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特許拒絶査定不服審判

2016-010743

ブレーキ装置

審判番号
2016-010743
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-534350外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年07月15日
審決日
2017年06月26日
公報発行日
2017年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B66B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-534350「ブレーキ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月26日国際公開、WO2012/052600、平成25年10月31日国内公表、特表2013-540088〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件出願は、2011年10月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年10月21日、フィンランド共和国)を国際出願日とする出願であって、平成25年4月19日に国内書面とともに明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の翻訳文(以下、「翻訳文」という。)が提出されるとともに、平成26年9月26日に手続補正書が提出され、平成27年5月22日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成27年10月9日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年3月11日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成28年7月15日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。 なお、平成28年7月15日に提出された手続補正書による手続補正は、請求項1、2及び7について、請求項1に記載されていた「電力供給遮断デバイス」と整合すべく、補正前の「遮断デバイス」を「電力供給遮断デバイス」とするものであり、誤記の訂正を目的とするものである。 第2 本願発明 本件出願の請求項1ないし11に係る発明は、平成25年4月19日に提出された翻訳文における明細書及び図面の記載並びに平成28年7月15日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるものであるところ、本件出願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次の事項により特定されるとおりのものと認める。 「巻上機の回転部分を制動するブレーキ装置であって、該ブレーキ装置は1つ以上のブレーキを含み、該ブレーキは全体として、 少なくとも1つの可動なブレーキシューと、 該ブレーキシューを前方に移動させることによって前記ブレーキを駆動するスプリング要素と、 励磁電流によって励磁された際、磁束の伝導体に引力を加える少なくとも2つの電磁石とを含み、 該電磁石は、前記スプリング要素に抗することにより前記少なくとも1つのブレーキシューを後方に引き戻すことによって、前記ブレーキを解放するように配設され、 前記ブレーキは、前記電磁石の励磁電流を低減させることによって駆動されるように配設され、 該ブレーキ装置は、前記電磁石用の電力供給回路を含み、該電力供給回路は制御可能な電力供給遮断デバイスを含み、 前記電磁石は、各電磁石への励磁電流の供給が少なくとも2つの別個の電力供給遮断デバイスによって遮断可能となるように前記電力供給回路に接続され、 該ブレーキ装置はブレーキ制御ユニットを含み、該ブレーキ制御ユニットは少なくとも2つの制御要素を含み、該制御要素のうちの第1の制御要素は、第1の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、該第1の電力供給遮断デバイスを使用して第1の電磁石への励磁電流の供給を遮断可能であり、一方、前記制御要素のうちの第2の制御要素は、第2の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、該第2の電力供給遮断デバイスを使用して第2の電磁石への励磁電流の供給を遮断可能であり、 第1の電力供給遮断デバイスは、第2の電磁石ではなく第1の電磁石への励磁電流を遮断するように配設され、 第2の電力供給遮断デバイスは、第1の電磁石ではなく第2の電磁石への励磁電流を遮断するように配設され、 前記電力供給回路は、制御可能な第3の電力供給遮断デバイスを含み、第3の電力供給遮断デバイスは、第2の電磁石ではなく第1の電磁石への励磁電流の供給を遮断するように配設され、前記制御要素のうちの第2の制御要素は、第3の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、 前記電力供給回路は、制御可能な第4の電力供給遮断デバイスを含み、第4の電力供給遮断デバイスは、第1の電磁石ではなく第2の電磁石への励磁電流の供給を遮断するように配設され、前記制御要素のうちの第1の制御要素は、第4の電力供給遮断デバイスを制御するように配設されていることを特徴とするブレーキ装置。」 第3 引用刊行物 1 刊行物1 (1)刊行物1の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特開2008-222358号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0007】 この発明はエレベーターの制御装置に関し、主索を介してかごと釣合い重りとを昇降させる巻上機と、前記巻上機に組込まれたモータと、前記モータに電力を供給する電力変換手段と、を備えたつるべ式エレベーターの制御装置であって、第1のブレーキシューと、第1のブレーキコイルを有し前記第1のブレーキシューを作動させる作動機構と、を具備する第1のブレーキと、第2のブレーキシューと、第2のブレーキコイルを有し前記第2のブレーキシューを作動させる作動機構と、を具備し、前記第1のブレーキとは独立して動作する第2のブレーキと、前記第1のブレーキコイル及び前記第2のブレーキコイルのそれぞれに独立して通電することにより前記第1のブレーキ及び前記第2のブレーキのそれぞれを独立に制御可能なブレーキ制御装置と、前記かご内に積載された負荷を検出するかご内負荷検出手段と、前記モータの回転位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段が検出した回転位置に応じて前記電力変換手段に電力指令を入力するとともに、前記ブレーキ制御装置にブレーキ解放指令を入力する全体制御手段と、を備え、前記かご内負荷検出手段が前記かご内は無負荷状態であることを検出した時に、前記ブレーキ制御装置を介して前記第1のブレーキコイル又は前記第2のブレーキコイルのいずれか一方のみに通電し、これに対応する前記第1のブレーキ又は前記第2のブレーキのいずれか一方のみを解放した上で、前記電力変換手段を介して前記モータに対し予め任意に設定した補償トルクを印加した状態にし、前記位置検出手段により前記モータの回転位置の変動量を計測し、この計測値が滑り検出閾値以上であった場合に、前記第1のブレーキ又は前記第2のブレーキのうち解放していない他方のブレーキの制動力低下を検出する構成としたことで、ブレーキの異常が検出された際においても、かご内に積載物を閉じ込めてしまう恐れがないという効果を奏する。 また、ガイドシューとガイドレールとの間の摩擦等に起因する制動力(昇降路ロストルク)を考慮に入れた上で、正確な電磁ブレーキの制動力を対象としたブレーキ異常の検査を行うことができるという効果も合わせ奏する。」(段落【0007】) イ 「【0008】 実施の形態1. 図1及び図2は、この発明の実施の形態1に関するもので、図1はエレベーターの制御装置の全体を示す構成図、図2はエレベーターの制御装置の動作を示すフローチャートである。 図1において、エレベーターの昇降路(図示せず)にはかご1が配置されており、前記かご1は各階床2に停止するようになっている。前記かご1にはかご戸(図示せず)の開閉を制御するドア制御装置3と、前記かご1内の負荷状態を検査し、これが無負荷である場合に無負荷検出信号Lsを出力するかご内負荷検出器4と、が設置されている。また、前記かご1には前記かご戸の開閉可能範囲である戸開ゾーンを検出する戸開ゾーン検出器5が設置され、前記昇降路には前記戸開ゾーン検出器5に対向するように検出板6が配設されている。 前記昇降路上方の機械室(図示せず)には、巻上モータ7を備えた巻上機(図示せず)が設置されている。前記巻上モータ7の回転軸に軸着された駆動綱車8には主索9が巻き掛けられ、前記主索9の一端には前記かご1が、他端には釣合い重り10が結合されている。また、前記巻上モータ7の回転軸にはパルス発生器11が取付されている。そして、前記巻上モータ7には互いに独立した第1の電磁ブレーキ12及び第2の電磁ブレーキ13が設けられており、各々は、ばね(図示せず)の作用で前記巻上モータ7を制動する第1のブレーキシュー12a及び第2のブレーキシュー13a、並びに、付勢されると前記第1のブレーキシュー12a及び前記第2のブレーキシュー13aをそれぞれ独立に吸引して制動を解除する第1のブレーキコイル12b及び第2のブレーキコイル13bを有している。また、前記第1のブレーキシュー12a及び前記第2のブレーキシュー13aの動作をそれぞれ独立に検出する第1のブレーキスイッチ14及び第2のブレーキスイッチ15が設けられている。 【0009】 前記第1のブレーキコイル12b及び前記第2のブレーキコイル13bはそれぞれ電磁接触器(図示せず)の常開接点16a、16b(ブレーキ解放指令Bs1が出力されると閉成、出力されないと開放)及び17a、17b(ブレーキ解放指令Bs2が出力されると閉成、出力されないと開放)を介して直流電源18に接続されている。前記第1の電磁ブレーキ12全体及び前記第2の電磁ブレーキ13全体をそれぞれ制御する全体制御装置19は、マイクロコンピュータで構成され、CPU20、ROM21、RAM22、入力ポート23及び出力ポート24を有し、バス25で相互に接続されている。 前記入力ポート23には、前記戸開ゾーン検出器5、前記パルス発生器11、前記第1のブレーキスイッチ14及び前記第2のブレーキスイッチ15が接続され、前記出力ポート24には、前記ドア制御装置3、前記常開接点16a、16b及び17a、17b並びに電力変換装置26が接続されている。そして、前記電力変換装置26は前記巻上モータ7に接続されている。なお、前記ブレーキ解放指令Bs1及びBs2は、それぞれ独立に出力することが可能なように構成されている。 【0010】 前記全体制御装置19はトルク指令Tsを前記電力変換装置26に対し出力し、前記電力変換装置26は三相交流電力Pmを前記巻上モータ7に供給してこれを駆動する。そして、前記全体制御装置19は、前記巻上モータ7の回転速度が速度指令信号に一致するように適当な方法でもって制御して、前記かご1を昇降運転する。この際、同時に前記ブレーキ解放指令Bs1及びBs2も出力され、前記常開接点16a、16b及び17a、17bは閉成している。従って、前記第1のブレーキコイル12b及び前記第2のブレーキコイル13bは付勢され前記第1のブレーキシュー12a及び前記第2のブレーキシュー13aを吸引するため、前記巻上モータ7は解放された状態となっている。 このようにして前記かご1が昇降し、呼び登録のある前記階床2に着床して、前記戸開ゾーン検出器5が前記検出板6に対向すると、前記戸開ゾーン検出器5から階床検出信号Zsが生成され、前記入力ポート23を介して前記全体制御装置19へと入力される。これにより、前記全体制御装置19は前記かご1が停止したと判定し、前記電力変換装置26へ出力していた前記トルク指令Tsを断つとともに、前記常開接点16a、16bに対するブレーキ解放指令Bs1及び前記常開接点17a、17bに対するブレーキ解放指令Bs2を遮断する。これで、前記常開接点16a、16b及び17a、17bは開放するため、前記ばねの作用により前記第1のブレーキシュー12a及び前記第2のブレーキシュー13aが前記巻上モータ7を制動する。」(段落【0008】ないし【0010】) (2)上記(1)及び図面の記載から分かること ア 上記(1)ア及びイ並びに図1の記載によれば、刊行物1には、巻上機の巻上モータ7を制動するブレーキ装置が記載されていることが分かる。 イ 上記(1)ア及びイ並びに図1の記載(特に、段落【0008】及び【0010】並びに図1の記載)によれば、ブレーキ装置は、2つの電磁ブレーキ12,13を含み、該電磁ブレーキ12,13は全体として、2つの可動なブレーキシュー12a,13aと、該ブレーキシュー12a,13aを前方に移動させることによって前記電磁ブレーキ12,13を駆動するばねと、励磁電流によって励磁された際、磁束の伝導体に引力を加える2つのブレーキコイル12b,13bとを含むことが分かる。 ここで、2つのブレーキコイル12b,13bのそれぞれは、励磁電流によって励磁された際、2つの可動なブレーキシュー12a,13aを動作させるための磁束の伝導体に引力を加えることは明らかである。 ウ 上記(1)ア及びイ並びに図1の記載(特に、段落【0010】及び図1の記載)によれば、ブレーキ装置において、ブレーキコイル12b,13bは、ばねに抗することにより2つのブレーキシュー12a,13aを後方に引き戻すことによって、電磁ブレーキ12,13を解放するように配設され、前記電磁ブレーキ12,13は、前記ブレーキコイル12b,13bの励磁電流を低減させることによって駆動されるように配設されることが分かる。 エ 上記(1)ア及びイ並びに図1の記載(特に、段落【0010】及び図1の記載)によれば、第1のブレーキコイル12b及び第2のブレーキコイル13bは、それぞれ2つの電磁接触器を介して直流電源18に対して接続されていることから、ブレーキ装置は、ブレーキコイル12b,13b用の電力供給回路を含み、該電力供給回路は制御可能な電磁接触器を含み、前記ブレーキコイル12b,13bは、各ブレーキコイル12b,13bへの励磁電流の供給が少なくとも2つの別個の電磁接触器によって遮断可能となるように前記電力供給回路に接続されることが分かる。 オ 上記(1)ア及びイ並びに図1の記載(特に、段落【0009】及び図1の記載)によれば、ブレーキ装置は全体制御装置19を含み、該全体制御装置19は第1のブレーキ解放指令Bs1及び第2のブレーキ解放指令Bs2を独立に出力するマイクロコンピュータで構成されることが分かる。 カ 上記(1)ア及びイ並びに図1の記載(特に、段落【0009】及び【0010】並びに図1の記載)によれば、図1において、直流電源18の正極と第1のブレーキコイル12bとの間の電磁接触器を第1の電磁接触器と呼び、直流電源18の正極と第2のブレーキコイル13bとの間の電磁接触器を第2の電磁接触器と呼び、直流電源18の負極と第1のブレーキコイル12bとの間の電磁接触器を第3の電磁接触器と呼び、直流電源18の負極と第2のブレーキコイル13bとの間の電磁接触器を第4の電磁接触器と呼ぶとすると、ブレーキ装置において、次のことが分かる。 (ア)マイクロコンピュータは、第1のブレーキ解放指令Bs1を出力することにより、第1の電磁接触器を制御するように配設され、該第1の電磁接触器を使用して第1のブレーキコイル12bへの励磁電流の供給を遮断可能であること。 (イ)マイクロコンピュータは、第2のブレーキ解放指令Bs2を出力することにより、第2の電磁接触器を制御するように配設され、該第2の電磁接触器を使用して第2のブレーキコイル13bへの励磁電流の供給を遮断可能であること。 (ウ)第1の電磁接触器は、第2のブレーキコイル13bではなく第1のブレーキコイル12bへの励磁電流を遮断するように配設されること。 (エ)第2の電磁接触器は、第1のブレーキコイル12bではなく第2のブレーキコイル13bへの励磁電流を遮断するように配設されること。 (オ)電力供給回路は、制御可能な第3の電磁接触器を含み、第3の電磁接触器は、第2のブレーキコイル13bではなく第1のブレーキコイル12bへの励磁電流の供給を遮断するように配設されること。 (カ)マイクロコンピュータ部は、第1のブレーキ解放指令Bs1を出力することにより、第3の電磁接触器を制御するように配設されること。 (キ)電力供給回路は、制御可能な第4の電磁接触器を含み、第4の電磁接触器は、第1のブレーキコイル12bではなく第2のブレーキコイル13への励磁電流の供給を遮断するように配設されること。 (ク)マイクロコンピュータは、第2のブレーキ解放指令Bs2を出力することにより、第4の電磁接触器を制御するように配設されること。 (3)引用発明 上記(1)及び(2)を総合して、本願発明の表現に倣って整理すると、刊行物1には、次の事項からなる発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「巻上機の巻上モータ7を制動するブレーキ装置であって、該ブレーキ装置は2つの電磁ブレーキ12,13を含み、該電磁ブレーキ12,13は全体として、 2つの可動なブレーキシュー12a,13aと、 該ブレーキシュー12a,13aを前方に移動させることによって前記電磁ブレーキ12,13を駆動するばねと、 励磁電流によって励磁された際、磁束の伝導体に引力を加える2つのブレーキコイル12b,13bとを含み、 該ブレーキコイル12b,13bは、前記ばねに抗することにより前記2つのブレーキシュー12a,13aを後方に引き戻すことによって、前記電磁ブレーキ12,13を解放するように配設され、 前記電磁ブレーキ12,13は、前記ブレーキコイル12b,13bの励磁電流を低減させることによって駆動されるように配設され、 該ブレーキ装置は、前記ブレーキコイル12b,13b用の電力供給回路を含み、該電力供給回路は制御可能な電磁接触器を含み、 前記ブレーキコイル12b,13bは、各ブレーキコイル12b,13bへの励磁電流の供給が少なくとも2つの別個の電磁接触器によって遮断可能となるように前記電力供給回路に接続され、 該ブレーキ装置は全体制御装置19を含み、該全体制御装置19は第1のブレーキ解放指令Bs1及び第2のブレーキ解放指令Bs2を独立に出力するマイクロコンピュータを含み、該マイクロコンピュータは、第1のブレーキ解放指令Bs1を出力することにより、第1の電磁接触器を制御するように配設され、該第1の電磁接触器を使用して第1のブレーキコイル12bへの励磁電流の供給を遮断可能であり、一方、前記マイクロコンピュータは、第2のブレーキ解放指令Bs2を出力することにより、第2の電磁接触器を制御するように配設され、該第2の電磁接触器を使用して第2のブレーキコイル13bへの励磁電流の供給を遮断可能であり、 第1の電磁接触器は、第2のブレーキコイル13bではなく第1のブレーキコイル12bへの励磁電流を遮断するように配設され、 第2の電磁接触器は、第1のブレーキコイル12bではなく第2のブレーキコイル13bへの励磁電流を遮断するように配設され、 前記電力供給回路は、制御可能な第3の電磁接触器を含み、第3の電磁接触器は、第2のブレーキコイル13bではなく第1のブレーキコイル12bへの励磁電流の供給を遮断するように配設され、前記マイクロコンピュータ部は、第1のブレーキ解放指令Bs1を出力することにより、第3の電磁接触器を制御するように配設され、 前記電力供給回路は、制御可能な第4の電磁接触器を含み、第4の電磁接触器は、第1のブレーキコイル12bではなく第2のブレーキコイル13への励磁電流の供給を遮断するように配設され、前記マイクロコンピュータは、第2のブレーキ解放指令Bs2を出力することにより、第4の電磁接触器を制御するように配設されているブレーキ装置。」 2 刊行物2 (1)刊行物2の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特表2010-523434号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【請求項10】 前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置において、少なくとも1つの制動装置の制御手段(11、43)はブレーキ制御回路(39)に直列に設けられ2つのスイッチ(37、38)を含み、第1のコントローラ(1)は第1のスイッチの制御信号(40)の出力を含み、第2のコントローラ(2)は第2のスイッチ(41)の制御信号の出力を含み、両第1および第2のコントローラは、第1のスイッチ(37)および第2のスイッチ(38)の位置を示すデータの入力を含むことを特徴とする電力制御装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項10】) イ 「【0020】 本発明による電力制御装置において、少なくとも第1および第2のコントローラは第1および第2の制動装置に関する制御信号の出力を有している。この場合、第1の制動装置は、輸送機器のモータの軸もしくは駆動綱車に機械的に係合する機械ブレーキでよい。第2の制動装置もやはり、上述のモータに係合する機械ブレーキ、または例えばエレベータかごとエレベータかごのガイドレールとの間で機械的に係合するレールブレーキもしくは超過速度ガバナ・ウエッジブレーキでよい。」(段落【0020】) ウ 「【0041】 本発明の実施例では、電力制御装置は、ブレーキ制御回路、およびブレーキ制御回路において互いに直列に取り付けた2つの制御可能なスイッチを有している。これらのスイッチのうち少なくとも1つが開くと、ブレーキ制御回路は遮断された状態になり、ブレーキコイルには電流が流れない。したがって、ブレーキが掛かり、輸送機器の動きを阻止する。本発明のこの実施例では、第1のスイッチは第1のコントローラによって、また第2のスイッチは第2のコントローラによって制御され、したがってブレーキ制御回路は、いずれかのコントローラによって互いに無関係に遮断することができる。」(段落【0041】) エ 「【0056】 エレベータシステムを安全状態にするため、いずれか一方のコントローラは少なくとも1つの制動装置44、45をそれぞれ独自に作動させることができる。制動装置の制御は、解除すべきブレーキについて各コントローラから同じ制御指令を必要とするよう構成されている。いずれのコントローラからも制御指令が得られない場合、ブレーキは解除されない。」(段落【0056】) オ 「【0063】 図6は制動装置の制御を示す。制動装置は、磁化電流を制動装置36の磁化コイル36に供給することによって制御される。電流がコイルに流れると、ブレーキが解除される。ブレーキ制御回路39は、直列に配設された2つの制御可能なスイッチ37、38を有している。これらのスイッチのいずれか一方が開になると、磁化コイルへの電力の流れが遮断され、これによってブレーキの解除を阻止する。第1のコントローラ1は制御信号40によって第1のスイッチ37を制御し、第2のコントローラ2は制御信号41によって第2のスイッチ38を制御する。各コントローラはそれぞれ独自にブレーキ制御回路を開にして、ブレーキの解除を阻止することができる。換言すれば、解除されるブレーキにとっては、両コントローラ1、2からの同じ制御が必要となる。 【0064】 図7は、ブレーキ制御装置11を示す。このブレーキ制御装置は、一次側に2つの磁化コイルと二次側に1つの出力コイルを設けた変成器50を有している。磁化コイル内の電流は、パルス状制御信号によって制御されるスイッチ51、42を交互に切り替えることによって制御され、第1のスイッチ51は第1のコントローラ1によって、また第2の制御可能スイッチ42は第2のコントローラ2によってそれぞれ制御される。出力コイルが電力を制動装置の磁化コイル44へ供給するためには、変成器50を磁化コイルによって交互に磁化したり消磁したりする必要がある。このため、第1および第2のコントローラからのパルス状制御信号14、15を逆位相にして、スイッチ51、42を交互にオンオフする必要がある。いずれか一方のコントローラがパルス状制御信号ではなく直流信号を生成し始め、これによって磁化の制御が停止すると、制動装置の磁化コイル44への給電が止まり、ブレーキが掛かる。 【0065】 図8は、第1の制動装置44および第2の制動装置45の磁化コイルの制御に用いる制御装置11、43を示す。第1のコントローラ1および第2のコントローラ2は第1のブレーキ制御装置11および第2のブレーキ制御装置43を同時に制御して、制動装置の磁化コイル44、45へ電力を供給するために第1および第2のコントローラはパルス状制御信号14、15を生成する必要がある。また、第1のコントローラ1は第2のコントローラ2により生成されるパルス状制御信号の測定値の入力48を有し、第2のコントローラ2は第1のコントローラにより生成される制御信号の測定値の入力49を有している。このようにして、両コントローラはブレーキ制御の作動状態を測定し、運転の信頼性を検証することができる。 【0066】 図9は、制動装置の磁化コイル44、45の制御を示す。第1のコントローラ1は、第1のブレーキ制御装置の制御信号14用出力と第2のブレーキ制御装置43の制御信号46用出力を有している。第2のコントローラ2は、第1のブレーキ制御装置11の制御信号15用出力と第2のブレーキ制御装置43の制御信号47用出力を有している。本実施例では、第1および第2の磁化コイル44、45をパルス状制御信号によって個別に制御することができる。」(段落【0063】ないし【0066】) (2)上記(1)及び図面の記載から分かること ア 上記(1)アないしオ並びに図1及び6ないし9の記載によれば、刊行物2には、電流が流れると、ブレーキを解除するように配設されたコイルと、ブレーキ制御回路を含む、エレベータ等の輸送機器における2つの制動装置が記載されていることが分かる。 イ 上記(1)アないしオ並びに図6、8及び9の記載によれば、請求項10の記載における符号を参酌すると、図6に示された制動装置が、図8及び9に示された例のように、第1の制動装置及び第2の制動装置として設けられることが分かる。 そうすると、上記(1)アないしオ並びに図6、8及び9の記載によれば、2つの制動装置において、ブレーキ制御回路は少なくとも2つのコントローラ1、2を含み、コントローラのうちの第1のコントローラ1は、第1の制動装置における第1のスイッチ37を制御するように配設され、該第1の制動装置における第1のスイッチ37を使用して第1の制動装置におけるコイル44への電流の供給を遮断可能であり、コントローラのうちの第2のコントローラ2は、第2の制動装置における第2のスイッチ38を制御するように配設され、該第2の制動装置における第2のスイッチ38を使用して第2の制動装置におけるコイル45への電流の供給を遮断可能であり、コントローラのうちの第2のコントローラ2は、第1の制動装置におけるコイル44への電流の供給を遮断するように配設された第1の制動装置における第2のスイッチ38を制御するように配設され、コントローラのうちの第1のコントローラ1は、第2の制動装置におけるコイル45への電流の供給を遮断するように配設された第2の制動装置における第1のスイッチ37を制御するように配設することが分かる。 (3)刊行物2記載の技術 上記(1)及び(2)を総合すると、刊行物2には、次の事項からなる技術(以下「刊行物2記載の技術」という。)が記載されていると認める。 「電流が流れると、ブレーキを解除するように配設されたコイルと、ブレーキ制御回路を含む、エレベータ等の輸送機器における2つの制動装置において、該ブレーキ制御回路は少なくとも2つのコントローラを含み、コントローラのうちの第1のコントローラは、第1の制動装置における第1のスイッチを制御するように配設され、該第1の制動装置における第1のスイッチを使用して第1の制動装置におけるコイルへの電流の供給を遮断可能であり、コントローラのうちの第2のコントローラは、第2の制動装置における第2のスイッチを制御するように配設され、該第2の制動装置における第2のスイッチを使用して第2の制動装置におけるコイルへの電流の供給を遮断可能であり、コントローラのうちの第2のコントローラは、第1の制動装置におけるコイルへの電流の供給を遮断するように配設された第1の制動装置における第2のスイッチを制御するように配設され、コントローラのうちの第1のコントローラは、第2の制動装置におけるコイルへの電流の供給を遮断するように配設された第2の制動装置における第1のスイッチを制御するように配設するようにした技術。」 第4 対比 本願発明(以下、「前者」ともいう。)と引用発明(以下、「後者」ともいう。)とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 ・後者における「巻上機の巻上モータ7」は、モータが回転体である回転子を有することから、前者における「巻上機の回転部分」に相当する。 ・後者における「2つ」は、前者における「1つ以上」、「少なくとも1つ」又は「少なくとも2つ」に相当する。 ・後者における「電磁ブレーキ12,13」は、前者における「ブレーキ」に相当し、以下同様に、「ブレーキシュー12a,13a」は「ブレーキシュー」に、「ばね」は「スプリング要素」に、「ブレーキコイル12b,13b」は「電磁石」に、「電磁接触器」は「電力供給遮断デバイス」に、それぞれ相当する。 ・後者における「全体制御装置19」は、第1のブレーキ解放指令Bs1及び第2のブレーキ解放指令Bs2を独立に出力することから、前者における「ブレーキ制御ユニット」に相当する。 また、後者における「マイクロコンピュータ」は、前者における「制御要素」に相当する。 そして、後者における「ブレーキ装置は全体制御装置19を含み、該全体制御装置19は第1のブレーキ解放指令Bs1及び第2のブレーキ解放指令Bs2を独立に出力するマイクロコンピュータを含み」は、前者における「ブレーキ装置はブレーキ制御ユニットを含み、該ブレーキ制御ユニットは少なくとも2つの制御要素を含み」に、「ブレーキ装置はブレーキ制御ユニットを含み、該ブレーキ制御ユニットは制御要素を含み」という限りにおいて一致する。 ・後者における「第1の電磁接触器」、「第2の電磁接触器」、「第3の電磁接触器」及び「第4の電磁接触器」は、順に、前者における「第1の電力供給遮断デバイス」、「第2の電力供給遮断デバイス」、「第3の電力供給遮断デバイス」及び「第4の電力供給遮断デバイス」に相当する。 また、後者における「第1のブレーキコイル12b」は、前者における「第1の電磁石」に相当し、後者における「第2のブレーキコイル13b」は、前者における「第2の電磁石」に相当する。 ・後者における「マイクロコンピュータは、第1のブレーキ解放指令Bs1を出力することにより、第1の電磁接触器を制御するように配設され、該第1の電磁接触器を使用して第1のブレーキコイル12bへの励磁電流の供給を遮断可能であり」は、前者における「制御要素のうちの第1の制御要素は、第1の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、該第1の電力供給遮断デバイスを使用して第1の電磁石への励磁電流の供給を遮断可能であり」に、「制御要素は、第1の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、該第1の電力供給遮断デバイスを使用して第1の電磁石への励磁電流の供給を遮断可能であり」という限りにおいて一致する。 ・後者における「マイクロコンピュータは、第2のブレーキ解放指令Bs2を出力することにより、第2の電磁接触器を制御するように配設され、該第2の電磁接触器を使用して第2のブレーキコイル13bへの励磁電流の供給を遮断可能であり」は、前者における「制御要素のうちの第2の制御要素は、第2の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、該第2の電力供給遮断デバイスを使用して第2の電磁石への励磁電流の供給を遮断可能であり」に、「制御要素は、第2の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、該第2の電力供給遮断デバイスを使用して第2の電磁石への励磁電流の供給を遮断可能であり」という限りにおいて一致する。 ・後者における「マイクロコンピュータ部は、第1のブレーキ解放指令Bs1を出力することにより、第3の電磁接触器を制御するように配設され」は、前者における「制御要素のうちの第2の制御要素は、第3の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され」に、「制御要素は、第3の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され」という限りにおいて一致する。 ・後者における「マイクロコンピュータは、第2のブレーキ解放指令Bs2を出力することにより、第4の電磁接触器を制御するように配設されている」は、前者における「制御要素のうちの第1の制御要素は、第4の電力供給遮断デバイスを制御するように配設されている」に、「制御要素は、第4の電力供給遮断デバイスを制御するように配設されている」という限りにおいて一致する。 したがって、両者は、 「巻上機の回転部分を制動するブレーキ装置であって、該ブレーキ装置は1つ以上のブレーキを含み、該ブレーキは全体として、 少なくとも1つの可動なブレーキシューと、 該ブレーキシューを前方に移動させることによって前記ブレーキを駆動するスプリング要素と、 励磁電流によって励磁された際、磁束の伝導体に引力を加える少なくとも2つの電磁石とを含み、 該電磁石は、前記スプリング要素に抗することにより前記少なくとも1つのブレーキシューを後方に引き戻すことによって、前記ブレーキを解放するように配設され、 前記ブレーキは、前記電磁石の励磁電流を低減させることによって駆動されるように配設され、 該ブレーキ装置は、前記電磁石用の電力供給回路を含み、該電力供給回路は制御可能な電力供給遮断デバイスを含み、 前記電磁石は、各電磁石への励磁電流の供給が少なくとも2つの別個の電力供給遮断デバイスによって遮断可能となるように前記電力供給回路に接続され、 該ブレーキ装置はブレーキ制御ユニットを含み、該ブレーキ制御ユニットは制御要素を含み、該制御要素は、第1の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、該第1の電力供給遮断デバイスを使用して第1の電磁石への励磁電流の供給を遮断可能であり、一方、前記制御要素は、第2の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、該第2の電力供給遮断デバイスを使用して第2の電磁石への励磁電流の供給を遮断可能であり、 第1の電力供給遮断デバイスは、第2の電磁石ではなく第1の電磁石への励磁電流を遮断するように配設され、 第2の電力供給遮断デバイスは、第1の電磁石ではなく第2の電磁石への励磁電流を遮断するように配設され、 前記電力供給回路は、制御可能な第3の電力供給遮断デバイスを含み、第3の電力供給遮断デバイスは、第2の電磁石ではなく第1の電磁石への励磁電流の供給を遮断するように配設され、前記制御要素は、第3の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、 前記電力供給回路は、制御可能な第4の電力供給遮断デバイスを含み、第4の電力供給遮断デバイスは、第1の電磁石ではなく第2の電磁石への励磁電流の供給を遮断するように配設され、前記制御要素は、第4の電力供給遮断デバイスを制御するように配設されているブレーキ装置。」の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点] 「ブレーキ装置はブレーキ制御ユニットを含み、該ブレーキ制御ユニットは制御要素を含み」、「制御要素は、第1の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、該第1の電力供給遮断デバイスを使用して第1の電磁石への励磁電流の供給を遮断可能であり」、「制御要素は、第2の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、該第2の電力供給遮断デバイスを使用して第2の電磁石への励磁電流の供給を遮断可能であり」、「制御要素は、第3の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され」、「制御要素は、第4の電力供給遮断デバイスを制御するように配設されている」ことに関し、 本願発明においては、「ブレーキ装置はブレーキ制御ユニットを含み、該ブレーキ制御ユニットは少なくとも2つの制御要素を含み」、「制御要素のうちの第1の制御要素は、第1の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、該第1の電力供給遮断デバイスを使用して第1の電磁石への励磁電流の供給を遮断可能であり」、「制御要素のうちの第2の制御要素は、第2の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、該第2の電力供給遮断デバイスを使用して第2の電磁石への励磁電流の供給を遮断可能であり」、「制御要素のうちの第2の制御要素は、第3の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され」、「制御要素のうちの第1の制御要素は、第4の電力供給遮断デバイスを制御するように配設されている」のに対して、 引用発明においては、「ブレーキ装置は全体制御装置19を含み、該全体制御装置19は第1のブレーキ解放指令Bs1及び第2のブレーキ解放指令Bs2を独立に出力するマイクロコンピュータを含み」、「マイクロコンピュータは、第1のブレーキ解放指令Bs1を出力することにより、第1の電磁接触器を制御するように配設され、該第1の電磁接触器を使用して第1のブレーキコイル12bへの励磁電流の供給を遮断可能であり」、「マイクロコンピュータは、第2のブレーキ解放指令Bs2を出力することにより、第2の電磁接触器を制御するように配設され、該第2の電磁接触器を使用して第2のブレーキコイル13bへの励磁電流の供給を遮断可能であり」、「マイクロコンピュータ部は、第1のブレーキ解放指令Bs1を出力することにより、第3の電磁接触器を制御するように配設され」、「マイクロコンピュータは、第2のブレーキ解放指令Bs2を出力することにより、第4の電磁接触器を制御するように配設されている」点(以下、「相違点」という。)。 第5 判断 上記相違点の検討に先立ち、刊行物2記載の技術を本願発明の用語及び本願発明の上位概念の用語を用いて表現するために、本願発明と刊行物2記載の技術(以下、「後者2」ともいう。)との対応関係について、その機能、構造又は技術的意義を考慮して以下に検討する。 ・後者2における「電流」は、前者における「励磁電流」に相当し、以下同様に、「ブレーキを解除する」は「ブレーキを解放する」に、「コイル」は「電磁石」に、「ブレーキ制御回路」は「ブレーキ制御ユニット」に、「2つの制動装置」は「ブレーキ装置」に、「コントローラ」は「制御要素」に、「第1のコントローラ」は「第1の制御要素」に、「第1の制動装置における第1のスイッチ」は「第1の電力供給遮断デバイス」に、「第1の制動装置におけるコイル」は「第1の電磁石」に、「第2のコントローラ」は「第2の制御要素」に、「第2の制動装置における第2のスイッチ」は「第2の電力供給遮断デバイス」に、「第2の制動装置におけるコイル」は「第2の電磁石」に、「第1の制動装置における第2のスイッチ」は「第3の電力供給遮断デバイス」に、「第2の制動装置における第1のスイッチ」は「第4の電力供給遮断デバイス」に、それぞれ相当する。 したがって、刊行物2記載の技術は、本願発明の用語及び本願発明の上位概念の用語で表現すると、次のとおりの技術ということができる。 「励磁電流が流れると、ブレーキを解放するように配設された電磁石と、ブレーキ制御ユニットを含む、エレベータ等の輸送機器におけるブレーキ装置において、該ブレーキ制御ユニットは2つの制御要素を含み、制御要素のうちの第1の制御要素は、第1の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、該第1の電力供給遮断デバイスを使用して第1の電磁石への励磁電流の供給を遮断可能であり、制御要素のうちの第2の制御要素は、第2の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、該第2の電力供給遮断デバイスを使用して第2の電磁石への励磁電流の供給を遮断可能であり、制御要素のうちの第2の制御要素は、第1の電磁石への励磁電流の供給を遮断するように配設された第3の電力供給遮断デバイスを制御するように配設され、制御要素のうちの第1の制御要素は、第2の電磁石への励磁電流の供給を遮断するように配設された第4の電力供給遮断デバイスを制御するように配設するようにした技術。」 そこで、上記相違点について検討すると、刊行物2記載の技術は、エレベータ等の輸送機器の安全性を向上させるものである(刊行物2の段落【0011】及び【0056】を参照。)ところ、エレベータ等の輸送機器において、安全性を向上させることは普遍的な課題であり、引用発明においても、エレベーターに関するものであって、ブレーキ異常に対応するものである(刊行物1の段落【0004】ないし【0007】)ことからみても分かるように、安全性を向上させることは内在する課題であるから、引用発明において、刊行物2記載の技術を適用し、「ブレーキ装置は全体制御装置19(本願発明の「ブレーキ制御ユニット」に相当。以下、括弧内は同様。)を含み、該全体制御装置19(ブレーキ制御ユニット)は2つの(少なくとも2つの)マイクロコンピュータ(制御要素)を含み、マイクロコンピュータ(制御要素)のうちの第1のマイクロコンピュータ(第1の制御要素)は、第1の電磁接触器(第1の電力供給遮断デバイス)を制御するように配設され、該第1の電磁接触器(第1の電力供給遮断デバイス)を使用して第1のブレーキコイル12b(第1の電磁石)への励磁電流の供給を遮断可能であり、マイクロコンピュータ(制御要素)のうちの第2のマイクロコンピュータ(第2の制御要素)は、第2の電磁接触器(第2の電力供給遮断デバイス)を制御するように配設され、該第2の電磁接触器(第2の電力供給遮断デバイス)を使用して第2のブレーキコイル13b(第2の電磁石)への励磁電流の供給を遮断可能であり、マイクロコンピュータ(制御要素)のうちの第2のマイクロコンピュータ(第2の制御要素)は、第3の電磁接触器(第3の電力供給遮断デバイス)を制御するように配設され、マイクロコンピュータ(制御要素)のうちの第1のマイクロコンピュータ(第1の制御要素)は、第4の電磁接触器(第4の電力供給遮断デバイス)を制御するように配設されている」ようにすること、すなわち、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明及び刊行物2記載の技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。 したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件出願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-010743

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