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特許拒絶査定不服審判

2017-005508

給電装置、および非接触給電システム

審判番号
2017-005508
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-521319
請求日
2017年04月18日
審決日
2018年04月02日
公報発行日
2018年07月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社IHI
  • 【請求人代理人】寺本 光生
  • 【請求人代理人】志賀 正武
  • 【請求人代理人】高橋 久典
審判長/審判官
  • 審判長 中川 真一
  • 審判官 藤井 昇
  • 審判官 遠藤 尊志
分類
P18 .121-Z (H02J) / P18 .57 -Z (H02J) / P18 .575-Z (H02J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-521319「給電装置、および非接触給電システム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月11日国際公開、WO2014/196239〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2014年(平成26年)3月12日(優先権主張2013年(平成25年)6月4日)を国際出願日とする出願であって、平成28年7月1日付けで拒絶理由の通知に対し、平成28年9月2日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成29年1月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年4月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成29年4月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定 〔補正の却下の決定の結論〕 平成29年4月18日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 〔理由〕 1.本件補正について(補正の内容) (1)本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は補正箇所である。)。 「【請求項1】 直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、前記交流電力に基づき、受電装置に向かって非接触にて電力を伝送する共振回路と、 所定の素子の状態情報に基づくスイッチング周波数で前記インバータ回路を制御する制御部と、を有し、 前記スイッチング周波数は、前記インバータ回路の力率が最大となる周波数である、給電装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、平成28年9月2日の手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。 「【請求項1】 直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、前記交流電力に基づき、受電装置に向かって非接触にて電力を伝送する共振回路と、 所定の素子の状態情報に基づくスイッチング周波数で前記インバータ回路を制御する制御部と、を有し、 前記スイッチング周波数は、前記受電装置に対する給電効率が最大となる周波数である、給電装置。」 2.目的要件について 本件補正が,特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについて検討する。 本件補正は、特許請求の範囲について請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記スイッチング周波数は前記給電効率が最大となる周波数である」を「前記スイッチング周波数は前記インバータ回路の力率が最大となる周波数である」とする補正を含んでいる。 給電効率が最大となる周波数とインバータ回路の力率が最大となる周波数では、概念が異なるため、この補正は発明特定事項を限定しているものではなく、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。 また、この補正は、請求項の削除でも,誤記の訂正でも、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてする明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもないことは明らかである。 そうすると、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定に違反するものである。 3.小括 以上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり,同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって,補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 4.独立特許要件について 本件補正が,特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であると仮定して,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 4-1.引用例及びその記載事項 (1)引用例1 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2008-263710号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 本発明は、送電アンテナに電流を流して、発生する磁界により受電アンテナを通じて電力を供給する無線給電システムに係り、例えば、体外から無線によりカプセル内視鏡に給電する無線給電システムに関する。」 (イ)「【0006】 このようなカプセル内視鏡システムの具体的な構成を説明すると、図10に示すように、前記複数の一次コイル111a~113bの各一次コイルに対して、一次コイル共振用コンデンサ122、124、126を接続している。そして、これら一次コイル共振用コンデンサ122、124、126にそれぞれスイッチング回路121、123、125を接続し、これらスイッチング回路121、123、125には、直流電源115が接続されている。」 (ウ)「【0013】 ところで、前記したような従来の無線給電システムにおいて、通常の送電アンテナ(以下、一次コイルと共振用コンデンサを含んだものを送電アンテナとする。)の駆動方法を考えると、送電アンテナが図10に示すようなコイルとコンデンサからなる直列共振回路を構成する場合には、送電アンテナの駆動周波数がこの直列共振回路の共振周波数と一致するとき、送電アンテナのインピーダンスは最も低くなる。そのため、送電アンテナの駆動電圧を一定とした場合には、送電アンテナの駆動電流をもっとも多く流すことができる。」 (エ)「【0014】 しかしながら、周知のようにコンデンサ容量値には温度特性があり、コンデンサの素子温度とともに容量値が変化する。従って、コンデンサの温度が変化すると、コンデンサ等より構成される送電アンテナの共振周波数が変化することになり、当初の駆動周波数と共振周波数が一致していても、コンデンサの温度変化とともに共振周波数が変化し、徐々に駆動周波数と共振周波数がずれることになる。」 (オ)「【0015】 そして、駆動周波数と共振周波数とがずれた場合には、送電アンテナのインピーダンスは高くなり、送電アンテナの駆動電流は流れにくくなる。そのような状態においては、カプセル内視鏡100が動作するのに必要な電流を確保するためには、駆動電圧を高くしなければならない。また、送電アンテナと受電アンテナの位置関係などによっては、実効的な一次回路のコイルのインダクタンスL値が変化することも発生する。」 (カ)「【0016】 以上のことから、直列共振回路を有する従来の無線給電システムでは、駆動周波数が共振周波数からずれるとインピーダンスは急激に高くなり、共振周波数からわずかにずれただけでも、駆動電圧を大幅に高くしないと必要な電流が得られなくなるので、カプセル内視鏡100の給電効率が大幅に低下するといった問題点があった。」 (キ)「【0018】 そこで、本発明は前記問題点に鑑みてなされたもので、送電アンテナの共振周波数と駆動周波数にずれが発生したとしても、常に駆動周波数を共振周波数に一致させるように制御を行い、常時、共振周波数にて効率的に送電アンテナを駆動させることを可能にする無線給電システムを提供することを目的とする。」 (ク)「【0022】 (第1の実施の形態) 図1から図5は本発明に係る無線給電システムの第1の実施の形態を示し、図1は第1の実施の形態の無線給電システムの全体構成を示すブロック図、図2は図1のカプセル内視鏡を患者の口から挿入する状態を示す説明図、図3は図1の共振用コンデンサの温度及び容量に基づく温度特性を示すグラフ、図4は送電アンテナの駆動周波数に基づくインピーダンス特性及び駆動電流特性を示すグラフ、図5は第1の実施の形態の動作を説明するもので図1の制御部による制御例を示すフローチャートである。」 (ケ)「【0023】 尚、後述する本発明に係る各実施の形態は、受電アンテナを有するカプセル内視鏡を備えたカプセル内視鏡システムに適用した場合について説明するが、それ以外の無線給電システムにも、勿論適用可能である。」 (コ)「【0024】 図1に示すように、第1の実施の形態の無線給電システム1は、患者の体内に滞留されるカプセル状の医療用小型機器としてのカプセル内視鏡2と、この体内に滞留されたカプセル内視鏡2に体外から無線給電方式にて電力を供給するための無線給電装置3とを有して構成されている。」 (サ)「【0025】 カプセル内視鏡2は、周知のように、図示はしないが撮像部、画像情報処理部、情報伝達部、電源部2A(図1参照)等を有して構成され、体内の例えば消化器系臓器等の画像を取得する装置である。 尚、図1に示すカプセル内視鏡2は、本発明の構成要素に関わらない構成については不図示であり、概略構成について後述する。」 (シ)「【0032】 次に、無線給電装置3の構成について、図1を参照しながら説明する。 図1に示すように、無線給電装置3は、送電アンテナ4と、検出部を構成する温度検出部6と、駆動回路7と、駆動電圧源8と、発振器9と、コントローラ等の制御部10とを有して構成されている。」 (ス)「【0034】 この送電アンテナ4は、送電コイル4a、4bと共振用コンデンサ5が接続されたLC直列共振タイプの送電アンテナである。 また、この送電アンテナ4は、患者の体内に滞留しているカプセル内視鏡2が正常に動作するために、患者の体外に配置されるようになっている。具体的には、送電アンテナ4は、例えば、ヘルムホルツ型に構成されたもので、患者の体を挟み込むように送電コイル4aと他方の送電コイル4bとが配置される。」 (セ)「【0037】 この駆動回路7には、送電アンテナ4に駆動電圧を供給するための駆動電圧源8と、前記送電アンテナ4を駆動するためのクロック信号を生成する発振器9とが電気的に接続されている。」 (ソ)「【0038】 前記駆動電圧源8と前記発振器9には、無線給電システム1全体を制御可能なコントローラ等の制御部10が電気的に接続されている。制御部10は、前記駆動電圧源8と前記発振器9とを制御する。このことにより、送電アンテナ4は、発振器9からのクロック信号と駆動電圧源8から出力される電圧により、駆動回路7を介して駆動される。」 (タ)「【0039】 また、制御部10には、送電アンテナ4の共振周波数を求めるための送電アンテナ4の動作情報を検出する検出部としての温度検出部6が電気的に接続されている。」 (チ)「【0040】 この温度検出部6は、共振用コンデンサ5に直接又は近傍に設けられたもので、前記送電アンテナ4の動作情報、具体的には共振用コンデンサ5の温度を検出し、検出結果を前記制御部10に出力するようになっている。」 (ツ)「【0041】 制御部10は、前記温度検出部6による検出結果に基づいて、前記送電アンテナ4の共振周波数frを決定し、前記送電アンテナ4の駆動周波数が前記共振周波数frに一致するように前記発振器9を制御する。」 (テ)「【0043】 すなわち、制御部10は、前記温度検出部6により検出した共振用コンデンサ5の温度と、前記記憶部11に記憶している共振用コンデンサ5の温度特性データとに基づいて共振用コンデンサ5の容量値Cを求め、この求めた共振用コンデンサ5の容量値Cから、前記送電アンテナ4の共振周波数frを決定するようにしている。」 (ト)「【0047】 次に、制御部10による送電アンテナ4の共振周波数frの算出方法について、図4を参照しながら説明する。 ここで、送電アンテナ4のインダクタンス成分(送電コイル4aと送電コイル4bとを合わせたもの)をLとし、共振用コンデンサ5の容量成分をCとすると、送電アンテナ4の共振周波数frは以下の式により決定される。」 (ナ)「【0048】 fr=1/2π√LC      …(式1) 従って、制御部10は、前記したように図3に示す温度特性データに基づき送電コイル4a、4bの容量成分C(容量値)が求められているので、前記(式1)より送電アンテナ4の共振周波数frを算出して決定することができる。そして、制御部10によって、この決定した送電アンテナ4の共振周波数frに発振器9の発振周波数を一致させるように制御すれば、送電アンテナ4を共振周波数frにて駆動することができる。」 (ニ)「【0049】 また、送電アンテナ4のインピーダンス特性について考慮すると、共振用コンデンサ5と送電コイル4a、4bとが直列接続されてLC直列共振回路を構成している場合、送電アンテナ4のインピーダンス特性は、図4に示すように、共振周波数frのとき、インピーダンスΩが最小になる。」 (ヌ)「【0050】 すなわち、インピーダンスΩが最小になるということは、送電アンテナ4の駆動電圧が一定の場合、駆動電流DIは最大になることを意味する。従って、LC直列共振回路は、共振周波数frにて送電アンテナ4を駆動することができれば、低い駆動電圧で電流を多く流すことができ、効率的な駆動が可能となる。」 (ネ)「【0063】 従って、第1の実施の形態によれば、周囲温度の変化や駆動による共振用コンデンサの発熱によりコンデンサの温度が上昇しコンデンサ容量値が変化し、共振周波数と駆動周波数にずれが発生したとしても、常に駆動周波数を共振周波数に一致させるように制御を行うことができる。 このことにより、常時、共振周波数にて効率的に送電アンテナを駆動させることができるとともに、少ない送電電力にて効率良く受電アンテナに電力を送信することが可能となる。」 (ノ)「【0064】 (第2の実施の形態) 図6から図8は本発明に係る無線給電システムの第2の実施の形態を示し、図6は第2の実施の形態の無線給電システムの全体構成を示すブロック図、図7は第2の実施の形態の動作を説明するもので図6の制御部による制御例を示すフローチャート、図8は図7に示す制御部による制御例の変形例を示すフローチャートである。 尚、図6は前記第1の実施の形態と同様な構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。」 (ハ)「【0065】 図6に示すように、第2の実施の形態の無線給電システム1Aは、図1の前記第1の実施の形態の無線給電システム1と略同様に構成されるが、温度検出部6に替えて、検出部を構成する電流検出部12を設けて構成している。」 (ヒ)「【0068】 制御部10は、駆動電圧源8を制御して送電アンテナ4の駆動電圧を一定にした後、送電アンテナ4の駆動周波数をスイープ走査し、スイープ走査中において、電流検出部12からの検出結果に基づいて前記送電アンテナ4の駆動電流が最大となる周波数を検出し、この検出した周波数に前記送電アンテナ4の駆動周波数を一致させるように制御する。」 (フ)「【0071】 また、前記第1の実施の形態では、制御部10内部に共振用コンデンサ5の温度特性データを記憶した記憶部11を設けたが、第2の実施の形態では、温度特性データは不要であるため記憶部11を必要としない。この場合、記憶部11を残して温度特性データのみを削除しても良い。また、残した記憶部11に他に必要なデータ等を記憶するようにしても良い。」 (ヘ)「【0072】 その他の構成は、前記第1の実施の形態と同様である。」 (ホ)「【0087】 尚、第2の実施の形態の制御部10は、後述する図8の変形例に示すようなプログラムに基づいて制御しても良い。このような変形例を図8を参照しながら説明する。 図8の制御部によるフローチャートは、前記第2の実施の形態において、一定の時間が経過した場合に対応したものである。」 (マ)「【0089】 従って、図8に示すように、制御部10は、送電アンテナ4の駆動周波数を駆動電流DIが最大となる周波数fに設定し、ステップS14の処理で一定時間経過後に再び、送電アンテナ4の駆動電流DIを検出し(ステップS10)、駆動周波数に対して駆動電流DIが最大であるかどうか判断し(ステップS11)、最大になっていなければ送電アンテナ4の駆動電流が最大となるように、ステップS12を介してステップS10~ステップS11、及びステップS13により発振器9の発振周波数を再度設定し直すように制御する。」 (ミ)「【0090】 このように、制御部10によって、送電アンテナ4の駆動電流の検出を連続的又は一定周期毎に行うことにより、送電アンテナ4の共振周波数frが変化しても、確実に駆動周波数fが共振周波数frと一致するように追従させることが可能となり、効率的な送電アンテナ4の駆動が可能となる。」 (ム)無線給電システム1が「非接触にて電力を伝送する」システムであることは、当業者にとって自明である。前記(コ)(ス)の記載からみて、LC直列共振タイプの送電アンテナ4が、交流電力に基づき、カプセル内視鏡2に向かって非接触にて電力を伝送することが理解できる。 そして、前記(ソ)(ツ)(ナ)(ヘ)の記載からみて、第1及び第2の実施の形態において、制御部10は、発振器9の発振周波数を制御することにより、送電アンテナ4をその共振周波数frで駆動するように駆動回路7を制御するものであることが理解できる。 (メ)また、前記(ソ)(ナ)(ニ)(ヌ)(ハ)(ヒ)(ヘ)の記載からみて、第2の実施の形態は、送電アンテナ4を流れる電流の値に基づいて送電アンテナ4の駆動電流が最大となる周波数を検出して、この検出した周波数は、送電アンテナ4の共振周波数frになるから、共振周波数frを決定することになり、制御部10は、発振器9の発振周波数を制御することにより、送電アンテナ4をその共振周波数frにて駆動するように駆動回路7を制御するものであることが理解できる。 これらの記載事項、特に第1の実施の形態についての説明からみて、引用例1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明1] 「駆動回路7と、 前記交流電力に基づき、カプセル内視鏡2に向かって非接触にて電力を伝送するLC直列共振タイプの送電アンテナ4と、 共振用コンデンサ5の温度の検出結果に基づいて送電アンテナ4の共振周波数frを決定し、前記送電アンテナ4の駆動周波数が前記共振周波数frに一致するように発振器9を制御し、発振器9の発振周波数を制御することにより送電アンテナ4を駆動するように駆動回路7を制御する制御部10と、を有し、 前記送電アンテナ4の駆動周波数は、送電アンテナ4の共振周波数frである、 無線給電装置3。」 また、第2の実施の形態についての説明からみて、引用例1には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明2] 「駆動回路7と、 前記交流電力に基づき、カプセル内視鏡2に向かって非接触にて電力を伝送するLC直列共振タイプの送電アンテナ4と、 送電アンテナ4を流れる電流の値に基づいて送電アンテナ4の共振周波数frを決定し、発振器9の発振周波数を制御することにより、送電アンテナ4をその共振周波数frにて駆動するように駆動回路7を制御する制御部10と、を有し、 送電アンテナ4の駆動周波数は、送電アンテナ4の共振周波数frである、 無線給電装置3。」 4-2.技術常識及び周知の技術的事項 (1)力率が最大となる周波数 例えば、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2010-166693号公報(以下、「引用例2」という。)の段落【0023】、【0024】に「ここで、回路Aはコイルとコンデンサから構成されているため、共振現象が発生する。この共振周波数をf0として位相差を見てみると、電圧型インバータ部13の駆動周波数(インバータ駆動周波数)がf0より低い領域では進み位相(位相差が負)となり、f0より高い領域では遅れ位相(位相差が正)となる。……また、共振周波数f0と電圧パルスの周波数が一致した場合は、図11(b)のように電圧・電流の位相差が零となり、時刻tにおける電流は零となり零電流スイッチングができる。」、「次に、力率について説明する。力率は電流と電圧の位相差のコサインを取ったものであるから、位相差が零であるとき力率は最も高くなる。……このように、インバータ駆動周波数を共振周波数f0に一致させることにより、力率を「1」とし、電圧型インバータ部13が零電流スイッチングするため、高効率な運転が可能となる。」と記載されているように、共振回路を駆動する場合、共振周波数で駆動すると力率が最大の「1」になることは、周知の技術的事項であり、電気技術分野における技術常識でもある。 (2)非接触給電装置をインバータ回路で駆動すること 例えば、引用例2の段落【0010】、【0011】に「図1は、本発明の第1の実施形態に係る非接触給電装置の構成図である。」、「給電側回路10は……直流電源部12から出力される直流電圧を1~50kHz程度の高周波電力に逆変換する電圧型インバータ部13と、電圧型インバータ部13から出力される高周波電力を受電側回路20に非接触で供給する送電コイル(1次コイル)14と、送電コイル14と直列に設けられて給電側の共振回路を構成する1次コンデンサ15とを有する。」と記載され、原査定の拒絶の理由で引用された特開2006-74848号公報(以下、「引用例3」という。)の段落【0001】、【0012】に「本発明は……非接触電力伝送装置に関する。」、「図1において1次側ユニットのインバータは1次側整流回路の直流出力を電源とする。前記インバータはハーフブリッジ接続され発振周波数可変2相発振器により駆動される。結合トランスの1次側コアに巻き線を巻き回し、1次側コイルを作る。この1次側コイルをL1とする。L1と直列に共振コンデンサC1を接続する。」と記載されているように、非接触給電装置をインバータ回路で駆動することは、周知の技術的事項である。 4-3.対比・判断 (1)引用発明1との対比・判断 (1-1)本件補正発明と引用発明1とを対比する。 引用発明1の「カプセル内視鏡2」及び「LC直列共振タイプの送電アンテナ4」は、それぞれ本件補正発明の「受電装置」及び「共振回路」に相当する。 引用発明1の「駆動回路7」と、本件補正発明の「インバータ回路」とは、共振回路を駆動する「駆動回路」である点で共通する。 引用発明1の「共振用コンデンサ5」は、「コンデンサ」や「コイル」とされている(本願の出願当初の請求項5を参照のこと。)本件補正発明の「所定の素子」に相当し、引用発明1の「温度」は、素子を流れる「電圧及び電流の値」または前記素子の「温度の値」とされている(本願の出願当初の請求項4を参照のこと。)本件補正発明の「状態情報」に相当する。 引用発明1の「送電アンテナ4の駆動周波数」及び「制御部10」は、それぞれ本件補正発明の「スイッチング周波数」及び「制御部」に相当する。 引用発明1の「共振用コンデンサ5の温度の検出結果に基づいて送電アンテナ4の共振周波数frを決定し、前記送電アンテナ4の駆動周波数が前記共振周波数frに一致するように発振器9を制御し、発振器9の発振周波数を制御することにより送電アンテナ4を駆動するように駆動回路7を制御する制御部10」と、本件補正発明の「所定の素子の状態情報に基づくスイッチング周波数で前記インバータ回路を制御する制御部」とは、「所定の素子の状態情報に基づくスイッチング周波数で駆動回路を制御する制御部」において共通する。 引用発明1の「送電アンテナ4の共振周波数fr」が、送電アンテナ4を駆動する回路の「力率が最大となる周波数」であることは、当業者にとって自明である(前記「(4-2)(1)」参照)。 そうすると、引用発明1の「送電アンテナ4の駆動周波数は、送電アンテナ4の共振周波数frである」態様と、本件補正発明の「スイッチング周波数はインバータ回路の力率が最大となる周波数である」態様とは、「スイッチング周波数は、駆動回路の力率が最大となる周波数である」ことで共通する。 引用発明1の「無線給電装置3」は、本件補正発明の「給電装置」に相当する。 (1-2)以上のことから、本件補正発明と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 [一致点] 駆動回路と、 交流電力に基づき、受電装置に向かって非接触にて電力を伝送する共振回路と、 所定の素子の状態情報に基づくスイッチング周波数で前記駆動回路を制御する制御部と、を有し、 前記スイッチング周波数は、前記駆動回路の力率が最大となる周波数である、給電装置。 [相違点] 駆動回路が、本件補正発明では、「直流電力を交流電力に変換するインバータ回路」及び「インバータ回路」であるのに対し、引用発明1では、駆動回路7であるものの、それ以上の特定はなされていない点。 (1-3)相違点についての判断 引用例1では、第1及び第2の実施の形態において、「駆動電圧源8」の具体的構成について説明していないが、これらの実施の形態が前提とする図10に示した従来技術では、段落【0006】で「駆動電圧源」が直流電源115であることが記載されている。したがって、引用例1には、第1及び第2の実施の形態における「駆動電圧源8」として、直流電力を供給する直流電源を用いることが示唆されているといえる。また、第1及び第2の実施の形態において、駆動回路7から送電アンテナ4に供給する電力が交流電力であることは当業者にとって自明である。 そうすると、引用例1には、駆動回路7を直流電源である駆動電圧源8からの直流電力を交流電力に変換するものとすることについての示唆があるといえる。 そして、非接触給電装置を直流電力を交流電力に変換するインバータ回路で駆動することは周知である(前記「4-2.(2)」参照)から、引用発明1の駆動回路7を直流電力を交流電力に変換するインバータ回路とすることは、設計や製造、保守の容易化やコスト等を考慮して当業者が適宜なし得る事項である。 しかも、本件補正発明が奏する効果も、引用発明1及び周知の技術的事項から当業者が予測できたものであって、格別顕著なものとはいえない。 したがって、本件補正発明は、引用発明1及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)引用発明2との対比・判断 (2-1)本件補正発明と引用発明2とを対比する。 引用発明2の「送電アンテナ4」は、本件補正発明の「所定の素子」に相当する。 引用発明2の「送電アンテナ4を流れる電流の値」は、素子を流れる「電圧及び電流の値」または前記素子の「温度の値」とされている(本願の出願当初の請求項4を参照のこと。)本件補正発明の「状態情報」に相当するから、本件補正発明の「所定の素子の状態情報」に相当する。 引用発明2の「送電アンテナ4を流れる電流の値に基づいて送電アンテナ4の共振周波数frを決定し、発振器9の発振周波数を制御することにより、送電アンテナ4をその共振周波数frにて駆動するように駆動回路7を制御する制御部10」と本件補正発明の「所定の素子の状態情報に基づくスイッチング周波数で前記インバータ回路を制御する制御部」とは、「所定の素子の状態情報に基づくスイッチング周波数で駆動回路を制御する制御部」で共通する。 引用発明2のその余の構成要素と、本件補正発明との対比は、前記「4-3.(1)(1-1)」で述べたとおりである。 (2-2)以上のことから、本件補正発明と引用発明2との一致点及び相違点は、前記「4-3.(1)(1-2)」で述べたとおりである。また、相違点についての判断は、前記「4-3.(1)(1-3)」で述べたとおりである。 したがって、本件補正発明は、引用発明2及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4-4.小括 以上のとおり、本件補正発明は、引用発明1又は引用発明2と、周知の技術的事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成29年4月18日にされた手続補正は、前記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年9月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみてその請求項1に記載された事項により特定される、前記「第2〔理由〕1.(2)」に記載のとおりのものである。 2.原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1,3,7~11に係る発明は,本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された発明と引用文献3及び引用文献4に記載される周知技術に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2008-263710号公報 引用文献2:特開2006-74848号公報 引用文献3:特開2012-23913号公報 引用文献4:特開2011-91882号公報 3.引用例及びその記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された引用例1及びその記載事項は、前記「第2〔理由〕4.4-1.(1)」に記載のとおりのものである。 4.対比・判断 前記「第2〔理由〕2.」で検討したように、本願発明は、本件補正発明を特定する事項である「前記スイッチング周波数は、前記インバータ回路の力率が最大となる周波数である」を「前記スイッチング周波数は、前記受電装置に対する給電効率が最大となる周波数である」とするものである。 そして、引用発明1の「共振用コンデンサ5の温度の検出結果に基づいて送電アンテナ4の共振周波数frを決定し、前記送電アンテナ4の駆動周波数が前記共振周波数frに一致するように発振器9を制御し、発振器9の発振周波数を制御することにより送電アンテナ4を駆動するように駆動回路7を制御する制御部10と、を有し、前記送電アンテナ4の駆動周波数は、送電アンテナ4の共振周波数frである」態様、及び、引用発明2の「送電アンテナ4を流れる電流の値に基づいて送電アンテナ4の共振周波数frを決定し、発振器9の発振周波数を制御することにより、送電アンテナ4をその共振周波数frにて駆動するように駆動回路7を制御する制御部10と、を有し、送電アンテナ4の駆動周波数は、送電アンテナ4の共振周波数frである」態様は、送電アンテナ4の駆動周波数を共振周波数frとすることによりカプセル内視鏡2に対する給電効率は最大となるから、いずれも本願発明の「所定の素子の状態情報に基づくスイッチング周波数で前記インバータ回路を制御する制御部と、を有し、前記スイッチング周波数は、前記受電装置に対する給電効率が最大となる周波数である」態様とは、「所定の素子の状態情報に基づくスイッチング周波数で駆動回路を制御する制御部と、を有し、前記スイッチング周波数は、受電装置に対する給電効率が最大となる周波数である」ことにおいて共通する。 引用発明1及び引用発明2のその余の構成要素と、本願発明との対比は、前記「第2[理由]4.4-3.(1)(1-1)」で述べたとおりである。 そうすると、本願発明と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 [一致点] 駆動回路と、 交流電力に基づき、受電装置に向かって非接触にて電力を伝送する共振回路と、 所定の素子の状態情報に基づくスイッチング周波数で前記駆動回路を制御する制御部と、を有し、 前記スイッチング周波数は、前記受電装置に対する給電効率が最大となる周波数である、給電装置。 [相違点] 駆動回路が、本願発明では、「直流電力を交流電力に変換するインバータ回路」及び「インバータ回路」であるのに対し、引用発明1では、駆動回路7であるものの、それ以上の特定はなされていない点。 そして、相違点についての判断は、前記「第2[理由]4.4-3.(1)(1-3)」で述べたとおりである。 そうすると、本願発明は、引用発明1及び周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本願発明と引用発明2との一致点及び相違点は、本願発明と引用発明1との一致点及び相違点と同じであり、また、相違点についての判断は、前記「第2[理由]4.4-3.(2)(2-2)」で述べたとおりである。 そうすると、本願発明は、引用発明2及び周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである 5.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-005508

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