審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
商標異議申立

2017-900115

カパパ、カッパッパ

審判番号
2017-900115
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2016-050425
登録番号
商標登録第5912402号(T5912402)
請求日
2017年04月07日
審決日
2017年08月08日
公報発行日
2017年09月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】和田 美香
  • 【異議申立人】株式会社 フェニックス
  • 【異議申立人代理人】飯島 紳行
  • 【異議申立人代理人】藤森 裕司
  • 【異議申立人代理人】伊藤 大地
審判長/審判官
  • 審判長 早川 文宏
  • 審判官 田村 正明
  • 審判官 阿曾 裕樹
分類
T1651.261-Y (W1825) / T1651.262-Y (W1825) / T1651.263-Y (W1825) / T1651.271-Y (W1825)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の3第4項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

登録第5912402号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。

結論

【結 論】 登録第5912402号商標の商標登録を維持する。

理由

【理 由】 第1 本件商標 本件登録第5912402号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1に示すとおりの構成よりなり,平成28年4月20日に登録出願,同年12月7日に登録査定され,第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,蹄鉄,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,愛玩動物用被服類」及び第25類「被服,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,和服,下着,水泳着,水泳帽,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛布製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,靴類,げた,草履類,運動用特殊衣類,運動用特殊靴」を指定商品として,同29年1月13日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は,以下の6件の登録商標(以下,これらの商標をまとめて「引用商標」という。)であり,いずれも現に有効に存続しているものである。 1 登録第5283918号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成21年1月27日 設定登録日:平成21年11月27日 指定商品 :第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 2 登録第5166254号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成19年4月11日 設定登録日:平成20年9月12日 指定役務 :第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務 3 登録第4858272号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:平成16年4月30日 設定登録日:平成17年4月22日 指定商品 :第9類,第20類,第21類,第29類,第30類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 4 登録第4710162号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:「Kappa」(標準文字) 登録出願日:平成14年11月20日 設定登録日:平成15年9月12日 指定商品 :第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 5 登録第4027723号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の構成:別掲4のとおり 登録出願日:平成7年6月5日 設定登録日:平成9年7月11日 指定商品 :第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 6 登録第4001570号商標(以下「引用商標6」という。) 商標の構成:別掲4のとおり 登録出願日:平成7年6月5日 設定登録日:平成9年5月16日 指定商品 :第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は,「KAPAPA」の欧文字を籠文字風書体にて横書きした構成からなり,その構成文字に相応して「カパパ」又は「カッパッパ」の称呼が生じるが,特定の観念は生じない。 本件商標の商標権者は,その指定商品中「被服」に属する「合羽」に,本件商標を使用するところ,当該商品を「かっぱっぱ」の称呼にて広告宣伝を行っている(甲3~6)。 (2)引用商標について ア 引用商標の外観・称呼及び観念 引用商標1及び2は,「Kappa」の欧文字を籠文字風書体にて横書きした構成からなり,引用商標3は,「Kappa」の欧文字をゴシック体風書体にて横書きした構成からなり,引用商標4は,「Kappa」の欧文字を標準文字にて横書きした構成からなり,引用商標5及び6は,「Kappa」の欧文字をゴシック体風書体にて横書きした構成からなる。引用商標からは,それぞれの構成文字に相応して「カッパ」の称呼が生じるが,特定の観念が生じない。 イ 引用商標の周知著名性 「Kappa」の商標は,以下のような使用状況(使用期間,使用規模,広告宣伝の規模等)及び認知度の高さからすると,本件商標の登録出願時には,世界的なスポーツ用品のブランドとしての地位を確立していることは明らかであり,少なくとも,スポーツアパレル業界において,衣料品関連の商品を取引する取引者及び需要者が,引用商標に接する場合,これを申立人の業務に係る商品を表示するものと認識するほど,周知著名な商標となっている(甲19の1~43)。 そうすると,引用商標は,その構成文字から,本来特定の観念が生ずることはないが,使用による業務上の信用の蓄積によって,引用商標に接する需要者,取引者は,これから申立人の「Kappa」ブランドを連想又は想起するといえる。 (ア)「Kappa」の商標は,イタリア人デザイナーのビターレ氏によって作り出されたものであり(甲19の1),1956年,イタリアのMCT社(SACT社が前身)が,スポーツ用品の商標として採択し,その使用が開始されたものであり,本格的な展開が開始されたのは1970年代である(甲19の2~4)。 「Kappa」は,フットボールを中心としたサプライヤーとしての歴史が古く,これまで「ユベントスFC」(イタリア),「ACミラン」(イタリア),「ASローマ」(イタリア),「バルセロナ」(スペイン),「ボルシア・ドルトムント」(ドイツ)などの強豪サッカーチームと契約し,2002年のW杯では,イタリア代表チームに「Kappa」ブランドが付されたユニフォームが提供されており(甲19の2~4),「Kappa」ブランドが付された商品は,世界各国の相当数の人々の目に触れられており,認知度も相当程度高い。 (イ)1983年,申立人は,MCT社と「Kappa」について,技術提携及びブランドライセンス契約締結をし,1984年,「Kappa」ブランドの日本での展開が開始され,1985年,「Kappa」を付したサッカーウェアの販売が開始された(甲19の5)。1983年及び1984年当時の新聞報道においても,日本における「Kappa」ブランドの展開開始につき大々的な報道等がなされている(甲19の6~12)。そして,1994年には,申立人は,MCT社から「Kappa」の商標権の譲渡を受けている(甲19の5)。 (ウ)今日に至るまで,申立人は「Kappa」を付した商品を販売しており,直営店及び販売店の規模は全国的である(甲19の13)。また,申立人は「Kappa」の通信販売サイトを通じて,全国的に商品の販売をしている(甲19の14)。さらに,申立人は,今日に至るまで,「Kappa」ブランドに関するカタログを継続的に配布している(甲19の15)。 これら販売行為及び広告宣伝行為により,上記(ア)及び(イ)の各事実とあいまって,少なくともスポーツアパレル業界の取引者,需要者の相当数の者が,「Kappa」ブランドを付した商品を知るに至っているものといえる。 (エ)2006年に日本プロサッカーリーグの「北海道コンサドーレ札幌」と,2007年に同リーグの「東京ヴェルディ」及び「ジェフユナイテッド市原・千葉」とユニフォームサプライヤーとして契約したことに伴い(甲19の3・5),テレビ放送等により,「Kappa」ブランドが付された商品は,日本の相当数の人々の目に触れられており,認知度も相当程度高い。 加えて,各種雑誌及び新聞において,「Kappa」ブランドを付した商品を着用したスポーツ選手や著名人が多数掲載されており(甲19の16),日本の相当数の人に,「Kappa」ブランドが付された商品が認知されている。 (オ)申立人の「Kappa」に係る商品の1988年から2000年までのトレーニング・アスレチックウェア,汎用トレーニングウェア,陸上・ランニングウェア及びサッカーウェアの国内売上額(甲19の17~26)を合計すると,764億7250万円であり,スポーツアパレル業界における国内売上額としては非常に高いものであり,シェアについても,極めて多数のブランドが存在する同業界では決して低いものではない。 (カ)申立人の「Kappa」に係る商品(「カッパ」及び「カッパゴルフ」を含む。)の1999年から2015年までの国内売上額(甲19の27~42)を合計すると,706億2070万円であり,スポーツアパレル業界における国内売上額としては非常に高いものであり,シェアについても,極めて多数のブランドが存在する同業界では決して低いものではない。 (キ)過去10年間(2007年度から2016年度)の広告宣伝費用の合計額は,約17億1600万円である(甲19の43)。 (3)本件商標と引用商標の類否 ア 外観の類否 本件商標「KAPAPA」と引用商標「Kappa」の外観を比較すると,6文字と5文字という構成文字数に差異があり,「K」以外のアルファベットが大文字か小文字かに差異がある。 しかしながら,両商標は,いずれも「K」,「A(a)」,「P(p)」のアルファベットを構成要素として組み合わせており,構成文字も「K」,「A(a)」,「P(p)」,「P(p)」,「A(a)」の5文字を共通にし,その構成文字数も決して少ないものとはいえず,そのつづりすべてが看者により正確に記憶されるとは限らない上,「A」の一文字の有無は,比較的印象の薄い中間部において一文字多いか否かの微差にすぎない。 また,両商標には,「K」以外のアルファベットに大文字と小文字の差異があるものの,このような差異は,それぞれの文字のつづりを記憶し,想起する際は,捨象される程度のものである。 加えて,本件商標と引用商標1及び2の外観については,共に籠文字風書体で表されていることから,構成文字が大文字が小文字か,中間部における「A」の有無という差異があるとしても,外観の印象において極めて紛らわしい。 そうすると,両商標が共に特定の観念をもたない造語であることとあいまって,両商標を時と所を異にして離隔的に観察した場合,それぞれの商品に接する取引者及び需要者は,その構成文字において両商標を混同するおそれがあり,両商標はその外観において極めて紛らわしい商標というべきである。そして,比較的印象の薄らぐ位置における一文字の有無は,両商標の外観に及ぼす影響は決して大きいとはいえない。 イ 称呼の類否 本件商標の「カッパッパ」の称呼と,引用商標の「カッパ」の称呼を比較すると,両称呼は前半の「カッパ」の音を共通にし,明瞭に聴取される語頭の「カ」の音とそれに続く「ッパ」の音の組合せにより構成された「カッパ」の音は,強音として聴取される音であり印象に残るものである。他方で,両称呼は,語尾において,「ッパ」の音が繰り返されるか否かという差異があるが,本件商標の語尾の「ッパ」の音は,常に明瞭に聴取されるものとは限らない語尾に位置する上,その直前の音である「ッパ」の繰り返しの音であるため,直前音である「ッパ」の音と比して印象が薄れ,この音の有無が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいとはいえない。 そうすると,両称呼は,共通音である「カッパ」が聴者の記憶,印象に残りやすいのに対し,差異音が称呼全体に及ぼす影響は小さいことから,両称呼の全体の語感,語調が近似し,相紛らわしいことから,相当程度類似するということができる。また,両商標のつづりの差異に気付かない場合には,両商標は同一に称呼される場合も少なくない。 ウ 観念の類否 本件商標と引用商標は,いずれも親しまれた既成の観念を有する成語を表したものではなく,欧文字からなる特定の観念を生じさせない造語であるから,観念上区別できる事情はなく,少なくとも本件商標と引用商標の類似性を妨げるような観念上の差異はない。 エ 取引の実情 引用商標は,その著名性からすれば,衣料品関連の商品を取引する取引者及び需要者は,引用商標の「Kappa」の比較的印象の薄らぐ中間部において「A」の文字を一文字付け足したにすぎない「KAPAPA」の商標に接する場合,あたかもこれが申立人の業務に係る商品を表示するものとして誤認混同するおそれがある。 オ その他 本件商標が,引用商標を被服に使用された場合のイメージ写真を申立人が作成したところ(甲26),両商標は非常に紛らわしいことは一見して明白である。 カ 小括 以上よりすれば,本件商標と引用商標は,外観において共通性を有するもので,それぞれを一連に称呼した場合,全体の語感,語調が相当程度類似するから,全体として互いに相紛れるおそれのある商標であり,観念において区別できる事情もない。さらに,上記取引の実情を踏まえると,本件商標が衣料品関連の指定商品に使用される場合,引用商標との間で,商品の出所について誤認混同を生じるおそれがある。 それゆえ,本件商標と引用商標が,同一又は類似の商品に使用される場合,その外観,観念及び称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すると,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標である。 (4)指定商品の類否 本件の指定商品は,指定商品中,類18類「かばん金具,がま口口金,愛玩動物用被服類,原皮,原皮,なめし革,毛皮」を除いて,引用商標の指定商品及び指定役務と類似する。 (5)まとめ 本件商標は,その登録出願日前の出願に係る引用商標と類似する商標であって,引用商標の指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品について使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標と引用商標の類似性の程度については,上記のとおり,両商標は類似する商標であり,その類似性の程度は高い。 また,引用商標は造語であり,永年継続して使用された結果,少なくとも衣料品関連の商品を取引する取引者及び需要者は,引用商標に接する場合,これを申立人の業務に係る商品を表示するものとして認識するものであるから,引用商標の周知性及び独創性の程度はいずれも高い。 さらに,本件商標の指定商品は,衣料品関連の商品であるところ,申立人の業務に係る商品との間の性質,用途又は目的における関連性の程度は高く,取引者及び需要者も共通する。 そうすると,本件商標を,その指定商品に使用した場合は,これに接する取引者及び需要者に対し,申立人使用に係る引用商標を連想させて,当該商品が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信され,商品の出所につき誤認を生じさせるとともに,申立人の引用商標の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)やその希釈化(いわゆるダイリューション)を招くという結果を生じかねないものである。 そのため,本件商標は,申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれのある商標に当たるというのが相当であり,商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審の判断 1 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は,別掲1のとおり,「KAPAPA」の欧文字を,淡い緑色の縁取りをした袋文字で表してなるところ,この欧文字は特定の意味合いを有する成語を表したものでもないため,特定の観念は生じるものではないが,その構成文字に相応して「カパパ」の称呼が生じる。また,本件商標権者は,「KAPAPA」(kapapa)の名称よりなる商品「リュックポーチ」の紹介に際して,「かっぱっぱ」の語も併記してなることから(甲3~6),本件商標からはこのような取引実態に応じて「カッパッパ」の称呼をも生じるものである。 (2)引用商標について ア 引用商標1及び2について 引用商標1及び2は,別掲2のとおり,「Kappa」の欧文字を赤色の縁取りをした袋文字で表してなるところ,この欧文字は「ギリシアアルファベットの第10字:英字のk,Kに相当」(参照:「ジーニアス英和辞典 第5版」株式会社大修館書店発行)の意味を有するが,我が国で特段親しまれた語ではなく,その他,「合羽」(雨天の外出に用いる外とうの一種)又は「河童」(想像上の動物)などの日本語をローマ文字で表してなる可能性も想起させ得るものの,このような語の中から直ちに特定の語を表してなるものとも看取できないため,当該欧文字をして特定の観念は生じないというべきである。ただし,その構成文字に相応して「カッパ」の称呼は生じる。 イ 引用商標3について 引用商標3は,別掲3のとおり,「Kappa」の欧文字を黒塗りの太字で表してなるところ,この欧文字は,上記アのとおり,直ちに特定の成語を表してなるものとも看取できないため,当該欧文字をして特定の観念は生じないが,その構成文字に相応して「カッパ」の称呼は生じる。 ウ 引用商標4について 引用商標4は,「Kappa」の欧文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は上記アのとおり,直ちに特定の成語を表してなるものとも看取できないため,当該欧文字をして特定の観念は生じるものではないが,その構成文字に相応して「カッパ」の称呼は生じる。 エ 引用商標5及び6について 引用商標5及び6は,別掲4のとおり,「Kappa」の欧文字を黒塗りの太字で表してなるところ,この欧文字は,上記アのとおり,直ちに特定の成語を表してなるものとも看取できないため,当該欧文字をして特定の観念は生じないが,その構成文字に相応して「カッパ」の称呼は生じる。 (3)本件商標と引用商標の比較 ア 本件商標の「カパパ」の称呼と引用商標の「カッパ」の称呼を比較すると,両者は全3音中,語頭の「カ」と語尾の「パ」を共通音とし,中間音における「パ」と促音の差異があるところ,全体の音数が3音と比較的短く,差異音の「パ」は比較的強く発音される破裂音で,閉鎖音である「促音」との違いも容易に聴取できる。そのため,時と所を異にして両者全体を称呼するときであっても,互いに容易に聴別できるものであり,称呼において類似するものではない。 また,本件商標の「カッパッパ」の称呼と引用商標の「カッパ」の称呼を比較すると,前者が5音で,後者は3音と,音数において著しく相違し,音構成においても,語頭の「カッパ」の音を共通にするが,語尾2音の促音と「パ」の音の有無に差異があるところ,両者はいずれも比較的短い音構成であるため,語尾の2音の有無が称呼全体に与える影響は大きく,差異音の「パ」の音も破裂音であり,比較的強く発音されるもので,その有無は容易に聴取できる。そのため,時と所を異にして両者全体を称呼するときであっても,互いに容易に聴別できるものであり,称呼において類似するものではない。 イ 本件商標と引用商標の外観を比較すると,それぞれの「KAPAPA」と「Kappa」の構成文字のつづりは,5文字を共通にし,本件商標の4文字目の「A」の有無に差異があるところ,両者の構成文字は全体が6文字又は5文字と比較的少なく,中間部の「A」の文字の有無を見落とすことも容易には考え難く,上記のとおり,そのつづりの違いから,全体の称呼としても明らかに相違する語を表してなるものと容易に認識,理解できるのだから,当該文字の有無が,両商標の外観上の印象に与える影響は大きい。 そして,本件商標と引用商標の表示態様も,本件商標の書体は,淡い緑色の縁取りをした袋文字である一方で,引用商標1及び2の書体は赤色の縁取りをした袋文字で,引用商標3,5及び6は黒塗りの太字,引用商標4は書体には特段の特徴のない標準文字よりなるため,本件商標とそれぞれの引用商標の態様は異なるものである。また,本件商標はすべて大文字で表され,比較的角張った印象を与えるのに対し,引用商標は語頭以外の4文字はすべて小文字で表され,比較的曲線が目立つ構成をしているなど,文字種別から受ける外観上の印象にも差異がある。 このような構成文字及び表示態様の差異を考慮すると,本件商標と引用商標とに時と所を異にして接するときであっても,それぞれの外観上の印象は著しく相違し,容易に区別できるもので,外観において類似するものではない。 ウ 本件商標と引用商標は,それぞれ特定の観念を生じるものではないから,観念について比較することはできない。 エ 上記のアからウを踏まえると,本件商標と引用商標は,外観及び称呼において容易に区別することができるものであり,観念においては比較することはできないため,これらを総合的に考察しても,互いに相紛れるおそれのない別異の商標というべきである。 (4)小括 以上のとおり,本件商標は,引用商標とは,相紛れるおそれのない別異の商標であるため,類似する商標ではないから,商標法第4条第1項第11号に該当する商標とはいえない。 2 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について (1)申立人の業務に係る商標の周知性 ア 証拠及び申立人の主張によれば,以下の事実が認められる。 (ア)「Kappa」は,SACT社が1950年代に設立した,イタリアのアパレル及びスポーツ関連アイテムを展開するブランドであり,フットボールを中心としたサプライヤーとして,プロサッカーチームと契約し,ユニフォーム提供なども行っている(甲19の2)。 (イ)申立人は,MCT社(SACT社が前身)と,1983年に技術提携及びブランドライセンス契約を締結し,1984年から「Kappa」ブランドの日本での展開を開始した(甲19の3・5)。1983年の契約締結及び1984年の日本展開に際しては,「『KAPPA』日本に上陸」,「来年は『カッパ』の年」及び「“カッパ”成功の陰に3国連携」などの見出しの下で,新聞記事報道又は新聞広告がされた(甲19の6~12)。 (ウ)「Kappa」ブランドの商品は,全国に広がる直営店,販売店及び通信販売サイトを通じて販売されており(甲19の13・14),1988-89年版から2017年版に至るまで,継続してカタログが制作されている(甲19の15)。 (エ)「Kappa」ブランドは,日本のプロサッカーチームともユニフォームサプライヤー契約をしているため,その商品を着用したスポーツ選手や著名人が,そのブランドロゴとともに新聞や雑誌記事,広告などに掲載されている(甲19の16)。同ブランドの広告宣伝費(展示会,大会・イベント,選手・チーム,カタログ,店頭販促,媒体,マーケティング調査など)は,2007年度から2016年度にかけて年間1億2800万円から2億1000万円の間で,その10年間で約17億1600万円である(甲19の43)。 (オ)「(株)フェニックス社」の「カッパ」のトレーニング・アスレチックウェアの国内売上高(及び市場シェア)は,1988年の26億2000万円(1.6%)から,1995年には67億9250万円(3.2%)に達した(甲19の21~26)。同ブランドはその後も安定した売上げを上げて,2000年には,汎用トレーニングウェアに関して58億6600万円(7.5%),陸上・ランニングウェアに関して1億2400万円(1.7%),サッカーウェアに関して4億4500万円(1.5%)で,商品分野のブランド中,それぞれ6番目,8番目,11番目の売上高であった(甲19の17~20)。 (カ)「カッパ」ブランドのスポーツアパレル業界における国内販売額(業界全体の構成比)は,1999年に78億円(1.9%)あり,その後徐々に減少するが,最近5年間では「カッパ」ブランドで,2010年に25億円(0.5%),2011年に25億8000万円(0.5%),2012年に25億8000万円(0.5%),2013年に26億2000万円(0.5%),2014年に26億7000万円(0.5%),及び2015年に23億5000万円(0.5%),並びに,「カッパゴルフ」ブランドで,2010年に13億円(0.3%),2011年に12億5000万円(0.3%),2012年に12億5000万円(0.2%),2013年に12億5000万円(0.2%),2014年に12億5000万円(0.2%),及び2015年に13億5000万円(0.3%)であった(甲19の27~42)。 イ 上記アの認定事実によれば,「Kappa」は,イタリアのアパレル及びスポーツ関連のブランドで,日本においては申立人によって,1984年から30年以上にわたって継続して,日本全国の広い地域において販売されており,その広告宣伝には最近10年間でも年間1~2億円程度の費用が支出されている。 また,「Kappa」ブランドのトレーニング・アスレチックウェアの国内売上高及び市場シェアは,1995年には67億9250万円(市場シェア:3.2%)あり,汎用トレーニングウェアに関しては,2000年には58億6600万円(市場シェア:7.5%)あり,業界全体でも6番目と比較的大きな売上高であって,同ブランドのスポーツアパレル業界における国内販売額も,1999年に78億円(業界全体の構成比は1.9%)あった。近年ではその販売額も減少傾向にあるが,最近の5年間(2010年~2015年)でも「カッパ」と「カッパゴルフ」を併せても年間37億~38億円程度(業界全体の構成比は1%以下)はある。 以上よりすれば,「Kappa」ブランドは,近年の売上高及び市場シェアは極めて大きいわけではないが,その30年以上の長期にわたる継続した販売実績や,かつての比較的高い販売実績や市場シェアなどを考慮すると,本件商標の登録出願時及び登録査定時においては,申立人の業務に係る商品「トレーニングウェア,スポーツウェア,陸上競技用衣服,サッカー競技用衣服」を表示する商標として,我が国の需要者の間では,そのブランドの存在程度はある程度知られるようになっていたものといえる。 (2)本件商標と申立人の業務に係る商標の類似性について 本件商標と申立人の業務に係る「Kappa」の商標を比較すると,上記1(3)に掲げる本件商標と引用商標の比較と同様の理由から,称呼において類似せず,外観についても文字のつづりの相違から容易に区別でき,観念についてはそれぞれ特定の観念を生じず相互に比較できないのだから,これらを総合的に考察しても,互いに相紛れるおそれのない別異の商標というべきである。 加えて,本件商標と引用商標は,上記1(3)エのとおり,互いに相紛れるおそれのない別異の商標である。 (3)出所の混同について 申立人の業務に係る商標「Kappa」は,「ギリシャ文字の『K』を『カッパ』と呼ぶ」ことから名づけられたものであり(甲19の1),造語とはいえないが,上記1(2)アのとおり,直ちに特定の語を表してなるものとも看取できないため,独創性が極めて高いとはいえないものの,独創性が備わっていないともいうことができない。また,申立人の業務に係る商標「Kappa」は,上記(1)のとおり,我が国の需要者の間では,「トレーニングウェア,スポーツウェア,陸上競技用衣服,サッカー競技用衣服」を表示する商標として,本件商標の登録出願時において,ある程度知られるようになっており,それら商品は本件商標の一部の指定商品に包含されるような関連性がある。 しかし,上記(2)のとおり,本件商標と申立人の業務に係る「Kappa」の商標及び引用商標は,互いに相紛れるおそれのない別異の商標であるから,その需要者,取引者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断すれば,本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用した場合,これに接する需要者は,申立人の業務に係る「Kappa」の商標又は引用商標とは別異の商標であると認識するのだから,これより当該商標を連想,想起し,申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかと誤認し,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 (4)小括 上記のとおり,本件商標は,他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれのある商標ではないから,商標法第4条第1項第15号に該当しない。 3 まとめ 以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれの規定にも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2017-900115

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決4件(和田 美香、株式会社 フェニックス)
  • 2018-900347異議申立 / 2020-07-20 / 請求成立(取消)バンダ
    同じ当事者: 株式会社 フェニックス
  • 2021-013214拒絶査定不服審判 / 2022-06-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)プラチナムエフエス、プラチナム
    同じ当事者: 株式会社 フェニックス
  • 2021-013215拒絶査定不服審判 / 2022-06-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)プラチナムジイイイ、プラチナム
    同じ当事者: 株式会社 フェニックス
  • 2021-013216拒絶査定不服審判 / 2022-06-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)プラチナムエイチエス、プラチナムエッチエス、プラチナム
    同じ当事者: 株式会社 フェニックス
同じ根拠条文の審決7,308件(43条の3第4項、4条1項11号、4条1項15号)
  • 2025-900126異議申立 / 2026-03-25 / 維持
    共通の条文: 43条の3第4項、4条1項11号、4条1項15号
  • 2025-900032異議申立 / 2026-03-18 / 維持エスデイアアル
    共通の条文: 43条の3第4項、4条1項11号、4条1項15号
  • 2025-900033異議申立 / 2026-03-18 / 維持
    共通の条文: 43条の3第4項、4条1項11号、4条1項15号
  • 2024-685019異議申立 / 2025-11-11 / 維持エム
    共通の条文: 43条の3第4項、4条1項11号、4条1項15号
  • 2024-900214異議申立 / 2025-07-09 / 維持ベルベット
    共通の条文: 43条の3第4項、4条1項11号、4条1項15号
同じ論点・分野の審決(審決分類)787件(261・W18、261・W25、262・W18 ほか)
  • 2025-900126異議申立 / 2026-03-25 / 維持
    共通の審決分類: 261・W18、261・W25、262・W18、262・W25 ほか4件
  • 2025-900032異議申立 / 2026-03-18 / 維持エスデイアアル
    共通の審決分類: 261・W18、261・W25、262・W18、262・W25 ほか4件
  • 2025-900033異議申立 / 2026-03-18 / 維持
    共通の審決分類: 261・W18、261・W25、262・W18、262・W25 ほか4件
  • 2024-685019異議申立 / 2025-11-11 / 維持エム
    共通の審決分類: 261・W18、261・W25、262・W18、262・W25 ほか4件
  • 2024-900214異議申立 / 2025-07-09 / 維持ベルベット
    共通の審決分類: 261・W18、261・W25、262・W18、262・W25 ほか4件

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存