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特許拒絶査定不服審判

2016-017684

画像形成装置、画像データ処理システム及び画像形成方法

審判番号
2016-017684
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-193294
請求日
2016年11月28日
審決日
2017年09月12日
公報発行日
2017年10月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】株式会社沖データ
  • 【請求人代理人】青木 俊明
  • 【請求人代理人】清水 守
  • 【請求人代理人】川合 誠
審判長/審判官
  • 審判長 黒瀬 雅一
  • 審判官 森次 顕
  • 審判官 畑井 順一
分類
P18 .121-WY (G03G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第41条、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-193294「画像形成装置、画像データ処理システム及び画像形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月 7日出願公開、特開2015- 87760、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、特許法第41条に基づく優先権出張を伴う平成26年9月24日(優先日:平成25年9月27日)の出願であって、平成28年4月1日付けで手続補正がされ、同年9月1日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年11月28日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年9月1日付け拒絶査定)の拒絶の理由の概要は次のとおりである。 この出願の請求項1ないし6に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2003-182203号公報 2.特開2002-328501号公報 第3 本願発明 本願の請求項1ないし11に係る発明は、平成28年4月1日付けで手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された次のとおりのものである(以下、請求項1ないし11に係る発明を、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明11」という。)。 「【請求項1】 媒体の表面又は裏面に画像オブジェクトを形成する画像形成部と、 前記媒体の表面又は裏面に、前記画像オブジェクトの下地として遮蔽層を形成する遮蔽層形成部と、 前記画像形成部及び遮蔽層形成部の動作を制御する制御部とを有する画像形成装置であって、 前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層が重なり合う範囲では、前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の少なくとも一方を前記範囲外に形成される遮蔽層より薄くすることを特徴とする画像形成装置。 【請求項2】 前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層が重なり合う範囲では、前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の両方を薄くする請求項1に記載の画像形成装置。 【請求項3】 前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層が重なり合う範囲では、前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の両方の層厚をそれぞれ半減させる請求項2に記載の画像形成装置。 【請求項4】 前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層が重なり合う範囲では、前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の両方の層厚の合計を、前記範囲外の媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の層厚に等しくする請求項1に記載の画像形成装置。 【請求項5】 前記遮蔽層が形成される範囲は、前記画像オブジェクトが形成される範囲と実質的に同一である請求項1に記載の画像形成装置。 【請求項6】 媒体の表面又は裏面に有色の画像オブジェクトを形成するための画像データを処理する画像データ処理システムにおいて、 前記媒体の表面又は裏面に、前記画像オブジェクトに対応する遮蔽オブジェクトを形成するための遮蔽オブジェクトデータを出力する遮蔽オブジェクト処理部を有し、 該遮蔽オブジェクト処理部は、前記画像オブジェクトが前記媒体の表面及び裏面にともに位置する範囲又は前記遮蔽オブジェクトが前記媒体の表面及び裏面にともに位置する範囲では、前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の少なくとも一方を前記範囲外に形成される遮蔽層より薄くすることを特徴とする画像データ処理システム。 【請求項7】 媒体の表面又は裏面に画像オブジェクトを形成するとともに、 前記媒体の表面又は裏面に、前記画像オブジェクトの下地として遮蔽層を形成する画像形成方法であって、 前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層が重なり合う範囲では、前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の少なくとも一方を前記範囲外に形成される遮蔽層より薄くすることを特徴とする画像形成方法。 【請求項8】 前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層が重なり合う範囲では、前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の両方を薄くする請求項7に記載の画像形成方法。 【請求項9】 前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層が重なり合う範囲では、前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の両方の層厚をそれぞれ半減させる請求項8に記載の画像形成方法。 【請求項10】 前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層が重なり合う範囲では、前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の両方の層厚の合計を、前記範囲外の媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の層厚に等しくする請求項7に記載の画像形成方法。 【請求項11】 前記遮蔽層が形成される範囲は、前記画像オブジェクトが形成される範囲と実質的に同一である請求項7に記載の画像形成方法。」 第4 引用例 1.引用例1について 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2003-182203号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。 (1)「【請求項1】 インク滴を記録媒体に噴射して画像を記録するインクジェット記録方法において、記録面への印写の前、あるいは後、あるいは同時に、全部あるいは一部の記録部に記録部の近傍の裏面側から処理剤を付与することを特徴とするインクジェット記録方法。 (中略) 【請求項4】 前記処理剤が、記録画像が裏面側から認識される程度を低減する材料を含有するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録方法。 (中略) 【請求項6】 記録媒体の両面に画像を印写する際、表面を印写する際に裏面に印写する画像部に対応した個所に処理剤を予め付与し、裏面を印写する際に表面の画像部に対応した個所に処理剤を付与することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット記録方法。 (中略) 【請求項12】 請求項1乃至7のいずれかに記載の記録方法で記録を行なうことを特徴とするインクジェットプリンター装置。」 (2)「【0012】記録ヘッド(6)は、図3に示すように、裏面処理液(U)を吐出するヘッド(6u)、イエロー(Y)のインクを吐出するヘッド(6y)、マゼンタ(M)のインクを吐出するヘッド(6m)、シアン(C)のインクを吐出するヘッド(6c)及びブラック(K)のインクを吐出するヘッド(6b)を主走査方向に配置したものである。各ヘッド(6u),(6y),(6m),(6c),(6b)には多数の記録ノズル(8)を副走査方向に2列に列設している。なおヘッドの配置の順序は目的に応じて変化させてよい。特に裏面処理液の印写は記録面の画像を印写前、あるいは後に記録画像印写時とは逆に紙を反転して記録画像の印写部近傍の裏面に処理液を印写するため、そのヘッドは特に着色インクヘッドに連続して配置する必要はない。なおこの場合、裏面処理液は記録面の画像印写時とは異なる時間に紙を反転させて印写することになるため裏面処理液は記録画像とは左右鏡像となるように印写することになる。」 (3)「【0016】このように構成したこの記録装置では、記録ヘッド(6)(キャリッジ(5))を主走査方向に移動走査させながら、用紙(20)を副走査方向に搬送して、記録ヘッド(6)各ヘッド(6y),(6m),(6c),(6b)の各ノズル(8)から所要の色のインク滴を吐出させることによって、用紙(20)上に所要のカラー画像(黒画像を含む)を記録する。また同様に裏面処理液が吐出される。」 (4)「【0018】次に、このインクジェット記録装置の制御部の概要について図5を参照して説明する。この制御部は、この記録装置全体の制御を司るマイクロコンピュータ(以下、「CPU」と称する)(40)と、画像データに対する色補正、二値化等の画像処理に必要な情報等の各種固定情報及び/又は各種処理プログラムを格納したROM(41)と、ワーキングメモリ等として使用するRAM(42)と、パラレル入出力(PIO)ポート(43)と、入力バッファ(44)と、キャラクタジェネレータ(45)と、改行カウンタ(46)と、ダイレクトメモリアクセスコントローラ(DMAC)(47)と、1ライン出力バッファ(48)と、パラレル入出力(PIO)ポート(49)とを備えている。 【0019】そして、この制御部は、記録ヘッド(6)の各ヘッド(6u),(6y),(6m),(6c),(6b)の各エネルギー発生手段に対して駆動波形を印加する共通(Com)ドライバ(50)と、記録ヘッド(6)の各ヘッド(6u),(6y),(6m),(6c),(6b)のエネルギー発生手段を記録信号に応じて選択する選択信号を与えるドライバ(51)と、主走査モータ(15)及び副走査モータ(28)を各々駆動制御するモータドライバ(52)等を備えて、各部に所要の信号を出力すると共に、操作パネル(オペレーションパネル)(53)が接続されている。なお、パラレル入出力ポート(PIO)(49)に代えてゲートアレー(GA)を用いることもできる。」 (5)「【0022】さらに、出力バッファ(48)に蓄積された記録データは所要のタイミングで読み出されてPIO(49)に印写信号として送出され、PIO(49)からドライバ(51)に与えられて、ドライバ(51)からドライブ信号(選択信号)として記録ヘッド(6)に送出する。また、PIO(49)を介してモータドライバ(52)に対して駆動制御信号を出力して、キャリッジ(5)を主走査方向の移動走査し、プラテン(21)を回転させて用紙(20)を所定量搬送させる。」 (6)上記(2)の「裏面処理液」が上記(1)の「処理剤」に対応し、上記(3)の「用紙(20)」が上記(1)の「記録媒体」に対応することは明らかである。 上記の記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「インク滴を記録媒体に噴射して画像を記録するインクジェット記録方法において、記録面への印写の前、あるいは後、あるいは同時に、全部あるいは一部の記録部に記録部の近傍の裏面側から処理剤を付与し、 前記処理剤が、記録画像が裏面側から認識される程度を低減する材料を含有するものであり、 記録媒体の両面に画像を印写する際、表面を印写する際に裏面に印写する画像部に対応した個所に処理剤を予め付与し、裏面を印写する際に表面の画像部に対応した個所に処理剤を付与するインクジェット記録方法で記録を行なうインクジェットプリンター装置であって、 記録ヘッド各ヘッド(6y),(6m),(6c),(6b)の各ノズルから所要の色のインク滴を吐出させることによって、記録媒体上に所要のカラー画像(黒画像を含む)を記録し、 記録ヘッドは、処理剤を吐出するヘッド(6u)、イエロー(Y)のインクを吐出するヘッド(6y)、マゼンタ(M)のインクを吐出するヘッド(6m)、シアン(C)のインクを吐出するヘッド(6c)及びブラック(K)のインクを吐出するヘッド(6b)を配置したものであり、 制御部は、1ライン出力バッファと、パラレル入出力(PIO)ポートとを備え、 記録ヘッドの各ヘッド(6u),(6y),(6m),(6c),( 6b)のエネルギー発生手段を記録信号に応じて選択する選択信号を与えるドライバを備えて、各部に所要の信号を出力し、 出力バッファに蓄積された記録データは所要のタイミングで読み出されてPIOに印写信号として送出され、PIOからドライバに与えられて、ドライバからドライブ信号(選択信号)として記録ヘッドに送出する インクジェットプリンター装置。」 2.引用例2について 同じく原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2002-328501号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (1)「【請求項1】 転写材上に白色トナー像と有色トナー像とをこの順に重ね合わせて画像を形成する画像形成装置において、 前記有色トナーにより形成される画像の領域を少なくとも写真領域と文字領域とに分離する画像領域分離手段を設け、少なくとも前記写真領域に前記白色トナー像を選択的に形成することを特徴とする画像形成装置。 【請求項2】 前記文字領域にも前記白色トナー像を形成する場合、前記文字領域に形成する前記白色トナー像の単位面積当たりの付着量を、前記写真領域に形成する前記白色トナー像の単位面積当たりの付着量よりも少なくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 【請求項3】 前記写真領域に形成する前記白色トナー像の単位面積当たりの付着量を、前記転写材の不透明度に応じて変更することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。 【請求項4】 前記写真領域に形成する前記白色トナー像の単位面積当たりの付着量を、前記転写材の色味に応じて変更することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の画像形成装置。 【請求項5】 前記写真領域に形成する前記白色トナー像の単位面積当たりの付着量を、前記転写材の光沢度に応じて変更することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の画像形成装置。」 (2)「【0012】即ち、本発明は、有色トナー像により形成される画像の領域を写真領域と文字領域とに分離し、少なくとも写真領域に白色トナー像を形成することを要件とし、「透き通しによる裏抜け」が特に問題となる写真領域に白色トナー像を形成して下地を改善し、種々の用紙において(薄紙を使用した場合でも)所望の画質を得ることができるようにした。」 (3)「【0021】ベルト状の中間転写体である転写ベルト14aは、感光体ドラムの10(2)、帯電器11(2)、露光光学系12(2)及び現像器13(2)とクリーニング装置20(2)とから構成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)および白(W)の各画像形成ユニット50Y、50M、50C、50K及び50Wを転写ベルト14aの回転方向上流側より配置していて、各画像形成ユニット50において形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の各トナー像が転写ベルト14aの背面に設けられた転写ローラによって転写ベルト14aの周面上に順次重ね合わせて転写(1次転写)されてカラートナー像とされ、さらにその最上層には画像形成ユニット50Wにより白のトナー像が重ね合わせて形成される。 【0022】前記の白色トナー像とその下層のカラートナー像は給紙カセット15よりタイミングローラ16を介して給紙される記録紙Pの表面に転写器17のトナーとは反対極性をもった放電作用により一括して転写(2次転写)され、記録紙P上には白色トナー像を最下層とし、上層にカラートナー像を保持した状態で定着装置18においてトナーを溶着したのち水平方向に転じて装置上部のトレイ19に排出される。転写を終えた転写ベルト14aはクリーニング装置21において残留トナーを除去、清掃される。」 (4)「【0028】(実施の形態)前記の白色トナー像並びにカラートナー像は、図4のブロック図に示す画像処理システムに従って形成される。」 (5)「【0035】本発明においては、少なくとも領域判別手段によって判別された写真画像領域に対しては、白色トナー像を選択的に形成することが行われる(F12)。写真画像領域だけではなく、文字画像領域にも白色トナー像を形成する場合には、文字画像領域に形成する白色トナー像の単位面積当たりの付着量は画像写真領域に形成する白色トナー像の単位面積当たりの付着量よりも少なくなるよう制御がなされる。 【0036】文字画像領域であるか写真画像領域であるかの判別の結果形成すべき白色画像の形成範囲が設定され、一方では前記の各測定手段の測定により形成される白色画像のトナー層厚設定(13)及び露光条件が設定される(F14)。 【0037】即ち、予め設定された写真画像領域を形成する白色トナー像のトナー層厚(露光量)に対して、不透明度測定手段TSによって不透明度が高いと測定されたときは前記の白色トナー像の層厚(露光量)を減らす方向への変更を行う演算処理を行い、白色度測定手段WSによって白色度が高いと測定されたときは前記の白色トナー像の層厚(露光量)を減らす方向への変更を行う演算処理を行い、また光沢度測定手段KSによって光沢度が高いと測定されたときは前記の白色トナー像の層厚(露光量)を減らす方向への変更を行う演算処理を行う。それ等のデータが多値化処理(F5)を経てプリンタに入力されて(F6)記録紙P上に白色トナー像とさらにカラートナー像が重ね合わせて転写される。」 (6)上記(3)の「記録紙P」が上記(1)の「転写材」に対応することは明らかである。 上記の記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「転写材上に白色トナー像と有色トナー像とをこの順に重ね合わせて画像を形成する画像形成装置において、 前記有色トナーにより形成される画像の領域を少なくとも写真領域と文字領域とに分離する画像領域分離手段を設け、少なくとも前記写真領域に前記白色トナー像を選択的に形成し、 前記文字領域にも前記白色トナー像を形成する場合、前記文字領域に形成する前記白色トナー像の単位面積当たりの付着量を、前記写真領域に形成する前記白色トナー像の単位面積当たりの付着量よりも少なくし、 前記写真領域に形成する前記白色トナー像の単位面積当たりの付着量を、前記転写材の不透明度、色味及び光沢度に応じて変更し、 「透き通しによる裏抜け」が特に問題となる写真領域に白色トナー像を形成して下地を改善し、 イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)および白(W)の各画像形成ユニット50Y、50M、50C、50K及び50Wにおいて形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の各トナー像が転写(1次転写)されてカラートナー像とされ、さらにその最上層には画像形成ユニット50Wにより白のトナー像が重ね合わせて形成され、 前記の白色トナー像とその下層のカラートナー像は転写材の表面に一括して転写(2次転写)され、転写材上には白色トナー像を最下層とし、上層にカラートナー像を保持した状態でトナーを溶着し、 前記の白色トナー像並びにカラートナー像は、画像処理システムに従って形成され、 少なくとも領域判別手段によって判別された写真画像領域に対しては、白色トナー像を選択的に形成し、 写真画像領域だけではなく、文字画像領域にも白色トナー像を形成する場合には、文字画像領域に形成する白色トナー像の単位面積当たりの付着量は画像写真領域に形成する白色トナー像の単位面積当たりの付着量よりも少なくなるよう制御がなされ、 予め設定された写真画像領域を形成する白色トナー像のトナー層厚(露光量)に対して、不透明度測定手段によって不透明度が高いと測定されたときは前記の白色トナー像の層厚(露光量)を減らす方向への変更を行う演算処理を行い、白色度測定手段によって白色度が高いと測定されたときは前記の白色トナー像の層厚(露光量)を減らす方向への変更を行う演算処理を行い、また光沢度測定手段によって光沢度が高いと測定されたときは前記の白色トナー像の層厚(露光量)を減らす方向への変更を行う演算処理を行う 画像形成装置。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明1とを対比する。 後者の「記録媒体」は、その構造、機能、作用等からみて、前者の「媒体」に相当し、同様に、「画像」は「画像オブジェクト」に、「イエロー(Y)のインクを吐出するヘッド(6y)、マゼンタ(M)のインクを吐出するヘッド(6m)、シアン(C)のインクを吐出するヘッド(6c)及びブラック(K)のインクを吐出するヘッド(6b)」は「画像形成部」に、「インクジェットプリンター装置」は「画像形成装置」にそれぞれ相当する。 後者は、「記録媒体の両面に画像を印写する」から、「イエロー(Y)のインクを吐出するヘッド(6y)、マゼンタ(M)のインクを吐出するヘッド(6m)、シアン(C)のインクを吐出するヘッド(6c)及びブラック(K)のインクを吐出するヘッド(6b)」は、「媒体の表面又は裏面に画像オブジェクトを形成する」といえる。 後者においては「処理剤が、記録画像が裏面側から認識される程度を低減する材料を含有する」ところ、「記録画像が裏面側から認識される程度を低減する」ことは記録画像を遮蔽することにほかならないから、処理剤が付与された部分は「遮蔽層」といえる。後者は「記録媒体の両面に画像を印写する際、表面を印写する際に裏面に印写する画像部に対応した個所に処理剤を予め付与し、裏面を印写する際に表面の画像部に対応した個所に処理剤を付与する」から、遮蔽層は媒体の表面又は裏面で、画像部に対応した個所に形成される。そうすると、後者の「処理剤を吐出するヘッド(6u)」と前者の「前記媒体の表面又は裏面に、前記画像オブジェクトの下地として遮蔽層を形成する遮蔽層形成部」とは、「媒体の表面又は裏面に、画像オブジェクトの遮蔽層を形成する遮蔽層形成部」との概念で共通する。 後者においては「制御部は、記録ヘッドの各ヘッド(6u),(6y),(6m),(6c),(6b)のエネルギー発生手段を記録信号に応じて選択する選択信号を与えるドライバを備えて、各部に所要の信号を出力する」から、後者の「制御部」は、各色のインクを吐出するヘッド(6y)(6m)(6c)(6b)及び処理剤を吐出するヘッド(6u)の動作を制御するといえ、前者の「前記画像形成部及び遮蔽層形成部の動作を制御する制御部」に相当する。 したがって、両者は、 「媒体の表面又は裏面に画像オブジェクトを形成する画像形成部と、 前記媒体の表面又は裏面に、前記画像オブジェクトの遮蔽層を形成する遮蔽層形成部と、 前記画像形成部及び遮蔽層形成部の動作を制御する制御部とを有する画像形成装置。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 前者は遮蔽層を「画像オブジェクトの下地として」形成するのに対して、後者はそのようなものでない点。 [相違点2] 前者は「媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層が重なり合う範囲では、媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の少なくとも一方を前記範囲外に形成される遮蔽層より薄くする」のに対して、後者はそのようなものでない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点2について検討する。 引用発明2は、「前記文字領域に形成する前記白色トナー像の単位面積当たりの付着量を、前記写真領域に形成する前記白色トナー像の単位面積当たりの付着量よりも少なく」するものである。また、「写真領域に形成する白色トナー像の単位面積当たりの付着量を、転写材の不透明度、色味及び光沢度に応じて変更し」、「予め設定された写真画像領域を形成する白色トナー像のトナー層厚(露光量)に対して、不透明度測定手段によって不透明度が高いと測定されたときは前記の白色トナー像の層厚(露光量)を減らす方向への変更を行う演算処理を行い、白色度測定手段によって白色度が高いと測定されたときは前記の白色トナー像の層厚(露光量)を減らす方向への変更を行う演算処理を行い、また光沢度測定手段によって光沢度が高いと測定されたときは前記の白色トナー像の層厚(露光量)を減らす方向への変更を行う演算処理を行う」から、転写材の不透明度、色味又は光沢度が高いときに写真領域に形成する白色トナー像のトナー層厚を減らすものである。そして、引用発明2においては「「透き通しによる裏抜け」が特に問題となる写真領域に白色トナー像を形成して下地を改善」するのだから、その「白色トナー像」は本願発明1の「遮蔽層」に相当する。 そうすると、引用発明2は、文字領域に形成する遮蔽層の単位面積当たりの付着量を、写真領域に形成する遮蔽層の単位面積当たりの付着量よりも少なくするとともに、転写材の不透明度、色味又は光沢度が高いときに写真領域に形成する遮蔽層の層厚を減らすものであって、本願発明1のように、媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層が重なり合う範囲で遮蔽層を薄くするものではないから、引用発明2は、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものではない。 また、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。 そして、本願発明1は、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を具備することにより、本願明細書に記載の「本発明によれば、画像形成装置においては、媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層が重なり合う範囲では遮蔽層の少なくとも一方を削除又は薄くする。これにより、裏抜けの発生を確実に防止しつつ、遮蔽剤の消費量を抑制することができる。」(段落【0009】)という作用効果を奏するものである。 したがって、本願発明1は、当業者が引用発明1及び2に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 2.本願発明6について (1)対比 本願発明6と引用発明1とを対比する。 後者の「記録媒体」は、その構造、機能、作用等からみて、前者の「媒体」に相当し、同様に、「カラー画像(黒画像を含む)」は「有色の画像オブジェクト」に相当する。 後者は、「記録媒体の両面に画像を印写する」から、媒体の表面又は裏面に画像オブジェクトを形成するといえる。 後者においては「処理剤が、記録画像が裏面側から認識される程度を低減する材料を含有する」ところ、「記録画像が裏面側から認識される程度を低減する」ことは記録画像を遮蔽することにほかならない。そうすると、後者は「記録媒体の両面に画像を印写する際、表面を印写する際に裏面に印写する画像部に対応した個所に処理剤を予め付与し、裏面を印写する際に表面の画像部に対応した個所に処理剤を付与する」から、媒体の表面又は裏面に、画像オブジェクトに対応する遮蔽オブジェクトを形成するといえる。 後者においては、「記録データ」は「所要のタイミングで読み出されてPIOに印写信号として送出され、PIOからドライバに与えられて、ドライバからドライブ信号(選択信号)として記録ヘッドに送出する」ものであり、その際に「ドライバ」は「記録ヘッド(6)の各ヘッド(6u),(6y),(6m),(6c),(6b)のエネルギー発生手段を記録信号に応じて選択する選択信号を与える」のだから、後者の「記録データ」は各色のインクを吐出するヘッド(6y)(6m)(6c)(6b)及び処理剤を吐出するヘッド(6u)に関するものであって、前者の「画像データ」及び「遮蔽オブジェクトデータ」に相当する。 後者においては、記録データは制御部が備える「出力バッファに蓄積され」るから、制御部は画像データを処理するといえる。そして、後者の画像データを処理する制御部を備えるインクジェットプリンター装置は、前者の「画像データを処理する画像データ処理システム」に相当する。 後者においては、「記録データ」は「PIOに印写信号として送出され」るから、制御部は遮蔽オブジェクトデータを出力するとともに、そのための機構を備えるといえ、当該機構は前者の「遮蔽オブジェクトデータを出力する遮蔽オブジェクト処理部」に相当する。 したがって、両者は、 「媒体の表面又は裏面に有色の画像オブジェクトを形成するための画像データを処理する画像データ処理システムにおいて、 前記媒体の表面又は裏面に、前記画像オブジェクトに対応する遮蔽オブジェクトを形成するための遮蔽オブジェクトデータを出力する遮蔽オブジェクト処理部を有する画像データ処理システム。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点3] 前者の遮蔽オブジェクト処理部は「画像オブジェクトが媒体の表面及び裏面にともに位置する範囲又は遮蔽オブジェクトが媒体の表面及び裏面にともに位置する範囲では、媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の少なくとも一方を前記範囲外に形成される遮蔽層より薄くする」のに対して、後者においてはそのようなものでない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点3について検討する。 上記1.(2)のとおり、引用発明2は、文字領域に形成する遮蔽層の単位面積当たりの付着量を、写真領域に形成する遮蔽層の単位面積当たりの付着量よりも少なくするとともに、転写材の不透明度、色味又は光沢度が高いときに写真領域に形成する遮蔽層の層厚を減らすものであって、本願発明6のように、画像オブジェクトが媒体の表面及び裏面にともに位置する範囲又は遮蔽オブジェクトが媒体の表面及び裏面にともに位置する範囲では、媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の少なくとも一方を前記範囲外に形成される遮蔽層より薄くするものではないから、引用発明2は、上記相違点3に係る本願発明6の発明特定事項を備えるものではない。 また、上記相違点3に係る本願発明6の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。 そして、本願発明6は、上記相違点3に係る本願発明6の発明特定事項を具備することにより、本願明細書に記載の「本発明によれば、画像形成装置においては、媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層が重なり合う範囲では遮蔽層の少なくとも一方を削除又は薄くする。これにより、裏抜けの発生を確実に防止しつつ、遮蔽剤の消費量を抑制することができる。」(段落【0009】)という作用効果を奏するものである。 したがって、本願発明6は、当業者が引用発明1及び2に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 3.本願発明2ないし5及び7ないし11について 本願発明2ないし5は、本願発明1をさらに限定したものである。また、本願発明7は、本願発明1に対応する「画像形成方法」の発明であって、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であり、本願発明8ないし11は、本願発明7をさらに限定したものである。 そうすると、本補発明2ないし5及び7ないし11は、本補発明1と同様に、当業者が引用発明1及び2に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1ないし11は、当業者が引用発明1及び2に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-017684

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