意匠拒絶査定不服審判
2017-018157
分岐サドル継手
- 審判番号
- 2017-018157
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2016-028029
- 登録番号
- 意匠登録第1603551号(D1603551)
- 請求日
- 2017年12月07日
- 審決日
- 2018年03月15日
- 公報発行日
- 2018年05月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社クボタケミックス
- 【請求人代理人】山田 義人
- 審判長/審判官
- 審判長 斉藤 孝恵
- 審判官 竹下 寛
- 審判官 江塚 尚弘
- 分類
- D18 .113-WY (M2-4)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号、意匠法第4条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2016- 28029「分岐サドル継手」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成28年12月26日の意匠登録出願であって,平成29年4月19日付けの拒絶理由の通知に対し,平成29年5月30日に意見書が提出されたが,平成29年9月29日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成29年12月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとし,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり,その意匠は,意匠に係る物品を「分岐サドル継手」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。A-A断面図を含めて部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する,というものである。
拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁意匠課が2005年9月6日に受け入れた,クボタシーアイ株式会社発行の内国カタログ「クボタシーアイパイプ」の第C-19頁所載の「分岐サドル」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC17039539号)(以下,当該意匠を「引用意匠」という。)のうち,本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分と対応する部分(以下,当該部分を「引用部分」という。)であり,その形態は,同カタログに掲載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。
なお,引用意匠には,サドル部下端に外向き水平方向に突出するねじ固定用のつば部が形成されているが,本願意匠には,ねじ固定用のつば部は形成されていないため,引用意匠の当該つば部は引用部分に含まないものとする。
第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は「分岐サドル継手」であり,引用意匠は「分岐サドル」であり,どちらも配水管から枝管を分岐する際に用いる給水用具であるから,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は共通している。
2 本願部分と引用部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の対比
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は,配水管に枝管を取り付けるためのサドル機構の部分であるから,用途及び機能が共通し,また,両部分は,垂直に配された継手部の下端を中心として,その周囲に湾曲板状に延設したサドルの部分であるから,位置,大きさ及び範囲も共通している。
3 両部分の形態の対比
(1)両部分の形態の共通点
(共通点1)両部分は,部分全体の形状が,円弧状に湾曲した板状で,四隅の角部が斜めに切り欠かれた態様である点において共通する。
(共通点2)両部分は,外周面の軸方向左右の部分に,湾曲方向に平行に延びる複数等幅の凹条部が形成されている点で共通する。
(2)両部分の形態の相違点
(相違点1)部分全体の湾曲の程度について,湾曲を形成する円弧の中心角でいうと,本願部分は約90度の緩い湾曲であるのに対し,引用部分は約180度のきつい湾曲である点で,両部分は相違する。
(相違点2)湾曲方向の両端部について,本願部分は,その端面が垂直面状で側方を向いているのに対し,引用部分は水平面状で下方を向いており,さらに引用部分の当該端部側方は,ねじ固定用のつば部によって隠されている点で,両部分は相違する。
(相違点3)本願部分の略円筒状の電源端子部について,外周面上部の軸方向左右端部に一つずつ形成されているのに対し,引用部分は,一方の端部にのみ形成されている点で,両部分は相違する。
第5 判断
1 両部分の形態の共通点及び相違点の評価
(1)両部分の形態の共通点
共通点1は,両部分の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎず,また,分岐サドル継手のサドル部の形状は,円筒形の配管形状に合わせ,円弧状に湾曲したものとすることがほとんどであるから,両部分のみに認められる格別の特徴とはいえず,共通点1が部分全体の美感に与える影響は小さい。
共通点2は,ごく浅い凹条部に係るものであるから,部分全体の美感に与える影響は小さい。
(2)両部分の形態の相違点
相違点1により,本願部分は,全体の湾曲が緩やかで平板状に近い印象であるのに対し,引用部分は,全体が略半円筒状であり,高さを有する立体的な湾曲面であるとの印象であって,両部分は基調をなす形態の視覚的印象が明確に異なり,両部分の美感には大きな差異があるといえる。
相違点2に係る湾曲方向の両端部の形状は,サドル部を配管に取り付ける際の固定方法や接合態様に関わることから,需要者の注意を強く惹く部分であり,本願部分は,配管に取り付ける際,ねじ固定されることなく配管上面部分にのみ接合し,垂直面状とした当該端面と配管面とが,大きな段差なく滑らかに接合するとの印象を受けるのに対し,引用部分は,ねじ固定により配管の半円弧部分に固定され,ねじ固定用のつば部により当該端部は視認されないとの印象を受けることから,両意匠は湾曲方向両端部の美感に大きな差異がある。
相違点3に係る電源端子部は,部分全体の大きさに照らすと小さい部分におけるものであり,また,両側とするか片側とするかの個数の違いであって,電源端子部を有することでは共通することから,相違点3が部分全体の美感に与える影響は小さい。
2 両意匠の類否判断
両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき,意匠全体として総合的に観察した場合,両部分は,全体の美感を左右する程湾曲の程度が大きく異なり(相違点1),需要者の注意を強く惹く湾曲方向両端部の形状にも大きな差異があることから(相違点2),両部分は全体として美感に大きな差異があるといえる。そうすると,概括的な基本形状(共通点1),外周面の凹条部(共通点2)が共通することを考慮しても,両部分は意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が共通するとしても,その形態において,需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しない。
第6 むすび
以上のとおり,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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