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特許拒絶査定不服審判

2016-010650

読取体

審判番号
2016-010650
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-103928外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年07月14日
審決日
2017年03月21日
公報発行日
2017年04月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (A63H) / P18 .537-WY (A63H)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-103928「読取体」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 8月28日出願公開、特開2014-155870、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成22年6月29日に出願した特願2010-284759号(以下「原出願」という。)の一部を平成26年5月20日に新たな特許出願としたものであって、平成26年6月17日付け、平成27年8月17日付け、及び同年8月20日付けで手続補正がなされ、平成28年4月12日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年7月14日付けで拒絶査定に対する不服審判請求がなされると同時に手続補正がなされ、その後、当審において、平成29年1月12日付けで拒絶の理由を通知したところ、これに対し、同年1月24日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1、及び請求項2に係る発明は、上記平成29年1月24日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1、及び請求項2に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める(以下請求項1、及び請求項2に係る発明を、それぞれ、「本願発明1」、及び「本願発明2」といい、これらを総称して「本願発明」という。)。 「【請求項1】 複数の支持部のそれぞれに交換可能に支持され個別識別情報を付与された複数の被識別部材から、前記複数の支持部に沿って前記複数の被識別部材の前記複数の個別識別情報を読み取る読取体であって、 発音部、発光部、振動部の少なくとも一つを有する駆動部と、 前記被識別部材から読み取った個別識別情報を記憶する記憶領域と、 前記駆動部の動作データを記憶した動作データ記憶部と、 前記動作データ記憶部から前記記憶領域に記憶されている個別識別情報に応じた動作データを読み出し、当該読み出した動作データに基づいて前記駆動部を駆動可能な制御部を有し、 前記記憶領域は前記複数の被識別部材から読み取った複数個の個別識別情報を記憶可能であり、 前記制御部は、前記記憶領域に記憶されている個別識別情報が所定の組み合わせの場合には、前記動作データ記憶部から、当該組み合わせに応じた動作データを読み出し、当該読み出した動作データに基づいて前記駆動部を駆動可能であり、 前記制御部は、前記複数の被識別部材から読み取った複数個の個別識別情報の組み合せが順不同であっても前記所定の組合せに一致すると判断し、前記動作データ記憶部から、当該組み合わせに応じた動作データを読み出し、当該読み出した動作データに基づいて前記駆動部を駆動可能であり、 さらに、前記制御部は、 前記動作データ記憶部から前記記憶領域に記憶されている個別識別情報に応じて読み出した動作データに基づいて前記駆動部を駆動した後、所定時間内に前記読取体が被識別部材から個別識別情報を読み取ったとき、当該読み取った個別識別情報が前記記憶領域に記憶されている個別識別情報と一致するか否かを判断し、 前記読み取った個別識別情報が前記記憶領域に記憶されている個別識別情報と一致すると判断したときは、前記動作データ記憶部から所定時間内に同じ個別識別情報が読み取られたことに応じた動作データを読み出し、当該読み出した動作データに基づいて前記駆動部を駆動可能である、ことを特徴とする読取体。 【請求項2】 前記個別識別情報がICタグに書き込まれており、前記読取体がICタグリーダであることを特徴とする請求項1に記載の読取体。」 第3 原査定の理由について 1.原査定の理由の概要 この出願の下記の請求項に係る発明は、その原出願日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その原出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・請求項 1、2 ・引用文献等 1-3 <引用文献等一覧> 1.特開2004-329770号公報 2.特開平9-218695号公報 3.特開2002-123276号公報(周知技術を示す文献) 2.原査定の理由の判断 (1)刊行物の記載事項 ア.刊行物1 原査定の拒絶理由通知で引用され、本願の原出願日前である平成16年11月25日に頒布された特開2004-329770号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。(下線は審決で付した。以下同様。) (ア)「【請求項1】 IDコードを記憶する被読取り形象物と、前記IDコードを読み取る非接触型のリーダと、前記IDコードに対応する動作データを記憶する読取り形象物とを備え、前記読取り形象物は、前記被読取り形象物の前記IDコードを前記リーダによって読み取って前記IDコードに対応する動作データに基づいて当該被読取り形象物に応じた動作を行うように構成されるとともに、複数種の前記被読取り形象物の前記IDコードを前記リーダによって読み取った際にはそれらIDコードの組み合わせ、ひいては複数種の前記被読取り形象物の組み合わせに応じた動作を行うように構成されていることを特徴とする動作玩具。 【請求項2】 前記動作は発音動作であることを特徴とする請求項1記載の動作玩具。」 (イ)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は動作玩具に関する。」 (ウ)「【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明の動作玩具は、IDコードを記憶する被読取り形象物と、前記IDコードを読み取る非接触型のリーダと、前記IDコードに対応する動作データを記憶する読取り形象物とを備え、前記読取り形象物は、前記被読取り形象物の前記IDコードを前記リーダによって読み取って前記IDコードに対応する動作データに基づいて当該被読取り形象物に応じた動作を行うように構成されるとともに、複数種の前記被読取り形象物の前記IDコードを前記リーダによって読み取った際にはそれらIDコードの組み合わせ、ひいては複数種の前記被読取り形象物の組み合わせに応じた動作を行うように構成されていることを特徴とする。 この場合の「当該被読取り形象物に応じた動作」や「複数種の前記被読取り形象物の組み合わせに応じた動作」の例としては、走行動作、発光動作、振動動作、発音動作その他の動作があげられる。 このうち「走行動作」の例としては停止動作、前進動作、後退動作、旋回動作その他の走行動作があげられる。また、「発光動作」の例としては点滅動作等があげられる。さらに、「振動動作」としては玩具全体又は一部の振動動作等があげられる。また、「発音動作」の例としては、当該被読取り形象物に対応付けられた物(人形を含む。)や人の名を発音したり、その物や人に関連する言葉(感情や評価またはそれらの組み合わせ)を発したりすることがあげられる。さらに、当該被読取り形象物に対応付けられた楽器、人形または人が所定の曲に関して音(楽器音や歌声)を発したりすることがあげられる。また、「複数種の前記被読取り形象物の組み合わせに応じた発音」の例としては、被読取り形象物が楽器に対応付けられている場合にはオーケストラを奏でたりすること、また、被読取り形象物が人形や人の場合には会話を行ったりコーラスを行ったりすること、さらに、被読取り形象物が料理素材の場合には料理名や、それらの組み合わせに関する評価または感情を音によって表示することがあげられる。」 (エ)「【0010】 各被読取り形象物3内には図2に示す応答器4が内蔵されている。同図は応答器4の機能ブロック図の一例を示すもので、応答器4は、コイル4aと、電源回路4bと、応答器制御部4cとを備えて構成される。コイル4aは、後述するリーダ(質問器)10のコイル10a(図4参照)と電磁誘導によるデータ通信を行うためのものである。電源回路4bは、コイル4aに生じた電磁誘導による電流を整流し、所定の電圧を応答器制御部4cに供給する回路であって、ダイオード及びコンデンサ等により構成される。応答器制御部4cは、電源回路4bから供給される電圧によって自動的に起動され、リーダ10とのデータ通信を制御する。この応答器制御部4cは、IDコード格納領域4dを備えたメモリ4eを有し、IDコード格納領域4dに記憶されたIDコードをコイル4aを介してリーダ10へ送信する。」 (オ)【0013】 次に、読取り形象物2の内部構成について説明する。図4は、読取り形象物2の内部構成の一例を示す機能ブロック図である。読取り形象物2は、リーダ10と、左右のスピーカ9と、制御装置11と、記憶装置12とを備えて構成される。なお、第1の実施の形態のデータキャリアはアンチコリジョン(衝突防止機能)を有している。つまり、リーダ10からの呼出しに対して、複数の被読取り形象物3が同時に返信を繰り返してきて、通信不能とならないように、被読取り形象物3からの返信手順を制御する機能を有している。」 (カ)「【0015】 リーダ10は、コイル10aと、リーダ制御部10bとを備え、被読取り形象物3に内蔵される応答器4との間でデータキャリアシステムを構成する。リーダ制御部10bは、コイル10aに流す電流量および電圧値を制御して変化させることにより、応答器4とのデータ通信を実行し、応答器4に割り当てられたIDコードをコイル10aを介して読み取り、読み取ったIDコードを制御装置11に出力する。」 (キ)「【0017】 この制御装置11によってなされる音発生処理を説明すれば、制御装置11は、ミュージックボックス2aに投入された1つ目の被読取り形象物(例えばピアノ模型3a)3のIDコードと予め選択された曲目(例えば曲目1)とに応じた発音データ(例えば曲目1のピアノ音データ)を記憶装置12から読み出し、この読み出した発音データを加工処理(アナログ処理等)して発音信号を生成し、左右のスピーカ9からその被読取り形象物3に対応した音を出力させるとともに、前記IDコードに対応する形象物種別を形象物種別データ15として記憶装置12に格納する。次に、2つ目の被読取り形象物(例えばカエル模型3b)3がミュージックボックス2aに投入されると、制御装置11は、2つの被読取り形象物(例えばピアノ模型3aおよびカエル模型3b)3のIDコードを識別して認識し、2つ目の被読取り形象物3のIDコードと予め選択された曲目とに応じた発音データ(例えば曲目1のカエルの歌声データ)を記憶装置12から読み出し、この発音データ(例えば曲目1のカエルの歌声データ)と1つ目の被読取り形象物3に基づく発音データ(例えば曲目1のピアノ音データ)とを演算し、演算後の発音データを加工処理(アナログ処理等)して発音信号を生成し、左右のスピーカ9からその被読取り形象物3の組み合わせに対応した音を出力させるとともに、2つ目の被読取り形象物3のIDコードに対応する形象物種別を形象物種別データ15として記憶装置12に格納する。 同様な方法により、制御装置11は、複数の被読取り形象物3の組み合わせに応じた音(音楽)を左右のスピーカ9から出力させる。」 (ク)「【0023】 [第2の実施の形態] 図8には第2の実施の形態の動作玩具40が示されている。この動作玩具40は電源スイッチ(図示せず)をONにして読取り形象物42に複数の被読取り形象物43を順に投入すると、個々の被読取り形象物43の名前をその順に音で出力するとともに、所定の複数の被読取り形象物43を投入し終わると、その複数の被読取り形象物43の組み合わせに応じた名前を音で出力するようになっている。 すなわち、第2の実施の形態の動作玩具40では、読取り形象物42は鍋模型42aとなっている。なお、この実施の形態においては、鍋模型42aとは別体のお玉模型45を備えている。また、被読取り形象物43としてはじゃがいも模型43a、にく模型43bおよびたまねぎ模型43c等の料理素材模型が用意されている。 そして、複数の被読取り形象物43のうちじゃがいも模型43a、にく模型43b、その他カレーを作るのに必要な料理素材模型を順に鍋模型42aに入れると、鍋模型42aは入れるそばから「じゃがいも」、「にく」、・・・と料理素材名を音で出力するとともに、所定の素材模型を全て鍋模型42aに投入した後にお玉模型45で掻き混ぜると、それらに対応した料理素材から得られる料理名およびそれに関連する音、例えば「カレーだね、たべたいな」という音を出力する。」 (ケ)「【0025】 この第2の実施の形態では、前記記憶装置に記憶される発音データは、予め設定されたIDコードに対応した料理素材名に関するデータと、その料理素材の組み合わせに基づく料理名およびそれに関連する言葉のデータである。図9にはIDコードと、形象物種別(料理素材)またはその料理素材の組み合わせと、発音データとの関係が一覧表として示してある。 【0026】 この第2の実施の形態では、制御装置は、鍋模型42aに投入された1つ目の被読取り形象物(例えばじゃがいも模型43a)43のIDコードに応じた発音データ(例えば「じゃがいも」に対応する音データ)を記憶装置から読み出し、この読み出した発音データを加工処理(アナログ処理等)して発音信号を生成し、スピーカ49からその被読取り形象物43に対応した音(例えば「じゃがいも」)を出力させるとともに、前記IDコードに対応する形象物種別を形象物種別データとして記憶装置に格納する。 次に、2つ目の被読取り形象物(例えばにく模型43b)43が鍋模型42aに投入されると、制御装置は、2つの被読取り形象物(例えばじゃがいも模型43aおよびにく模型43b)43のIDコードを識別して認識し、2つ目の被読取り形象物43のIDコードに応じた発音データ(例えば「にく」に対応する音データ)を記憶装置から読み出し、この読み出した発音データを加工処理(アナログ処理等)して発音信号を生成し、スピーカ49からその被読取り形象物43に対応した音(例えば「にく」)を出力させるとともに、前記IDコードに対応する形象物種別を形象物種別データとして記憶装置に格納する。 こうして一の料理(例えばカレー)を作るのに必要な複数の被読取り形象物43が鍋模型42aに全て投入された後に、お玉模型45で掻き混ぜると、それらに対応した料理素材から得られる料理名およびそれに関連する音、例えば「カレーだね、たべたいな」という音をスピーカ49から出力させる。」 (コ)上記(ケ)の「制御装置は、鍋模型42aに投入された1つ目の被読取り形象物(例えばじゃがいも模型43a)43のIDコードに応じた発音データ(例えば「じゃがいも」に対応する音データ)を記憶装置から読み出し、この読み出した発音データを加工処理(アナログ処理等)して発音信号を生成し、スピーカ49からその被読取り形象物43に対応した音(例えば「じゃがいも」)を出力させる」は、上記(ア)の「読取り形象物は、被読取り形象物のIDコードをリーダによって読み取ってIDコードに対応する動作データに基づいて被読取り形象物に応じた動作を行う」に対応し、当該動作は、制御装置によって行われ、リーダによって読み取られた被読取り形象物のIDコードに応じた動作データを記憶装置から読み出しているといえる。 そうすると、上記(ア)乃至(コ)の記載事項から、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「IDコードを記憶する被読取り形象物と、前記IDコードを読み取る非接触型のリーダと、前記IDコードに対応する動作データを記憶する読取り形象物とを備え、前記読取り形象物は、制御装置により、前記被読取り形象物の前記IDコードを前記リーダによって読み取って、リーダによって読み取られた被読取り形象物のIDコードに応じた動作データを記憶装置から読み出し、前記IDコードに対応する動作データに基づいて当該被読取り形象物に応じた動作を行うように構成されるとともに、IDコードに対応する形象物種別を形象物種別データとして記憶装置に格納し、複数種の前記被読取り形象物の前記IDコードを前記リーダによって読み取った際にはそれらIDコードの組み合わせ、ひいては複数種の前記被読取り形象物の組み合わせに応じた動作を行うように構成され、前記動作は発音動作であり、記憶装置には、発音データとして、予め設定されたIDコードに対応した料理素材名に関するデータと、その料理素材の組み合わせに基づく料理名およびそれに関連する言葉のデータが記憶され、制御装置により、一の料理(例えばカレー)を作るのに必要な複数の被読取り形象物が鍋模型に全て投入された後に、お玉模型で掻き混ぜると、それらに対応した料理素材から得られる料理名およびそれに関連する音、例えば「カレーだね、たべたいな」という音をスピーカから出力させる、動作玩具。」 イ.刊行物2 原査定の拒絶理由通知で引用され、本願の原出願日前である平成9年8月19日に頒布された特開平9-218695号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。 (ア)「【請求項1】任意の頁の任意の箇所に任意の個数の識別子が付加された本と、 前記各識別子に対応付けられた音声の圧縮データを各識別子に対応付けられた記憶領域に保持する半導体メモリと、 前記本から各識別子を読取る読取り部と、 前記読取られた各識別子に対応付けられた前記半導体集積メモリの記憶領域を検出し、この記憶領域から音声の圧縮データを読出して再生し、音声として出力する音声出力部とを備えたことを特徴とする音の出る本。 【請求項2】 請求項1において、 前記音声出力部は、同一の識別子が連続して読取られた場合、この連続回数に対応付けられた異なる記憶領域を検出することを特徴とする音の出る本。 【請求項3】 請求項1又は2において、 前記識別子は、バーコードであることを特徴とする音の出る本。 【請求項4】 請求項3において、 前記バーコードは、適宜な図形内にその図形の一部として見えるように付加されることを特徴とする音の出る本。 【請求項5】 請求項1乃至4のそれぞれにおいて、 前記本は幼児用の絵本であることを特徴とする音の出る絵本。」 (イ)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、幼児の教育用の絵本などとして利用される音の出る本に関するものである。」 (ウ)「【0005】 【発明が解決しようとする課題】上述した比較的簡単な音声を扱える電子化書籍システムを、幼児の絵本などに適用しようとした場合、いくつかの問題がある。第1に、幼児、特に低年齢の幼児では、再生・表示装置上の複数のキーを使い分けて操作できるような能力を備えていない場合が多いという問題がある。 【0006】第2に、比較的簡単な音声情報に加えて、絵本中の幼児向けのカラフルな画像情報を電子化してメモリに格納しようとすると、CDROMなど大容量のメモリが必要になる。このため、CDROM用の高価な再生装置が必要になり、幼児の絵本のための電子化書籍システムとしては高価になりすぎるという問題がある。 【0007】また、書籍の頁の任意の箇所に音声情報を磁気記録しておき、これを磁気ヘッドでなぞるという簡易な手動走査で音声情報を再生するシステムは、大人の場合はともかく幼児にとっては手動操作がむずかしく、再生される音声は相当歪んでしまうという問題がある。」 (エ)「【0015】CPU31は、同一のバーコードがが連続して読取られた場合、この連続回数に対応付けられて予め設定されている異なる記憶領域を検出し、音声合成IC34に供給する。音声合成IC34は、この記憶領域に格納中の音声データを読出し再生して出力する。例えば、CPU31は、各バーコードが連続して複数回読取られた場合、奇数回目には記憶領域Biを発生し、偶数回目には異なる記憶領域Bjを発生する。」 そうすると、上記(ア)乃至び(エ)の記載事項から、刊行物2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「任意の頁の任意の箇所に任意の個数の識別子が付加された本と、 前記各識別子に対応付けられた音声の圧縮データを各識別子に対応付けられた記憶領域に保持する半導体メモリと、 前記本から各識別子を読取る読取り部と、 前記読取られた各識別子に対応付けられた前記半導体集積メモリの記憶領域を検出し、この記憶領域から音声の圧縮データを読出して再生し、音声として出力する音声出力部とを備え, 前記音声出力部は、同一の識別子が連続して読取られた場合、この連続回数に対応付けられた異なる記憶領域を検出する、音の出る本。」 ウ.刊行物3 原査定の拒絶理由通知で引用され、本願の原出願日前である平成14年4月26日に頒布された特開2002-123276号公報(以下「刊行物3」という。)には、以下の記載がある。 (ア)「【請求項1】非接触ICタグを具備する収集を目的とする物品であって、前記非接触ICタグは、前記物品を特定するデータであるIDを記憶するID記憶領域と、前記物品が単体で存在するとき再生することを目的とする音声データを記憶する単体再生音声記憶領域と、他の物品と複合形態で存在するときに再生する規則に関するデータである複合再生ルールを記憶する複合再生ルール記憶領域と、前記複合再生ルールに基づいて再生することを目的とする音声データを記憶する複合再生音声記憶領域と、を有することを特徴とするICタグ付物品。 【請求項2】請求項1記載のICタグ付物品において、そのICタグ付物品はトレーディングカードまたはフィギュアであって、前記複合再生ルールは、前記IDについて所定の組合せが揃って提示されたときに、前記単体再生音声記憶領域および/または前記複合再生音声記憶領域の音声データが所定の配列で再生されるようにする複合再生ルールであることを特徴とするICタグ付物品。 【請求項3】請求項1記載のICタグ付物品において、そのICタグ付物品はトレーディングカードまたはフィギュアであって、前記複合再生ルールは、前記IDについて所定の順序で提示されたときに、前記単体再生音声記憶領域および/または前記複合再生音声記憶領域の音声データが所定の配列で再生されるようにする複合再生ルールであることを特徴とするICタグ付物品。 【請求項4】ICメモリと、そのICメモリに記憶されたデータを非接触で通信する手段とを具備する非接触ICタグであって、前記ICメモリは、前記非接触ICタグを特定するデータであるIDを記憶するID記憶領域と、前記非接触ICタグが単体で存在するとき再生することを目的とする音声データを記憶する単体再生音声記憶領域と、他の非接触ICタグと複合形態で存在するときに再生する規則に関するデータである複合再生ルールを記憶する複合再生ルール記憶領域と、前記複合再生ルールに基づいて再生することを目的とする音声データを記憶する複合再生音声記憶領域と、を有することを特徴とする非接触ICタグ。 【請求項5】検出領域内に存在する複数の非接触ICタグに記憶されている、すくなくともID、複合再生ルール、音声データの各々を読み取るデータ読取手段と、前記読み取ったIDと複合再生ルールに基づいて前記読み取った音声データを音声信号として再生する再生手段とを具備することを特徴とするタグリーダ。 【請求項6】請求項5記載のタグリーダにおいて、拡張機能端子を有する家庭用または携帯用のゲーム機との接続手段を具備し、前記ゲーム機との間においてデータの送信受信を行なうことを特徴とするタグリーダ。] (イ)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、トレーディングカード、フィギュア等の収集を目的とした物品の技術分野に属する。特に、所定の組合せ順序で物品を(タグリーダの検出領域に)提示することにより、それに応じた所定の音声を再生するようにし、リアリティ性、ストーリ性、ゲーム性、等の趣向を持たせた物品と、それを実現するための非接触ICタグ、タグリーダに関する。」 (ウ)「【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、ファンの楽しみは、上述のようなアイテムを、一つのシリーズが完結するように、また一組が全部揃うように収集することだけの楽しみ、身近に置いておくことだけの楽しみに限定されている。一部、ゲームを行なえるようにしたトレーディングカードや音声を出力するフィギュア、等の趣向が存在してはいる。しかし、構成が単純であり、変化に乏しく、リアリティ性、ストーリ性、ゲーム性、等において充分に満足できるようなレベルのものではない。 【0004】本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複雑な構成を実現することができ、変化を与えることができ、リアリティ性、ストーリ性、ゲーム性、等の趣向を持たせることができる物品と、それを実現するための非接触ICタグ、タグリーダに関する。」 (エ)「【0027】複合再生ルール-1,2,3の記述方法についての説明は後述するものとして、上述のトレーディングカード1,2,3をタグリーダの検出領域に提示したときの再生音声について先に説明する。まず、トレーディングカード1を単体で提示したときには、アリスの音声で「こんにちは(単体再生音声-1)」と再生される。同様に、トレーディングカード2を単体で提示したときには、ベティの音声で「こんにちは(単体再生音声-2)」と再生され、トレーディングカード3を単体で提示したときには、キャンディの音声で「こんにちは(単体再生音声-3)」と再生される。 【0028】次に、トレーディングカード1,2をその順序でほぼ同時に(所定時間内に)提示したときには、アリスの音声で「こんにちは(単体再生音声-1)」と再生され続いてベティの音声で「こんにちは(単体再生音声-2)」「アリス。キャンディは?(21)」と再生される。また、トレーディングカード2,1をその順序でほぼ同時に(所定時間内に)提示したときには、ベティの音声で「こんにちは(単体再生音声-2)」と再生され続いてアリスの音声で「こんにちは(単体再生音声-1)」「ベティ。キャンディは?(11)」と再生される。トレーディングカード2,3、トレーディングカード3,2、トレーディングカード3,1、トレーディングカード1,3のいずれの組合せの場合においても上述と同様であるから説明を省略する。」 (オ)上記(エ)より、非接触ICタグ、タグリーダは、複数のトレーディングカード(トレーディングカード1,2)をほぼ同時に(所定時間内に)提示したときには、トレーディングカードを単体で提示したときの単体再生音声(「こんにちは(単体再生音声-1)」、及び「こんにちは(単体再生音声-2)」)に加えて、音声(「アリス。キャンディは?(21)」)が再生される、といえる。 そうすると、上記(ア)乃至(オ)の記載事項から、刊行物3には、次の技術事項(以下「周知の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 「複数のトレーディングカードをほぼ同時に(所定時間内に)提示したときには、トレーディングカードを単体で提示したときの単体再生音声に加えて、音声が再生される、非接触ICタグ、タグリーダ。」 (2)対比 そこで、本願発明1と引用発明1とを対比すると、 ア.後者の「IDコード」、「複数の被読取り形象物」、及び「非接触型のリーダ」は、それぞれ、前者の「個別識別情報」、「複数の被識別部材」、及び「読取体」に相当する。そして、後者の「非接触型のリーダ」は、「複数種の被読取り形象物の前記IDコードを前記リーダによって読み取」るものであるから、「複数の被識別部材の前記複数の個別識別情報を読み取る読取体」といえる。 イ.後者の「動作は発音動作である」から、「発音部、発光部、振動部の少なくとも一つを有する駆動部」を有するといえる。 ウ.後者は、「IDコードに対応する形象物種別を形象物種別データとして記憶装置に格納」するものであるから、「被識別部材から読み取った個別識別情報を記憶する記憶領域」を有し、「記憶領域は複数の被識別部材から読み取った複数個の個別識別情報を記憶可能であり」といえる。 エ.後者の「記憶装置には、発音データとして、予め設定されたIDコードに対応した料理素材名に関するデータと、その料理素材の組み合わせに基づく料理名およびそれに関連する言葉のデータが記憶される」ものであるから、「駆動部の動作データを記憶した動作データ記憶部」を有するといえる。 オ.後者は、「リーダによって読み取られた被読取り形象物のIDコードに応じた動作データを記憶装置から読み出し、前記IDコードに対応する動作データに基づいて当該被読取り形象物に応じた動作を行うように構成される」ものであるから、「動作データ記憶部から記憶領域に記憶されている個別識別情報に応じた動作データを読み出し、当該読み出した動作データに基づいて駆動部を駆動可能な制御部」を有しているといえる。 カ.後者は、「複数種の前記被読取り形象物の前記IDコードを前記リーダによって読み取った際にはそれらIDコードの組み合わせ、ひいては複数種の前記被読取り形象物の組み合わせに応じた動作を行うように構成され」、「制御装置により、一の料理(例えばカレー)を作るのに必要な複数の被読取り形象物が鍋模型に全て投入された後に、お玉模型で掻き混ぜると、それらに対応した料理素材から得られる料理名およびそれに関連する音、例えば「カレーだね、たべたいな」という音をスピーカから出力させる」ものであるから、「制御部は、記憶領域に記憶されている個別識別情報が所定の組み合わせの場合には、動作データ記憶部から、当該組み合わせに応じた動作データを読み出し、当該読み出した動作データに基づいて駆動部を駆動可能であり、制御部は、複数の被識別部材から読み取った複数個の個別識別情報の組み合せが順不同であっても前記所定の組合せに一致すると判断し、前記動作データ記憶部から、当該組み合わせに応じた動作データを読み出し、当該読み出した動作データに基づいて前記駆動部を駆動可能」であるといえる。 したがって、両者は、 「個別識別情報を付与された複数の被識別部材から、前記複数の被識別部材の前記複数の個別識別情報を読み取る読取体であって、 発音部、発光部、振動部の少なくとも一つを有する駆動部と、 前記被識別部材から読み取った個別識別情報を記憶する記憶領域と、 前記駆動部の動作データを記憶した動作データ記憶部と、 前記動作データ記憶部から前記記憶領域に記憶されている個別識別情報に応じた動作データを読み出し、当該読み出した動作データに基づいて前記駆動部を駆動可能な制御部を有し、 前記記憶領域は前記複数の被識別部材から読み取った複数個の個別識別情報を記憶可能であり、 前記制御部は、前記記憶領域に記憶されている個別識別情報が所定の組み合わせの場合には、前記動作データ記憶部から、当該組み合わせに応じた動作データを読み出し、当該読み出した動作データに基づいて前記駆動部を駆動可能であり、 前記制御部は、前記複数の被識別部材から読み取った複数個の個別識別情報の組み合せが順不同であっても前記所定の組合せに一致すると判断し、前記動作データ記憶部から、当該組み合わせに応じた動作データを読み出し、当該読み出した動作データに基づいて前記駆動部を駆動可能である、読取体。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本願発明1が、「複数の支持部」を有し、個別識別情報を付与された複数の被識別部材が「複数の支持部のそれぞれに交換可能に支持され」、読取体が「複数の支持部に沿って」複数の被識別部材の複数の個別識別情報を読み取るものであるのに対し、引用発明1は、そのような構成を備えていない点。 [相違点2] 本願発明1が、制御部は、「動作データ記憶部から記憶領域に記憶されている個別識別情報に応じて読み出した動作データに基づいて駆動部を駆動した後、所定時間内に読取体が被識別部材から個別識別情報を読み取ったとき、読み取った個別識別情報が記憶領域に記憶されている個別識別情報と一致するか否かを判断し、読み取った個別識別情報が記憶領域に記憶されている個別識別情報と一致すると判断したときは、動作データ記憶部から所定時間内に同じ個別識別情報が読み取られたことに応じた動作データを読み出し、読み出した動作データに基づいて駆動部を駆動可能である」のに対し、引用発明1は、そのような構成を備えていない点。 (3)判断 上記相違点2について検討する。 引用発明2の「(半導体集積メモリの)記憶領域」、「識別子」、「音声の圧縮データ」、「音声出力部」、「読取り部」、及び「本」は、それぞれ、本願発明1の「動作データ記憶部」、「個別識別情報」、「動作データ」、「駆動部」、「読取体」、及び「被識別部材」に相当する。 引用発明2は、「同一の識別子が連続して読取られた場合、この連続回数に対応付けられた異なる記憶領域を検出する」ものであるから、個別識別情報が記憶されている「記憶領域」を有することは明らかである。 引用発明2は、「前記音声出力部は、同一の識別子が連続して読取られた場合、この連続回数に対応付けられた異なる記憶領域を検出する」ものであるから、「同じ個別識別情報が読み取られたことに応じた動作データを読み出し、読み出した動作データに基づいて駆動部を駆動可能である」といえる。 また、上記周知の技術事項は、「複数のトレーディングカードをほぼ同時に(所定時間内に)提示したときには、トレーディングカードを単体で提示したときの単体再生音声に加えて、音声が再生される」ものであるから、「所定時間内に個別識別情報が読み取られたことに応じた動作データを読み出し、読み出した動作データに基づいて駆動部を駆動可能である」といえる。 しかし、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項は、本願明細書の「ユーザ10が、通常の変身音または特殊な変身音の出力後、所定時間(例えば、3分)以内に再度スキャナ30でメダル21の個別識別情報、玩具識別IC27の玩具識別情報を読み取ることもあり得る(ステップSB5)。もし、ユーザ10が所定時間以内に再度スキャナ30でメダル21の個別識別情報、玩具識別IC27の玩具識別情報を読み取った場合、前述したのと同様に、1枚のメダルを読み取るごとにメダルを認識し(ステップSB6)、玩具識別IC27を読み取る(ステップSB7)。そして制御部40はメモリ42内の一時記憶領域に記憶されていた個別識別情報、玩具識別情報と、新しく読み取って一時記憶領域に記憶された個別識別情報、玩具識別情報を比較して、一致しているか否かを判断する(ステップSB8)。一致していると判断した場合は、メダル21を交換することなく再度読取を行ったことになるため、それに応じた読取完了音を発生する音声データをメモリから読み出し、発音部34を駆動して読取完了音を出力させる(ステップSB9)。さらに制御部40は、メダル21を交換することなく再度読取を行ったことに応じて、今度は変身音ではなく、メモリ42から必殺技音、例えば「スキャニングチャージライダーキック」という音声を発するための音声データを読み出し、発音部34を駆動して音声を出力させる(ステップSB10)。」(【0036】参照。)との記載からみると、駆動部における「動作データ記憶部から記憶領域に記憶されている個別識別情報に応じて読み出した動作データに基づいて駆動部を駆動した後」、と「所定時間内に読取体が被識別部材から個別識別情報を読み取ったとき、読み取った個別識別情報が記憶領域に記憶されている個別識別情報と一致するか否かを判断し、読み取った個別識別情報が記憶領域に記憶されている個別識別情報と一致すると判断したときは、動作データ記憶部から所定時間内に同じ個別識別情報が読み取られたことに応じた動作データを読み出し、読み出した動作データに基づいて駆動部を駆動可能である」とは、一連の動作であるといえるから、上記相違点2に係る本願発明1における発明特定事項は全体として一体不可分の発明特定事項である。 そうすると、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項は、引用発明2に示されていないし、上記周知の技術事項ともいえないし、また、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。 また、仮に、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項が、一体不可分でないとしても、本願発明1の「所定時間内に同じ個別識別情報が読み取られたこと」との発明特定事項に関して、引用発明2に「同じ個別識別情報が読み取られたこと」が示され、「所定時間内に個別識別情報が読み取られたこと」が周知の技術事項に示されているが、引用発明1を上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項とするためには、まず、上記周知の技術事項を引用発明2に適用して、更に、引用発明2に上記周知の技術事項を適用したものを、引用発明1に適用しなければならず、つまり、容易の容易、いわゆる、後付けの論理となる。 そして、本願発明1は、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を具備することにより、本願明細書に記載の「本発明に係る玩具によれば、より変化に富んで面白い玩具を提供することができる。」(【0016】)という作用効果を奏するものである。 したがって、上記相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1、引用発明2、及び上記周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 (4)本願発明2について 本願発明2は、本願発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本願発明2は、上記(3)と同様の理由により、引用発明1、引用発明2、及び上記周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 第4 当審拒絶理由について 1.当審拒絶理由の概要 この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 請求項1の「前記複数の識別部材」に対応する事項が不明である。 よって、請求項1及び2に係る発明は明確でない。 2.当審拒絶理由の判断 平成29年1月24日に提出された手続補正書において、上記第2のとおり、請求項1、及び請求項2の記載は補正されたことにより、請求項1、及び請求項2に係る発明の記載不備は解消された。 したがって、当審拒絶理由は解消した。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明1、及び本願発明2は、引用発明1、引用発明2、及び上記周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとものとすることはできないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-010650

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