をどのように制御するかは,「使用者の年齢及び/又は運動歴,体調等によって異なる」こと,「制御データにより適当に制御される」ことが記載されていることからすれば,引用発明1において,「制御指令」として,「使用者の年齢及び/又は運動歴に応じて設定した加圧力の情報を含む」ようにすることで,相違点5に係る本願発明1の構成のようにすることは,当業者が容易に想到し得ることである。 (6)本願発明1の効果について 本願発明1の効果についてみても,引用発明1及び技術常識に基づいて当業者が予測し得る程度のものであって,格別のものではない。 4 小括 以上のとおりであるから,本願発明1は,引用発明1,引用文献2及び3に記載の周知技術並びに引用文献4及び5に記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 第5 むすび 上記のとおり,本願発明1は,特許法第29条第2項の規定により特許受けることができないものであるから,その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。 よって,上記の結論のとおり審決する。

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2018-007476

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