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特許無効審判

2015-800097

エンジン制御装置およびECUケース

審判番号
2015-800097
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2001-235623
登録番号
特許第4794769号(P4794769)
請求日
2015年03月31日
審決日
2016年03月24日
公報発行日
2017年07月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】エリック ビー.ミルヒ
  • 【請求人代理人】稲葉 良幸
  • 【請求人代理人】森▲崎▼ 博之
  • 【請求人代理人】佐藤 宏樹
  • 【請求人代理人】吉川 雅也
  • 【被請求人】株式会社 ミクニ
  • 【被請求人代理人】栗林 三男
審判長/審判官
  • 審判長 加藤 友也
  • 審判官 金澤 俊郎
  • 審判官 松下 聡
分類
P1113.113-YAA(F02D) / P1113.121-YAA(F02D) / P1113.536-YAA(F02D) / P1113.537-YAA(F02D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条、特許法第134条の2第1項、特許法第131条の2第2項、特許法第6条、特許法第6条第4項第1号、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

上記当事者間の特許第4794769号発明「エンジン制御装置およびECUケース」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 特許第4794769号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第4794769号の請求項2及び6に係る特許についての本件審判請求を却下する。 特許第4794769号の請求項1、3ないし5及び7についての本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 1 本件特許第4794769号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし7に係る発明についての出願は、平成13年8月2日に特許出願され、平成23年8月5日に特許権の設定登録がされたものである。 2 これに対しエリック ビー.ミルヒ(以下、「請求人」という。)は、平成27年3月31日に本件特許無効審判を請求し、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出し同年5月25日に手続補正書(方式)を提出した。 3 株式会社ミクニ(以下、「被請求人」という。)は、平成27年7月31日付けで答弁書及び訂正請求書を提出し、同年9月11日付けで手続補正書(方式)を提出した。 4 これに対し請求人は、平成27年11月13日付けで審判事件弁駁書を提出した。 5 当審において、平成27年12月3日付けで通知した審理事項通知書に対して、請求人は、平成28年1月13日付けで口頭審理陳述要領書を提出し、証拠方法として甲第3号証ないし甲第5号証を提出した。また、被請求人は、平成28年1月13日付けで口頭審理陳述要領書を提出した。 6 平成28年1月27日に第1回口頭審理がされた。 第2 本件訂正について 1 訂正請求による訂正の内容 平成27年9月11日付け手続補正書(方式)により補正された平成27年7月31日付け訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)は、下記(1)アに示す本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし7を、下記(1)イに示すように訂正する(以下、「訂正事項a」という。)とともに、明細書の発明の名称、段落【0001】、【0009】、【0010】、【0017】、【0024】、【0025】及び【0039】の記載を下記(2)に示すように訂正するもの(以下、「訂正事項b」という。)である。 (1)訂正事項a ア 本件訂正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 スロットルボディと、 前記スロットルボディとは別工程において作成された、回路基板を有するECU(Electronic Control Unit)を格納するECUケースと、 前記スロットルボディと前記ECUケースとを取り付けする取り付け手段と、 を備えたエンジン制御装置において、 前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられたTPS(Throttle Position Sensor)、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合されることを特徴とするエンジン制御装置。 【請求項2】 TPS(Throttle Position Sensor)、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを有する回路基板と、 前記回路基板を格納するECU(Electronic Control Unit)ケースと、を備え、 スロットルボディに取付けられるECU(Electronic Control Unit)において、 前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられた前記TPS、前記吸気圧力センサおよび前記吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合されることを特徴とするECU。 【請求項3】 TPS(Throttle Position Sensor)、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを有する回路基板を格納し、スロットルボディに取付けられるECU(Electronic Control Unit)を構成するECUケースにおいて、 前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられた前記TPS、前記吸気圧力センサおよび前記吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合されることを特徴とするECU(Electronic Control Unit)ケース。 【請求項4】 さらに、前記凸部を設けた面に各種データの入出力をおこなうための集合入出力端子を備えたことを特徴とする請求項3に記載のECUケース。 【請求項5】 前記突出部の前記凹部は、前記TPSを構成するステータとホール素子を内部に格納し、 前記突出部は、前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。 【請求項6】 前記突出部の前記凹部は、前記TPSを構成するステータとホール素子を内部に格納し、 前記突出部は、前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする請求項2に記載のECU。 【請求項7】 前記突出部の前記凹部は、前記TPSを構成するステータとホール素子を内部に格納し、 前記突出部は、前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする請求項3に記載のECUケース。」 イ 本件訂正後の特許請求の範囲 「 【請求項1】 スロットルボディと、 前記スロットルボディとは別工程において作成された、回路基板を有するECU(Electronic Control Unit)を格納するECUケースと、 前記スロットルボディと前記ECUケースとを取り付けする取り付け手段と、 を備えたエンジン制御装置において、 前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられたTPS(ThrottlePosition Sensor)、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合されることを特徴とするエンジン制御装置。 【請求項2】(削除) 【請求項3】 TPS(Throttle Position Sensor)、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを有する回路基板を格納し、スロットルボディに取付けられるECUケースにおいて、 前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられた前記TPS、前記吸気圧力センサおよび前記吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合されることを特徴とするECU(Electronic Control Unit)ケース。 【請求項4】 さらに、前記凸部を設けた面に各種データの入出力をおこなうための集合入出力端子を備えたことを特徴とする請求項3に記載のECUケース。 【請求項5】 前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納し、 前記ホール素子用突出部は、前記突出部が前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。 【請求項6】(削除) 【請求項7】 前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納し、 前記ホール素子用突出部は、前記突出部が前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする請求項3に記載のECUケース。」 なお、下線は訂正箇所を示すために被請求人が付したものである。 (2)訂正事項b ア 訂正事項b-1 願書に添付した明細書の【発明の名称】を、「エンジン制御装置、ECU(ElectronicControlUnit)およびECUケース」から「エンジン制御装置およびECUケース」に訂正する。 イ 訂正事項b-2 願書に添付した明細書の段落【0001】に記載された「この発明は、エンジン制御装置、スロツトルボディとともに上記エンジン制御装置を構成するECU(Electronic Control Unit)およびそのケースに関する。」とあるのを、「この発明は、エンジン制御装置およびECU(Electronic Control Unit)ケースに関する。」に訂正する。 ウ 訂正事項b-3 願書に添付した明細書の段落【0009】に記載された「エンジン制御装置およびそのエンジン制御装置を構成するECU、ECUケースを提供することを目的としている。またこの発明は、上記課題に鑑みて、動作安定性をより向上させたTPS、さらにはそのTPSを搭載したエンジン制御装置を提供することを目的としている。」とあるのを、「エンジン制御装置およびECUケースを提供することを目的としている。」に訂正する。 エ 訂正事項b-4 願書に添付した明細書の段落【0010】に記載された「また、請求項2に記載の発明にかかるECUは、TPS(Throttle Position Sensor)、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを有する回路基板と、前記回路基板を格納するECU(Electronic Control Unit)ケースと、を備え、スロツトルボディに取付けられるECU(ElectronicControl Unit)において、前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられた前記TPS、前記吸気圧カセンサおよび前記吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合されることを特徴とする。」とあるのを、削除する。 オ 訂正事項b-5 願書に添付した明細書の段落【0017】に記載された「請求項1~3」とあるのを、「請求項1、3」に訂正する。 カ 訂正事項b-6 願書に添付した明細書の段落【0024】に記載された「また、請求項6に記載の発明にかかるECUは、請求項2に記載の発明において、前記突出部の前記凹部は、前記TPSを構成するステータとホール素子を内部に格納し、前記突出部は、前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする。」とあるのを、削除する。 キ 訂正事項b-7 願書に添付した明細書の段落【0025】に記載された「請求項5~6」とあるのを、「請求項5、7」に訂正する。 ク 訂正事項b-8 願書に添付した明細書の段落【0010】に記載された「回路基板を格納し、スロットルボディに取付けられるECU(Electronic Control Unit)を構成するECUケースにおいて、」とあるのを、「回路基板を格納し、スロットルボディに取付けられるECUケースにおいて、」と訂正する。 ケ 訂正事項b-9 願書に添付した明細書の段落【0024】に記載された「また、請求項7に記載の発明にかかるECUケースは、請求項3に記載の発明において、前記突出部の前記凹部は、前記TPSを構成するステータとホール素子を内部に格納し、前記突出部は、前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする。」とあるのを、「また、請求項7に記載の発明にかかるECUケースは、請求項3に記載の発明において、前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納し、前記ホール素子用突出部は、前記突出部が前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする。」に訂正する。 コ 訂正事項b-10 願書に添付した明細書の段落【0039】に記載された「ECUケース2の外部へ突出した各突出部(凸部)は、ECUケース2の内部に溝部(凹部)を設けることによって形成されている。」とあるのを、「ECUケース2の外部へ突出した各突出部(凸部)は、ECUケース2の内部に溝部(凹部)を設けることやTPS用突出部27のように円筒状に外部に突出する壁を設けることによって形成されている。」に訂正する。 サ 訂正事項b-11 願書に添付した明細書の段落【0024】に記載された「また、請求項5に記載の発明にかかるエンジン制御装置は、請求項1に記載の発明において、前記突出部の前記凹部は、前記TPSを構成するステータとホール素子を内部に格納し、前記突出部は、前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする。」とあるのを、「また、請求項5に記載の発明にかかるエンジン制御装置は、請求項1に記載の発明において、前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納し、前記ホール素子用突出部は、前記突出部が前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする。」に訂正する。 2 訂正の適否の判断 (1)訂正事項aについて 特許請求の範囲の請求項2及び6についての訂正は、請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 特許請求の範囲の請求項3についての訂正は、本件訂正前の「スロットルボディに取付けられるECU(Electronic Control Unit)を構成するECUケース」を、「スロットルボディに取付けられるECUケース」とすることにより、ECUケースがECUを構成しないことを明瞭とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 特許請求の範囲の請求項5についての訂正は、本件訂正前の「前記突出部の前記凹部は、前記TPSを構成するステータとホール素子を内部に格納し、前記突出部は、前記スロットルボディに嵌合されるとき」を、「前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納し、前記ホール素子用突出部は、前記突出部が前記スロットルボディに嵌合されるとき」とすることにより、凹部がホール素子用突出部を備え、TPSを構成するステータとホール素子をホール素子用突出部の内部に格納することを明瞭とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 特許請求の範囲の請求項7についての訂正は、本件訂正前の「前記突出部の前記凹部は、前記TPSを構成するステータとホール素子を内部に格納し、前記突出部は、前記スロットルボディに嵌合されるとき」を、「前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納し、前記ホール素子用突出部は、前記突出部が前記スロットルボディに嵌合されるとき」とすることにより、凹部がホール素子用突出部を備え、TPSを構成するステータとホール素子をホール素子用突出部の内部に格納することを明瞭とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、特許請求の範囲の請求項3についての訂正は、本件訂正前の請求項3、段落【0045】及び図5の記載を根拠とするものである。 特許請求の範囲の請求項5についての訂正は、図14の記載を根拠とするものである。 特許請求の範囲の請求項7についての訂正は、図14の記載を根拠とするものである。 よって、訂正事項aの訂正は、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項を総合することにより導かれる技術的事項であり新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項の範囲内のものである。 また、訂正事項aの訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (補足) なお、平成28年1月27日に行われた口頭審理において、請求人は、特許請求の範囲の請求項5及び7についての訂正は、特許請求の範囲の変更にあたると主張しているので、当審において再検討したが、本件明細書及び図面を参酌すると、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項5及び7における「突出部」は、図14に記載された「ホール素子用突出部」を意味しているとみるのが自然であるから、特許請求の範囲の請求項5及び7についての訂正は、明細書及び図面の記載と整合していないため明瞭でなかった記載を釈明するものであって、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認める。 (2)訂正事項bについて ア 訂正事項b-1について 訂正事項b-1は、請求項2及び6を削除する訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、明細書の発明の名称を、「エンジン制御装置、ECU(ElectronicControlUnit)およびECUケース」から「エンジに制御装置およびECUケース」に訂正し、ECUを削除するものである。 したがって、訂正事項b-1は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項を総合することにより導かれる技術的事項であり新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ 訂正事項b-2について 訂正事項b-2は、請求項2及び6を削除する訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、明細書の段落【0001】からECU等に関する記載を削除するものである。 したがって、訂正事項b-2は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項を総合することにより導かれる技術的事項であり新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 訂正事項b-3について 訂正事項b-3は、請求項2及び6を削除する訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、明細書の段落【0009】からECU等に関する記載を削除するものである。 したがって、訂正事項b-3は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項を総合することにより導かれる技術的事項であり新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 エ 訂正事項b-4について 訂正事項b-4は、請求項2を削除する訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、明細書の段落【0010】からECU等に関する記載を削除するものである。 したがって、訂正事項b-4は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項を総合することにより導かれる技術的事項であり新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 オ 訂正事項b-5について 訂正事項b-5は、請求項2を削除する訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、明細書の段落【0017】に記載された「請求項1~3」とあるのを、「請求項1、3」に訂正するものである。 したがって、訂正事項b-5は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項を総合することにより導かれる技術的事項であり新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 カ 訂正事項b-6について 訂正事項b-6は、請求項2及び6を削除する訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、明細書の段落【0024】から請求項2及び6に関する記載を削除するものである。 したがって、訂正事項b-6は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項を総合することにより導かれる技術的事項であり新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 キ 訂正事項b-7について 訂正事項b-7は、請求項6を削除する訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、明細書の段落【0025】から請求項6に関する記載を削除するものである。 したがって、訂正事項b-7は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項を総合することにより導かれる技術的事項であり新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ク 訂正事項b-8について 訂正事項b-8は、請求項3の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、明細書の段落【0010】の記載を請求項3の記載と整合させるものである。 したがって、訂正事項b-8は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項を総合することにより導かれる技術的事項であり新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ケ 訂正事項b-9について 訂正事項b-9は、請求項5及び7の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、明細書の段落【0024】の記載を請求項7の記載と整合させるものである。 したがって、訂正事項b-9は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項を総合することにより導かれる技術的事項であり新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 コ 訂正事項b-10について 訂正事項b-10は、段落【0039】の記載を図10、図11、図14、図15及び図18の記載に整合させるものである。 したがって、訂正事項b-10は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項を総合することにより導かれる技術的事項であり新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 サ 訂正事項b-11について 訂正事項b-11は、請求項5の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、明細書の段落【0024】の記載を請求項5の記載と整合させるものである。 したがって、訂正事項b-11は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項を総合することにより導かれる技術的事項であり新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 シ 訂正事項bについてのまとめ 訂正事項bの訂正は、訂正事項aの訂正に伴う明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項を総合することにより導かれる技術的事項であり新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書、本件特許請求の範囲又は本件図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 訂正の適否の結論 したがって、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き、並びに、同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項(本件無効審判は特許請求の範囲の全請求項に対して請求されているため、第7項は適用されない)の規定に適合するので、当該訂正を認める。 第3 本件訂正発明1、3ないし5及び7 前述のとおり訂正請求による訂正を認めたので、本件特許請求の範囲の請求項1、3ないし5及び7に係る発明は、訂正明細書及び特許請求の範囲並びに本件図面の記載からみて、上記第2 1(1)イに示す特許請求の範囲の請求項1、3ないし5及び7に記載された事項により特定されるとおりのもの(以下、「本件訂正発明1、3ないし5及び7」という。)と認められる。 第4 請求人が主張する無効理由の概要 1 提出書類及び証拠方法 請求人は、平成27年3月31日に審判請求書とともに以下の甲第1号証及び甲第2号証を証拠として提出し、平成27年5月25日に手続補正書(方式)を提出し、平成27年11月13日付けで弁駁書を提出し、平成28年1月13日付けで口頭審理陳述要領書とともに以下の甲第3号証ないし甲第5号証を証拠として提出した。 <証拠方法> 甲第1号証:特開2001-73828号公報 甲第2号証:特開平5-263735号公報 甲第3号証:特開平5-26610号公報 甲第4号証:特開平5-157506号公報 甲第5号証:特開平10-62113号公報 2 請求人が主張する無効理由の概要 請求人は、特許第4794769号の特許請求の範囲の請求項1ないし7に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明7」という。)についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として概ね次の1ないし3(以下、「無効理由1ないし3」という。)のように主張している。(平成27年5月25日付け手続補正書(方式)第20ページ第12行ないし第21ページ第4行を参照。) (1)無効理由1 本件特許発明1ないし本件特許発明3は、甲第1号証に記載された発明である。従って、本件特許発明1ないし3は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は、同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。 (2)無効理由2 本件特許発明1ないし7は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、又は、甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。従って、本件特許発明1ないし7は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は、同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。 (3)無効理由3 本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではなく、本件特許発明1ないし4は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、明確ではない。従って、本件特許は、特許法第36条第4項第1号、第6項第1号及び第2号の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第4号の規定により無効とされるべきものである。 2-1 審判請求書における主張 審判請求書における主張は、以下のとおりである。(平成27年5月25日付け補正書(方式)第21ページ第5行ないし第66ページ末行) (なお、表記を統一するため、「,」は「、」にした。また、図面は省略した。) 「7-4 本件特許を無効にすべき理由 (1)本件特許発明1~7について 本件特許発明1~7は、本件特許の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載されたとおりである。各請求項の記載を構成要件に分説すると以下のとおりである。 【請求項1】(本件特許発明1) A スロットルボディと、 B 前記スロットルボディとは別工程において作成された、回路基板を有するECU(Electronic Control Unit)を格納するECUケースと、 C 前記スロットルボディと前記ECUケースとを取り付けする取り付け手段と、 を備えたエンジン制御装置において、 D 前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 E 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 F 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられたTPS(Throttle Position Sensor)、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 G 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合される H ことを特徴とするエンジン制御装置。 【請求項2】(本件特許発明2) I TPS(Throttle Position Sensor)、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを有する回路基板と、 J 前記回路基板を格納するECU(Electronic Control Unit)ケースと、を備え、 K スロットルボディに取付けられるECU(Electronic Control Unit)において、 L 前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 M 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 N 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられた前記TPS、前記吸気圧力センサおよび前記吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 O 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合される P ことを特徴とするECU。 【請求項3】(本件特許発明3) Q TPS(Throttle Position Sensor)、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを有する回路基板を格納し、スロットルボディに取付けられるECU(Electronic Control Unit)を構成するECUケースにおいて、 R 前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 S 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 T 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられた前記TPS、前記吸気圧力センサおよび前記吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 U 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合される V ことを特徴とするECU(Electronic Control Unit)ケース。 【請求項4】(本件特許発明4) W さらに、前記凸部を設けた面に各種データの入出力をおこなうための集合入出力端子を備えたことを特徴とする請求項3に記載のECUケース。 【請求項5】(本件特許発明5) X 前記突出部の前記凹部は、前記TPSを構成するステータとホール素子を内部に格納し、 前記突出部は、前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。 【請求項6】(本件特許発明6) Y 前記突出部の前記凹部は、前記TPSを構成するステータとホール素子を内部に格納し、 前記突出部は、前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする請求項2に記載のECU。 【請求項7】(本件特許発明7) Z 前記突出部の前記凹部は、前記TPSを構成するステータとホール素子を内部に格納し、 前記突出部は、前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする請求項3に記載のECUケース。 (2)甲第1号証(特開2001-73828号公報)の開示 ア 甲第1号証の記載事項 甲第1号証は、本件特許出願の優先日(平成13年8月2日)より前である平成13年3月21日に頒布された刊行物である。 甲第1号証には、以下の記載がある。 ・・・(中略)・・・ イ 甲第1号証に記載された発明 甲第1号証の上記アの記載を踏まえると、甲第1号証には、以下の甲1発明1が記載されている。 a スロットルボディ11と、 b スロットルボディ11とは別工程において作成された、センサ基板44を格納するユニットハウジング46と、 c ユニットハウジング46及びスロットルボディ11を結合するクリップ又はビスと、を備えたエンジン制御装置において、 d ユニットハウジング46は、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 e 突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 f 凹部は、センサ基板44の一方の面に取り付けられて当該一方の面から突出したスロットルセンサSth及びブースト負圧センサSpbを格納し、 g 突出部は、ユニットハウジング46がスロットルボディ11に取り付けられるときに、スロットルボディ11に嵌合される、 h エンジン制御装置。 また、甲1発明1はさらに以下の構成を備える。 x 凹部は、ステータとホール素子とを内部に格納し、突出部は、磁石が設けられる部位に嵌合する。 甲第1号証の上記アの記載を踏まえると、甲第1号証にはさらに、以下の甲1発明2が記載されている。 i スロットルセンサSth及びブースト負圧センサSpbを有するセンサ基板44と、 j センサ基板44を格納するユニットハウジング46と、を備え、 k スロットルボディ11に取付けられる電子制御ユニットUにおいて、 1 ユニットハウジング46は、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 m 突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 n 凹部は、センサ基板44の一方の面に取り付けられて当該一方の面から突出したスロットルセンサSth及びブースト負圧センサSpbを格納し、 o 突出部は、スロットルボディ11に取り付けられるときに、スロットルボディ11に嵌合される、 p 電子制御ユニットU。 また、甲1発明2はさらに以下の構成を備える。 y 凹部は、ステータとホール素子とを内部に格納し、突出部は、磁石が設けられる部位に嵌合する。 また、甲第1号証の上記アの開示を踏まえると、甲第1号証にはさらに、以下の甲1発明3が記載されている。 q スロットルセンサSth及びブースト負圧センサSpbを有するセンサ基板44を格納し、スロットルボディ11に取付けられる電子制御ユニットUを構成するユニットハウジング46において、 r ユニットハウジング46は、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 s 突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 t 凹部は、センサ基板44の一方の面に取り付けられて当該一方の面から突出したスロットルセンサSth及びブースト負圧センサSpbを格納し、 u 突出部は、ユニットハウジング46がスロットルボディ11に取り付けられるときに、スロットルボディ11に嵌合される、 v ユニットハウジング46。 また、甲1発明3はさらに以下の構成を備える。 w ユニットハウジング46に複数のカプラ端子86が設けられる。 z 凹部は、ステータとホール素子とを内部に格納し、突出部は、磁石が設けられる部位に嵌合する。 (3)本件特許発明1について(新規性及び進歩性1) ア 本件特許発明1と甲1発明1との対比 (丸数字の1)構成要件Aについて 本件特許発明1の構成要件Aは、以下のとおりである。 A スロットルボディと、 他方、甲1発明1の構成aは、以下のとおりである。 a スロットルボディ11と、 甲1発明1の「スロットルボディ11」は、本件特許発明1の「スロットルボディ」に相当することは明らかである。 よって、甲1発明1の構成aは本件特許発明1の構成要件Aに相当する。 (丸数字の2)構成要件Bについて 本件特許発明1の構成要件Bは、以下のとおりである。 B 前記スロットルボディとは別工程において作成された、回路基板を有するECU(Electronic Control Unit)を格納するECUケースと、 他方、甲1発明1の構成bは、以下のとおりである。 b スロットルボディ11とは別工程において作成された、センサ基板44を格納するユニットハウジング46と、 甲1発明1の「ユニットハウジング46」は、「センサ基板44」を格納するものであり、また、「スロットルボディ11」に対して取り付けられるものである。従って、「ユニットハウジング46」は、「スロットルボディ11」とは別体であり、「スロットルボディ11」とは別工程において作成されることが明らかである。 よって、甲1発明1の構成bは本件特許発明1の構成要件Bに相当する。 (丸数字の3)構成要件Cについて 本件発明の構成要件Cは、以下のとおりである。 C 前記スロットルボディと前記ECUケースとを取り付けする取り付け手段と、を備えたエンジン制御装置において、 他方、甲1発明1の構成Cは、以下のとおりである。 c ユニットハウジング46及びスロットルボデイ11を結合するクリップ又はビスと、を備えたエンジン制御装置において、 甲1発明1の「ユニットハウジング46」は「クリップ又はビス」等により「スロットルボディ11」に結合されるものである。従って、「クリップ又はビス」が「取り付け手段」であることは明らかである。 よって、甲1発明1の構成cは本件特許発明1の構成要件Cに相当する。 (丸数字の4)構成要件Dについて 本件特許発明1の構成要件Dは、以下のとおりである。 D 前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 他方、甲1発明1の構成dは、以下のとおりである。 d ユニットハウジング46は、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 以下に添付した甲第1号証の図3及び図4(審決注:図は省略)の記載から明らかなように、甲1発明1の「ユニットハウジング46」(略)は、少なくとも「センサ基板44」を格納しており、「ECUケース」に対応する。また、「ユニットハウジング46」は、外部に突出する凸部状の突出部を備えている。 よって、甲1発明1の構成dは本件特許発明の構成要件Dに相当する。 (丸数字の5)構成要件Eについて 本件特許発明1の構成要件Eは、以下のとおりである。 E 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え 他方、甲1発明1の構成eは、以下のとおりである。 e 突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 甲1発明1の「ユニットハウジング46」の突出部は、図3及び図4の記載から明らかなように、凹部を備えている。 よって、甲1発明1の構成eは本件特許発明1の構成要件Eに相当する。 (丸数字の6)構成要件Fについて 本件特許発明1の構成要件Fは、以下のとおりである。 F 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられたTPS(Throtle Position Sensor)、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 他方、甲1発明1の構成fは、以下のとおりである。 f 凹部は、センサ基板44の一方の面に取り付けられて当該一方の面から突出したスロットルセンサSth及びブースト負圧センサSpbを格納し、 甲1発明1において、「スロットルセンサSth」及び「ブースト負圧センサSpb」は、それぞれ本件特許発明1の「TPS」及び「吸気圧力センサ」に対応する。また、図3及び図4の記載から明らかなように、「ユニットハウジング46」の突出部の高さは「センサ基板44」の厚みよりも大きく設定されており、従って、突出部の内部に形成された凹部は、「センサ基板44」の一方の面から突出した「スロットルセンサSth」及び「ブースト負圧センサSpb」を少なくとも部分的に格納している。 また、構成要件Fの「格納」についての解釈は以下のとおりである。本件特許の段落0047や図14に記載されるように、「TPSを構成する構成部分」の「他の一部」は「凹部」の外側に配置されている。従って、本件特許において「格納」は、少なくとも部分的に格納することを含むものとして解釈されるものである。 よって、甲1発明1の構成fは本件特許発明1の構成要件Fに相当する。 (丸数字の7)構成要件Gについて 本件特許発明1の構成要件Gは、以下のとおりである。 G 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合される 他方、甲1発明1の構成gは、以下のとおりである。 g 突出部は、ユニットハウジング46がスロットルボディ11に取り付けられるときに、スロットルボディ11に嵌合される、 甲1発明1の突出部は、図3及び図4の記載から明らかなように、「ユニットハウジング46」に形成される。この「ユニットハウジング46」の突出部は、「ユニットハウジング46」すなわち「電子制御ユニットU」が「スロットルボディ11」に取り付けられるときに、「スロットルボディ11」に一体成形された「制御ユニット取付け部43」(略)に嵌合される(甲第1号証の段落0040)。 よって、甲1発明1の構成gは本件特許発明1の構成要件Gに相当する。 (丸数字の8)構成要件Hについて 本件発明の構成要件Hは、「エンジン制御装置。」であり、甲1発明1の構成hは、「エンジン制御装置。」であるから、甲1発明1の構成hが本件特許発明1の構成要件Hに相当することは明らかである。 イ 一致点・相違点 上記アにおける対比を考慮すると、甲1発明1の構成aないしhは本件特許発明1の構成要件AないしHとすべて同一である。従って、本件特許発明1は甲1発明1と同一である。 また、仮に構成要件Fについて相違点があるとしても、甲1発明1において、「突出部」が、「スロットルセンサSth」や「ブースト負圧センサSpb」の大部分を「格納」するようにその大きさを変更することは、当業者が適宜なし得る設計事項である。 ウ 小括 以上のとおり、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明である。また、仮に構成要件Fについて甲1発明1が本件特許発明1と相違点があるとしても、かかる相違点は、甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものである。 (4)甲第2号証(特開平5-263735号公報)の開示 ア 甲第2号証の記載事項 甲第2号証は、本件特許出願の優先日(平成13年8月2日)より前である平成5年10月12日に頒布された刊行物である。 甲第2号証には、以下の記載がある(略)。 ・・・(中略)・・・ イ 甲第2号証に記載された発明 甲第2号証の上記アの開示を踏まえると、甲第2号証には、以下の甲2発明が記載されている。 a´ スロットルボディ42と、 b´ スロットルボディ42に取り付けられる、センサ基板12を有するエンジン制御回路48(ECU)を格納するベース47及びカバー17と、 c´ スロットルボディ42とベース47とを取り付けるねじと、 h´ を備えるエンジン制御装置48。 また、甲2発明はさらに以下の構成を備える。 i´ センサユニット9を有するセンサ基板12と、 j´ センサ基板12を格納するベース47及びカバー17と、を備え、 k´ スロットルボディ42に取り付けられる p´ エンジン制御装置48。 q´ センサユニット9を有するセンサ基板12を格納し、スロットルボディ42に取り付けられるエンジン制御装置48を構成するカバー17及びベース47において、 v´´ カバー17及びベース47。 (5)本件特許発明1について(進歩性2) ア 本件特許発明1と甲2発明との対比 (丸数字の1)構成要件Aについて 本件特許発明1の構成要件Aは、以下のとおりである。 A スロットルボディと、 他方、甲2発明の構成a´は、以下のとおりである。 a´ スロットルボディ42と、 甲2発明の「スロットルボディ42」は、本件特許発明1の「スロットルボディ」に相当することは明らかである。 よって、甲2発明の構成a´は本件特許発明1の構成要件Aに相当する。 (丸数字の2)構成要件Bについて 本件特許発明1の構成要件Bは、以下のとおりである。 B 前記スロツトルボディとは別工程において作成された、回路基板を有するECU(Electronic Control Unit)を格納するECUケースと、 他方、甲2発明の構成b´は、以下のとおりである。 b´ スロットルボディ42に取り付けられる、センサ基板12を有するエンジン制御回路48(ECU)を 格納するベース47及びカバー17と、 甲2発明の「ベース47」及び「カバー17」は、「センサ基板12」を有する「エンジン制御回路48」を格納するものであり、また、「スロットルボディ42」に対して取り付けられるものである。従って、「ベース4 7」及び「カバー17」は、スロットルボディ42」とは別体であり、「スロットルボディ42」とは別工程において作成されることが明らかである。 よって、甲2発明の構成b´は本件特許発明1の構成要件Bに相当する。 (丸数字の3)構成要件Cについて 本件発明の構成要件Cは、以下のとおりである。 C 前記スロットルボディと前記ECUケースとを取り付けする取り付け手段と、を備えたエンジン制御装置において、 他方、甲2発明の構成c´は、以下のとおりである。 c′スロットルボディ42とベース47とを取り付けるねじと、 甲2発明の「ベース47」は「ねじ」等により「スロットルボディ42」に取り付けられるものである。従って、「ねじ」が「取り付け手段」であることは明らかである。 よって、甲2発明の構成c´は本件特許発明1の構成要件Cに相当する。 (丸数字の4)構成要件Hについて 本件発明の構成要件Hは、「エンジン制御装置。」であり、甲2発明の構成h´は、「エンジン制御装置48。」 であるから、甲2発明の構成h´が本件特許発明1の構成要件Hに相当することは明らかである。 なお、本件特許の審査において平成23年2月24日付けで提出された意見書にて、被請求人である出願人は、甲2発明が本件特許発明1の上記構成要件AないしC及びHを備えていることを認めている。 イ 一致点・相違点 本件特許発明1と甲2発明とは、以下の相違点1において相違し、その余はー致する。 相違点1:本件特許発明1が、以下の構成要件D~Gを備えている一方で、甲2発明が、当該構成要件D~Gを備えていない点において相違する。 D 前記ECUケ-スは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 E 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 F 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられたTPS(Throttle Position Sensor)、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくと一つのセンサを含む、前記回路基板の-方の面から突出した部材を格納し、 G 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに前記スロットルボディに嵌合される ウ 本件特許発明1と甲1発明1との対比 上記(3)イで検討したように、甲1発明1は以下の構成d~gを備えており、また、 甲1発明1の構成d~gは本件特許発明1の構成要件D~Gとすべて同一である。 d ユニットハウジング46は、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 e 突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 f 凹部は、センサ基板44の一方の面に取り付けられて当該一方の面から突出したスロットルセンサSth及びブースト負圧センサSpbを格納し、 g 突出部は、ユニットハウジング46がスロットルボディ11に取り付けられるときに、スロットルボディ11に嵌合される、 エ 甲第2号証と甲第1号証との組み合わせ 甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明はともに、エンジンの燃料噴射弁を制御するエンジン制御装置に関するものであり(甲第2号証段落0001、甲第1号証段落0001)、両者が同一の技術分野に属することは明らかである。また、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明はともに、エンジン制御装置の小型化を図ることを目的としており(甲第2号証段落0063、甲第1号証段落0073)、両者の技術課題が共通していることは明らかである。さらに、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明はともに、エンジン制御装置をスロットルボディに取り付けることによって小型化を実現しており(甲第2号証段落0063、甲第1号証段落0073)、両者の機能・作用は共通していことが明らかである。従って、甲第2号証及び甲第1号証を組み合わせることには動機付けがあるといえる。 また、甲1発明1の「ユニットハウジング46」が甲2発明の「ベース47」に対応し、甲1発明1の「スロットルボディ11」が甲2発明の「スロットルボディ42」に対応する。 よって、甲2発明において、甲1発明1の構成d~gを採用することにより、「ベース47」に、外部に突出する凸部状の突出部を設けて突出部の内部の凹部に「センサユニット9’」を格納するように構成し、突出部を「スロットルボディ42」に嵌合するように構成することは、当業者が容易になし得た事項である。 オ 小括 以上のとおり、甲2発明と本件特許発明1とは、構成要件A~C及びHについて同一であり、構成要件D~Gを備えていない点について相違点1があるが、かかる相違点1は甲2発明及び甲1発明1に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるから、本件特許発明1は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものでる。 (6) 本件特許発明1について(進歩性3) ア 本件特許発明1と甲2発明との一致点・相違点 上記(5)アで検討したように、甲2発明の構成a~c(審決注:「a´~c´」の誤記。)及びh(審決注:「h´」の誤記。)は本件特許発明1の構成要件AないしC及びHと同一である。しかしながら、上記(2)(イ)の相違点1のとおり、甲2発明が、本件特許発明1の構成要件DないしGを備えていない点において相違する。 イ 甲第1号証に記載された発明 甲第1号証の上記(2)アの開示を踏まえると、甲第1号証には以下の構成d´ないしg´がさらに開示されている。 d´ ユニットハウジング46及び制御ユニット取付け部43は、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 e´ 突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 f´ 凹部は、センサ基板44の一方の面に取り付けられて当該一方の面から突出したスロットルセンサSth及びブースト負圧センサSpbを格納し、 g´ 前記突出部は、スロットルボディ11に嵌合された状態にある (審決注:平成28年1月13日付けで請求人が提出した口頭審理陳述要領書によりこのように修正された。) ウ 本件特許発明1の構成要件D~Gと甲第1号証に記載された構成d´~g´との対比 (丸数字の1)構成要件Dについて 本件特許発明1の構成要件Dは、以下のとおりである。 D 前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 他方、甲第1号証に記載された構成d´は、以下のとおりである。 d´ ユニットハウジング46及び制御ユニット取付け部43は、外部に突出する凸部状の突出部を備え(審決注:平成28年1月13日付けで請求人が提出した口頭審理陳述要領書によりこのように修正された。)、 以下に添付した(審決注:添付は省略した。)甲第1号証の図3及び図4の記載から明らかなように、甲第1号証の「制御ユニット取付け部43」(略)は、「ユニットハウジング46」(略)との間に「センサ基板44」を配置している。「スロットルボディ11」に取り付けられる「電子制御ユニットU」が「センサ基板44」を格納するものであることに鑑みれば、「ユニットハウジング46」及び「制御ユニット取付け部43」が「電子制御ユニットU」のケースを構成すると発想することは自然であると言える。従って、「制御ユニット取付け部43」が「電子制御ユニットU」の一部を構成するものと言える。また、「制御ユニット取付け部43」は、外部に突出する凸部状の突出部を備えている。 よって、甲第1号証に記載された構成d´は本件特許発明の構成要件Dに相当する。 [図3](略) [図4](略) (丸数字の2)構成要件Eについて 本件特許発明1の構成要件Eは、以下のとおりである。 E 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 他方、甲第1号証に記載された構成e´は、以下のとおりである。 e´ 突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 甲第1号証の「制御ユニット取付け部43」の突出部は、図3及び図4の記載から明らかなように凹部を備えている。 よって、甲第1号証に記載された構成e´は本件特許発明1の構成要件Eに相当する。 (丸数字の3)構成要件Fについて 本件特許発明1の構成要件Fは、以下のとおりである。 F 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられたTPS(Thrott1e Position Sensor)、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 他方、甲第号証に記載された構成f´は、以下のとおりである。 f´ 凹部は、センサ基板44の一方の面に取り付けられて当該面から突出したスロットルセンサSth及びブースト負圧センサSpbを格納し、 甲第1号証の「スロットルセンサSth」及び「ブースト負圧センサSpb」はそれぞれ、本件特許発明1の「TPS」及び「吸気圧力センサ」に対応する。また、甲第1号証の凹部は、図3及び図4の記載から明らかなように、「センサ基板44」の一方の面から突出した「スロットルセンサSth」及び「ブースト負圧センサSpbを格納している。 よって、甲第1号証に記載された構成f´は本件特許発明1の構成要件Fに相当する。 (丸数字の4)構成要件Gについて 本件特許発明1の構成要件Gは、以下のとおりである。 G 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合される 他方、甲第1号証に記載された構成g´は、以下のとおりである。 g´ 前記突出部は、スロットルボディ11に嵌合された状態にある、 甲第1号証の突出部は、図3及び図4の記載から明らかなように、「制御ユニット取付け部43」に形成される。この「制御ユニット取付け部43」の突出部は、「スロットルボディ11」の例えば「スロットルバルブ20」や「連結軸39」に嵌合された状態にあるものの、段落【0031】の記載によれば、「スロットボディ11」に一体成形されている。一方で、本件特許発明1では、突出部が、ECUケースがスロットルボディに取り付けられるときに、スロットルボディに嵌合される。 よって、甲第1号証に記載された構成g´は本件特許発明1の構成要件Gと相違する。 (審決注:平成28年1月13日付けで請求人が提出した口頭審理陳述要領書によりこのように修正された。) エ 一致点・相違点 本件特許発明1の構成要件DないしGと甲第1号証に記載された構成d´ないしg´とは、以下の相違点2において相違し、その余は一致する。 相違点2:本件特許発明1の構成要件Gが、甲第1号証に記載された構成g´と相違する。 オ 相違点は容易に想到できたものであること 相違点2の具体的な内容は、以下のとおりである。 本件特許発明1では、突出部が、ECUケースがスロットボディに取り付けられるときに、スロットルボディに嵌合されるのに対して、甲第1号証では、突出部が、「スロットルボディ11」に一体成形された「制御ユニット取付け部43」に形成される点。 甲第1号証では、図3及び図4の記載から明らかなように、「制御ユニット取付け部43」は、「スロットルセンサSth」や「ブースト負圧センサSpb」の外形に倣った複雑な形状を有している。この「制御ユニット取付け部43」を「スロットルボィ11」に一体成形する場合、複雑な形状を有するがゆえに金型の構造が複雑化し、「スロットルボディ11」の製造コストを増大させることを容易に想像することができる。この点に鑑みれば、「制御ユニット取付け部43」を「スロットルボディ11」とは別体に構成することは、当業者であれば当然考慮する事項である。 加えて、甲第1号証において、「スロットルボディ11」と「電子制御ユニットU」とは別個に製造されるものであるが、この場合、「スロットルセンサSth」や「ブースト負圧センサSpb」が取り付けられる「センサ基板44」の下面側の損傷防止や搬送の容易性の実現を目的として、「センサ基板44」の下面側にもケースを設ける方が好都合であることは言うまでもない。このとき、「スロットルセンサSth」や「ブースト負圧センサSpb」を収容する凹部を有する「制御ユニット取付け部43」によって、「センサ基板44」の下面側を覆うケースを構成しようとすることは、当業者であれば当然考慮する事項である。 以上のことから、「ユニットハウジング46」及び「制御ユニット取付け部43」が「センサ基板44」のケースを構成すること、すなわち、「ユニットハウジング46」及び「制御ユニット取付け部43」を有する「電子制御ユニットU」を「スロットルディ11」に嵌合することは、当業者が容易に想到し得た事項である。また、「制御ニット取付け部43」を「スロットルボディ11」と別体に構成してはならない特段の理由も見当たらない。 以上の点を考慮すると、甲第1号証において、「スロットルボディ11」に一体成形された「制御ユニット取付け部43」に「電子制御ユニットU」を嵌合する構成を、突出部を有する「制御ユニット取付け部43」を備えた「電子制御ユニットU」を「スロットルボディ1l」に嵌合する構成に変更することは、当業者であれば容易になし得る設計事項である。 カ 甲第2号証と甲第1号証との組み合わせ 甲第2号証及び甲第1号証を組み合わせることに動機付けがあることは上記(5)エで述べたとおりである。 また、甲第1号証の「制御ユニット取付け部43」が甲2発明の「ベース47」に対応し、甲第1号証の「スロットルボディ1l」が甲2発明の「スロットルボディ42」に対応する。 よって、甲2発明において、甲第1号証に記載された構成d´~しg´を採用することより、「ベース47」に、外部に突出する凸部状の突出部を設けて突出部の内部の凹部に「センサユニット9´」を格納するように構成し、突出部を「スロットルボディ42」に嵌合するように構成することは、当業者が容易になし得た事項である。 キ 小括 以上のとおり、甲2発明と本件特許発明1とは、構成要件A~C及びHについて同一であり、構成要件D~Gを備えていない点について相違点1があり、また、構成要件Gについて相違点2があるが、かかる相違点1及び2は甲2発明及び甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるから、本件特許発明1は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものである。 (7)本件特許発明2について(新規性及び進歩性1) ア 本件特許発明2と甲1発明2との対比 (丸数字の1)構成要件Iについて 本件特許発明2の構成要件1は、以下のとおりである。。 I TPS(Throttle Position Sensor)、吸気圧カセンサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを有する回路基板と、 他方、甲1発明2の構成iは、以下のとおりである。 i スロットルセンサSth及びブースト負圧センサSpbを有するセンサ基板44と、 甲1発明2の「スロツトルセンサSth」及び「ブースト負圧センサSpb」は、 本件特許発明2の「TPS(Throttle Position Sensor)」及び「吸気圧力センサ」にそれぞれ相当する(審決注:平成28年1月13日付けで請求人が提出した口頭審理陳述要領書によりこのように修正された。)。また、甲1発明2の「センサ基板44」は本件特許発明2の「回路基板」に相当する。 よって、甲1発明2の構成iは本件特許発明2の構成要件Iに相当する。 (丸数字の2)構成要件Jについて 本件特許発明2の構成要件Jは、以下のとおりである。 J 前記回路基板を格納するECU(Electronic Control Unit)ケ-スと、を備え、 他方、甲1発明2の構成jは、以下のとおりである。 j センサ基板44を格納するユニットハウジング46と、を備え、 甲1発明2の「ユニットハウジング46」が本件特許発明2の「ECUケースに相当する。 よって、甲1発明2の構成jは本件特許発明2の構成要件Jに相当する。 (丸数字の3)構成要件Kについて 本件特許発明2の構成要件Kは、以下のとおりである。 K スロットルボディに取付けられるECU(Electronic Contro1 Unit)において、 他方、甲1発明2の構成kは、以下のとおりである。 k スロットルボディ11に取付けられる電子制御ユニットUにおいて、 甲1発明2の「電子制御ユニットU」が本件特許発明2の「ECU」に相当する。 よって、甲1発明2の構成kは本件特許発明2の構成要件Kに相当する。 (丸数字の4)構成要件L~Oについて 本件特許発明2の構成要件L~Oは本件特許発明1の構成要件D~Gに一致し、甲1発明2の構成l~oは甲1発明1の構成d~gに一致する。本件特許発明1で検討したとおり、甲1発明1の構成d~gは本件特許発明1の構成要件D~Gと同一であるから、甲1発明2の構成lないしoも同様に本件特許発明2の構成要件LないしOに相当する。 (丸数字の5)構成要件Pについて 本件特許発明2の構成要件Pは、以下のとおりである。 P ことを特徴とするECU。 他方、甲1発明2の構成pは、以下のとおりである。 p 電子制御ユニットU。 甲1発明2の「電子制御ユニットU」が本件特許発明2の「ECU」に相当する。 よって、甲1発明2の構成pは本件特許発明2の構成要件Pに相当する。 イ 一致点・相違点 上記アにおける対比を考慮すると、甲1発明2の構成i~pは本件特許発明2の構成要件I~Pとすべて同一である。従って、本件特許発明2は甲1発明2と同一である。 また、仮に構成要件Nについて相違点があるとしても、上記(3)イで、構成要件Nに対応する甲1発明1の構成要件Fについて検討したとおり、かかる相違点は当業者が適宜なし得る設計事項である。 ウ 小括 以上のとおり、本件特許発明2は、甲第1号証に記載された発明である。また、仮に構成要件Nについて甲1発明2が本件特許発明2と相違点があるとしても、かかる相違点は、甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものである。 (8)本件特許発明2について(進歩性2) ア 本件特許発明2と甲2発明との対比 (丸数字の1)構成要件Iについて 本件特許発明2の構成要件Iは、以下のとおりである。 I TPS(Throttle Position Sensor)、吸気圧カセンサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを有する回路基板と、 他方、甲2発明の構成i´は、以下のとおりである。 i´ センサユニット9’を有するセンサ基板12と、 甲2発明の「センサユニット9’」は「発熱抵抗体式の吸入空気流量センサ」であり、本件特許発明2の「吸気圧力センサ」及び「吸気温度センサ」に相当する。また、甲2発明の「センサ基板12」は本件特許発明2の「回路基板」に相当する よって、甲2発明の構成i´は本件特許発明2の構成要件Iに相当する。 (丸数字の2)構成要件Jについて 本件特許発明2の構成要件Jは、以下のとおりである。 J 前記回路基板を格納するECU(Electronic Control Unit)ケースと、を備え、 他方、甲2発明の構成j´は、以下のとおりである。 j´ センサ基板12を格納するべース47及びカバー17と、を備え、 甲2発明の「ベース47及びカバー17」が、本件特許発明2の「ECUケース」に相当する。 よって、甲2発明の構成j´は本件特許発明2の構成要件Jに相当する。 (丸数字の3)構成要件Kについて 本件特許発明2の構成要件Kは、以下のとおりである。 K スロットルボディに取付けられるECU(Electronic Contro1 Unit)において、 他方、甲2発明の構成k´は、以下のとおりである。 k´スロットルボディ42に取り付けられる 甲2発明の「スロットルボディ42」に取り付けられる「エンジン制御装置48」が、本件特許発明2の「スロットルボディ」に取り付けられる「ECU」に相当する。 よって、甲2発明の構成k´は本件特許発明2の構成要件Kに相当する。 (丸数字の4)構成要件Pについて 本件特許発明2の構成要件Pは、以下のとおりである。 P ことを特徴とするECU。 他方、甲2発明の構成pは、以下のとおりである。 p´エンジン制御装置48。 甲2発明の「エンジン制御装置48」は本件特許発明2の「ECU」に相当する。 よって、甲2発明の構成p´は本件特許発明2の構成要件Pに相当する。 イ 一致点・相違点 本件特許発明2と甲2発明とは、以下の相違点3において相違し、その余は一致する。 相違点3:本件特許発明2が、以下の構成要件LないしOを備えている一方で、甲2発明が、当該構成要件LないしOを備えていない点において相違する。 L 前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 M  前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 N 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられた前記TPS、前記吸気圧力センサおよび前記吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 O 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合される ウ 本件特許発明2と甲1発明2との対比 上記(7)アで検討したように、甲1発明2の構成lないしoは本件特許発明2の構要件LないしOと同一である。また、仮に構成要件Nが相違するとしても、上記(3)イで構成要件Nに対応する本件特許発明1の構成要件Fについて検討したとおり、かかる相違点は当業者であれば容易になし得る設計事項である。 エ 甲第2号証と甲第1号証との組み合わせ 甲第2号証及び甲第1号証を組み合わせることに動機付けがあることは上記(5)エで述べたとおりである。 また、甲1発明2の「ユニットハウジング46」が甲2発明の「ベース47」に対応し、甲1発明2の「スロットルボディ11」が甲2発明の「スロットルボディ42」に対応する。 よって、甲2発明において、甲1発明2の構成lないしoを採用することにより、「ベース47」に、外部に突出する凸部状の突出部を設けて突出部の内部の凹部に「センサユニット9’」を格納するように構成し、突出部を「スロットルボディ42」に嵌合するよう構成することは、当業者が容易になし得た事項である。 オ 小括 以上のとおり、甲2発明と本件特許発明2とは、構成要件IないしK及びPについて同一であり、構成要件LないしOを備えていない点について相違点3があるが、かかる相違点3は甲2発明及び甲1発明2に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるから、本件特許発明2は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものである。 (9)本件特許発明2について(進歩性3) ア 本件特許発明2と甲2発明との一致点・相違点 上記(8)アで検討したように、甲2発明の構成i´~k´及びp´は本件特許発明2の構成要件IないしK及びPと同一である。しかしながら、上記(8)イの相違点3のとおり、甲2発明が、本件特許発明2の構成要件L~Oを備えていない点において相違する。 イ 本件特許発明2の構成要件LないしOと甲第1号証に記載された構成d´ないしg´との対比 本件特許発明2の構成要件LないしOが本件特許発明1の構成要件DないしGに一致し、また、上記(6)エで検討したとおり、甲第1号証に記載された構成d´ないしf´は本件特許発明1の構成要件DないしFに一致する。従って、本件特許発明1と同様に、甲第1号証に記載された構成d´ないしf´が本件特許発明2の構成要件LないしNに相当する。また、構成要件Gに対応する構成要件Oの相違点は、上記(6)オで構成要件Gについて検討したとおり、当業者であれば容易になし得る設計事項である。 ウ 甲第2号証と甲第1号証との組み合わせ 甲第2号証及び甲第1号証を組み合わせることに動機付けがあることは上記(5)エで述べたとおりである。 また、甲第1号証の「制御ユニット取付け部43」が甲2発明の「ベース47」に対応し、甲第1号証の「スロットルボディ11」が甲2発明の「スロットルボディ42」に対応する。 よって、甲2発明において、甲第1号証に記載された構成d´ないしg´を採用することにより、「ベース47」に、外部に突出する凸部状の突出部を設けて突出部の内部の凹部に「センサユニット9’」を格納するように構成し、突出部を「スロットルボデ42」に嵌合するように構成することは、当業者が容易になし得た事項である。 エ 小括 以上のとおり、甲2発明と本件特許発明2とは、構成要件I~K及びPについて同一あり、構成要件L~Oを備えていない点について相違点3があり、また、構成要件Oにいて相違点があるが、かかる相違点は甲2発明及び甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるから、本件特許発明2は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものである。 (10)本件特許発明3について(新規性及び進歩性1) ア 本件特許発明3と甲1発明3との対比 (丸数字の1)構成要件Qについて 本件特許発明3の構成要件Qは、以下のとおりである。 Q TPS(Throttle Position SenSor)、吸気圧力センサよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを有する回路基板を格納し、スロットボデイに取付けられるECU(Electronic Contro1Unitを構成するECUケースにおいて、 他方、甲1発明3の構成qは、以下のとおりである。 q スロットルセンサSth及びブースト圧センサSpbを有するセンサ基板44を格納し、スロットルボディ11に取付けられる電子制御ユニットUを構成するユニットハウジング46において、 甲1発明3の「スロットルセンサSth」及び「ブースト負圧センサSpb」を有する「センサ基板44」は、本件特許発明3の「TPS」及び「吸気圧力センサ」を有する「回路基板」に相当する。また、甲1発明3の「スロットルボディ11に取付けられる電子制御ユニットUを構成するユニットハウジング46」は、本件特許発明3のスロットルボディに取付けられるECU(Electronic Contro1 Unit)を構成するECUケース」に相当する。 よって、甲1発明3の構成qは本件特許発明3の構成要件Qに相当する。 (丸数字の2)構成要件R~Uについて 本件特許発明3の構成要件R~Uは本件特許発明1の構成要件D~Gに一致し、甲1発明3の構成r~uは甲1発明1の構成d~gに一致する。本件特許発明1で検討したとおり、甲1発明1の構成d~gは本件特許発明1の構成要件D~Gと同一であるから、甲1発明3の構成r~uも同様に本件特許発明3の構成要件RないしUに相当する。 (丸数字の3)構成要件Vについて 本件特許発明3件の構成要件Vは、以下のとおりである。 V ことを特徴とするECU(Electronic Control Unit)ケース。 他方、甲1発明3の構成vは、以下のとおりである。 v ユニットハウジング46。 甲1発明3の「ユニットハウジング46」が本件特許発明3の「ECUケース」に相当する。 よって、甲1発明3の構成vは本件特許発明3の構成要件Vに相当する。 イ 一致点・相違点 上記アにおける対比を考慮すると、甲1発明3の構成qないしvは本件特許発明3の構成要素QないしVとすべて同一である。従って、本件特許発明3は甲1発明3と同一である。また、仮に構成要件Tが相違するとしても、上記(3)イで、構成要件Tに対応する本件特許発明1の構成要件Fについて検討したとおり、かかる相違点は当業者であれば容易になし得る設計事項である。 ウ 小括 以上のとおり、本件特許発明3は、甲第1号証に記載された発明である。また、仮に構成要件Tについて甲1発明3が本件特許発明3と相違点があるとしても、かかる相違点は、甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものである。 (11)本件特許発明3について(進歩性2) ア 本件特許発明3と甲2発明との対比 (丸数字の1)構成要件Qについて 本件特許発明3の構成要件Qは、以下のとおりである。 Q TPS(Thrott1e Position Sensor)、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを有する回路基板を格納し、スロットルボディに取付けられるECU(Electronic Control Unit)を構成するECUケースにおいて、 他方、甲2発明の構成q’は、以下のとおりである。 q´ センサユニット9’を有するセンサ基板12を格納し、スロットルボデイ42に取り付けられるエンジン制御装置48を構成するカバー17及びベース47において、 甲第2発明の「センサユニット9’」は「発熱抵抗体式の空気流量センサ」であり、本件特許発明3の「吸気圧力センサ」及び「吸気温度センサ」に相当する。甲2発明のセンサ基板12」は、本件特許発明3の「回路基板」に相当する。また、甲2発明のカバー17及びベース47」は本件特許発明3の「ECUケース」に相当する。 よって、甲2発明の構成q´は本件特許発明3の構成要件Qに相当する。 (丸数字の2)構成要件Vについて 本件特許発明3の構成要件Vは、以下のとおりである。 V ことを特徴とするECU(Electronic Control Unit)ケース。 他方、甲2発明の構成v´´は、以下のとおりである。 v´´ カバー17及びベース47。 甲2発明の「カバー17及びベース47」が、本件特許発明2の「ECUケース」に相当する。 よって、甲2発明の構成v´´は本件発明2の構成要件Vに相当する。 イ 一致点・相違点 本件特許発明3と甲2発明とは、以下の相違点4において相違し、その余は一致する。 相違点4:本件特許発明3が、以下の構成要件RないしUを備えているー方で、甲2発明が、当該構成要件RないしUを備えていない点において相違する。 R 前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 S 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 T 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられた前記TPS、前記吸気圧カセンサおよび前記吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 U 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合される ウ 本件特許発明3と甲1発明3との対比 上記(10)アで検討したように、甲1発明3のr~uは本件特許発明3の構成R~Uと同一である。また、仮に構成要件Tが相違するとしても、上記(3)イで、構成要件Tに対応する本件特許発明1の構成要件Fについて検討したとおり、かかる相違点は当業者であれば容易になし得る設計事項である。 エ 甲第2号証と甲第1号証との組み合わせ 甲第2号証及び甲第1号証を組み合わせることに動機付けがあることは上記(5)エで述べたとおりである。 また、甲1発明3の「ユニットハウジング46」が甲2発明の「ベース47」に対応し、甲1発明3の「スロットルボディ11」が甲2発明の「スロットルボディ42」に対応する。 よって、甲2発明において、甲1発明3の構成rないしuを採用することにより、「ベース47」に外部に突出する凹部状の突出部を設けて突出部の内部の凹部に「センサユニット9’」を格納するように構成し、突出部を「スロットルボディ42に嵌合するように構成することは、当業者が容易になし得た事項である。 オ 小括 以上のとおり、甲2発明と本件特許発明3とは、構成要件Q及びVについて同一であり、構成要件R~Uを備えていない点について相違点4があるが、かかる相違点4は甲2発明及び甲1発明3に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるから、本件特許発明3は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものである。 (12)本件特許発明3について(進歩性3) ア 本件特許発明3と甲2発明との一致点・相違点 上記(11)アで検討したように、甲2発明の構成q´及びv´´は本件特許発明3の構成要件Q及びVと同一である。しかしながら、上記(11)イの相違点4のとおり、甲2発明が、本件特許発明3の構成要件R~Uを備えていない点において相違する。 イ 本件特許発明3の構成要件RないしUと甲第1号証に記載された構成d´ないしg´との対比 上記(11)ア(審決注:「上記(10)ア」の誤記と認められる。)で検討したように、本件特許発明3の構成要件R~Uは本件特許発明1の構成要件D~Gに一致し、また、上記(6)エで検討したとおり、甲第1号証に記載された構成d´~f´は本件特許発明1の構成要件D~Fに一致する。従って、本件特許発明1と同様に、甲第1号証に記載された構成d´~f´は本件特許発明3の構成R~Tに相当する。また、構成要件Gに対応する構成要件Uの相違点は、上記(6)オで本件特許発明1の構成要件Gについて検討したとおり、当業者であれば容易になし得る設計事項である。 ウ 甲第2号証と甲第1号証との組み合わせ 甲第2号証及び甲第1号証を組み合わせることに動機付けがあることは上記(5)エで述べたとおりである。 また、甲第1号証の「制御ユニット取付け部43」が甲2発明の「ベース47」に対応し、甲第1号証の「スロットルボディ11」が甲2発明の「スロットルボディ42」に応する。 よって、甲2発明において、甲第1号証に記載された構成d´ないしg´を採用することにより、「ベース47」に、外部に突出する凸部状の突出部を設けて突出部の内部の凹部に「センサユニット9’」を格納するように構成し、突出部を「スロットルボディ42」に嵌合するように構成することは、当業者が容易になし得た事項である。 エ 小括 以上のとおり、甲2発明と本件特許発明3とは、構成要件Q及びVについて同一であり、構成要件RないしUを備えていない点について相違点4があり、また、構成要件Uについて相違点があるが、かかる相違点は甲2発明及び甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるから、本件特許発明3は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものである。 (13)本件特許発明4について(進歩性) ア 本件特許発明4と甲1発明3との対比 本件特許発明4の構成要件Wでは、集合入出力端子は、凸部を設けた面に設けられるものとして特定されている。これに対して甲1発明3の構成wでは、「カプラ端子86」は、突出部を設けた面に設けられていない点に相違点がある。しかしながら、「カプラ端子86」を設ける位置は当業者の適宜行う選択事項であり、従って、「カプラ端子86」を「制御ユニット取付け部43」の突出部を設けた面に設けることは、過度の努力を必要とすることなく当業者が容易に想到し得たことである。 イ 小括 以上のとおり、甲1発明3と本件特許発明4との相違点に係る構成は、甲1発明3に基づいて当業者が容易に想到し得るものであり、また、本件特許発明4の特許請求の範囲の記載が引用する本件特許発明3が甲第1号証に記載された発明に基づき又は甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到し得るものであることは、上記(10)ないし(12)で述べたとおりである。よって、本件特許発明4は、甲第1号証に記載された発明に基づき、又は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものである。 (14)本件特許発明5~7について(進歩性) ア 本件特許発明5~7と甲1発明1~3との対比 本件特許発明5の構成要件X、本件特許発明6の構成要件Y及び本件特許発明7の構成要件Zでは、凹部はその内部にステータとホール素子とを格納し、突出部は、磁石が設けられる部位に嵌合されることが特定されている。これに対して甲1発明1の構成x、甲1発明2の構成y及び甲1発明3の構成zでは、「スロットルセンサSth」が、突出部の内部に格納される「固定子40r及び回転子40s」を備えており、「スロットルセンサSth」が、ホール素子及び磁石を用いて非接触型に構成されてもよい(段落0033)。従って、突出部が、磁石が設けられる部位に嵌合するように構成することには当業者が容易に想到し得たことである。 イ 小括 以上のとおり、本件特許発明5ないし7は甲1発明1ないし3のそれぞれに基づいて当業者が容易に想到し得るものであり、また、本件特許発明5ないし7の特許請求の範囲のそれぞれの記載が引用する本件特許発明1ないし3が甲第1号証に記載された発明に基づき又は甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到し得るものであることは上記(1)~(12)で述べたとおりである。よって、本件特許発明5ないし7は、甲第1証に記載された発明に基づき、又は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものである。 (15)本件特許発明1~3について(記載不備) 本件特許発明1~3は、突出部が、内部に設けられた凹部を備え、当該凹部が、回路基板の一方の面に取り付けられたTPS(Throttle Position Sensor)を含む、回路基板の一方の面から突出した部材を格納する構成を特定している。 本件特許の段落0039に記載されるように、凹部は、「ECUケース2の内部に設けられた溝」による空間であるものとして定義されている。 その一方で、本件特許の図10、図l1、図14、図15及び図18の記載から明らかなように、例えばTPS用溝(凹部)21は、ECUケース2の「内部」ではなく外部に配置されている。また、段落0047の記載によれば、TPSを構成する構成部分の他の一部がECUケース2を挟んで「その外部」に設けられている。その他、本件特許の明細書には、凹部をECUケース2の外側に設けてもよい旨の記載はない。従って、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、ECUケース2の外部に設けられた凹部は開示されていない。 加えて、特に段落0049や0050、図14の記載によれば、TPSの構成の一部であるロータ9や磁石111、ヨーク112は、ECUケース2の外部に配置された凹部内に格納される。これらロータ9や磁石111、ヨーク112は、ステータ110やホール素子102との間にECUケース2を挟んでおり、回路基板100の一方の面とは非接触の状態が確立されている。従って、ロータ9や磁石111、ヨーク112は、回路基板100の一方の面から突出した部材になり得ない。よって、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、凹部が、TPSを含む回路基板の一方の面から突出した部材を格納する構成は開示されていない。 また、本件特許発明2及び3は、ECUケースを備えるECU、及び、ECUを構成するECUケースをそれぞれ特定している。 しかしながら、本件特許の明細書の段落0045には、「ECケース2は、ECU(回路基板100および回路基板100に取り付けられ、電気的に接続された各種センサ)を内部に格納」すること、また、段落【0053】には、「ECUがECUケース2に格納されている」ことが記載されている。これらの記載によれば、ECUは、ECUケース2内に格納された電子制御ユニットであることは明らかであり、従って、ECUがECUケースを備えること、及び、ECUケースがECUを構成することはあり得ない。よって、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、ECUケースを備えるECU、及び、ECUを構成するECUケースは開示されていない。 以上のことから、本件特許発明1~3における上記構成は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、明確ではなく、さらに、本件特許の明細書の発明の詳細な説明は、当業者が発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものはない。 (16)本件特許発明4について(記載不備) 本件特許発明4は、凸部を設けた面に各種データの入出力をおこなうための集合入出端子を備える構成を特定している。 本件特許の明細書の段落0042には、「集合入出力端子24も、ECUケース2の上記各突出部(凸部)を配置した面と同一の面に設けられている」ことが記載されている。 しかしながら、本件特許の例えば図18の記載から明らかなように、集合入出力端子24は、集合入出力端子用突出部(凸部)41(図18の符号44は符号41の誤記と考えられる)の内部に配置されており、従って、突出部を設けた「面」に配置されているわけではない。よって、本件特許の明細書には、凸部を設けた面に集合入出力端子を備える構成は開示されていない。 以上のことから、本件特許発明4における凸部を設けた面に集合入出力端子を備える構成は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、明確ではなく、さらに、本件特許の明細書の発明の詳細な説明は、当業者が発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。 7-5 結論 以上のとおり、本件特許には、上記無効理由が存在し、本件特許は、特許無効審判により無効にされるべきものである。」 2-2 審判事件弁駁書における主張 請求人は、審判事件弁駁書において、以下のように主張している。 「6-1 訂正補正書に対する弁駁理由 (1)本件訂正請求が認められないことについて 被請求人は、訂正補正書において、本件特許発明5における「前記突出部の前記凹部は、前記TPSを構成するステータとホール素子を内部に格納し、前記突出部は、前記スロツトルボディに嵌合されるとき、前記スロツトルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動ずる磁石が設けられる部位に嵌合することを物敦とする請求項1に記載のエンジン制御装置」という記載を、「前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納し、前記ホール素子用突出部は、前記突出部が前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。」(以下、(構成要件X´という。)と訂正し(訂正事項1:訂正補正書20頁乃至21頁「6.請求の理由(3)請求項5に係る訂正」)、本件特許発明7における「前記突出部の前記凹部は、前記TPSを構成するステータとホール素子を内部に格納し、前記突出部は、前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする請求項3に記載のECUケース。」という記載を、「前記工PSを格納する前記突出部の前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納し、前記ホール素子用突出部は、前記突出部が前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする請求項3に記載のECUケース。」(以下、(構成要件Z´という。)と訂正している(訂正事項2:訂正補正書11頁乃至16頁「6.請求の理由(2)請求項3、4、及び7からなる一群の請求項に係る訂正」)。 しかしながら、下記(2)で述べるとおり、構成要件X´及びZ´の記載は、不明確である。 このため、本件訂正のうち、訂正事項1及び2はその文言を付加するものであるが、訂正事項1及び2による構成要件X´及びZ´が不明確である以上、訂正事項1及び2は、特許法134条の2第1項3号に規定する明瞭でない記載の釈明に当たるとは言えず、同項1、2及び4号のいずれにも当たらない。また、同条9項において準用する同法126条6項に規定する実質上特許請求の範囲の拡張又は変更しないものとも言えない。 以上のとおり、本件訂正はそもそも訂正要件を満たしておらず、認容されるべきではない。 (2)本件訂正により生じた新たな無効理由について ア 本件訂正発明5及び7について 本件訂正後の請求項5及び請求項7に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明5」及び「本件訂正発明7」という。)は以下のとおりである(以下、訂正箇所に下線を付した。)。 「【請求項5】(本件訂正発明5) X´ 前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納し、前記ホール素子用突出部は、前記突出部が前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロツトルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。」 【請求項7】(本件訂正発明7) Z´ 前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納し、前記ホール素子用突出部は、前記突出部が前記スロツトルボディに嵌合されるとき、前記スロツトルボディ側に備えられスロツトル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする請求項3に記載のECUケース。」 イ 特許法36条6項2号違反について 仮に、本件訂正が認容されたとしても、本件訂正発明5の構成要件X´及び本件訂正発明7の構成要件Z´の記載は不明確であり、本件訂正発明5及び本件訂正発明7は特許法36条6項2号の要件を満たしておらず、その特許は同法123条1項4号の規定により無効とされるべきものである(無効理由4)。 すなわち、本件訂正後の構成要件X´及びZ´においては、「前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部」が「ホール素子用突出部を備え」ることが規定されているが、ここでいう「前記凹部」とは「TPS」を格納するための空間のことであり、そのような空間が「突出部を備え」ることはあり得ない。したがって、本件訂正後の構成要件X´及びZ´は、まずこの点において日本語として不明確なものである。 また、本件訂正後の構成要件X´及びZ´においては、「前記ホール素子用突出部」が「磁石が設けられる部位」に嵌合することが規定されているが、ここでいう「磁石が設けられる部位」とはどのような部位なのかそもそも明確でなく、「前記ホール素子用突出部」がその「部位」にどのように嵌合するのかも明確でない。この点、本件特許の段落【0049】には、「ローター9の内側には、ローター9の内側面に沿って磁石111が固定されている。……磁石111は、図13に示すようにローター9の内側面に接着などをすることによって固定してもよく、また、後述する図14に示すように、ローター9の内側面に溝部を設け、その溝部に挿入することで磁石111を固定するようにしてもよい。」と記載されていることから、本件訂正後の構成要件X´及びZ´における「磁石が設けられる部位」とは、「ローター9の内側面」であるとも解釈できるが、このように解釈したとしても、「ローター9の内側面」に「前記ホール素子用突出部」が嵌合することについては、本件特許の明細書には記載されていない。仮に本件訂正後の構成要件X´及びZ´における「前記ホール素子用突出部」に相当する構成が、本件特許の図14に示された「ステータ110」及び「ホール素子102」を収納する突出部(符号なし)であるとしても、当該突出部が嵌合されるのは「ローター9」の内部に形成された空間であって、「ローター9の内側面」ではない。本件特許の明細書のどこを見ても、「前記ホール素子用突出部」が「磁石が設けられる部位」に嵌合することについては記載されていない。したがって、本件訂正後の構成要件X´及びZ´は、この点においても不明確なものと言わざるを得ない。 よって、本件訂正発明5及び7は、特許法36条6項2号の要件を満たしておらず、その特許は同法123条1項4号の規定により無効とされるべきものである。 なお、本無効理由4の追加は請求の理由の補正であって、その要旨を変更するものに該当するものの、当該補正は審理を不当に遅延させるおそれがないことは明らかであり、しかも、訂正の請求により請求の理由を補正する必要が生じたものであって特許法131条の2第2項1号に該当する事由があると認められるものであるから、当該請求の理由の補正は許可されるべきものであると思料する。 6-2 答弁書に対する弁駁理由 以下、答弁書に対する弁駁理由を述べる。 (1)甲第1号証に基づく本件特許発明1の新規性及び進歩性欠如(新規性及び進歩性l)について ア 甲1発明1の構成dについて 被請求人は、甲1発明1の構成dについて、「請求人が『突出部』と主張する部分の内部には、『センサ基板44』が格納されているのであり、したがって請求人が『突出部』と主張する部分は、ECUケースの一部であって、本件特許発明の構成要件Dの『外部に突出する凸部状の突出部』ではない。」と主張する(答弁書7頁15行乃至19行)。すなわち、被請求人は、「ECUケースの一部」は、構成要件Dの「突出部」にはならないと主張している。 一方、被請求人は、既に述べたとおり、本件特許発明5及び7における「……前記凹部は、前記TPSを構成するステータとホール素子を内部に格納し……」という記載を、「……前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホ-ル素子用突出部の内部に格納し……」と訂正している、かかる訂正は、「ホール素子用突出部」が「前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成された」ものであること、すなわち、「ECUケース」の一部が突出して「突出部」が形成されることを明記するものである。かかる訂正は、「突出部」は「ECUケースの一部」であり得ることを前提とするものである。 そうすると、甲1発明1の構成dに関する被請求人の上記主張は、上記訂正と矛盾するものであり、失当であることは明らかである。 この点を一先ず措くとしても、請求人が審判請求書の手続補正書34頁1行乃至6行で述べたとおり、甲第1号証には、本件特許発明1の「ECUケース」に対応する「ユニットハウジング46」が開示され、この「ユニットハウジング46」は、図3及び図4に示されているとおり、外部(紙面下方)に突出する凸部状の突出部を備えていることは明らかである。 なお、本件特許発明1の構成要件Dは「前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、」であるが、ここでいう「外部」という表現がそもそも明確でなく、「ECUケース」の「外部」なのか否かすら明確でない。仮に、本件特許発明1の構成要件Dにおける「外部」を「ECUケースの外部」であると解釈しても、どこまでを「ECUケース」というのかが明確でない以上、「ECUケースの外部」という概念もまた明確でないと言わざるを得ない。この点、本件特許の段落【0031】~【0045】及び図1ないし図11、図14、図15等を参照すると、「ECUケース2」は、少なくとも底壁と、この底壁の周囲に立設された側壁と、から形成された収納空間を有しており、この収納空間の内部に回路基板100等を収納することが開示されている。このように底壁及び側壁から収納空間を形成される構成が本件特許発明1における「ECUケース」であるとすると、「ECUケースの外部」とは、収納空間の外側全般を意味する(すなわち底壁の外側のみならず側壁の外側をも含む)広い概念であり、例えば側壁が収納空間を超えて延出した場合には、その延出した部分もまた「ECUケースの外部」に相当するものと考えられる。このように解釈すると、本件特許発明1の構成要件Dにおける「外部に突出する凸部状の突出部」には、ECUケースの収納空間を超えて延出した側壁の一部も含まれることとなる。 甲第1号証に開示された「ユニットハウジング46」は、「センサ基板44」を収納するものであるが、「センサ基板44」をその内部に収納した状態で、「センサ基板44」よりも若干外方(紙面下方)に突出する凸部状の突出部を有していることは図3に示されているとおりである。このように甲第1号証の「ユニットハウジング46」の側壁の一部は、「センサ基板44」の収納空間を超えて延出しており、その部分が、本件特許発明1の構成要件Dにおける「外部に突出する凸部状の突出部」に相当することは明らかである。 以上のとおり、甲第1号証には、構成dが記載されている。 イ 甲1発明1の構成fについて 被請求人は、甲1発明1の構成fについて、「甲1発明1では、突出部の内部に形成された凹部には、実質的に『センサ基板44』のみしか格納されておらず、『スロットルセンサSth』及び『ブースト負圧センサSpb』は凹部の外側に位置している」などと主張する(答弁書9頁12行乃至15行)。 しかしながら、甲第1号証の段落【0032】には、「センサ基板44には、前記スロットルセンサSthの回転子40rの中心軸48が回転自在に嵌合する支持孔49が設けられる」と記載されており、図3及び図4からも明らかなとおり、「スロットルセンサSth」の一部(回転子40rの中心軸48)が「センサ基板44」の支持孔49に嵌合されるようになっている。そうすると、「スロットルセンサSth」の少なくとも一部は、突出部の内部に形成された凹部に格納されることになることは明らかである。また、甲第1号証の図4のハッチングを見れば明らかなように「センサ基板44」には、「ブースト負圧センサSpb」の根本部を嵌合させるための孔が設けられており、この孔に「ブースト負圧センサSpb」の根本部が嵌合されるようになっている。そうすると、「ブースト負圧Spb」の少なくとも一部は、突出部の内部に形成された凹部に格納されることになる。 以上のとおり、甲第1号証には、構成fが記載されている。 なお、被請求人は、甲1発明1の構成fについて、「本件特許発明の構成Fの『格納』とは、例えば、本件明細書の段落【0040】……段落【0050】……段落【0051】に……記載され……図14から明らかなようにTPSを構成するステータ110、ホール素子102、磁石111および(アウター)ヨーク112は、円筒状のTPS用突出部(凸部)27によって形成される円柱状のTPS用溝(凹部)21に一部ではなく全部が格納されている。したがって、甲1発明1の構成fは、本件特許発明の構成Fとは相違する。」と主張している(答弁書10頁10行乃至11頁1行)。 しかしながら、本件特許の段落【0049】~【0052】に記載されているとおり「ステータ110」と対をなす「ローター9」もまたTPSの構成要素となることは自明であるところ、この「ローター9」は、本件特許の図14に示されるように円柱状のTPS用溝(凹部)21の上部から突出しており、その全部が格納されているわけではない。よって、TPSの構成の全部がTPS用溝(凹部)21に格納されているという被請求人の主張は失当である。 また、本件特許発明1の構成要件Fには、「前記凹部は……前記TPS、前記吸気圧力センサおよび前記吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し」と規定されているのであり、「前記凹部は、TPSの全部を格納する」などとはそもそも規定されていない。 したがって、被請求人の前記主張は、特許請求の範囲の記載に基づいたものとは言えず、この点においても失当であるというほかない。 ウ 本件特許発明1の新規性及び進歩性欠如について 被請求人は、「本件の請求項1に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明とは異なった構成を有し、当該構成に基づいて格別の効果を奏するものであるから当業者が甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。」と主張する(答弁書10頁1行乃至4行)。 しかしながら、本件特許発明1の構成要件D及びFに対応する構成d及びfが甲第1号証に記載されていることは、上記(1)ア及びイで述べたとおりであり、本件特許発明1のその他の構成要件(構成要件A~C、E、G、H)に対応する構成(構成a~c、e、g、h)が甲第1号証に記載されていることは、審判請求書の手続補正書30頁6行乃至37頁11行(審決注:上記第4 2-1-2を参照。)で述べたとおりである。 したがって、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明であり、新規性を有しないものである。また、仮に甲1発明1が本件特許発明1と相違点があるとしても、かかる相違点は、甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものであるから、本件特許発明1は進歩性を有しないものである。 (2)甲第2号証及び甲第1号証に基づく本件特許発明1の進歩性欠如(進歩性2)について 被請求人は、「本件の請求項1に係る特許発明は、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。」と主張する(答弁書12頁24行乃至26行)。 しかしながら、本件特許発明1の構成要件D及びFに対応する構成d及びfが甲第1号証に記載されていることは、上記(1)ア及びイで述べたとおりである。また、本件特許発明1の構成要件A~C、Hに対応する構成a~c、hが甲第2号証に記載されていることは、審判請求書の手続補正書41頁10行乃至43頁19行で述べたとおりであり、本件特許発明1の構成要件E及びGに対応する構成e及びgが甲第1号証に記載されていることは、審判請求書の手続補正書44頁8行乃至17行で述べたとおりである。そして、甲第2号証及び甲第1号証を組み合わせることに動機付けがあることは、審判請求書の手続補正書44頁18行乃至45頁8行で述べたとおりである。 したがって、本体特許発明1は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものであり、進歩性を有しないものである。 (3)甲第2号証及び甲第1号証に基づく本件特許発明1の進歩性欠如(進歩性3)について ア 甲第1号証に記載された構成d´について 被請求人は、甲第1号証に記載された構成d´について、「『制御ユニット取付け部43は盆状に形成されている』のであり、したがってユニット取付け部43は、外部に突出する凸部状の突出部を備えていない。したがって、甲第1号証の構成d´は、本件特許発明の構成要件Dに相当しない。」などと主張する(答弁書17頁10行乃至18行)。 しかしながら、甲第1号証の「ユニット取付け部43」には、「ブースト負圧センサSpb」や「戻しばね37」を収納するための凹部が設けられており、その凹部の外部が、紙面下方に突出する凸部状の突出部になっていることは図3及び図4を見れば明らかである。 以上のとおり、甲第1号証には、構成d´が記載されている。 イ 本件特許発明1の進歩性欠如について 被請求人は、「本件の請求項1に係る特許発明は、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明とは異なった構成を有し、当該構成に基づいて格別の効果を奏するものであるから、当業者が甲第2号証および甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。」と主張する(答弁書18頁5行乃至8行)。 しかしながら、本件特許発明1の構成要件Dに対応する構成d´が甲第1号証に記載されていることは、上記(3)アで述べたとおりである。また、本件特許発明1の構成要件A~C、Hに対応する構成a~c、hが甲第2号証に記載されていることは、審判請求書の手続補正書45頁17行ないし18行で述べたとおりであり、本件特許発明1の構成要件E及びFに対応する構成e´及びf´が甲第1号証に記載されていることは、審判請求書の手続補正書48頁6行乃至49頁16行で述べたとおりである。そして、甲第2号証及び甲第1号証を組み合わせることに動機付けがあり、甲2発明及び甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が本件特許発明1を容易に想到し得るものであることは、審判請求書の手続補正書51頁13行乃至22行で述べたとおりである。 したがって、本件特許発明1は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものであり、進歩性を有しないものである。 (4)甲第1号証に基づく本件特許発明3の新規性及び進歩性欠如(新規性及び進歩性1)について 被請求人は、「上述の(3-2)と同様の理由により、本件の請求項3に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明ではない。また、本件の請求項3に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。」と主張する(答弁書22頁13行乃至16行)。 しかしながら、本件特許発明3の構成要件R及びTに一致する本件特許発明1の構成要件D及びFに対応する構成d及びfが甲第1号証に記載されていることは、上記(1)ア及びイで述べたとおりである。また、本件特許発明3の構成要件Q及びVに対応する構成q及びvが甲第1号証に記載されていることは、審判請求書の手続補正書58頁17行乃至59頁15行で述べたとおりである。 したがって、本件特許発明3は、甲第1号証に記載された発明であり、新規性を有しないものである。また、仮に甲1発明3が本件特許発明3と相違点があるとしても、かかる相違点は、甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものであるから、本件特許発明3は進歩性を有しないものである。 (5)甲第2号証及び甲第1号証に基づく本件特許発明3の進歩性欠如(進歩性2)について 被請求人は、「上述の(4-2)と同様の理由により、本件の請求項3に係る特許発明は、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。」と主張する(答弁書23頁6行乃至8行)。 しかしながら、本件特許発明3の構成要件R及びTに一致する本件特許発明1の構成要件D及びFに対応する構成d及びfが甲第1号証に記載されていることは、上記(1)ア及びイで述べたとおりである。また、本件特許発明3の構成要件Q及びVに対応する構成q´及びV´´が甲第2号証に記載されていることは、審判請求書の手続補正書60頁9行乃至27行で述べたとおりであり、本件特許発明3の構成要件S及びUに一致する本件特許発明1の構成要件E及びGに対応する構成e及びgが甲第1号証に記載されていることは、審判請求書の手続補正書44頁8行乃至17行で述べたとおりである。そして、甲第2号証及び甲第1号証を組み合わせることに動機付けがあることは、審判請求書の手続補正書44頁18行乃至45頁8行で述べたとおりである。 したがって、本件特許発明3は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものであり、進歩性を有しないものである。 (6)甲第2号証及び甲第1号証に基づく本件特許発明3の進歩性欠如(進歩性3)について 被請求人は、「上述の(5-2)と同様の理由により、本件の請求項3に係る特許発明は、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。」と主張する(答弁書24頁8行乃至10行)。 しかしながら、本件特許発明3の構成要件Rに一致する本件特許発明1の構成要件Dに対応する構成d´が甲第1号証に記載されていることは、上記(3)アで述べたとおりである。また、本件特許発明3の構成要件Q及びVに対応する構成q´及びv´´が甲第2号証に記載されていることは、審判請求書の手続補正書60頁9行乃至27行で述べたとおりであり、本件特許発明3の構成要件S及びTに一致する本件特許発明1の構成要件E及びFに対応する構成e´及びf´が甲第1号証に記載されていることは、審判請求書の手続補正書48頁6行乃至49頁16行で述べたとおりである。そして、甲第2号証及び甲第1号証を組み合わせることに動機付けがあり、甲2発明及び甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が本件特許発明3を容易に想到し得るものであることは、審判請求書の手続補正書62頁23行ないし63頁13行で述べたとおりである。 したがって、本件特許発明3は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものであり、進歩性を有しないものである。 (7)本件特許発明4の進歩性欠如について 被請求人は、「本件の請求項4に係る特許発明は、本件の請求項3に係る特許発明を前提としたものであるから……同様に当業者が容易に想到し得るものではない。さらに、甲1発明3の構成Wでは、『カプラ端子86』は、突出部を設けた面に設けられた面に設けられていない点で、本件の請求項4に係る特許発明の構成要件Wと相違する。……よって、この構成要件Wを備えている点においても、本件の請求項4に係る特許 発明は……当業者が甲第1号証に記載された発明……に基づき容易に想到し得るものではない。」と主張する(答弁書25頁1行乃至23行)。 しかし、「カプラ端子86」のようなコネクタを設ける位置は当業者が適宜行う選択事頃であるから、そのようなコネクタを、例えば甲第1号証の「ユニットハウジング46」の突出部を設けた面や「制御ユニット取付け部43」の突出部を設けた面に設けることは、過度の努力を必要とすることなく当業者が容易に想到し得たことであることは、審判請求書の手続補正書63頁18行乃至22行で述べたとおりである。 したがって、本件特許発明4は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものであり、進歩性を有しないものである。 (8)本件訂正発明5及び7の進歩性欠如について 本件訂正がそもそも訂正要件を満たしておらず認容されるべきではないことは「6-1(1)」で述べたとおりであり、また、仮に本件訂正が認められたとしても、本件訂正発明5及び7が特許法6条6項2号の要件を満たしていないことは「6-1(2)」で述べたとおりである。 さらに本件訂正発明5の構成要件X´及び本件訂正発明7の構成要件Z´では、「前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納し、前記ホゴレ素子用突出部は、並記突出部が前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合する」ことが特定されているが、甲第1号証の段落【0033】には、「スロットルセンサSth」がホール素子及び磁石を用いて非接触型に構成されてもよいことが記載されており、かかる記載に基づいて当業者が上記構成要件X´及びZ´に想到することは容易である。 すなわち、上記構成要件X´及びZ´における「前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部は……ホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納し」という構成については、甲第1号証の段落【0033】等に記載された事項及び技術常識に基づいて、甲第1号証の「制御ユニット取付け部43」に形成された突出部(例えば図4に示す「戻しばね37」等を収納する突出部)の内部にホール素子等を収納することを、当業者が容易に想到し得たものである。 また、上記構成要件X´及びZ´における「前記ホール素子用突出部は……磁石が設けられる部位に嵌合する」という構成については、甲第1号証の段落【0033】等に記載された事項及び技術常識に基づいて、甲第1号証の「制御ユニット取付け部43」に形成された突出部の内部のホール素子、と対になって非接触型のセンサを構成する磁石をその突出部の外部に配置することを、当業者が容易に想到し得たものである。 したがって、本件訂正発明5及び7は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得たものであり、進歩性を有しないものである。 6-3 結論 以上のとおり、本件特許には、上記無効理由が存在し、本件特許は、特許無効審判により無効とされるべきものである。」 2-3 口頭審理陳述要領書における主張 請求人は、口頭審理陳述要領書において、以下のように主張している。 「6-1 審判請求書(平成27年5月25日付け手続補正書(方式))について (1)審理事項通知書1.アについて ホール素子及び磁石を有するポジションセンサにおいて、ホール素子がステータに取り付けられ、磁石がロータに取り付けられることは、本件特許の出願時において当業者にきわめてよく知られた技術常識である(例えば、甲第3号証(特開平5-26610号公報)の段落0012~0026や図1の記載、甲第4号証(特開平5-157506号公報)の段落0009~0018や図1の記載、及び、甲第5号証(特開平10-62113号公報)の段落0008~0012や図1の記載)。 これらの技術常識に照らせば、甲第1号証において、ホール素子及び磁石が例えば、甲第1号証の図3及び図4にそれぞれ対応して作成した以下に添付の参考図3及び参考図4に記載したように設けられることは当業者にとって明白である。具体的には、上記技術常識に基づき、回転子40r(ロータ)上に例えば互いに対向する1対の磁石を取り付ける一方で、固定子40s(ステータ)上にホール素子を取り付けることは、当業者にとって明白である。また、参考図3及び参考図4では図示していないが、甲第5号証の図1のヨーク10a、10bのように、磁石の外側に例えば環状のヨークを配置することも同様に当業者にとって明白である。 (参考図3) (省略) (参考図4) (省略) (2)審理事項通知書1.イについて 甲第2号証の例えば、第7実施例の図12に基づき作成した添付の参考図12に記載したように、甲第2号証のエンジン制御装置48において、ベース47に外部に突出する凸部状の突出部を設けて突出部の内部の凹部にセンサユニット9’を格納するように構成することは、当業者が容易になし得た事項である。具体的には、ベース47の外面からスロットルボディ42に向かって突出する突出部を設け、当該突出部の内部に形成された凹部にセンサユニット9’を格納する。 なお、審判請求書の56頁21乃至24行、57頁25行乃至58頁2行、及び、63頁4乃至7行についても上記と同様である。 (3)審理事項通知書1.ウについて 審判請求書の52頁14行に記載の「吸気温度センサ」は「吸気圧力センサ」(下線付加)の誤記であるので、ここに訂正する。審判請求書の36頁10ないし12行で述べたとおり、甲第1号証において「ブースト負圧センサSpb」は「吸気圧力センサ」に対応するものである。 (4)審理事項通知書1.エについて ア 審判請求書の32頁以下の7-4(3)では、甲第1号証を単独の引例とする場合の無効理由について述べており、33頁1乃至6行では、甲第1号証を単独の引例とする場合の本件特許発明1の「ECUケース」に甲1の「ユニットハウジング46」を対応させている。 イ 審判請求書の45頁以下の7-4(6)では、甲第2号証及び甲第1号証を引例とする場合の無効理由について述べており、46頁7乃至9行では、甲第2号証及び甲第1号証を引例とする場合の構成要件Dの対比を説明している。同46頁12乃至16行で述べているとおり、甲第1号証の「ユニットハウジング46」及び「制御ユニット取付け部43」が「電子制御ユニットU」のケースを構成するので、同9行の「制御ユニット取付け部43」の記載を「ユニットハウジング46及び制御ユニット取付け部43」(下線付加)に修正する。 また、審判請求書の49頁19乃至22行でも、甲第2号証及び甲第1号証を引例とする場合の構成要件Gの対比について説明している。甲第1号証に記載された構成g’は構成要件Gとは相違点を有する構成である。この点、審判請求書の46頁12ないし16行で述べたとおり、本件特許発明1の「ECUユニット」には甲第1号証の「ユニットハウジング46」及び「制御ユニット取付け部43」が対応する。対応関係の明確化にあたって、審判請求書の49頁乃至51頁の「(丸数字の4)構成要件Gについて」の記載を以下のとおりに修正する。なお、以下の記載において下線部分が修正箇所である。 (丸数字の4)構成要件Gについて 本件特許発明1の構成要件Gは、以下のとおりである。 G 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記フロットルボディに嵌合される 他方、甲第1号証に記載された構成g´は、以下のとおりである。 g´ 前記突出部は、スロットルボディ11に嵌合された状態にある 甲第1号証の突出部は、図3及び図4の記載から明らかなように、「制御ユニット取付け部43」に形成される。この「制御ユニット取付け部43」の突出部は、「スロットルボディ11」の例えば「スロットルバルブ20」や「連結軸39」に嵌合された状態にあるものの、段落0031の記載によれば、「スロットルボディ11」に一体形成されている。一方で、本件特許発明1では、突出部が、ECUケースがスロットルボディに取り付けられるときに、スロットルボディに嵌合される。 よって、甲第1号証に記載された構成g´は本件特許発明1の構成要件Gと相違する。 (5)審理事項通知書1.オについて 本件訂正発明1及び3は、以下に述べるとおり、特許法第36条第4項第1号、第6項第1号及び第2号の規定に違反している。 本件訂正発明1及び3は、「外部に突出する凸部状の突出部」及び「内部に設けられた凹部」を特定している。この点、答弁書の(3-2)(ア)(8頁12乃至14行)の記載によれば、「外部」及び「内部」の用語は、「ケースの外部に突出する突出部」及び「突出部の内部に設けられた凹部」(下線付加)と説明されているとおり、それぞれ「ECUケース」の「外部」及び「突出部」の「内部」を意味する用語として用いられている。 そうすると、訂正後の請求項1及び3の「外部」及び「内部」の記載のみでは、何に対する又は何の「外部」及び「内部」であるのかが特定されておらず、当該記載は不明確である。また、本件特許の明細書の段落0039に「ECUケース2の内部に設けられた溝(凹部)」の記載があることから、「内部」の用語が、「突出部」の「内部」であるのか、「ECUケース」の「内部」であるのか、必ずしも明らかではない。従って、本件特許の明細書等の記載を勘案しても当該用語の意味に関して複数の解釈が存在し、訂正後の請求項1及び3の「内部」の用語と本件特許の明細書に記載された用語との対応関係が不明である。 よって、本件訂正発明1及び3に係る発明は、依然として、明確ではなく、かつ、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 次に、本件訂正発明1及び3は、「回路基板の一方の面から突出した部材を格納」する凹部を特定している。この点、答弁書の(3-2)(ウ)(10頁23乃至27行)の記載によれば、「格納」の用語は、「一部ではなく全部が格納されている」と説明されているとおり、回路基板の一方の面から突出した部材の「全部」を格納することを意味する用語として解釈されている。 しかしながら、弁駁書の6-2(1)イ(8頁24乃至29行)で述べたとおり、「ローター9」がTPSを構成すること、及び、当該TPSの一部が凹部内に収容されていないことは明らかである。さらに言えば、「回路基板の一方の面から突出した部材」を構成する吸気温度センサ101は、本件特許の図15から明らかなように、吸気温度センサ用溝(凹部)32からその一部が突出している。加えて、ホール素子102や吸気圧力センサ103は回路基板100に取り付けられるものであるところ(本件特許の段落0047、0054、図14及び図16)、回路基板100に取り付けられているそれらの一部は、ホール素子102用の凹部(参照符号なし)や吸気圧力センサ用溝(凹部)33から明らかに突出している。また、本件特許の明細書及び図面には、回路基板の一方の面から突出した部材の「全部」を格納することは一切記載されていない。従って、「格納」の用語が「一部ではなく全部」を格納することを意味するとの解釈は本件特許の明細書及び図面の記載に基づかない主張である。 以上のことから、「格納」の用語が、回路基板の一方の面から突出した部材の「全部」を格納することを意味する用語であるとの解釈を前提にすると、訂正後の請求項1及び3の「格納」の用語と本件特許の明細書に記載された用語との対応関係が不明である。さらに、本件特許の明細書の発明の詳細な説明は、実施の形態をどのように構成すれば、回路基板の一方の面から突出した部材の「全部」を格納することができるのか、本件特許の出願時の技術常識に基づいても当業者が理解することはできない。 よって、本件訂正発明1及び3に係る発明は、依然として、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、さらに、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。 6-2 弁駁書について (1)審理事項通知書2.カについて 本件訂正発明5及び7における「凹部」とは、本件特許の明細書の段落0039に「ECUケース2の内部に設けられた溝(凹部)による空間には、後述する回路基板100に取り付けられ電気的に接続された各種センサ……が格納される。」(下線付加)と記載されているとおり、各種センサを格納するための「空間」を意味するものである。ここで、「空間」とは、物理的な構造物を有しない部分であると解される一方、本件訂正発明5及び7における「突出部」は物理的な構造物であると解される。そうすると、「凹部」が「突出部」を備えることはあり得ないことになる。 よって、本件訂正発明5及び7における「前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え」という記載は不明確なものである。 (2)審理事項通知書2.キについて 本件訂正発明5及び7における「前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部」、「前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部」、「ホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納」すること、及び、「前記ホール素子用突出部」が「磁石が設けられる部位に嵌合すること」は、上記甲第3号証ないし甲第5号証の記載によれば、本件特許の出願時において当業者にきわめてよく知られた技術常識である。 例えば、甲第3号証の段落0013~0026及び図1等に開示されたハウジング1の一部、ハウジング1の一部の内部、ハウジング1及びケース20、ケース20の突起部20a、ホール素子28並びに永久磁石15、16は、本件訂正発明5及び7における「突出部」、「凹部」、「ECUケース」、「ホール素子用突出部」、「ホール素子」及び「磁石」に各々相当する。具体的には、甲第3号証の図1から明らかなように、B-B線よりも下側のハウジング1の一部(「突出部」)の内部(「凹部」)に、TPSの一部を構成するシャフト5及びレバー7が収容されているとともに、ホール素子28を内部に収容するケース20の突起部20a(「ホール素子用突出部」)が配置されている。この突起部20aは、永久磁石15、16が装着されたシャフト5に嵌合する。 同様の構成が甲第4号証にも開示されている。例えば、甲第4号証の段落0009~0018、図1及び図5等に開示されたハウジング1の一部、ハウジング1の一部の内部、ハウジング1及びケース20、ホルダ25、ホール素子21(22)並びに永久磁石15は、本件訂正発明5及び7における「突出部」、「凹部」、「ECUケース」、「ホール素子用突出部」、「ホール素子」及び「磁石」に各々相当する。具体的には、甲第4号証の図1から明らかなように、D-D線よりも下側のハウジング1の一部(「突出部」)の内部(「凹部」)には、TPSの一部を構成するロータ5及びレバー7が収容されているとともに、ホール素子21(22)を内部に収容するホルダ25(「ホール素子用突出部」)が配置されている。このホルダ25は、永久磁石15が装着されたロータ5に嵌合する。 また、甲第5号証にも同様の構成が開示されている。例えば、甲第5号証の段落0008~0012及び図1に開示されたハウジング7の一部、ハウジング7の一部の内部、ハウジング7、スリーブ13の突部13b、ホール素子5、6及び永久磁石11a、11bは、本件訂正発明5及び7における「突出部」、「凹部」、「ECUケース」、「ホール素子用突出部」、「ホール素子」及び「磁石」に各々相当する。具体的には、甲第5号証の図1から明らかなように、ハウジング7の符号7の引き出し線よりも下側のハウジング7の一部(「突出部」)の内部(「凹部」)には、TPSの一部を構成するレバー9が収容されているとともに、ホール素子5、6をその内部の凹部13aに収容するスリーブ13(「ホール素子用突出部」)が配置されている。このスリーブ13は、永久磁石11a、11bが装着されたレバー9に嵌合する。 さらに、上記甲第3号証~甲第5号証には、ホール素子用突出部の内部にステータを格納するごとについての明確な記載はないが、ステータがTPSを構成することは文献を挙げるまでもなく当業者にはきわめてよく知られた技術常識である。従って、甲第3号証~甲第5号証において、TPSを構成するステータをそれぞれ、突起部20a、ホルダ25及び凹部13a内に収容するように構成することは、当業者には自明なことである。 また、甲第3号証~甲第5号証に記載のスロットルポジションセンサはスロットルボディに取り付けられることが明らかであるので、当業者であれば、突出部を構成するハウジング1の一部やハウジング7の一部がスロットルボディに嵌合されることは自明である。この点、甲第3号証~甲第5号証では、ロータを構成するシャフト5及びレバー7、ロータ5及びレバー7、並びに、レバー9がハウジング1又はハウジング7に支持されているが、ロータをスロットルポジションセンサ側に取り付けるか、スロットルボディ側に取り付けるかは、内燃機関の構成部品の配置を考慮して当業者が二者択一的に選択することができるものであり、本件特許のようにスロットルシャフト側(すなわち、スロットルボディ側)にロータを取り付けるように構成することは単なる設計事項に過ぎない。 またさらに、甲第3号証~甲第5号証に記載の構成によれば、ホール素子がそれぞれ、ケース20の突出部20a内、ホルダ25内、及び、スリーブ13の凹部13a内に格納される。従って、「ステータおよびホール素子をECUケース内に格納することによって、防水処理がなされ、液体が付着することによるホール素子の出力異常を防止する」という本件訂正発明5及び7の効果は十分予測可能なものに過ぎず、格別な効果とは到底言えないものである。 以上のことから、当業者であれば、甲第1号証及び甲第2号証とこれらの技術常識(甲第3号証~甲第5号証)とに基づいて、本件訂正発明5及び7に想到することは容易である。」 第5 被請求人の反論の概要 1 答弁書における反論 被請求人は、答弁書において、以下のように反論している。 「(2)本件特許発明の訂正請求の内容 本件特許発明は、同時に提出した訂正請求書において、特許請求の範囲を次のとおり訂正した。また、同訂正請求書で主張したように、この訂正は「特許請求の範囲の減縮」又は「明瞭でない記載の釈明」に相当し、かつ、「実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない」、かつ、「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である」から、以下の反論は次の特許請求の範囲に従って行う。 「<特許請求の範囲> 【請求項1】 スロットルボディと、 前記スロットルボディとは別工程において作成された、回路基板を有するECU(Electronic Control Unit)を格納するECUケースと、 前記スロットルボディと前記ECUケースとを取り付けする取り付け手段と、 を備えたエンジン制御装置において、 前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 前記凹部は、前記回路基板のー方の面に取り付けられたTPS(Thrott1e Position Sensor)、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合されることを特徴とするエンジン制御装置。 【請求項2】(削除) 【請求項3】 TPS(Throttle Position Sensor)、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを有する回路基板を格納し、スロットルボディに取付けられるECUケースにおいて、 前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられた前記TPS、前記吸気圧力センサおよび前記吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合されることを特徴とするECU(Electronic Control Unit)ケース。 【請求項4】 さらに、前記凸部を設けた面に各種データの入出力をおこなうための集合入出力端子を備えたことを特徴とする請求項3に記載のECUケース。 【請求項5】 前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納し、 前記ホール素子用突出部は、前記突出部が前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。 【請求項6】(削除) 【請求項7】 前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納し、 前記ホール素子用突出部は、前記突出部が前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合することを特徴とする請求項3に記載のECUケース。」 (3)本件の請求項1に係る特許発明が、特許法第29条第1項第3号および同条第2項に該当しない理由(新規性及び進歩性1) (3-1)請求人の主張 ・・・(中略)・・・ (3-2)請求人の主張に対する反論 (ア)まず、請求人は、「「ユニットハウジング46」(赤色部分)は、少なくとも「センサ基板44」を格納しており、「EUCケース」に対応する。また、「ユニットハウジング46」は、外部に突出する凸部状の突出部を備えている。よって、構成dは本件特許発明の構成要件Dに相当する」と主張している。 しかしながら、「ユニットハウジング46」はECUケースに相当し、そして、図3から明らかなように、「ユニットハウジング46」の内部に「素子基板45」および「センサ基板44」が格納されているのである。すなわち、図3から明らかなように、請求人が「突出部」と主張する部分の内部には、「センサ基板44」が格納されているのであり、したがって請求人が「突出部」と主張する部分は、ECUケースの一部であって、本件特許発明の構成要件Dの「外部に突出する凸部状の突出部」ではない。 このことは、甲第1号証の段落0065に、「スロットルセンサSthやブースト負圧センサSpbを備えるセンサ基板44と、燃料噴射量制御用素子81、燃料噴射時期制御用素子82及び点火時期制御用素子83を備える素子基板45とは単一のユニットハウジング46に収められて電子制御ユニットUを構成し、そしてスロットルボディ11の制御ユニット取付け部43に取付けられるので、」と記載されていることからも、請求人が「突出部」と主張する部分は、ECUケースの一部であると言える。すなわち、甲第1号証の段落0065には、「センサ基板44と素子基板45とは単一のユニットハウジング46に収められている」と記載されていて、請求人が「突出部」と主張する部分の内部には、「センサ基板44」が収められているので、請求人が「突出部」と主張する部分は、単一のユニットハウジング46の一部ということになる。 したがって、甲1発明1は、外部に突出する凸部状の突出部を備えていない。このため、甲1発明1は、本件特許発明の構成要件D、E、FおよびGを備えていない。 よって、本件の請求項1に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明ではない。 また、本件の請求項1に係る特許発明は、構成要件D、E、FおよびGを備えていることにより、次のような特有の効果を奏するものである。 すなわち、本件の請求項1に係る特許発明によれば、ケースの外部に突出する突出部をスロットルボディに嵌合させるとともに、その突出部の内部に設けられた凹部をセンサ等の格納用に使用している。つまり、突出部の内外の外側の凸部と内側の凹部との両方を使用している点が特徴であり、これによりエンジン制御装置の小型化を図ることができるので、複数のセンサ等を備えることでスロットルボディ周辺の大型化が危惧される中で、エンジン周りのスペースを確保することができる。 よって、本件の請求項1に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明とは異なった構成を有し、当該構成に基づいて格別の効果を奏するものであるから、当業者が甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。 (イ)次に、仮に、請求人が主張するように、甲第1号証が「ユニットハウジング46は、外部に突出する凸部状の突出部を備え、」という構成dを備え、甲1発明1の構成d、eが本件特許発明の構成D、Eに相当するとしたとしても、甲1発明1の構成fは、本件特許発明の構成Fとは相違する。 すなわち、請求人は、「図3及び図4の記載から明らかなように、「ユニットハウジング46」の突出部の高さは、「センサ基板44」の厚みより大きく設定されており、従って、突出部の内部に形成された凹部は、「センサ基板44」の一方の面から突出した「スロットルセンサSth」及び「ブースト負圧センサSpb」を少なくとも格納している。また、構成要件Fの「格納」についての解釈は以下のとおりである。本件特許の段落【0047】や図14に記載されるように、「TPSを構成する構成部分」の「他の一部」は「凹部」の外側に配置されている。従って、本件特許において、「格納」は、少なくとも部分的に格納することを含むものと解釈されるものである。よって、構成fは本件特許発明の構成要件Fに相当する」と主張している。 しかしながら、図3から明らかなように、甲1発明1では、突出部の内部に形成された凹部には、実質的に「センサ基板44」のみしか格納されておらず、「スロットルセンサSth」及び「ブースト負圧センサSpb」は凹部の外側に位置している。 したがって、甲1発明1の構成fは、本件特許発明の構成要件Fとは相違する。 よって、本件の請求項1に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明ではない。 また、本件の請求項1に係る特許発明は、構成要件Fを備えていることにより、次のような特有の効果を奏するものである。 すなわち、本件の請求項1に係る特許発明によれば、ケースの外部に突出する突出部をスロットルボディに嵌合させるとともに、その突出部の内部に設けられた凹部をセンサ等の格納用に使用している。つまり、突出部の内外の外側の凸部と内側の凹部との両方を使用している点が特徴であり、これによりエンジン制御装置の小型化を図ることができるので、複数のセンサ等を備えることでスロットルボディ周辺の大型化が危惧される中で、エンジン周りのスペースを確保することができる。 よって、本件の請求項1に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明とは異なった構成を有し、当該構成に基づいて格別の効果を奏するものであるから、当業者が甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。 (ウ)さらに、仮に、請求人が主張するように、甲1発明1において、突出部の内部に形成された凹部が、「センサ基板44」の一方の面から突出した「スロットルセンサSth」及び「ブースト負圧センサSpb」を部分的に格納していたとしても、甲1発明1の構成fは、本件特許発明の構成Fとは相違する。 すなわち、本件特許発明の構成Fの「格納」とは、例えば、本件明細書の段落0040に、「TPS用突出部(凸部)27は、後述するように、ローター9の回転角度を検出するため、ローター9の形状に合わせ、かつスロットルボディ1とECUケース2とを取り付けた際にローター9がTPS用溝(凹部)21に組み付けることができるような位置に配置する。」と記載され、また段落0050に、「図14は、スロットルボディ1とECUケース2が取り付けられた状態を示しており、TPS用溝(凹部)21にローター9およびローター9の内側面に固定された磁石111が挿入された状態となっている。さらに、(アウター)ヨーク112がTPS用溝(凹部)21のローター9の外側に挿入された状態となっている。」と記載され、また段落0051に、「ステータ110およびホール素子102と、磁石111および(アウター)ヨーク112が、ECUケース2を挟んで組み付けられ、これによってTPSが構成される。」と記載されている。そして、図14から明らかなように、TPSを構成するステータ110、ホール素子102、磁石111および(アウター)ヨーク112は、円筒状のTPS用突出部(凸部)27によって形成される円柱状のTPS用溝(凹部)21に、一部ではなく全部が格納されている。 したがって、甲1発明1の構成fは、本件特許発明の構成Fとは相違する。 よって、本件の請求項1に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明ではない。また、上述の(イ)の場合と同様の理由により、本件の請求項1に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。 (4)本件の請求項1に係る特許発明が、特許法第29条第2項に該当しない理由(進歩性2) (4-1)請求人の主張 ・・・(中略)・・・ (4-2)請求人の主張に対する反論 (ア)上述の(3-2)(ア)の同様の理由により、甲1発明1は、外部に突出する凸部状の突出部を備えていない。このため、甲1発明1は、本件特許発明の構成要件D、E、FおよびGを備えていない。 よって、本件の請求項1に係る特許発明は、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。 (イ)次に、仮に、請求人が主張するように、甲第1号証が「ユニットハウジング46は、外部に突出する凸部状の突出部を備え、」という構成dを備え、甲1発明1の構成d、eが本件特許発明の構成D、Eに 相当するとしたとしても、上述の(3-2)(イ)と同様の理由により、甲1発明1の構成fは、本件特許発明の構成Fとは相違する。 そして、本件の請求項1に係る特許発明は、構成要件Fを備えていることにより、次のような特有の効果を奏するものである。 すなわち、本件の請求項1に係る特許発明によれば、ケースの外部に突出する突出部をスロットルボディに嵌合させるとともに、その突出部の内部に設けられた凹部をセンサ等の格納用に使用している。つまり、突出部の内外の外側の凸部と内側の凹部との両方を使用している点が特徴であり、これによりエンジン制御装置の小型化を図ることができるので、複数のセンサ等を備えることでスロットルボディ周辺の大型化が危惧される中で、エンジン周りのスペースを確保することができる。 よって、本件の請求項1に係る特許発明は、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明とは異なった構成を有し、当該構成に基づいて格別の効果を奏するものであるから、当業者が甲第2号証および甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。 (ウ)さらに、仮に、請求人が主張するように、甲1発明1において、突出部の内部に形成された凹部が、「センサ基板44」の一方の面から突出した「スロットルセンサSth」及び「ブースト負圧センサSpb」を部分的に格納していたとしても、上述の(3-2)(ウ)と同様の理由により、甲1発明1の構成fは、本件特許発明の構成Fとは相違する。 よって、また、上述の(イ)の場合と同様の理由により、本件の請求項1に係る特許発明は、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。 (5)本件の請求項1に係る特許発明が、特許法第29条第2項に該当しない理由(進歩性3) (5-1)請求人の主張 ・・・(中略)・・・ (5-2)請求人の主張に対する反論 (ア)まず、請求人は、本件の請求項1に係る特許発明の構成要件と甲第1号証の構成要件との対比において、本件の請求項1に係る特許発明の構成要件Dでは、「前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、」であるのに対し、甲第1号証の構成d’では、「制御ユニット取付け部43は、外部に突出する凸部状の突出部を備え、」であり、構成d’は本件特許発明の構成要件Dに相当する。」と主張している。 しかしながら、甲第1号証の明細書の段落0031に、「スロットルボディ11には、盆状の制御ユニット取付け部43が一体成形されており、これに電子制御ユニットUが取り付けられる。」と記載されているように、スロットルボディ11が制御ユニット取付け部43を備えている。さらに、「制御ユニット取付け部43は盆状に形成されている」のであり、したがってユニット取付け部43は、外部に突出する凸部状の突出部を備えていない。 したがって、甲第1号証の構成d’は、本件特許発明の構成要件Dに相当しない。 よって、甲第1号証の発明では、「ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え」という構成を備えていない。このため、甲第1号証の発明は、本件特許発明の構成要件D、E、FおよびGを備えていない。また、甲第2号証の発明も、本件特許発明の構成要件D、E、FおよびGを備えていない。 また、本件の請求項1に係る特許発明は、構成要件D、E、FおよびGを備えていることにより、次のような特有の効果を奏するものである。 すなわち、本件の請求項1に係る特許発明によれば、ケースの外部に突出する突出部をスロットルボディに嵌合させるとともに、その突出部の内部に設けられた凹部をセンサ等の格納用に使用している。つまり、突出部の内外の外側の凸部と内側の凹部との両方を使用している点が特徴であり、これによりエンジン制御装置の小型化を図ることができるので、複数のセンサ等を備えることでスロットルボディ周辺の大型化が危惧される中で、エンジン周りのスペースを確保することができる。 よって、本件の請求項1に係る特許発明は、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明とは異なった構成を有し、当該構成に基づいて格別の効果を奏するものであるから、当業者が甲第2号証および甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。 なお、請求人は、「甲第1号証の「「ユニット取付け部43」(黄色部分)は、「ユニットハウジング46」(赤色部分)との間に「センサ44」を配置している。「スロットルボディ11に取り付けられる「電子制御ユニットU」が「センサ基板44を格納するものであることを鑑みれば、「ユニットハウジング46」及び「制御ユニット取付け部43」が「電子制御ユニットU」のケースを構成すると発想することは自然であると言える。また、「制御ユニット取付け部43」は、外部に突出する凸部状の突出部を備えている。よって、構成d’は本件特許発明の構成要件Dに相当する。」と主張している。 しかしながら、「電子制御ユニットU」が「センサ基板44を格納するものであれば、「ユニットハウジング46」と、スロットルボディ11に一体に形成された「制御ユニット取付け部43」が「電子制御ユニットU」のケースを構成すると発想することが自然であるとはとても言えない。さらに、「制御ユニット取付け部43」は、外部に突出する凸部状の突出部を備えているのでなく、スロットルボディ11に、盆状に一体成形されているのである。 (イ)また、請求人は、「突出部が、「スロットルボディ11」に一体成形された「制御ユニット取付け部43」に形成される点について、甲第1号証では、図3及び図4の記載から明らかなように、「制御ユニット取付け部43」は、「スロットルセンサSth」や「ブースト負圧センサSpb」の外形に倣った複雑な形状を有している。この「制御ユニット取付け部43」を「スロットルボディ11」に一体成形する場合、複雑な形状を有するがゆえに金型の構造が複雑化し、「スロットルボディ11」の製造コストを増大させることを容易に想像することができる。この点に鑑みれば、「制御ユニット取付け部43」を「スロットルボディ11」とは別体に構成することは、当業者であれば当然考慮する事項である。 加えて、甲第1号証において、「スロットルボディ11」と「電子制御ユニットU」とは別個に製造されるものであるが、この場合、「スロットルセンサSth」や「ブースト負圧センサSpb」が取り付けられる「センサ基板44」の下面側の損傷防止や搬送の容易性の実現を目的として、「センサ基板」の下面側にもケースを設ける方が好都合であることは言うまでもない。このとき、「スロットルセンサSth」や「ブースト負圧センサSpb」を収容する凹部を有する「制御ユニット取付け部43」によって、「センサ基板44」の下面側を覆うケースを構成しようとすることは、当業者ならば当然考慮する事項である。 以上のことから、「ユニットハウジング46」及び「制御ユニット取付け部43」がセンサ基板のケースを構成すること、すなわち、「ユニットハウジング46」及び「制御ユニット取付け部43」を有する「電子制御ユニットU」を「スロットルボディ11」に嵌合することは、当業者が容易に想到し得た事項である。また、「制御ユニット取付け部43」を「スロットルボディ11」と別体に構成してはならない特段の理由も見当たらない。 以上の点を考慮すると、甲第1号証において、「スロットルボディ11」に一体成形された「制御ユニット取付け部43」を備えた「電子制御ユニットU」を「スロットルボディ11」に嵌合する構成に変更することは、当業者であれば容易になし得る設計事項である。」と主張している。 しかしながら、「制御ユニット取付け部43」を「スロットルボディ11」に一体成形する場合、「制御ユニット取付け部43」が複雑な形状を有するがゆえに金型の構造が複雑化し、「スロットルボディ11」の製造コストを増大させるので、「制御ユニット取付け部43」を「スロットルボディ11」とは別体に構成することは、当業者であれば当然考慮する事項であるとは言えない。金型が複雑であるとは言えないし、仮に複雑であるとしても、「制御ユニット取付け部43」のどの部分を別体とするかは単純に定まることではなく、また請求人が突出部と称する部分で分離することの動機付けもない。さらに、甲第1号証の発明は、電子制御ユニットUは、センサ基板44と素子基板を収容するユニットハウジング46とから構成される電子制御ユニットUを、スロットルボディ11に取り付ける発明であり、このためにスロットルボディ11に盆状の制御ユニット取付け部43が一体成形されているのであり、形状が複雑だとしても、制御ユニット取付け部43を取り除くことはできない。 さらに、「センサ基板44」の下面側の損傷防止や搬送の容易性の実現を目的として、「センサ基板」の下面側にもケースを設ける際に、「スロットルセンサSth」や「ブースト負圧センサSpb」を収容する凹部を有する「制御ユニット取付け部43」によって、「センサ基板44」の下面側を覆うケースを構成しようとすることは、当業者ならば当然考慮する事項であるとは言えない。甲第1号証の発明は、電子制御ユニットUは、センサ基板44と素子基板を収容するユニットハウジング46とから構成される電子制御ユニットUを、スロットルボディ11に取り付ける発明であり、このためにスロットルボディ11に盆状の制御ユニット取付け部43が一体成形されているのであり、これを分離してさらに下面を覆うことはあり得ない。さらには、上述のように、制御ユニット取付け部43を別体として分離するのも容易に想到し得ないうえに、この「制御ユニット取付け部43」を用いて「スロットルセンサSth」や「ブースト負圧センサSpb」を収容する凹部に活用することをさらに想到するには容易ではない。また、各々が容易に想到することができない構成の上記2つを組み合わせる動機となるものもない。 加えて、「ユニットハウジング46」および「制御ユニット取付け部43」を有する「電子制御ユニットu」を「スロットルボディ11」に嵌合することを当業者は容易に想到し得ない。「制御ユニット取付け部43」の突出部を「スロットルボディ11」に嵌合することは、甲第1号証および甲第2号証のいずれにも記載されておらず、示唆すらもされていないからである。さらには、上述のように、各々が容易に想到することができない構成の上記2つを組み合わせたうえに、さらにこの嵌合の構成を組み合わせる動機付けとなるものもない。 さらに加えて、仮に、請求人が主張するように、カバーの下面に設けた甲第1号証の「制御ユニット取付け部43」を設けることが容易だとしても、この場合の「制御ユニット取付け部43」はカバーの一部である。これに対して、甲2発明の「ベース47」は、エンジン制御基板13、センサ基板12、センサーユニット9を搭載する部材である。したがって、甲2発明の「ベース47」に代えて、甲第1号証の「制御ユニット取付け部43」を用いることはできない。 さらに加えて、仮に、甲2発明の「ベース47」に代えて、甲第1号証の「制御ユニット取付け部43」を用いることができたとしても、「制御ユニット取付け部43」の突出部を「スロットルボディ42」に嵌合することを当業者は容易に想到し得ない。「制御ユニット取付け部43」の突出部を「スロットルボディ42」に嵌合することは、甲第1号証および甲第2号証のいずれにも記載されておらず、示唆すらもされていないからである。 (6)本件の請求項3に係る特許発明が、特許法第29条第1項第3号および同条第2項に該当しない理由(新規性及び進歩性1) (6-1)請求人の主張 ・・・(中略)・・・ (6-2)請求人の主張に対する反論 (ア)上述の(3-2)と同様の理由により、本件の請求項3に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明ではない。また、本件の請求項3に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。 なお、上述の(3-2)において、本件特許発明1の構成要件DないしGは、本件特許発明3の構成要件RないしUとし、また甲1発明1の構成dないしgは、甲1発明3の構成rないしuとするものとする。 (7)本件の請求項3に係る特許発明が、特許法第29条第2項に該当しない理由(進歩性2) (7-1)請求人の主張 ・・・(中略)・・・ (7-2)請求人の主張に対する反論 (ア)上述の(3)と同様の理由により、本件の請求項3に係る特許発明は、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。 なお、上述の(3)において、本件特許発明1の構成要件DないしGは、本件特許発明3の構成要件RないしUとし、また甲1発明1の構成dないしgは、甲1発明3の構成rないしuとするものとする。 (8)本件の請求項3に係る特許発明が、特許法第29条第2項に該当しない理由(進歩性3) (8-1)請求人の主張 ・・・(中略)・・・ (8-2)請求人の主張に対する反論 (ア)上述の(5-2)と同様の理由により、本件の請求項3に係る特許発明は、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到し得るものではない。 なお、上述の(5-2)において、本件特許発明1の構成要件DないしGは、本件特許発明3の構成要件RないしUとし、また甲1発明1の構成dないしgは、甲1発明3の構成d’ないしg’とするものとする。 (9)本件の請求項4に係る特許発明が、特許法第29条第2項に該当しない理由(進歩性) (9-1)請求人の主張 ・・・(中略)・・・ (9-2)請求人の主張に対する反論 本件の請求項4に係る特許発明は、本件の請求項3に係る特許発明を前提としたものであるから、上述のように、本件の請求項3に係る特許発明が甲第1号証に記載された発明に基づき、または、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明に基づき、当業者が容易に想到し得ない以上、本件の請求項4に係る特許発明は、同様に当業者が容易に想到し得るものではない。 さらに、甲1発明3の構成Wでは、「カプラ端子86」は、突出部を設けた面に設けられた面に設けられていない点で、本件の請求項4に係る特許発明の構成要件Wと相違する。また、甲2発明は、集合入出力端子を備えていない。そして、本件の請求項4に係る特許発明は、構成要件Wを備えていることにより、すなわち突出部を設けた面に設けられた面に集合入出力端子を備えたことにより、本件明細書の段落0023および段落0042に記載されているように、「集合入出力端子自体の空間およびその集合入出力端子に接続される配線のための空間を一体化されたスロットルボディとECUケースとの間に確保することができ、その分だけ、全体として、エンジン制御装置の占める空間が小さくなり、他の装置の設置の自由度を大きくすることができる。」という特有の効果を奏することができる。 よって、この構成要件Wを備えている点においても、本件の請求項4に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明、または、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明とは異なった構成を有し、当該構成に基づいて格別の効果を奏するものであるから、当業者が甲第1号証に記載された発明、または、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。 (10)本件の請求項5、7に係る特許発明が、特許法第29条第2項に該当しない理由(進歩性) (10-1)請求人の主張 ・・・(中略)・・・ (10-2)請求人の主張に対する反論 本件の請求項5、7に係る各特許発明はそれぞれ、本件の請求項1、3に係る各特許発明を前提としたものであるから、上述のように、本件の請求項1、3に係る特許発明が甲第1号証に記載された発明に基づき、または、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明に基づき、当業者が容易に想到し得ない以上、本件の請求項5、7に係る各特許発明は、同様に当業者が容易に想到し得るものではない。 さらに、甲1発明1の構成x、甲1発明2の構成y及び甲1発明3の構成zでは、前記ECUケースが凸部の凹部内に突出して形成された突出部(ホール素子用突出部)の内部に、「スロットルセンサSth」の固定子40rおよび回転子40s」が格納されていない。また、ホール素子用突出部が、前記突出部がスロットルボディに嵌合されるとき、スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合するする構成は開示されていない。 そして、本件の請求項5、7に係る各特許発明は、「前記TPSを格納する前記突出部の前記凹部は、前記ECUケースが前記凹部内に突出して形成されたホール素子用突出部を備え、前記TPSを構成するステータとホール素子を前記ホール素子用突出部の内部に格納し、前記ホール素子用突出部は、前記突出部が前記スロットルボディに嵌合されるとき、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位に嵌合する」という構成を備えていることにより、本件明細書の段落0025に記載されているように、「ステータおよびホール素子をECUケース内に格納することによって、防水処理がなされ、液体が付着することによるホール素子の出力異常を防止することができる。」という特有の効果を奏することができる。 よって、この点においても、本件の請求項5、7に係る各特許発明は、甲第1号証に記載された発明、または、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明とは異なった構成を有し、当該構成に基づいて格別の効果を奏するものであるから、当業者が甲第1号証に記載された発明、または、甲第2号証および甲第1号証に記載された発明に基づき容易に想到し得るものではない。 (11)本件の請求項1、3に係る特許発明が、特許法第36条第4項第1号、同条第6項第1号又は同条第6項第2号の規定に違反していない理由(記載不備) (11-1)請求人の主張 ・・・(中略)・・・ (11-2)請求人の主張に対する反論 (ア)訂正請求書に添付した訂正明細書には、段落0039に、「ECUケース2の外部へ突出した各突出部(凸部)は、ECUケース2の内部に溝部(凹部)を設けることやTPS用突出部27のように円筒状に外部に突出する壁を設けることによって形成されている。」と記載されているので、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、ECUケースは、ECUケースの外部に突出する凸部状の突出部を備えていること、および、この突出部の内部に設けられた凹部を備えていることが記載されている。(審決注:平成28年1月13日付けで被請求人が提出した口頭審理陳述要領書によりこのように修正された。) (イ)本件明細書の段落0051に、「ステータ110およびホール素子102と、磁石111および(アウター)ヨーク112が、ECUケース2を挟んで組み付けられ、これによってTPSが構成される。」と記載されている。また、段落0047に、「本実施の形態におけるTPSは非接触型であり、TPSを構成する構成部分の一部がECUケース2の内部に備えられ、一方、他の一部がECUケース2を挟んでその外部に設けられる。図10ないし図12において、110はECUケース2の内部に備えられたステータである。そして、図10および図12に示すように、120がステータ110における空洞部分であり、この空洞部分120に、回路基板100に取り付けられたホール素子102が挿入される。」と記載されている。また、段落0049に、「TPS用溝(凹部)21にローター9およびローター9の内側面に固定された磁石111が挿入された状態となっている。さらに、(アウター)ヨーク112がTPS用溝(凹部)21のローター9の外側に挿入された状態となっている。また、段落0051に、「スロットルシャフト8(ローター9)が回転運動することによって磁石111が発生する磁束は、ECUケース2を通してステータ110へ伝わり、その磁束の変化をホール素子102が検出することによって、スロットルシャフト8の回転角度、すなわち、スロットル弁6の開度を効率よく検出することができる。」と記載されている。 すなわち、本件明細書には、TPSは、非接触型であって、ホール素子102、ステータ1110、磁石111および(アウター)ヨーク112により構成されることが記載されている。そして、ホール素子102は回路基板100に取り付けられ、このホール素子102がステータ110の空洞部分120に挿入されることが記載されている。また、TPS用溝(凹部)21にローター9の内側面に固定された磁石111が挿入された状態となっており、さらにローター9の外側に(アウター)ヨーク112が挿入された状態となっていることが記載されている。 そして、このTPSでは、スロットルシャフト8(ローター9)が回転運動することによって磁石111が発生する磁束は、ECUケース2を通してステータ110へ伝わり、その磁束の変化をホール素子102が検出することによって、スロットルシャフト8の回転角度、すなわち、スロットル弁6の開度を効率よく検出することができることが記載されている。 これらの明細書の記載と図14等の記載とから、このTPSでは、ホール素子102が回路基板100に取り付けられて回路基板100の一方の面から突出しており、このホール素子102がステータ110に挿入されていることが開示されている。また、このTでPSでは、ステータ110、磁石110および(アウター)ヨーク112は、スロットルシャフト8(ローター9)が回転運動することによって発生する磁束の変化をホール素子102に検出させるものであり、互いに接触はしていない。しかし、ステータ110、磁石110および(アウター)ヨーク112はTPSの構成部材であるから、ホール素子102が回路基板100のー方の面から突出していて、この先端部にステータ110、磁石110および(アウター)ヨーク112に配置されていることにより、TPSとして機能するので、このように構成されたTPSは、回路基板100の一方の面から突出している部材と言うことができる。 また、図14から明らかなように、TPSを構成するステータ110、ホール素子102、磁石111および(アウター)ヨーク112は、円筒状のTPS用突出部(凸部)27によって形成される円柱状のTPS用溝(凹部)21に格納されている。 よって、本件特許の明細書の本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、凹部が、TPSを含む回路基板の一方の面から突出した部材を格納する構成が開示されている。 (ウ)訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項3において、「ECU(Electronic Control Unit)を構成するECUケース」とあるのを「ECU」に訂正したので、記載不備は解消されている。 (12)本件の請求項4に係る特許発明が、特許法第6条第4項第1号、同条第6項第1号又は同条第6項第2号の規定に違反していない理由(記載不備) (12-1)請求人の主張 ・・・(中略)・・・ (12-2)請求人の主張に対する反論 本件明細書の段落0042に、「集合入出力端子24も、ECUケース2の上記各突出部(凸部)を配置した面と同一の面に設けられている。」と記載されているので、本件特許の明細書には、凸部を設けた面に配置された集合入出力端子を備える構成は開示されている。」 2 口頭審理陳述要領書における主張 被請求人は、口頭審理陳述要領書において以下のように主張している。 「(1)本件特許発明の用語について ア 本件特許発明における「外部」とは、「ECUケースの外部(外側)という意味である。 本件明細書の段落0039に「ECUケースの外部に突出した各突出部(凸部)は」と記載され、また例えば図18における突出部42、43等はECUケース2の外部に突出しているので、請求項1に係る本件特許発明の「前記ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え」の「外部」とは、「前記ECUケースは、前記ECUケースの外部(外側)に突出する凸部状の突出部を備え」という意味である。 イ 本件特許発明における「凸部状の突出部」は、実施の形態において、図6および図8のTPS用突出部27、吸気温度センサ用突出部42および吸気圧力センサ用突出部43に対応するものである。 ウ 本件特許発明における「凸部状の突起部の内部」とは、下図のハッチングの部分である。 【図11】 (省略) 【図16】 (省略) エ 本件特許発明における「前記回路基板の一方の面に取り付けられたTPS(Throttle Position Sensor)、吸気圧カセンサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板のー方の面から突出した部材とは、実施の形態における以下の部材である。 TPSは、ステータ110、ホール素子102、磁石111及びアウターヨーク112である。 吸気圧力センサは、吸気圧力センサ103である。 吸気温度センサは、吸気温度センサ101である。 オ 本件特許発明において、特に、請求項5及び7において、「嵌合」とは、ゆるく嵌め合っている状態、すなわち隙間を持って嵌め合っている状態を意味している。 図14に記載されているように、TPS用突出部27がスロットルボディ1に嵌合されている。このTPS用突出部27は、スロットルボディ1に挿入されて取り付けられるので、TPS用突出部(27)は、スロットルボディ1にゆるく嵌め合っていることになる。 また、図14に記載されているように、ホール素子用突出部は、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位、すなわちローター9の先端部の部位に嵌合されている。そして、本件明細書の段落0051に、「スロットルシャフト8(ロータ9)が回転運動することによって磁石111が発生する磁束は、ECUケース2を通してステータ110へ伝わり、その磁束の変化をホール素子102が検出することによって、スロットルシャフト8の回転角度、すなわち、スロットル弁6の開度を効率良く検出することができる。」と記載されているので、ホール素子用突出部とローター9とは接近しかつこれらの間に隙間かあることが必要かある。したがって、ホール素子用突出部は、前記スロットルボディ側に備えられスロットル弁の開閉に応じて回動する磁石が設けられる部位、すなわちローター9の先端部の部位にゆるく嵌め合っている状態となっている。 カ 本件特許発明において、「格納」とは、広辞苑に記載されているように、「しまい入れること」を意味している。したがって、「格納」には、「部分格納(一部格納)」を含まない。 キ 本件特許発明において、請求項1及び3における「TPS」は、「ステータ110、ホール素子102、磁石111及びアウターヨーク112」を意味している。 本件明細書の段落0051に、「ステータ110およびホール素子102と、磁石111および(アウター)ヨーク112が、ECUケース2を挟んで組み付けられ、これによってTPSが構成される。」と記載されている。 また、段落0051に、「スロットルシャフト8(ローター9)が回転運動することによって磁石111が発生する磁束は、ECUケース2を通してステータ110へ伝わり、その磁束の変化をホール素子102が検出することによって、スロットルシャフト8の回転角度、すなわち、スロットル弁6の開度を効率よく検出することができる。」と記載されている。 また、段落0055に、「スロットルシャフト8の先端に設けられたローター9が(審決注:「ローター9の」の誤記。)回転角度をTPSが検出し」と記載されている。 すなわち、この実施の形態では、TPSは、ステータ110、ホール素子102、磁石111及びアウターヨーク112により構成されているものであり、一方ローター9は、スロットルシャフト8側の部材となっている。 なお、甲第1号証(特開2001-73828号公報)の段落0033には、「ホール素子及び磁石を用いて、スロットルセンサSthを非接触型に構成することもできる。」と記載されており、このことからも非接触型のスロットルセンサではローター9が構成要件になるとは限らないことが言える。 さらに、本件明細書の前述の記載と図14の記載とから、このTPSでは、ステータ110、磁石110(審決注:「磁石111」の誤記。)および(アウター)ヨーク112は、スロットルシャフト8(ロー夕ー9)が回転運動することによって発生する磁束の変化をホール素子102に検出させるものであり、互いに接触はしていない。しかし、ステータ110、磁石110および(アウター)ヨーク112はTPSの構成部材であるから、ホール素子102が回路基板100のー方の面に取り付けられてー方の面から突出していて、この先端部にステータ110、磁石110および(アウター)ヨーク112が配置されていることにより。非接触型のTPSとして機能するのであり、このように構成されたTPSは、回路基板100の一方の面に取り付けられて、回路基板100のー方の面から突出している部材と言うことができる。 また、図14から明らかなように、TPSを構成するステータ110、ホール素子102、磁石111および(アウター)ヨーク112は、円筒状のTPS用突出部27によって形成された円筒状のTPS用凹部21に格納されている。 (2)答弁書について サ 答弁書第7ページ第16ないし19行に記載の「したがって請求人が「突出部」と主張する部分は、ECUケースの一部であって、本件特許発明の構成要件Dの「外部に突出する凸部状の突出部」ではない。」について説明する。 甲第1号証の段落0065には、「センサ基板44と素子基板45とは単一のユニットハウジング46に収められている」と記載されていて、請求人が「突出部」と主張する部分の内部には、「センサ基板44」が収められているので、請求人が「突出部」と主張する部分は、単一のユニットハウジング46そのもの、すなわちセンサ基板44を収納するいわゆる収納容器部分そのものであり、ユニットハウジング46に設けられた外部に突出する突出部とは言えないという意味である。 シ 答弁書第10ページ第10ないし23行に記載の「本件特許発明の構成Fの「格納」とは」について説明する。 「格納」とは、広辞苑に記載されているように、「しまい入れること」を意味している。 したがって、「格納」には、「部分格納(一部格納)」を含まない。 本件特許発明においても、例えば、図14から明らかなように、TPSを構成するステータ110、ホール素子102、磁石111および(アウター)ヨーク112は、円筒状のTPS用突出部27によって形成される円柱状のTPS用凹部21に、一部ではなく全部が格納されている。 ス 円筒状のTPS用溝(凹部)21」の範囲は、下図のハッチングの部分である。 【図14】 (省略) セ 答弁書第28ページ第4ないし9行に「(ア)訂正請求書に添付した訂正明細書には、段落0039に、「ECUケース2の外部へ突出した各突出部(凸部)は、ECUケース2の内部に溝部(凹部)を設けることやTPS用突出部27のように円筒状に外部に突出する壁を設けることによって形成されている。」と記載されているので、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、ECUケースの外部に設けられた凹部が開示されている。」と記載した。しかし、凹部は突出部の内部に設けられるものであるから、凹部がECUケースの外部や内部に設けられることが問題ではないので、答弁書の前述の記載を撤回し、以下のように訂正する。 すなわち、「(ア)訂正請求書に添付した訂正明細書には、段落0039に、「ECUケース2の外部へ突出した各突出部(凸部)は、ECUケース2の内部に溝部(凹部)を設けることやTPS用突出部27のように円筒状に外部に突出する壁を設けることによって形成されている。」と記載されているので、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、ECUケースは、ECUケースの外部に突出する凸部状の突出部を備えていること、および、この突出部の内部に設けられた凹部を備えていることが記載されている。」と訂正する。 なお、請求項5、7に係る実施の形態においては、図14から明らかなように、TPSを構成するステータ110、ホール素子102、磁石111および(アウター)ヨーク112は、TPS用突出部27の内部に設けられたTPS用凹部21(前述スのハッチングの部分)に格納されている。そして、TPS用凹部21には、ECUケース2がTPS用凹部21内に突出して形成されたホール素子用突出部が設けられ、ホール素子用突出部の内部に、TPSの構成要素のうちのステータ110およびホール素子102が格納されている。」 第6 当審の判断 本件訂正は適法になされたものであるから、無効理由1及び2について、すなわち訂正発明1及び37が、甲第1号証に記載された発明であるか、及び、訂正発明1、3ないし5及び7が、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるかについて検討する。 また、無効理由3及び審判事件弁駁書において新たに主張された無効理由(以下、「無効理由4」という。)について、すなわち、本件訂正明細書の記載が特許法第36条第4項第1号、第6項第1号及び第2号の規定に適合しているかどうかについて検討する。 なお、本件発明2及び6は、訂正により削除されたため、本件発明2及び6についての審判請求は却下する。 第6-1 無効理由1及び2について 1 甲第1号証及び甲第2号証 1-1 甲第1号証 (1)甲第1号証の記載 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開2001-73828号公報)には、例えば以下のような記載がある。なお、下線は、理解の一助のため付したものである。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの吸気ポートに連なる吸気道を有するスロットルボディと、その吸気道でエンジンの吸気量を制御するスロットルバルブと、エンジンに供給する燃料を噴射する燃料噴射弁とを備えた、エンジンの吸気装置の改良に関する。」(段落【0001】) イ 「【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、エンジンの吸気ポートに連なる吸気道を有するスロットルボディと、その吸気道でエンジンの吸気量を制御するスロットルバルブと、エンジンに供給する燃料を噴射する燃料噴射弁とを備えた、エンジンの吸気装置において、前記スロットルバルブの開度を検知するスロットルセンサと、少なくともこのスロットルセンサの出力信号に基づいて前記燃料噴射弁の燃料噴射量を制御する燃料噴射制御用素子とを組み入れた電子制御ユニットを前記スロットルボディに取付けたことを第1の特徴とする。尚、上記燃料噴射制御用素子は、後述する本発明の実施例中の燃料噴射量制御用素子81及び燃料噴射時期制御用素子82に対応する。 【0006】この第1の特徴によれば、スロットルセンサ及び燃料噴射制御用素子をユニット化して、スロットルボディにコンパクトに取付けることができ、したがって、スロットルボディの他には電子制御ユニットのための設置スペースを用意する必要がなくなり、スペース効率が向上して吸気装置のコンパクト化を図ることができる。またスロットルセンサ及び燃料噴射制御用素子間の配線の簡素化をも図ることができる。」(段落【0005】及び【0006】) ウ 「【0018】この吸気量制御装置10について図1ないし図3により説明する。吸気量制御装置10は、合成樹脂製(例えばPPS製)のスロットルボディ11を備えている。このスロットルボディ11は、下流側をやゝ下向きにして傾斜させた吸気道12を有し、その上流端部はファンネル状に拡径しており、その下流端部の内周面には環状凹部13aが形成されている。 【0019】吸気道12のファンネル状上流端部には、ゴム製の吸気ダクト95を介してエアクリーナ(図示せず)が接続される。この場合、吸気ダクト95及びエアクリーナのケース本体も合成樹脂製として、これらをスロットルボディ11と共に一体成形すれば、構成の簡素化を図ることができる。その際、スロットルボディ11をエアクリーナ内に配置して、構成のコンパクト化を図ることも可能である。 【0020】またスロットルボディ11には、その下流側端面に開口する、後述する補助吸気道12の直状通路33が吸気道12と平行に設けられ、この直状通路33の下流端部内周面にも環状凹部13bが形成されている。」(段落【0018】ないし【0020】) エ 「【0023】図2ないし図4に示すように、スロットルボディ11には、吸気道12より大径の嵌合孔18が吸気道12の軸線Xと直交するように設けられ、この嵌合孔18にロータリ型のスロットルバルブ20が回転可能に嵌合される。このスロットルバルブ20も合成樹脂製(例えば6/6ナイロン製)である。スロットルバルブ20の一端にはフランジ21が形成されており、このフランジ21がスロットルボディ11の段部22とスロットルボディ11に係止された止環23とで挟持され、これによりスロットルバルブ20の軸方向位置が規定される。」(段落【0023】) オ 「【0028】スロットルバルブ20の他端面には、前記縦孔31の開口部を閉鎖する合成樹脂製のキャップ38が溶着され、このキャップ38には、スロットルバルブ20と同軸に延びる欠円断面の連結軸39が一体成形されている。この連結軸39に、スロットルバルブ20の開度を検知するスロットルセンサSthの回転子40rの連結筒41が嵌合される。 【0029】尚、スロットルボディ11が補助吸気路8bを持たない場合には、スロットルバルブ20に連結軸39を一体成形することができる。 【0030】連結筒41は、図3及び図6に示すように、その先端に縮径弾性を付与するスリット42が形成されていて、連結軸39の外周面にがた無く嵌合し得るようになっている。回転子40rとスロットルボディ11との間には、回転子40rを介してスロットルバルブ20を閉じ方向に付勢する、捩じりコイルばねからなる戻しばね37が接続される。したがって、この戻しばね37は、スロットルバルブ20及び回転子40rに共通の戻しばねとなっている。 【0031】スロットルボディ11には、盆状の制御ユニット取付け部43が一体成形されており、これに電子制御ユニットUが取付けられる。電子制御ユニットUは、制御ユニット取付け部43の底面に対面するセンサ基板44と、このセンサ基板44の背面に重ねて配置される素子基板45と、これら基板44、45を収容するユニットハウジング46とから構成される。 【0032】センサ基板44には、前記スロットルセンサSthの回転子40rの中心軸48が回転自在に嵌合する支持孔49が設けられると共に、回転子40rの回転角度、即ちスロットルバルブ20の開度をブラシ50を介して電気信号に変換する固定子40sが形成される。またセンサ基板44にはブースト負圧センサSpbが取り付けられる。このブースト負圧センサSpbは、スロットルバルブ20より下流の吸気道12に開口する検知孔47を通して、エンジンEのブースト負圧、換言すればエンジン負荷を検知し、それを電気信号に変換するようになっている。 【0033】尚、スロットルセンサSthにおいては、回転子40r及び固定子40sの対向面を入替えて、ブラシ50を固定子40s側に設けることもできる。またホール素子及び磁石を用いて、スロットルセンサSthを非接触型に構成することもできる。 【0034】さらにセンサ基板44の下面には雄形接続端子51aが突設され、これと接続される雌形接続端子51bが制御ユニット取付け部43の底面に設けられる。この雌形接続端子51bには、スロットルボディ11の吸気道12入口に臨む吸気温センサStに連なる導線52が接続される。これら吸気温センサSt、導線52及び雌形接続端子51bは、スロットルボディ11の成形時、それに埋設される。こうすることにより吸気温センサSt及び電子制御ユニットU間の配線作業を不要にすることができる。尚、電子制御ユニットUがスロットルボディ11に一体的に取付けられるので、吸気温センサStをその電子制御ユニットUに付設しても、吸気道12を流れる吸気の温度をスロットルボディ11を通して間接的に検知することができ、そうすれば吸気温センサStに連なる配線の省略が可能となる。」(段落【0028】ないし【0034】) カ 「【0037】ユニットハウジング46の一側にカプラハウジング85が一体に形成されており、その内部に、上記各素子に連なる複数のカプラ端子86(図には、そのうちの1本のみを示す)が配設され、これらによってカプラ半体87aが構成される。こうして、電子制御ユニットUがカプラ半体87aを一体に備えると、その間の配線作業が不要となり、部品点数の削減を図ることができる。 【0038】このカプラ半体87aには、外部の電源や、エンジン回転数センサSne、クランク位置センサScその他の各種センサ、並びに点火時期制御装置Igその他の各種制御機器に連なる接続端子を持つ他のカプラ半体87bが接続される。」(段落【0037】及び【0038】) キ 「【0040】而して、電子制御ユニットUのスロットルボディ11への取付けに際しては、予めセンサ基板44を素子基板45の下面に重ねて、接続端子80a、80bを相互に接続しておく。そしてユニットハウジング46をスロットルボディ11の制御ユニット取付け部43に印籠嵌合すれば、センサ基板44及びスロットルボディ11の接続端子51a、51bが相互に接続され、その状態でユニットハウジング46と制御ユニット取付け部43との当接面を溶着する。尚、ユニットハウジング46及び制御ユニット取付け部43は、クリップやビス等により相互に分離可能に結合しておくこともでき、そのようにすると、電子制御ユニットUの内部の保守、点検が可能となる。」(段落【0040】) ク 「【0065】ところで、スロットルセンサSthやブースト負圧センサSpbを備えるセンサ基板44と、燃料噴射量制御用素子81、燃料噴射時期制御用素子82及び点火時期制御用素子83を備える素子基板45とは単一のユニットハウジング46に収められて電子制御ユニットUを構成し、そしてスロットルボディ11の制御ユニット取付け部43に取付けられるので、各種センサSth、Spb及び各種制御用素子81ないし83がユニット化され、これらをスロットルボディ11にコンパクトに設置することができ、したがって、スロットルボディ11の他には電子制御ユニットのための設置スペースを用意する必要がなくなり、スペース効率が向上して制御系のコンパクト化、延いては吸気装置のコンパクト化を図ることができ、またスロットルセンサSth及び各種制御用素子81ないし83間の配線の簡素化のみならず、各種制御用素子81ないし83の作動に必要な電源コードやエンジン回転数センサSneからの信号線の配線統合をも図ることができる。こうして配線が簡略されることは、電磁波等の影響を少なくする上で有利となる。 【0066】しかも、スロットルバルブ20に回転子40rは、スロットルセンサSthに直接連結されているから、スロットルバルブ20の開度を正確に検知することができる。 【0067】またセンサ基板44の広い背面に、各種制御用素子81ないし83が素子基板45を介して配設されるので、各種制御用素子81ないし83をスロットルセンサSth及びブースト負圧センサSpbに干渉されることなく自由に配設することが可能であり、そのレイアウトの自由度が大きい。 【0068】また特に、またセンサ基板44及び素子基板45は、互いに分離可能に積層状態に結合されるので、コンパクトである上、機種に応じてこれらセンサ基板44及び素子基板45上に取付ける各種センサ及び素子の仕様を変更して、種々の特性の電子制御ユニットUを廉価に提供することができる。 【0069】さらにスロットルボディ11は合成樹脂製であるから、それ自体が絶縁性があり、したがって、これに特別な絶縁部材を介在させることなく電子制御ユニットUを取付けることができ、取付け構造の簡素化を図ることができる。」(段落【0065】ないし【0069】) ケ 「【0073】 【発明の効果】以上のように本発明の第1の特徴によれば、エンジンの吸気ポートに連なる吸気道を有するスロットルボディと、その吸気道でエンジンの吸気量を制御するスロットルバルブと、エンジンに供給する燃料を噴射する燃料噴射弁とを備えた、エンジンの吸気装置において、前記スロットルバルブの開度を検知するスロットルセンサと、少なくともこのスロットルセンサの出力信号に基づいて前記燃料噴射弁の燃料噴射量を制御する燃料噴射制御用素子とを組み入れた電子制御ユニットを前記スロットルボディに取付けたので、スロットルセンサ及び燃料噴射制御用素子をユニット化して、スロットルボディにコンパクトに取付けることができ、スロットルボディの他には電子制御ユニットのための設置スペースを用意する必要がなくなり、吸気装置のコンパクト化に大いに寄与し、その上、スロットルセンサ及び燃料噴射制御素子間の配線の簡素化を図ることができる。」(段落【0073】) (2)上記(1)及び図面の記載から分かること サ 図3及び図4を参照すると、ユニットハウジング46の上部には、下方に突出する凸部状の突起部があるが、該突起部は請求人が主張するようにユニットハウジング46の外部に突出するものではなく、ユニットハウジング46のセンサ基板44側、すなわちユニットハウジングの内部(内側)に設けられることが分かる。 シ 図3及び図4を参照すると、上記ユニットハウジング46の突起部の間には内部に設けられた凹部があり、該凹部は、センサ基板44の一方の面に取り付けられたスロットルセンサSthの固定子40sの一部と、回転子40rの中心軸48の一部を収納するが、スロットルセンサSthを格納(全部格納)するものではないことが分かる。 ス 図3及び図4を参照すると、上記突起部は、ユニットハウジング46がスロットルボディ11に取り付けられるときに、スロットルボディ11の制御ユニット取り付け部43に嵌合されることが分かる。したがって、上記突起部は、ユニットハウジング46がスロットルボディ11に取り付けられるときに、スロットルボディ11に嵌合されるともいえる。 セ (1)クの段落【0065】の記載から、「センサ基板44及び素子基板45」が電子制御ユニットすなわちECUを構成することが分かる。 (3)甲1発明A及びB並びに甲1構成B2、B3及びC 上記(1)、(2)及び図面の記載から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明A」という。)が記載されているといえる。(なお、下線は、請求人の主張と異なる点を示す。) 「a スロットルボディ11と、 b スロットルボディ11とは別工程において作成された、センサ基板44及び素子基板45を格納するユニットハウジング46と、 c スロットルボディ11とユニットハウジング46とを結合するクリップ又はビスと、を備えたエンジン制御装置において、 d ユニットハウジング46は、内部に設けられる凸部状の突起部を備え、 e 突起部は、内部に設けられた凹部を備え、 f 凹部は、センサ基板44の一方の面に取り付けられたスロットルセンサSthの固定子40sの一部と、回転子40rの中心軸48の一部を収納し、 g 突起部は、ユニットハウジング46がスロットルボディ11に取り付けられるときに、スロットルボディ11に嵌合される、 h エンジン制御装置。」 また、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明B」という。)が記載されている。 「q スロットルセンサSth及びブースト負圧センサSpbを有するセンサ基板44及び素子基板45を格納し、スロットルボディ11に取付けられる電子制御ユニットUを構成するユニットハウジング46において、 r ユニットハウジング46は、内部に設けられる凸部状の突起部を備え、 s 突起部は、内部に設けられた凹部を備え、 t 凹部は、センサ基板44の一方の面に取り付けられて当該一方の面から突出したスロットルセンサSthの固定子40sの一部と、回転子40rの中心軸48の一部を収納し、 u 突起部は、ユニットハウジング46がスロットルボディ11に取り付けられるときに、スロットルボディ11に嵌合される、 v ユニットハウジング46。」 また、甲1発明Bはさらに以下の構成(以下、「甲1構成B2」及び「甲1構成B3」という。)を備える。 「w ユニットハウジング46に複数のカプラ端子86が設けられる。」 「z 凹部は、スロットルセンサSthの固定子40sの一部を内部に収納し、突起部は、スロットルセンサSthの回転子40rが設けられる部位に嵌合する。」 また、甲第1号証にはさらに、以下の構成d´ないしg´(以下、「甲1構成C」という。)がさらに開示されている。 「d´ ユニットハウジング46及び制御ユニット取付け部43は、内部に設けられる凸部状の突起部を備え、 e´ 突起部は、内部に設けられた凹部を備え、 f´ 凹部は、センサ基板44の一方の面に取り付けられて当該一方の面から突出したスロットルセンサSthの固定子40sの一部と、回転子40rの中心軸48の一部を収納し、 g´ 電子制御ユニットUがスロットルボディ11に取り付けられる」 1-2 甲第2号証 (1)甲第2号証の記載 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第2号証(特開平5-263735号公報)には、例えば以下のような記載がある。なお、下線は、理解の一助のため付したものである。 ア 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、エンジンの燃料噴射弁等を制御するエンジン制御装置に係り、さらに詳細には、エンジンルームに搭載可能とした吸入空気流量センサ一体型のエンジン制御装置に関する。」(段落【0001】) イ 「【0051】図9ないし図11は本発明の第6実施例で、本実施例は、アイドルスピードコントロールバルブ(図示省略)とそれを制御する為のアクチュエータ46、及びスロットルバルブ38とスロットル開度センサ45等で構成されたスロットルボディ42に収納部14を形成して、吸入空気量センサ一体型のエンジン制御装置を取付けた例を示す。 【0052】本実施例では、図11に示すようにセンサ基板12とエンジン制御基板13とを別体にして収納部14上に同一平面をなすような配列で配置する。 【0053】また、エンジン制御基板13(例えば有機基板)上下には電子部品、半導体、防水コネクタ18等が実装されて半田付け等によって電気的に接続されている。 【0054】また、収納部14のうち空気流量計の駆動回路が位置する箇所(センサ基板12)の裏側となるスロットルボディ内壁に放熱板40が配設され、このセンサ基板12上にその駆動回路のほかに前記エンジン制御回路側の発熱性を有する電子部品を集約して配置され、半田付け等によって電気的に接続されている。 このセンサ基板12上にその駆動回路のほかに前記エンジン制御回路側の発熱性を有する電子部品を集約して配置され、半田付け等によって電気的に接続されている。 【0055】センサ基板12は収納部14底壁のうち放熱板40部の真上にある箇所に接着剤(例えばシリコン接着剤)等で取付けられ、また放熱板40はスロットルボディ内の吸入空気通路41に臨んで吸入空気に接するように配置した。 【0056】本実施例によれば、上記各実施例と同様の効果を奏するほかに、発熱量の多い電子部品は放熱板40と吸入空気通路41を流れる空気により冷却効果が得られるので、熱的環境の厳しいエンジンに接近したスロットルボディに、エンジン制御装置を設けることを可能にする。なお、43はワイヤボンディング、44はワイヤである。 【0057】また、スロットルボディ42に装備されるスロットル開度センサ45、アクチュエータ46並びに他のエンジン周辺負荷装置や、センサ等の電気的接続の為のワイヤハーネスも極力短くできるため、回路インピーダンス低減により耐電波障害性の向上、耐ノイズ性の向上等の効果があり、ハーネスコスト低減にもつながる。 【0058】図12は本発明の第7実施例で、本例もアイドルスピードコントロールバルブとそれを制御する為のアクチュエータ46、及びスロットルバルブ38とスロットル開度センサ45等で構成されたスロットルボディ42の外壁に取付部14´を設け、この取付部14´に第6実施例同様に空気流量計一体型のエンジン制御装置を設けた例である。 【0059】第6実施例と異なる点は、ベース47にエンジン制御基板13、センサ基板12、センサユニット9を搭載し、カバー17でふたをしたユニットタイプのエンジン制御装置48をスロットルボディ42に着脱自在に取付けた点にある。 【0060】ベース47のうちセンサ基板12が位置する箇所の裏側には放熱板40´が形成され、また、センサ基板12には第6実施例同様に空気流量計の駆動回路のほかに前記エンジン制御回路側の発熱性を有する電子部品を集約して配置してある。 【0061】また、スロットルボディ42の取付部14´には、部品取付のための穴c、穴d、パッキン49が形成され、エンジン制御装置を取付けた場合に、センサユニット9が穴dに挿入セットされ、穴dに放熱板40´が差し込まれて吸気通路に臨む構成としてある。 【0062】本実施例によれば第6実施例同様の効果のほかに、制御装置48がスロットルボディ42からねじ等により取付けと取外しが簡単にできるようになっている為、故障時のメンテナンスが容易であるという効果がある。 【0063】 【発明の効果】本発明によれば、次のような効果を奏する。吸入空気量センサ一体型のエンジン制御装置の小形化を図り、これに用いる発熱部品の冷却効果を高め、しかもセンサと配線基板の接続を簡単にして且つ接続を短くしてノイズ耐量を高め、しかも制御装置収納部のシールを確実に行なう。 【0064】さらに、エンジン制御装置を、アイドルスピードコントロールバルブとそれを制御する為のアクチュエータ、及びスロットルバルブとスロットル開度センサ等で構成されたスロットルボディと一体化した場合には、スロットル開度センサ、アクチュエータや他のエンジン周辺の負荷やセンサとの電気的接続の為のワイヤハーネスも極力短くでき、耐電波障害性、耐ノイズ性は更に向上するばかりでなく、コスト低減効果も大きくなる。」(段落【0051】ないし【0064】) (2)上記(1)及び図面の記載から分かること カ 上記(1)及び図面(図12)の記載から、ベース47にエンジン制御基板13、センサ基板12、センサユニット9を搭載し、カバー17でふたをしたユニットタイプのエンジン制御装置48を、スロットルボディ42にねじ等により着脱自在に取付けたことが分かる。 なお、請求人は、「センサ基板を有するエンジン制御回路48(ECU)」としているが、「48」は「エンジン制御装置」であって、「エンジン制御回路」ではない。 キ 上記(1)及び図面(図12)の記載から、ベース47及びカバー17は、センサ基板12及びエンジン制御基板13を格納することが分かる。 ク 上記(1)及び図面(図12)の記載から、センサユニット9は、ベース47及びカバー17から外部に突出しているから、センサユニット9は、ベース47及びカバー17の内部には格納(全部格納)されていないことが分かる。 ケ したがって、センサユニット9を含む「エンジン制御装置48」は、ベース47及びカバー17の内部には格納(全部格納)されていないことが分かる。 コ ただし、「センサ基板12及びエンジン制御基板13」に着目すれば、上記キのとおり、センサ基板12及びエンジン制御基板13はベース47及びカバー17に格納されている。この「センサ基板12及びエンジン制御基板13」が、回路基板を有するECUを構成すると考えられる。 サ なお、請求人は、「センサユニット9´」としているが、明細書中には「センサユニット9」と記載されていることから、「センサユニット9」が正しいものと認められる。 (3)甲2発明A、甲2発明B及び甲2構成C 上記(1)、(2)及び図面(特に図12)の記載から、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明A」という。)が記載されているといえる。(なお、下線は、請求人の主張と異なる点を示す。) 「a´ スロットルボディ42と、 b´ スロットルボディ42に取り付けられる、センサ基板12及びエンジン制御基板13を格納するベース47及びカバー17と、 c´ スロットルボディ42にエンジン制御装置48を取り付けるねじと、 h´ を備えるエンジン制御装置48。」 また、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明B」という。)が記載されているといえる。 「i´ センサユニット9を有するセンサ基板12と、 j´ センサ基板12を格納するベース47及びカバー17と、を備え、 k´ スロットルボディ42に取り付けられる p´ エンジン制御装置48。」 また、甲第2号証には、次の構成(以下、「甲2構成C」という。)が記載されているといえる。 「q´ センサユニット9を有するセンサ基板12を格納し、スロットルボディ42に取り付けられるエンジン制御装置48を構成するカバー17及びベース47において、 v´´ カバー17及びベース47。」 2 無効理由1(新規性)及び無効理由2(進歩性1)について 2-1 本件訂正発明1について (1)対比 甲1発明Aにおける「スロットルボディ11」は、その技術的意義からみて、本件訂正発明1における「スロットルボディ」に相当し、以下同様に、「センサ基板44及び素子基板45」は「回路基板を有するECU」に、「ユニットハウジング46」は「ECUケース」に、「結合する」は「取り付けする」に、「クリップ又はビス」は「取り付け手段」に、「エンジン制御装置」は「エンジン制御装置」に、それぞれ相当する。 また、甲1発明Aにおける「凸部状の突起部」は、「凸部状の突起部」という限りにおいて、本件訂正発明1における「凸部状の突出部」に相当し、したがって、甲1発明Aにおける「内部に設けられる凸部状の突起部」は、「設けられる凸部状の突起部」という限りにおいて、本件訂正発明1における「外部に突出する凸部状の突出部」に相当する。 なお、特許権者である被請求人の定義(口頭審理陳述要領書の「5.(1)カ及びキ」参照。)によれば、TPS(スロットルポジションセンサ)とは、「ステータ、ホール素子、磁石及びアウターヨーク」を意味し、「格納」には「部分格納(一部格納)」を含まないことから、甲1発明Aにおける「スロットルセンサSthの固定子40sの一部と、回転子40rの中心軸48の一部を収納し」は、本件訂正発明1における「TPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し」に相当しない。 また、「部材」が「回路基板」と直接つながっていなくても(接続線を介していても)「回路基板の一方の面から突出した部材」であると認める。 よって、甲1発明Aと本件訂正発明1とは、 <一致点> 「スロットルボディと、 スロットルボディとは別工程において作成された、回路基板を有するECUを格納するECUケースと、 スロットルボディとECUケースとを取り付けする取り付け手段と、を備えたエンジン制御装置において、 ECUケースは、設けられる凸部状の突起部を備え、 突起部は、内部に設けられた凹部を備え、 突起部は、ECUケースがスロットルボディに取り付けられるときに、スロットルボディに嵌合される、 エンジン制御装置。」 で一致し、以下の点で相違する。 <相違点> (a)「設けられる凸部状の突起部」に関して、本件訂正発明1においては「外部に突出する凸部状の突出部」を備えるのに対し、甲1発明Aにおいては「内部に設けられる凸部状の突起部」を備える点(以下、「相違点a」という。)。 (b)本件訂正発明1においては「凹部は、回路基板の一方の面に取り付けられたTPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納」するのに対し、甲1発明Aにおいては「凹部は、回路基板の一方の面に取り付けられたTPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納」しない点(以下、「相違点b」という。) (2)判断 (a)相違点aについて 甲第1号証には、「外部に突出する凸部状の突出部」について記載も示唆もされていない。 また、甲1発明Aにおける「内部に設けられる凸部状の突起部」を、本件訂正発明1における「外部に突出する凸部状の突出部」に設計変更することは容易ではない。 したがって、甲1発明Aに基づいて、相違点aに係る本件訂正発明1の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたことではない。 (b)相違点bについて 甲第1号証の明細書及び図3及び図4の記載からみて、甲1発明Aにおいて、凹部にスロットルセンサSthの全部を格納することは困難である。 なお、請求人は、平成28年1月13日付け口頭審理陳述要領書に添付して甲第3ないし5号証を提出し、口頭審理陳述要領書の(参考図3)及び(参考図4)に記載されるように、ホール素子及び磁石を配置することは当業者にとって技術常識であった旨主張するが、仮に請求人が主張するとおり(参考図3)及び(参考図4)のようにホール素子及び磁石を配置したとしても、少なくとも磁石は凹部に格納されないから、請求人の主張は失当である。 したがって、甲1発明Aに基づいて、相違点bに係る本件訂正発明1の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたことではない。 (3)小括 してみれば、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明(甲1発明A)ではない。 また、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明(甲1発明A)に基づいて、当業者が容易に想到できたものではない。 2-2 本件訂正発明3について (1)対比 甲1発明Bにおける「スロットルセンサSth」は、その技術的意義からみて、本件訂正発明3における「TPS」に相当し、以下同様に、「ブースト負圧センサSpb」は「吸気圧力センサ」に、「センサ基板44」は「回路基板」に、「スロットルボディ11」は「スロットルボディ」に、「ユニットハウジング46」は「ECUケース」に、それぞれ相当する。 また、甲1発明Bにおける「凸部状の突起部」は、「凸部状の突起部」という限りにおいて、本件訂正発明3における「凸部状の突出部」に相当し、したがって、甲1発明Bにおける「内部に設けられる凸部状の突起部」は、「設けられる凸部状の突起部」という限りにおいて、本件訂正発明3における「外部に突出する凸部状の突出部」に相当する。 また、甲1発明Bにおける「スロットルセンサSth及びブースト負圧センサSpbを有するセンサ基板4」は、本件訂正発明3における「TPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを有する回路基板」に包含される。 なお、特許権者である被請求人の定義によれば、TPS(スロットルポジションセンサ)とは、「ステータ、ホール素子、磁石及びアウターヨーク」を意味し、「格納」には「部分格納(一部格納)」を含まないことから、甲1発明Aにおける「スロットルセンサSthの固定子40sの一部と、回転子40rの中心軸48の一部を収納し」は、本件訂正発明3における「TPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し」に相当しない。 よって、甲1発明Bと本件訂正発明3とは、 <一致点> 「TPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを有する回路基板を格納し、スロットルボディに取り付けられECUケースにおいて、 ECUケースは、設けられる凸部状の突起部を備え、 突起部は、内部に設けられた凹部を備え、 突起部は、ECUケースがスロットルボディに取り付けられるときに、スロットルボディに嵌合される、 ECUケース。」 で一致し、以下の点で相違する。 <相違点> (a´)「設けられる凸部状の突起部」に関して、本件訂正発明3においては「外部に突出する凸部状の突出部」を備えるのに対し、甲1発明Aにおいては「内部に設けられる凸部状の突起部」を備える点(以下、「相違点a´」という。)。 (b´)本件訂正発明3においては「凹部は、回路基板の一方の面に取り付けられたTPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納」するのに対し、甲1発明Aにおいては「凹部は、回路基板の一方の面に取り付けられたTPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納」しない点(以下、「相違点b´」という。) (2)判断 (a´)相違点a´について 甲第1号証には、「外部に突出する凸部状の突出部」について記載も示唆もされていない。 また、甲1発明Bにおける「内部に設けられる凸部状の突起部」を、本件訂正発明3における「外部に突出する凸部状の突出部」に設計変更することは困難である。 したがって、相違点a´に係る本件訂正発明3の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたことではない。 (b´)相違点b´について 甲第1号証の明細書及び図3及び図4の記載からみて、甲1発明Bにおいて、凹部にスロットルセンサSthの全部を格納することは困難である。 また、甲第1号証の明細書及び図3及び図4には、スロットルセンサSthを構成するのホール素子及び磁石をどこに配置するか記載されていない。 なお、請求人は、平成28年1月13日付け口頭審理陳述要領書に添付して甲第3ないし5号証を提出し、口頭審理陳述要領書第3ページの(参考図3)及び第4ページの(参考図4)に記載されるように、ホール素子及び磁石を配置することは当業者にとって技術常識であった旨主張するが、仮に請求人が主張するとおり(参考図3)及び(参考図4)のようにホール素子及び磁石を配置したとしても、磁石は凹部に格納されないから、請求人の主張は失当である。 したがって、甲1発明Bに基づいて、相違点b´に係る本件訂正発明3の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたこととはいえない。 (3)小括 してみれば、本件訂正発明3は、甲第1号証に記載された発明(甲1発明B)ではない。また、本件訂正発明3は、甲第1号証に記載された発明(甲1発明B)に基づいて、当業者が容易に想到できたものではない。 2-3 本件訂正発明5について 本件訂正発明5は、本件訂正発明1をさらに限定するものであるから、本件訂正発明1と同様に、甲第1号証に記載された発明(甲1発明A)に基づいて当業者が容易に想到できたものではない。 2-4 本件訂正発明4及び7について 本件訂正発明4及び7は、本件訂正発明3をさらに限定するものであるから、本件訂正発明3と同様に、甲第1号証に記載された発明(甲1発明B)に基づいて当業者が容易に想到できたものではない。 3 無効理由2(進歩性2及び3)について 3-1 本件訂正発明1について (1)対比 甲2発明Aにおける「スロットルボディ42」は、その技術的意義からみて、本件訂正発明1における「スロットルボディ」に相当し、以下同様に、「センサ基板12及びエンジン制御基板13」は「回路基板を有するECU」に、「ベース47及びカバー17」は「ECUケース」に、「ねじ」は「取り付け手段」に、「エンジン制御装置48」は「エンジン制御装置」に、それぞれ相当する。 よって、甲2発明Aと本件訂正発明1とは、 <一致点> 「スロットルボディと、 スロットルボディとは別工程において作成された、回路基板を有するECUを格納するECUケースと、 ECUケース及びスロットルボディを取り付けする取り付け手段と、を備えたエンジン制御装置。」 で一致し、以下の点で相違する。 <相違点> (c)本件訂正発明1は、 「ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられたTPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 前記突出部は、前記ECUケースがスロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合される」 という構造を有するのに対して、甲2発明は、そのような構造を有しない点(以下、「相違点c」という。)。 (2)判断 (c)相違点cについて 甲第2号証には、 「ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられたTPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 前記突出部は、前記ECUケースが前記スロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合される」 という構造について記載も示唆もされていない。 また、上記2-1において示したように、甲第1号証には、 「ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられたTPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 前記突出部は、前記ECUケースがスロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合される」 に相当する構造が記載されていない。 したがって、相違点cに係る本件訂正発明1の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたことではない。 (3)小括 してみれば、本件訂正発明3は、甲第2号証及び甲第1号証に基づいて、当業者が容易に想到できたものであるとはいえない。 3-2 本件訂正発明3について (1)対比 甲2発明Bにおける「センサユニット9」は、その技術的意義からみて、本件訂正発明3における「スロットルボディ」に相当し、以下同様に、「センサ基板12」は「回路基板」に、「エンジン制御回路」は「ECU」に、「ベース47及びカバー17」は「ECUケース」に、「ねじ」は「取り付け手段」に、「エンジン制御装置48」は「エンジン制御装置」に、それぞれ相当する。 なお、甲2発明Bにおける「センサユニット9」は、空気流量検出素子である(甲第2号証の段落【0031】を参照。)から、本件訂正発明3における「TPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサ」と、「センサ」という限りにおいて一致する。 よって、甲2発明Bと本件訂正発明3とは、 <一致点> 「センサを有する回路基板を格納し、スロットルボディに取り付けられるECUケース。」で一致し、以下の点で相違する。 <相違点> (d)本件訂正発明3は、「TPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを有する回路基板」を有するのに対し、甲2発明Bにおいては、「センサユニット9を有するセンサ基板12」を有する点(以下、「相違点d」という。) (e)本件訂正発明3は、 「ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられたTPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 前記突出部は、前記ECUケースがスロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合される」 という構造を有するのに対して、甲2発明Bは、そのような構造を有しない点(以下、「相違点e」という。)。 (2)判断 (d)相違点dについて 甲第2号証には、「センサユニット9を有するセンサ基板12」が、「TPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを有する回路基板」であることについて、記載も示唆もされていない。 また、甲第1号証には、「スロットルセンサおよびブースト負圧センサを有するセンサ基板」(以下、「甲1記載の技術」という。)が記載されているが、甲第2号証に記載されたセンサ9の位置は、スロットルバルブ38の位置と離れており、「スロットルセンサおよびブースト負圧センサ」を設けるのに適した位置とはいえない。 そうすると、甲2発明Bにおいて、甲1記載の技術を適用することは容易ではないから、甲第2号証及び甲第1号証に記載された事項に基づいて、相違点dに係る本件訂正発明3の発明特定事項を想到することは当業者が容易に想到できたこととはいえない。 (e)相違点eについて 甲第2号証には、 「ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられたTPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 前記突出部は、前記ECUケースがスロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合される」 という構造について記載も示唆もされていない。 また、上記2-2において示したように、甲第1号証には、本件訂正発明3における、 「ECUケースは、外部に突出する凸部状の突出部を備え、 前記突出部は、内部に設けられた凹部を備え、 前記凹部は、前記回路基板の一方の面に取り付けられたTPS、吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む、前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納し、 前記突出部は、前記ECUケースがスロットルボディに取り付けられるときに、前記スロットルボディに嵌合される」 に相当する構造が記載されていない。 したがって、甲第2号証及び甲第1号証に基づいて、相違点eに係る本件訂正発明3の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたこととはいえない。 (3)小括 してみれば、総合的にみて、本件訂正発明3は、甲第2号証及び甲第1号証に基づいて、当業者が容易に想到できたものであるとはいえない。 3-3 本件訂正発明5について 本件訂正発明5は、本件訂正発明1をさらに限定するものであるから、本件訂正発明1と同様に、甲第2号証及び甲第1号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到できたものとはいえない。 なお、請求人は、平成28年1月13日付け口頭審理陳述要領書において、本件訂正発明5について技術常識を示す証拠(甲第3号証ないし甲第5号証)を追加しているが、本件訂正発明1についての証拠ではないから、上記の結論は変わらない。 3-4 本件訂正発明4及び7について 本件訂正発明4及び7は、本件訂正発明3をさらに限定するものであるから、本件訂正発明3と同様に、甲第2号証及び甲第1号証に記載された事項基づいて当業者が容易に想到できたものとはいえない。 なお、請求人は、平成28年1月13日付け口頭審理陳述要領書において、本件訂正発明7について技術常識を示す証拠(甲第3号証ないし甲第5号証)を追加しているが、本件訂正発明3についての証拠ではないから、上記の結論は変わらない。 4 弁駁書における主張について 4-1 「6-2 答弁書に対する弁駁理由について」について (1)「甲第1号証に基づく本件特許発明1の新規性及び進歩性欠如(新規性及び進歩性1)について」(審判事件弁駁書第第6ページ第4行ないし第9ページ第20行)について ア 「ア 甲1発明の構成dについて」について 請求人は、甲第1号証には 「ユニットハウジング46は、外部に突出する凸部状の突出部を備え、」(構成d)が記載されていると主張する。 しかし、甲第1号証の凸部状の突起は、ユニットハウジング46の外部(外側)に突出しているのではなく、ユニットハウジング46の内部(制御ユニット側)に設けられてユニットハウジング46の一部を構成しているのだから、 甲第1号証に記載されているのは、 「ユニットハウジング46は、内部に設けられる凸部状の突起部を備え、」(発明特定事項d)である。 したがって、甲第1号証には、請求人が主張する構成dが記載されていない。 イ 「イ 甲1発明の構成fについて」について 請求人は、甲第1号証には、 「凹部は、センサ基板44の一方の面に取り付けられて当該一方の面から突出したスロットルセンサSth及びブースト負圧センサSpbを格納し、」(構成f)が記載されていると主張する。 しかし、特許権者である被請求人の定義によれば、「スロットルセンサ」は「ステータ、ホール素子、磁石及び(アウター)ヨーク」を意味し、「格納する」とは、「全部を格納する」という意味である。 してみると、甲第1号証には、凹部に、スロットルセンサ(ステータ、ホール素子、磁石及び(アウター)ヨーク)全体を格納する構成は記載されていないから、甲第1号証には、請求人が主張する構成fは記載されていない。 ウ 「ウ 本件特許発明1の新規性及び進歩性欠如について」について 請求人は、甲第1号証には、上記構成d及び構成fが記載されているから、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明又は甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到できたものであるとしている。 しかし、上記ア及びイに示したとおり、甲第1号証には、請求人が主張する構成d及びfは記載されていない。 したがって、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明である、又は甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到できたものであるとすることはできない。 (2)「甲第2号証及び甲第1号証に基づく本件特許発明1の進歩性欠如(進歩性2)について」(審判事件弁駁書第9ページ第21行ないし第10ページ第9行)について 請求人は、甲第1号証には、上記構成d及び構成fが記載されているから、本件訂正発明1は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到できたものであるとしている。 しかし、上記(1)ア及びイに示したとおり、甲第1号証には、請求人が主張する構成d及びfは記載されていない。 したがって、本件訂正発明1は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到できたものであるとすることはできない。 (3)「甲第2号証及び甲第1号証に基づく本件特許発明1の進歩性欠如(進歩性3)について」(審判事件弁駁書第10ページ第10行ないし第11ページ第12行)について 請求人は、甲第1号証には、上記構成d及び構成fが記載されているから、本件訂正発明1は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到できたものであるとしている。 しかし、上記(1)ア及びイに示したとおり、甲第1号証には、請求人が主張する構成d及びfは記載されていない。 したがって、本件訂正発明1は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到できたものであるとすることはできない。 (4)「甲第1号証に基づく本件特許発明3の進歩性欠如(新規性及び進歩性1)について」(審判事件弁駁書第11ページ第13行ないし末行)について 請求人は、甲第1号証には、本件訂正発明3の構成要件R及びTに対応する構成d及び構成fが記載されているから、本件訂正発明3は、甲第1号証に記載された発明又は甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到できたものであるとしている。 しかし、上記(1)に示したとおり、甲第1号証には、請求人が主張する構成d及びfは記載されていない。 したがって、本件訂正発明3は、甲第1号証に記載された発明である、又は甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到できたものであるとすることはできない。 (5)「甲第2号証及び甲第1号証に基づく本件特許発明3の進歩性欠如(進歩性2)について」(審判事件弁駁書第12ページ第1行ないし第17行)について 請求人は、甲第1号証には、本件訂正発明3の構成要件R及びTに対応する構成d及びfが記載され、本件訂正発明3の構成要件S及びUに対応する構成e及びgが記載されているから、本件訂正発明3は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到できたものであるとしている。 しかし、上記(1)ア及びイに示したとおり、甲第1号証には、請求人が主張する構成d及びfは記載されていない。 したがって、本件訂正発明3は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到できたものであるとすることはできない。 (6)「甲第2号証及び甲第1号証に基づく本件特許発明3の進歩性欠如(進歩性3)について」(審判事件弁駁書第12ページ第18行ないし第13ページ第7行)について 請求人は、甲第1号証には、本件訂正発明3の構成要件Rに対応する構成d´(審決注:「構成d」の誤記と認められる。)が記載され、本件訂正発明3の構成要件S及びTに対応する構成e´及びf´(審決注:「構成e及びf」の誤記と認められる。)が記載されているから、本件訂正発明3は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到できたものであるとしている。 しかし、上記(1)ア及びイに示したとおり、甲第1号証には、請求人が主張する構成d及びfは記載されていない。 したがって、本件訂正発明3は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到できたものであるとすることはできない。 (7)「本件特許発明4の進歩性欠如について」(審判事件弁駁書第13ページ第8行ないし第22行)について 請求人は、「カプラ端子86」のようなコネクタを設ける位置は当業者が適宜行う選択的事項であるから、本件訂正発明4は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に想到できたものであるとしている。 しかし、本件訂正発明4は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て有し、さらに限定を加えたものである。 そして、本件訂正発明1は、上記(1)ないし(3)に示したとおり、新規性及び進歩性を有するものであるから、本件訂正発明4も、同様に新規性及び進歩性を有するものである。 (8)「本件特許発明5及び7の進歩性欠如について」(審判事件弁駁書第13ページ第23行ないし第14ページ下から第3行)について 請求人は、本件訂正発明5の構成要件X´及びZ´における特定事項は、甲第1号証の段落【0033】等に記載された事項及び技術常識に基づいて、当業者が容易に想到できたものであるとしている。 しかし、本件訂正発明5は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て有し、さらに限定を加えたものである。 そして、本件訂正発明1は、上記(1)ないし(3)に示したとおり、新規性及び進歩性を有するものであるから、本件訂正発明5も、同様に新規性及び進歩性を有するものである。 また、本件訂正発明7は、本件訂正発明3の発明特定事項を全て有し、さらに限定を加えたものである。 そして、本件訂正発明3は、上記(4)ないし(6)に示したとおり、新規性及び進歩性を有するものであるから、本件訂正発明7も、同様に新規性及び進歩性を有するものである。 第6-2 無効理由3及び4(記載不備)について (特許法第36条第4項第1号、第6項第1号及び第2号について) (1)審判請求書に記載された無効理由について 請求人は、審判請求書において、上記第4 2-1の「7-4(15)」及び「7-4(16)」のように主張している。 それに対し、被請求人は平成27年9月11日付け手続補正書(方式)によって補正された平成27年7月31日付け訂正請求書によって本件特許発明3ないし5及び7を訂正するとともに本件特許発明2及び6を削除した。 また、被請求人が提出した平成28年1月13日付け口頭審理陳述要領書において、以下のことが明らかになった。 ・「外部」とは「ECUケースの外部(外側)」という意味である。 ・「凸部状の突出部」は、実施の形態における図6及び図8のTPS用突出部27、吸気温度センサ用突出部42及び吸気圧力センサ用突出部43に対応するものである。 ・本件訂正発明1、3ないし5及び7(以下、単に「本件訂正発明」という。)における「凸部状の突起部の内部」とは、上記口頭審理陳述要領書第2ページの図11及び図16のハッチングの部分である。 ・本件訂正発明において、「TPS」は、「ステータ110、ホール素子102、磁石111及び(アウター)ヨーク112」を意味している。 ・図14から明らかなように、TPSを構成するステータ110、ホール素子102、磁石111及び(アウター)ヨーク112は、円筒状のTPS用突出部27によって形成された円筒状のTPS用凹部21に格納されている。 ・本件訂正発明において、「嵌合」とは、ゆるく嵌め合っている状態、すなわち隙間を持って嵌め合っている状態を意味している。 ・本件訂正発明において、「格納」とは、「しまい入れること」を意味している。 ・図14において、ステータ110、磁石110及び(アウター)ヨーク112はTPSの構成部材であるから、ホール素子102が回路基板100のー方の面に取り付けられてー方の面から突出していて、この先端部にステータ110、磁石110および(アウター)ヨーク112が配置されていることにより、非接触型のTPSとして機能するのであり、このように構成されたTPSは、回路基板100の一方の面に取り付けられて、回路基板100のー方の面から突出している部材ということができる。 なお、当審において、「基板」とつながっていなくても、「回路基板の一方の面から突出した部材」であるといえると判断した。 さらに上記事項を踏まえると、本件特許の明細書の段落【0042】及び図面等から、「集合入出力端子24」は「ECUケース2」の「凸部」を設けた面に備えられているといえるので、本件訂正発明4における凸部を設けた面に集合入出力端子を備えている構成は開示されている。 これらのことから、無効理由3に係る主張は理由がない。 (2)審判事件弁駁書において新たに主張された無効理由4について また、請求人は、審判事件弁駁書において、上記第4 2-2のように主張している。 しかしながら、本件訂正発明5及び7における「前記凹部は・・・ホール素子用突出部を備え」とは、凹部の内部にホール素子用突出部が設けられるという意味であり、「磁石が設けられる部位」とは、図14における磁石111が設けられる部位を意味すると解することが自然である。また、本件特許発明において、「嵌合」とは、ゆるく嵌め合っている状態、すなわち隙間を持って嵌め合っている状態を意味していることが明らかになったから、本件訂正発明5及び7における「前記ホール素子用突出部は、・・・磁石が設けられる部位に嵌合する」という記載は、図14の記載と整合しているといえる。 これらのことから、無効理由4に係る主張は理由がない。 (3)小括 したがって、無効理由3及び審判事件弁駁書において新たに主張する無効理由4に係る主張は何れも理由がない。 第7 むすび 以上のとおりであって、請求人が主張する無効理由はいずれも理由がないから、本件訂正発明1、3ないし5及び7の特許は、無効とすることができない。 また、他に本件訂正発明1、3ないし5及び7の特許を無効とすべき理由を発見しない。 また、本件発明2及び6については、訂正により削除されたので、請求項2及び6についての本件審判請求を却下する。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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2015-800097

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