特許拒絶査定不服審判
2016-015104
ハイダイナミックレンジ画像信号生成及び処理
- 審判番号
- 2016-015104
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-509860外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年10月07日
- 審決日
- 2017年10月10日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
- 【請求人代理人】笛田 秀仙
- 分類
- P18 .113-WY (G09G) / P18 .121-WY (G09G) / P18 .537-WY (G09G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-509860「ハイダイナミックレンジ画像信号生成及び処理」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月15日国際公開、WO2012/153224、平成26年 8月14日国内公表、特表2014-519620、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年4月27日(パリ条約による優先権主張、2011年5月10日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成27年4月20日付けで手続補正がなされ、平成28年2月19日付けで拒絶理由が通知され、平成28年5月25日付けで意見書が提出されたが、平成28年6月30日付けで拒絶査定がなされ、平成28年10月7日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされ、当審において、平成29年5月31日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成29年8月24日付けで手続補正がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成28年6月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由1 (新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項 1-20
・引用文献等 1-3
<引用文献等一覧>
1.特表2011-511545号公報 (周知技術を示す文献)
2.特表2008-519497号公報 (周知技術を示す文献)
3.特表2002-510177号公報 (周知技術を示す文献)
第3 当審拒絶理由の概要
理由1
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
特許請求の範囲の請求項1~3、6~19には、第1の色表現と第2の色表現とが異なり、MがNより大きいこと(なお、ビットワードの数は、色表現の一要素であると理解した。)が特定されていないから、課題解決のための手段が特定されていない。
よって、請求項1~3、6~19に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
理由2
本願の請求項15-19に係る発明は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
引用例1:国際公開2010/104624号(パテントファミリーとして、特表2012-520050号公報)
第4 本願発明
本願の請求項1-17に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明17」という。)は、平成29年8月24日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)で補正された特許請求の範囲の請求項1-17に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
画素ごとに少なくともルマを符号化して、画素がNビットワードに符号化される、画像信号を生成する装置において、前記装置は、
Mビットワードにおいて第1の色表現によるハイダイナミックレンジ画素値を得る受信器と、
第2の色表現によって前記Nビットワードにおいて前記画像信号に前記ハイダイナミックレンジ画素値を含める第1の生成器と、
ハイダイナミックレンジ画素値が符号化されるHDR符号化のタイプのインジケータを前記画像信号に含める第2の生成器と、
を有し、
前記第1の色表現が、前記第2の色表現とは異なり、MがNより大きい、装置。
【請求項2】
前記第1の色表現から前記第2の色表現に前記ハイダイナミックレンジ画素値を変換する変換ユニットを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記変換が、NビットワードへのMビットワードの圧縮を有する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記圧縮が、前記第2の色表現による画素値に対して、前記第1の色表現による画素値に対するものとは異なる量子化スキームを使用することを有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記インジケータが、前記第2の色表現のピークホワイトの指標を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記インジケータが、どれだけ正確にMビット表現におけるコード化可能な色の範囲に沿った全てのルマ又は色値が、Nビット信号のコード化可能範囲に沿って分配されるかに関する情報を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の色表現が、前記第1の色表現の各色成分に対して別々の色値を採用し、前記第2の色表現が、共通指数因子と一緒に前記第2の色表現の各色成分に対する色値のセットを採用する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記画像信号が、画素画像データに対するセグメントを有し、前記第1の生成器が、前記セグメント内にローダイナミックレンジ画素値又は第2の色表現による前記ハイダイナミックレンジ画素値を含めるように構成され、前記インジケータは、第1のセグメントがローダイナミックレンジ画素値を有するのか又はハイダイナミックレンジ画素値を有するのかを示す、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の生成器は、前記画像信号内に第2のインジケータを含め、前記第2のインジケータは、前記セグメントがローダイナミックレンジ画素値を有する場合及び前記セグメントがハイダイナミックレンジ画素値を有する場合の両方に、前記セグメントがローダイナミックレンジ画素値を符号化していると記述する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の生成器が、HDMI(登録商標)規格に従ってディープカラーデータセグメント内に前記ハイダイナミックレンジ画素値を含める、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第2の生成器が、補助ビデオ情報インフォフレーム内に前記インジケータを含める、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
画素ごとに少なくともルマを符号化して、画素がNビットワードに符号化される、画像信号を生成する方法において、
Mビットワードにおいて第1の色表現によるハイダイナミックレンジ画素値を得るステップと、
第2の色表現によって前記Nビットワードにおいて前記画像信号内に前記ハイダイナミックレンジ画素値を含めるステップと、
ハイダイナミックレンジ画素値が符号化されるHDR符号化のタイプのインジケータを前記画像信号内に含めるステップと、
を有し、
前記第1の色表現が、前記第2の色表現とは異なり、MがNより大きい、方法。
【請求項13】
請求項1記載の装置によって生成された前記画像信号を処理する装置において、
前記画像信号を受信する受信器であって、前記画像信号のデータセグメントが、第1の色表現によるNビットワードのハイダイナミックレンジ画素値を有し、前記受信器は、前記画像信号に含まれている、前記ハイダイナミックレンジ画素値が符号化されるHDR符号化のタイプを示すインジケータを受信する、当該受信器と、
前記データセグメントのデータを抽出する抽出器と、
前記インジケータの値に依存して前記データセグメントのデータをハイダイナミックレンジ画素値として処理するプロセッサと、
を有する、装置。
【請求項14】
前記プロセッサが、前記インジケータにより示される前記Nビットワードにおいて使用されるコーディングに依存して、レンダリング可能な出力信号を表示するように前記Nビットワードをマッピングするように処理を適応させる、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記プロセッサが、ディスプレイと関連付けられた第2の輝度範囲に対して、前記Nビットワードと関連付けられた第1の輝度範囲に沿ったグレイ値のマッピングを実施する色変換を適用し、前記色変換が、前記ピークホワイト、又は前記Nビットワードを用いてコード化可能な最大輝度のシーン輝度レベルを特徴づけるホワイトレベル指標に依存する、
請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記画像信号が、HDMI(登録商標)規格により、前記装置が、HDMI(登録商標)ベンダ固有データブロック内のハイダイナミックレンジ画素値を処理する能力の指標を伝送する手段を有する、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
請求項12記載の方法によって生成された前記画像信号を処理する方法において、
前記画像信号を受信するステップであって、前記画像信号のデータセグメントが、第1の色表現によるNビットワードのハイダイナミックレンジ画素値を有する、当該受信するステップと、
前記画像信号に含まれている、ハイダイナミックレンジ画素値が符号化されるHDR符号化のタイプを示すインジケータを受信するステップと、
前記インジケータの値に依存して前記データセグメントのデータをハイダイナミックレンジ画素値として処理するステップと、
を有する、方法。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用例1について
当審における、平成29年5月31日付けの拒絶理由で引用された引用例1(国際公開2010/104624号)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。また、翻訳における段落番号は、パテントファミリーである、特表2012-520050号公報に記載された段落番号である。)。
ア 「[0010] As used herein, the terms extended dynamic range and HDR are used essentially interchangeably, for example for discussion or illustration related purposes. As used herein, the terms extended dimensionality and 3D video, and the terms related to extended dynamic range may, unless expressly stated to the contrary, be used essentially interchangeably for example for discussion or illustration related purposes, and not by way of limitation.
[0011] Display monitors and display screens may communicatively couple and exchange signals over an audiovisual (AV) interface with sources of HDR media content, e.g., receive video signals therefrom to be rendered and control signals, and return control related performance data. Such sources include Blu-ray Disc (TM) players or a network interface coupled to a network over which video information is communicated.」(当審訳:
【0010】
本稿での用法では、拡張ダイナミックレンジおよびHDRの用語は、たとえば議論や例解に関係する目的のために、本質的には交換可能に使われる。本稿での用法では、拡張次元および3Dビデオの用語ならびに拡張ダイナミックレンジに関係した用語は、そうでないことがはっきり述べられているのでない限り、限定ではなくたとえば議論や例解に関係する目的のために、本質的には交換可能的に使用されてもよい。
【0011】
ディスプレイ・モニタおよびディスプレイ画面は、HDRメディア・コンテンツのソースと、オーディオビジュアル(AV)インターフェースを通じて通信上結合し、信号を交換してもよい。たとえば、該ソースからレンダリングされるべきビデオ信号および制御信号を受信して、制御関係のパフォーマンス・データを返してもよい。そのようなソースはブルーレイ・ディスク(商標)プレーヤーまたはビデオ情報が通信されるネットワークに結合されたネットワーク・インターフェースを含む。)
イ 「[0058] Upon receipt at a display that has a capability of rendering extended dynamic range material via the legacy media interface, the video signal data is decodable to effectively render the extended range video material on the extended dynamic range capable display. Moreover, upon receipt via the legacy media interface at a display that lacks a capability of rendering extended dynamic range material, the video signal data is decodable to visibly render the video content at a display referred dynamic range, which may be narrower than the extended dynamic range. The extended dynamic range may include high dynamic range, visual dynamic range, wide color gamut, visual color gamut, and/or three dimensional video content. The legacy media interface may include High Definition Multimedia Interface (HDMI), Digital Visual Interface (DVI) Serial Digital Interface (SDI), and/or DisplayPort interfaces, among others.」(当審訳:
【0039】
レガシー・メディア・インターフェースを介して拡張されたダイナミックレンジ素材をレンダリングする機能をもつディスプレイにおいて受領されると、ビデオ信号データは、拡張ダイナミックレンジ対応ディスプレイ上で拡張レンジのビデオ素材を効果的にレンダリングするよう、デコードされることができる。さらに、拡張ダイナミックレンジ素材をレンダリングする機能を欠くディスプレイにおいてレガシー・メディア・インターフェースを介して受領された際には、ビデオ信号データは、拡張ダイナミックレンジよりは狭いかもしれない、ディスプレイによって参照されるダイナミックレンジでそのビデオ・コンテンツを可視的にレンダリングするよう、デコードされることができる。拡張ダイナミックレンジは高ダイナミックレンジ(high dynamic range)、視覚ダイナミックレンジ(visual dynamic range)、広い色範囲(wide color gamut)、視覚色範囲(visual color gamut)および/または三次元ビデオ・コンテンツを含んでもよい。レガシー・メディア・インターフェースは、なかでも、高精細度マルチメディア・インターフェース(HDMI)、デジタル・ビジュアル・インターフェース(DVI)、シリアル・デジタル・インターフェース(SDI)または「ディスプレイ・ポート」インターフェースを含んでいてもよい。)
ウ [0059] An embodiment thus effectively reduces the data demand that is associated with an HDR video signal. A luma-related component, e.g., luminance of the HDR signal is encoded in a logarithmic format. A full resolution chroma-related component, e.g., chrominance of the HDR signal is packaged in a 4:2:2 container format. The 4:2:2 packaged chroma-related components may be mapped to a 4:4:4 display format. Significantly, an embodiment maps the packaged chroma-related component to the 4:4:4 display format independent of metadata, which may relate to the HDR signal. The HDR signal is thus transportable over a legacy media interface, such as HDMI, DVI, SDI or DisplayPort. Embodiments may function without requiring additional information encoding and packaging within the legacy signal.
[0060] For example, an embodiment effectively transmits HDR over HDMI and other legacy interfaces without requiring any particular metadata, associated with the HDMI interface medium, to achieve the transmission. Metadata that may be associated with HDMI and other legacy interfaces may exist outside of a primary video stream associated therewith, and may thus be somewhat vulnerable to loss or corruption in real world system chains, networks and applications.
【0040】
ある実施形態は、このように、HDRビデオ信号に関連付けられているデータ需要を効果的に軽減する。HDR信号のルーマ関係成分、たとえばルミナンスは対数フォーマットでエンコードされる。HDR信号のフル分解能のクロマ関係成分、たとえばクロミナンスは4:2:2のコンテナ・フォーマットにパッケージングされる。4:2:2でパッケージングされたクロマ関係成分は4:4:4のディスプレイ・フォーマットにマッピングされてもよい。著しいことに、ある実施形態は、HDR信号に関係しうるメタデータとは独立に、パッケージングされたクロマ関係成分を4:4:4のディスプレイ・フォーマットにマッピングする。こうして、HDR信号は、HDMI、DVI、SDIまたはディスプレイ・ポートといったレガシー・メディア・インターフェースを通じて転送可能となる。諸実施形態は、レガシー信号内に、追加的な情報エンコードおよびパッケージングを必要とすることなく、機能しうる。
【0041】
たとえば、ある実施形態は、HDMIおよび他のレガシー・インターフェースを通じてHDRを効果的に送信することを、該送信を達成するためにHDMIインターフェース媒体に関連付けられたいかなる特定のメタデータも必要とすることなく行う。HDMIおよび他のレガシー・インターフェースに関連付けられていてもよいメタデータが、それに関連付けられた主要ビデオ・ストリームの外側に存在してもよく、こうして、実世界におけるシステム・チェーン、ネットワークおよびアプリケーションにおける損失や破壊を若干受けやすくなることがありうる。」
エ 「[00142] Some embodiments may thus function with data relating to a brightness component of a video signal represented over a logarithmic scale and with data relating to at least two color components each represented on a separate linear scale. It should be appreciated that alternative or additional embodiments may function with the data relating to the brightness component encoded represented over other than a logarithmic scale. For example, the brightness component may be represented in some embodiments with a power related transfer function, e.g., with F raised to some fractional power. Also for example, the brightness component may be represented by values from a lookup table of perceptually modeled brightness values. The perceptually based lookup table may be computed or compiled from data derived experimentally in relation to the HVS. Moreover, some embodiments may, alternatively or additionally, function with the data relating to one or more of the color components represented over other than a linear scale. For example one or more of the color components may be represented in some embodiments with a power related transfer function or a perceptually based lookup table of color values.」(当審訳:
【0110】
このように、いくつかの実施形態は、対数スケール上で表されたビデオ信号のブライトネス成分に関係するデータおよび別個の線形スケール上でそれぞれ表現された少なくとも二つの色成分に関係するデータをもって機能しうる。代替的または追加的な実施形態は、対数スケール以外でエンコード・表現されたブライトネス成分に関係するデータをもって機能してもよい。たとえば、ブライトネス成分は、いくつかの実施形態では、冪関係の伝達関数を用いて表現されてもよい。たとえば、Yを何らかの端数乗したものである。また、たとえば、ブライトネス成分は、知覚的にモデル化されたブライトネス値の探索表(ルックアップテーブル)からの値によって表現されてもよい。知覚ベースの探索表は、HVSとの関連で実験的に導出されたデータから計算またはコンパイルされてもよい。さらに、いくつかの実施形態は、代替的または追加的に、線形スケール以外で表現された色成分の一つまたは複数の関係するデータをもって機能してもよい。たとえば、色成分の一つまたは複数は、いくつかの実施形態では、冪関係の伝達関数または知覚ベースの色値の探索表を用いて表現されてもよい。」
オ 「[00146] Embodiments of the present invention relate to methods for delivery of extended dynamic range and related signals via legacy video interfaces. Embodiments may relate to systems, apparatus such as encoders, computers and computer monitors, television receivers, displays, player devices and the like, computer readable storage media, software encoded thereon, and integrated circuit (IC) devices. The IC devices may include application specific ICs and programmable logic devices (PLDs) such as microcontrollers and field programmable gate arrays (FPGAs) or dedicated digital signal processing device (DSP device) ICs.
[00147] Thus, embodiments transport extended dynamic range video such as VDR and similar data, e.g., 32 to 36-bit data over 24 bit legacy interfaces. The higher bit depth VDR and other extended dynamic range signals are encoded in compatibility with the operating modes of HDMI and other legacy interfaces. Embodiments achieve this compatibility independent of any particular metadata requirement. Embodiments encode and package video signals to tolerate some compression techniques, such as may relate to transmission of HDMI or similar data over a wireless link. Embodiments allow robust operation with legacy devices, which lack inherent VDR capabilities.」(当審訳:
【0114】
本発明の諸実施形態は、拡張ダイナミックレンジおよび関係した信号の、レガシー・ビデオ・インターフェースを介した送達のための方法に関係する。諸実施形態は、システム、エンコーダのような装置、コンピュータおよびコンピュータ・モニタ、テレビ受信器、ディスプレイ、プレーヤー装置など、コンピュータ可読記憶媒体、その上にエンコードされたソフトウェアおよび集積回路(IC)デバイスに関係しうる。ICデバイスは、特定用途向けICおよびマイクロコントローラおよびフィールド・プログラム可能ゲート・アレイ(FPGA)のようなプログラム可能論理デバイス(PLD)または専用のデジタル信号処理デバイス(DSPデバイス)ICを含みうる。
【0115】
このように、諸実施形態は、VDRおよび同様のデータ、たとえば32ないし36ビットのデータのような拡張ダイナミックレンジ・ビデオを、24ビットのレガシー・インターフェースを通じて転送する。より高いビット深さのVDRおよび他の拡張ダイナミックレンジ信号は、HDMIおよび他のレガシー・インターフェースの動作モードと互換にエンコードされる。諸実施形態は、この互換性を、いかなる特定のメタデータ要求とも独立に実現する。諸実施形態は、HDMIまたは同様のデータの無線リンクを通じた送信に関係しうるようないくつかの圧縮技法を許容するよう、ビデオ信号をエンコードおよびパッケージする。諸実施形態は、本来的なVDR機能を欠くレガシー・デバイスとの堅牢な動作を許容する。)
引用例1の当審による翻訳文における段落【0010】(以下、同様に、段落番号としては、翻訳文における段落番号を用いる。)に「本稿での用法では、拡張ダイナミックレンジおよびHDRの用語は、たとえば議論や例解に関係する目的のために、本質的には交換可能に使われる。」と記載され、また、段落【0039】に「拡張ダイナミックレンジは高ダイナミックレンジ(high dynamic range)・・・を含んでもよい。」と記載されていることから、引用例1における「拡張ダイナミックレンジ」を、「拡張ダイナミックレンジ(HDR)」と読み替えると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「拡張ダイナミックレンジ(HDR)および関係した信号の、レガシー・ビデオ・インターフェースを介した送達のための方法(段落【0114】より)であって、
拡張ダイナミックレンジ(HDR)信号は、HDMIおよび他のレガシー・インターフェースの動作モードと互換にエンコードされ、32ないし36ビットのデータのような拡張ダイナミックレンジ(HDR)・ビデオを、24ビットのレガシー・インターフェースを通じて転送し、この互換性を、いかなる特定のメタデータ要求とも独立に実現し(段落【0115】より)、
レガシー・メディア・インターフェースを介して拡張されたダイナミックレンジ(HDR)素材をレンダリングする機能をもつディスプレイにおいて受領されると、ビデオ信号データは、拡張ダイナミックレンジ(HDR)対応ディスプレイ上で拡張レンジのビデオ素材を効果的にレンダリングするよう、デコードされることができ(段落【0039】より)、
HDR信号のルーマ関係成分、たとえばルミナンスは対数フォーマットでエンコードされ(【0040】)、
代替的または追加的な実施形態は、対数スケール以外でエンコード・表現されたブライトネス成分に関係するデータをもって機能してもよく、ブライトネス成分は、冪関係の伝達関数を用いて表現されてもよく、また、ブライトネス成分は、知覚的にモデル化されたブライトネス値の探索表(ルックアップテーブル)からの値によって表現されてもよく(段落【0110】より)、
HDMIおよび他のレガシー・インターフェースを通じてHDRを効果的に送信することを、該送信を達成するためにHDMIインターフェース媒体に関連付けられたいかなる特定のメタデータも必要とすることなく行ない、HDMIおよび他のレガシー・インターフェースに関連付けられていてもよいメタデータが、それに関連付けられた主要ビデオ・ストリームの外側に存在してもよい(段落【0041】より)、
方法。」
第6 対比・判断
当審拒絶理由の理由2(進歩性)の対象とされた請求項15-19に係る発明は、本件補正後の請求項13-17に係る発明に対応するので、まず、本願発明17について、進歩性の有無を判断する。
(1)本願発明17について
本件補正後の請求項17の記載を再掲すれば、次のとおりである。
「請求項12記載の方法によって生成された前記画像信号を処理する方法において、
前記画像信号を受信するステップであって、前記画像信号のデータセグメントが、第1の色表現によるNビットワードのハイダイナミックレンジ画素値を有する、当該受信するステップと、
前記画像信号に含まれている、ハイダイナミックレンジ画素値が符号化されるHDR符号化のタイプを示すインジケータを受信するステップと、
前記インジケータの値に依存して前記データセグメントのデータをハイダイナミックレンジ画素値として処理するステップと、
を有する、方法。」
また、上記請求項17で引用された「請求項12記載の方法」は、本件補正後の請求項12に記載された、次のとおりのものである。
「画素ごとに少なくともルマを符号化して、画素がNビットワードに符号化される、画像信号を生成する方法において、
Mビットワードにおいて第1の色表現によるハイダイナミックレンジ画素値を得るステップと、
第2の色表現によって前記Nビットワードにおいて前記画像信号内に前記ハイダイナミックレンジ画素値を含めるステップと、
ハイダイナミックレンジ画素値が符号化されるHDR符号化のタイプのインジケータを前記画像信号内に含めるステップと、
を有し、
前記第1の色表現が、前記第2の色表現とは異なり、MがNより大きい、方法。」
ア 本願発明12と引用発明との対比
本願の請求項17は、「請求項12記載の方法」を引用して記載されているので、まず、本願発明12と引用発明とを対比する。
引用発明における「レガシー・インターフェース」の「24ビット」が、本願発明12における「Nビットワード」に相当する。
次に、引用発明における「ルーマ関係成分、たとえばルミナンス」を「エンコード」した「拡張ダイナミックレンジ(HDR)・ビデオを、24ビットのレガシー・インターフェースを通じて転送」できるようにすることが、本願発明12における「画素ごとに少なくともルマを符号化して、画素がNビットワードに符号化される、画像信号を生成す」ることに相当する。
次に、引用発明における「データ拡張ダイナミックレンジ(HDR)・ビデオ」の「32ないし36ビット」が本願発明12における「Mビットワード」に相当する。
次に、引用発明における「32ないし36ビットのデータのような拡張ダイナミックレンジ(HDR)・ビデオ」を得ることが、本願発明12における「Mビットワードにおいて第1の色表現によるハイダイナミックレンジ画素値を得るステップ」に相当する。
次に、引用発明において、「32ないし36ビットのデータのような拡張ダイナミックレンジ(HDR)・ビデオを、24ビットのレガシー・インターフェースを通じて転送」できるよう、「ルーマ関係成分、たとえばルミナンス」が、「対数フォーマットでエンコードされ、代替的または追加的な実施形態は、対数スケール以外でエンコード・表現されたブライトネス成分に関係するデータをもって機能してもよく、ブライトネス成分は、冪関係の伝達関数を用いて表現されてもよく、また、ブライトネス成分は、知覚的にモデル化されたブライトネス値の探索表(ルックアップテーブル)からの値によって表現されてもよい」(以下、「対数フォーマット等でエンコードされる」という。)ステップが、本願発明12における「第2の色表現によって前記Nビットワードにおいて前記画像信号内に前記ハイダイナミックレンジ画素値を含めるステップ」に相当する。
次に、引用発明において、「32ないし36ビット」が「24ビット」より大きいことが、本願発明12における「MがNより大きい」ことに相当する。
すると、本願発明12と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「画素ごとに少なくともルマを符号化して、画素がNビットワードに符号化される、画像信号を生成する方法において、
Mビットワードにおいて第1の色表現によるハイダイナミックレンジ画素値を得るステップと、
第2の色表現によって前記Nビットワードにおいて前記画像信号内に前記ハイダイナミックレンジ画素値を含めるステップと、
を有し、
MがNより大きい、方法。」
(相違点1)
本願発明12では、「ハイダイナミックレンジ画素値が符号化されるHDR符号化のタイプのインジケータを前記画像信号内に含めるステップ」を有しているのに対し、引用発明では、「拡張ダイナミックレンジ(HDR)信号」を「HDMIおよび他のレガシー・インターフェースの動作モードと互換にエンコード」するに際し、「この互換性を、いかなる特定のメタデータ要求とも独立に実現し」ている点。
イ 本願発明17と引用発明との対比
次に、上記「ア」以外の点について、本願発明17と引用発明とを対比する。
引用発明において「レガシー・メディア・インターフェースを介して」「受領され」る「24ビット」の信号は、対数フォーマット等でエンコードされた「拡張ダイナミックレンジ(HDR)信号」であるから、引用発明において、該信号をディスプレイにおいて受領することが、本願発明17でいう「前記画像信号を受信するステップであって、前記画像信号のデータセグメントが、第1の色表現によるNビットワードのハイダイナミックレンジ画素値を有する、当該受信するステップ」に相当する。
次に、引用発明において「ビデオ信号データは、拡張ダイナミックレンジ(HDR)対応ディスプレイ上で拡張レンジのビデオ素材を効果的にレンダリングするよう、デコードされる」ことと、本願発明17における「前記インジケータの値に依存して前記データセグメントのデータをハイダイナミックレンジ画素値として処理するステップ」とは、「前記データセグメントのデータをハイダイナミックレンジ画素値として処理するステップ」の点で共通する。
次に、引用発明における「特定のメタデータ」は、「該送信を達成するためにHDMIインターフェース媒体に関連付けられた」データであるから、「レガシー・メディア・インターフェースを介して拡張されたダイナミックレンジ(HDR)素材」を「デコード」する際に用いられるデータであることは明らかである。よって、引用発明において「特定のメタデータ」を用いて「レガシー・メディア・インターフェースを介して拡張されたダイナミックレンジ(HDR)素材」を「デコード」することが、次の相違点2は除いて、本願発明17における「インジケータの値に依存して前記データセグメントのデータをハイダイナミックレンジ画素値として処理する」ことに相当するといえる。
よって、上記「ア」を踏まえると、本願発明17と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「画素ごとに少なくともルマを符号化して、画素がNビットワードに符号化される、画像信号を生成する方法において、Mビットワードにおいて第1の色表現によるハイダイナミックレンジ画素値を得るステップと、第2の色表現によって前記Nビットワードにおいて前記画像信号内に前記ハイダイナミックレンジ画素値を含めるステップと、を有し、MがNより大きい、方法によって生成された前記画像信号を処理する方法において、
前記画像信号を受信するステップであって、前記画像信号のデータセグメントが、第1の色表現によるNビットワードのハイダイナミックレンジ画素値を有する、当該受信するステップと、
インジケータの値に依存して前記データセグメントのデータをハイダイナミックレンジ画素値として処理するステップと、
を有する、方法。」
(相違点1)
本願発明17では、「請求項12記載の方法」における「ハイダイナミックレンジ画素値が符号化されるHDR符号化のタイプのインジケータを前記画像信号内に含めるステップ」を有しているのに対し、引用発明では、「拡張ダイナミックレンジ(HDR)信号」を「HDMIおよび他のレガシー・インターフェースの動作モードと互換にエンコード」するに際し、「この互換性を、いかなる特定のメタデータ要求とも独立に実現し」ている点。
(相違点2)
本願発明17では、「前記画像信号に含まれている、ハイダイナミックレンジ画素値が符号化されるHDR符号化のタイプを示すインジケータを受信するステップ」を有しているのに対し、引用発明では、「HDMIおよび他のレガシー・インターフェースを通じてHDRを効果的に送信する」際、「いかなる特定のメタデータも必要とすることなく行な」っている点。
ウ 判断
上記相違点1及び相違点2について検討すると、引用発明における「特定のメタデータ」は、上記「イ」で述べたとおり、「レガシー・メディア・インターフェースを介して拡張されたダイナミックレンジ(HDR)素材」を「デコード」する際に用いられるデータであることは明らかであるものの、引用発明において、かかる「特定のメタデータ」を、「レガシー・ビデオ・インターフェースを介し」て「送達」したのでは、「この互換性を、いかなる特定のメタデータ要求とも独立に実現」するという引用発明の目的に反することとなる。
よって、引用発明において、上記相違点1及び相違点2に係る本願発明17の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
従って、本願発明17は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本願発明13-16について
本願の請求項13が引用する「請求項1記載の装置」は、「ハイダイナミックレンジ画素値が符号化されるHDR符号化のタイプのインジケータを前記画像信号に含める第2の生成器」を有するものである。また、本願発明13は、「前記受信器は、前記画像信号に含まれている、前記ハイダイナミックレンジ画素値が符号化されるHDR符号化のタイプを示すインジケータを受信する」構成を有している。
よって、本願発明13は、上記相違点1及び相違点2に係る本願発明17の構成と同様の構成を有するものであるから、本願発明13は、上記上記「(1)」「ウ」にて述べたのと同様の理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本願発明14-16も、上記相違点1及び相違点2に係る本願発明17の構成と同様の構成を有するものであるから、同様に、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第7 当審拒絶理由について
(1)当審拒絶理由における理由1について
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1、12に、「前記第1の色表現が、前記第2の色表現とは異なり、MがNより大きい」ことが特定された結果、理由1は解消している。
(2)当審拒絶理由における理由2について
本件補正により、本願発明13-17は、「ハイダイナミックレンジ画素値が符号化されるHDR符号化のタイプのインジケータを前記画像信号に含める」という技術的事項、及び「前記画像信号に含まれている、前記ハイダイナミックレンジ画素値が符号化されるHDR符号化のタイプを示すインジケータを受信する」という技術的事項を有するものとなったから、上記「第6 対比・判断」で述べたとおり、理由2は解消している。
第8 原査定についての判断
本件補正により、本願発明1-17は、「ハイダイナミックレンジ画素値が符号化されるHDR符号化のタイプのインジケータ」を画像信号に含めるという技術的事項、及び「前記第1の色表現が、前記第2の色表現とは異なり、MがNより大きい」という技術的事項を有するものとないった、
本願発明1-17における上記技術的事項は、原査定における引用文献1-3に記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1-17は、原査定における引用文献1-3に記載された発明ではなく、また、当業者であっても、原査定における引用文献1-3に基づいて容易に発明をすることができたものでもない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に、本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-015104