特許拒絶査定不服審判
2016-011003
液晶表示装置
- 審判番号
- 2016-011003
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-055919外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年07月21日
- 審決日
- 2017年03月28日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ベイジン メティス テクノロジー サービス センター(エルエルピー)
- 【請求人代理人】北野 修平
- 【請求人代理人】田中 勝也
- 【請求人代理人】西村 英人
- 分類
- P18 .113-Z (G02F) / P18 .575-Z (G02F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012- 55919「液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月26日出願公開、特開2013-190551〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年3月13日の出願であって、平成27年9月18日付けで拒絶理由が通知され、平成28年3月24日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年7月21日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲が補正されたものである。
第2 平成28年7月21日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年7月21日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を
「基板と、
前記基板と対向するように配置された対向基板と、
所定の間隙を形成するように前記基板と前記対向基板を接合するシール材と、
前記間隙に封入された液晶層と、
前記液晶層の厚さを規定するために前記間隙に配置された柱状スペーサと、
前記シール材の内周に沿って形成された内側突起と、
前記シール材の外周に沿って形成された外側突起と、を備え、
前記内側突起と前記外側突起は、幅/高さの値がそれぞれ0.5~10の範囲であり、
前記外側突起は、前記内側突起より、高さが低く形成され、前記外側突起の前記基板に対向する面と前記基板との間に流入した前記シール材により前記外側突起と前記基板とが接着されていることを特徴とする液晶表示装置。」
に補正することを含むものである。
2.本件補正についての検討
(1)本件補正は、補正前の「シール材」及び「外側突起」に関する構成を限定するものであり、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
したがって、以下に、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)について、独立特許要件の検討を行う。
(2)独立特許要件について
ア 本件補正後発明
本件補正後の請求項1に係る発明は、上記「1.本件補正の内容」に記載したとおりである。
イ 引用例の記載と引用発明
原査定の拒絶理由に引用された特開2007-304178号公報(以下「引用例」という。)には次の記載がある(下線は、当審による。)。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置の製造に用いられるカラーフィルタ、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置および電子ペーパー等のフラットパネルディスプレイは、薄型省スペースの表示装置として広く用いられている。これらの表示装置のうち、特に液晶表示装置の分野においては、液晶表示装置のカラー化が顕著である。
【0003】
液晶表示装置は、通常、カラーフィルタと、液晶駆動側基板(対向基板)と、両者の間に液晶材料が封入された薄い液晶層とを有し、液晶駆動側基板により液晶層内の液晶配列を電気的に制御して表示側基板の透過光または反射光の量を選択的に変化させることによって表示を行う。」
(イ)「【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明においては、基材と、上記基材の画素領域上に形成された着色層と、上記画素領域の外側の領域上に、上記画素領域を囲むように形成された壁部とを有し、上記壁部の外側側面または上底面に、接着部が形成されていることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0009】
本発明によれば、画素領域を囲むように壁部が形成され、さらにその壁部の外側側面または上底面に接着部が形成されているため、本発明のカラーフィルタを用いることにより、接着部が液晶層等と直接接触しない構造の液晶表示装置を得ることができる。
【0010】
また、上記発明においては、上記画素領域に柱状スペーサを有し、上記柱状スペーサと上記壁部とが同一材料により形成されていることが好ましい。同一材料を用いて製造することで、製造効率の向上を図ることができるからである。
【0011】
また、上記発明においては、上記画素領域と上記壁部との間の基材表面上に、内側補助壁部が形成されていることが好ましい。内側補助壁部を設けることにより、例えば、液体透明導電膜材料を用いて透明導電膜を形成する場合に、内側補助壁部が土手として機能し、均一な透明導電膜を得ることができるからである。
【0012】
また、上記発明においては、上記基材と上記壁部との間に、台座部が形成されていることが好ましい。台座部を設けることにより、基材から壁部の上底面までの高さを任意に調節することができるからである。
【0013】
また、上記発明においては、上記接着部が上記壁部の外側側面に形成され、さらに上記接着部の外側側面に外側補助壁部が形成されていることが好ましい。外側補助壁部を設けることにより、カラーフィルタと対向基板とを密着する際に、接着部が型崩れすることを防止できるからである。」
(ウ)「【0024】
(1)壁部
まず、本態様に用いられる壁部について説明する。…
【0026】
上記壁部の幅としては、カラーフィルタの大きさ等により異なるものであるが、例えば5μm~5000μmの範囲内、中でも20μm~1000μmの範囲内であることが好ましい。上記壁部の幅が小さすぎると、土手としての機能を充分に発揮できない可能性があり、上記壁部の幅が大きすぎると、カラーフィルタが必要以上に巨大化し、液晶表示装置にした際に、未機能の表示面積が大きくなり、単位面積あたりの表示領域が低下するからである。
【0027】
また、上記壁部の高さとしては、特に限定されるものではないが、画素領域上に柱状スペーサが形成された場合における、基材表面から柱状スペーサの上底面までの高さと、同等またはそれ以下であることが好ましい。上記壁部の高さとしては、具体的には0.5μm~10μmの範囲内、中でも1μm~8μmの範囲内であることが好ましい。
…
【0044】
また、上記外側補助壁部の幅としては、接着部の型崩れを防止することができれば特に限定されるものではないが、通常5μm~5000μmの範囲内である。また、上記外側補助壁部の高さは、上記壁部の高さよりも低いことが好ましい。接着材料が液晶層等に流入し難くなるからである。また、上記壁部と上記外側補助壁部との距離としては、接着材料の種類等により異なるものであるが通常100μm~10000μmの範囲内である。」
(エ)「【0045】
(2)接着部
次に、本態様に用いられる接着部について説明する。本態様に用いられる接着部は、上記壁部の外側側面に形成されるものであり、カラーフィルタと対向基板とを密着する際に、接着性を発現するものである。」
(オ)「【0085】
以下、本発明について、実施例を通じてさらに詳述する。
[実施例]
…。
【0110】
…。壁部および外側補助壁部の線幅は共に50μm、高さはCSと同じ5μm、壁部と外側補助壁部との間隔は3mmであった。」
上記(ア)には、
「カラーフィルタと、液晶駆動側基板(対向基板)と、両者の間に液晶材料が封入された液晶層とを有する液晶表示装置。」が記載されているものと認められる。
上記(イ)には、上記「カラーフィルタ」について、
「基材と、上記基材の画素領域上に形成された着色層と、上記画素領域の外側の領域上に、上記画素領域を囲むように形成された壁部とを有し、上記壁部の外側側面に、接着部が形成されて」おり、「上記画素領域に柱状スペーサを有し」、「上記接着部が上記壁部の外側側面に形成され、さらに上記接着部の外側側面に外側補助壁部が形成されている」ことが記載されているものと認められる。
上記(ウ)には、上記「壁部」の幅について、「5μm~5000μmの範囲内」、また、高さについて「0.5μm~10μmの範囲内」と記載されている。
上記(ウ)には、上記「外側補助壁部」の幅について「5μm~5000μmの範囲内」、また、高さについて、「壁部の高さよりも低い」ことが記載されている。
上記(エ)には、上記「接着部」について、「カラーフィルタと対向基板とを密着する際に、接着性を発現する」ものであることが記載されている。
上記(オ)には、実施例として、上記「壁部」及び「外側補助壁部」の幅を50μm、高さを5μmとしたことが記載されている。
以上によれば、引用例には
「カラーフィルタと、液晶駆動側基板(対向基板)と、両者の間に液晶材料が封入された液晶層とを有する液晶表示装置であって、
上記カラーフィルタは、
基材と、上記基材の画素領域上に形成された着色層と、上記画素領域の外側の領域上に、上記画素領域を囲むように形成された壁部とを有し、上記壁部の外側側面に接着部が形成されており、上記画素領域に柱状スペーサを有し、上記接着部の外側側面に、上記壁部よりも低い高さの外側補助壁部が形成されており、
上記壁部は、幅が5μm~5000μmの範囲内で、高さが0.5μm~10μmの範囲内であり、
上記外側補助壁部は、幅が5μm~5000μmの範囲内であり、
上記接着部は、カラーフィルタと対向基板とを密着する際に、接着性を発現する
液晶表示装置。」(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
ウ 対比・判断
本願補正発明と引用発明を対比する。
(ア)引用発明の「液晶駆動側基板(対向基板)」、「基材」、「液晶層」及び「液晶表示装置」は、それぞれ、本願補正発明の「基板」、「対向基板」、「液晶層」、及び「液晶表示装置」に相当する。
(イ)引用発明の「接着部」が本願補正発明の「シール材」に相当するところであり、引用発明において、「壁部の外側側面に接着部が形成されており」、また、「接着部の外側側面に…外側補助壁部が形成されている」から、引用発明の「壁部」及び「外側補助壁部」は、それぞれ、本願補正発明の「前記シール材の内周に沿って形成された内側突起」及び「前記シール材の外周に沿って形成された外側突起」に相当する。
(ウ)引用発明は、「カラーフィルタと、液晶駆動側基板(対向基板)と、両者の間に液晶材料が封入された液晶層とを有する」ものであって、「カラーフィルタ」は、「上記画素領域に柱状スペーサを有し」、「接着部」は、「カラーフィルタと対向基板とを密着する際に、接着性を発現する」から、「柱状スペーサ」は、封入された「液晶層」の厚さを規定するためのスペーサであるものと認められる。
したがって、引用発明の「柱状スペーサ」は、本願補正発明の「柱状スペーサ」に相当する。
(エ)引用発明の「壁部」は、幅が「5μm~5000μmの範囲内」で、高さが「0.5μm~10μmの範囲内」とされ、実施例において、幅「50μm」、高さ「5μm」が採用されていることに鑑みれば、引用発明の「壁部」として、「幅/高さの値が0.5~10の範囲」のものは普通に採用されるものと認められるところである。
また、引用発明の「外側補助壁部」についても、幅が「5μm~5000μmの範囲内」とされており、実施例において、幅「50μm」、高さ「5μm」が採用されていることに鑑みれば、高さについて「壁部の高さよりも低い」とされているものの、「幅/高さの値が0.5~10の範囲」のものは普通に採用される範疇のものと認められる。
したがって、本願補正発明の「前記内側突起と前記外側突起は、幅/高さの値がそれぞれ0.5~10の範囲であり」との発明特定事項について、引用発明と本願補正発明とで、格別の相違は認められない。
(オ)引用発明の「外側補助壁部」の高さは、「壁部」の高さより低いから、余分な接着材料は、(引用例の【0044】に「接着材料が液晶層等に流入し難くなる」と記載されているように)液晶層側(「壁部」の内側)への流入が抑えられ、「外側補助壁部」の「液晶駆動側基板」に対向する面と前記「液晶駆動側基板」との間に流入するものと認められるところであり、この流入した接着材料は、「外側補助壁部」と「液晶駆動側基板」を接着するものと認められる。
したがって、本願補正発明の「前記外側突起は、前記内側突起より、高さが低く形成され、前記外側突起の前記基板に対向する面と前記基板との間に流入した前記シール材により前記外側突起と前記基板とが接着されている」との発明特定事項に関しても、本願補正発明と引用発明に格別の相違は認められない。
以上のとおり、本願補正発明と引用発明に格別の相違は認められない。
したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
エ 独立特許要件についてのまとめ
本件補正は、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しない。
3.補正却下の決定についてのまとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しないものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載される事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「基板と、
前記基板と対向するように配置された対向基板と、
所定の間隙を形成するように前記基板と前記対向基板を接合するシール材と、
前記間隙に封入された液晶層と、
前記液晶層の厚さを規定するために前記間隙に配置された柱状スペーサと、
前記シール材の内周に沿って形成された内側突起と、
前記シール材の外周に沿って形成された外側突起と、を備え、
前記内側突起と前記外側突起は、幅/高さの値がそれぞれ0.5~10の範囲であることを特徴とする液晶表示装置。」
2.判断
本願発明は、上記「第2 2.本件補正についての検討」で検討した本願補正発明から「前記外側突起は、前記内側突起より、高さが低く形成され、前記外側突起の前記基板に対向する面と前記基板との間に流入した前記シール材により前記外側突起と前記基板とが接着されている」との限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 2.本件補正についての検討」において検討したとおり、引用例に記載された発明であるから、本願発明も、当然に、引用例に記載された発明ということとなる。
したがって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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