特許拒絶査定不服審判
2016-013218
プリペイド式積算電力料金計及び当該電力料金計を設置せる消費所に給電するための給電システム。
- 審判番号
- 2016-013218
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-237237外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年09月05日
- 審決日
- 2017年09月20日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】白川 利久
- 分類
- P18 .121-WY (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-237237「プリペイド式積算電力料金計及び当該電力料金計を設置せる消費所に給電するための給電システム。」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月30日出願公開、特開2016- 99847、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年11月24日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 3月 3日付け:拒絶理由の通知
平成28年 4月21日 :意見書及び手続補正書の提出
平成28年 7月11日付け:拒絶査定
平成28年 9月 5日 :審判請求書の提出
第2 原査定の概要
原査定(平成28年7月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
「本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開平9-80077号公報
2.特開平9-167213号公報
3.特表2003-501706号公報
4.特開昭63-138269号公報 」
第3 本願発明
本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、平成28年4月21日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
メータ外枠(13)、電子式積算電力量計、及び積算電力料金計算部(30)からなるプリペイド式積算電力料金計であって、
前記電子式積算電力量計において、電灯線側と負荷側は断線されており、電灯線側に永久磁石(3)及びカード接触端子バネ(5)が固着されており、負荷側も永久磁石(3)及びカード接触端子バネ(5)が固着されており、
前記メータ外枠(13)にカード挿入口(2)を設け、
前記メータ外枠(13)内に前記積算電力料金計算部(30)を設け、
前記積算電力料金計算部(30)は、計算プログラム及び記憶ファイルを内蔵せるコンピュータと、デジタル時計と、スピーカ及び、点滅灯からなり、
カード挿入口(2)にプリペイドカード(40)を挿入することにより電灯線側と負荷側が電気的に接合し、
前記計算プログラムを起動し、プリペイドカード(40)から暗証番号を入力し、前記記憶ファイル内蔵の暗証番号と照合し一致したら、
プリペイドカード(40)からプリペイド料金と、プリペイド残金の許容金額及び時間帯別電力料金単価を入力し、デジタル時計から時刻を入力し、積算電力量表示器(10)から積算電力量を入力することにより、
プリペイド残金が許容金額以下になるまで電力を供給することを特徴とするプリペイド式積算電力料金計。
【請求項2】
省略
【請求項3】
省略 」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は電力量計、特にカード式前払い料金記録媒体であるプリペイド・カードを利用することにより、電気料金の支払いができる電力量計に関する。」
(イ)「【0015】A.構成
図1において、参照符号10は電力量計のケース、11は入力ケーブル、12は出力ケーブル、13は電力量表示部、14は開口部、15はプリペイド・カード、20は電気料金表示部、19はアラーム表示部である。
【0016】上記ケース10は、例えば、略直方体形状を有し、その下面16からは、入力ケーブル11と、出力ケーブル12が延びている。上記入力ケーブル11は、例えば、単相の商用交流電源21に、出力ケーブル12は、例えば、冷蔵庫等の負荷22に、それぞれ接続されていると共に、ケース10内では(図2)、入力ケーブル11と出力ケーブル12は、ケーブル18に接続され、ケーブル18には、駆動電源10Eと遮断スイッチ10Gと電力量計測部10Dが接続されている(図2)。
【0017】また、ケース10の前面17には、例えば、その上方に、電力量表示部13が設けられ、電力量(kWh)が積算値で表示され、中央部には、電気料金表示部20が設けられ、電力量に比例した電気料金(円)が表示される。
【0018】更に、ケース10の前面17の下方左側には、図示するようなアラーム表示部19が設けられ、後述するプリペイド・カード15の前払い料金Pが電気料金Qと等しく残高Rが0になった場合に、点滅するようになっている。また、ケース10の前面17であって上記電気料金表示部20の下には、開口部14が設けられ、プリペイド・カード15を挿入したり、抜き出したりすることができるようになっている。
【0019】このプリペイド・カード15は、カード式前払い料金記録媒体の一種であり、例えば、磁気により前払い料金P(例えば10,000円)が記録されており、現在市販されているオレンジ・カード、イオ・カード、テレホン・カード等と同様の構成を有するものである。
【0020】このプリペイド・カード15を上記開口部14から挿入することにより、ケース10に内蔵された遮断スイッチ10G(図2)がオン状態になり、電力量計が商用交流電源21に接続されて電気が使用可能となり、後述するように、該プリペイド・カード15に対する読み出し、書込み動作が行われる。
【0021】また、本発明に係る電力量計に使用するこのプリペイド・カード15は、テレホン・カード等と同様に、例えば、自動販売機等で簡単に購入できるようにすることが、好ましい。
【0022】上記ケース10には、図2に示す回路が内蔵されている。図2において、参照符号15は既述したプリペイド・カード、10Aはプリペイド・カード・ホルダ、10Bは読み出し・書込み部、10Cは演算制御部、10Dは電力量計測部、10Eは駆動電源、10Gは遮断スイッチ、13と20と19はそれぞれ既述した電力量表示部、電気料金表示部、アラーム表示部である。
【0023】上記プリペイド・カード・ホルダ10Aは、開口部14から挿入したプリペイド・カード15を保持し、次段の読み出し・書込み部10Bに接続されている。
【0024】上記読み出し・書込み部10Bは、プリペイド・カード15に対する読み出しと書込みを行う。
【0025】上記演算制御部10Cは、電力量計測部10Dにおいて計測された電力量に基づいて電気料金Qを算出すると共に、プリペイド・カード15に記録されている前払い料金Pを読み出し、両者の差をとって、残高R=P-Qを算出しプリペイド・カード15に書き込む。
【0026】この他、演算制御部10Cは、図2に示す回路全体の制御を掌どる。
【0027】上記電力量計測部10Dは、よく知られているように、電圧コイルと電流コイルとアルミ円板から構成され、所定の時間内に負荷22で消費された電力、即ち、電力量(kWh)を計測する。
【0028】上記遮断スイッチ10Gは、既述したように、プリペイド・カード15が挿入されたときに、オン状態になる他、残高Rが0のときに、オフ状態になって電力量計を商用交流電源21から切り離し、電気の使用を止める。また、この遮断スイッチ10Gは、残高Rが0のときには、後述するように、電気料金表示部20及びアラーム表示部19と協働するようにしてもよい。
【0029】更に、駆動電源10Eは、上述したプリペイド・カード・ホルダ10A、読み出し・書込み部10B等の各回路素子の駆動電源であって、商用交流電源21の電圧(例えば、実効値で100ボルト)を降圧、整流し、各回路素子が駆動するのに必要な電力を供給する。」
(ウ)「【0030】B.作用
以下、上記構成を有する本発明の作用を説明する。先ず、プリペイド・カード15を自動販売機等で購入し、電力量計の開口部14からケース10内に挿入して(矢印A)、プリペイド・カード・ホルダ10A(図2)に保持させる。これにより、プリペイド・カード15は、電力量計に接続された。
【0031】このとき、プリペイド・カード15が接続されたことを示す制御信号が、プリペイド・カード・ホルダ10Aから、読み出し・書込み部10Bを介して、演算制御部10Cに入力される。これにより、演算制御部10Cは、遮断スイッチ10Gに制御信号を送信して、該遮断スイッチ10Gをオン状態にする。
【0032】遮断スイッチ10Gがオン状態になると、電力量計は商用交流電源21に接続されて電気が使用できるようになり、その使用量である電力量(kWh)は、電力量計測部10Dにおいて、計測される。計測された電力量を、例えば、120kWhとすると、この120kWhは、演算制御部10Cからの制御信号により該演算制御部10Cに入力される。
【0033】演算制御部10Cにおいては、上記電力量計測部10Dで計測された電力量、即ち、上記120kWhに基づいて、電気料金Qが算出される。
【0034】例えば、1kWh当りの単位料金を20円とした場合には、演算制御部10Cは、20×120の演算を行うことにより、電気料金Q=2,400円が算出される。
【0035】また、演算制御部10Cは、読み出し・書込み部10Bを介して、プリペイド・カード15に記録されている前払い料金P(例えば、10,000円)を読み出す。
【0036】演算制御部10Cは、上記読み出した前払い料金P=10,000円と、既に算出した電気料金Q=2,400円との差をとり、残高R=P-Q=10,000-2,400=7,600円を算出する。
【0037】そして、演算制御部10Cは、この残高R=7,600円を、読み出し・書込み部10Bを介して、プリペイド・カード・ホルダ10Aに保持されているプリペイド・カード15に書き込む。
【0038】電気の使用が終了した場合には、プリペイド・カード15をケース10の開口部14から抜き出す。
【0039】これにより、図2に示すプリペイド・カード・ホルダ10Aからは、プリペイド・カード15が抜き出されたことを示す制御信号が、読み出し・書込み部10Bを介して、演算制御部10Cに送信されるので、演算制御部10Cは遮断スイッチ10Gに制御信号を送信してこれをオフ状態にする。
【0040】また、演算制御部10Cは、プリペイド・カード15から読み出した前払い料金Pと、計測した電力量に基づいて算出した電気料金Qとの差をとる場合に、P=Qのとき、即ち、プリペイド・カード15の残高Rが0のときは、遮断スイッチ10Gに制御信号を送信して該遮断スイッチ10Gをオフ状態にし、電気の使用を止める。
【0041】即ち、演算制御部10Cは、電気が使用されている間に、常にプリペイド・カード15の前払い料金Pと、算出した電気料金Qとを比較しており、P=Qになった時点で、直ちに遮断スイッチ10Gをオフ状態にして電気を使用できないようにする。
【0042】このような場合には、今まて使用して来たプリペイド・カード15をケース10の開口部14から抜いて、新たに購入したプリペイド・カード15を再び開口部14から挿入し直す。
【0043】一方、電気が使用されている間、上記電力量表示部13には、従来どおり、電力量の積算値が表示される。
【0044】また、プリペイド・カード15の残高Rが0になった場合には、上述したように、遮断スイッチ10Gがオフ状態になると同時に、アラーム表示部19が点滅すると共に、電気料金表示部20に残高Rが0であることが表示され、使用者側に警報を発する。
【0045】このように、本発明に係る電力量計によれば、プリペイド・カード15を利用することにより、使用者側が必要なときはいつでも前払い料金から電気料金を引き落とすことにより、電気料金の支払いができる。
【0046】従って、預金残高が不足していても、上記プリペイド・カード15により電気料金を支払うことにより、電気を止められることなく継続して使用できる。
【0047】またホテル等の家庭以外の場所でも、従来と異なり、使用量に比例した電気料金を支払うことができる。従って、電気料金が他の費用と一括して請求されることもなく極めて明確になった。更に、電気を供給する側にとっても、このように、使用者側がプリペイド・カード15を利用して電気料金を支払ことにより、従来のような検針は不要となった。」
上記(ア)~(ウ)の記載を基に、本願発明1の記載形式に沿って表現すると、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ケース、電力量計測部、電力量表示部及び演算制御部を備える電力量計であって、
前記電力量計測部において、商用交流電源側と負荷側とは遮断スイッチを介して接続されており、
前記ケースにプリペイド・カードを挿入したり、抜き出したりすることができる開口部を設け、
前記ケース内には、前記演算制御部、アラーム表示部等を設け、
前記演算制御部は前記開口部にプリペイド・カードを挿入することにより制御信号を送信して前記遮断スイッチをオン状態にし、前記プリペイド・カードから前払い料金を読み出し、前記前払い料金と前記電力量計測部が計測した電力量から算出した電気料金との差をとり、前記プリペイド・カードの残高が0となるまで電力を供給する電力量計。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
(エ)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、ICカードからデータを読出したり、またデータを書き込むためのICカード読出し、書込み装置に関する。」
(オ)「【0006】【課題を解決するための手段】このような問題を解消するために本発明においては、ICカードの接点と電気的接続を行うコンタクトヘッドと、前記コンタクトヘッドをカード挿入口側に付勢するバネと、前記コンタクトヘッドを前記ICカードの移動経路側に突出させる斜面を備え、かつ前記コンタクトヘッドを前記ICカードの挿入方向に移動可能に収容する窓を備えた基板と、前記ICカードの移動に追従する一部が磁性材からなる係止レバーと、前記ICカードが読取り、書込み位置に移動したとき前記係止レバーを吸着する永久磁石と、前記永久磁石の磁界を減少させる方向に励磁されるコイルと、バネにより前記移動経路から退避する方向に付勢され、前記係止レバーの移動により前記基板に平行な面内で回動されて前記ICカードの後端隅部と係合する鉤部を前記移動経路に突出させるカード拘止部材とを備えるようにした。」
(カ)「【0012】また、ICカードKと対向する面(図では裏面)には、ICカードKの接点に接触して電気的接続を形成するコンタクトピン14、14・・・が複数設けられ、フレキシブルケーブル9を介して外部回路に接続できるように構成されている。」
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
(キ)「【0006】本発明の第2目的は、価値伝送及び価値蓄積の原理をICカード電子財布と混用して新しく適用することにより、電力モデムを通じて送られてきた金額価値情報をオフラインで設置及び運営されるガスメーター、水道メーター、熱量計など家庭のあらゆる計量器と連携して使用できるようにした、ICカードに金銭価値を蓄積する価値蓄積方法を提供することである。」
(ク)「【0012】好ましくは、本発明による価値蓄積型電力量計は、水道、ガスまたは熱量計などの計量器に使用されるべきICカードを前記電力量計に差し込んで前記ホストからオンラインで価値を伝送されて差し込まれたICカードに前記伝送された価値を記録しかつ判読するICカード判読記録部をさらに含む。」
(ケ)「【0016】好ましくは、前記電力量計は、年月日時分秒よりなるリアルタイム時計を基準として50%、75%、100%、150%、200%などのように電力需給状況によって多段階の差を設けた電力使用料金を適用する電力料金モードテーブルである電力消費テーブルをさらに含む。」
(コ)「【0018】好ましくは、前記電力量計は、価値の残額、価値の伝送状態、リアルタイム電力消費現況及び累積電力使用現況などを使用者の目視で識別できるように液晶で表示する液晶ディスプレイを含み、価値の残額を目視で確認できなかった使用者のためにSVMが一定の規模以下に下がると、ブザーから警報音が鳴る。」
(サ)【0061】家庭用、業者用などの電力供給業者または電力再販売業者が正当に発給したICカードのほかに操作されたカードの使用を防止するために、カードの正当性を認証するSAM 164を電力量計内に組み込んで、端末器にカードを差し込んだとき端末器及びカード間の認証を行なう。また、カードの金額情報が端末器に送られるときにも図1での暗号化過程に従い動作するようにし、偽変造カードの使用を根絶する。端末器やカードを偽変造するために価値蓄積型電力量計を分解するなど、外部のハッカーによる暗号学的な攻撃に対応して、計量器の分解時に暗号キーを揮発させる方法も考慮できるが、端末器の内部の暗号アルゴリズム及び暗号キーには電力の消費量によって価値情報が削減される減額専用キーのみを持たせることにより、金額情報や価値を増やせないようにする。特に、本発明では、使用者/加入者が価値伝送の要求をするために電話またはデジタルインターフォンを通じてARSサーバーに接続すると、クレジットカード、銀行口座からの自動支払いなど、使用金額を選択的に決済できるようにし、支払いが保障された範囲内で価値伝送をし始める。これらの過程はインターネットを通じても行われ得るが、特にコンピュータや情報通信網の使用経験が全くない使用者のために、電力サービス業体/電力再販売業者及び金融機関の間で口座自動振替の契約を結んで、蓄積された価値が一定の規模に減少すると自動で価値伝送がなされるようにもできる。特に、EMV '96次世代クレジットカードまたはデビットカードでSET電子商取引きによる支払い要請をする場合、サーバはオンラインモールの役目をし、取引きの詳細がデジタル封筒(DE;Digital Envelop)に入れられて取引きの詳細を署名した効果として取引きを否定したり、あるいは操作できないようにもできる。」
4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
(シ)「〔問題点を解決するための手段〕
上記の問題点を解決するためになされたこの発明の記録カードを用いた電気料金清算装置は、あらかじめ所定の金額を表わす初期データが記録された記録カードに対してその初期データの読取りおよび書き換えを行なうカードリーダ・ライタと、需要家の負荷による消費電力鼠を電力量検出装置より入力して、その需要家に賦課すべき電気料金を契約種別にもとずき所定のプログラムによって計算し、その料金データを上記初期データから減算して残金データを求め、カードリーダ・ライタに記録カードの上記初期データをこの残金データによって書き換えさせると共に、残金データの示す残金が所定額以下となった時警報装置を作動させ、かつこの残金がゼロまたは所定のマイナス額となった時需要家の受電用開閉器を開放させる指令を発する制御演算部と、を備えたことを特徴とする。
〔作用〕
需要家があらかじめ代金が支払われ、その代金を表わす初期データが記録されたいわゆるプリペイド型の記録カード(磁気カード、ICカード等)を自己の電気料金清算装置のカードリーダ・ライタに挿入すると、制御演算部はその初期データを読取って、受電用開閉器を閉じさせ、需要家の電力消費および契約種別に従って電気料金を81算し、初期データの金額と電気料金の差額が所定額以下になった時警報を発すると共に、この差額がゼロまたは所定のマイナス額になった時開閉器を開いて電力供給を停止させる。」(第2頁右上欄第2行~同頁左下欄第11行)
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「ケース」、「電力量計測部」、「演算制御部」、「商用交流電源側」、「負荷側」、「プリペイド・カードを挿入したり、抜き出したりすることができる開口部」、「プリペイド・カード」、「アラーム表示部」は、本願発明1における「メータ外枠」、「電子式積算電力量計」、「積算電力量料金計算部」、「電灯線側」、「負荷側」、「カード挿入口」、「プリペイドカード」、「点滅灯」にそれぞれ対応するものといえる。
イ 引用発明における「演算制御部」は、「プリペイド・カードから前払い料金を読み出し、前記前払い料金と前記電力量計測部が計測した電力量から算出した電気料金との差」をとるのであるから、本願発明1における「計算プログラムを内蔵」しているものといえる。
ウ 引用発明においては、「商用交流電源側と負荷側とは遮断スイッチを介して接続」されており、演算制御部は「開口部にプリペイド・カードを挿入することにより制御信号を送信して前記遮断スイッチをオン状態」にするのであるから、プリペイド・カードが開口部に挿入されていない状態においては、遮断スイッチはオフ状態であるから、「商用交流電源側と負荷側とは断線されている」といえる。
してみると、上記アで言及した様に、「商用交流電源側」及び「負荷側」は、それぞれ本願発明1における「電灯線側」及び「負荷側」に対応するのであるから、引用発明には、本願発明1における「電灯線側と負荷側は断線されており、」との事項が備わっているといえる。
エ 引用発明における「電力量計」は、「演算制御部は、プリペイド・カードから前払い料金を読み出し、前記前払い料金と前記電力量計測部が計測した電力量から算出した電気料金との差をとり、前記プリペイド・カードの残高が0となるまで電力を供給する」ことができるものである。
そして、前記「前払い料金」及び前記「電力量計測部が計測した電力量」は、それぞれ、本願発明1における「プリペイド料金」及び「積算電力量」に対応することは明らかである。
してみると、引用発明と本願発明1とは、「プリペイドカードからプリペイド料金を入力し、そして、積算電力量を入力することにより、プリペイドカードの残金に基づいて電力を供給することができるプリペイド式積算電力料金計」という概念で一致しているといえる。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「メータ外枠、電子式積算電力量計、及び積算電力料金計算部からなるプリペイド式積算電力料金計であって、
前記電子式積算電力量計において、電灯線側と負荷側は断線されており、
前記メータ外枠にカード挿入口を設け、
前記メータ外枠内に前記積算電力料金計算部を設け、
前記積算電力料金計算部は、計算プログラムと、点滅灯を備え、
プリペイドカードからプリペイド料金を入力し、そして、積算電力量を入力することにより、プリペイドカードの残金に基づいて電力を供給することができるプリペイド式積算電力料金計。」
<相違点>
(相違点1)
本願発明1に係る「電子式積算電力量計」には、「電灯線側に永久磁石及びカード接触端子バネが固着されており、負荷側も永久磁石及びカード接触端子バネが固着されており、」との事項が特定されているのに対し、引用発明にはかかる事項が特定されていない点。
(相違点2)
本願発明1に係る「積算電力料金計算部」は、「記憶ファイルを内蔵せるコンピュータと、デジタル時計と、スピーカ」を備える旨特定しているのに対し、引用発明の演算制御部はかかる特定がない点。
(相違点3)
本願発明1は、「カード挿入口にプリペイドカードを挿入することにより電灯線側と負荷側が電気的に接合」するのに対し、引用発明は、開口部にプリペイド・カードを挿入することにより制御信号を送信して遮断スイッチをオン状態にすることで商用交流電源側と負荷側を電気的に接合」している点。
(相違点4)
本願発明1に係る「積算電力料金計算部」は、「プログラムを起動し、プリペイドカードから暗証番号を入力し、記憶ファイル内蔵の暗証番号と照合し、一致」を判定する処理を行うのに対し、引用発明は当該処理を行わない点。
(相違点5)
本願発明1に係る「積算電力料金計算部」は、「プリペイドカードから、プリペイド料金と、プリペイド残金の許容金額及び時間帯別電力料金単価を入力し、積算電力量表示器から積算電力量を入力」しているのに対し、引用発明の演算制御部は、プリペイド・カードから、前払い金を読み出すものの、「残高の許容金額及び時間帯別料金単価を入力し、積算電力量表示器から積算電力量を入力」する事項を行わない点。
(相違点6)
本願発明1の積算電力料金計算部は、「プリペイド残金が許容金額以下になるまで電力を供給する」のに対し、引用発明の演算制御部は、残高が0になるまで電力を供給する点。
(2)相違点についての判断
(相違点3)について
本願明細書の段落【0015】には、「・・・プリペイドカード(40)は、積算電力料金計算部(30)の外部記憶媒体であると同時に、当該積算電力料金計の起動及び断線の機能を持つ。当該カードの表面にはカード側電線(42)及び鉄のような永久磁石対応磁性材(43)が敷設されている。当該カードの裏面には電磁石対応磁性材(44)及び入出力端子対応電線(45)が敷設されている。プリペイドカード(40)は、永久磁石対応磁性材(43)により前記の永久磁石(3)により保持される。カード側電線(42)が前記のカード接触端子バネ(5)と接触することにより電灯線側と負荷側は電気的に接続される。・・・」と記載されており、当該記載を参酌するに、本願発明1に係る「プリペイドカード」は、電灯線側と負荷側とをプリペイドカード自体を用いて電気的に接続するものである。
一方、上記「第4 引用文献、引用発明等」で摘記した(ア)から(シ)の記載事項から明らかな様に、引用文献1から4には、本願発明1が備える「カード挿入口にプリペイドカードを挿入することにより電灯線側と負荷側が電気的に接合」する、との事項は開示されておらず、また、当該事項を示唆する記載もない。
なお、引用文献2には、上記「第4 引用文献、引用発明等」の「2.引用文献2について」の(カ)で摘記した様に、「また、ICカードKと対向する面(図では裏面)には、ICカードKの接点に接触して電気的接続を形成するコンタクトピン14、14・・・が複数設けられ、フレキシブルケーブル9を介して外部回路に接続できるように構成されている。」と記載されているが、ここでいう「ICカードKの接点」は、単に、ICカードKを外部回路と接続するためのものであり、本願発明1の様に「電灯線側と負荷側とをプリペイドカード自体を用いて電気的に接続するもの」であるといえる根拠は見いだせない。
したがって、本願発明1が備える上記(相違点3)に係る発明特定事項は、当業者といえども、引用発明、引用文献2、引用文献3及び引用文献4に記載された技術的事項から、容易に想到することはできない。
以上のとおりであるから、上記(相違点3)以外の各相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1は、当業者が引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願(本願発明1)を拒絶することはできない。
また、他に本願(本願発明1から本願発明3)を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-013218