特許拒絶査定不服審判
2017-016645
障害検出装置、障害検出システム、障害検出方法、および、プログラム
- 審判番号
- 2017-016645
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-076120
- 請求日
- 2017年11月08日
- 審決日
- 2018年10月15日
- 公報発行日
- 2018年12月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】NECフィールディング株式会社
- 【請求人代理人】加藤 朝道
- 審判長/審判官
- 審判長 千葉 輝久
- 審判官 山田 正文
- 審判官 稲葉 和生
- 分類
- P18 .121-WY (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014- 76120「障害検出装置、障害検出システム、障害検出方法、および、プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月 9日出願公開、特開2015-198386、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年4月2日の出願であって、平成29年6月20日付けで拒絶理由通知がされ、同年7月10日付けで意見書が提出されると共に手続補正がされ、同年7月28日付けで拒絶理由通知がされ、同年9月4日付けで意見書が提出され、同年9月8日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年11月8日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に、手続補正がされ、平成30年8月29日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年9月18日付けで手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成29年9月8日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1-8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記A-Bの刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
A.特開2006-186633号公報
B.特開2013-46090号公報
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
(進歩性)本件出願の請求項1-8に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記1-2の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
1:特開昭63-285041号公報
2:特開2006-186633号公報 (原査定の引用文献A)
第4 本願発明
本願請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、平成30年9月18日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
複数のネットワーク機器およびネットワークを介して接続された第1の情報処理装置および複数の第2の情報処理装置がそれぞれ複数の前記ネットワーク機器に対する死活監視の結果として取得した第1の情報および第2の情報を受信する受信手段と、
前記第1の情報および前記第2の情報に基づいて複数の前記ネットワーク機器のいずれか1つまたは前記ネットワークにおける障害箇所を特定する特定手段と、を備え、
前記特定手段は、前記第1の情報に異常を検知したことを示す情報を含むかどうかを確認し、前記第1の情報に前記異常を検知したことを示す情報を含むときに、前記第1の情報処理装置と複数の前記ネットワーク機器と複数の前記第2の情報処理装置の構成情報を検索し、前記第1の情報処理装置に接続された複数の前記第2の情報処理装置によって取得された前記第2の情報を検索し、前記第1の情報および前記第2の情報が同一のネットワーク機器の障害を示す場合、前記同一のネットワーク機器を障害箇所として特定し、それ以外の場合、前記ネットワークを障害箇所として特定し、
前記ネットワーク機器および前記ネットワークを介さずに前記第1の情報処理装置および前記第2の情報処理装置と接続されている、
ことを特徴とする障害検出装置。」
なお、本願発明2-8の概要は以下のとおりである。
本願発明2-5は、本願発明1を直接又は間接的に引用し、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明6-8は、実質的に、本願発明1を「障害検出システム」、「障害検出方法」、「プログラム」として記載したものであり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
当審拒絶理由通知に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
a)「第2図に本発明の実施例を示す。中継器LRE(詳しくはそのジャック アンド アラームJ/A)は監視線lのデータを一旦取込み、自己宛のものでなければそれを次段へ送出するカスケード構成をとっている。この方式では送出信号レベルは0dBであるから各中継器で増幅が行なわれたことになり、信号の減衰に格別配慮する必要がない。図示しないがJ/A部の主要構成はプロセッサCPUとM及びS側のFSKインタフェース(モデム)である。即ちこの監視回線はFSK方式を用いている。
ポーリングはマスタ端末装置M-LTEからLRE1,2,3およびS-LTEに対して行ない、次にスレーブ端末装置S-LTEがLRE3,2,1及びM-LTEに対して行ない、以下これを繰り返す。この状態で例えば点Pで回線障害が発生すると、S-LTEはM-LTEよりポーリングされなくなる。このときスレーブ端末装置S-LTEはスレーブ監視装置SSV2を介してマスタ監視装置MSVに割込みをかけ、ポーリング結果の採取を要求する。そこでMSVはSSV1,SSV2を介してマスタ端末装置M-LTE及びスレーブ端末装置S-LTEの各ポーリング結果を取寄せ、これらにより各LREの状態を知りまた障害位置の特定を行なう。
中継器LREは36回線分の増幅器を有しており、中継器の状態とはこれらの各回線の信号の有無、ビットエラー率などである。
監視装置SSVは常時は当該局(端局装置)の他の装置(交換機、多重化装置など)の監視を行なっており、S-LTEからの上記割込みが入るときポーリング結果の取寄せを行なう。従って本発明を実施してもハードウェアはそれ程変更/増設されず、ソフトウェアの追加で済む。
回線障害のない状態ではマスタ、スレーブ両端末装置のポーリング結果は同じであり、従ってマスタ端末装置のポーリング結果で代表してこれを親局の監視装置へ送出する。」(第2頁左下欄第18行-第3頁左上欄第15行の記載。)(下線は、当審で付与した。以下、同様。)
b)第2図には、中継器LREは監視線lのデータを一旦取込み、自己宛のものでなければそれを次段へ送出するカスケード構成に接続され、当該カスケード構成の両端には、マスタ端末装置M-LTE、スレーブ端末装置S-LTEがそれぞれ接続され、前記カスケード構成とは別の経路で、マスタ端末装置M-LTEにはスレーブ監視装置SSV1が接続され、スレーブ端末装置S-LTEにはスレーブ監視装置SSV2が接続され、スレーブ監視装置SSV1及びスレーブ監視装置SSV2はマスタ監視装置MSVに接続されること、点PはLRE2とLRE3との間であることが示されている。
上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、マスタ監視装置MSVとして、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「中継器LREは監視線lのデータを一旦取込み、自己宛のものでなければそれを次段へ送出するカスケード構成をとっており、
前記カスケード構成の両端には、マスタ端末装置M-LTE、スレーブ端末装置S-LTEがそれぞれ接続され、
前記カスケード構成とは別の経路で、マスタ端末装置M-LTEにはスレーブ監視装置SSV1が接続され、スレーブ端末装置S-LTEにはスレーブ監視装置SSV2が接続され、スレーブ監視装置SSV1及びスレーブ監視装置SSV2はマスタ監視装置MSVに接続され、
ポーリングはマスタ端末装置M-LTEからLRE1,2,3およびS-LTEに対して行ない、次にスレーブ端末装置S-LTEがLRE3,2,1及びM-LTEに対して行ない、以下これを繰り返し、
この状態でLRE2とLRE3との間の点Pで回線障害が発生すると、S-LTEはM-LTEよりポーリングされなくなり、このときスレーブ端末装置S-LTEはスレーブ監視装置SSV2を介してマスタ監視装置MSVに割込みをかけ、ポーリング結果の採取を要求し、
MSVはSSV1、SSV2を介してマスタ端末装置M-LTE及びスレーブ端末装置S-LTEの各ポーリング結果を取寄せ、これらにより各LREの状態を知りまた障害位置の特定を行なう
マスタ監視装置MSV。」
2.引用文献2について
当審拒絶理由通知に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
c)「【0016】
---システム構成---
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本実施形態における障害経路診断システムを含むネットワーク構成図である。本実施形態においては、障害経路診断システム100としての機能を備えたサーバ装置を監視マネージャと称している。また、監視対象機器120としては、監視エージェント110とその間を結ぶスイッチやルータ類をも含むものとできる。図1の例では、各機器が3台のスイッチSa、Sb、Sc(106~108)と、1台のルータRa(109)とで介して接続されている。」
d)「【0020】
続いて、前記システム100が例えばプログラム102に基づき構成・保持する機能部につき説明を行う。なお、前記システム100は、監視エージェント120と監視対象機器130との間の疎通経路パターンと、前記疎通経路において発生が想定される障害パターンとを対応付けて格納した障害情報データベース16を備えるものとする。なお、前記疎通経路パターンは、監視エージェント120と監視対象機器130との間の全ての疎通経路パターンであることが好ましい。
【0021】
システム100は、監視エージェントから収集した疎通確認結果を、前記障害情報データベース16における疎通経路パターンに照合し、疎通確認結果と疎通経路パターンとを対応づけた経路監視情報テーブル17を生成する、ネットワーク監視部12を備える。
【0022】
なお、前記ネットワーク監視部12が、前記監視エージェント110に対して、監視対象機器120との疎通確認の実行を指示することとすれば好適である。
【0023】
また、システム100は、前記経路監視情報テーブル17を前記障害情報データベース16に照合して、同一の疎通経路パターンにおいて疎通確認結果と一致する障害パターンを検出し、当該障害パターンに対応する障害機器を障害発生機器として特定する、障害判定部13を備える。」
e)「【0041】
この障害判定部13は、各監視エージェント110から採取した経路監視情報から、障害の有無を判定し、障害発生時は、障害機器の絞込みを行なう。まず経路監視情報テーブル17の疎通結果より、障害が発生しているか否かの判定を行なう(ステップ1310)。 経路監視情報テーブル17に疎通確認ができなかった結果である「1」がない場合は(ステップ1310:NO)、システムは正常に稼動していると判定し(ステップ1311)、障害判定部13での処理は終了する。
【0042】
他方、前記経路監視情報テーブル17に「1」がある場合は、ネットワークシステム上の機器において障害が発生していると判定し(ステップ1310:YES)、次に処理を進める。この場合、前記障害判定部13は、経路監視情報テーブル17に関し、障害情報データベース16の障害パターンと疎通結果が一致するものがあるかどうか逐一チェックをする(ステップ1320)。
【0043】
この処理において、障害パターンと疎通結果とが一致している場合(ステップ1330:YES)は、一致した障害パターンに対応づけられている想定障害機器において、障害が発生している可能性が高いと判定し(ステップ1331)、この判定結果をシステム管理者に通知する(ステップ1360)。通知方法としては、システム100または所定端末のディスプレイ画面に判定結果を表示したり、或いは所定端末にメール送信したりする。他方、前記判定において、障害パターンと疎通結果とが一致していないとした場合(ステップ1330:NO)、次に処理を進める。
【0044】
この場合、障害判定部13は、経路監視情報テーブル17と障害情報データベース16の各障害パターンとの疎通結果の一致度を算出する(ステップ1340)。この一致度は障害情報データベース16の障害パターンごとに一つずつ算出する。ここでは、一致度に閾値を設けることとする。障害情報データベース16の各障害パターンで求められた一致度において閾値を超えたものがあれば(ステップ1350:YES)、障害判定部13は障害が発生している可能性が高い機器と判定して(ステップ1352)、この判定結果をシステム管理者に通知する(ステップ1360)。
【0045】
他方、前記判定において全て閾値以下の場合(ステップ1350:NO)、問題になるほどの障害が発生していないものと判定し(ステップ1351)、システム管理者への通知は行なわずに処理を終了する。」
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア.引用発明の「中継器LTR1,2,3」は本願発明1の「複数のネットワーク機器」に、引用発明の「監視線l」は本願発明1の「ネットワーク」にそれぞれ相当し、引用発明の「マスタ端末装置M-LTE」及び「スレーブ端末装置S-LTE」は本願発明1の「複数のネットワーク機器およびネットワークを介して接続された第1の情報処理装置および複数の第2の情報処理装置」と「複数のネットワーク機器およびネットワークを介して接続された第1の情報処理装置および第2の情報処理装置」である点で共通する。
また、引用発明の「ポーリングはマスタ端末装置M-LTEからLRE1,2,3およびS-LTEに対して行ない、次にスレーブ端末装置S-LTEがLRE3,2,1及びM-LTEに対して行ない」採取した「ポーリング結果」は、本願発明1の「複数のネットワーク機器およびネットワークを介して接続された第1の情報処理装置および複数の第2の情報処理装置がそれぞれ複数の前記ネットワーク機器に対する死活監視の結果として取得した第1の情報および第2の情報」と「複数のネットワーク機器およびネットワークを介して接続された第1の情報処理装置および第2の情報処理装置がそれぞれ複数の前記ネットワーク機器に対する死活監視の結果として取得した第1の情報および第2の情報」である点で共通する。
そして、引用発明の「MSVはSSV1、SSV2を介してマスタ端末装置M-LTE及びスレーブ端末装置S-LTEの各ポーリング結果を取寄せ」るものであるから、引用発明の「マスタ監視装置MSV」が「各ポーリング結果」を受信する手段を有することは明らかであり、当該手段は、本願発明1の「複数のネットワーク機器およびネットワークを介して接続された第1の情報処理装置および複数の第2の情報処理装置がそれぞれ複数の前記ネットワーク機器に対する死活監視の結果として取得した第1の情報および第2の情報を受信する受信手段」と「複数のネットワーク機器およびネットワークを介して接続された第1の情報処理装置および第2の情報処理装置がそれぞれ複数の前記ネットワーク機器に対する死活監視の結果として取得した第1の情報および第2の情報を受信する受信手段」である点で共通する。
イ.引用発明の「MSVはSSV1、SSV2を介してマスタ端末装置M-LTE及びスレーブ端末装置S-LTEの各ポーリング結果を取寄せ、これらにより各LREの状態を知りまた障害位置の特定を行なう」ものであるから、引用発明の「マスタ監視装置MSV」は、本願発明1の「前記第1の情報および前記第2の情報に基づいて複数の前記ネットワーク機器のいずれか1つまたは前記ネットワークにおける障害箇所を特定する特定手段」に相当する構成を有するといえる。
ウ.引用発明の「マスタ監視装置MSV」は本願発明1の「障害検出装置」に相当し、引用発明の「前記カスケード構成とは別の経路で、マスタ端末装置M-LTEにはスレーブ監視装置SSV1が接続され、スレーブ端末装置S-LTEにはスレーブ監視装置SSV2が接続され、スレーブ監視装置SSV1及びスレーブ監視装置SSV2はマスタ監視装置MSVに接続され」ることは、本願発明1の「障害検出装置」が「前記ネットワーク機器および前記ネットワークを介さずに前記第1の情報処理装置および前記第2の情報処理装置と接続されている」ことに相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点と相違点とがあるといえる。
〈一致点〉
「複数のネットワーク機器およびネットワークを介して接続された第1の情報処理装置および第2の情報処理装置がそれぞれ複数の前記ネットワーク機器に対する死活監視の結果として取得した第1の情報および第2の情報を受信する受信手段と、
前記第1の情報および前記第2の情報に基づいて複数の前記ネットワーク機器のいずれか1つまたは前記ネットワークにおける障害箇所を特定する特定手段と、を備え、
前記ネットワーク機器および前記ネットワークを介さずに前記第1の情報処理装置および前記第2の情報処理装置と接続されている、
ことを特徴とする障害検出装置。」
である点。
〈相違点〉
本願発明1は、「第2の情報処理装置」が複数接続され、「特定手段」は「前記第1の情報に異常を検知したことを示す情報を含むかどうかを確認し、前記第1の情報に前記異常を検知したことを示す情報を含むときに、前記第1の情報処理装置と複数の前記ネットワーク機器と複数の前記第2の情報処理装置の構成情報を検索し、前記第1の情報処理装置に接続された複数の前記第2の情報処理装置によって取得された前記第2の情報を検索し、前記第1の情報および前記第2の情報が同一のネットワーク機器の障害を示す場合、前記同一のネットワーク機器を障害箇所として特定し、それ以外の場合、前記ネットワークを障害箇所として特定」するものであるのに対し、引用発明は、「MSVはSSV1、SSV2を介してマスタ端末装置M-LTE及びスレーブ端末装置S-LTEの各ポーリング結果を取寄せ、これらにより各LREの状態を知りまた障害位置の特定を行なう」ものではあるものの、「スレーブ端末装置S-LTE」が複数接続されておらず、また、各ポーリング結果がどの様な場合に、如何なる場所を障害位置と特定するのかが特定されていない点。
(2)相違点についての判断
引用文献1の第2頁左下欄第2-15行には、A局-中継器R1-中継器R2-中継器R3-B局の順に接続され、中継器R2と中継器R3を結ぶ監視線l上に点Pが設定された第1図に図示された伝送路について、「上記A、B局からのポーリングで、監視回線lが正常ならA、B両局が持っているポーリング結果は同じである。監視線lが例えば点Pで断線すると、A局からのポーリングでは中継器R1とR2に対してしかデータ収集できず、B局からのポーリングでは中継器R3に対してしかデータ収集できず、両局の持つポーリング結果は異なることになる。
A、B両局が持つポーリング結果は上位の監視装置SSV(slave supervisary)を通して取寄せることができ、これらにより点Pで障害が発生しても全中継器の状態を把握することができる。またこれらのポーリング結果から故障点の特定ができ、直ちに障害復旧作業に入ることができる。」と記載されており、監視線lが中継器R2と中継器R3を結ぶ監視線l上の点Pで断線すると、A局からのポーリングでは中継器R1とR2に対してしかデータ収集できず、B局からのポーリングでは中継器R3に対してしかデータ収集できない、すなわち、両ポーリング結果が同一の中継器の障害を示す場合以外の場合、監視線l上(ネットワーク)が障害箇所となることも記載されており、また、障害箇所が中継機であった場合、A局からのポーリングでも、B局からのポーリングでも、当該障害箇所の中継器からデータ収集できず、両ポーリング結果が、同一の中継器の障害を示すことは、当業者には明らかであるから、引用発明において、「前記特定手段は、前記第1の情報および前記第2の情報が同一のネットワーク機器の障害を示す場合、前記同一のネットワーク機器を障害箇所として特定し、それ以外の場合、前記ネットワークを障害箇所として特定」することは、当業者が容易になし得たことと認められる。
また、上記摘記事項d)、e)に摘記したように、引用文献2には、「監視エージェントと監視対象機器との間の疎通経路パターンと、前記疎通経路において発生が想定される障害パターンとを対応付けて格納した障害情報データベース16」を備え、「監視エージェントから収集した疎通確認結果と疎通経路パターンとを対応づけた経路監視情報テーブル17」を生成し、経路監視情報テーブル17に疎通確認ができなかった結果である「1」がある場合は、ネットワークシステム上の機器において障害が発生していると判定し、前記経路監視情報テーブル17を前記障害情報データベース16に照合して、同一の疎通経路パターンにおいて疎通確認結果と一致する障害パターンを検出し、当該障害パターンに対応する障害機器を障害発生機器として特定する技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されている。
しかしながら、引用文献1及び引用文献2の何れにも、「第2の情報処理装置」が複数接続され、「前記第1の情報処理装置と複数の前記ネットワーク機器と複数の前記第2の情報処理装置の構成情報を検索し、前記第1の情報処理装置に接続された複数の前記第2の情報処理装置によって取得された前記第2の情報を検索」すること、該検索した第2の情報より「前記第1の情報および前記第2の情報が同一のネットワーク機器の障害を示す場合、前記同一のネットワーク機器を障害箇所として特定し、それ以外の場合、前記ネットワークを障害箇所として特定」することは、記載も示唆もされていない。
また、「第2の情報処理装置」が複数接続され、「前記第1の情報処理装置と複数の前記ネットワーク機器と複数の前記第2の情報処理装置の構成情報を検索し、前記第1の情報処理装置に接続された複数の前記第2の情報処理装置によって取得された前記第2の情報を検索」すること、該検索した第2の情報より「前記第1の情報および前記第2の情報が同一のネットワーク機器の障害を示す場合、前記同一のネットワーク機器を障害箇所として特定し、それ以外の場合、前記ネットワークを障害箇所として特定」することは、本願出願日前周知技術であったものとも認められず、「スレーブ端末装置S-LTE」(第2の情報処理装置)が複数接続されたものではない引用発明において、「前記第1の情報処理装置と複数の前記ネットワーク機器と複数の前記第2の情報処理装置の構成情報を検索し、前記第1の情報処理装置に接続された複数の前記第2の情報処理装置によって取得された前記第2の情報を検索」する動機はない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2記載の技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2-5について
本願発明2-4は、本願発明1を引用するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同じ理由により、当業者であっても引用発明、引用文献2記載の技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
3.本願発明6-8について
本願発明6は、実質的に、本願発明1を「障害検出システム」として、本願発明7は、実質的に、本願発明1を「障害検出方法」として、本願発明8は、実質的に、本願発明1を「プログラム」として記載したものであるから、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同様の理由により、引用発明、引用文献2記載の技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第7 原査定について
本願発明1-8は、「第2の情報処理装置」が複数接続され、「前記第1の情報に異常を検知したことを示す情報を含むかどうかを確認し、前記第1の情報に前記異常を検知したことを示す情報を含むときに、前記第1の情報処理装置と複数の前記ネットワーク機器と複数の前記第2の情報処理装置の構成情報を検索し、前記第1の情報処理装置に接続された複数の前記第2の情報処理装置によって取得された前記第2の情報を検索し、前記第1の情報および前記第2の情報が同一のネットワーク機器の障害を示す場合、前記同一のネットワーク機器を障害箇所として特定し、それ以外の場合、前記ネットワークを障害箇所として特定」するという技術的事項を有するものである。
これに対して、上記「第6 対比・判断」、「1.本願発明1について」の「(2)相違点についての判断」において述べたように、引用文献A(引用文献2)には、上記技術的事項は記載されていない。
また、引用文献Bの段落【0013】、【0026】-【0029】には、通信装置の識別情報(ID)および各通信装置の並び順の情報が登録されたトポロジ情報テーブルと、障害検知結果である障害情報とに基づいて障害箇所を特定する技術が記載されているが、引用文献Bにも、上記技術的事項は記載されていない。
したがって、本願発明1-8は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Bに基づいて容易に発明できたものではなく、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-016645