特許拒絶査定不服審判
2017-002721
リフロー可能な光電子モジュール
- 審判番号
- 2017-002721
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-504532
- 請求日
- 2017年02月24日
- 審決日
- 2017年09月20日
- 公報発行日
- 2018年03月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ヘプタゴン・マイクロ・オプティクス・プライベート・リミテッド
- 【請求人代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 中塚 直樹
- 審判官 須原 宏光
- 審判官 清水 稔
- 分類
- P18 .121-Z (G01V)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-504532「リフロー可能な光電子モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月10日国際公開、WO2013/151508、平成27年 7月 9日国内公表、特表2015-519546〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年4月3日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2012年4月5日(以下、「優先日」という。) 米国、2013年3月14日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年6月17日付けの拒絶理由通知に対して平成28年9月21日付けで意見書が提出されたが、平成28年10月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成29年2月24日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。
第2 本願発明
1 平成29年2月24日付けの手続補正について
平成29年2月24日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲について、請求項1の記載を引用する請求項7をさらに引用する請求項8を、請求項1とし、請求項7及び8を削除するとともに、請求項9ないし12の項番を繰り上げて請求項7ないし10とし、引用する請求項を1とするものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号(請求項の削除)に掲げる事項を目的とするものに該当する。
2 本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明は、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
光学式近接センサモジュールであって、
基板と、
前記基板の第1の表面上に搭載される発光素子とを備え、前記発光素子は第1の波長の光を放出するように動作可能であり、光学式近接センサモジュールはさらに、
前記基板の前記第1の表面上に搭載される光検知器を備え、光検知器は前記第1の波長の光を検知するように動作可能であり、光学式近接センサモジュールはさらに、
第1のポリマー材料から構成され、前記基板に対して実質的に平行に取り付けられる光学部材を備え、前記光学部材は、前記第1の波長の光を透過する第1および第2の透明部分を含み、前記光学部材はさらに、前記第1の波長の入射光を実質的に減衰または遮断する遮断部分を含み、前記第1の透明部分は前記発光素子の上方に取り付けられ、前記第2の透明部分は前記光検知器の上方に取り付けられ、光学式近接センサモジュールはさらに、
第2のポリマー材料から構成される分離部材を備え、前記分離部材は、前記基板と前記光学部材との間に接触して取り付けられ、前記分離部材は前記発光素子および前記光検知器を囲み、
前記第1のポリマー材料および前記第2のポリマー材料の各々は、少なくとも260℃まで熱的に安定し、
前記第1の透明部分および前記第2の透明部分の各々は、少なくとも260℃まで熱的に安定する第3のポリマー材料から構成されるレンズを含む、光学式近接センサモジュール。」
第3 引用例及びその記載事項
(1)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2011-113975号公報(平成23年6月9日公開、以下、「引用例」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。
a 「【0001】
本発明は全体的に、赤外線近接センサ・パッケージ、そのようなパッケージを使用する素子、及びそれを作成及び使用する方法の分野に関する。」
b 「【0013】
図1は、赤外線近接センサ・パッケージ10の1つの実施形態による上部の斜視図である。1つの実施形態では、シールド110がパッケージ10及び筐体46の頂部に配置され、そして筐体を通して配置され、それぞれ赤外線送信機70(図2を参照のこと)及び赤外線受信機60(図2を参照のこと)の上に配置された第1及び第2の開口112及び114を有し、送信機70によって放射された赤外線が第1の開口112を通過し、検出されるべき物体から反射された赤外線が第2の開口114を通過して受信機60で検出される。
【0014】
図2及び図3は、シールド110をそこから取り除いた光近接センサ10の上部の平面図を示している。図2及び図3で示されているように、送信機70が第1の凹部50の中に位置付けられている。受信機60が第2の凹部48の中に位置付けられている。1つの実施形態によれば、受信機60と送信機70は半導体のダイである。筐体46のパーティショニング・デバイダ52は液晶ポリマ(LCP)を含んでいて、筐体46の中及び第1及び第2の凹部50及び48の間で、一例として、パーティショニング・デバイダの方向に内部反射された赤外線は、そこに含まれたLCPによって著しく減衰又は吸収される。これに関するより多くの説明は後で行われる。
【0015】
図2、図3及び図4で示されているように、筐体46は、第1の凹部50と第2の凹部48との間に配置され、その下側及び上側筐体部分それぞれ43及び42の間に垂直に延長する側壁45を備えている。第1及び第2の凹部50及び48はパーティショニング・デバイダ52によって分離されており、このデバイダは1つの実施形態では、筐体46の残りの部分に一体化成形される。」
c 「【0017】
1つの実施形態によれば、図面には示されていないが、第1及び第2のレンズが設けられ、送信機70によって上方に送出された赤外線が平行にされ、第1のレンズによって上方の所定の方向に集束され、そして検出されるべき物体から反射されて下向き方向から第2のレンズに到達した赤外線は受信機60に向かって平行にされまた集束される。これらの第1及び第2のレンズは、それぞれ第1の開口112及び第2の開口114の上、中、隣同士、又は下側にうまく収まるように構成されている。分離した第1及び第2のレンズ、凹レンズ、凸レンズ、複合レンズ、フレネルレンズ、及び当業者に周知の赤外線を平行にし及び/又は集束させるように構成できる他の種類のレンズなど、様々な種類のレンズ構成が考えられる。
【0018】
1つの実施形態では、第1及び第2のレンズは適当な熱硬化性エポキシ材料から構成される。この材料は、第1の凹部50内の送信機70及び第2の凹部48内の受信機60の上に注入され、形成され、次に、上部に硬化するまで適当な高温で養生されることができる。別の実施形態では、第1及び第2のレンズが、筐体46内に配置されている少なくとも幾つかの部品の上に成形された赤外線経路の材料の中に一体成形される。どちらの実施形態でも、レンズを黒に着色して赤外線は通過できるが、約750nm又は約700nmより小さな波長の光はわずかしか又は全く通過できないため、ロー・カット・フィルタとして動作するように構成されうる。」
d 「【0021】
前述されたように、送信機70は第1の凹部すなわちキャビティ50の中に配置され、第2のキャビティ48とはパーティショニング・デバイダ52によって分離されている。受信機60は、プロセッサすなわちASIC90と一緒に第2のキャビティ48の中に配置されている。このASIC90は、好ましい実施形態では、ワイヤ・ボンディング(図示せず)によって送信機70と受信機60に動作的に接続されている。幾つかの実施形態では、ターミナル・ピン101~110も、場合によってはワイヤ・ボンド接続(図面には示されていない)によって、プロセッサ90、送信機用ダイ70及び受信機用ダイ60に動作的に接続される。はんだボール及びバンプ技術、ボール・グリッド・アレイ技術、又は従来のはんだ接続を形成する他の技術などの、外部装置とパッケージ10の種々の構成部品との間の電気的接続を確立する他の手段も採用することができる。」
e 「【0025】
図1~図4を参照すると、筐体46は、上部筐体部分42、下部筐体部分43、側壁45、第1の凹部50及び第2の凹部48を備えている。前述されたように、第1及び第2の凹部50及び48は、パーティショニング・デバイダ52によって分離されている。このパーティショニング・デバイダ52は、好ましい実施形態では、筐体46の別の部分に一体成形される。1つの実施形態では、筐体全体がLCPから射出成形される。他の実施形態では、分割パーティション52は少なくともLCPを含み、また側壁45、上部筐体部分42、及び下部筐体部分43の少なくとも1つがLCPを含んでいる。LCPの混合剤と適当なポリマが、筐体46又はその種々の部分を形成することはあまり好ましくない。また、分割パーティション52がLCPから形成され、一方筐体46の残りの部分がプラスチック、ポリマ、金属又は金属合金から形成されることはあまり好ましくない。1つの実施形態では、リードフレームの少なくとも一部が筐体46に一体成形される。」
f 「【0029】
赤外線近接センサ用筐体の中で使用されるに適当な構成と特性を有するLCPは、4500 McGinnis Ferry Road, Alpharetta, GA 3005-3914にあるSOLVAY ADVANCED POLYMERS(登録商標)社などの供給業者から得ることができる。Solvay Advanced Polymers社によって製造された、本発明の筐体を形成するために特に有効であることが実証されているLCPの1つの種類は、XYDAR G-930である。これは充填剤と30%ガラスファイバー補強材が付いたLCPプラスチック材料である。XYDAR G-930形LCPは、表面実装技術を使用する電子機器のアプリケーション用に特に開発されたガラス補強射出成形等級のポリマであり、また優れた成形特性を特徴として備えている。XYDAR G-930形樹脂は、200°F(93℃)より低い成形温度においてさえ、フラッシュをほとんど又は全く生じることなく長い流動長さ(flow length)にわたって極めて狭い壁に注入することができる。さらに、それは成形品の中では反りが小さく、また並外れた溶接ライン強度を有している。他のLCPと同様に、XYDAR G-930は高い強度と剛性(高温においてさえ)、低い熱膨張係数、高いたわみ温度、本来備わっているフレーム抵抗、及びたいていの薬品、風化作用、及び放射線に対する強い抵抗を示す。SOLVAY ADVANCED POLYMERS社に加えて、他のLCPの製造業者には、AMOCO PERFORMANCE PRODUCTS(登録商標)社及びHOECHST CELANESE CORPORATION(登録商標)社が含まれる。本発明の筐体を形成するときに使用するのに適当なLCPの配合物には、ビフェノル・ベース(biphenol-based)及びナファライン・ベース(napthaline-based)の配合物が含まれるが、これらに限定されることはない。」
g 「【0031】
望ましくない反射された、内部反射された、外部反射された、浮遊又は散乱された赤外線を減衰及び吸収するために、シールド110は少なくともその上面に配置された赤外線吸収材料を含んでいる。1つの実施形態では、シールド110は金属で形成され、その少なくとも上部が黒で塗装されるかペンキが塗られて、カバー・ウィンドウ160から散乱又は反射された不要な赤外線の影響を減少させる。シールド110をぴったり嵌め込むことは、ギャップにより望ましくない赤外線が筐体を貫通して、最後にはセンサ・パッケージ10内の受信機60に入射できるようになるのを防ぐために重要であることが発見された。
【0032】
シールド110の赤外線吸収材料は、黒又は黒っぽいペンキなどの異なる形態の幾つか、又はシールド110の上面及び/又は側面に加える他の適当な種類の黒っぽいコーティングとすることができる。シールド110の赤外線吸収材料は、LCP又は他の任意の適当なポリマ又は赤外線吸収材料を含むことができる。1つの実施形態では、シールド110はそのような材料から形成又は成形されて、金属から形成されることはない。」
h 「【0035】
そのような方法は、(a)筐体46の下方に嵌着して、その下部43と係合するように構成され、第1及び第2のフレーム部分を備えるリードフレームを提供するステップ、(b)このリードフレームを筐体の下部43に取り付けるステップ、(c)送信機70を第1のフレーム部分上に割り付けて、この送信機70を第1の凹部50内に配置するステップ、(d)受信機60を第2のフレーム部分上に割り付けて、この受信機60を第2の凹部48内に配置するステップ、(e)LCPから筐体46又はその一部を成形するステップ、及び/又は(f)リードフレームの少なくとも一部を筐体46に一体成形するステップ、の任意の1つ以上のステップをさらに含む。LCP以外の材料から作られた筐体46又は筐体材料を提供するステップ、又はラミネート加工、コーティング、スピン・コーティング、成形、射出成形又は他の手段によって、LCPを用いて筐体46、筐体部品又はシールド110をコーティング又はラミネート加工するステップなど、パッケージ10又は筐体46を制作する又は使用する他の方法も考えられる。」
i 図3より、側壁45及びパーティショニング・デバイダ52が、送信機70及び受信機60を取り囲んでいることが見て取れる。
j 図3及び図4より、側壁45及びパーティショニング・デバイダ52が、下側及び上側筐体部分それぞれ43及び42の間に垂直に延長していること、及び、シールド110が、下部筐体部分43に対して実質的に平行に取り付けられていることが見て取れる。
したがって、上記引用例に記載された事項及び図面の記載を総合すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(括弧内は、認定に用いた引用例の記載箇所である。)。
「赤外線近接センサ・パッケージであって(【0001】)、
シールド110が、パッケージ10及び筐体46の頂部に配置され、赤外線送信機70及び赤外線受信機60の上に配置された、赤外線が通過する第1及び第2の開口112及び114を有し(【0013】)、
シールド110は、下部筐体部分43に対して実質的に平行に取り付けられ(図4)、
シールド110は、外部反射された赤外線を減衰及び吸収するために、LCPから形成され(【0031】、【0032】)、
筐体46は、上部筐体部分42、下部筐体部分43、側壁45、第1の凹部50及び第2の凹部48を備え、第1及び第2の凹部50及び48は、パーティショニング・デバイダ52によって分離されており(【0025】)、
側壁45及びパーティショニング・デバイダ52が、下側及び上側筐体部分それぞれ43及び42の間に垂直に延長して(【0015】、図3、図4)、送信機70及び受信機60を取り囲んでおり(図3)、
パーティショニング・デバイダ52及び側壁45は、液晶ポリマ(LCP)を含んでいて、パーティショニング・デバイダの方向に内部反射された赤外線は、そこに含まれたLCPによって著しく減衰又は吸収され(【0014】、【0025】)、
第1及び第2のフレーム部分を備えるリードフレームを筐体の下部43に取り付け、
送信機70を第1のフレーム部分上に割り付けて、この送信機70を第1の凹部50内に配置し、
受信機60を第2のフレーム部分上に割り付けて、この受信機60を第2の凹部48内に配置し(【0035】)、
LCPは、高温においてさえ高い強度と剛性、高いたわみ温度を示し(【0029】)、
第1及び第2のレンズは、それぞれ第1の開口112及び第2の開口114にうまく収まるように、熱硬化性エポキシ材料で構成され(【0017】、【0018】)、
ボール・グリッド・アレイ技術により、外部装置とパッケージ10の種々の構成部品との間の電気的接続を確立した(【0021】)、
赤外線近接センサ・パッケージ。」
第4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「赤外線近接センサ・パッケージ」、「下部筐体部分43」、「赤外線送信機70」、「赤外線受信機60」、「シールド110」、「第1及び第2のレンズ」は、それぞれ、本願発明の「光学式近接センサモジュール」、「基板」、「発光素子」、「光検知器」、「光学部材」、「レンズ」に相当する。
(2)引用発明の「筐体の下部43に取り付け」られた「第1のフレーム部分上に割り付けて、」「第1の凹部50内に配置し」た「送信機70」は、本願発明の「前記基板の第1の表面上に搭載される発光素子」に相当し、
引用発明の「第1の凹部50内に配置し」た「送信機70」は、「赤外線送信機70」のことであるから、当該「送信機70」は、本願発明の「第1の波長の光を放出するように動作可能であ」る「前記発光素子」に相当する。
(3)引用発明の「筐体の下部43に取り付け」られた「第2のフレーム部分上に割り付けて、」「第2の凹部48内に配置し」た「受信機60」は、本願発明の「前記基板の前記第1の表面上に搭載される光検知器」に相当し、
引用発明の「第2の凹部48内に配置し」た「受信機60」は、「赤外線受信機60」のことであるから、当該「受信機60」は、本願発明の「前記第1の波長の光を検知するように動作可能であ」る「光検知器」に相当する。
(4)
ア 引用発明の「LCPから形成され」、「下部筐体部分43に対して実質的に平行に取り付けられ」た「シールド110」は、本願発明の「第1のポリマー材料から構成され、前記基板に対して実質的に平行に取り付けられる光学部材」に相当する。
イ 引用発明の「シールド110が、」「赤外線が通過する第1及び第2の開口112及び114を有」することは、本願発明の「前記光学部材は、前記第1の波長の光を透過する第1および第2の透明部分を含」むことに相当する。
ウ 引用発明の「シールド110」における、「第1及び第2の開口112及び114」以外の「外部反射された赤外線を減衰及び吸収するために、LCPから形成され」た部分は、本願発明の「前記光学部材」がさらに含む「前記第1の波長の入射光を実質的に減衰または遮断する遮断部分」に相当する。
エ 引用発明の「シールド110が、パッケージ10及び筐体46の頂部に配置され、赤外線送信機70及び赤外線受信機60の上に配置された第1及び第2の開口112及び114を有」することは、本願発明の「前記第1の透明部分は前記発光素子の上方に取り付けられ、前記第2の透明部分は前記光検知器の上方に取り付けられ」ることに相当する。
(5)
ア 引用発明の「液晶ポリマ(LCP)を含んでいて、パーティショニング・デバイダの方向に内部反射された赤外線は、そこに含まれたLCPによって著しく減衰又は吸収され」る「パーティショニング・デバイダ52及び側壁45」は、本願発明の「第2のポリマー材料から構成される分離部材」に相当する。
イ 引用発明の「側壁45及びパーティショニング・デバイダ52が、下側及び上側筐体部分それぞれ43及び42の間に垂直に延長して、送信機70及び受信機60を取り囲んでおり」と、本願発明の「前記分離部材は、前記基板と前記光学部材との間に接触して取り付けられ、前記分離部材は前記発光素子および前記光検知器を囲み」とは、「前記分離部材は、前記基板と前記光学部材との間にあり、前記分離部材は前記発光素子および前記光検知器を囲み」の点で共通する。
(6)引用発明の「シールド110」の「LPC」および「側壁45及びパーティショニング・デバイダ52」の「液晶ポリマ(LCP)」が「高温においてさえ高い強度と剛性、高いたわみ温度を示」すことと、本願発明の「前記第1のポリマー材料および前記第2のポリマー材料の各々は、少なくとも260℃まで熱的に安定し」とは、「前記第1のポリマー材料および前記第2のポリマー材料の各々は、熱的に安定し」の点で共通する。
(7)引用発明の「第1及び第2のレンズは、それぞれ第1の開口112及び第2の開口114にうまく収まるように、熱硬化性エポキシ材料で構成され」と、本願発明の「前記第1の透明部分および前記第2の透明部分の各々は、少なくとも260℃まで熱的に安定する第3のポリマー材料から構成されるレンズを含む」は、「前記第1の透明部分および前記第2の透明部分の各々は、第3のポリマー材料から構成されるレンズを含む」点で共通する。
すると、本願発明と引用発明とは、次(一致点)及び(相違点)を有する。
(一致点)
「光学式近接センサモジュールであって、
基板と、
前記基板の第1の表面上に搭載される発光素子とを備え、前記発光素子は第1の波長の光を放出するように動作可能であり、光学式近接センサモジュールはさらに、
前記基板の前記第1の表面上に搭載される光検知器を備え、光検知器は前記第1の波長の光を検知するように動作可能であり、光学式近接センサモジュールはさらに、
第1のポリマー材料から構成され、前記基板に対して実質的に平行に取り付けられる光学部材を備え、前記光学部材は、前記第1の波長の光を透過する第1および第2の透明部分を含み、前記光学部材はさらに、前記第1の波長の入射光を実質的に減衰または遮断する遮断部分を含み、前記第1の透明部分は前記発光素子の上方に取り付けられ、前記第2の透明部分は前記光検知器の上方に取り付けられ、光学式近接センサモジュールはさらに、
第2のポリマー材料から構成される分離部材を備え、前記分離部材は、前記基板と前記光学部材との間にあり、前記分離部材は前記発光素子および前記光検知器を囲み、
前記第1のポリマー材料および前記第2のポリマー材料の各々は、熱的に安定し、
前記第1の透明部分および前記第2の透明部分の各々は、第3のポリマー材料から構成されるレンズを含む、光学式近接センサモジュール。」
(相違点1)
「分離部材」が、本願発明は、「前記基板と前記光学部材との間に接触して取り付けられ」るのに対して、引用発明は、「側壁45及びパーティショニング・デバイダ52が、下側及び上側筐体部分それぞれ43及び42の間に垂直に延長して」いる点。
(相違点2)
「第1のポリマー材料」および「第2のポリマー材料」が、本願発明は、「少なくとも260℃まで熱的に安定」であるのに対して、引用発明は、「高温においてさえ高い強度と剛性、高いたわみ温度を示」すが、少なくとも260℃まで熱的に安定であるか不明である点。
(相違点3)
「第3のポリマー材料」が、本願発明は、「少なくとも260℃まで熱的に安定する」が、引用発明は、そのような特定がない点。
第5 判断
(1)相違点1について
光学装置において、分離部材を、基板と光学部材との間に接触して取り付ける技術は周知である(例えば、特表2011-507284号公報(【0029】、図2))。
赤外線近接センサ・パッケージである引用発明において、光学装置における上記周知技術を考慮して、「側壁45及びパーティショニング・デバイダ52」を、「下部筐体部分43」と「シールド110」との間に接触して取り付ける構造として、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
またそもそも、赤外線を減衰又は吸収するための部材を設ける場合に、赤外線が漏れるすき間が生じないように、他の部材と接触して取り付ける構造とする程度のことは、当業者が通常考慮すべき範疇のものに過ぎない。
(2)相違点2について
引用発明は「ボール・グリッド・アレイ技術により、外部装置とパッケージ10の種々の構成部品との間の電気的接続を確立した」ものである。
ここで、ボール・グリッド・アレイ技術でパッケージしたモジュールを、基板に半田付けする際に、通常220℃~260℃程度での処理を含むリフロー工程を用いることは常套手段であるから、当該モジュールに使われる材料は、リフロー工程の高温に耐える必要があることは、自明な事項である。
そして、引用発明は、前述のように「ボール・グリッド・アレイ技術」を用いるものであり、さらに、引用発明の「シールド110」の「LPC」および「側壁45及びパーティショニング・デバイダ52」の「液晶ポリマ(LCP)」は、高温においてさえ高い強度と剛性、高いたわみ温度を示すものであることを鑑みると、
引用発明において、「シールド110」の「LPC」および「側壁45及びパーティショニング・デバイダ52」の「液晶ポリマ(LCP)」を、リフロー工程の高温に耐える、少なくとも260℃まで熱的に安定な材料とすることにより、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(3)相違点3について
相違点2で検討したように、引用発明は「ボール・グリッド・アレイ技術」を用いるものである。
そして、一般的に、熱硬化性エポキシ材料は、耐熱性に優れた材料であることから、
引用発明において、「第1及び第2のレンズ」の「熱硬化性エポキシ材料」を、リフロー工程の高温に耐える、少なくとも260℃まで熱的に安定な材料とすることにより、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
そして、上記相違点を総合的に判断しても、本願発明が奏する効果は、引用発明及び周知技術から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、 本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶するべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-002721