特許異議申立
2016-700730
不等速ベベルギヤ機構及びこれを備えた田植機
- 審判番号
- 2016-700730
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2012-059161
- 登録番号
- 特許第5860314号(P5860314)
- 請求日
- 2016年08月10日
- 審決日
- 2016年12月26日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ヤンマー株式会社
- 【権利者代理人】渡辺 隆一
- 【異議申立人】土田 圭介
- 【異議申立人代理人】吉井 剛
- 【異議申立人代理人】吉井 雅栄
- 審判長/審判官
- 審判長 赤木 啓二
- 審判官 小野 忠悦
- 審判官 住田 秀弘
- 分類
- P1652.113-XA (A01C) / P1652.121-XA (A01C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の8第1項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5860314号発明「不等速ベベルギヤ機構及びこれを備えた田植機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5860314号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。
本件特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
特許第5860314号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、平成24年3月15日に特許出願され、平成27年12月25日に特許の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人土田圭介(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成28年10月4日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年12月2日に訂正の請求(以下「本件訂正」という。)がなされたものである。
2 訂正の適否についての判断
(1)訂正内容
本件訂正は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし4について訂正することを求めるものである。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を独立形式に改め、
「互いに噛み合う一対のベベルギヤからなるベベルギヤ機構であって、
前記各べベルギヤは、ピッチ円錐角最小部とピッチ円錐角最大部とを有し、前記ピッチ円錐角最小部と前記ピッチ円錐角最大部との間において、ピッチ円錐角を回転方向に沿って連続的に変化させてなる不等速ベベルギヤに構成されており、
前記各不等速ベベルギヤのピッチ円は、楕円に近い形状で且つ回転軸を中心とする真円に対して偏心しており、且つ、前記各不等速ベベルギヤの外径形状を真円に形成している、
不等速ベベルギヤ機構。」
に訂正する(下線は訂正箇所を示す。以下同様。)。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「前記下流不等速部材として、請求項1又は2に記載した不等速ベベルギヤ機構を用いている、田植機。」とあるうち、請求項1を引用するものを削除して、請求項2のみを引用する「前記下流不等速部材として、請求項2に記載した不等速ベベルギヤ機構を用いている、田植機。」に訂正する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3に「前記下流不等速部材として、請求項1又は2に記載した不等速ベベルギヤ機構を用いている、田植機。」とあるうち、請求項2を引用するものを削除して、請求項1のみを引用するものについて、独立形式に改め、
「走行機体に搭載したエンジンからの動力を変速するミッションケースと、非円形の動作軌跡を描く植付爪付きの移植機構を有する苗植付装置と、前記走行機体の走行速度に対する前記移植機構の動作速度を変速して株間を変更する株間変速装置とを備える田植機において、
前記株間変速装置には、疎植時に前記苗植付装置を不等速回転させる複数段の上流不等速部材を有する一方、前記苗植付装置には、これを不等速回転させる下流不等速部材を有しており、
互いに噛み合うー対のベベルギヤからなるベベルギヤ機構であって、前記各ベベルギヤは、ピッチ円錐角最小部とピッチ円錐角最大部とを有し、前記ピッチ円錐角最小部と前記ピッチ円錐角最大部との間において、ピッチ円錐角を回転方向に沿って連続的に変化させてなる不等速ベベルギヤに構成されている不等速ベベルギヤ機構を、前記下流不等速部材として用いている、
田植機。」
として、新たに請求項4とする。
オ 訂正事項5
明細書の段落【0010】に、
「本願発明は様々な構成を含んでいる。請求項1の発明は最も上位概念をなしており、当該発明は、互いに噛み合う一対のベベルギヤからなるベベルギヤ機構であって、前記各ベベルギヤは、ピッチ円錐角最小部とピッチ円錐角最大部とを有し、前記ピッチ円錐角最小部と前記ピッチ円錐角最大部との間において、ピッチ円錐角を回転方向に沿って連続的に変化させてなる不等速ベベルギヤに構成されているというものである。」
とあるのを、
「本願発明は様々な構成を含んでいる。請求項2の発明は、互いに噛み合う一対のベベルギヤからなるベベルギヤ機構であって、前記各ベベルギヤは、ピッチ円錐角を回転方向に沿って連続的に変化させてなる不等速ベベルギヤに構成されている。」
に訂正する。
カ 訂正事項6
明細書の段落【0011】に、
「請求項2の発明は、請求項1に記載した不等速ベベルギヤ機構において、前記各不等速ベベルギヤのピッチ円は、楕円に近い形状で且つ回転軸を中心とする真円に対して偏心しており、且つ、前記各不等速ベベルギヤの外径形状を真円に形成しているというものである。」
とあるのを、
「そして、請求項2の発明は、前記各不等速ベベルギヤのピッチ円は、楕円に近い形状で且つ回転軸を中心とする真円に対して偏心しており、且つ、前記各不等速ベベルギヤの外径形状を真円に形成している。」
に訂正する。
キ 訂正事項7
明細書の段落【0012】に、
「請求項3の発明は、走行機体に搭載したエンジンからの動力を変速するミッションケースと、非円形の動作軌跡を描く植付爪付きの移植機構を有する苗植付装置と、前記走行機体の走行速度に対する前記移植機構の動作速度を変速して株間を変更する株間変速装置とを備える田植機に係るものである。前記株間変速装置には、疎植時に前記苗植付装置を不等速回転させる複数段の上流不等速部材を有する一方、前記苗植付装置には、これを不等速回転させる下流不等速部材を有しており、前記下流不等速部材として、請求項1又は2に記載した不等速ベベルギヤ機構を用いている。」
とあるのを、
「請求項3の発明は、走行機体に搭載したエンジンからの動力を変速するミッションケースと、非円形の動作軌跡を描く植付爪付きの移植機構を有する苗植付装置と、前記走行機体の走行速度に対する前記移植機構の動作速度を変速して株間を変更する株間変速装置とを備える田植機に係るものである。前記株間変速装置には、疎植時に前記苗植付装置を不等速回転させる複数段の上流不等速部材を有する一方、前記苗植付装置には、これを不等速回転させる下流不等速部材を有しており、前記下流不等速部材として、請求項2に記載した不等速ベベルギヤ機構を用いている。
請求項4の発明は、走行機体に搭載したエンジンからの動力を変速するミッシヨンケースと、非円形の動作軌跡を描く植付爪付きの移植機構を有する苗植付装置と、前記走行機体の走行速度に対する前記移植機構の動作速度を変速して株間を変更する株間変速装置とを備える田植機において、前記株間変速装置には、疎植時に前記苗植付装置を不等速回転させる複数段の上流不等速部材を有する一方、前記苗植付装置には、これを不等速回転させる下流不等速部材を有しており、互いに噛み合う一対のベベルギヤからなるベベルギヤ機構であって、前記各ベベルギヤは、ピッチ円錐角最小部とピッチ円錐角最大部とを有し、前記ピッチ円錐角最小部と前記ピッチ円錐角最大部との間において、ピッチ円錐角を回転方向に沿って連続的に変化させてなる不等速ベベルギヤに構成されている不等速ベベルギヤ機構を、前記下流不等速部材として用いている。」
に訂正する。
キ 訂正事項8
明細書の段落【0015】に、
「請求項3の発明によると、走行機体に搭載したエンジンからの動力を変速するミッションケースと、非円形の動作軌跡を描く植付爪付きの移植機構を有する苗植付装置と、前記走行機体の走行速度に対する前記移植機構の動作速度を変速して株間を変更する株間変速装置とを備える田植機において、前記株間変速装置には、疎植時に前記苗植付装置を不等速回転させる複数段の上流不等速部材を有する一方、前記苗植付装置には、これを不等速回転させる下流不等速部材を有しており、前記下流不等速部材として、請求項1又は2に記載した不等速ベベルギヤ機構を用いているから、前記苗植付装置に構造を複雑化することなく不等速回転を付与でき、田植機への適応性に優れるのである。」
とあるのを、
「請求項3又は4の発明によると、走行機体に搭載したエンジンからの動力を変速するミッションケースと、非円形の動作軌跡を描く植付爪付きの移植機構を有する苗植付装置と、前記走行機体の走行速度に対する前記移植機構の動作速度を変速して株間を変更する株間変速装置とを備える田植機において、前記株間変速装置には、疎植時に前記苗植付装置を不等速回転させる複数段の上流不等速部材を有する一方、前記苗植付装置には、これを不等速回転させる下流不等速部材を有しており、前記下流不等速部材として、不等速ベベルギヤ機構を用いているから、前記苗植付装置に構造を複雑化することなく不等速回転を付与でき、田植機への適応性に優れるのである。」
に訂正する。
(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1
訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ 訂正事項2
(ア)訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1を引用する記載であるところ、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項に改めるものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
ウ 訂正事項3
訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1又は2を引用する記載であるところ、請求項1を引用しないものとし、請求項2のみを引用する請求項に改めるものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
エ 訂正事項4
訂正事項4は、訂正前の請求項3が請求項1又は2を引用する記載であるところ、請求項2を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項に改めるものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
オ 訂正事項5~8
訂正事項5~8は、上記訂正事項1~4に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、これら訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。
(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。
3 特許異議の申立てについて
申立人は、請求項1に係る本件特許は、特許法第29条第1項第3号及び同条第2項の規定に違反してなされたものであるので、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものであると主張する。
しかしながら、上記2のとおり、請求項1を削除する本件訂正が認められたので、請求項1についての本件特許異議申立ては、その対象が存在しないものとなった。
したがって、請求項1についての本件特許異議申立ては、不適法な特許異議申立てであるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定によって却下すべきものである。
4 むすび
以上のとおり、本件特許異議申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2016-700730