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特許拒絶査定不服審判

2015-018848

無線電力伝送システム、受電装置、送電装置、及び無線電力伝送支援方法

審判番号
2015-018848
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2011-018259
請求日
2015年10月19日
審決日
2017年01月23日
公報発行日
2017年04月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】富士通テン株式会社
  • 【請求人代理人】平川 明
  • 【請求人】富士通株式会社
  • 【請求人代理人】平川 明
審判長/審判官
  • 審判長 堀川 一郎
  • 審判官 藤井 昇
  • 審判官 中川 真一
分類
P18 .121-Z (H02J) / P18 .537-Z (H02J) / P18 .536-Z (H02J) / P18 .57 -Z (H02J) / P18 .575-Z (H02J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第36条第5項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第159条第1項、特許法第53条第1項、特許法第36条、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2011- 18259「無線電力伝送システム,受電装置、送電装置、及び無線電力伝送支援方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月23日出願公開,特開2012-161145〕について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は,成り立たない。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 本願は,平成23年1月31日の出願であって,平成26年7月15日付けで拒絶理由が通知(発送日:同年7月22日)され,これに対し平成26年9月22日付けで意見書と手続補正書が提出された。次いで,平成26年12月10日付けで最後の拒絶理由が通知(発送日:同年12月16日)され,これに対し平成27年2月16日付けで意見書と手続補正書が提出されたが,この手続補正書でした手続補正は,平成27年7月7日付けで却下されるとともに,同日付けで拒絶査定(発送日:同年7月21日)がなされた。そして,平成27年10月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされた。 さらに,平成28年3月16日付けで上申書が提出されたものである。 第2.平成27年10月19日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正の却下の決定 〔補正の却下の決定の結論〕 本件補正を却下する。 〔理由I〕 1.補正の内容 本件補正前の平成26年9月22日付け手続補正書に記載された特許請求の範囲は,以下のとおりである。 「【請求項1】 無線で電力を送電する送電装置と,蓄電池に畜電された電力により駆動される移動体に搭載され,前記送電装置から無線で送電される電力を受電し蓄電池に畜電可能な受電装置と,を含む無線電力伝送システムであって, 無線電力伝送の開始準備を行い得る所定の条件が満たされたか否かを判定する条件判定部と, 前記所定の条件が満たされた場合に,前記送電装置と前記受電装置間の通信を確立し,前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とを取得する取得部と, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とに基づいて,前記送電装置と前記受電装置との間で給電可能か否かを判定する給電判定部と,を含み, 前記送電装置に関する情報は,課金条件の情報を含み, 前記受電装置に関する情報は,課金条件了解の情報を含む, 無線電力伝送システム。 【請求項2】 無線で電力を送電する送電装置と,蓄電池に蓄電された電力により駆動される移動体に搭載され,前記送電装置から無線で送電される電力を受電し蓄電池に蓄電可能な受電装置と,を含む無線電力伝送システムであって, 無線電力電送の開始準備を行ない得る所定の条件が満たされたか否かを判定する条件判定部と, 前記所定の条件が満たされた場合に,前記送電装置と前記受電装置間の通信を確立し,前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とを取得する取得部と, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とに基づいて,前記送電装置と前記受電装置の動作条件を設定する動作設定部と,を含み, 前記送電装置に関する情報は,課金条件の情報を含み, 前記受電装置に関する情報は,課金条件了解の情報を含む, 無線電力伝送システム。 【請求項3】 蓄電池に畜電された電力により駆動される移動体に搭載され,送電装置から無線で送電される電力を受電し蓄電池に畜電可能な受電装置であって, 無線電力伝送の開始準備を行い得る所定の条件が満たされたか否かを判定する条件判定部と, 前記所定の条件が満たされた場合に,前記送電装置に通信要求を送信して前記送電装置との通信を確立し,前記送電装置に関する情報を取得する取得部と, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とに基づいて,前記送電装置から受電可能か否かを判定する受電判定部と,を含み, 前記送電装置に関する情報は,課金条件の情報を含み, 前記受電装置に関する情報は,課金条件了解の情報を含む, 受電装置。 【請求項4】 蓄電池に畜電された電力により駆動される移動体に搭載され,送電装置から無線で送電される電力を受電し蓄電池に畜電可能な受電装置であって, 無線電力伝送の開始準備を行い得る所定の条件が満たされた場合に前記送電装置から通信要求を受信することによって,前記送電装置との通信を確立し,前記送電装置に関する情報を取得する取得部と, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とに基づいて,前記送電装置から受電可能か否かを判定する受電判定部と,を含み, 前記送電装置に関する情報は,課金条件の情報を含み, 前記受電装置に関する情報は,課金条件了解の情報を含む, 受電装置。 【請求項5】 蓄電池に蓄電された電力により駆動される移動体に搭載され,送電装置から無線で送電される電力を受電し蓄電池に蓄電可能な受電装置であって, 無線電力電送の開始準備を行ない得る所定の条件が満たされたか否かを判定する条件判定部と, 前記所定の条件が満たされた場合に,前記送電装置に通信要求を送信して前記送電装置との通信を確立し,前記送電装置に関する情報を取得する取得部と, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とに基づいて,前記送電装置と 前記受電装置の動作条件を設定する動作設定部と,を含み, 前記送電装置に関する情報は,課金条件の情報を含み, 前記受電装置に関する情報は,課金条件了解の情報を含む, 受電装置。 【請求項6】 蓄電池に蓄電された電力により駆動される移動体に搭載され,送電装置から無線で送電される電力を受電し蓄電池に蓄電可能な受電装置であって, 無線電力電送の開始準備を行ない得る所定の条件が満たされた場合に前記送電装置から通信要求を受信することによって,前記送電装置との通信を確立し,前記送電装置に関する情報を取得する取得部と, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とに基づいて,前記送電装置と 前記受電装置の動作条件を設定する動作設定部と,を含み, 前記送電装置に関する情報は,課金条件の情報を含み, 前記受電装置に関する情報は,課金条件了解の情報を含む, 受電装置。 【請求項7】 蓄電池に畜電された電力により駆動される移動体に搭載され,無線で送電される電力を受電し蓄電池に畜電可能な受電装置に,無線で電力を送電する送電装置であって, 無線電力伝送の開始準備を行い得る所定の条件が満たされた場合に前記受電装置から通信要求を受信することによって,前記受電装置との通信を確立し,前記受電装置に関する情報を取得する取得部と, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とに基づいて,前記受電装置に給電可能か否かを判定する給電判定部と,を含み, 前記送電装置に関する情報は,課金条件の情報を含み, 前記受電装置に関する情報は,課金条件了解の情報を含む, を含む送電装置。 【請求項8】 蓄電池に畜電された電力により駆動される移動体に搭載され,無線で送電される電力を受電し蓄電池に畜電可能な受電装置に,無線で電力を送電する送電装置であって, 無線電力電送の開始準備を行ない得る所定の条件が満たされたか否かを判定する条件判定部と, 前記所定の条件が満たされた場合に前記受電装置に通信要求を送信することによって,前記受電装置との通信を確立し,前記受電装置に関する情報を取得する取得部と, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とに基づいて,前記受電装置に給電可能か否かを判定する給電判定部と,を含み, 前記送電装置に関する情報は,課金条件の情報を含み, 前記受電装置に関する情報は,課金条件了解の情報を含む, 送電装置。 【請求項9】 蓄電池に畜電された電力により駆動される移動体に搭載され,無線で送電される電力を受電し蓄電池に畜電可能な受電装置に,無線で電力を送電する送電装置であって, 無線電力伝送の開始準備を行い得る所定の条件が満たされた場合に前記受電装置から通信要求を受信することによって,前記受電装置との通信を確立し,前記受電装置に関する情報を取得する取得部と, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とに基づいて,前記送電装置と前記受電装置の動作条件を設定する動作設定部と,を含み, 前記送電装置に関する情報は,課金条件の情報を含み, 前記受電装置に関する情報は,課金条件了解の情報を含む, 送電装置。 【請求項10】 蓄電池に畜電された電力により駆動される移動体に搭載され,無線で送電される電力を受電し蓄電池に畜電可能な受電装置に,無線で電力を送電する送電装置であって, 無線電力電送の開始準備を行ない得る所定の条件が満たされたか否かを判定する条件判定部と, 前記所定の条件が満たされた場合に前記受電装置に通信要求を送信することによって,前記受電装置との通信を確立し,前記受電装置に関する情報を取得する取得部と, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とに基づいて,前記送電装置と前記受電装置の動作条件を設定する動作設定部と,を含み, 前記送電装置に関する情報は,課金条件の情報を含み, 前記受電装置に関する情報は,課金条件了解の情報を含む, 送電装置。 【請求項11】 無線で電力を送電する送電装置と,蓄電池に畜電された電力により駆動される移動体に搭載され,前記送電装置から無線で送電される電力を受電し蓄電池に畜電可能な受電装置と,を含む無線電力伝送システムにおいて実行される無線電力伝送支援方法であって, 無線電力伝送の開始準備を行い得る所定の条件が満たされたか否かを判定するステップと, 前記所定の条件が満たされた場合に,前記送電装置と前記受電装置との通信を確立し,前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とを取得するステップと, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報に基づいて,前記送電装置と前記受電装置との間で給電可能か否かを判定するステップと,を含み, 前記送電装置に関する情報は,課金条件の情報を含み, 前記受電装置に関する情報は,課金条件了解の情報を含む, 無線電力伝送支援方法。 【請求項12】 無線で電力を送電する送電装置と,蓄電池に蓄電された電力により駆動される移動体に搭載され,前記送電装置から無線で送電される電力を受電し蓄電池に蓄電可能な受電装置と,を含む無線電力伝送システムにおいて実行される無線電力伝送支援方法であって, 無線電力電送の開始準備を行ない得る所定の条件が満たされたか否かを判定するステップと, 前記所定の条件が満たされた場合に,前記送電装置と前記受電装置間の通信を確立し,前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とを取得するステップと, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報に基づいて,前記送電装置と前記受電装置の動作条件を設定するステップと,を含み, 前記送電装置に関する情報は,課金条件の情報を含み, 前記受電装置に関する情報は,課金条件了解の情報を含む, 無線電力伝送支援方法。 【請求項13】 前記送電装置に関する情報は前記送電装置の仕様情報であり,前記受電装置に関する情報は前記受電装置の仕様情報であり, 前記給電判定部は,前記送電装置の仕様と前記受電装置の仕様とが給電に適合するか否かを判定することによって,前記送電装置と前記受電装置との間で給電可能か否かを判定する 請求項1に記載の無線電力伝送システム。」 これに対し,本件補正により,特許請求の範囲は,以下のように補正された(補正箇所に,当審により下線を付した。)。 「【請求項1】 無線で電力を送電する送電装置と,蓄電池に蓄電された電力により駆動される移動体に搭載され,前記送電装置から無線で送電される電力を受電し蓄電池に蓄電可能な受電装置と,を含む無線電力伝送システムであって, 無線電力電送の開始準備を行ない得る所定の条件が満たされたか否かを判定する条件判定部と, 前記所定の条件が満たされた場合に,前記送電装置と前記受電装置間の通信を確立し,前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とを取得する取得部と, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とに基づいて,前記送電装置と前記受電装置の動作条件を設定する動作設定部と,を含み, 前記所定の条件は,前記移動体を駐車する駐車設備の遠隔操作機に対する所定の操作,前記移動体の後退,または,前記移動体の停車状態を示唆する所定の状態を検知することである, 無線電力伝送システム。 【請求項2】 蓄電池に蓄電された電力により駆動される移動体に搭載され,送電装置から無線で送電される電力を受電し蓄電池に蓄電可能な受電装置であって, 無線電力電送の開始準備を行ない得る所定の条件が満たされたか否かを判定する条件判定部と, 前記所定の条件が満たされた場合に,前記送電装置に通信要求を送信して前記送電装置との通信を確立し,前記送電装置に関する情報を取得する取得部と, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とに基づいて,前記送電装置と前記受電装置の動作条件を設定する動作設定部と,を含み, 前記所定の条件は,前記移動体を駐車する駐車設備の遠隔操作機に対する所定の操作,前記移動体の後退,または,前記移動体の停車状態を示唆する所定の状態を検知することである, 受電装置。 【請求項3】 蓄電池に畜電された電力により駆動される移動体に搭載され,無線で送電される電力を受電し蓄電池に畜電可能な受電装置に,無線で電力を送電する送電装置であって, 無線電力電送の開始準備を行ない得る所定の条件が満たされたか否かを判定する条件判定部と, 前記所定の条件が満たされた場合に前記受電装置に通信要求を送信することによって,前記受電装置との通信を確立し,前記受電装置に関する情報を取得する取得部と, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とに基づいて,前記送電装置と前記受電装置の動作条件を設定する動作設定部と,を含み, 前記所定の条件は,前記移動体が駐車する駐車スペースに侵入したこと,前記移動体の利用者による前記移動体を駐車する駐車スペースに設置される装置に対する所定の操作,前記前記移動体が駐車する駐車スペースの駐車設備の動作,または,前記前記駐車スペースを含む建物に設置されているセキュリティシステムの作動及び解除を検知することである, 送電装置。 【請求項4】 無線で電力を送電する送電装置と,蓄電池に蓄電された電力により駆動される移動体に搭載され,前記送電装置から無線で送電される電力を受電し蓄電池に蓄電可能な受電装置と,を含む無線電力伝送システムにおいて実行される無線電力伝送支援方法であって, 無線電力電送の開始準備を行ない得る所定の条件が満たされたか否かを判定するステップと, 前記所定の条件が満たされた場合に,前記送電装置と前記受電装置間の通信を確立し,前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とを取得するステップと, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報に基づいて,前記送電装置と前記受電装置の動作条件を設定するステップと,を含み, 前記所定の条件は,前記移動体を駐車する駐車設備の遠隔操作機に対する所定の操作,前記移動体の後退,または,前記移動体の停車状態を示唆する所定の状態を検知することである, 無線電力伝送支援方法。」 2.目的要件 本件補正が,特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについて検討する。 特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」は,特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限られる。 また,補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって,かつ,補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請され,補正前の請求項と補正後の請求項とは,一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならない。 ここで,本件補正後の請求項1に記載された発明は,「無線電力伝送システム」に係るものであり,本件補正前の「無線電力伝送システム」に係る発明は,本件補正前の請求項1に記載された発明又は本件補正前の請求項2に記載された発明又は本件補正前の請求項13に記載された発明のいずれかであるから,本件補正後の請求項1は,本件補正前の請求項1又は本件補正前の請求項2又は本件補正前の請求項13のいずれかに対応すると仮定できる。 (2-1)本件補正前の請求項1に対応する場合 本件補正後の請求項1は,本件補正前の請求項1に記載されていた「前記送電装置に関する情報は,課金条件の情報を含み」及び「前記受電装置に関する情報は,課金条件了解の情報を含む」が削除されているから,特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定する特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当しない。 さらに,本件補正が,請求項の削除,明りょうでない記載の釈明,誤記の訂正にも該当しないことも明らかである。 (2-2)本件補正前の請求項2に対応する場合 本件補正後の請求項1は,本件補正前の請求項2に記載されていた「前記送電装置に関する情報は,課金条件の情報を含み」及び「前記受電装置に関する情報は,課金条件了解の情報を含む」が削除されているから,特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定する特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当しない。 さらに,本件補正が,請求項の削除,明りょうでない記載の釈明,誤記の訂正にも該当しないことも明らかである。 (2-3)本件補正前の請求項13に対応する場合 本件補正後の請求項1は,本件補正前の請求項1を引用する本件補正前の請求項13に記載されていた「前記送電装置に関する情報は,課金条件の情報を含み」及び「前記受電装置に関する情報は,課金条件了解の情報を含む」が削除されているから,特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定する特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当しない。 さらに,本件補正が,請求項の削除,明りょうでない記載の釈明,誤記の訂正にも該当しないことも明らかである。 (2-4)むすび したがって,本件補正後の請求項1が本件補正前の請求項1,2,13のいずれに対応するものであるとしても,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから,特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって,補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 [理由II] 上記のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるが,仮に,本件補正が,特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとした場合に,本件補正後の請求項1~4に記載された事項により特定される発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について,以下に検討する。 1.特許法第36条について 本件補正後の請求項1には,「所定の条件が満たされた場合に,前記送電装置と前記受電装置間の通信を確立し」と規定されている。この「所定の条件」は「前記所定の条件は,前記移動体を駐車する駐車設備の遠隔操作機に対する所定の操作,前記移動体の後退,または,前記移動体の停車状態を示唆する所定の状態を検知することである」と規定されており,移動体が,駐車場等に設置され給電関連動作を行う給電側システム300(送電装置)に近接した位置にいること等の,他の条件は付されていない。 そうすると,本件補正後の請求項1は,移動体が,給電側システムから遠く離れた位置にいたとしても,上記「所定の条件」である「移動体を駐車する駐車設備の遠隔操作機に対する所定の操作,前記移動体の後退,または,前記移動体の停車状態を示唆する所定の状態を検知する」と,「送電装置と受電装置間の通信を確立」する構成を意味する。 しかしながら,本願明細書には,「所定の条件」が満たされた場合に,「通信を確立するための処理」(段落0052)の一環として「通信要求を所定の時間間隔で出力」(段落0064)することのみが開示されている。そして,「通信要求を所定の時間間隔で出力」した結果,「通信を確立」できる場合(段落0065,0067)もあるが,受電ユニット120の対面付近に送電ユニット110のような給電設備がなければ(つまり,移動体が,給電側システムから遠く離れた位置にいたときには)「通信を確立」できない場合(段落0066)もあることが説明されている。 したがって,「移動体を駐車する駐車設備の遠隔操作機に対する所定の操作,前記移動体の後退,または,前記移動体の停車状態を示唆する所定の状態を検知する」ことである所定の条件さえ満たせば,何故「送電装置と受電装置間の通信を確立」することができるのかが,明細書の発明の詳細な説明の記載や図面の内容からは不明である。よって,発明の詳細な説明は,本件補正後の請求項1の発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえないし,本件補正後の請求項1の発明が明確であるともいえない。また,同様な理由により,本件補正後の請求項1の発明が発明の詳細な説明に記載した発明であるとはいえない。 さらに,本件補正後の請求項1の発明は,「送電装置と受電装置間の通信を確立」するための構成が明確でない。 よって,本件補正後の請求項1の発明は明確でなく,特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていないとともに,本願の発明の詳細な説明の記載は,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。また,本件補正後の請求項1の記載は,特許法第36条第6項第1号に規定する要件に適合するものではない。 本件補正後の請求項4の記載及びこれらに係る発明の詳細な説明の記載も,同様な理由により,特許法第36条第6項第1号,第2号及び同条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 2.むすび 以上のとおり,本件補正は,仮に,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって,補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3.本願発明について 1.本願発明 上記のとおり,本件補正は却下されたので,本願の請求項1ないし13に係る発明は,平成26年9月22日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定される発明である(第2.〔理由I〕1.の欄を参照のこと。以下,本願の各請求項に係る発明を項番に従って「本願発明1」等という。)。 2.本願発明についての当審の判断 (1)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-252624号公報(以下,「引用文献1」という。)には,次の事項が図面とともに記載されている(下線部は,当審により付与した。)。 ・「【0022】 充電器500にはACアダプタ502を介して電力が供給され,この電力が,無接点電力伝送により送電装置10から受電装置40に送電される。これにより,携帯電話機510のバッテリーを充電し,さらには携帯電話機510内のデバイスを動作させることができる。 【0023】 なお本実施形態が適用される電子機器は携帯電話機510に限定されない。例えば腕時計,コードレス電話器,シェーバー,電動歯ブラシ,リストコンピュータ,ハンディターミナル,携帯情報端末,電動自転車,或いはICカードなどの種々の電子機器に適用できる。」 ・「【0038】 5.送電装置,受電装置 図9に本実施形態の送電装置10,送電制御装置20,受電装置40,受電制御装置50の構成例を示す。図1(A)の充電器500などの送電側の電子機器は,図2~図5,図7または図8いずれかのコイル配置を有する送電装置10を含む。また携帯電話機510などの受電側の電子機器は,受電装置40と負荷90(本負荷)を含むことができる。そして例えば図3の構成により,第1コイルL11,L21同士を電磁的に結合させて送電装置10から受電装置40に対して電力を伝送し,負荷90に対して電力を供給する無接点電力伝送(非接触電力伝送)システムが実現される。また,第2コイルL12,L22同士を電磁的に結合させて,送電装置10と受電装置40との間で通信を行うことができる。本実施形態では,一次・二次側間の全てのデータ通信が,一次・二次側の第2コイルL12,L22を介して行われる。」 ・「【0047】 受電装置40(受電モジュール,二次モジュール)は,二次側第1コイルL21,受電部42,二次側第2コイルL22,二次側通信ドライバー41A,給電制御部48,受電制御装置50を含むことができる。 【0048】 受電部42は,二次側第1コイルL21の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この変換は受電部42が有する整流回路などにより実現できる。二次側通信ドライバー41Aは,受電制御装置50の制御に基づいて二次側第2コイルL22を駆動する。 【0049】 給電制御部48は負荷90への電力の給電を制御する。即ち負荷90への電力の給電をオンにしたり,オフにする制御を行う。具体的には,受電部42(整流回路)からの直流電圧のレベルを調整して,電源電圧を生成して,負荷90に供給し,負荷90のバッテリー94を充電する。なお負荷90はバッテリー94を含まないものであってもよい。」 ・「【0053】 そして本実施形態では,送電側の制御部22は,ネゴシエーション処理部37,セットアップ処理部38,コマンド処理部39を含む。また受電側の制御部52も,ネゴシエーション処理部67,セットアップ処理部68,コマンド処理部69を含む。なおコマンド処理部39,69を設けない構成としてもよい。 【0054】 ネゴシエーション処理部37,67は,無接点電力伝送のネゴシエーション処理を,一次・二次側の第2コイルL12,L22を介してデータ通信により行う。即ち,送電側と受電側の間で,無接点電力伝送の基本的な設定(規格,コイル,システム,安全機能等)についての情報交換を行う。そしてセットアップ処理部38,68は,ネゴシエーション処理の結果に基づいて,無接点電力伝送のセットアップ処理を行う。即ちネゴシエーション処理により無接点電力伝送の基本的な設定が行われた後,送電側と受電側との間で,機器やアプリケーション毎に異なるセットアップ情報の情報交換を行う。そしてコマンド処理部39,69は,セットアップ処理の後に,無接点電力伝送のコマンド処理を行う。即ち,基本的なコマンドやセットアップ処理で対応可能になったコマンドの発行や実行などを行う。なお制御部22は,セットアップ処理の後に,コマンド処理を経ることなく,通常送電を開始してもよい。例えば明示的なコマンドの発行がなくても,セットアップ処理の後に通常送電を開始してもよい。 【0055】 具体的には送電側のネゴシエーション処理部37は,受電装置40との間で情報の通信が可能か否かの確認処理や,通信した情報が妥当か否かの確認処理や,受電側の負荷状態が適正か否かの確認処理を行う。即ち,受電側から適正に情報を受信できたか否かや,受電側から受信した情報が想定される適正な情報であるか否かや,受電側は異物ではなく適正な受電装置(負荷)であるか否かを,このネゴシエーション処理において確認する。なお受電側の負荷状態が適正か否かの確認処理をネゴシエーション処理において行わないようにしてもよい。」 ・「【0070】 送電側や受電側は,待機フェーズの後にネゴシエーションフェーズに移行する。このネゴシエーションフェーズでは,規格/コイル/システムの一致確認や,安全上の情報交換などが行われるネゴシエーション処理が実行される。具体的には,送電側と受電側は,規格/コイル/システム情報の情報交換を行い,規格/コイル/システムがお互いに適合するか否かを確認する。また例えば受電側が送電側に,異物検出等のための安全しきい値情報を送信し,安全上の情報交換を行う。このネゴシエーション処理では,送電側と受電側の間で情報の通信が可能か否かの確認や,通信した情報が妥当か否かの確認や,受電側の負荷状態の適否(異物の非検出)の確認等が行われることになる。」 ・「【0072】 送電側や受電側は,ネゴシエーションフェーズの後,セットアップフェーズに移行する。このセットアップフェーズでは,対応機能の情報やアプリケーション別の設定情報などのセットアップ情報が転送されるセットアップ処理が実行される。例えばネゴシエーション処理の結果に基づいて,無接点電力伝送の伝送条件の設定が行われる。具体的には,受電側が,コイルの駆動電圧や駆動周波数等の伝送条件情報を送電側に送信すると,送電側は,受信した伝送条件情報に基づいてコイルの駆動電圧や駆動周波数等の通常送電のための伝送条件を設定する。また,対応機能についての情報交換や,上位のアプリケーション毎に異なる設定情報の交換も,このセットアップ処理で行われる。具体的には,コマンドフェーズにおいて送電側,受電側が発行・実行可能なコマンドの種類や,定期認証機能等の付加的な対応機能についての情報交換は,このセットアップ処理において実行される。これにより,電子機器の種類(携帯電話機,オーディオ機器等)や機種などのアプリケーションに応じて異なる設定情報の交換が可能になる。」 ・「【0097】 8.動作 次に本実施形態の動作について,詳細に説明する。まず送電装置10は,通常送電を開始する前に,仮送電(位置検出用送電)を開始する。この仮送電は一次・二次の第1コイルL11,L21同士の電磁結合により,受電装置40に対して電源電圧が供給されて,受電装置40のパワーオンが行われる。そして受電装置40は,例えば一次側第1コイルL11と二次側第1コイルL21の位置関係が適正か否かを判定する。具体的には一次側第1コイルL11と二次側第1コイルL21の位置関係が例えば図1(B)または図4のような関係になっているか否かを判定する。 【0098】 第1コイルL11,L21の位置関係が適正であると判定されると,受電装置40(ネゴシエーション処理部67)は,ネゴシエーションフレームを作成して,送電装置10に送信する。このネゴシエーションフレームの送信は,一次・二次側の第2コイルL12,L22同士の電磁結合により行われる。このネゴシエーションフレームは,例えば規格/コイル/システム情報や,しきい値情報を含む。」 ・「【0111】 上述したように,本実施形態では,ネゴシエーション処理の後にセットアップ処理が行われ,その後にコマンド処理が行われるというようにシーケンス処理が実行される。このようにすれば,システムの適合性や安全性の確保に必要な最低限の情報の交換は,ネゴシエーション処理において実行し,アプリケーションや機器毎に異なるセットアップ情報の交換は,セットアップ処理において実行できる。従って,汎用性が高く処理を効率化できる無接点電力伝送システムの提供が可能になる。また,ネゴシエーション処理で最小限の設定を行い,セットアップ処理でシステムの最適化が可能になるため,柔軟なシステム構築を実現できる。」 ・「【0131】 10.動作 次に,送電側と受電側の動作の詳細について図15,図16のフローチャートを用いて説明する。 【0132】 送電側は,電源投入されてパワーオンすると,例えばk1秒のウェイト後に(ステップS1),通常送電開始前の仮送電を行う(ステップS2)。この仮送電は,着地検出,位置検出等のための一時的な電力伝送であり,一次・二次側の第1コイルL11,L21を用いて行われる。即ち,図11のF2のように電子機器が充電器に対して置かれたか否か,置かれた場合には適正な位置に置かれたか否かを検出するための電力伝送を行う。この仮送電における駆動周波数(駆動クロック生成回路からの駆動クロックの周波数)は例えばf1に設定される。 【0133】 送電側からの仮送電により,受電側がパワーオンして(ステップS22),受電制御装置50のリセットが解除される。すると受電制御装置50は,図13の信号P1QをHレベルに設定し,これにより給電制御部48のトランジスターTB2がオフになり(ステップS23),負荷90との間の電気的な接続が遮断される。 【0134】 次に受電側は,位置検出回路56を用いて,一次側第1コイルL11と二次側第1コイルL21の位置関係(位置レベル)が適正か否かを判断する(ステップS24)。そして位置関係が適正ではない場合には,例えばk2秒の期間の間,ウェイトする(ステップS21)。 【0135】 一方,位置関係が適正である場合には,受電側は,ネゴシエーションフレームを生成して,一次・二次側の第2コイルL12,L22を用いたデータ通信により送電側に送信する(ステップS25)。このネゴシエーションフレームは,例えば受電側の記憶部53に記憶された規格情報,コイル情報などの一致コードやシステム情報(負荷状態検出方式),しきい値情報(負荷状態検出用のしきい値)などのハード情報を含む。 【0136】 送電側は,ネゴシエーションフレームを受信すると(ステップS4),ネゴシエーションフレームの検証を行う(ステップS5)。具体的には,送電側の記憶部23に記憶された規格/コイル/システム情報と,受電側から受信した規格/コイル/システム情報とが一致するか否かを判断する。そして,適正なネゴシエーションフレームであると判定されると,異物検出を行う(ステップS6)。」 ・段落【0023】には,種々の電子機器として「電動自転車」が示され,段落【0038】には,受電側の電子機器は,受電装置40と負荷90(本負荷)を含むことが記載されると共に,段落【0049】には,負荷90のバッテリ94を充電することが記載されているから,種々の電子機器を「電動自転車」とした場合には,電動自転車に受電装置40と負荷のバッテリー94が搭載されることが理解できる。 ・段落【0134】の「受電側は,位置検出回路56を用いて,一次側第1コイルL11と二次側第1コイルL21の位置関係(位置レベル)が適正か否かを判断する」という記載事項と,図13では,位置検出回路56が受電装置40の受電制御装置50内に存在していることを考慮すると,段落【0134】の「受電側」は受電装置40の受電制御装置50を表していることが理解できる。 ・段落【0134】~【0135】の記載事項と段落【0054】の記載事項からみて,「前記一次側第1コイルL11と前記二次側第1コイルL21の位置関係が適正であると前記受電制御装置50が判断すると,無接点電力伝送のネゴシエーション処理をデータ通信により行い,送電側と受電側の間で,無接点電力伝送の基本的な設定(規格,コイル,システム,安全機能等)についての情報交換を行う,受電側の制御部52及び送電側の制御部22のそれぞれのネゴシエーション処理部67及び37」であることが理解できる。 ・段落【0136】の「送電側の記憶部23に記憶された規格/コイル/システム情報と,受電側から受信した規格/コイル/システム情報とが一致するか否かを判断する」のは,段落【0053】~【0055】の記載からみて,送電側の制御部22のネゴシエーション処理部37であることが理解できる。 そうすると,引用文献1の上記記載事項及び図面の記載からみて,図面と共に次の発明が記載されていると認められる(以下,「引用発明」という。)。 「無接点電力伝送を行う送電装置10と, 電動自転車に搭載され,前記送電装置10から無接点電力伝送で伝送される電力を前記負荷のバッテリー94に充電する給電制御部48を含む受電装置40と, を含む無接点電力伝送システムであって, 送電装置10が仮送電(位置検出用送電)を行うと,位置検出回路56を用いて,一次側第1コイルL11と二次側第1コイルL21の位置関係が適正であるか否かを判断する受電装置40の受電制御装置50と, 前記一次側第1コイルL11と前記二次側第1コイルL21の位置関係が適正であると前記受電制御装置50が判断すると, 無接点電力伝送のネゴシエーション処理をデータ通信により行い,送電側と受電側の間で,無接点電力伝送の基本的な設定(規格,コイル,システム,安全機能等)についての情報交換を行う,受電側の制御部52及び送電側の制御部22のそれぞれのネゴシエーション処理部67及び37と, 送電側の記憶部23に記憶された規格/コイル/システム情報と,受電側から受信した規格/コイル/システム情報とが一致するか否かを判断する,送電側の前記制御部22のネゴシエーション処理部37と, を含む,無接点電力伝送システム。」 (2)引用文献2の記載事項 原査定の拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-250565号公報(以下,「引用文献2」という。)には,次の事項が図面とともに記載されている ・「【技術分野】 【0001】 本発明は電力料金課金方法,課金システム及び課金プログラムに係り,特にユーザが一般的な商用コンセントから端末への充電を行うにあたり,商用コンセントへの電力供給者に対してユーザが使用した使用電力量に応じた料金を徴収する電力料金課金方法,課金システム及び課金プログラムに関する。」 ・「【0039】 固有識別情報と充電課金要求とからなる識別情報を受信した課金用サーバ1は,固有識別情報を基に対象となる商用コンセント5から充電可能か否かを判断し,その判断結果を公衆回線網2を経由して端末3へ応答送信する。充電可能な場合は単位使用電力当たりに課金される料金などの課金条件も一緒に送信する。 【0040】 端末3は,課金用サーバ1から応答送信された上記の判断結果の返答を,公衆回線網ANT23で受信した後,無線変調・復調モジュール22で復調してRAM18へ格納する。受信した返答が充電不可であった場合,CPU12はステップS104で充電可能返答なしと判断してステップS114へ進む。一方,CPU12は受信した返答が充電可能だった場合には,ステップS104で充電可能返答ありと判断して,判断結果と共に送られてきた課金条件と料金を支払うか支払わないかをユーザに確認するための選択表示を表示部13に表示させる(ステップS105)。 【0041】 ユーザは,表示部13に表示された課金条件を確認し,料金を支払うか支払わないかを決めてボタン11により選択する(ステップS106)。CPU12は,ステップS106にてユーザのボタン11入力を取り込み,ユーザが支払う/支払わないどちらを選択したか判別する(ステップS107)。CPU12は,ユーザの選択が「支払わない」の方だった場合には,ステップS114に進み,「支払う」の方だった場合にはステップS108に進む。 【0042】 CPU12は,ステップS114では,ユーザに対し「充電は行うが課金していないので違法行為である」旨の警告表示を表示部13により表示させる。なお,この警告表示は,CPU12がステップS107でユーザが「料金を支払わない」を選択したと判断した場合のみならず,ステップS102で商用コンセント5から固有識別情報を正常に読み出せなかったと判断した場合や,ステップS104で課金用サーバ1からの返答が商用コンセント5からの充電不可である場合も行われる。」 ・「【0047】 一方,ステップS107においてユーザの選択内容が「支払う」であると判定された場合は,CPU12は,充電回路15へ制御指示を出す(ステップS108)。この制御指示により充電回路15は,充電器4の接続先の電力供給コネクタ14へ供給されている直流電力を二次電池16へ供給して充電する。」 (3)引用文献3の記載事項 原査定の拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開平7-236204号公報(以下,「引用文献3」という。)には,次の事項が図面とともに記載されている。 ・「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は,電気自動車の充電システムおよび充電方法に係り,特に,充電作業の省人化または無人化に好適な電気自動車の充電システムおよび充電方法に関する。」 ・「【0014】一方,無人充電スタンドなどに設置された給電器においては,バッテリの充電料金の支払い条件を確認した後に,給電器から電気自動車へのエネルギ送出が開始される充電システムになっている。ここで言う支払い条件とは,クレジットカードあるいは現金などによる支払いを指している。このようにすれば,無人充電スタンドであっても無銭充電を防止することができる。」 ・「【0058】まず,運転者は無人充電スタンドに電気自動車を停車させる。そして,運転者は充電要求の指示を送信する。給電器はその指示を受信し,充電料金の支払いがクレジットカードか現金かなどと言った支払い条件についての確認信号を返信する。 【0059】次に,運転者は振替口座番号などの運転者情報を給電器へ送信し,充電料金のカード支払いなどの信用取引が成立する。これで,充電料金の徴収が確保され,無銭充電は防止される。 【0060】次に,給電器は充電料金の支払い条件を確認したので,送出用アンテナと受入用アンテナの位置合わせなどの充電準備の遣り取りが行われる。位置合わせが終り準備が整えば,充電開始を運転者が指示し正式に充電が開始される。 【0061】互いに遣り取りする情報として,次のものが考えられる。(1)充電要求信号 (2)料金支払確認信号 (3)振替口座番号 (4)位置合わせ確認信号 (5)充電開始信号 (6)充電量 (7)充電料金 (8)充電中断信号 (9)充電終了信号(10)料金確認信号などである。 【0062】充電量や充電料金情報は,給電器から運転者に送られて来るもので,いくら充電されつつあるか,またはされたかを運転者が知る事ができ便利である。 【0063】充電中断信号は,運転者が所定の料金で充電を止めたい時,緊急の用事が生じ止めたい時などに使われる。 【0064】充電終了信号は,運転者の最終確認に使われる。例えば,運転者が未だ充電が終了していないと認識しているのに給電器が充電完と返信して来る場合など,運転者の勘違いや機械の故障などに対処できる。料金確認信号は,運転者が最終的に銀行振替される料金を確認するものである。 【0065】尚,現金支払いの場合,先に現金を給電器に入れ,支払われた金額に応じて充電する方法が考えられる。この場合も,支払いの遣り取りを除き,カード支払いと同じ方法で充電が行われる。また,上記の遣り取り情報は,運転パネルに表示されたり,記憶されたりしても良いものである。 【0066】図11は,運転者情報の読み取り手段の一実施例を示す図である。運転者情報記憶手段122は,運転者のクレジットカードなどである。また,運転者情報読み取り器123は,ハンドル124付近に取り付けられて,運転者情報記憶手段122の情報を読み取るものである。読み取られた運転者情報が,電気自動車から給電器へ送信される。 【0067】この構成により運転者情報の遣り取りが簡便になり,異なったクレジットカードでの利用もでき,一台の電気自動車を多人数で共用することができる。」 (4)本願発明1と引用発明との対比 ア.引用発明の「バッテリー94」は本願発明1の「蓄電池」に相当し,以下同様に,「充電」は「蓄電」に,「電動自転車」は「蓄電池に蓄電された電力により駆動される移動体」に,「無接点電力伝送システム」は「無線電力伝送システム」に,それぞれ相当する。 イ.引用発明の「無接点電力伝送を行う送電装置10」は,本願発明1の「無線で電力を送電する送電装置」に相当する。 ウ.引用発明の「前記送電装置10から無接点電力伝送で伝送される電力を前記負荷のバッテリー94に充電する給電制御部48を含む受電装置40」は,本願発明1の「前記送電装置から無線で送電される電力を受電し蓄電池に蓄電可能な受電装置」に相当する。 エ.引用発明の「一次側第1コイルL11と二次側第1コイルL21の位置関係が適正である」ことは,本願発明1の「無線電力伝送の開始準備を行い得る所定の条件」に相当するから,引用発明の「送電装置10が仮送電(位置検出用送電)を行うと,位置検出回路56を用いて,一次側第1コイルL11と二次側第1コイルL21の位置関係が適正であるか否かを判断する受電装置40の受電制御装置50」は,本願発明1の「無線電力伝送の開始準備を行い得る所定の条件が満たされたか否かを判定する条件判定部」に相当する。 オ.引用発明の「前記一次側第1コイルL11と前記二次側第1コイルL21の位置関係が適正であると前記受電制御装置50が判断すると,無接点電力伝送のネゴシエーション処理をデータ通信により行」うことは,ネゴシエーション処理を行うことにより送電装置と受電装置の通信を確立することになるから,本願発明1の「前記所定の条件が満たされた場合に前記送電装置と前記受電装置間の通信を確立」することに相当する。 カ.引用発明の「無接点電力伝送のネゴシエーション処理をデータ通信により行い,送電側と受電側の間で,無接点電力伝送の基本的な設定(規格,コイル,システム,安全機能等)についての情報交換を行う,受電側の制御部52及び送電側の制御部22のそれぞれのネゴシエーション処理部67及び37」は,本願発明1の「前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とを取得する取得部」に相当する。 キ.引用発明の「送電側の記憶部23に記憶された規格/コイル/システム情報と,受電側から受信した規格/コイル/システム情報とが一致するか否かを判断する送電側の前記制御部22のネゴシエーション処理部37」は,本願発明1の「前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とに基づいて,前記送電装置と前記受電装置との間で給電可能か否かを判定する給電判定部」に相当する。 ク.一致点及び相違点 上記構成要素の対比を踏まえると,本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。 <一致点> 無線で電力を送電する送電装置と,蓄電池に蓄電される電力により駆動される移動体に搭載され,前記送電装置から無線で送電される電力を受電し蓄電池に畜電可能な受電装置と,を含む無線電力伝送システムであって, 無線電力伝送の開始準備を行い得る所定の条件が満たされたか否かを判定する条件判定部と, 前記所定の条件が満たされた場合に,前記送電装置と前記受電装置間の通信を確立し,前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とを取得する取得部と, 前記送電装置に関する情報と前記受電装置に関する情報とに基づいて,前記送電装置と前記受電装置との間で給電可能か否かを判定する給電判定部と,を含む, 無線電力伝送システム。 <相違点1> 本願発明1では,送電装置と受電装置間で通信する「送電装置に関する情報」は「課金条件の情報を含み」,「受電装置に関する情報」は「課金条件了解の情報を含む」のに対し,引用発明1では,送電装置と受電装置間(ネゴシエーション処理部67及び37間)で通信する「送電装置に関する情報」及び「受電装置に関する情報」が,特定されていない点。 (5)相違点の検討 <相違点1について> 無線電力伝送システムにおいて,送電装置と受電装置間で通信する「送電装置に関する情報」及び「受電装置に関する情報」として,「課金条件の情報」及び「課金条件了解の情報」を含むことは,例えば,引用文献2の段落0039~0042,0047や,引用文献3の段落0058~0067に記載されるように,周知の事項である(引用文献3の「課金条件の情報」については,段落0058の「充電料金の支払いがクレジットカードか現金かなどといった支払い条件の情報」及び段落0061,0062の「充電料金情報」に注意されたい。また,引用文献3の「課金条件了解の情報」については,段落0059の「振替口座番号」や「カード支払いなどの信用取引」に注意されたい。)。 無線電力伝送システムにおいて,充電料金の確実な徴収や無銭充電の防止が一般的な課題であることは,引用発明の無線電力伝送システムにおいても何ら変わることはない。 そうすると,引用発明に,上記周知の事項を適用し,相違点1に係る本願発明1の構成を備える発明とすることは,充電料金の確実な徴収や無銭充電の防止(引用文献3の段落0014参照)等を考慮して,当業者が適宜採用できる事項である。 そして,本願発明1が奏する作用効果も,引用発明及び周知の事項に基づいて当業者が予測し得るものであって,格別なものではない。 よって,本願発明1は,引用発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 第4.むすび 以上のとおり,本願発明1は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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2015-018848

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