特許拒絶査定不服審判
2018-005764
混合物生成装置
- 審判番号
- 2018-005764
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-059591外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年04月25日
- 審決日
- 2018年12月05日
- 公報発行日
- 2019年01月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】シャープ株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
- 分類
- P18 .121-WY (A47J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014- 59591号「混合物生成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月22日出願公開、特開2015-181645、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成26年3月24日の出願であって、平成29年7月5日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年8月31日付けで手続補正及び意見書の提出がされ、平成30年1月22日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成30年4月25日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成30年1月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-7に係る発明は、次の引用文献1に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特表2010-512207号公報
第3 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成30年4月25日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
混合物用原料と加熱された液体とを混合部にて混合して液体混合物を生成する混合物生成装置において、
上記混合部は、
上記混合物用原料が投入される混合容器と、
上記混合容器の内部にて混合された上記液体混合物を排出すべく、該混合容器の底面に形成された排出口と、
上記混合容器に投入された上記混合物用原料と上記加熱された液体とを混合すべく、該加熱された液体を該混合容器の内部における下部に吐出する加熱液体流入口とを備え、
上記排出口は、上記混合容器の側面壁近傍に位置すると共に、
上記加熱液体流入口と上記排出口とが近接して配置され、かつ上記加熱された液体の吐出方向が上記排出口に向かう構成となっていることを特徴とする混合物生成装置。
【請求項2】
前記加熱液体流入口は、前記混合容器の側壁面に沿って加熱された液体を吐出するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の混合物生成装置。
【請求項3】
前記混合容器の底面には、排出口を中心として放射状に延びる一つ以上のリブが備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の混合物生成装置。
【請求項4】
前記排出口は、複数の孔にてなっていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の混合物生成装置。
【請求項5】
前記混合容器の底面は、排出口が最下端となる傾斜面となっていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の混合物生成装置。
【請求項6】
前記混合容器は、有底円筒形状にてなっていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の混合物生成装置。」
第4 引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、大気圧に開放されたチャンバ内で発泡液を製造するための装置であって、特に、希釈剤のジェットを使用して可溶性原料または液体濃縮物を溶解させてそれを発泡液の状態へと泡立たせる装置に関する。更に、本発明は、そのような装置を備える飲料製造機に関する。また、本発明は、可溶性原料を溶解させてそれを発泡液の状態へと泡立たせる希釈剤のジェットを使用し、粉末を溶解して発泡液を製造する方法に関する。」
「【0014】
本発明によれば、希釈剤は、装置の特徴および状態を利用した食品可溶性原料の溶解に適用される任意の適切な液体であってもよい。好ましい希釈剤は温水であるが、冷水や他の水性液体などの他の希釈剤、例えば液体ミルクを利用することができる。」
「【0012】
具体的には、本発明の装置は、横断方向の底壁と長手方向の上向壁とを有する大気に開放されたチャンバと、少なくとも1つの希釈剤注入口と、少なくとも1つの液体供給出口とを備え、希釈剤注入口は、上向壁を貫通して設けられ、また、希釈剤注入口は、希釈剤のジェットがチャンバ内に向くように寸法付けられるとともに方向付けられ、また、チャンバ内の希釈剤注入口の方向および寸法によって、チャンバ内に入る希釈剤のジェットで液体が上向壁の側面に沿って上昇できるように、少なくとも1つの液体供給出口が底壁に形成される。」
「【0016】
本発明によれば、底壁は1つの液体出口または複数の液体出口を備える。具体的には、出口の総表面積は、該出口を通じた液体の重力による排出流量が希釈剤注入口を通じた希釈剤によるチャンバの注入流量よりも少なくなるように決定される。よりも少ないとは、排出流量が注入流量に及ばないか、又は注入流量に等しいという意味である。無論、チャンバのよりゆっくりとした排出は、チャンバ内の流体の力学を考慮に入れる。例えば、チャンバの側面に沿う渦動作が維持されると、流体は排出されにくい。この形態の結果として、液体の層はチャンバ内で循環動作したままとなり、当該液体の層には少なくとも希釈剤がチャンバ内に入る限り、チャンバに流入する希釈剤のジェットが衝突する。好ましくは、1つの出口または複数の出口はその大部分が底壁の中央またはその直ぐ近くに位置される。・・・」
「【0020】
希釈剤注入口の他の特徴は、液体の表面へ向けて希釈剤のジェットを適切に方向付けるためのチャンバ内での注入口の方向に関連するものである。液体の表面に対して適切に衝突させるための希釈剤注入口の形態に関しては、希釈剤注入口は、チャンバの長手方向中心軸にからずれた方向に沿ってチャンバ内に向けられることが好ましい。より具体的には、希釈剤注入口は、比率“d/r”が0.2~0.9となるような方向に向けられる。ここで、“r”はチャンバの半径であり、“d”は、注入口の配向の方向からチャンバの中心軸まで垂直に測定された距離である。更に、希釈剤注入口は、チャンバの横平面に対して特定の角度で下方へと傾けられる。この角度は5~30度であることが好ましい。したがって、チャンバ内で循環する液体の表面へ向けて希釈剤注入口を適切に方向付けることができる。チャンバの横断平面は、通常、重力の作用によってチャンバから液体が良好に排出されるために好ましくは垂直に配置されるチャンバの長手方向に対して垂直である。」
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「温水である希釈剤のジェットを使用して可溶性原料または液体濃縮物を溶解させてそれを発泡液の状態へと泡立たせる装置において、横断方向の底壁と長手方向の上向壁とを有する大気に開放されたチャンバと、少なくとも1つの希釈剤注入口と、少なくとも1つの液体出口とを備え、希釈剤注入口は、上向壁を貫通して設けられ、また、希釈剤注入口は、希釈剤のジェットがチャンバ内に向くように寸法付けられるとともに方向付けられ、少なくとも1つの液体供給出口が底壁に形成された泡立たせる装置。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
引用発明における「可溶性原料または液体濃縮物」は、その機能、用語の意味等から本願発明1における「混合物用原料」に相当する。
引用発明における「温水である希釈剤」は、本願発明1における「加熱された液体」に相当する。
引用発明の「横断方向の底壁と長手方向の上向壁とを有する大気に開放されたチャンバ」は、本願発明1における「混合物用原料が投入される混合容器」に相当する。
引用発明の「底壁に形成され」た「少なくとも1つの液体出口」は、本願発明1における「混合容器の内部にて混合された上記液体混合物を排出すべく、該混合容器の底面に形成された排出口」に相当する。
引用発明の「上向壁を貫通して設けられ」た「希釈剤注入口」は、本願発明1における「混合容器の内部における下部に吐出する加熱液体流入口」と「混合容器の内部に」「加熱された液体」を吐出する「加熱液体流入口」に限りで一致する。
引用発明の「希釈剤のジェットを使用して可溶性原料または液体濃縮物を溶解させてそれを発泡液の状態へと泡立たせる装置泡立たせる装置」は、本願発明1における「上記混合容器に投入された上記混合物用原料と上記加熱された液体とを混合」する「混合物生成装置」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「混合物用原料と加熱された液体とを混合部にて混合して液体混合物を生成する混合物生成装置において、
上記混合部は、
上記混合物用原料が投入される混合容器と、
上記混合容器の内部にて混合された上記液体混合物を排出すべく、該混合容器の底面に形成された排出口と、
上記混合容器に投入された上記混合物用原料と上記加熱された液体とを混合すべく、該混合物を該混合容器の内部に加熱された液体を吐出する加熱液体流入口とを備えた混合物生成装置。」
(相違点)
本願発明1は「混合容器に投入された上記混合物用原料と上記加熱された液体とを混合すべく、該加熱された液体を該混合容器の内部における下部に吐出する加熱液体流入口とを備え、上記排出口は、上記混合容器の側面壁近傍に位置すると共に、上記加熱液体流入口と上記排出口とが近接して配置され、かつ上記加熱された液体の吐出方向が上記排出口に向かう」のに対して引用発明はそのような構成を備えていない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点について検討すると、引用文献1には、「好ましくは、1つの出口または複数の出口はその大部分が底壁の中央またはその直ぐ近くに位置される。」(【0016】)、「希釈剤注入口は、チャンバの長手方向中心軸にからずれた方向に沿ってチャンバ内に向けられることが好ましい。」(【0020】)との記載があるところ、引用発明において、相違点に係る構成とすることの動機付けはない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2.本願発明2ないし6について
本願発明2ないし6も、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-6は「上記排出口は、上記混合容器の側面壁近傍に位置すると共に、上記加熱液体流入口と上記排出口とが近接して配置され、かつ上記加熱された液体の吐出方向が上記排出口に向かう」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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