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商標異議申立

2024-900214

ベルベット

審判番号
2024-900214
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2024-008061
登録番号
6831054
請求日
2024年10月11日
審決日
2025年07月09日
公報発行日
2025年08月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社Clout
  • 【異議申立人】ベルベスト エス ピー エイ
  • 【異議申立人代理人】山尾 憲人
  • 【異議申立人代理人】田中 陽介
  • 【異議申立人代理人】佐々木 美紀
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 馬場 秀敏
  • 審判官 板谷 玲子
分類
T1651.22 -Y (W1825) / T1651.222-Y (W1825) / T1651.261-Y (W1825) / T1651.262-Y (W1825) / T1651.263-Y (W1825) / T1651.271-Y (W1825)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6831054号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6831054号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6831054号商標(以下「本件商標」という。)は、「BELVET」の文字を標準文字で表してなり、令和6年1月29日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,レザークロス,皮革,皮革製包装用容器,ペット用被服類,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」及び第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,靴保護具,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。)」を指定商品として、同年7月11日に登録査定、同年8月5日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)、いずれの商標権も有効に存続しているものである。 (1)国際登録第1018142号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成 BELVEST 指定商品 第18類及び第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品 国際商標登録出願日 2009年(平成21年)7月13日 優先権主張日 2009年(平成21年)5月15日(Italy) 設定登録日 平成22年9月24日 (2)国際登録第1244990号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成 BELVEST 指定役務 第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの役務 国際商標登録出願日 2014年(平成26年)12月17日 優先権主張日 2014年(平成26年)10月22日(Italy) 設定登録日 平成29年2月10日 (3)登録第2520607号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成 別掲のとおり 指定商品 第24類「布製身の回り品」及び第25類「被服」(平成15年7月16日書換登録) 登録出願日 平成2年7月18日 設定登録日 平成5年3月31日 (4)登録第2593850号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成 別掲のとおり 指定商品 第18類「傘」、第25類「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具」及び第26類「靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」(平成15年12月3日書換登録) 登録出願日 平成2年7月18日 設定登録日 平成5年10月29日 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第71号証を提出した。 (1)申立人について 申立人は、1964年にイタリアのパドヴァで創業されたファッションメーカーである。創業者は、エルメス、バーバリー、ランバンなど高級衣服ブランドのOEMを最初に手掛けたことでも知られており、伝統的な仕立て技術を基盤とした既製服を作り出すことに成功し、引用商標にかかるブランドを確立した。それは、ソフトで軽い着心地が特徴的なスーツやジャケットとして今では世界的に著名なブランドとなっており、主に紳士服での知名度は格別であり、イタリア最高峰のスーツとして名声を得ている。また、当該ブランドの代名詞としても知られる「JACKET IN THE BOX(ジャケットインザボックス)」は、折りたたんで箱に入れられるほど軽くて柔らかなジャケットという意味であり、軽やかな着心地が特徴的である(甲6~甲8)。 かかる申立人のブランドが日本へ進出したのは1982年頃であり、普遍的な価値を保ちながら今日まで続くブランドとして長く存在感を維持している。現在では、東京、横浜、名古屋、大阪、京都、神戸、福岡などの主要都市をはじめ地方都市も含む大型百貨店や有名セレクトショップで引用商標を付した製品が展開されている(甲9)。 (2)引用商標の周知・著名性 ア 申立人は、引用商標を自社の代表的出所標識としてファッション関連商品に継続的に使用している。具体的には、申立人が製造・販売する洋服等に引用商標を付すほか、各種の雑誌等においても、毎シーズンのコレクションを掲載し、商品の訴求を行ってきた(甲10~甲60)。 このように、申立人は、その取扱いにかかる商品や包装、広告物等に引用商標を一貫して使用することで、自己の商品の訴求を図るとともに、引用商標のもとに信用を蓄積してきたといえる。 イ 申立人は、日本を含む世界各国での事業展開を積極的に行っており、その売上高も順調に推移している。日本で継続的に引用商標を使用している証拠として、過去5年間のインボイスの一部を提出する(甲61~甲66)。 また、日本における引用商標にかかる商品の2019年ないし2024年9月の売上高の推移は、約1億2千万円ないし約2億3千万円であり、我が国における紳士服、主にスーツ市場での比較においても、上記売上高は決して小さいものとはいえない。 ウ インターネットで引用商標である「BELVEST」のキーワードを入力して検索すると、上位90件すべてが引用商標にかかる商品に関する記事である(甲67)。引用商標にかかる商品は古着店や高価買取店でも売買されており、その注目度の高さがうかがえる。インターネットでは、引用商標にかかる商品について「大人の男性が虜になるBelvestの魅力」、「世界中のセレブリティーや一流ビジネスマンに選ばれ続けるベルヴェスト特集」、「BELVEST(ベルベスト)のコットンスーツは大人の上質セットアップだ!!」などの見出しが並び、「イタリアスーツの頂点をなすクラシコ四天王」の一つにも挙げられている。これらのことからも、我が国で引用商標が広く周知になっていることがうかがえる(甲68~甲71)。 エ 小括 以上の事実から、我が国における継続的かつ大々的な使用により、引用商標が申立人の製造、販売にかかるファッション関連商品を表すものとして周知・著名性を獲得していたことは優に推認できるものである。 (3)本件商標と引用商標の比較 ア 外観について 本件商標は「BELVET」の欧文字からなるところ、引用商標1及び引用商標2は「BELVEST」の欧文字からなり、後者における6文字目の「S」を除いては、両商標は同じ文字構成からなる。また、両者ともに特段の意味を有さず辞書に記載のない造語である。そうすると、ほぼ同じ文字構成からなる両商標において、中間における「S」の有無がその外観にさほど大きな差を与えるとはいい難く、需要者は当然、見誤るおそれがあるのは想像に難くない。なにより、前記(2)で述べた引用商標の周知性を考慮すれば、需要者は、日ごろから見聞きしている引用商標の語頭5文字と語尾1文字「BELVE T」が共通する本件商標を、申立人のものと見誤ることは容易に想像がつく。よって、両者の間に出所の混同が生ずるおそれは免れないものである。 イ 称呼について 本件商標は「BELVET」の欧文字からなるが、我が国でのローマ字の読み方に倣えば、「ベルベット」の称呼が生じ得る。一方、引用商標は「BELVEST」の欧文字からなるが、「ベルベスト」の称呼が生じ得る。 すると、本件商標と引用商標とでは、中間点における「ッ」と「ス」の音に差異があるとしても、「ッ」のような促音は一拍分が息を吐く音になるため、「ス」のような摩擦音と似た響きをする。よって、両者を一連に称呼する場合には、全体として語感、語調が近似し、彼此聞き誤るおそれがある。 ウ 観念について 本件商標と引用商標は、辞書に記載のない造語であって、何らの観念も生じないから、観念上は両者比較できない。 エ 小括 本件商標と引用商標は、外観上も称呼上も、互いに相紛れるおそれのある類似する商標である。また、観念については、本件商標から、外観・称呼が類似する引用商標の周知・著名性にひっぱられ、「申立人又はその商品」と観念を誤認する需要者がいることを危惧する。 (4)本件商標が第4条第1項第11号に該当する理由 上述のように、本件商標と引用商標は類似する。また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品又は役務と抵触するものである。すると、本件商標は、第4条第1項第11号に該当するものである。 (5)本件商標が第4条第1項第15号に該当する理由 引用商標は、古くは1990年登録のものであり、申立人により我が国において継続的に使用された結果、被服を中心とするファッション関連分野において申立人の業務を表すものとして需要者に広く知られたものといえ、申立人は現在も我が国において営業活動を継続中であるため、本件商標の出願日及び登録日においてもその周知性は維持されている。 また、本件商標と引用商標は、互いに類似する商標であって、引用商標が、指定商品の分野において既に広く周知性獲得している点を考慮すれば、需要者は、本件商標から、申立人の周知な出所表示標識を認識し、申立人と関連付けて認識するおそれを強く危惧する。 このような商標の登録を認めることは、申立人が、永年多大な努力を払って築きあげてきた引用商標に化体した業務上の信用へのただ乗り行為(フリーライド)を許すことになり、商標法の精神に反するといわざるを得ない。 したがって、本件商標はその指定商品に使用された場合、出所について混同を生じるおそれがあり、よって本件商標は第4条第1項第15号に該当するものである。 (6)本件商標が第4条第1項第19号に該当する理由 引用商標は、外国では1964年から今日に至るまで約60年近くにわたる歴史のあるファッションブランドで、引用商標を被服等のファッション関連商品に継続して使用してきた結果、いつのシーズンもファッション界をにぎわし、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表すものとして、一定の周知性を獲得している。 本件商標権者は、同じファッション業界に身を置くものとして、世界的に著名な申立人のブランドを知らないわけがなく、第18類及び第25類のファッション関連商品に、あえて、申立人の商標「BELVEST」と一文字違いの「BELVET」を出願したことが推認される。本件商標は、申立人の「BELVEST」中の1文字を変えただけであるという点で、申立人の商標を想起させるよう意図した構成からなっている。つまり、本件商標の最も目を惹きやすい語頭の5文字及び語尾の1文字が引用商標と共通しているということで、本件商標の採択は、紛れもなく申立人の商標を意識した悪質な行為といえる。 すなわち、一般需要者が本件商標に接したときには、引用商標が周知・著名であることから、日常頻繁に広告を見聞きし、その周知性により記憶に強く定着している申立人のブランドの引用商標と誤認することになる。 また、被服などのアイテムでは、その商標を大きく表示するというよりは、ワンポイントとして傍らに小さく表示するのが一般的であるという取引の実情があるから、本件商標と引用商標は、その外観が酷似しているため、その使用態様によっては相紛らわしく、本件商標と引用商標を見分けるのは非常に困難である。 上記に述べた事実を鑑みれば、申立人の商標「BELVEST」に類似する文字を用いて、外観上も紛らわしい商標を採択、出願した本件商標の出願人には、引用商標の有する周知、著名性へのフリーライドの意図、出所表示機能の稀釈化の意図という不正の意図があったと考えざるを得ない。そして、本件商標権者も、同様の商品を扱う業界人として引用商標の周知性は十分認識し得る立場にあったことは明らかである。 よって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。 (7)本件商標が第4条第1項第7号に該当する理由 本件商標は、引用商標と酷似しており、本件商標が引用商標の構成と偶然に一致する標章を任意に採択したものとはいい難く、むしろ、本件商標権者の業務と同一分野において使用される引用商標に依拠し、剽窃的に採択使用するものとみることができ、かつ、本件商標に係る出願をするに際し、申立人より承諾を受けていたと認める事実もない。してみれば、本件商標に係る出願人の出願に及ぶ行為は、引用商標の顧客吸引力に便乗し、不当な利益を得る等の目的の下に出願し、権利を取得したものと推認させるものであり、不正の目的をもって使用する商標といわざるを得ない。 そうすると、本件商標は、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その登録を認めることは商品・役務の取引現場において無用の混乱を生じさせ、商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。 (8)まとめ 本件商標は、その指定商品との関連において商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に違反して登録されたものである。 4 当審の判断 (1)商標「Belvest」の周知性について ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 (ア)申立人は、1964年にイタリアのパドヴァで創業された、ファッションメーカーであり、同人の取扱いに係るブランドである「Belvest(ベルベスト)」は、主として紳士服(スーツ、ジャケット及びコート等)を取り扱っている(甲6~甲8)。 (イ)申立人の上記ブランドが我が国に進出したのは1982年頃とされ、現在では、東京、横浜、名古屋、大阪、京都、神戸、福岡などの百貨店やセレクトショップで同ブランドに係る製品が展開されていることがうかがえる(申立人の主張、甲9)。 (ウ)ブランド「Belvest」の商品(主として紳士服)は、各種の雑誌に掲載され、「Belvest」の文字(以下「申立人商標」という。)が表示されている(甲10~甲60)。 (エ)申立人商標の表示の下、2020年ないし2024年の日本向けのインボイスが発行されており、男性用スーツ・ジャケット・コート等の商品が取り扱われたことがうかがえる(甲61~甲66)。 (オ)インターネット記事、ブログにおいて、申立人商標にかかる商品について、紹介されている(甲68~甲71)。 イ 前記アを総合すると、申立人は、1964年の創業後、ブランド「Belvest」を展開し、同ブランドに係る紳士服等の商品を製造、販売、宣伝広告し、当該商品に申立人商標が表示されたことは認められる。 他方、申立人商標を使用した商品の売上高、シェア等の販売実績及び広告宣伝の費用、方法、回数及び期間等については、その事実を客観的、かつ、具体的に把握することができる証拠は何ら提出されていない。 なお、申立人は、我が国における引用商標にかかる商品の2019年ないし2024年9月の売上高の推移は、約1億2千万円ないし約2億3千万円であり、我が国における紳士服、主にスーツ市場での比較においても、上記売上高は決して小さいものとはいえない旨主張するが、その主張を客観的に裏付ける証拠は提出されていない。 ウ そうすると、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、紳士服に関心の高い需要者の間に一定程度認識されていることはうかがえるとしても、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めるに足りる証左は見いだせないから、そのように認めることはできない。 (2)本件商標と引用商標及び申立人商標との類似性について ア 本件商標 本件商標は、前記1のとおり、「BELVET」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「ベルベット」の称呼を生ずるものであって、当該文字が特定の意味合いで認識されている事実は見いだせないから、特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標及び申立人商標 引用商標及び申立人商標(以下、これらをまとめていうときは「引用商標等」という。)は、「BELVEST」の文字からなるもの(引用商標1、引用商標2)、大きく表された「Belvest」の文字、これに比して小さく表された「tailoring style」の文字及び図形の組合せからなるもの(引用商標3、引用商標4)並びに「Belvest」の文字からなるもの(申立人商標)であるところ、当該商標の構成文字又は商標中に顕著に表された「Belvest」の文字に相応して「ベルベスト」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。 ウ 本件商標と引用商標等との対比 本件商標と引用商標等を比較すると、外観においては、その全体において図形の有無等の相違があるもの(引用商標3、引用商標4)があり、本件商標と引用商標等の「BELVEST(Belvest)」の文字とを比較しても、「S」の文字の有無において異なるものであって、短い文字構成におけるこの差異は、視覚上、小さくないものであるといえ、外観上判然と区別できるものである。 また、称呼においては、本件商標から生じる「ベルベット」の称呼と引用商標等から生じる「ベルベスト」の称呼とは、3音目以降において「ベッ」か「ベス」かの差異を有するものであるところ、前者はつまる音である促音「ッ」(広辞苑 第七版)を伴う音であって、促音を伴うことにより強く発音されるのに対し、後者は摩擦音の「ス」(前掲書)を有する音であって、比較的平坦に発音されるものといえるから、比較的短い音数からなる両商標にあっては、上記の差異が両称呼全体に及ぼす影響は小さくなく、それぞれを一連に称呼しても、その音調、音感が異なり、両称呼は相紛れるおそれはないものである。 なお、申立人は、「「ッ」のような促音は一拍分が息を吐く音になるため、「ス」のような摩擦音と似た響きをする」旨を主張するが、その根拠は明らかでなく、採用することはできない。 そして、観念においては本件商標及び引用商標等は、共に特定の観念を生じないから、観念上、比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標等とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において区別できることから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。 (3)商標法第4条第1項第11号について 前記(2)のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標である。 したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品又は指定役務とが同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第15号について ア 前記(1)のとおり、申立人商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものであり、これと構成文字を共通にする引用商標についても同様である。 イ また、前記(2)のとおり、本件商標と引用商標等は非類似の商標であって、別異の商標といえるものである。 ウ そうすると、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品の関連性の程度及び需要者の共通性を考慮しても、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用商標等を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が、他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第19号について 前記(4)アのとおり、引用商標等は申立人(他人)の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものであり、前記(2)のとおり、本件商標と引用商標等は非類似の商標である。 そして、本件商標権者が引用商標等にただ乗りするなど不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠の提出はなく、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (6)商標法第4条第1項第7号について 申立人は、本件商標に係る出願人の出願に及ぶ行為は、引用商標の顧客吸引力に便乗し、不当な利益を得る等の目的の下に出願し、権利を取得したものと推認させるものであり、不正の目的をもって使用する商標といわざるを得ない旨主張している。 しかしながら、前記(2)のとおり、本件商標と引用商標等は非類似の商標であり、前記(4)アのとおり、引用商標等は申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものであることからすれば、上記のような不正の意図があったものと認定することはできない。 また、本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものなどといい得る事情も見いだせない。 もとより、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく、その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法4条第1項第7号に該当しない。 (7)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではなく、その他、同法第43条の2の各号に該当するというべき事情は見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-900214

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