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特許拒絶査定不服審判

2017-002890

エンジンコントロールユニット

審判番号
2017-002890
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-125515
請求日
2017年02月28日
審決日
2017年10月30日
公報発行日
2017年12月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】株式会社ミクニ
  • 【請求人代理人】栗林 三男
審判長/審判官
  • 審判長 中村 達之
  • 審判官 滝谷 亮一
  • 審判官 小関 峰夫
分類
P18 .121-WY (H05K) / P18 .536-WY (H05K) / P18 .537-WY (H05K) / P18 .561-WY (H05K) / P18 .572-WY (H05K) / P18 .574-WY (H05K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第4号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-125515「エンジンコントロールユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月12日出願公開、特開2013-251415、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成24年5月31日の出願であって、平成28年2月26日付けで拒絶理由が通知され、同年4月25日に手続補正がされ、同年5月25日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年7月8日に手続補正がされ、同年11月24日付けで同年7月8日の手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ(発送日:同年11月29日)、これに対し、平成29年2月28日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 段落【0029】における長いスリット6について、明細書の記載を参照しても、どの程度の長さを有していれば「長い」と言えるものであるのか明確でない。そのため、請求項1における「長いスリット」も、どの程度の長さであれば発明特定事項として充足されるものであるのか明確でない。 したがって、発明の詳細な説明の記載は、請求項1-3に係る発明について当業者が実施可能な程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に違反している。また、請求項1-3に係る発明は明確でないから、特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第2号に違反している。 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 審判請求時の補正のうち、請求項1において、「長いスリット」を「スリット」と変更することは、不明瞭であったスリットの長さに関する特定を削除することによる、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。また、請求項1における上記事項は願書に最初に添付した明細書の段落【0029】に示されているから、いわゆる新規事項を追加するものではない。 審判請求時の補正のうち、請求項1において、発明を特定するために必要な事項である接続端子の位置について、「このスリットを境に」をこの「スリットを挟んで」と変更することは、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、請求項1における上記事項は願書に最初に添付した明細書の段落【0029】に示されているから、いわゆる新規事項を追加するものではない。 審判請求時の補正のうち、請求項1において、発明を特定するために必要な事項であるスリットについて、「前記スリットは、前記長手方向に沿った幅が前記接続端子が一つ配置可能な長さになっている」との限定を付することは、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、請求項1における上記事項は願書に最初に添付した明細書の段落【0029】に示されているから、いわゆる新規事項を追加するものではない。 第4 本願発明 本願の請求項1ないし請求項3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、平成29年2月28日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される発明であり、次のとおりのものである。 「【請求項1】 マイクロコントローラが搭載された略長方形のプリント回路基板を備えるエンジンコントロールユニットであって、 前記プリント回路基板の長手方向に沿ったこのプリント回路基板の一つの側縁部は、この側縁部の少なくとも一面側に、前記長手方向に沿って並んで設けられた複数の接続端子を有するコネクタ部とされ、 前記コネクタ部には、前記長手方向と直交する方向に沿ってスリットが当該長手方向の中央に対してずれた位置にオフセットして設けられ、このスリットを挟んで前記長手方向の一方側に信号入力用の前記接続端子が設けられ、前記長手方向の他方側に制御出力用の前記接続端子が設けられ、 前記プリント回路基板には、前記長手方向の略中央部に前記マイクロコントローラが設けられ、かつ、前記プリント回路基板の前記長手方向の略中央部を境として前記長手方向の一方側に前記信号入力用の前記接続端子に接続されるとともに前記マイクロコントローラに接続される入力インターフェース用部品が設けられ、前記長手方向の他方側に前記制御出力用の前記接続端子に接続されるとともに前記マイクロコントローラに接続される出力インターフェース用部品が設けられ、 前記スリットは、前記長手方向に沿った幅が前記接続端子が一つ配置可能な長さになっていることを特徴とするエンジンコントロールユニット。 【請求項2】 前記プリント回路基板のコネクタ部を除く部分がトランスファ成形された樹脂により覆われて封止されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンコントロールユニット。 【請求項3】 前記プリント回路基板は、4層以上とされ、前記入力インターフェース用部品が接続される小電力用グラウンドが設けられる層と、前記出力インターフェース用部品が接続される大電力用グラウンドが設けられる層とを分けていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のエンジンコントロールユニット。」 第5 引用文献 平成28年2月26日付けの拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開2010-135549号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「車載電子制御装置」に関し、図面(特に、図1、図4参照)とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。 (1)「【0011】 まず、この発明の多層電子基板を用いた車載電子制御装置の全体回路図である図1について説明する。 図1において、車載電子制御装置100は例えばエンジン制御装置であり、車載バッテリ101は電源リレーの出力接点102aを介して車載電子制御装置100に給電し、電源リレーの励磁コイル102bは電源スイッチ103が閉路されたことによって付勢され、電源スイッチ103が開路されたことによって遅延開路するよう車載電子制御装置100によって制御されている。 車載センサ群の一つであるアナログセンサ104は、例えばアクセルペダルの踏込み度合いを検出するアクセルポジションセンサ、スロットル弁開度を検出するスロットルポジションセンサ、エンジンの吸気量を測定するエアフローセンサ、排気ガスセンサ、冷却水温センサなどのエンジンの環境と動作状態を検出するアナログセンサとなっている。車載センサ群の他の一つであるスイッチセンサ105はエンジン回転センサ、クランク角センサ、車速センサ、変速機のシフトレバー位置の検出センサなど、運転手の操作指令や各部の動作状態を検出する開閉動作のセンサとなっている。 【0012】 車載電気負荷群の一つである小電流電気負荷106は、たとえば前述した電源リレーの励磁コイル102bであったり、またはパワートランジスタが外付けされた点火コイルなどである。車載電気負荷群の他の一つである大電流電気負荷107は、たとえばスロットル弁開度制御用モータ、或いは燃料噴射用電磁弁などであって、これ等の大電流電気負荷は車載電子制御装置100内に設けられたパワートランジスタである出力素子モジュール32b、32cを介して給電駆動されるようになっている。 信号用グランド配線108aはアナログセンサ104の一部の負端子と車載電子制御装置100内のシグナルグランド間を接続するものであり、各アナログセンサの設置場所に応じて複数本の信号用グランド配線108aが用いられている。なお、一部のアナログセンサ104に対しては信号用電源線108bによって車載電子制御装置100から安定化制御電圧が給電されている。 車体接地部位109aは車載バッテリ101の負端子が接続された基準となる接地点であり、車載電子制御装置100は当該車体接地部位109aに対してグランド配線109bによって配線接続されていると共に、後述のとおり車載電子制御装置100内の電子基板ではパワーグランド領域421とシグナルグランド領域423のグランドパターンがあり、各グランド領域は電子基板上で結合されて一体となり、複数個の接続端子を介して外部配線され、車体接地部位109aに接続されるようになっている。」 (2)「【0015】 アナログ系インタフェース回路114、入力インタフェース回路115、出力インタフェース回路116によって構成された入出力インタフェース回路34と出力素子モジュール117の個々の内容は図2によって後述するとおりであるが、出力素子モジュール117は第一、第二の出力素子モジュール32b、32cを包含し、各出力素子モジュール117は後述する図2に示すように、出力インタフェース116又は第一次出力インタフェース回路126からの駆動指令によって導通制御されるパワートランジスタと、当該パワートランジスタの動作状態を監視してマイクロプロセッサ121にシリアル送信するモニタ回路を備えている。 制御回路素子120は集積回路素子127と後述のマイクロプロセッサ121とシリアル接続された補助マイクロプロセッサ131と不揮発データメモリ132によって構成されている。 集積回路素子127は例えば32ビットのマイクロプロセッサ121と、当該マイクロプロセッサ121と協働する例えば不揮発フラッシュメモリであるプログラムメモリ122と、演算処理用のRAMメモリ123aと、当該RAMメモリの一部領域であって電源スイッチ103が開路されているときにも持続給電されるバックアップメモリ123bを備えている。 【0016】 また、集積回路素子127内に設けられた多チャンネルAD変換器124は、アナログ系インタフェース回路114から入力されたアナログ信号をデジタル変換してマイクロプロセッサ121に供給するものである。 更に、集積回路素子127内に設けられた第二次入力インタフェース回路125はインタフェース回路115から入力された開閉論理信号の電圧レベルをDC5V系からDC3.3V系に変換してマイクロプロセッサ121に供給するためのものである。 同様に、集積回路素子127内に設けられた第一次出力インタフェース回路126はマイクロプロセッサ121から出力されるDC3.3V系の論理信号をDC5V系に変換して出力インタフェース回路116に供給するためのものであり、これ等の入出力インタフェース回路125、126と多チャンネルAD変換器124と各種メモリ122、123a、123bとマイクロプロセッサ121はデータバス128によって相互に接続されている。」 (3)「【0025】 次に、多層電子基板30Aのグランド層を透視した基板表面図である図4について説明する。 図4において、多層電子基板30Aは矩形形状をなし、その部品取付面である表面層の中央領域には図1で示した制御回路素子120と入出力インタフェース回路34が搭載され、左端領域には第一・第二の出力素子モジュール32b、32cと入力電源端子間に接続される電源用コンデンサ32aと後述のバイパスコンデンサ35b、35cが搭載され、右端領域には入力電源端子間に接続されている電源用コンデンサ31bと、複数のパワートランジスタによって構成された定電圧電源回路素子31aと出力電源端子間に接続された複数の電源用コンデンサ31cが搭載され、下端領域には多数の接続ピン24の一端が圧入されたコネクタハウジング23Aが設けられている。 透視表現したグランド層として、面状のグランドパターンは仕切用スリット422によってパワーグランド領域421とシグナルグランド領域423に仕切られて分離隔離され、仕切用スリット422のない特定接続領域424においてパワーグランド領域421とシグナルグランド領域423が相互に一体接続されている。また特定接続領域424における接続幅は仕切用スリット422の長さよりも短くしている。 パワーグランド領域421は多層電子基板30Aのグランド層における左端領域と下端領領域と右端領域の下半分を占めて、出力素子モジュール117(32b、32c)と定電圧電源回路素子31aの入力回路部が搭載されているのに対し、シグナルグランド領域423は中央領域にあって制御回路素子120と入出力インタフェース回路34が搭載されるようになっている。 パワーグランド領域421とシグナルグランド領域423とが接続される特定接続領域424は定電圧電源回路素子31aの出力回路部が位置している。 【0026】 バイパスコンデンサ35b、35cは接続パターン412b、412cによって第一・第二の出力素子モジュール32b、32cと入出力インタフェース回路34または制御回路素子120のグランド端子との間に接続されている。 また、多数の接続ピン24の他端が半田付けまたはワイヤボンディング接続される外部接続端子群は、パワーグランド領域421に配置されて、近傍位置にシグナルグランド領域423が存在するか、またはパワーグランド領域421とシグナルグランド領域423に跨った位置に配置されていて、当該外部接続端子群の中のグランド端子はパワーグランド領域421のグランドパターンに接続されている。 外部接続用コネクタ54Aはコネクタハウジング23Aに挿入され、多数の外部配線によって車載バッテリ101、車載センサ群104および105、車載電気負荷群106および107に接続されている。」 (4)「【0032】 この発明の特徴的な基板構成を示した図4~図6において、グランドパターンは一面のベタグランドにしないで、パワーグランド領域421とシグナルグランド領域423に分離され、部品実装面には各グランド領域に適した回路部品が搭載されるようになっている。しかも、コネクタハウジング23Aの取付位置として、パワーグランド系回路部品への接続とシグナルグランド系回路部品への接続が交錯することなく接続できるように、両グランド領域に跨る位置に設置されている。 なお、パワーグランド領域421とシグナルグランド領域423とが分離されたことに伴って、大負荷電流の断続に伴うシグナルグランド領域423の電位変動は抑制されているが、入出力インタフェース回路34と第一・第二の出力素子モジュール32b、32c間の信号の授受を行なう上でノイズ誤動作の危険が増している。 この問題を解決するために、パワーグランド領域421のグランドパターンに接続されている第一・第二の出力素子モジュール32b、32cのグランド端子と、シグナルグランド領域423のグランドパターンに接続されている入出力インタフェース回路34又は制御回路素子120のグランド端子との間にはバイパスコンデンサ35b、35cが接続されている。」 (5)図4から、多層電子基板30Aは略長方形であることが看取される。 (6)図4から、コネクタハウジング23Aが設けられる多層電子基板30Aの下端領域は、多層電子基板30Aの長手方向に沿っていることが看取される。 (7)図4から、グランド層には仕切用スリット422が、多層電子基板30Aの長手方向に沿った部分と長手方向に直交する方向に沿った部分を有し、かつ長手方向に直交する方向に沿った部分は中央に対してずれた位置にオフセットして設けられていることが看取される。 (8)段落【0032】の「コネクタハウジング23Aの取付位置として、パワーグランド系回路部品への接続とシグナルグランド系回路部品への接続が交錯することなく接続できるように、両グランド領域に跨る位置に設置されている」との記載、並びに図1、4から、仕切用スリット422を挟んで多層電子基板30Aの長手方向の一方側にアナログセンサ104並びにスイッチセンサ105からの入力用及び小電流電気負荷106への出力用の接続ピン24が設けられ、かつ当該接続ピン24は入出力インタフェース回路34に接続されること、 及び、前記長手方向の他方側に大電流電気負荷107への出力用の接続ピン24が設けられ、かつ当該接続ピン24は第一の出力素子モジュール32b及び第二の出力素子モジュール32cに接続されることが看取される。 上記記載事項及び図面の図示内容を総合して、本願発明1に則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「制御回路素子120が搭載された略長方形の多層電子基板30Aを備えるエンジン制御装置であって、 前記多層電子基板30Aの長手方向に沿ったこの多層電子基板の下端領域に、多数の接続ピン24の一端が圧入されたコネクタハウジング23Aが設けられ、 グランド層には、前記長手方向に沿った部分と前記長手方向に直交する方向に沿った部分を有する仕切用スリット422が、前記長手方向に直交する方向に沿った部分が中央に対してずれた位置にオフセットされて設けられ、この仕切用スリット422を挟んで前記長手方向の一方側にアナログセンサ104並びにスイッチセンサ105からの入力用及び小電流電気負荷106への出力用の接続ピン24が設けられ、前記長手方向の他方側に大電流電気負荷107への出力用の接続ピン24が設けられ、 前記プリント回路基板には、中央領域に前記制御回路素子120が設けられ、かつ、中央領域に前記アナログセンサ104並びに前記スイッチセンサ105からの入力用及び前記小電流電気負荷106への出力用の前記接続ピン24に接続されるとともに前記制御回路素子120に接続される入出力インタフェース回路34が設けられ、左端領域に前記大電流電気負荷107への出力用の前記接続ピン24に接続されるとともに前記制御回路素子120に接続される前記第一の出力素子モジュール32b及び前記第二の出力素子モジュール32cが設けられるエンジン制御装置。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、制御回路素子120はCPU121やRAMメモリ123a等の標準的なマイクロコントローラの構成要素を備えているから、後者の「制御回路素子120」は前者の「マイクロコントローラ」に相当し、以下同様に、電子基板はプリント回路基板であるから、「多層電子基板30A」は「プリント回路基板」に、「エンジン制御装置」は「エンジンコントロールユニット」に、「下端領域」は「一つの側縁部」に、それぞれ相当する。 引用文献1の図4において多数の接続ピン24は長手方向に沿って並んで設けられているから、「長手方向に沿って並んで設けられた複数の接続端子を有するコネクタ部」という限りにおいて、引用発明における「前記多層電子基板30Aの長手方向に沿ったこの多層電子基板の下端領域に、多数の接続ピン24の一端が圧入されたコネクタハウジング23A」は、本願発明1における「前記プリント回路基板の長手方向に沿ったこのプリント回路基板の一つの側縁部は、この側縁部の少なくとも一面側に、前記長手方向に沿って並んで設けられた複数の接続端子を有するコネクタ部」と共通する。 したがって、両者は、 「マイクロコントローラが搭載された略長方形のプリント回路基板を備えるエンジンコントロールユニットであって、 長手方向に沿って並んで設けられた複数の接続端子を有するコネクタ部を有し、 前記プリント回路基板には、前記長手方向の略中央部に前記マイクロコントローラが設けられるエンジンコントロールユニット。」 である点で一致し、次の点で相違している。 〔相違点1〕 本願発明1は、「前記プリント回路基板の長手方向に沿ったこのプリント回路基板の一つの側縁部は、この側縁部の少なくとも一面側」を、「前記長手方向に沿って並んで設けられた複数の接続端子を有するコネクタ部とされ」るのに対して、引用発明は、多層電子基板30Aの長手方向に沿ったこの多層電子基板の下端領域に、多数の接続ピン24の一端が圧入されたコネクタハウジング23Aが設けられる点。 〔相違点2〕 本願発明1は、「前記コネクタ部には、前記長手方向と直交する方向に沿ってスリットが当該長手方向の中央に対してずれた位置にオフセットして設けられ、このスリットを挟んで前記長手方向の一方側に信号入力用の前記接続端子が設けられ、前記長手方向の他方側に制御出力用の前記接続端子が設けられ」、「前記スリットは、前記長手方向に沿った幅が前記接続端子が一つ配置可能な長さになっている」のに対して、引用発明は、グランド層には、長手方向に沿った部分と前記長手方向に直交する方向に沿った部分を有する仕切用スリット422が、前記長手方向に直交する方向に沿った部分が中央に対してずれた位置にオフセットされて設けられ、この仕切用スリット422を挟んで前記長手方向の一方側にアナログセンサ104並びにスイッチセンサ105からの入力用及び小電流電気負荷106への出力用の接続ピン24が設けられ、前記長手方向の他方側に大電流電気負荷107への出力用の接続ピン24が設けられるものである点。 〔相違点3〕 本願発明1は、「前記プリント回路基板の前記長手方向の略中央部を境として前記長手方向の一方側に前記信号入力用の前記接続端子に接続されるとともに前記マイクロコントローラに接続される入力インターフェース用部品が設けられ、前記長手方向の他方側に前記制御出力用の前記接続端子に接続されるとともに前記マイクロコントローラに接続される出力インターフェース用部品が設けられ」るのに対して、引用発明は、中央領域にアナログセンサ104並びにスイッチセンサ105からの入力用及び小電流電気負荷106への出力用の接続ピン24に接続されるとともに制御回路素子120に接続される入出力インタフェース回路34が設けられ、左端領域に大電流電気負荷107への出力用の前記接続ピン24に接続されるとともに前記制御回路素子120に接続される第一の出力素子モジュール32b及び第二の出力素子モジュール32cが設けられる点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み、相違点2について先に検討する。 引用発明の仕切用スリット422はコネクタ部(コネクタハウジング23A)に設けられるものではなく、また当該仕切用スリット422をコネクタ部(コネクタハウジング23A)に設けることとする動機付けもない。 また、仮に引用発明の仕切用スリット422をコネクタ部(コネクタハウジング23A)に設けたとしても、引用発明は仕切用スリット422を挟んで一方側にセンサからの入力用及び小電流電気負荷106への出力用の接続ピン24が設けられ、他方側に大電流電気負荷107への出力用の接続ピン24が設けられるものであって、本願発明1のようにスリットを挟んで一方側に信号入力用の接続端子を設け、他方側に制御出力用の接続端子を設けるものでもない。 ここで、引用発明において小電流電気負荷106への出力用の接続ピン24を、スリットを挟んで一方側に設けることに代えて、他方側に設けること、すなわち小電流電気負荷106への接続ピン24を大電流電気負荷107への出力用の接続ピン24と、スリットを挟んで同じ側に設けることが想定されているか否かについて検討する。引用文献1の段落【0007】には、引用発明の目的として「電子基板内に大電流が流れても弱電制御系に対する基板内のグランド電位の変動を抑制する」ことが記載されているから、パワーグランド領域421に、シグナルグランド領域423に接続される入出力インタフェース回路34の構成要素である出力インタフェース回路116を接続することは想定されているとはいえない。そうすると、仕切用スリット422に対する小電流電気負荷106への出力用の接続ピン24の位置は、出力インタフェース回路116と、それが接続されるグランド領域に対応するから、引用発明において、シグナルグランド領域423に対応する仕切用スリット422の一方側に設けられた小電流電気負荷106への出力用の接続ピンを、パワーグランド領域421に対応する仕切用スリット422の他方側に設けるものとすることは想定されているとはいえない。 また、平成28年2月26日付けの拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開平10-145013号公報(以下、「引用文献2」という。)、特開2006-173402号公報(以下、「引用文献3」という。)、特開2005-294528号公報(以下「引用文献4」という。)にも、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項の記載はない。 そうしてみると、引用発明及び引用文献2ないし引用文献4から、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。 したがって、本願発明1は、相違点1及び相違点3を検討するまでもなく、引用発明及び引用文献2ないし引用文献4に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2及び3について 本願発明2及び3は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同様に、当業者が引用発明及び引用文献2ないし引用文献4に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。 第7 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1ないし3からは「長い」スリットが削除されているから、発明の詳細な説明の記載は、本願発明1ないし3に係る発明について当業者が実施可能な程度に明確かつ十分に記載したものであり、かつ本願発明1ないし3に係る発明は明確である。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-002890

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    共通の審決分類: 121・H05K、537・H05K、561・H05K
  • 2024-008703拒絶査定不服審判 / 2026-01-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)積層板、パターニング基板の製造方法、電子装置及び実装装置
    共通の審決分類: 121・H05K、536・H05K、537・H05K
  • 2023-020388拒絶査定不服審判 / 2024-11-12 / 原査定取消(特許/登録すべき)プリント配線板
    共通の審決分類: 121・H05K、536・H05K、537・H05K

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