意匠拒絶査定不服審判
2018-001387
携帯用ライト
- 審判番号
- 2018-001387
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2016-026608
- 登録番号
- 意匠登録第1617682号(D1617682)
- 請求日
- 2018年02月01日
- 審決日
- 2018年09月04日
- 公報発行日
- 2018年11月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイション
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】大貫 進介
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 裕和
- 審判官 渡邉 久美
- 審判官 竹下 寛
- 分類
- D18 .113-WY (D3-5)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2016- 26608「携帯用ライト」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
平成28年12月 8日 意匠登録出願
平成28年12月 9日付け 優先権証明書提出
(2016年 6月 8日 中華人民共和国へ意匠登録出願
(出願番号:201630230002.X))
平成29年 6月29日付け 拒絶理由通知
平成29年 9月19日 意見書提出
平成29年11月28日付け 拒絶査定
平成30年 2月 1日 審判請求
第2 本願意匠
本願は、平成28年12月 8日(パリ条約による優先権主張 2016年6月8日(CN)中華人民共和国)の出願であって、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「携帯用ライト」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形態」という。)を願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものであって、(別紙第1参照)「各図に表された縦、横、斜めの略平行状細線及び曲線状細線は、いずれも立体表面の形状を特定するためのものである。」としたものである。
第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当する(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)としたものであって、拒絶の理由に引用した意匠は、
「中華人民共和国意匠公報記載(中華人民共和国国家知識産権局発行)
公告日:2016年11月23日
登録第号:CN303938893S
(意匠に係る物品、携帯用ライト)の意匠」(以下「引用意匠」という。)であって、その形態は、同公報の図面に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)
また、拒絶の理由において、「出願当初記載の第一国を基礎にした意匠と(優先権主張の意匠)、この意匠登録出願の意匠(本願意匠)とを比較した場合、例えば、優先権主張の意匠の図において、斜視図は全体を実線のみの表現とし、稜線により凹凸の態様が表現され、細部にまで形状を正確に特定できるのに対し、本願意匠は、全体に点線、一点鎖線、細線、曲線等様々な線が施され、これらが混在し、全体の形状は把握できるものの、具体的な凹凸面の態様を特定できるものではなく、両者は実質的に同一とは認められません。」とされたものである。
第4 当審の判断
引用意匠は、本願出願前の2016年11月23日に中華人民共和国国家知識産権局発行した「中華人民共和国意匠公報2016年11月23日」に掲載された「灯」(登録第号:CN303938893S)であるが、この意匠は、本願がこれを第一国出願としてパリ条約による優先権を主張するところの2016年6月9日に中華人民共和国に出願された出願番号201630230002.Xの意匠であり、その後登録され、2016年11月23日に意匠登録公報に掲載されるにいたったものである。
本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するか否かは、本願意匠について、パリ条約による優先権の主張の効果が認められるか否かによるから、まず、本願意匠が本願に添付された優先権主張証明書に表された第一国である中華人民共和国に出願の意匠(以下「第一国出願意匠(引用意匠)」という(別紙第2参照)。)と実質的に同一の意匠であるか否か、本願について優先権の主張の効果が認められるか否かについて検討し、その後、本願意匠が、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するか否かについて判断することとする。
1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「携帯用ライト」であって、携帯して使用できる照明器具に係るものである。
(2)本願意匠の形態
基本的構成態様として、全体形状は、正面を前方として、後方の下端を大きく丸みを持って形成した細長い略直方体状で、後方側上方にクリップ片部、前方(正面)に照光部を備えて成るものであり、
具体的態様として、全体の縦横奥行きの長さ比率は約4.5:1:1であって、クリップ片部は、先端が逆鉤状となった本体部よりやや細幅の板状で、略直方体の本体胴部の後方の長手方向の上から約3分の1にわたって設けられ、本体部との間隙が、本体胴部側が1段落ち込んで形成されている。クリップ片部の基部からはごく薄い帯状凸面状部が上端面を経て正面側上方約9分の1まで形成されており、照光部は、上方約9分の1を除いた正面に、縦方向に細長い略隅切り長方形状の凹面部を設け、その内方に小正方形突起状の照光部をほぼ等間隔に縦方向に1列に5つ配して成り、クリップ片部の近傍の本体部左右側面上方には、倒台形状の凹面部を設け、左側面の凹面部に円形や長方形の各種ボタン部などを縦方向に並べて設け、その凹面部を除く左右側面は略中央から後方に向けて、平面視でテーパー状に形成されている。
なお、各図に表された縦、横、斜めの略平行状細線及び曲線状細線は、立体表面の形状を特定したものである。
2 第一国出願意匠(引用意匠)
(1)意匠に係る物品
第一国出願意匠(引用意匠)の意匠に係る物品は、「灯」とされ、照明器具に係る物品と認められる。
(2)形態
第一国出願意匠(引用意匠)の形態は、主視図などの基本6面図及び立体図1ないし5に表されたとおりのものであって、以下、対比のため図の表記及び向きを下記のとおり、本願意匠と合わせることとする。
立体図1ないし5を、斜視図1ないし5と、主視図を正面図として、他の図もそれに準じて当てはめる。
基本的構成態様として、全体形状は、正面を前方として、後方の下端を大きく丸みを持って形成した細長い略直方体状で、後方側上方にクリップ片部、前方(正面)に照光部を備えて成るものであり、
具体的態様として、全体の縦横奥行きの長さ比率は約4.5:1:1であって、クリップ片部は、先端が逆鉤状となった本体部よりやや細幅の板状で、略直方体の本体胴部の後方の長手方向の上から約3分の1にわたって設けられ、本体部との間隙が、本体胴部側が1段落ち込んで形成されている。クリップ片部の基部からはごく薄い帯状凸面状部が上端面を経て正面側上方約9分の1まで形成されており、照光部は、上方約9分の1を除いた正面に、縦方向に細長い略隅切り長方形状の凹面部を設け、その内方に小正方形突起状の照光部をほぼ等間隔に縦方向に1列に5つ配して成り、クリップ片部の近傍の本体部左右側面上方には、倒台形状の凹面部を設け、左側面の凹面部に円形や長方形の各種ボタン部などを縦方向に並べて設け、その凹面部を除く左右側面は略中央から後方に向けて、平面視でテーパー状に形成されている。
なお、各図には、平坦面と曲面の間又は、曲率の異なる2つの曲面の間に、面の変化の態様を示す細線が表されていると認められる。
3 本願意匠と第一国出願意匠(引用意匠)の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「携帯用ライト」であって、携帯して使用できる照明器具に係るものであり、第一国出願意匠(引用意匠)の意匠に係る物品は、意匠に係る物品の記載が「灯」であるから照明器具であって、「携帯用ライト」を含む総括名称としたものと認められる。
(2)本願意匠と第一国出願意匠(引用意匠)の形態
本願意匠と第一国出願意匠(引用意匠)(以下「両意匠」という。)は、以下の点を除き、一致する。
本願意匠では、形状線の他に立体表面の形状を特定するために、縦、横、斜めの略平行状細線及び曲線状細線が表されているのに対し、第一国出願意匠(引用意匠)では、総合して判断すると、形状線の他に、平坦面と曲面の間又は、曲率の異なる2つの曲面の間に施された、面の変化の態様を示す細線が表されていると認められる。
4 第一国出願意匠(引用意匠)と本願意匠が優先権の認否において同一と認められるかについて
パリ条約による優先権を主張するためには、最初の出願の意匠と後の出願の意匠が同一でなければならないが、各国の法制度はそれぞれに異なり、各国の出願それぞれに意匠の表現形式があるから、優先権主張の認否においては、最初の出願の意匠と後の出願の意匠において、その表現方式が異なっていても、実質的に同一であればよい。そして、優先権証明書に記載の最初の出願の意匠中にわが国への意匠登録出願の意匠が開示されているか否かは、その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて、優先権証明書全体の記載内容を総合的に判断して行い、また、優先権証明書に記載された最初の出願の意匠の認定は、その最初の国の法令等を考慮して行うものである。
上記を踏まえて、本願意匠と第一国出願意匠(引用意匠)が実質的に同一の意匠であるか否かを検討する。
両意匠の意匠に係る物品は、それぞれ、本願意匠の意匠に係る物品は、「携帯用ライト」であって、携帯して使用できる照明器具に係るものであり、引用意匠の意匠に係る物品は、意匠に係る物品の記載が「灯」であるから照明器具であって、「携帯用ライト」を含む総括名称としたものと認められ、この相違は、各国の法令等の相違によるものと考えられるから、両意匠の意匠に係る物品は、優先権の認否において同一と認められる。
そして、上記3の(2)のとおり、本願意匠では、形状線の他に、立体表面の形状を特定するために縦、横、斜めの略平行状細線及び曲線状細線が表されているのに対し、第一国出願意匠(引用意匠)では、総合して判断すると、形状線の他に、平坦面と曲面の間又は、曲率の異なる2つの曲面の間に施された、面の変化の態様を示す細線が表されていると認められる点で同一とはいえないものであるが、それは、出願の意匠の表現方法が異なるだけであって、第一国出願意匠(引用意匠)の各図を総合的に判断すると本願意匠と同一の意匠を導き出すことができるものと認められるから、両意匠の形態は、優先権の認否において同一と認められる。
よって、優先権主張証明書の中に本願意匠の意匠に係る物品及び形態が実質的に同一の意匠が示されていると認められるから、パリ条約による優先権主張の認否において、本願意匠は「優先権の基礎となる第一国への最初の出願の意匠と同一である」と認められ、パリ条約に定められた要件を満たし、パリ条約による優先権の主張の効果を受けられるものである。
5 本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するか否かについて
上述のとおり、本願について、出願人が申し立てた優先権の主張が認められるから、第一国の出願日を本願の出願の日とみなすことができる。
そして、引用意匠は、本願の出願の日とみなすことができる2016年(平成28年)6月8日より後の2016年11月23日に中華人民共和国意匠公報に掲載された意匠であるから、引用意匠は、先行の公知意匠、すなわち、本願の出願前に公知になった意匠とは認められないので、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しない。
第5 むすび
以上のとおり、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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