特許拒絶査定不服審判
2017-010738
位置ずれ補正装置および位置ずれ補正システム
- 審判番号
- 2017-010738
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-543578外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年07月19日
- 審決日
- 2019年01月07日
- 公報発行日
- 2019年02月22日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社日立製作所
- 【請求人代理人】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
- 分類
- P18 .121-WY (G05D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-543578「位置ずれ補正装置および位置ずれ補正システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年4月30日国際公開、WO2015/059740、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年10月21日を国際出願日とする出願であって、平成29年1月31日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年4月10日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年4月20日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、平成29年7月19日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正(以下「審判請求時の補正」という。)がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
1.本願請求項1~3及び5に係る発明は、以下の引用文献1及び3に基づいて、本願請求項4に係る発明は、以下の引用文献1~3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特表2009-539727号公報
2.特開2000-39919号公報
3.特開2013-18617号公報
第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって請求項2に次の補正がされた。
1.「前記ずれ量に変化の可能性があると判定された場合」を「前記搬送車の前記走行状況として、閾値以上の、高速走行、急旋回、急停止、及び、衝突のうちの少なくとも1つが生じたと前記状態判定部が判定した場合に、前記ずれ量が変化した可能性があるとして」と補正する。
この補正は、「ずれ量に変化の可能性」との記載を、段落【0058】の「ステップS406では、ずれ判定部106は、ずれ量6が変化したか否かを判定する。」に基づき、「ずれ量が変化した可能性」に補正するとともに、その可能性の条件として段落【0053】の記載に基づき「前記搬送車の前記走行状況として、閾値以上の、高速走行、急旋回、急停止、及び、衝突のうちの少なくとも1つが生じたと前記状態判定部が判定した場合」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
2.「ずれ量に変化の可能性があるか否かを判定する」を「ずれ量が変化した可能性があるか否かを判定する」と補正する。
この補正は、上記1の補正と記載を整合させるものである。
そして、これらの補正は、上記のとおり、当初明細書等に記載された事項に基づくものであり、新規事項を追加するものではないといえる。
さらに、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1~5に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
第4 本願発明
本願請求項1~5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明5」という。)は、審判請求時の補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
搬送物を搬送する搬送車の位置を取得する自己位置取得部と、
前記搬送車に積載している前記搬送物の位置を算出する搬送物位置演算部と、
前記搬送物の位置と前記搬送車の位置とからずれ量を算出するずれ計測部と、
前記ずれ量に基づいて、前記搬送物を設置する位置として予め決めておいた初期位置に前記搬送物を設置できるように、前記搬送車の新たな到着目標位置を設定する補正位置設定部と、
前記搬送車の位置と前記ずれ量とを用いて、前記搬送車の走行経路を前記ずれ量に応じて補正する走行経路設定部と、
を備え、
前記搬送物がずれた状態のまま前記走行経路に沿って前記搬送車を移動させることを特徴とする位置ずれ補正装置。
【請求項2】
前記ずれ量を記憶する記憶部と、
前記搬送車の走行状況に基づいて、前記ずれ量が変化した可能性があるか否かを判定する状態判定部と、をさらに備え、
前記搬送車の前記走行状況として、閾値以上の、高速走行、急旋回、急停止、及び、衝突のうちの少なくとも1つが生じたと前記状態判定部が判定した場合に、前記ずれ量が変化した可能性があるとして、前記ずれ計測部は、前記ずれ量を算出し、前記記憶部に記憶する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置ずれ補正装置。
【請求項3】
前記搬送車に対して前記搬送物を搬送する指示である搬送指示情報を送信するコントローラと通信可能であって、
前記搬送物の識別情報と、その搬送物の位置とを、前記コントローラに送信する搬送物位置送信部と、
前記コントローラから、取りに行く前記搬送物の位置および当該搬送物の識別情報を受信する搬送物位置受信部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の位置ずれ補正装置。
【請求項4】
前記補正位置設定部は、
前記搬送物を押し付けることによって前記搬送物のずれを補正するずれ補正器に前記搬送物を押し付けながら、前記ずれ量を減らすように走行するための走行経路を算出することを特徴とする請求項1に記載の位置ずれ補正装置。
【請求項5】
搬送物を搬送する搬送車の位置を取得する自己位置取得部、
前記搬送車に積載している前記搬送物の位置を算出する搬送物位置演算部、
前記搬送物の位置と前記搬送車の位置とからずれ量を算出するずれ計測部、
前記ずれ量に基づいて、前記搬送物を設置する位置として予め決めておいた初期位置に前記搬送物を設置できるように、前記搬送車の新たな到着目標位置を設定する補正位置設定部、
前記搬送車の位置と前記ずれ量とを用いて、前記搬送車の走行経路を前記ずれ量に応じて補正する走行経路設定部、
前記搬送物の識別情報と、その搬送物の位置とを、コントローラに送信する搬送物位置送信部、
前記コントローラから、取りに行く搬送物の位置および当該搬送物の識別情報を受信する搬送物位置受信部、
を備える位置ずれ補正装置と、
前記搬送物位置送信部から前記搬送物の識別情報とその搬送物の位置とを受信し、前記位置ずれ補正装置を備える搬送車に対して、取りに行かせる搬送物の位置を送信する前記コントローラと、
を備え、
前記搬送車は、前記搬送物がずれた状態のまま前記走行経路に沿って前記搬送車を移動させる
ことを特徴とする位置ずれ補正システム。」
第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(ただし、下線は当審で付与した。)。
「【0031】
位置センサ140は、あらゆる適切な方向で移動式駆動ユニット20の場所を決定するのに適した、1つ又はそれよりも多くのセンサ、検出器、又は、他の構成部品を示す。例えば、具体的な実施態様において、在庫システム10に関連付けられる作業空間は、多数の基準マークを含み、そのマークは、作業空間の全て又は一部をカバーする二次元グリッド上を指します。そのような実施態様において、位置センサ140は、位置センサ140がカメラの視野内で基準マークを検出するのを可能にするよう、カメラ並びに適切にプログラムされたデジタル信号プロセッサのような画像及び/又はビデオ処理構成部品を含み得る。制御モジュール160は、位置センサ140が基準マークを検出するときに位置センサ140が更新する場所情報を記憶し得る。結果的に、位置センサ140は、移動式駆動ユニット20の場所の正確な特定を維持し、作業空間内で移動するときの操縦を助けるために、基準マークを利用し得る。」
「【0052】
加えて、移動式駆動ユニット20に対する在庫ホルダ30の場所は、運搬中にシフト(移動)し得る。結果的に、それ自体を基準印50bと整列するよう移動式駆動ユニット20によって取られる如何なるステップにも拘わらず、在庫ホルダ30の場所は、切離し後、基準印50bと適切に整列され得ない。その上、具体的な実施態様において、移動式駆動ユニット20は、在庫システム10の作業空間内で操縦するために、在庫ホルダの予想場所を使用し得る。結果的に、もし在庫ホルダ30が、基準印50bと適切に整列されずに、要求される目的地に残されるならば、他の移動式駆動ユニット20は、在庫ホルダ30と干渉し得るし、他の移動式駆動ユニット20は、引き続き、在庫ホルダ30との結合に困難を有し、且つ/或いは、他の関連する問題が起こり得る。結果的に、移動式駆動ユニット20は、在庫ホルダ30が基準印50bと適切に整列されることを確認しようと試み、もしそうでないならば、在庫ホルダ30を基準印50bと整列する適切なステップを取り得る。
【0053】
例えば、具体的な実施態様において、移動式駆動ユニット20は、在庫ホルダ30から切離し後、在庫ホルダ30の場所を決定し得る。移動式駆動ユニット20は、在庫ホルダ30の場所を検出するために、ホルダセンサ150を利用し得る。ホルダセンサ150によって検出される情報に基づいて、移動式駆動ユニット20は、移動式駆動ユニット20の場所と在庫ホルダ30の場所との間の差を決定し得る。もし差がある所定公差よりも大きいならば、移動式駆動ユニット20は、図4F-4Hに示されるように、在庫ホルダ30を移動式駆動ユニット20の現在場所及び/又は基準印50bとより緊密に整列するよう在庫ホルダ30を移動することを試み得る。」
「【0087】
図8は、在庫ホルダ30の不整列を検出し且つ矯正するときに移動式駆動ユニット20の特定の実施態様によって利用され得る他の例示的な技法を例証している。具体的には、図8は、移動式駆動ユニット20が、要求される目的地への輸送中に、在庫ホルダ30が不整列であることを決定し、要求される目的地に到達する前に、この不整列を矯正する技法を例証している。図8に例証されるステップの一部は、適切である場合には、組み合わされ、変更され、或いは、削除され得るし、追加的なステップもフロー図に加えられ得る。加えて、ステップは、本発明の範囲から逸脱せずに如何なる適切な順序においても遂行され得る。
【0088】
この実施態様において、動作はステップ900で開始し、移動式駆動ユニット20は、移動されるべき在庫ホルダ30又は移動されるべき在庫ホルダ30のための場所を識別する命令を受信する。命令を受信することに応答して、移動式駆動ユニット20は、ステップ902で、識別される在庫ホルダ30のための開始場所又は開始場所付近に移動する。具体的な実施態様において、移動式駆動ユニット20は、ステップ904で、移動式駆動ユニット20を識別される在庫ホルダ30の下に位置付け、或いは、移動式駆動ユニット20を在庫ホルダ30と整列するための如何なる他の調節をも遂行し、結合のために、移動式駆動ユニット20又は在庫ホルダ30を準備し、且つ/或いは、その他の方法で結合又は輸送を容易化する。
【0089】
次に、移動式駆動ユニット20は、ステップ906で、結合を開始し得る。具体的な実施態様において、移動式駆動ユニット20は、結合ヘッド110を上昇することによって結合を開始し得る。結合ヘッド110が在庫ホルダ30の結合表面350と接触すると、移動式駆動ユニット20は在庫ホルダ30を地面から離して持ち上げ始める。結果的に、そのような実施態様において、移動式駆動ユニット20は、移動式駆動ユニット20が在庫ホルダ30と結合されるや否や、在庫ホルダ30を支持する。ステップ908で、移動式駆動ユニット20は、受信される命令によって要求される目的地に向かって在庫ホルダ30を移動する。
【0090】
要求される目的地に向かって移動する間のある地点で、移動式駆動ユニット20は、ステップ910に示されるように、移動式駆動ユニット20に対する在庫ホルダ30の場所を決定し得る。例えば、具体的な実施態様において、移動式駆動ユニット20は、在庫ホルダ30を要求される目的地に移動する間、移動式駆動ユニット20に対する在庫ホルダ30の場所を定期的に確認するよう構成され得る。次に、移動式駆動ユニット20は、ステップ912で、移動式駆動ユニット20と結合される間、在庫ホルダ30の場所とその想定される場所との間の差を計算する。具体的な実施態様において、移動式駆動ユニット20は、在庫ホルダ30が、移動式駆動ユニット20と結合され且つ適切に整列されるとき、移動式駆動ユニット20に対する(ホルダ識別子360のような)在庫ホルダ30の具体的な部分の想定される場所を特定する情報でプログラムされ得る。そのような実施態様において、関連する部分の場所と在庫ホルダ30のその部分の想定される場所との間の差に基づいて、移動式駆動ユニット20は、在庫ホルダ30の場所とその想定される場所との間の差を計算し得る。
【0091】
ステップ914で、移動式駆動ユニット20は、次に、在庫ホルダ30の実際の場所と在庫ホルダ30の想定される場所との間の差が、所定の公差よりも大きいか否かを決定する。もし差が所定の公差よりも大きくないならば、ステップ924で、移動式駆動ユニット20の動作は継続する。もし、代わりに、差が所定の公差よりも大きいならば、移動式駆動ユニット20は、ステップ916で、この差に基づき矯正値を決定し得る。上記されたように、移動式駆動ユニット20は、具体的な実施態様において、移動式駆動ユニット20に対する(ホルダ識別子360のような)在庫ホルダ30の具体的な部分の想定される場所を特定する情報でプログラムされ得る。移動式駆動ユニット20は、移動中、在庫ホルダ30のこの部分の場所を決定し、もし関連する部分の場所が、その想定される場所と、所定の公差よりも異なるならば、不整列の大きさ及び/又は方向に基づいて、適切な矯正値を決定し得る。例えば、もし移動式駆動ユニット20が、在庫ホルダ30の関連する部分が在庫ホルダ30のこの部分のために想定される場所の4分の1東にあると決定するならば、移動式駆動ユニット20は、4分の1西にある矯正値を決定し得る。
【0092】
次に、移動式駆動ユニット20は、ステップ918で、在庫ホルダ30から切り離される。ステップ920で、移動式駆動ユニット20は、矯正値に基づいて決定される距離及び/又は方向に移動する。4分の1不整列の実施例に戻ると、移動式駆動ユニット20は、この不整列のために計算される矯正値に従って、不整列を矯正するために4分の1インチ西に移動する。次に、矯正値に基づくあらゆる適切な動作を完了した後、移動式駆動ユニット20は、ステップ922で、在庫ホルダ30と再結合する。
【0093】
あらゆる不整列を矯正し、或いは、如何なる不整列も所定の公差未満であると決定した後、移動式駆動ユニット20は、ステップ924で、要求される目的地に向かって移動し続け得る。ステップ926で、移動式駆動ユニット20は、次に、移動式駆動ユニット20が要求される目的地に到達したか決定し得る。次に、移動式駆動ユニット20は、ステップ928で、在庫ホルダ30から切り離され得る。切離し後、移動式駆動ユニット20は、次に、ステップ930で、在庫ホルダ30から離れるよう移動し、他の命令に応答し得る。その場合には、この具体的な在庫ホルダ30を移動することに関する移動式駆動ユニット20の動作は、図8に示されるように、終了し得る。」
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「在庫ホルダ30を搬送する移動式駆動ユニット20の場所を決定する位置センサ140と、
移動式駆動ユニット20に積載している在庫ホルダ30の場所を検出するホルダセンサ150と、
を備え、
移動式駆動ユニット20の場所と在庫ホルダ30の場所との間の差を決定し、
移動式駆動ユニット20の場所と在庫ホルダ30の場所との間の差に基づいて、矯正値を決定し、矯正値に基づいて決定される距離及び/又は方向に移動する移動式駆動ユニット20。」
2.引用文献3について
また、原査定において周知技術として引用された上記引用文献3の段落【0018】及び第1図の記載からみて、当該引用文献3には、レールRに沿って移動する走行台車3という技術的事項が記載されていると認められる。
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
引用発明における「在庫ホルダ30を搬送する移動式駆動ユニット20の場所を決定する位置センサ140」及び「移動式駆動ユニット20に積載している在庫ホルダ30の場所を検出するホルダセンサ150」は、各々本願発明1における「搬送物を搬送する搬送車の位置を取得する自己位置取得部」及び「前記搬送車に積載している前記搬送物の位置を算出する搬送物位置演算部」に相当する。
また、引用発明における「移動式駆動ユニット20の場所と在庫ホルダ30の場所との間の差を決定」することは、ずれを決定するのであるから、本願発明1における「前記搬送物の位置と前記搬送車の位置とからずれ量を算出するずれ計測部」と実質的な差異はない。
さらに、引用発明における「移動式駆動ユニット20の場所と在庫ホルダ30の場所との間の差に基づいて、矯正値を決定し、矯正値に基づいて決定される距離及び/又は方向に移動する」ことは、移動する目標を矯正するのであるから、本願発明1における「前記ずれ量に基づいて、前記搬送物を設置する位置として予め決めておいた初期位置に前記搬送物を設置できるように、前記搬送車の新たな到着目標位置を設定する補正位置設定部」と実質的な差異はない。
そして、引用発明における、末尾の「移動式駆動ユニット20」は、引用発明として認定した事項からすれば、本願発明1における「位置ずれ補正装置」といえるものである。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「搬送物を搬送する搬送車の位置を取得する自己位置取得部と、
前記搬送車に積載している前記搬送物の位置を算出する搬送物位置演算部と、
前記搬送物の位置と前記搬送車の位置とからずれ量を算出するずれ計測部と、
前記ずれ量に基づいて、前記搬送物を設置する位置として予め決めておいた初期位置に前記搬送物を設置できるように、前記搬送車の新たな到着目標位置を設定する補正位置設定部と、
を備える位置ずれ補正装置。」
(相違点1)
本願発明1は「前記搬送車の位置と前記ずれ量とを用いて、前記搬送車の走行経路を前記ずれ量に応じて補正する走行経路設定部」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。
(相違点2)
本願発明1は「前記搬送物がずれた状態のまま前記走行経路に沿って前記搬送車を移動させる」のに対し、引用発明はそのような移動をさせているか不明な点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討すると、相違点1に係る本願発明1の「前記搬送車の位置と前記ずれ量とを用いて、前記搬送車の走行経路を前記ずれ量に応じて補正する走行経路設定部」という構成は、本願明細書の段落【0061】以下に記載された<第3の実施形態>を意味していることは明らかであり、図5に示されているように、搬送車の中心を実線8で示される走行経路から一点鎖線9で示される走行経路に補正するものである。
そして、このように、走行経路を補正することは、引用文献1には記載されておらず、引用文献3もレールRに沿って移動する走行台車3である以上、レールRとは別の走行経路を移動することは不可能である。
したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献3に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2~4について
本願発明2~4は、本願発明1を引用するものであるから、本願発明1とと同じ理由により、当業者であっても引用発明、引用文献3に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
3.本願発明5について
本願発明5も、本願発明1の「前記搬送車の位置と前記ずれ量とを用いて、前記搬送車の走行経路を前記ずれ量に応じて補正する走行経路設定部」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明、引用文献3に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第7 原査定について
1.理由2(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により、本願発明1~5は「前記搬送車の位置と前記ずれ量とを用いて、前記搬送車の走行経路を前記ずれ量に応じて補正する走行経路設定部」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1~3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由2を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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