特許拒絶査定不服審判
2018-002991
ターボ機械部品を補修する方法
- 審判番号
- 2018-002991
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-530365外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年03月02日
- 審決日
- 2019年04月15日
- 公報発行日
- 2019年05月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ヌオーヴォ ピニォーネ ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
- 【請求人代理人】荒川 聡志
- 【請求人代理人】小倉 博
- 【請求人代理人】田中 拓人
- 分類
- P18 .121-WY (F01D) / P18 .537-WY (F01D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-530365「ターボ機械部品を補修する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年3月13日国際公開、WO2014/037338、平成27年10月8日国内公表、特表2015-529769、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)9月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年9月7日(IT)イタリア共和国)を国際出願日とする出願であって、平成29年6月26日付け(発送日:平成29年7月4日)で拒絶の理由が通知され、その指定期間内の平成29年9月28日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成29年10月30日付け(発送日:平成29年11月7日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成30年3月2日に拒絶査定不服審判が請求され、その後、平成30年10月5日付け(発送日:平成30年10月9日)で当審より拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、その指定期間内の平成30年12月25日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成29年10月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願の請求項1ないし4に係る発明は、以下の引用文献AないしDに基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特開2001-269784号公報
B.特開2009-113048号公報(周知技術を示す文献)
C.特開平10-296479号公報(周知技術を示す文献)
D.特開2002-89358号公報
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
1(明確性)本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
2(進歩性)本願の請求項1ないし4に係る発明は、その優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・引用文献1ないし5
引用文献等一覧
1.特開昭61-91371号公報 (当審において新たに引用した文献)
2.特開2009-113048号公報 (原査定の引用文献B)
3.特開平10-296479号公報 (原査定の引用文献C)
4.特開2002-89358号公報 (原査定の引用文献D)
5.特開2001-269784号公報 (原査定の引用文献A)
第4 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、平成30年12月25日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】
ターボ機械部品(C)を補修する方法(100)であって、
レーザ光源(2)と、粉末供給機(3)と、空気源(4)とを含む、レーザクラッド装置(1)を設定するステップ(110)であって、前記レーザクラッド装置(1)が、前記レーザ光源(2)、前記粉末供給機(3)、及び前記空気源(4)のそれぞれによって発生したレーザ光(2a)、粉末ジェット(3a)、及び空気ジェット(4a)が、前記ターボ機械部品(C)の狭い凹部内の、補修すべき領域に集中するように構成されている、ステップ(110)と、
狭い凹部内の、レーザクラッド法によって補修すべき領域を含み、第1の端点(A)と第2の端点(B)との間に延びる経路(P)を規定するステップ(120)と、
前記経路(P)を、前記第1の端点(A)から前記第2の端点(B)まで、前記補修すべき領域を補修するための前記レーザ光(2a)及び前記粉末ジェット(3a)によって覆うために、前記レーザクラッド装置(1)及び前記ターボ機械部品(C)の一方を、他方に対して相対的に第1の方向に移動させるステップ(130)と、
前記経路(P)を、前記第2の端点(B)から前記第1の端点(A)まで、前記凹部から余分な粉末を加熱した空気で吹き飛ばすための空気ジェット(4a)によって覆うために、前記レーザクラッド装置(1)及び前記ターボ機械部品(C)の一方を、他方に対して相対的に、前記第1の方向とは逆の第2の方向に移動させるステップ(140)と、
を含み、
前記ターボ機械部品(C)が、静翼を備えるステータケースであり、
前記狭い凹部が、隣り合う静翼間の凹部領域であり、
前記レーザ光源(2)、前記粉末供給機(3)、および空気源(4)を備えるロボットアーム(1a)を、円形の前記経路(P)に沿って移動させることによって、前記レーザクラッド装置(1)及び前記ターボ機械部品(C)の一方を、他方に対して相対的に移動させる、
方法。
【請求項2】
前記第1の方向に移動させるステップ(130)と、前記第2の方向に移動させるステップ(140)とが、1回、又は複数回繰り返される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記経路(P)が、角度移動する経路である、請求項1又は2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記角度移動する経路の前記第1の端点(A)から前記第2の端点(B)までの角度が180°である、請求項3に記載の方法(100)。」
第5 特許法第29条第2項(進歩性)についての判断
1 引用文献、引用発明等
(1)引用文献1
平成30年10月5日付けの当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献1(特開昭61-91371号公報)には、「物品の金属部分を修理するための方法および装置」に関して、図面(特に第1図ないし第3図及び第5図を参照。)とともに以下の事項が記載されている(なお、下線部は当審が付した。以下同様。)。
ア「本発明を適用し得るガスタービンエンジン部品の一例としては、ドラムまたはスプール表面から半径方向に沿って内向きに配置された複数の円板形部材を含むような圧縮機ロータが挙げられる。かかる圧縮機ロータの実例は、本発明の場合と同じ譲受人に譲渡された1973年10月16日付けの米国特許第3765795号明細書中に記載されている。かかるスプールの一部を第1図の部分断面略図中に示すが、これはたとえば隣接部材へのボルト締めによって接合される大型圧縮機ロータの4段セグメントを成すものである。
第1図を参照しながら説明すれば、かかるドラム又はスプール10は中央開口を有する4個の円板部分から成り、かつエンジン軸12の回りに回転しうるように配置されている。スプール10はボルト手段16によって隣接する回転部材14に接合されているが、そのボルト部材16は回転部材14を隣接するスプール18に連結するためにも役立っている。スプール10および回転部材14は、軸流圧縮機分野において公知のごとくに静翼22と協働する動翼部材20を支持している。
本発明に関連して述べれば、(第2図に拡大して示されるような)スプール10のリップ24は動作に際して回転部材14の隣接部分と協働する。かかるリップ24は、たとえば摩耗、浸食、熱疲労などに原因する動作損傷を受けることがある。リップ24を含めたスプール10の幅部を拡大して示す第2図には、摩耗によってリップ24から除去された部分23が点線で示されている。かかる部分においては円滑な空気の流れを維持しかつ漏れを最小限にすることが所望されるから、上記の様な損傷がもたらす過大な隙間は部品の性能に影響を及ぼすことがある。部品の構造が複雑なことからわかる通り、かかる備品を交換するよりも修理した方が遙かに有益である。しかしながら問題の部分の断面が比較的薄いため、通常の修理方法はかかる部品を構成する金属にとって不都合かつ有害であることが判明している。」(3ページ左下欄11行ないし4ページ左上欄8行)
イ「詳しく述べれば、1回目のパスはレーザビームスポットの中心軸が第3図の試験体の縁端26に沿って移動するようにして行い、また2回目のパスはその中心軸が縁端26から0.065インチだけ離れた破線28に沿って移動するようにして行った。」(4ページ右上欄18行ないし左下欄3行)
ウ「本発明の装置、そしてまた本発明の評価に際して使用された装置を第5図の部分断面略図中に示す。かかる装置は密閉形の粉末容器40を含んでいて、それは粉末の含水量を低いレベルに維持するためコイル42によって加熱されている。また、ガス入口44を通して(矢印46で示されるごとくに)好ましくは乾燥した不活性ガス(例えばアルゴン)を導入することにより、容器40内の粉末48が加圧下に維持されると共に粉末の輸送が促進される。容器40に付随して、商業的に入手可能なタイプの容積計量式機械的粉末供給手段たとえば粉末供給ホイール50が設けられている。たとえば、実施の一態様に基づく本発明の装置においては変形されたメトコ(Metco)の粉末供給用L形ホイールが使用された。
ホイール50の下流側においては、導管54中を移動する粉末粒子が相互にあるいは導管54の内壁に付着するのを防止するため、振動器(たとえば空気圧式の振動機)52が導管54に取付けられている。導管54の末端には水冷式の粉末送給ノズル56が設けられていて、それと加圧不活性ガスとの協働により、粉末は一定した流れを成しながら物品または加工表面に向けられる。レーザビームからの反射を受けると、ノズル56を通過する粉末が目詰まりを起こす可能性があることが判明している。それ故にかかるノズルは、少なくとも、使用するレーザの波長に対して高度の反射性を示す材料(たとえば銅やアルミニウム)から成る先端部分を含むことが好ましく、またかかる問題を解消すると共に一定した粉末の流れを形成する目的で(たとえば水により)液冷される。このような一定した粉末の流れは、低水分状態に維持されながら不活性ガスの正圧下で容積計量式の機械的粉末供給手段および粉末振動機によって供給される粉末の使用、並びにレーザビームスポット内の物品表面に向けて粉末を送給する液冷式ノズルの仕様の結果として得られるものである。
本発明の装置と組合わせて、中心軸62を有するレーザビーム60を放射するようなレーザ58が使用される。レーザビーム60は物品または加工物表面66の下方に焦点面64を有するから、表面66においては0.005~0.2インチ好ましくは0.05~0.15インチの範囲内の大きさを持ったレーザビームスポット68が形成される。前述の通り、レーザビームは104~106W/cm2の範囲内の出力密度をもって照射されると共に、レーザビームスポットと粉末およびその直下の物品構成部分との相互作用時間は0.005~2秒の範囲内に維持されるように制御される。かかる制御は、矢印70で示されるような横方向の相対運動によって達成される。そのためには、たとえば物品を載せたテーブルを所望の相互作用時間が得られるような速度で図示の方向に移動させればよい。」(6ページ左上欄10行ないし右下欄12行)
エ 「また、レーザビームスポットと物品およびその上に配置された粉末との間に横方向の相対運動が付与されることにより、かかる溶融相互作用域のの漸進的な移動、冷却および再凝固が起こることになる。その結果として、第5図に示されるような溶着した補修層72が得られるのである。本発明の実施によって得られるこのような補修層は、第2図中に23として点線で示されたような部分を成すものである。」(7ページ左上欄4行ないし12行)
以上から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ガスタービンエンジン部品を補修する方法であって、
レーザ58と、粉末送給ノズル56とを含む、装置を設定し、前記装置が、前記レーザ58、及び前記粉末送給ノズル56のそれぞれによって発生したレーザビーム60、及び粉末が、前記ガスタービンエンジン部品の、スプール10のリップ24に集中するように構成されており、
前記リップ24を補修するための前記レーザビーム60及び前記粉末によって覆う制御を、相対運動によって達成するために、前記ガスタービンエンジン部品を移動させ、
前記ガスタービンエンジン部品が、圧縮機ロータのスプール10である方法。」
(2)引用文献2
当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献2(特開2009-113048号公報)の段落【0045】、【0046】及び【0051】ないし【0053】並びに【図1】及び【図2】の記載からみて、当該引用文献2には、「溶融池が形成された後、エア供給器からエアを供給し、バルブ孔に金属粉末PWが進入していた場合、この金属粉末PWをエアに同伴して除去すること。」が記載されていると認められる。
(3)引用文献3
当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献3(特開平10-296479)の段落【0017】ないし【0021】並びに【図1】及び【図3】ないし【図5】の記載からみて、当該引用文献3には、「エアブローノズル15にエアを供給し、こぼれた金属粉末を吹き飛ばす清掃を行うこと。」が記載されていると認められる。
(4)引用文献4
当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献4(特開2002-89358号公報)の段落【0033】の記載からみて、当該引用文献4には、「付着したクラッド用金属を除去する清掃手段8による清掃作業を、スライドテーブル4をレーザクラッド加工時と逆向きに移動させながら行うこと。」が記載されていると認められる。
(5)引用文献5
当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献5(特開2001-269784号公報)の段落【0021】ないし【0023】の記載からみて、当該引用文献5には、「レーザビームを照射するトーチ14、15及び粉末供給ノズル16をロボットアーム17により任意の方向に移動すること。」が記載されていると認められる。
2 対比・判断
(1)本願発明1
本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「ガスタービンエンジン部品」は、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「ターボ機械部品(C)」に相当し、以下同様に、「レーザ58」は「レーザ光源(2)」に、「粉末送給ノズル56」は「粉末供給機(3)」に、「レーザビーム60」は「レーザ光(2a)」に、「粉末」は「粉末ジェット(3a)」にそれぞれ相当する。
また、後者の「リップ24」は、動作損傷がもたらす過大な隙間を修理した方が有益な領域であることから、後者の「補修すべき領域」に相当する。 そして、後者の「装置」は前者の「レーザクラッド装置(1)」に相当するから、後者が「レーザークラッド法」に相当する方法で補修を行うものといえる。
そうすると、後者の「前記リップ24を補修するための前記レーザビーム60及び前記粉末によって覆う制御を、相対運動によって達成するために、前記ガスタービンエンジン部品を移動させ」は、前者の「補修すべき領域を補修するための前記レーザ光(2a)及び前記粉末ジェット(3a)によって覆うために、前記レーザクラッド装置(1)及び前記ターボ機械部品(C)の一方を、他方に対して相対的に第1の方向に移動させる」に相当する。
したがって、両者は、
「ターボ機械部品を補修する方法であって、
レーザ光源と、粉末供給機とを含む、レーザクラッド装置を設定するステップであって、前記レーザクラッド装置が、前記レーザ光源、及び前記粉末供給機のそれぞれによって発生したレーザ光及び粉末ジェットが、前記ターボ機械部品の、補修すべき領域に集中するように構成されている、ステップと、
レーザクラッド法によって補修すべき領域を含むステップと、
前記補修すべき領域を補修するための前記レーザ光及び前記粉末ジェットによって覆うために、前記レーザクラッド装置及び前記ターボ機械部品の一方を、他方に対して相対的に第1の方向に移動させるステップと、
を含む方法。」である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点]
[相違点1]
前者は、「第1の端点と第2の端点との間に延びる経路を規定」し、「経路を、第1の端点から第2の端点まで」補修すべき領域を補修するためのレーザ光及び粉末ジェットによって覆うものであるのに対し、後者はかかる構成を備えるか不明な点。
[相違点2]
補修すべき領域について、前者は、「ターボ機械部品が静翼を備えるステータケース」であり、「隣り合う静翼間の凹部領域」である「狭い凹部内」の補修すべき領域であるのに対し、後者は「リップ24」である点。
[相違点3]
前者は、「空気源」を含み、該空気源によって発生した「空気ジェット」を補修すべき領域に集中するよう構成され、「経路を、第2の端点から第1の端点まで、前記凹部から余分な粉末を加熱した空気で吹き飛ばすための空気ジェットによって覆うために、レーザクラッド装置及び前記ターボ機械部品の一方を、他方に対して相対的に、第1の方向とは逆の第2の方向に移動させるステップ」を含み、さらに「前記レーザ光源、前記粉末供給機、および空気源を備えるロボットアームを、円形の経路に沿って移動させることによって、前記レーザクラッド装置及び前記ターボ機械部品の一方を、他方に対して相対的に移動」させるのに対し、後者はかかる構成を備えていない点。
事案に鑑み、先ず相違点3について検討する。
引用文献2の記載事項は、「溶融池が形成された後、エア供給器からエアを供給し、バルブ孔に金属粉末PWが進入していた場合、この金属粉末PWをエアに同伴して除去すること。」である。
引用文献3の記載事項は、「エアブローノズル15にエアを供給し、こぼれた金属粉末を吹き飛ばす清掃を行うこと。」である。
引用文献4の記載事項は、「付着したクラッド用金属を除去する清掃手段8による清掃作業を、スライドテーブル4をレーザクラッド加工時と逆向きに移動させながら行うこと。」である。
かかる引用文献2ないし4の記載事項には、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項における「余分な粉末を加熱した空気で吹き飛ばすための空気ジェット」について、記載も示唆もない。
そうすると、このような本願発明1の発明特定事項について記載も示唆もない引用文献2ないし4の記載事項を引用発明に適用しても、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項にはならない。
したがって、引用発明及び引用文献2ないし4の記載事項を総合しても、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項を容易になし得たということはできない。
また、引用文献5の記載事項においても、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項は記載も示唆もされていない。
したがって、相違点1及び2の検討をするまでもなく、本願発明1は、当業者が引用発明及び引用文献2ないし引用文献5の記載事項に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。
(2)本願発明2ないし本願発明4について
本願の特許請求の範囲における請求項2ないし4は、請求項1の記載を直接又は間接的に、かつ、請求項1の記載を他の記載に置き換えることなく引用して記載されたものであるから、本願発明2ないし本願発明4は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願発明2ないし本願発明4は、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び引用文献2ないし引用文献5の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 特許法第36条第6項第2号(明確性)の判断
平成30年12月25日の手続補正により、請求項1の「ステップ(130)」について、「第1の方向に移動させるステップ(130)」と補正され、「ステップ(140)」について「前記第1の方向とは逆の第2の方向に移動させるステップ(140)」と補正された結果、ステップ(130)とステップ(140)における移動の方向が明確となった。同様に、請求項1の「ロボットアーム(1a)」、「レーザクラッド装置(1)」及び「ターボ機械部品(C)」について「ロボットアーム(1a)を、円形の前記経路(P)に沿って移動させることによって、前記レーザクラッド装置(1)及び前記ターボ機械部品(C)の一方を、他方に対して相対的に移動させる」と補正された結果、該「ロボットアーム(1a)」、「レーザクラッド装置(1)」及び「ターボ機械部品(C)」の移動に係る事項が明確になった。
また、請求項4の「前記第1の端点(A)から前記第2の端点(B)」について「前記第1の端点(A)から前記第2の端点(B)までの角度が180°である」と補正された結果、「第1の端点(A)」と「第2の端点(B)」の角度が明確になった。
したがって、この拒絶の理由は解消した。
第7 原査定についての判断
平成30年12月25日の補正により、補正後の請求項1ないし4は、第5 2(1)で上述した本願発明1の相違点3に係る発明特定事項を有するものとなった。当該第5 2(1)で上述した本願発明1の相違点3に係る発明特定事項は、原査定における引用文献A(当審拒絶理由における引用文献5)、引用文献B(当審拒絶理由における引用文献2)、引用文献C(当審拒絶理由における引用文献3)及び引用文献D(当審拒絶理由における引用文献4)には記載されておらず、本願の優先日前における周知技術でもないので、本願発明1ないし4は、当業者が原査定における引用文献AないしDに基いて容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、当審が通知した理由及び原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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