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特許拒絶査定不服審判

2016-013013

マスク

審判番号
2016-013013
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-118040外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年08月30日
審決日
2017年01月10日
公報発行日
2017年04月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .561-WZ (A41D) / P18 .121-WZ (A41D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-118040「マスク」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 本願は、平成27年6月11日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成27年10月 2日付け   拒絶理由通知 平成27年11月16日     意見書及び手続補正書提出 平成28年 2月10日付け   拒絶理由通知(最後) 平成28年 3月 8日     意見書及び手続補正書提出 平成28年 6月 1日付け   平成28年3月8日(受付日)手続補正書による補正の却下の決定 平成28年 6月 1日付け   拒絶査定 平成28年 8月30日     本件審判請求、同時に手続補正書提出 平成28年10月12日付け   平成28年8月30日(受付日)手続補正書による補正の却下の決定 平成28年10月12日付け   拒絶理由通知 平成28年11月29日     意見書及び手続補正書提出 第2.本願発明 本願特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成28年11月29日(受付日)手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1には以下のとおりの記載がある。 「【請求項1】 利用者(1)の口(2)および口周辺(3)を覆うマスク本体(11)と、このマスク本体(11)の左右に設けられ、利用者(1)の耳(4)に掛けられる耳掛け部(12)とを備えたマスクであって、 前記マスク本体(11)の中央部分に設けられた開口(13)と、 この開口(13)をマスク本体(11)の表側(11a)から開閉可能に覆う蓋片(14)と、を備え、 前記蓋片(14)はマスク本体(11)と別体の蓋片で構成し、蓋片(14)の左辺または右辺をマスク本体(11)に固定することによって横開きに開閉可能とし、 蓋片(14)を閉じ状態に仮固定するために、蓋片(14)とマスク本体(11)との固定部(14b)の反対側において蓋片(14)とマスク本体(11)とに面ファスナー(14f、11f)を設けると同時に、 前記開口(13)は利用者(1)の口(2)を全部は露出させない大きさとしたことを特徴とするマスク。」(以下、「本願発明」という。)。 第3.引用文献 1.平成28年10月12日付け拒絶理由の概要 当審が通知した平成28年10月12日付け拒絶理由の概要は、以下のとおりである。 本願発明は、引用文献1あるいは2に記載された発明において、マスクを外さずに飲食や会話を可能とするために、引用文献3記載の手段を採用することで、当業者が容易に発明をすることができたものである。よって、本願発明は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 引用文献1.特開2006-247046号公報 引用文献2.登録実用新案第3157299号公報 引用文献3.特開2012-192154号公報 2.引用文献2及び3 (1)引用文献2に記載された事項・発明 本願出願前に頒布された刊行物である上記引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア. 「【技術分野】 【0001】 本考案は衛生用マスクに係り、利用者の口蓋を覆う状態で装着される通気性を有する衛生用マスクであって、民生用から医療用までの幅広い用途で、人体への異物の侵入を防止するための衛生用マスクに関する。」 イ. 「【考案が解決しようとする課題】 【0004】 マスクは異物の体内混入を防ぐ目的で装着されるが、乾燥を防ぐために飲み物でのどを潤す場合や、また装着したままの会話は相手が聞きづらいなど、マスクを装着したままでは不便が生じ、そのつどマスクをはずすかあごの下まで下げなければならず、鼻も口も露出してマスクの目的を成しえないという問題点があった。 【課題を解決するための手段】 【0005】 上記問題を解決するために、顔の形状に合うよう折り重なる部分があり、口元にあたる折重ねの中央部分に開閉できる横長のキリコミ点線の入ったパッド部とユーザの口蓋部に保持するための耳掛けから構成されることを特徴とするマスクを提供するものである。 【考案の効果】 【0006】 これにより、会話の場合は開閉部のキリコミ点線を開き、会話が終われば元のように折り重ねて閉じることができる。 【0007】 また開閉部のキリコミ点線を開くことで、マスクを装着したままコップや湯飲みで飲み物を飲むことができ、またキリコミ点線の一部を開きストローを差し込んで開閉を最小限にすることもできる。 【0008】 いずれの場合も、鼻は常にマスクを装着した状態にある。 【0009】 以上のように、本考案のマスクによれば、必要に応じて口元、または口元の一部を開閉できると同時に、常にマスクを装着した状態を提供することができる。」 ウ. 「【実施例1】 【0012】 図1はマスクは鼻から口元を覆うための布状物本体1と、両側に口蓋部に保持するための耳掛け4から構成され、本体1には顔の形状に合うよう折り重なる部分2があり、折り重なる部分2の口元にあたる部分には、中央から横長に開閉部のキリコミ点線3が設けてある。マスク本体1の上部には、マスクを鼻に固定させるための形状記憶物の入った5がある。 【0013】 本体1を構成する布状物は、ガーゼ、不織布など一般に使用されているものでよい。」 エ.図1及び2 オ.上記エ.の図2には、マスク本体1が、利用者の口に加えて鼻までをも覆う大きさであることが図示されている。 カ.引用文献2には、上記摘記事項イ.の「またキリコミ点線の一部を開きストローを差し込んで開閉を最小限にすることもできる。」との記載と、図2の、利用者が加えているストローがマスク本体1の一部分のみを貫いていることの図示がある。さらに、ストローの径が、利用者の口の大きさと比べて小さいことは通常である。そうすると、ストローを差し込む際、キリコミ点線を開く部分の大きさは、ストローの径と同程度であり、ストローの径よりも口の大きさが大きいから、引用文献2記載の「キリコミ点線3」は、利用者の口元の一部を開閉できるものであることが、明らかである。 さらに、上記摘記事項ウ.の「図1はマスクは鼻から口元を覆うための布状物本体1と、両側に口蓋部に保持するための耳掛け4から構成され、本体1には顔の形状に合うよう折り重なる部分2があり、折り重なる部分2の口元にあたる部分には、中央から横長に開閉部のキリコミ点線3が設けてある。」との記載、及び、「布状物本体1」は「マスク本体1」を言い換えたものであることは明らかであるから、「キリコミ点線3」は、「マスク本体1」の中央部分に設けられたものであることは明らかである。 キ.上記摘記事項ア.ないしウ.、図1及び2の図示、並びに、認定事項オ.及びカ.を、技術常識を考慮して整理すると、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「利用者の口および鼻までをも覆うマスク本体1と、このマスク本体1の左右に設けられ、利用者の耳に掛けられる耳掛け4とを備えたマスクであって、 前記マスクの中央部分に設けられたキリコミ点線3と、 前記キリコミ点線3は利用者の口元の一部を開閉できるマスク」 (2)引用文献3に記載された事項 ア. 「【技術分野】 【0001】 本発明は飲食、会話、呼吸困難解放を可能にするマスクに関する。」 イ. 「【発明の開示】 【0003】 従来のマスクでは飲食、会話、息苦しい時マスクを外さなくてはならなかった又重複箇所を開閉する方式は開閉口が十分な大きさではなかった 【0004】 本発明はこのように従来の構成が有していた問題を解決しようとするものでありスムーズに飲食、会話ができ、息苦しさから解放するマスクを提供することを目的にする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 そして本発明に上記目的を達成する為にマスク本体に口又は口と鼻が露出する程十分に大きい開閉口と開閉口を開閉する開閉扉と開閉扉を可動させる開閉器を設けたものである。」 ウ. 「【発明の実施するための最良の形態】 【0007】 以下本発明の実施の形態を図1~図7に基づいて説明する。 【0008】 図において1はマスク本体1aは開閉口、1bは着脱部である。着脱部1bはマジックテープ(登録商標)ホック等着脱可能材で形成されている。 開閉口1a周縁に外力による変形防止の為に枠体1aαを設けてもよい。マスクを使用する際には耳掛け5を耳に掛けマスク本体1を固定する。 【0009】 開閉扉2と開閉器3は接着され連動する構成になっており開閉器3の吹き込み管3dに息等の空気を袋部3aに充填させ圧力を加えることにより渦巻状から直線状に伸長し空気を抜くことにより圧力が減少し弾性体3bの復元力により渦巻状に戻る、吹き戻しの機能を有し、作動する構成になっている。尚、開閉扉2及び開閉器3はこれに限らず同じ原理で開閉するカーテン型扉4と直線状を伸縮する蛇腹型開閉器4aを使用しても構わない。開閉扉2は衛生上取り替えも可能である。 【0010】 飲食及び会話時着脱体3cを着脱部1bから脱すると弾性体3bの復元力により開閉扉2が渦巻状に収縮し開閉口1aが開き、口または口鼻が露出され、飲食、会話等が可能になり開閉口1aと閉じる場合は吹き込み管3dに息を吹き込むことにより開閉器3及び接着された開閉扉2が伸長され着脱体3cと着脱部1bに接着させることにより密閉し外気を遮断する通常のマスク機能が得られる」 エ. 「【図面の簡単な説明】 【0012】 【図1】本マスクの実施形態を示すマスクの開閉口 開口図 ・・・ 【図6】マスク使用 飲食、会話時 図 【図7】マスク使用 通常使用時 図」 オ.図1、5、6及び7 カ.「マスク使用 通常使用時」を図示した図7から、引用文献3記載のマスク本体1が、利用者の口及び鼻までをも覆うものであることが看取できる。 さらに、「マスク使用 飲食、会話時」を図示した図6から、図1及び5に図示された開閉器3が、マスク本体1の表側の中央部に形成された開閉口1aの左右方向の端辺に設けられていることが看取できる。 そして、上記摘記事項ウ.の「飲食及び会話時着脱体3cを着脱部1bから脱すると弾性体3bの復元力により開閉扉2が渦巻状に収縮し開閉口1aが開き、口または口鼻が露出され、飲食、会話等が可能になり開閉口1aと閉じる場合は吹き込み管3dに息を吹き込むことにより開閉器3及び接着された開閉扉2が伸長され着脱体3cと着脱部1bに接着させることにより密閉し外気を遮断する」との記載から、開閉扉2は、マスク本体1に形成した開閉口1aを表側から開閉可能に覆うものである。そして、上記摘記事項ウ.の「開閉扉2は衛生上取り替えも可能である。」との記載、接着され連動する開閉扉2及び開閉器3は、マスク本体1に対して、開閉動作の際に相対的に移動する点、並びに、図5には、開閉扉2及び開閉器3のみが図示されていることを踏まえると、開閉扉2は、マスク本体1と別体に構成されていることが理解できる。さらに、開動作の際には、「着脱体3cを着脱部1bから脱すると弾性体3bの復元力により開閉扉2が渦巻状に収縮し開閉口1aが開」(上記摘記事項ウ.)くから、開閉扉2の水平方向に対向するどちらかの辺が、マスク本体1に固定されていることは明らかである。そして、図6には、開閉扉2が渦巻き状に収縮したものが、開かれた開閉口1aの図上横方向の一辺に位置しているから、開閉扉2は、横開きに開閉可能に構成されているといえる。 キ.図6の「飲食、会話時」の図示と図7の「マスク使用 通常使用時」の図示とを対比すると、図5の「着脱袋3c」と、図1の「着脱部1b」が、開閉扉2とマスク本体1との固定部の反対側において、開時(図6)では相互に脱し、閉時(図7)では接着し、一方の状態と他方の状態とのとの間で必要に応じて遷移するものであるから、両者は開閉扉を閉じた状態に一時的に固定するものであるといえる。さらに、上記摘記事項ウ.の「着脱部1bはマジックテープ(登録商標)ホック等着脱可能材で形成されている。」との記載と、「マジックテープ(登録商標)」の一般名称が「面ファスナー」であることの技術常識を勘案すると、引用文献3記載のマスクは、開閉扉2を閉じた状態に一時的に固定するために、開閉扉2とマスク本体1との固定部の反対側においおて開閉扉2とマスク本体1とに面ファスナーを設けたものであることが理解できる。 ク.上記摘記事項ア.ないしエ.,図1、5、6及び7の図示,並びに,認定事項カ.及びキ.を、技術常識を踏まえて整理すると、引用文献3には、以下の事項(以下、「引用文献3記載事項」という。)が記載されていると認める。 「利用者の口および鼻までをも覆うマスク本体1と、このマスク本体1の左右に設けられ、利用者の耳に掛けられる耳掛け5とを備えたマスクであって、 前記マスク本体1の中央部分に設けられた開閉口1aと、 この開閉扉2は、マスク本体1と別体の開閉扉2で構成し、開閉扉2の左辺または右辺をマスク本体1に固定することによって横開きに開閉可能とし、 開閉扉2を閉じ状態に一時的に固定するために、開閉扉2とマスク本体1との固定部の反対側において開閉扉2とマスク本体1とに面ファスナーを設けたマスク。」 第4.対比・判断 1.本願発明と引用発明との対比 本願発明と引用発明とを対比する。 本願明細書には、「・・・マスク本体11の大きさ、形状は、少なくとも口2および口周辺を覆うことができる大きさ、形状であれば任意である。・・・、鼻5を覆う大きさ、形状とすることもできる。」(段落【0017】)との記載がある。そうすると、「鼻5を覆う」大きさのマスクは、本願発明の「口周辺」を覆うものであるといえる。したがって、「利用者の口および鼻までをも覆うマスク本体1」である引用文献2記載のマスクは、利用者の口に加えて口周辺を覆うものであるといえる。 引用発明の「マスク本体1」及び「耳掛け4」とは、それぞれ本願発明の「マスク本体(11)」及び「耳掛け部(12)」に相当する。 引用発明の「キリコミ点線」と本願発明の「開口13」は、飲食や発声といった利用者が口を外部に露出させるときに、マスク本体の内外を連通させるための連通手段である点で共通する。 引用発明のキリコミ点線は、「利用者の口元の一部を開閉できる」から、換言すれば、利用者の口元を全部は露出させないものであることは明らかである。そうすると、引用発明の「キリコミ点線3」は、本願発明の「開口(13)」と、利用者の口を全部は露出させない点で、共通する。 そうすると、本願発明と引用発明とは以下の点で一致し、かつ、相違する。 <一致点> 「利用者の口および口周辺を覆うマスク本体と、このマスク本体の左右に設けられ、利用者の耳に掛けられる耳掛け部とを備えたマスクであって、 前記マスク本体の中央部分に設けた連通手段と、 を備え、 前記連通手段は利用者の口を全部は露出させない大きさとしたマスク」 <相違点> 本願発明は、「前記マスク本体(11)の中央部分に設けられた開口(13)と、 この開口(13)をマスク本体(11)の表側(11a)から開閉可能に覆う蓋片(14)と、を備え、 前記蓋片(14)はマスク本体(11)と別体の蓋片で構成し、蓋片(14)の左辺または右辺をマスク本体(11)に固定することによって横開きに開閉可能とし、 蓋片(14)を閉じ状態に仮固定するために、蓋片(14)とマスク本体(11)との固定部(14b)の反対側において蓋片(14)とマスク本体(11)とに面ファスナー(14f、11f)を設けると同時に、 前記開口(13)は利用者(1)の口(2)を全部は露出させない大きさとした」ものであるのに対し、 引用発明は、「前記マスクの中央部分に設けられたキリコミ点線3と、 前記キリコミ点線3は利用者の口元の一部を開閉」するものである点 2.相違点についての検討 (1) 引用文献2には、上記第3.2.(1)の摘記事項イ.の「乾燥を防ぐために飲み物でのどを潤す場合や、また装着したままの会話は相手が聞きづらいなど、マスクを装着したままでは不便が生じ、そのつどマスクをはずすかあごの下まで下げなければならず、鼻も口も露出してマスクの目的を成しえないという問題点があった。」との記載、及び、同「本考案のマスクによれば、必要に応じて口元、または口元の一部を開閉できると同時に、常にマスクを装着した状態を提供することができる。」との記載がある。そうすると、引用発明はマスクにおいて、マスクを装着したままでは「飲み物でのどを潤す場合」や「会話」が不便である、との課題を解決しようとした発明であって、「必要に応じて口元、または口元の一部を開閉」するようにしたものである。 一方、引用文献3には、上記第3.2.(2)の摘記事項イ.の「従来のマスクでは飲食、会話、息苦しい時マスクを外さなくてはならなかった」との記載、及び、同摘記事項ウ.の「飲食及び会話時着脱体3cを着脱部1bから脱すると弾性体3bの復元力により開閉扉2が渦巻状に収縮し開閉口1aが開き、口または口鼻が露出され、飲食、会話等が可能になり開閉口1aと閉じる場合は吹き込み管3dに息を吹き込むことにより開閉器3及び接着された開閉扉2が伸長され着脱体3cと着脱部1bに接着させることにより密閉し外気を遮断する通常のマスク機能が得られる」との記載がある。そうすると、引用発明と引用文献3記載事項は、マスクにおいて、飲み物の摂取や会話をマスクを装着したまま可能とする、との属する技術分野と解決しようとする課題において共通する。 ここで、引用文献3記載事項の「マスク本体1」、「耳掛け5」、「開閉口1a」及び「開閉扉2」は、本願発明の「マスク本体(11)」、「耳掛け部(12)」、「開口(13)」及び「蓋片(14)」にそれぞれ相当する。さらに、引用文献3記載事項の「面ファスナー」による「開閉扉2」と「マスク本体1」を、一時的に固定することは、本願発明の「仮固定」に相当する。 そうすると、上記共通する課題を解決しようとして、引用発明の連通手段と、当該連通手段を開閉可能に覆う手段として、同じ技術分野に属し、解決しようとする課題も共通する上記引用文献3記載事項の連通手段や開閉可能に覆う手段を適用して、連通手段として開口を設け、開閉可能に覆う手段として上記相違点に係る構成を備えた横開きに開閉可能な蓋辺を設けることに、格別の困難性は認められない。 その際に、引用発明に設ける「開口」の大きさを、利用者の口を全部は露出させない大きさとした点は、引用発明の「キリコミ点線」が、「またキリコミ点線の一部を開きストローを差し込んで開閉を最小限にする」(上記第3.2.(1)の摘記事項イ.)ためのものであるから、同様に「開閉を最小限」しようとして、当然に採用する構成であるにすぎない。また、引用文献3記載事項の開閉口1aを、利用者の口を全部は露出させない大きさとすることは開閉口1aの大きさを小さくすることであるから、開閉扉2は、サイズの変更等の改造をせずとも、より小さくなった開閉口1aを開閉できることは当業者にとって自明であるから、上記引用文献3記載事項を引用発明へ適用することを阻害する事由はない。 (2)作用効果について 請求人は、平成28年11月29日付け意見書において、本願発明の作用効果について、 「この発明特定事項により,当初明細書0009段落記載の効果、特に、 (イ) このマスク本体中央部分の開口は、少し物を飲食するための開口(利用者(1)の口(2)を全部は露出させない大きさの開口)とすれば足りるから、大きな開口(少なくとも従来のように耳掛け部を外したりマスク本体を上下にずらしたりした場合に露出される面積と同程度の大きさの開口)とする必要は無い。 したがって、この発明のマスクによれば、これを装着した状態で飲食する際の口および口周辺の露出面積を小さくできるため、この発明のマスクは、口および口周辺を覆い隠したい場合の利用に適したものとなる。 という効果を奏するものであります。 (ロ) マスク本体(11)と別体の蓋片(14)を横開きに開閉可能としたので蓋片(14)の開操作が容易であるし、横開きにしたにもかかわらず、蓋片(14)とマスク本体(11)との固定部(14b)の反対側に設けた面ファスナー(14f、11f)によって蓋片(14)の閉状態も安定する。」と主張しているから検討する。 まず、上記主張(イ)について検討する。 マスクの分野においては、花粉や埃が体内に侵入することや着用者からの排出を妨ぐためのマスクを、口や口元を中心とした顔面を隠すために用いることは従来周知(例えば、特開2014-133069号公報(「・・・風邪用マスクは口元付近を大きく隠すが呼吸口付近以外の部分は皮膚を隠すだけで十分に活用されていない点にある。」(段落【0003】))、特開平10-99458号公報(「・・・マスクの遮蔽性は、着用者が口もとを隠すことで安心感を覚えるという心理的な効果として重要である。・・・」(段落【0013】))、特開2014-87578号公報(「・・・逆に、マスクで赤くなった鼻の頭を隠す必要にせまられるのである。」(段落【0004】))、及び、登録実用新案第3185729号公報(「着用者の口や鼻を広範囲に被うマスクは花粉や病菌やほこりを防ぐ衛生上の観点から極めて重要なものである。しかし、着用者の口や鼻を広範囲に被うマスクは、銀行のATM操作などで犯罪をたくらむ者が顔を隠すための道具として悪用している。・・・」(段落【0002】))を参照のこと。)であったといえる。 そうすると、「人体への異物の侵入を防止するための衛生用マスク」(第3.2.(1)摘記事項ア.)である引用発明に上記引用文献3記載事項を適用して、開口の大きさを利用者の口を全部は露出させない大きさとしたものを、上記従来周知の用途である口や口元を中心とした顔面を隠すために用いたならば、「開口」の大きさは、利用者の口を全部は露出させない大きさであるから、少なくとも従来のように耳掛け部を外したりマスク本体を上下にずらしたりした場合に露出される大きさよりも小さいことは明らかであり、したがって、上記主張(イ)に係る本願発明の作用効果は、当業者が容易に予測し得た範囲のものである。 次に上記主張(ロ)について検討すると、引用文献3記載事項は、マスクにおいて横開きに開閉可能なマスク本体1と別体の開閉扉3を備えたものであるから、引用発明に引用発明3事項を適用することで、自ずと奏される効果であるに過ぎない。 3. 小括 上記2.に示したように、本願発明は、引用発明及び引用文献3記載事項、並びに、従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。 第5.まとめ 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に該当するから、特許を受けることができない。 したがって、結論のとおり、審決する。

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2016-013013

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