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特許拒絶査定不服審判

2016-012565

作業機搭載用エンジン装置

審判番号
2016-012565
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-165479外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年08月19日
審決日
2017年09月11日
公報発行日
2017年10月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (F01N) / P18 .537-WY (F01N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-165479「作業機搭載用エンジン装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年2月6日出願公開、特開2014-25391、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 本願は、平成24年7月26日の出願であって、平成27年10月29日付けで拒絶理由が通知され、平成27年12月21日に意見書が提出されるとともに、明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたが、平成28年5月23日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成28年8月19日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に、明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出され、その後、当審において、平成29年5月8日付けで拒絶理由が通知され、平成29年6月29日に意見書が提出されるとともに、明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、平成27年12月21日、平成28年8月19日、及び平成29年6月29日に提出された手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、次のとおりのものであると認める。 「【請求項1】 ディーゼルエンジンを搭載した走行機体と、圃場の穀稈を刈取る刈取装置と、刈取った穀稈を脱穀する脱穀装置と、穀粒を取出す穀物タンクと、前記ディーゼルエンジンの排気ガスを処理する排気ガス浄化装置を備え、前記ディーゼルエンジンの排気管に前記排気ガス浄化装置の排気ガス取入れ口を接続させる作業機搭載用エンジン装置において、 前記走行機体にエンジンルームフレームを立設し、前記エンジンルームフレームによってエンジンルームを形成し、前記エンジンルーム内に前記エンジンが配置される構造であって、 前記排気ガス浄化装置を縦置き姿勢に設け、前記排気ガス浄化装置の下端側の前記排気ガス取入れ口が蛇腹状管を介して前記ディーゼルエンジンと連結されるとともに、前記排気ガス浄化装置の上端側に浄化出口管を介してテールパイプが接続されており、 前記排気ガス浄化装置の入口側の外周面であって周方向で異なる位置に、2つの支持ブラケット体を突設させており、 前記2つの支持ブラケットの一方が、前記エンジンルームフレームに連結されて前記排気ガス浄化装置の前後方向の移動を規制するとともに、前記2つの支持ブラケットの他方が、前記脱穀装置の機筐フレームに連結されて前記排気ガス浄化装置の左右方向の移動を規制しており、 前記排気ガス浄化装置の出口側の外周面に、一端側に複数の台ブラケットが連結されるフランジ体を突設させており、 前記脱穀装置の上面側に排気支持ブラケットを立設させており、 前記浄化出口管及び前記テールパイプは、前記複数の台ブラケット及び前記排気支持ブラケットにより支持されることを特徴とする作業機搭載用エンジン装置。 【請求項2】 前記排気ガス浄化装置の外側面のうちこの下端側にドレン口を設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業機搭載用エンジン装置。 【請求項3】 前記排気ガス浄化装置の外側面のうちこの上端側に吊下げ金具体を設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業機搭載用エンジン装置。」 なお、請求項1には、「2つの支持ブラケット体」、「前記2つの支持ブラケットの一方」及び「前記2つの支持ブラケット」と記載されており、前記「支持ブラケット体」と前記「支持ブラケット」は形式上異なるが、同項全体や明細書の段落【0042】及び【0045】ないし【0047】の記載を参照して、「支持ブラケット体」との表記に統一して認定した。 第3 引用文献に記載された発明 1 引用文献1の記載事項 原査定に引用された、本願の出願前に頒布された米国特許出願公開第2008/0142657号明細書(以下、「引用文献1」という、原査定では文献3として引用。)には、次の事項が図面とともに記載されている。 (1)“Vehicles for operation on the ground having internal combustion engines, particularly trucks and heavy vehicles, are increasingly provided with one or more exhaust aftertreatment devices. The exhaust aftertreatment device or devices may include catalytic converters, particulate filters, combustors, or mixing devices.・・・後略・・・”(段落[0002]) 『内燃機関を有する地上での運転のための車両、特に、トラック及び重い車両は、1つ又は複数の排気後処理装置を備えていることが多くなっている。排気後処理装置は、触媒式排気ガス浄化装置、粒子フィルタ、燃焼器や混合装置が含まれる。』(『』内は当審による仮訳。以下同じ。) (2)“FIG. 1 shows a vehicle 50 having a ladder-type vehicle frame 100 having frame side-members 101 . The vehicle 50 is provided with an engine 102 and an exhaust system 200 having an exhaust aftertreatment device 300 . The exhaust aftertreatment device 300 is mounted vertically and supported by an exhaust aftertreatment device mounting assembly 301 . The exhaust aftertreatment device 300 is further provided with a heat shield 600 , which protects against inadvertent contact with the exhaust aftertreatment device 300 , which may produce considerable heat.”(段落[0029]) 『図1は、フレーム側部部材101を有するはしご形の車体フレーム100を有する車両50を示す。車両50は、エンジン102と、排気後処理装置300を有する排気システム200を備える。排気後処理装置300は、垂直に取り付けられ、排気後処理装置組立品301によって支持されている。排気後処理装置300は、更に、多量の熱を発生するかも知れない排気後処理装置300にうっかり接触するのを防ぐために,熱シールド600を備える。』 (3)上記(1)、(2)及び図面の記載より分かること ア 上記(1)、(2)及び図1の記載によれば、排気後処理装置300は、エンジン102の排気ガスを処理するものであり、エンジン102の排気管に排気後処理装置300の排気ガス取入口が接続させていることが分かる。 イ 上記(2)及び図1の記載によれば、エンジン102を支持する車体フレーム100と排気後処理装置300とを備えた装置が構成されていることが分かる。また、排気後処理装置300の下端側に排気ガス取入口を配置し、排気後処理装置300の上端側に配管を設けており、排気後処理装置300の外周面であって上下方向に異なる位置に、2つの支持部材を設けており、2つの支持部材は、排気後処理装置組立品301に連結していることも分かる。 (4)引用発明 したがって、上記(1)ないし(3)を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 <引用発明> 「エンジン102を支持する車体フレーム100と、エンジン102の排気ガスを処理する排気後処理装置300とを備え、エンジン102の排気管に排気後処理装置300の排気ガス取入口を接続させる装置において、 排気後処理装置300を縦置き姿勢に設け、排気後処理装置300の下端側の排気ガス取入口がエンジン102に接続されており、 排気後処理装置300の外周面であって上下方向に異なる位置に、2つの支持部材を設けており、2つの支持部材は、排気後処理装置組立品301に連結しているエンジン102。」 第4 対比・判断 1 本願発明1について 本願発明1と引用発明とを対比すると、その機能、構造又は技術的意義からみて、引用発明における「車体フレーム100」は、本願発明1における「走行機体」に相当し、以下同様に、「支持する」は「搭載した」に、「排気後処理装置300」は「排気ガス浄化装置」に、「排気ガス取入口」は「排気ガス取入れ口」に、「接続」は「連結」に、「支持部材」は「支持ブラケット体」に、「設けている」ことは「突設させて」いることに、それぞれ相当する。 また、引用発明の「エンジン102」と本願発明の「ディーゼルエンジン」は、「エンジン」という点で共通し、引用発明の「装置」は、エンジンを備えた装置であるので、本願発明の「作業機搭載用エンジン装置」とは、「エンジン装置」という点で共通している。 してみると、本願発明1と引用発明とは、 「エンジンを搭載した走行機体と、前記エンジンの排気ガスを処理する排気ガス浄化装置を備え、前記エンジンの排気管に前記排気ガス浄化装置の排気ガス取入れ口を接続させるエンジン装置において、 前記排気ガス浄化装置を縦置き姿勢に設け、前記排気ガス浄化装置の下端側の前記排気ガス取入れ口が前記エンジンと連結されており、 前記排気ガス浄化装置の外周面であって異なる位置に、2つの支持ブラケット体を突設させているエンジン装置。」の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 本願発明1は、エンジンが「ディーゼルエンジン」であり、エンジン装置は「作業機搭載用」であり、該エンジン装置は、「圃場の穀稈を刈取る刈取装置と、刈取った穀稈を脱穀する脱穀装置と、穀粒を取出す穀物タンク」も備えているのに対し、引用発明は、エンジンがディーゼルエンジンであるか不明であり、エンジン装置が作業機搭載用であるか不明であり、エンジン装置が刈取装置、脱穀装置や穀物タンクを備えていない点(以下、「相違点1」という。)。 (相違点2) 本願発明1は、「走行機体にエンジンルームフレームを立設し、前記エンジンルームフレームによってエンジンルームを形成し、前記エンジンルーム内に前記エンジンが配置される構造」であるのに対し、引用発明は、そのような構造があるのか不明な点(以下、「相違点2」という。)。 (相違点3) 本願発明1は、「排気ガス浄化装置の下端側の前記排気ガス取入れ口が蛇腹状管を介して前記ディーゼルエンジンと連結されるとともに、前記排気ガス浄化装置の上端側に浄化出口管を介してテールパイプが接続されて」いるのに対し、引用発明は、そのような構成を有しない点(以下、「相違点3」という。)。 (相違点4) 本願発明1は、排気ガス浄化装置の「入口側の」外周面であって、「周方向で」異なる位置に、2つの支持ブラケットを突設させており、「2つの支持ブラケット体の一方が、エンジンルームフレームに連結されて排気ガス浄化装置の前後方向の移動を規制するとともに、前記2つの支持ブラケット体の他方が、脱穀装置の機筐フレームに連結されて前記排気ガス浄化装置の左右方向の移動を規制して」いるのに対し、引用発明は、排気ガス浄化装置の入口側の外周面であって、上下方向で異なる位置に、2つの支持ブラケットを突設させており、2つの支持ブラケットは排気後処理装置組立品301に連結している点(以下、「相違点4」という。)。 (相違点5) 本願発明1は、「排気ガス浄化装置の出口側の外周面に、一端側に複数の台ブラケットが連結されるフランジ体を突設させており、脱穀装置の上面側に排気支持ブラケットを立設させており、浄化出口管及びテールパイプは、前記複数の台ブラケット及び前記排気支持ブラケットにより支持される」のに対し、引用発明は、そのような構成を有しない点(以下、「相違点5」という。)。 そこで、事案に鑑み、先に相違点4について検討する。 原査定において周知技術を示す文献として引用された特開2011-244782号公報(以下、「引用文献2」という。原査定では文献1として引用。)や、特開2011-24510号公報(以下、「引用文献3」という。原査定では文献2として引用。)には、相違点4に係る本願発明1の発明特定事項について何ら記載されておらず、その示唆もない。 また、原査定で引用され、本願の出願前に頒布された特開2011-163339号公報(以下、「引用文献4」という、原査定では文献4として引用。)、及び、米国特許出願公開第2007/0039316号明細書(以下、「引用文献5」という、原査定では文献5として引用。)にも、相違点4に係る本願発明1の発明特定事項については何ら記載されておらず、その示唆もない。 本願発明1は、相違点4に係る発明特定事項を備えることにより、「前面支持ブラケット114及び側面支持ブラケット141を介して、各種作業機のシャーシフレーム(エンジンルームフレーム91または脱穀装置5の機筐フレーム144)などに排気ガス浄化装置74を多面的(多方向)に連結でき、機械振動などに対して排気ガス浄化装置74の耐震強度を向上できる。ディーゼルエンジン14に対して離間したシャーシフレームなどに排気ガス浄化装置74を高剛性に支持できる。排気ガス浄化装置74の支持構造を簡略化でき、低コストに構成できる。」(平成28年8月19日の手続補正書により補正された明細書の段落【0045】)、及び、「排気ガス浄化装置74の耐震性を高めて高剛性に支持できるものでありながら、ディーゼルエンジン14と作業部の間に形成されるスペースを利用して、排気ガス浄化装置74をコンパクトに配置できる。」(平成28年8月19日の手続補正書により補正された明細書の段落【0046】)との効果を奏するものである。 このような効果は、引用発明及び引用文献2ないし5に記載された事項から、当業者が予測できるものではない。 よって、本願発明1は、相違点1ないし3及び5を検討するまでもなく、引用発明及び引用文献2ないし5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 本願発明2及び3について 本願発明2及び3は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、それぞれ、本願発明1と同様に、引用発明及び引用文献2ないし5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 原査定の概要及び原査定についての判断 原査定は、平成27年12月21日の手続補正書により補正された請求項1ないし4に係る発明について、上記引用文献1に記載された発明、周知技術(上記引用文献2、3参照)、上記引用文献4に記載された発明及び上記引用文献5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。 しかしながら、平成29年6月29日の手続補正書により補正された請求項1に係る発明である本願発明1は、相違点4に係る発明特定事項を備えるものとなっており、前記のとおり、本願発明1ないし3は、引用発明及び上記引用文献2ないし5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第6 当審拒絶理由の概要及び当審拒絶理由についての判断 当審では、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2項に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知した。 しかしながら、平成29年6月29日の手続補正書により請求項1ないし3の記載は、上記「第2」のとおり補正されたので、上記拒絶の理由は解消した。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明1なし3は、いずれも、引用発明及び引用文献2ないし5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-012565

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