意匠拒絶査定不服審判
2017-014568
Interdental cleaner
- 審判番号
- 2017-014568
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2015-500255外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年10月02日
- 審決日
- 2018年02月19日
- 公報発行日
- 2018年04月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】インターブロス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
- 【請求人代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 分類
- D18 .113-WY (C4-1)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法9条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第9条第1項、意匠法第13条第1項、意匠法第14条第1項、意匠法第20条第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2015-500255「Interdental cleaner」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
1.本願意匠
本願は,平成27年(2015年)8月11日(パリ条約による優先権主張2015年2月13日 域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠))の国際意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「Interdental cleaner」(参考訳:「歯間クリーナー」,以下,日本語訳で示す。)とし,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照)
2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定において,本願意匠が最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないため,意匠法第9条第1項の規定により意匠登録を受けることができないとしたものであって,その拒絶の理由として引用した意匠は,意匠法第13条第1項の規定により,特許出願(原出願 平成27年(2015年)1月16日 特願2015-206973号)から変更をし,意匠法第14条第1項の規定によって,3年間秘密にすることを請求した,平成27年(2015年)10月30日の意匠登録出願であって,特許庁が平成28年(2016年)5月16日に発行した意匠法第20条第4項の規定による秘密の期間の経過前の意匠公報に開示された意匠登録第1549185号(意願2015-24281号)の「歯間清掃具」の意匠(以下,「引用意匠」という。)であり,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのものである。
3.本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は,「歯間クリーナー」であり,引用意匠は,「歯間清掃具」であるが,両意匠は,いずれも歯間の清掃をするための小型のブラシ状の清掃具であるから,意匠に係る物品は,共通する。
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
なお,両意匠を対比するため,本願意匠の図の向きを90度左に回転させ,引用意匠の図の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定し,対比する。
(1)共通点
(A)全体を,持ち手である把持部(以下「把持部」という。)とブラシ部のある清掃部(以下「清掃部」という。)とで構成し,把持部は略船のオール状とし,清掃部寄りの棒状の軸部(以下「軸部」という。)から下端側に向かって正面視略長方形状に拡がった薄い板状部(以下「板状部」という。)とした点,
(B)清掃部は先端部が丸みを帯びて窄まった略棒状とし,小型円錐形状のブラシを外側に向かって略棒状の部分と垂直方向に突出させ,螺旋状に外側周囲に配した点,
(C)把持部を正面視すると軸部を挟んで左右対称形状で,左右を凹円弧状に切り欠いて軸部から板状部に連続している点,
(D)把持部を底面視すると略横長楕円形状で中央部が太幅となっている点,
において主に共通する。
(2)差異点
(ア)把持部を正面視した態様について,本願意匠は,下端が隅丸状で,外形に沿って縁部がなく,左右を切り欠いた凹円弧状のカーブが深いのに対して,引用意匠は,下端が本願意匠よりやや角張っており,外形に沿って面取り状の縁部を設け,左右を切り欠いた凹円弧状のカーブが浅い点,
(イ)清掃部のブラシの態様について,本願意匠は,一つ一つのブラシが短く,先端部から把持部寄りまで均等にブラシが配されているのに対して,引用意匠は,一つ一つのブラシが本願意匠より長めで,先端部から把持部寄りまでのやや上端寄りの一部に隙間があり,均等にブラシが配されていない点,
(ウ)平面視した清掃部のブラシの態様について,本願意匠は,水平方向と左右に約70度の角度で上下中央にやや寄った態様であるのに対して,引用意匠は,約60度の角度で均等に配されている点,
(エ)清掃部の略棒状の部分の態様について,本願意匠は,平面視すると略棒状の部分が六角形で,正背面視すると右上から左下方向に斜めに細い筋状模様を正面と背面に多数配しているのに対して,引用意匠は,平面視すると略棒状の部分が円形で,正背面視すると小さな縦長楕円形状を3個ずつ間隔を置いて配している点,
(オ)把持部の軸部において,本願意匠は,区切り線がないのに対して,引用意匠は,把持部全体の上寄り約1/5の位置に水平の区切り線があり,軸部の側面にも垂直の区切り線がある点,
(カ)把持部の下端寄り中央において,本願意匠は,小円形模様があるのに対して,引用意匠には,そのような模様がない点,
において主な差異が認められる。
4.類否判断
(1)共通点
そこで検討するに,共通点(A)については,全体を,持ち手である把持部とブラシ部のある清掃部とで構成し,把持部は略船のオール状とし,清掃部寄りの棒状の軸部から下端側に向かって正面視略長方形状に拡がった薄い板状部とした態様は,全体の構成が共通するものではあるが,この種の物品分野においては,両意匠以外にも既に見られ,その構成が格別需要者の注意を惹くものとはいうことができないものであり,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,全体の構成が共通している点のみでは両意匠を類似と判断するまでには至らないものであるから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
次に,共通点(B)についても,清掃部は先端部が丸みを帯びて窄まった略棒状とし,小型円錐形状のブラシを外側に向かって略棒状の部分と垂直方向に突出させ,渦巻き状に外側周囲に配した態様が共通しているが,この種の物品分野においては,両意匠以外にも既に多数見られるありふれた態様といえるものであるから,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
また,共通点(C)についても,把持部を正面視すると軸部を挟んで左右対称形状で,左右を凹円弧状に切り欠いて軸部から板状部に連続した態様が共通しているが,両意匠のみに見られる顕著な特徴とはいえないものであり,把持部の特徴が共通している点のみでは両意匠を類似と判断するまでには至らないものであるから,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そして,共通点(D)についても,把持部を底面視すると略横長楕円形状で中央部が太幅となっている点が共通しているが,この種の物品分野においては,両意匠以外にも既に多数見られるありふれた態様といえるものであるから,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そうすると,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
(2)差異点
これに対して,差異点に係る態様が相まって生じる視覚的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,まず,差異点(ア)の把持部を正面視した態様について,この種の歯間クリーナーの物品分野においては,使用の際に需要者が手にして間近に観察するものであるから,需要者が細部にまで注意を払うものといえ,本願意匠は,下端が隅丸状で,外形に沿って縁部がなく,左右を切り欠いた凹円弧状のカーブが深いため,丸みを帯びたゆったりした印象を与えるものといえ,それが特徴的な態様といえ,下端が本願意匠よりやや角張っており,外形に沿って面取り状の縁部を設け,左右を切り欠いた凹円弧状のカーブが浅い引用意匠は,やや角張ったシャープな印象を与えるものといえ,面取り状の縁部の有無は外形に沿って影響を与えるもので無視することができず,両意匠は,見た目の印象が明確に異なるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)清掃部のブラシの差異については,確かにその差異が認識できるものではあるが,既に多数のブラシを有する歯間クリーナーが存在するこの種の物品分野においては,ブラシの配置の差異のみによって,両意匠を別異のものとするほどの大きな差異とはいえないものの,実際に使用する際には,清掃部に需要者が注意を払うものであるから,その差異は,両意匠の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。
また,差異点(ウ)の平面視した清掃部のブラシの角度の差異についても,いずれの態様も既に見られるありふれた態様といえるものであるが,この種の歯間クリーナーの物品分野においては,ブラシの角度の差異のみによって,両意匠を別異のものとするほどの大きな差異とはいえないものの,実際に使用する際には,清掃部に需要者が注意を払うものであるから,その差異は,両意匠の類否判断に僅かではあるが影響を与えるものといえる。
さらに,差異点(エ)の略棒状の部分の差異,差異点(オ)の把持部の軸部における区切り線の有無,差異点(カ)の小円形模様の有無についても,いずれも細部にかかる微細な差異ではあるが,これらの差異点が相まって,視覚的な印象を異ならせるものであり,両意匠の態様が別異のものであるとの印象を需要者に与えるものであるから,これらの差異は,両意匠の類否判断に僅かずつではあるが影響を与えるものといえる。
(3)小括
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。
5.むすび
したがって,本願意匠は,本願意匠が意匠法第9条第1項に規定する意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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