特許拒絶査定不服審判
2016-011626
情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
- 審判番号
- 2016-011626
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-536379外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年08月03日
- 審決日
- 2017年08月07日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】サターン ライセンシング エルエルシー
- 【請求人代理人】西川 孝
- 【請求人代理人】稲本 義雄
- 分類
- P18 .121-WY (H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-536379「情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月 5日国際公開、WO2012/043355、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 経緯
本願は、2011年(平成23年)9月22日(パリ条約による優先権主張2010年10月1日、米国、2011年6月17日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
平成27年10月 1日:拒絶理由の通知
平成27年11月30日:手続補正
平成28年 4月27日:拒絶査定
平成28年 5月10日:拒絶査定の謄本の送達
平成28年 8月 3日:拒絶査定不服審判の請求
平成28年 8月 3日:手続補正
第2 原査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。
[査定の理由]
この出願の請求項1~8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特開2008-53916号公報
第3 本願発明
1 本願請求項1~6に係る発明
本願請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明6」という。)は、平成27年11月30日付け、平成28年8月3日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
コンテンツデータと、前記コンテンツデータの再生を制御するための制御情報とからなるシナリオを複数含んでいるリンク型コンテンツを取得するコンテンツ取得部と、
前記制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報に従って、前記コンテンツデータを再生させることにより、前記リンク型コンテンツの再生を制御する再生制御部と、
イベントの発生を判定するイベント判定部と
を備え、
前記制御情報取得部は、現シナリオから、当該現シナリオとは異なるメディアタイプからなる他のシナリオへ遷移するためのイベントとして、特定の日時に発生する絶対時刻イベントであって、シナリオの時間軸上の始点及び終点により区切られた所定の時間帯である時間イベントにおいてのみ発生する前記絶対時刻イベントを含む前記制御情報を取得し、
前記イベント判定部は、前記所定の時間帯で前記絶対時刻イベントが発生したかどうかを判定し、
前記再生制御部は、前記所定の時間帯で前記絶対時刻イベントが発生したと判定された場合に、ユーザ操作により、現シナリオから他のシナリオへの遷移の指示があったとき、現シナリオを、当該現シナリオとは異なるメディアタイプからなる他のシナリオに遷移させる
情報処理装置。
【請求項2】
前記他のシナリオは、現シナリオの進行とは無関係なシナリオである
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
放送網を介して放送される、放送コンテンツを受信する受信部と、
前記所定の時間帯で前記絶対時刻イベントが発生したと判定された場合、現シナリオから遷移される他のシナリオを表示するためのコンテンツを、前記リンク型コンテンツから、前記放送コンテンツに切り替える表示制御部と
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御情報取得部は、前記放送コンテンツを特定するための情報を含む前記制御情報を取得し、
前記表示制御部は、前記制御情報に従って受信された前記放送コンテンツを表示させる
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置が、
コンテンツデータと、前記コンテンツデータの再生を制御するための制御情報とからなるシナリオを複数含んでいるリンク型コンテンツを取得し、
前記制御情報を取得し、
前記制御情報に従って、前記コンテンツデータを再生させることにより、前記リンク型コンテンツの再生を制御し、
現シナリオから、当該現シナリオとは異なるメディアタイプからなる他のシナリオへ遷移するためのイベントとして、特定の日時に発生する絶対時刻イベントであって、シナリオの時間軸上の始点及び終点により区切られた所定の時間帯である時間イベントにおいてのみ発生する前記絶対時刻イベントを含む前記制御情報を取得し、
前記所定の時間帯で前記絶対時刻イベントが発生したかどうかを判定し、
前記所定の時間帯で前記絶対時刻イベントが発生したと判定された場合に、ユーザ操作により、現シナリオから他のシナリオへの遷移の指示があったとき、現シナリオを、当該現シナリオとは異なるメディアタイプからなる他のシナリオに遷移させる
ステップを含む情報処理方法。
【請求項6】
情報処理装置の制御用のプログラムであって、
コンテンツデータと、前記コンテンツデータの再生を制御するための制御情報とからなるシナリオを複数含んでいるリンク型コンテンツを取得し、
前記制御情報を取得し、
前記制御情報に従って、前記コンテンツデータを再生させることにより、前記リンク型コンテンツの再生を制御し、
現シナリオから、当該現シナリオとは異なるメディアタイプからなる他のシナリオへ遷移するためのイベントとして、特定の日時に発生する絶対時刻イベントであって、シナリオの時間軸上の始点及び終点により区切られた所定の時間帯である時間イベントにおいてのみ発生する前記絶対時刻イベントを含む前記制御情報を取得し、
前記所定の時間帯で前記絶対時刻イベントが発生したかどうかを判定し、
前記所定の時間帯で前記絶対時刻イベントが発生したと判定された場合に、ユーザ操作により、現シナリオから他のシナリオへの遷移の指示があったとき、現シナリオを、当該現シナリオとは異なるメディアタイプからなる他のシナリオに遷移させる
ステップを含む処理を情報処理装置のコンピュータに実行させるプログラム。」
2 本願発明5の分説
本願発明5を分説すると、次のとおりである。
(本願発明5)
「(A)情報処理装置が、
(B)コンテンツデータと、前記コンテンツデータの再生を制御するための制御情報とからなるシナリオを複数含んでいるリンク型コンテンツを取得し、
(C)前記制御情報を取得し、
(D)前記制御情報に従って、前記コンテンツデータを再生させることにより、前記リンク型コンテンツの再生を制御し、
(E)現シナリオから、当該現シナリオとは異なるメディアタイプからなる他のシナリオへ遷移するためのイベントとして、特定の日時に発生する絶対時刻イベントであって、シナリオの時間軸上の始点及び終点により区切られた所定の時間帯である時間イベントにおいてのみ発生する前記絶対時刻イベントを含む前記制御情報を取得し、
(F)前記所定の時間帯で前記絶対時刻イベントが発生したかどうかを判定し、
(G)前記所定の時間帯で前記絶対時刻イベントが発生したと判定された場合に、ユーザ操作により、現シナリオから他のシナリオへの遷移の指示があったとき、現シナリオを、当該現シナリオとは異なるメディアタイプからなる他のシナリオに遷移させる
(A)ステップを含む情報処理方法。」
((A)~(G)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。)
第4 引用文献1、引用発明
1 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、「コンテンツ配信システム、情報端末装置、コンテンツ配信方法および画像切替プログラム」(発明の名称)に関し、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審が付与した。)
「【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ブロードキャスト・マルチキャストサービスにおいて、複数のユーザに送信されている複数のシナリオ(動画等)を、ユーザの選択や条件に応じて切り替えることができる。そのため、同じサービスを受信しているユーザが、それぞれ違ったストーリー(例えば、アドベンチャーゲーム)を楽しむことができる。その結果、ブロードキャスト・マルチキャスト配信サービスにおいても、ユーザに多種のコンテンツを提供することが可能となる。」
「【0032】
なお、ここでいう「シナリオ」とは、同時に配信されている複数の動画情報等をいう。具体的には、シナリオには、後述するイベント、文字情報、音楽情報、画像情報、音声情報も含まれる。例えば、シナリオは、複数の動画を含み、それらの動画が所定の順序で再生されるように配列されたコンテンツである。また、シナリオは、切り替え点を含み、あるシナリオ中の動画を切り替え点まで再生すると、その切り替え点から他のシナリオ中の動画に切り替えて、動画再生を行うことが可能に構成されている。
【0033】
「イベント」とは、シナリオを切り替えるための情報である。「イベント」は、ユーザが認識できるもの、例えば動画や文字情報の一部である。具体的には、イベントは、動画・文字情報中のクイズや選択肢等の情報である。
【0034】
「アクション」とは、次のシナリオを決定するための、イベントに対するユーザの指示操作を指す。」
「【0062】
実施の形態2.
次に、本発明による第2の実施の形態を図面を参照して説明する。第1の実施の形態のでは、ユーザの携帯端末1で、並列に配信されているシナリオの中から視聴するシナリオを選択していた。第2の実施の形態のコンテンツ配信システムでは、ユーザからのアクションに対して条件をもうける。そのようにすることにより、コンテンツサーバ4は、一定の条件を満たしたユーザにのみ、ユーザの個別チャネルを用いて特別シナリオを提供できる。なお、「個別チャネル」とは、各携帯端末1で個別に利用される固有のチャネルを意味する。また、本実施の形態の携帯端末1は、第1の実施の形態の携帯端末1と同じ構成要素を有する。
【0063】
図5は、本実施の形態のコンテンツ配信システムで実行される動作の一例を説明する説明図である。図5では、図4と同様に、ユーザA、Bは、同じ配信サービスに加入しているものとする。コンテンツプロバイダ(具体的には、コンテンツサーバ4)から提供される配信情報30が、共通チャネル34および35で受信される。
【0064】
上述した状況において、シナリオ31の最初のイベント36が発生した場合、ユーザA、Bの携帯端末1は、各ユーザの個別チャネルを用いてコンテンツサーバ4にアクションを特定できる情報を送信する。例えば、図5では、ユーザAの携帯端末1は、最初のイベント36に対し、ユーザA個別チャネル41でアクションを特定できる情報(アクション43)を送信している。ユーザBの携帯端末1は、最初のイベント36に対し、ユーザB個別チャネル42でアクションを特定できる情報(アクション44)を送信している。
【0065】
図5に示されているように、2番目のイベント38に対しては、ユーザAの携帯端末1は、アクションを特定できる情報を送信していない。一方、ユーザBの携帯端末1は、アクションを特定できる情報(アクション45)を送信している。その結果、コンテンツサーバ4は、ユーザBの携帯端末1に対しては、3番目の特別シナリオ46を、ユーザB個別チャネル42で配信している。ユーザAの携帯端末1は、シナリオ切り替えタイミング39以降も、引き続きシナリオ32中の動画を表示する。
【0066】
図6のフローチャートを用いて、図5に示されている例をより具体的に説明する。なお、図6における携帯端末1の動作は、ユーザBの携帯端末1で実行される動作を示したものである。図5に示されているように、コンテンツサーバ4は、シナリオ31,32,33を配信している(ステップS21)。なお、コンテンツサーバ4は、シナリオ31,32,33を継続的に同時配信しているものとする。携帯端末1は、ユーザB共通チャネル35を用いて、シナリオ中の動画の再生を開始する(ステップS22)。
【0067】
シナリオ中にイベントが発生すると、携帯端末1は、ユーザB個別チャネル42でアクションを特定できる情報(アクション45)をコンテンツサーバ4に送信する(ステップS23)。なお、携帯端末1は、第1の実施の形態で説明したように、イベント情報に従ってイベントの発生の有無を判別する。
【0068】
そして、コンテンツサーバ4は、ユーザB個別チャネル42を用いて特別シナリオ46を配信する(ステップS24)。特別シナリオを受信すると、携帯端末1は、特別シナリオ46中の動画の再生を開始する(ステップS25)。
【0069】
また、図5に示されている例では、イベントに対してアクションを特定できる情報を返したかどうかで、携帯端末1が特別シナリオを受信できるかどうかを判定している。すなわち、コンテンツサーバ4は、アクションを特定できる情報を返した場合のみ、携帯端末1に特別シナリオを配信する。しかしながら、特別シナリオを配信するか否かの判定は、必ずしもこの方法に限定されるものではない。
【0070】
例えば、コンテンツサーバ4は、アクションを特定できる情報の内容にポイントをつけ、ポイントが一定値を超えたら条件をクリアしたものと判定してもよい。その場合、コンテンツサーバ4は、携帯端末1に特別シナリオを配信する。具体的には、コンテンツサーバ4は、シナリオの分岐が発生した場合、最終的にある特定のシナリオに到達した携帯端末1に、特別シナリオを配信する。また、例えばコンテンツサーバ4は、クイズの正解数が一定値を超えたユーザの携帯端末1に、特別シナリオを配信してもよい。
【0071】
コンテンツサーバ4は、例えばイベントをある一定の順序で発生させることを、特別シナリオを配信するか否かの判定条件にしてもよい。
【0072】
あるいは、携帯端末1で、特別シナリオ中の動画を表示するか否かを判定してもよい。その場合、携帯端末1は、イベント制御部15の有するプログラムを用いて、特別シナリオ中の動画を再生するか否かを判定する。
【0073】
また、ユーザの発するアクションは、ユーザが明示的に入力部16から指示するものに限定されない。ユーザ端末(携帯端末1)の場所や、温度、速度、時間、確率等の情報をアクションとして使用してもよい。本発明によるコンテンツ配信システムでは、ユーザが明示的に指示しない情報もアクションとして使用できる。
【0074】
例えば、「場所」をアクションとする場合、テーマパークにおける宝探しゲームに適用することなどが考えられる。例えば宝探しゲームの場合、ユーザは、携帯端末1に配信される情報をもとにチェックポイントをまわる。そして、ある時間にイベントが発生すると、チェックポイントにあったユーザの携帯端末1にのみ、次のチェックポイントのヒントが配信される。
【0075】
また、例えば「時間」をアクションとする場合、ユーザの携帯端末1がコンテンツサーバ4に現在時刻を送信することなどが考えられる。ある特定の時間(例えば、12:00~13:00の間)にアクションを特定する情報を返した場合のみ、コンテンツサーバ4は、携帯端末1に特別なコンテンツを配信する。」
「【図5】
」
2 引用文献1に記載された発明
上記1の記載事項によると、引用文献1には、「実施の形態2.」として、携帯端末が記載されており、この携帯端末の動作を引用発明として認定する。
携帯端末の動作の詳細は、以下のとおりである。
(1)複数のシナリオからなる配信情報を受信する(段落【0063】、【0066】、図5)。
シナリオは、動画とイベント情報とを有し(段落【0032】、【0033】)、ユーザはイベントに対し、アクションを行う(段落【0064】、【0065】)。
ユーザのアクションに従って、シナリオを切り替える(段落【0065】)。
(2)段落【0067】~【0068】には、イベントにおいてユーザのアクションを特定できる情報を送信することにより、特別シナリオの動画を再生することが記載されている。
(3)段落【0073】~【0075】には、ユーザの発するアクションとして、ユーザが明示的に指示しない情報を使用することが記載され、段落【0075】には、「時間」をアクションとすることが記載されている。
段落【0075】の記載は、ユーザが明示的に指示しない情報を使用する例であるから、ユーザが指示をしないものである。そうすると、当該記載は、ユーザが指示をしないものであり、携帯端末が現在時刻をサーバに送信することを意味していると理解できる。
さらに、段落【0075】には、「ある特定の時間(例えば、12:00~13:00の間)にアクションを特定する情報を返した場合のみ、コンテンツサーバ4は、携帯端末1に特別なコンテンツを配信する」と記載されており、この携帯端末1は、特別シナリオ中の動画を再生できる(段落【0068】)から、「ある特定の時間(例えば、12:00~13:00の間)にアクションを特定する情報を返した場合のみ、」携帯端末は、特別シナリオに切り替えることが記載されているといえる。
(4)以上より、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。この発明を以下「引用発明」という。
(引用発明)
「携帯端末が、
動画と、イベント情報とからなるシナリオを複数含んでいる配信情報を受信し、
シナリオ中の動画を再生し、イベントに対して、ユーザはアクションを行い、当該アクションに従って、シナリオを切り替え、
ある特定の時間に、ユーザが明示的に指示しないものであって、携帯端末が現在時刻を送信することによって、特別シナリオに切り替える
方法。」
第5 対比・判断
1 本願発明5について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 構成要件Aと引用発明とを対比する。
引用発明の「携帯端末」の動作は、「携帯端末」が様々な処理を行って実行されているから、「情報処理方法」といえ、引用発明の「携帯端末」は、「情報処理装置」といえる。
したがって、本願発明5と引用発明とは、「情報処理装置が、・・・ステップを含む情報処理方法」として共通する。
イ 構成要件B~Dと引用発明とを対比する。
引用発明の「動画」は、「コンテンツデータ」といえる。
引用発明は、「動画と、イベント情報とからなるシナリオを複数含んでいる配信情報を受信し、イベントに対して、ユーザはアクションを行い、当該アクションに従って、シナリオを切り替え」るから、複数のシナリオはリンクしているといえる。したがって、引用発明における「複数のシナリオ」は「リンク型コンテンツ」といえる。
したがって、本願発明5と引用発明とは、
「コンテンツデータと、情報とからなるシナリオを複数含んでいるリンク型コンテンツを取得し、前記情報を取得し、前記リンク型コンテンツの再生を制御」する点で共通する。
しかしながら、「情報」が、本願発明5においては、「前記コンテンツデータの再生を制御するための制御情報」であり、「前記制御情報に従って、前記コンテンツデータを再生させることにより、前記リンク型コンテンツの再生を制御」するのに対し、引用発明においては、「イベント情報」であって、当該制御情報でなく、「前記制御情報に従って、前記コンテンツデータを再生させることにより、前記リンク型コンテンツの再生を制御」するものではない点で相違する。
ウ 構成要件E~Gと引用発明とを対比する。
引用発明は、「ある特定の時間に、ユーザが明示的に指示しないものであって、携帯端末が現在時刻を送信することによって、特別シナリオに切り替える」ものであり、時刻におけるシナリオの遷移に関し、本願発明と共通し、引用発明は、「特定時刻に現シナリオから他のシナリオへ遷移させる」ものといえる。
しかしながら、「特定時刻」に関し、本願発明5においては、「現シナリオから、当該現シナリオとは異なるメディアタイプからなる他のシナリオへ遷移するためのイベントとして、特定の日時に発生する絶対時刻イベントであって、シナリオの時間軸上の始点及び終点により区切られた所定の時間帯である時間イベントにおいてのみ発生する前記絶対時刻イベント」における「時刻」であるのに対し、引用発明においては、当該「時刻」ではなく、
それに伴い、本願発明5においては、
「前記絶対時刻イベントを含む前記制御情報を取得し、
前記所定の時間帯で前記絶対時刻イベントが発生したかどうかを判定し、
前記所定の時間帯で前記絶対時刻イベントが発生したと判定された場合に、ユーザ操作により、現シナリオから他のシナリオへの遷移の指示があったとき、現シナリオを、当該現シナリオとは異なるメディアタイプからなる他のシナリオに遷移させる」のに対し、
引用発明においては、上記の動作をしない点で相違する。
エ 以上より、本願発明1と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。
(一致点)
情報処理装置が、
コンテンツデータと、情報とからなるシナリオを複数含んでいるリンク型コンテンツを取得し、前記情報を取得し、前記リンク型コンテンツの再生を制御し、
特定時刻に現シナリオから他のシナリオへ遷移させる
ステップを含む情報処理方法。
(相違点1)
「情報」が、
本願発明5においては、「前記コンテンツデータの再生を制御するための制御情報」であり、「前記制御情報に従って、前記コンテンツデータを再生させることにより、前記リンク型コンテンツの再生を制御」するのに対し、
引用発明においては、「イベント情報」であって、当該「制御情報」でなく、「前記制御情報に従って、前記コンテンツデータを再生させることにより、前記リンク型コンテンツの再生を制御」するものではない点
(相違点2)
「特定時刻」に関し、
本願発明5においては、「現シナリオから、当該現シナリオとは異なるメディアタイプからなる他のシナリオへ遷移するためのイベントとして、特定の日時に発生する絶対時刻イベントであって、シナリオの時間軸上の始点及び終点により区切られた所定の時間帯である時間イベントにおいてのみ発生する前記絶対時刻イベント」における「時刻」であるのに対し、
引用発明においては、当該「時刻」ではない点
(相違点3)
相違点2に伴い、
本願発明5においては、
「前記絶対時刻イベントを含む前記制御情報を取得し、
前記所定の時間帯で前記絶対時刻イベントが発生したかどうかを判定し、
前記所定の時間帯で前記絶対時刻イベントが発生したと判定された場合に、ユーザ操作により、現シナリオから他のシナリオへの遷移の指示があったとき、現シナリオを、当該現シナリオとは異なるメディアタイプからなる他のシナリオに遷移させる」のに対し、
引用発明においては、上記の動作をしない点
(2)相違点についての判断
相違点2について検討する。
本願発明5においては、シナリオの時間軸上の始点及び終点により区切られた所定の時間帯に、特定の日時(絶対時刻)になるというように2つの条件が重なると、現シナリオから他のシナリオへの遷移のタイミングになるが、このような遷移のタイミングについての記載も示唆も引用文献1にはなく、このような遷移のタイミングが、自明の事項とも認められない。
したがって、引用発明における「ある特定時間」(上記一致点の「特定時刻」に相当)を相違点2に係る「時刻」とすることは、当業者であっても、容易に想到し得るものではない。
よって、本願発明5は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明1~4、6について
本願発明1、6は、本願発明5のカテゴリの異なる発明であって、上記相違点2と同様の構成を有しているから、本願発明5と同様な理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
本願発明2~4は、本願発明1を引用するから、上記相違点2と同様の構成を有しており、本願発明5と同様な理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 原査定について
上記第3~第5のとおり、本願発明1~6は、原査定において引用された引用文献1に記載された発明に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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