審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2016-014228

費用予測装置およびプログラム

審判番号
2016-014228
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-071564外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年09月23日
審決日
2017年11月08日
公報発行日
2017年12月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06Q) / P18 .537-WY (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015- 71564「費用予測装置およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月10日出願公開、特開2016-192064、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,平成27年3月31日の出願であって,平成28年4月15日付けで拒絶理由通知がされ,平成28年6月13日付けで手続補正がされ,平成28年7月8日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,平成28年9月23日に拒絶査定不服審判の請求がされ,平成29年7月25日付けで拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知」という。)がされ,平成29年9月25日付けで手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年7月8日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-7に係る発明は,以下の引用文献A-Cに基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 A.特開平2-270062号公報 B.特開2008-47075号公報 C.特開2008-65558号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 [理由1] この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 (1)請求項1には,「前記電気料金予測機能および前記故障対応費用予測機能は,複数の機器を有する施設を単位として実行可能であり」と記載されているが,当該記載における「実行可能であり」との記載は,単に達成される結果を記載しているだけであって,当該結果を達成するためにどのような具体的構成が用いられるのかが何ら特定されていないため,請求項1において,「前記電気料金予測機能および前記故障対応費用予測機能」が「複数の機器を有する施設を単位として実行可能であ」るようにすることが,どのような具体的構成によって実現されるのかが不明確である。 (2)請求項3には,「前記電気料金予測機能および前記故障対応費用予測機能は,複数の機器を有する施設を単位として実行可能であり」と記載されているが,当該記載における「実行可能であり」との記載は,単に達成される結果を記載しているだけであって,当該結果を達成するためにどのような具体的構成が用いられるのかが何ら特定されていないため,請求項3において,「前記電気料金予測機能および前記故障対応費用予測機能」が「複数の機器を有する施設を単位として実行可能であ」るようにすることが,どのような具体的構成によって実現されるのかが不明確である。 (3)請求項6には,「前記故障対応費用予測機能は,施設ごとに異なる基準を用いて実行可能である」と記載されているが,当該記載における「施設ごとに異なる基準」とは,故障対応費用予測機能が用いるどのような「基準」のことを指しているのかが不明である。 また,そもそも,請求項6が引用する請求項1-5において,故障対応費用予測機能が何らかの「基準」を用いることは特定されておらず,請求項6に記載の「異なる基準」とは,いかなる構成を特定したものであるのかが不明である。 (4)請求項1には,「前記電気料金予測機能は,機器の経過年数と,その機器の消費電力量の実績値とに基づいて,その機器の電気料金を,複数の期間のそれぞれについて予測する機能を含む」と記載されているが,この記載における,「機器の経過年数」とは,いかなる「年数」を指しているのかが不明である。 また,当該「機器の経過年数」が電気料金を予測する際に,具体的にどのように利用されているのかが何ら特定されていないため,「機器の経過年数と,その機器の消費電力量の実績値とに基づいて,その機器の電気料金を,・・・予測する」との記載がどのような予測手法を特定しているのかが不明である。 [理由2] 本願請求項1-7に係る発明は,以下の引用文献1-3に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開平2-270062号公報(拒絶査定時の引用文献A) 2.特開2008-47075号公報(拒絶査定時の引用文献B) 3.特開2008-65558号公報(拒絶査定時の引用文献C) 第4 本願発明 本願請求項1-7に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は,平成29年9月25日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1-7は以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 機器に関する情報に基づき費用を予測する,費用予測装置であって, 将来の電気料金を予測する,電気料金予測機能と, 将来の故障対応費用を予測する,故障対応費用予測機能と を備え, 前記費用予測装置において,前記電気料金予測機能および前記故障対応費用予測機能は,複数の機器を有する施設を単位として実行され, 前記電気料金予測機能は,定期的に取得される機器の消費電力量の実績値を分析して得られた経年依存性と,その機器の購入年または生産年からの経過年数とに基づいて,前記機器の消費電力量を予測し,予測した消費電力量に基づいて,その機器の電気料金を,複数の期間のそれぞれについて予測する機能を含む,費用予測装置。 【請求項2】 前記電気料金予測機能は,前記経年依存性を考慮した前記消費電力量を, 経年劣化の影響による消費電力量増加分を除去した消費電力量と, 前記経年劣化の影響による消費電力量増加分と を含む,消費電力予測式により算出し, 前記消費電力量増加分は,前記経年依存性に基づいて求められる ことを特徴とする,請求項1に記載の費用予測装置。 【請求項3】 前記故障対応費用予測機能は,機器の経過年数と,その機器の故障に関する記録とに基づいて,その機器の前記故障対応費用を,複数の期間のそれぞれについて予測する機能を含む,請求項1または2に記載の費用予測装置。 【請求項4】 前記電気料金予測機能または故障対応費用予測機能は,少なくとも1つの施設について,少なくとも1つの機器を別の機器に置き換えた場合の,当該別の機器についての前記電気料金または前記故障対応費用を計算する置換後費用計算機能を含む,請求項1~3のいずれか一項に記載の費用予測装置。 【請求項5】 前記置換後費用計算機能は, 第1の時期に機器を置き換えた場合の,第1の置換後費用を計算する機能と, 第2の時期に機器を置き換えた場合の,第2の置換後費用を計算する機能と, を含み, 前記費用予測装置は,さらに,前記第1の置換後費用および前記第2の置換後費用に基づいて,前記第1の時期および前記第2の時期のうち,いずれの時期に置き換えた場合に,前記将来の電気料金がより小さくなるか,または,前記将来の故障対応費用がより小さくなるか,または,前記将来の電気料金と前記将来の故障対応費用との合計がより小さくなるかを決定する,時期決定機能を備える, 請求項4に記載の費用予測装置。 【請求項6】 前記故障対応費用予測機能は,施設ごとに設定する変数または定数により修理費用,買い替え費用またはその両方を算出することを特徴とする,請求項1~5のいずれか一項に記載の費用予測装置。 【請求項7】 コンピュータを,請求項1~6のいずれか一項に記載の費用予測装置として機能させるためのプログラム。」 第5 引用文献,引用発明等 1.引用文献1について 平成29年7月25日付けの拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。 A 「〔従来の技術〕 高層ビル,集合住宅,病院,工場などの施設においては,各種の設備が設置されている。例えば,その設備として空調設備,エレベータ設備,照明設備,防災/防犯設備,医療設備,熱源プラント設備,搬送設備などが挙げられ,これら設備は設備機器としての各種機器,各種制御装置,各種センサなどを擁している。例えば,空調設備にあっては,圧縮機やポンプ,ファンコイルユニットなどの設備機器を多数備えている。 これらの設備において,故障や異常が生じた場合,その設備機器の修理や交換などが適宜行われるが,修理や交換などを完了するまでの間は施設の機能の一部が停止してしまう。 このため,通常,メンテナンス計画を立て,このメンテナンス計画に基づいて,定期的に設備の点検を行っている。このメンテナンス計画は,各種設備毎に過去の経験から推測される周期や製造メーカが推奨する周期を用いて立てられ,設備の寿命が近づけば一般的にその周期を短くする。すなわち,設備において寿命が近づきその構成設備機器の劣化や消耗が進めば,点検費用が嵩む一方故障頻度も増大しメンテナンス員も増員しなければならず,設備の稼働能力を維持していくうえでのランニングコストの上昇が避けられなくなる。この場合,設備のランニングコストとは,エネルギ費と運用費とを合わせたものを言い,運用費には定期点検費用やメンテナンス要員を確保しておくうえでの人件費,修理・交換に要する諸費用などが含まれる。 このような設備のランニングコストの上昇に対して,所謂オーナは,その保有設備の更新時期をいつにするか評価・判断する必要に迫られる。 (途中省略) 〔実施例〕 以下,本発明に係る設備更新時期評価アドバイス装置を詳細に説明する。第2図はこの設備更新時期評価アドバイス装置の一実施例を含むビルディング監視制御システムを示す図である。 このシステムは,ビルの環境,衛生,防災などの諸設備を監視したり制御したりするものであり,それらの設備機器10を総合的に管理する中央制御装置1と,ビル内に配置された複数の設備機器10を設備毎の群として各々の設備7-1~7-n毎に制御するように接続した複数の分散制御装置2-1~2-nとを備えている。ここで,分散制御装置2-1は例えば空調設備7-1を制御するものとして接続されており,空調設備7-1はその設備機器10として圧縮機やポンプ,ファンコイルユニットなどから構成されている。 中央制御装置1は操作用のキーボード3,画面表示用のCRT4および表示内容をプリント出力するためのプリンタ5を備え,キーボード3,CRT4およびプリンタ5は中央監視室のほかオーナの部屋にも分散して配置されている。この中央制御装置1は,管理データの加工,蓄積およびシステム共用データの管理,分配を行うと共に,分散制御装置2-1~2-nにまたがる制御や系統処理を司る。また,本願発明に係る設備更新時期評価アドバイス装置としての機能をも備えている。 一方,分散制御装置2-1~2-nは設備7-1~7-n毎の警報検出,停復電制御,各種省エネルギ制御などを行う。また,分散制御装置2-1~2-nに接続された設備機器10には,機器の故障を検出する故障検出器11が設けられている。すなわち,故障検出器11にて検出された設備機器10毎の故障データが,分散制御装置2-1~2-nを介し伝送路6を経由して中央制御装置1へ与えられるものとなっている。なお,故障検出器11は必ずしも設備機器10毎に設けなくともよく,対応する設備機器10毎の故障データを,メンテナンス員が中央監視室に配されたキーボード3を介して,マニュアルにて中央制御装置1へ供与するものとしてもよい。また,故障検出器11を介する故障データの供与とキーボード3を介する故障データの供与とを併用するものとしてもよい。 第3図は中央制御装置1による設備更新時期評価アドバイス動作を示すフローチャートである。 すなわち,中央制御装置lには,故障検出器11にて検出される設備機器10毎の故障データが,分散制御装置2-1~2-nを介し伝送路6を経由して入力される(ステップ201)。中央制御装置lは,この入力される故障データから設備7-1~7-n毎の故障発生回数を調べる(ステップ202)。そして,設備7-1~7-n毎にその調べた故障発生回数が予め定められた回数N以上か否かを判断し(ステップ203),N以下であれば極値分布による故障間隔を設備7-1~7-n毎に計算する(ステップ204)。また,N以上であればワイブル分布による故障間隔を設備7-1~7-n毎に計算する(ステップ205)。本実施例においては,このステップ204および205にて平均故障間隔MTBF(Mean Time Between Failure)を計算(推定)するものとしている。そして,この設備7-1~7-n毎のMTBFに基づき,その設備に対して予め供与・記憶されている設備7-1~7-n毎のランニングコスト予想曲線を補正する(ステップ206)。 ここで,上記ランニングコスト予想曲線の補正について,説明を加える。すなわち,設備においてその故障率と使用期間との関係は,第4図に表すようなバスタブ曲線で示される。このため,設備の導入当初においてその設備のMTBFは小さく,使用するにつれてMTBFは増大し,やがて安定期をむかえる。そして,寿命が近づくにつれその設備のMTBFは次第に小さくなる。このことは,設備のランニングコストが第4図に示したバスタブ曲線とほゞ相似形で推移することを意味している。したがって,設備を導入する場合,その設備のランニングコストは,第4図に示したバスタブ曲線とほゞ相似形の推移曲線となるものとして予想することができる。このランニングコスト予想曲線は,その設備を構成する設備機器の出荷時に信頼性試験の結果などから実際に独自のバスタブ曲線として作成できる他,別のビルディングに納入した同-設備の過去の故障データからも作成することが可能である。そして,このランニングコスト予想曲線は,あくまでも推測に基づくものであるから,実際のランニングコストの推移曲線とは微妙に異なる。このランニングコスト予想曲線の補正を行う個所がステップ206であり,ステップ204あるいはステップ205にて計算されたMTBFに基づきランニングコスト予想曲線を補正することにより,実際の使用環境での故障データをフィードバンクしながら,設備7-1~7-n毎のランニングコスト予想曲線が修正されるものとなる。例えば,設備を導入してからの安定期において,そのMTBFが導入当初のランニングコスト予想曲線に対するMTBFと異なるものとして得られれば,実際に推移するランニングコストは導入当初の予想値よりもシフトアップあるいはダウンするものとなり,そのシフトアンプあるいはダウン分だけ導入当初のランニングコスト予想曲線が補正される。また,設備を導入してからの寿命期において,そのMTBFが導入当初のランニングコスト予想曲線に対するMTBFと異なるものとなれば,実際に推移するランニングコスト曲線の傾きが変化するものとなり,その変化分を修正すべく導入当初のランニングコスト予想曲線が補正される。 このようにして設備7-1~7-n毎のランニングコスト予想曲線の補正がステップ206にて行われた後,これに続くステップ207にて設備7-1~7-n毎に点検周期の修正の必要性をチェックする。このステップ207における点検周期とは,MTBFで所定の信頼性Rになる期間Tを言い,MTBFの変化に応じて期間Tを修正するようにすれば,過不足の生じない合理的な定期点検を行うことができるものとなる。このため,ステップ207にて設備7-1~7-n毎にそのMTBFがそれまでのMTBFに対して変化したか否かをチェックし,MTBFが変化したことが認められれば,その認められた設備に対して点検周期の修正を行う(ステップ208)。この点検周期は,メンテナンス員の要求に応じて,CRT4に表示されたり,プリンタ5へ打ち出されたりする。 次に,設備更新時期評価のアドバイスをオーナが受ける場合について,ステップ209以降のフローに基づき説明する。すなわち,設備更新時期評価のアドバイスを受けたい場合,オーナは自室に配されているキーボード3を介してアクセスし,アドバイスを受けたい旨の指令を中央制御装置1へ与える。この指令はどの設備に対して更新時期評価のアドバイスを受けたいかについてまで具体的に与える。この指令に基づき,中央制御装置1は,ステップ209を経たステップ210にてI=1としたうえ,更新案(1)(当審注:原文は丸付き数字。以下同様に,丸付き数字はカッコ()で囲んで表記する。)として予め供与・記憶されている新規導入設備(I=1)のデータを読み出す(ステップ211),この読み出されるデータは新規導入設備Iに対してのランニングコスト予想曲線,初期投資額Xなどの各種データであり,中央制御装置1はこの読み出したデータに基づき,既設設備のランニングコスト予想曲線と新規導入設備Iのランニングコスト予想曲線とのMTBFの安定期におけるランニングコストの差を低減費用αとして算出する(ステップ212)。すなわち,設備Iを新規に導入する場合,その設備Iは既設設備の導入時に対し大幅な技術革新が進んでいるものと考えられ,MTBFの安定期におけるその設備Iのエネルギ費および運用費は,既設設備のそれに対してかなり減額されることが見込まれる。つまり,運用費がα1だけ減額され,エネルギ費がα2だけ減額され,この運用費の減額分α1とエネルギ費の減額分α2とを足した値が低減費用αとして得られる。そして,この算出した低減費用αで初期投資額Xを除して回収期間Yを算出し(ステップ213),これら求めた低減費用α(減額分α1,α2の詳細も含む)および回収期間Yならびに既設設備のランニングコスト予想曲線,新規導入設備Iのランニングコスト予想曲線をCRT4上へ表示する(ステップ214)。 第1図(a)はCRT4上での表示例を示し,現時点以降の既設設備のランニングコスト予想曲線C1がy軸を起点として描かれ,このランニングコスト予想曲線C1にオーバラップさせて,新規導入設備Iのランニングコスト予想曲C2がy軸を起点として描かれる。そして,低減費用α,運用費の減額分α1,エネルギ費の減額分α2,回収期間Yおよび初期投資額Xが,ランニングコスト予想曲線C1,C2に併わせて表示される。すなわち,オーナは,低減費用α,運用費の減額分α1,エネルギ費の減額分α2,回収期間Yおよび初期投資額Xの各表示値に基づき現時点で新規導入設備Iへ更新した場合の必要な情報のアドバイスを数値として受ける他,ランニングコスト予想曲線C1とランニングコスト予想曲線C2との交差間係により,現時点で新規導入設備Iへ更新した場合のアドバイスを視感的に受けることができる。すなわち,低減費用αをランニングコスト予想曲線C1とC2との底差dとして視認することができるし,「新規設備Iの導入により既設設備をそのまま使用した場合に対しランニングコストの減額効果がどの時点で生じてくるか」など詳細なアドバイスを受けることができる。しかも,この時,ランニングコスト予想曲線C1は第3図に示したステップ206にて実情に即した補正が行われているので,極めて精度の高いアドバイスが受けられるものとなる。また,キーボード3を介してアクセスすることにより,ランニングコスト予想曲線C2の時間軸をずらすようにすれば,諸般の事情に鑑みたオーナとしての最適更新時期を見つけ出すことが容易に可能となる。 また,ステップ214におけるCRT4上の表示においてその更新時期評価のアドバイスを受ける場合,既設設備の改修を行うものとして(ステップ215),ランニングコスト予想曲線C1をずらすこともできる(ステップ216)。この場合,第1図(a)におけるtlにて既設設備の改修を行うものとすれば,図示点線で示すようにランニングコスト予想曲線C1がずれるものとなり,寿命の延命化を図った既設設備のランニングコスト予想曲線C1’と新規導入設備Iのランニングコスト予想曲線C2との関係を視感的に捉えて,観点を変えて更新時期評価のアドバイスを受けることができるようになる。 また,新規導入設備Iを別のものと置き換えたい場合には,キーボード3を介してアクセスしステップ217における「新規導入設備変更するか」をYESとすることにより,ステップ218にてI=I+1とされたうえ,ステップ211にて更新案(2)として次の新規導入設備I(I=2)のデータが読み出されるようになる。そして,この新規導入設備Iに関しての読み取りデータに基づいて,CRT4上に第1図(b)に示すような更新案(2)としての表示が更新案(1)と同様になされる。このようにして次々に新規導入設備Iを置き変えることにより,更新時期評価のアドバイスを多岐に亘って受けることができるようになる。 なお,本実施例においては,ビルディング内に配備された設備7-1~7-nについてその更新時期評価のアドバイスを受けるものとして説明したが,ビルディング内の設備7-1~7-nを一括して一つの設備とみなし,これについての更新時期評価のアドバイスを受けるようにしてもよく,また個々の設備機器10を設備とみなし,これについての更新時期評価のアドバイスを受けるようにしてもよい。つまり,本願発明でいう「設備」の概念は,極めて広い。 〔発明の効果〕 以上説明したことから明らかなように本発明による設備更新時期評価アドバイス装置によると,既設設備のランニングコスト予想曲線と新規導入設備のランニングコスト予想曲線とがオーバラップして表示されるので,これらランニングコスト予想曲線の相対的な位置関係を参考として,オーナにとって最適な設備更新時期評価のアドバイスを極めて容易に受けることが可能となり,しかも既設設備のランニングコスト予想曲線が実情に応じて適宜補正されるので,設備更新時期評価のアドバイスを精度良く行うことができるものとなる。」(第1頁右下欄1行-第5頁左下欄7行) したがって,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「高層ビル,集合住宅,病院,工場などの施設に設置されている空調設備,照明設備などの設備のランニングコスト予想曲線を表示する表示手段を備え, 前記ランニングコスト予想曲線は,その設備を構成する設備機器の出荷時に信頼性試験の結果などから作成した推測に基づくランニングコスト予想曲線を,設備を導入してからの安定期,または設備を導入してからの寿命期において実際の使用環境での故障データをフィードバックすることにより補正したランニングコスト予想曲線であり, ここで,設備のランニングコストとは,エネルギ費と,修理・交換に要する諸費用などが含まれる運用費とを合わせたものを言い, 前記表示手段は,設備Iを新規に導入する場合に,既設設備のランニングコスト予想曲線,新規導入設備Iのランニングコスト予想曲線,設備Iを新規に導入することで見込まれる運用費の減額分α1及びエネルギ費の減額分α2を表示する, 設備更新時期評価アドバイス装置。」 2.引用文献2について 平成29年7月25日付けの拒絶の理由に引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。 B 「【0083】 図1に示す表には,放置処置の場合,応急保全等処置の場合,完全保全等処置の場合,および新規購入処置の場合それぞれについてどのようなコストが発生するかが表されている。保全等費は,保全や修理に必要となるコストである。保全等費は,放置処置の場合は保全や修理が全く行われないので,当然0になる。応急保全等処置の場合は,簡単な処置しか行わないので,保全等費は低く抑制される。完全保全等処置の場合は,ほぼ正常な状態まで空気調和機が保全または修理されるので,その分の保全等費が反映されることになる。新規購入時の場合も保全等の必要がないので保全等費は0となる。ランニングコストは,設備機器の稼働の結果として必要となるコストであり,例えば,空気調和機が消費する電力量に対する費用(つまり,電気代)などである。なお,本実施の形態では,この電気代は,空気調和機の消費電力量に電力単価を乗じて算出される。また,空気調和機の消費電力量は,空気調和機から収集されるインバータ圧縮機の周波数データや電動膨張弁の入力パルスデータ等を利用して作成されたモデルに基づいて導出される。詳しくは以下で説明する。放置処置の場合は,調子の悪い状態で空気調和機を強制的に運転させるので,電気代が嵩み,ランニングコストは高くなる。応急保全等処置が行われれば,空気調和機の状態は多少改善されるので,電気代が低減され,放置処置するよりもランニングコストは低くなる。完全保全等処置が行われれば,空気調和機の状態はほぼ正常な状態まで改善されるので,電気代はさらに低減され,ランニングコストはさらに低くなる。ただし,その保全等費は,応急保全等処理の場合よりも高くなる。新規導入処置の場合,電気代は新規な省エネルギータイプの空気調和機を導入するため廃棄される空気調和機の運転に費やされる電気代よりもかなり低減され,ランニングコストも廃棄される空気調和機のランニングコストよりもさらに低くなる。しかし,この場合,新規空気調和機の新規導入費用や現行の空気調和機の廃棄コストなどが別途かかることになる。一方,リスク評価の欄には,それぞれの場合において予測されるリスクが記載されている。放置処置の場合は,半年後には空気調和機が完全に使えなくなることが予測されている。なお,このような余寿命は,過去の運転データ分析(消費電力量データ分析を含む),システムダウンした時のパターン,通算の積算使用時間,ON/OFF回数,使用限界に至るまでの距離,その他経験・ノウハウなどに基づいて決定される。さらに,この表には,全ての場合における現行の空気調和機の廃棄コスト,新規導入コスト等も掲載されている。そしてさらに,この表には,全ての場合における半年後,1年後,2年後,5年後,および10年後までに必要となる総コストの推定値が掲載される。なお,これらの数値は,保全等費,ランニングコスト,その他廃棄コスト,新規導入コストなどの総和となる。ただし,ランニングコストは時系列的に変化する場合がある。また,表中,積極的な買換えの場合は10%引きにすることが示されているが,これは早期の買換えを触発する意図である。 【0084】 図2に示すグラフは,図1の表に示される総コストの推定値の経時変化を反映したグラフである。図1の表の場合は,その年にまでかかる総コストの推定値を示しているが,このグラフでは,どの時点でどのようなコストが発生するかが描かれている。なお,このグラフにおいて各場合におけるコスト変化の積分値が図1に示す表の総コストの推定値と一致する。したがって,顧客に対して任意の時点において最も有効な処置を知らせることができる。このため,顧客満足度を向上させることができる。また,このグラフには,システムダウンが発生するポイント,省エネルギー法の規制に抵触するポイント,グリーン規制に抵触するポイントが示されている。したがって,このグラフを参照する顧客は,自身の使用している空気調和機の余寿命がどの程度であるのか,また自身がいつ頃に法規制に抵触するおそれがあるのかを認識することができる。この結果,顧客は,自身が管理する予算にのみ縛られず,状況に応じて適切な処置を選択することができる。」 C 「【0095】 遠隔監視アプリケーション14cは,リレーショナルデータベースアプリケーションであって,運転履歴等データベース14d及び第1加工結果データベース14eを保持している。運転履歴等データベース14dには,空気調和機から送信されてくるインバータ圧縮機の運転周波数のデータや電動膨張弁の入力パルスのデータ等が格納される。第1加工結果データベース14eには,運転履歴等データベース14dに格納される種々のデータを加工して得られた加工データが格納される。なお,運転履歴等データベース14d及び加工結果データベース14eは,推定コスト算出アプリケーション14fに属する基本情報データベース14g(後述)を構築するために利用される(分析され,モデル化される)。」 D 「【0104】 <データベース> (1)基本情報データベース 基本情報データベース14gには,図7および図8に示されるような基本モデルテーブルTo1および構成要素部品能力ロス割合テーブルTo2が格納されている。 【0105】 a.基本モデルテーブル 基本モデルテーブルTo1には,図7に示されるように,第1IDフィールドFo1,第1運転時間フィールドFo2,第1周波数フィールドFo3,および第1電動弁パルスフィールドFo4が設けられている。第1IDフィールドFo1には,1レコード毎に付される固有の数値データ(以下,第1IDデータという)Dt1が格納される。第1運転時間フィールドFo2には,空気調和機の運転時間のデータ(以下,第1運転時間データという)Dt2が格納される。第1周波数フィールドFo3には,インバータ圧縮機の周波数データ(以下,周波数データという)Dt3が格納される。第1電動弁パルスフィールドFo4には,電動膨張弁の入力パルスデータ(以下,入力パルスデータという)Dt4が格納される。なお,これらのデータは,上述したように,空気調和機の運転開始初期であって空気調和機が正常運転しているときに収集されたインバータ圧縮機の周波数および電動膨張弁の入力パルスをモデル化したものである。 【0106】 b.構成要素部品能力ロス割合テーブル 構成要素部品能力ロス割合テーブルTo2には,図8に示されるように,第2IDフィールドFo11,第2運転時間フィールドFo12,第2構成要素部品劣化割合フィールドFo13が設けられている。第2IDフィールドFo11には,1レコード毎に付される固有の数値データ(以下,第2IDデータという)Dt11が格納される。第2運転時間フィールドFo12には,空気調和機の月単位の運転時間のデータ(以下,第2運転時間データという)Dt12が格納される。第2構成要素部品劣化割合フィールドFo13には,室外熱交換器や,配管,室外ファン,圧縮機,電動膨張弁,室外フィルターなどの構成要素部品の能力が劣化していく割合のデータ(以下,構成要素部品能力劣化割合データという)Dt13が格納される。なお,本実施の形態において構成要素部品能力ロス割合テーブルはTo2としては,例えば,空気調和機の運転時間と熱交換器の劣化割合とを関係付けるテーブルや,空気調和機の運転時間と圧縮機の劣化割合とを関係付けるテーブル,空気調和機の運転時間と室外ファンの劣化割合とを関係付けるテーブル,空気調和機の運転時間と配管の劣化割合とを関係付けるテーブル,空気調和機の運転時間と電動膨張弁の劣化割合とを関係付けるテーブル,空気調和機の運転時間と室外フィルターの劣化割合とを関係付けるテーブル等が用意されている。」 E 「【0110】 基本モデルテーブルレコード抽出工程では,基本モデルテーブルTo1の第1運転時間フィールドFo2に対する条件式として「Between(シミュレーション実行時点での運転経過時間)and(シミュレーション終了時間)」の条件式が採用され,基本モデルテーブルTo1からその期間のレコードが抽出される。なお,条件式に用いられる値は,後述する入力フォームFrmにおいて特定箇所に入力される数値となる。 【0111】 運転時間毎理想消費電力量算出工程では,基本モデルテーブルレコード抽出工程において基本モデルテーブルTo1から抽出したレコード毎に周波数データDt3及び入力パルスデータDt4が下記計算式(1)に代入されて運転時間毎理想消費電力量が算出される。 【0112】 (運転時間毎理想消費電力量)(kwh)=mx(周波数)+nx(入力パルス)・・・(1) ただし,m,nは変換係数である。 【0113】 理想月間消費電力量算出工程では,1日8時間運転,月間20日稼働と仮定して理想月間消費電力量が算出される。つまり,運転時間の若い順番に160レコードが選択され,それらのレコードに対応する運転時間毎理想消費電力量の総和が求められる。なお,この理想月間消費電力量のデータ(以下,理想月間消費電力量データという)Dt44は,順次,電気代等テーブルTm1の理想月間消費電力量フィールドFm4に挿入される。また,この際,第5IDフィールドFm1には1から順に第5ID番号データDt41が挿入され,第5運転時間フィールドFm2には1から順に整数データが挿入される。そして,このような処理が繰り返される。 【0114】 構成要素部品能力ロス割合テーブルレコード抽出工程では,各構成要素部品能力ロス割合テーブルTo2から基本モデルテーブルレコード抽出工程で使用した条件式に対応する運転時間のレコードが抽出される。なお,このときも,1日8時間運転,月間20日稼働と仮定されてレコードが抽出される。また,このとき,後述する入力フォームFrmにおいて選択された構成要素の構成要素部品能力ロス割合テーブルTo2からは,「1」の第2IDデータDt11に対応するレコード(つまり,最初のレコード)から他の構成要素部品能力ロス割合テーブルTo2の抽出レコード数に対応する数までのレコードが抽出される(つまり,その構成要素の劣化が新品の状態から開始される)。 【0115】 月間空気調和機能力ロス割合工程では,構成要素部品能力ロス割合テーブルレコード抽出工程で抽出されたレコードに保持される構成要素部品能力劣化割合データDt13がレコード毎に下記計算式(2)に代入されて月間空気調和機能力ロス割合が算出される。 【0116】 (月間空気調和機能力ロス割合)(%)=px(熱交換器劣化割合)+qx(配管劣化割合)+rx(室外ファン劣化割合)+sx(圧縮機劣化割合)+tx(電動膨張弁劣化割合)・・・(2) ただし,p,q,r,s,tは重み付け係数である。 【0117】 なお,この月間空気調和機能力ロス割合のデータ(以下,月間空気調和機能力ロス割合データという)Dt43は,順次,電気代等テーブルTm1の月間空気調和機能力ロス割合フィールドFm3に挿入される。 【0118】 修正月間消費電力量算出工程では,理想月間消費電力量フィールドFm4に挿入された理想月間消費電力量データDt44及び月間空気調和機能力ロス割合フィールドFm3に挿入された月間空気調和機能力ロス割合データDt43がレコード毎に下記計算式(3)に代入されて修正月間消費電力量が算出される。 【0119】 (修正月間消費電力量)(kwh)=(理想月間消費電力量)x{100+(月間空気調和機能力ロス割合)}/100・・・(3) なお,この修正月間消費電力量のデータ(以下,修正月間消費電力量データという)Dt45は,順次,電気代等テーブルTm1の修正月間消費電力量フィールドFm5に挿入される。 【0120】 月間電気代算出工程では,修正月間消費電力量フィールドFm5に挿入された修正月間消費電力量データDt45に所定の変換係数が乗じられてレコード毎に月間電気代が算出される。なお,この月間電気代のデータ(以下,月間電気代データという)Dt46は,順次,電気代等テーブルTm1の月間電気代フィールドFm6に挿入される。 【0121】 (途中省略) 【0122】 なお,この電気代等テーブルTm1は,図2や図3に示されるグラフ等を作成する素データとなる。また,図2や図3に示されるグラフが作成される場合,電気代等テーブルTm1は,放置処置の場合,完全保全等処置の場合,応急保全等処置の場合,新規購入処置の場合,それぞれについて導出される。 【0123】 (途中省略) 【0125】 保全等月間総コスト算出工程では,「1」の第5ID番号データDt41に対応する月間電気代データDt46に保全等費が加算され,その加算値データが累積電気代等テーブルTm2の第6月間総コストフィールドFm13の先頭に挿入される。そして,この保全等月間総コスト算出工程では,「2」以降の第5ID番号データDt41に対応する月間電気代データDt46がそのまま累積電気代等テーブルTm2の第6月間総コストフィールドFm13にコピーされる。」 F 「【0145】 (C) 先に示した実施の形態では,空気調和機からインバータ圧縮機の運転周波数のデータや電動膨張弁の入力パルスのデータ等を収集したが,これに代えてあらかじめその空気調和機のインバータ圧縮機の運転周波数のデータや電動膨張弁の入力パルスのデータ等の季節依存性や,地域依存性,時間依存性などを測定して関数化しておいてもよい。このようにすれば,その空気調和機の導入時期からのおおよその稼働時間を推定して適当な修正月間消費電力量データDt45を導出することができる。このようにすれば,遠隔監視サービスを申し込んでいない顧客にもコスト推定サービスを提供することができる。」 したがって,上記引用文献2には次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「遠隔監視アプリケーションが保持する運転履歴等データベースに,空気調和機から送信されてくるインバータ圧縮機の運転周波数のデータ及び電動膨張弁の入力パルスのデータを格納し,これを分析,モデル化して基本情報データベースを構築し, シミュレーションの際には,基本情報データベースに格納された周波数データ及び入力パルスデータから運転時間毎理想消費電力量を算出し,1日8時間運転,月間20日稼働と仮定して,理想月間消費電力量データを計算し, この理想月間消費電力量データに,空気調和機の運転時間に応じて空気調和機の構成要素部品である熱交換器や圧縮機の能力が劣化していく割合のデータである構成要素部品能力劣化割合データに基づいて算出した月間空気調和機能力ロス割合データを加味して,修正月間消費電力量を算出し,さらに所定の変換係数を乗じて月間電気代を算出し, 算出した月間電気代に基づいて,現在からの経過年数に対応した発生コストを示すグラフを作成する, 空気調和機の推定コスト計算装置。」 3.引用文献3について 平成29年7月25日付けの拒絶の理由に引用された引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。 G 「【0003】 ところで,設備は利用率に応じてその寿命が伸縮することが知られている。しかしながら,従来定格で利用した設備の故障率に基づいて交換費用や故障コストが算出されているが,実際には設備は定格以下の利用率で利用されることが多く,実際の利用状況に即した正確な総コストの算出が困難であった。 【0004】 本発明は,このような背景を鑑みてなされたものであり,設備の利用率に応じて設備の交換時点を特定することができるようにすることを目的とする。」 H 「【0032】 本実施形態では,時点tにおいて交換するときと寿命の直前まで使い切るときについて,各々,上記の新品コスト,残存価格率,固定資産税率,点検費から設備にかかる実際の経費(減価償却費や固定資産税,点検費など)を算出し,その差額を求めて交換コストLr(t)を算出するものとする。交換コストLr(t)を現在価値に換算し,設備の寿命の確率密度関数を乗じた値を設備の交換時点Tから∞まで積分した値が交換損失である。設備の交換損失は,次の式(3)により求められる。」 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。 (ア)引用発明の「設備」「実際の使用環境での故障データ」「ランニングコスト」「エネルギ費」「運用費」「施設」は,それぞれ,本願発明1の「機器」「機器に関する情報」「費用」「電気料金」「故障対応費用」「施設」に相当する。 (イ)引用発明の「設備更新時期評価アドバイス装置」は,“実際の使用環境での故障データ”をフィードバックすることにより補正したランニングコスト予想曲線を表示するものであり,“実際の使用環境での故障データ”に“基づき”,“ランニングコスト”を“予測する”“装置”であるといえるから,引用発明の「設備更新時期評価アドバイス装置」が本願発明1の「機器に関する情報に基づき費用を予測する,費用予測装置」に相当する。 (ウ)引用発明の「設備更新時期評価アドバイス装置」は,上記(イ)で検討したとおり,“ランニングコスト”を“予測する”“装置”であるといえるところ,“ランニングコスト”は,“エネルギ費”と,“修理・交換に要する諸費用などが含まれる運用費”とを合わせたものであり,“設備Iを新規に導入する場合に,・・・設備Iを新規に導入することで見込まれる運用費の減額分α1及びエネルギ費の減額分α2を表示する”ことができるものであるから,“エネルギ費”を“予測する”“機能”及び“運用費”を“予測する”“機能”を“備え”ているということができる。 してみれば,引用発明と本願発明1とは,「将来の電気料金を予測する,電気料金予測機能と,将来の故障対応費用を予測する,故障対応費用予測機能とを備え」る点で一致する。 したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。 (一致点) 「機器に関する情報に基づき費用を予測する,費用予測装置であって, 将来の電気料金を予測する,電気料金予測機能と, 将来の故障対応費用を予測する,故障対応費用予測機能と を備える費用予測装置。」 (相違点) (相違点1)本願発明1では,「前記費用予測装置において,前記電気料金予測機能および前記故障対応費用予測機能は,複数の機器を有する施設を単位として実行され」るのに対して,引用発明は,そのように特定されていない点。 (相違点2)本願発明1では,「前記電気料金予測機能は,定期的に取得される機器の消費電力量の実績値を分析して得られた経年依存性と,その機器の購入年または生産年からの経過年数とに基づいて,前記機器の消費電力量を予測し,予測した消費電力量に基づいて,その機器の電気料金を,複数の期間のそれぞれについて予測する機能を含む」のに対して,引用発明は,そのように特定されていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて,上記相違点2について先に検討すると,上記「2.引用文献2について」で検討したとおり,引用文献2には, 「遠隔監視アプリケーションが保持する運転履歴等データベースに,空気調和機から送信されてくるインバータ圧縮機の運転周波数のデータ及び電動膨張弁の入力パルスのデータを格納し,これを分析,モデル化して基本情報データベースを構築し, シミュレーションの際には,基本情報データベースに格納された周波数データ及び入力パルスデータから運転時間毎理想消費電力量を算出し,1日8時間運転,月間20日稼働と仮定して,理想月間消費電力量データを計算し, この理想月間消費電力量データに,空気調和機の運転時間に応じて空気調和機の構成要素部品である熱交換器や圧縮機の能力が劣化していく割合のデータである構成要素部品能力劣化割合データに基づいて算出した月間空気調和機能力ロス割合データを加味して,修正月間消費電力量を算出し,さらに所定の変換係数を乗じて月間電気代を算出し, 算出した月間電気代に基づいて,現在からの経過年数に対応した発生コストを示すグラフを作成する, 空気調和機の推定コスト計算装置。」 との発明(引用発明2)が記載されており,引用発明2では,消費電力量の予測に際して,「空気調和機の運転時間に応じて空気調和機の構成要素部品である熱交換器や圧縮機の能力が劣化していく割合のデータである構成要素部品能力劣化割合データに基づいて算出した月間空気調和機能力ロス割合データ」を加味した手法であるものと認められるものの,当該手法は,予め決定されている構成要素部品能力劣化割合データに基づいているものである一方,本願発明1の電気料金予測機能は,「定期的に取得される機器の消費電力量の実績値を分析して得られた経年依存性と,その機器の購入年または生産年からの経過年数とに基づいて,前記機器の消費電力量を予測し」ていて,費用予測装置が費用を予測する対象の「機器」自体から定期的に取得される消費電力量の実績値を用いて,前記「機器」の消費電力量を予測するものである。 そして,このような,費用を予測する対象の「機器」自体から定期的に取得される消費電力量の実績値を用いることは,引用発明2及び引用文献3には,記載されておらず,また,本願出願前において周知技術であるともいえない。 よって,引用発明に引用発明2を適用することにより,上記相違点2のように構成することは適宜なし得たものとすることはできない。 したがって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても引用発明,引用発明2,及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-7について 本願発明2-7は,本願発明1を直接・間接に引用するものであり,本願発明1の「前記電気料金予測機能は,定期的に取得される機器の消費電力量の実績値を分析して得られた経年依存性と,その機器の購入年または生産年からの経過年数とに基づいて,前記機器の消費電力量を予測し,予測した消費電力量に基づいて,その機器の電気料金を,複数の期間のそれぞれについて予測する機能を含む」と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用発明2,及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 当審拒絶理由通知の[理由1]について <特許法第36条第6項第2号について> (1)当審では,請求項1,3の「前記電気料金予測機能および前記故障対応費用予測機能は,複数の機器を有する施設を単位として実行可能であり」という記載の意味が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが,平成29年9月25日付けの補正において,「前記費用予測装置において,前記電気料金予測機能および前記故障対応費用予測機能は,複数の機器を有する施設を単位として実行され」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。 (2)当審では,請求項6の「前記故障対応費用予測機能は,施設ごとに異なる基準を用いて実行可能である」との記載における「施設ごとに異なる基準」という記載の意味が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが,平成29年9月25日付けの補正において,「前記故障対応費用予測機能は,施設ごとに設定する変数または定数により修理費用,買い替え費用またはその両方を算出する」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。 (3)当審では,請求項1の「前記電気料金予測機能は,機器の経過年数と,その機器の消費電力量の実績値とに基づいて,その機器の電気料金を,複数の期間のそれぞれについて予測する機能を含む」との記載における,「機器の経過年数」という記載の意味が不明確であり,また,「機器の経過年数と,その機器の消費電力量の実績値とに基づいて,その機器の電気料金を,・・・予測する」との記載がどのような予測手法を特定しているのかが不明であるとの拒絶の理由を通知しているが,平成29年9月25日付けの補正において,「前記電気料金予測機能は,定期的に取得される機器の消費電力量の実績値を分析して得られた経年依存性と,その機器の購入年または生産年からの経過年数とに基づいて,前記機器の消費電力量を予測し,予測した消費電力量に基づいて,その機器の電気料金を,複数の期間のそれぞれについて予測する」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。 第8 原査定についての判断 平成29年9月25日付けの補正により,補正後の請求項1は,「前記電気料金予測機能は,定期的に取得される機器の消費電力量の実績値を分析して得られた経年依存性と,その機器の購入年または生産年からの経過年数とに基づいて,前記機器の消費電力量を予測し,予測した消費電力量に基づいて,その機器の電気料金を,複数の期間のそれぞれについて予測する機能を含む」という技術的事項を有するものとなった。当該「前記電気料金予測機能は,定期的に取得される機器の消費電力量の実績値を分析して得られた経年依存性と,その機器の購入年または生産年からの経過年数とに基づいて,前記機器の消費電力量を予測し,予測した消費電力量に基づいて,その機器の電気料金を,複数の期間のそれぞれについて予測する機能を含む」ことは,原査定における引用文献A-C(当審拒絶理由における引用文献1-3)には記載されておらず,本願出願前における周知技術でもないので,本願発明1-7は,当業者であっても,原査定における引用文献A-Cに基づいて容易に発明できたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。 第9 むすび 以上のとおり,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2016-014228

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決934件(三菱電機株式会社)
  • 2025-009951拒絶査定不服審判 / 2026-08-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)点灯装置および照明装置
    同じ当事者: 三菱電機株式会社
  • 2025-010761拒絶査定不服審判 / 2026-08-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)光源ユニット及び照明器具
    同じ当事者: 三菱電機株式会社
  • 2025-007101拒絶査定不服審判 / 2026-08-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)増幅回路
    同じ当事者: 三菱電機株式会社
  • 2025-010598拒絶査定不服審判 / 2026-08-03 / 原査定取消(特許/登録すべき)半導体装置
    同じ当事者: 三菱電機株式会社
  • 2025-002413拒絶査定不服審判 / 2026-07-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)清掃装置および清掃方法
    同じ当事者: 三菱電機株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)2,419件(121・G06Q、537・G06Q)
  • 2025-007249拒絶査定不服審判 / 2026-08-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)顧客管理装置、顧客管理方法、及びプログラム
    共通の審決分類: 121・G06Q、537・G06Q
  • 2026-004837拒絶査定不服審判 / 2026-08-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
    共通の審決分類: 121・G06Q、537・G06Q
  • 2025-012431拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)ビル管理システム、及び、中央監視システム
    共通の審決分類: 121・G06Q、537・G06Q
  • 2025-006009拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)タイヤ保守管理装置およびタイヤ保守システム
    共通の審決分類: 121・G06Q、537・G06Q
  • 2025-009018拒絶査定不服審判 / 2026-08-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
    共通の審決分類: 121・G06Q、537・G06Q

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存