特許拒絶査定不服審判
2016-009512
遊技機
- 審判番号
- 2016-009512
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-121512外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年06月27日
- 審決日
- 2017年02月10日
- 公報発行日
- 2017年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .16 -Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条の2
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条の2、特許法第17条の2第5項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-121512号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月 7日出願公開、特開2016- 154号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年6月12日の出願であって、平成27年9月7日付けで手続補正がなされたが、平成28年3月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成28年6月27日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含むものであり、請求項1の記載は、補正前の、
「【請求項1】
始動条件の成立により、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段にて前記特別遊技を実行すると判定されると、入賞手段を開放する複数のラウンド遊技からなる前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
前記特別遊技実行手段による前記特別遊技の実行後、遊技者に有利な遊技状態で遊技を制御可能な遊技制御手段と、を備え、
前記入賞手段は、第1入賞手段、および、入球した遊技球を計数する計数手段、前記特別遊技実行手段による前記特別遊技が継続性を有する構成の下、遊技球が通過することにより前記特別遊技の継続が確定する継続確定手段、及び、遊技球が通過することにより前記遊技制御手段による前記遊技者に有利な遊技状態への移行が確定する移行確定手段を有する第2入賞手段から構成され、
前記特別遊技実行手段は、所定のラウンド遊技において、前記第2入賞手段を開放するよう構成されていること、
を特徴とする遊技機。」から、
補正後の
「【請求項1】
始動条件の成立により、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段にて前記特別遊技を実行すると判定されると、入賞手段を開放する複数のラウンド遊技からなる前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
前記特別遊技実行手段による前記特別遊技の実行後、遊技者に有利な遊技状態で遊技を制御可能な遊技制御手段と、を備え、
前記入賞手段は、
第1入賞手段と、
入球した遊技球を計数する計数手段、前記特別遊技実行手段による前記ラウンド遊技が継続性を有する構成の下、遊技球が通過することにより前記ラウンド遊技の継続が確定する継続確定手段、及び、遊技球が通過することにより前記遊技制御手段による前記遊技者に有利な遊技状態への移行が確定する移行確定手段を有する第2入賞手段と、から構成され、
前記特別遊技実行手段は、所定のラウンド遊技において、前記第1入賞手段又は前記第2入賞手段を開放すると共に、前記第1入賞手段と前記第2入賞手段とを互いに同時に開放しないよう構成されていること、 を特徴とする遊技機。」
へ補正された(下線部は補正箇所を示す。)。
2.補正の適否
本件補正によって、請求項1の記載は、上記1.の下線部の構成が変更、追加された。
(1)すなわち、「特別遊技実行手段」における「遊技」の「継続性」について、「特別遊技」を「ラウンド遊技」に補正すると共に、
(2)特別遊技実行手段は、所定のラウンド遊技において、「前記2入賞手段を開放するように構成され」を「前記第1入賞手段又は前記第2入賞手段を開放すると共に、前記第1入賞手段と前記第2入賞手段とを互いに同時に開放しないよう構成され」と補正された。
審判請求人は審判請求書において、本件補正が新規事項でない旨の説明はしているものの、補正目的については説明していない。
そこで、まず、上記(1)の補正について検討すると、請求項1の記載全体から見て、特別遊技は1回の大当たりを意味している。したがって、特別遊技実行手段は特別遊技を継続させるのではなく、ラウンドを継続させることは明らかであるから、当該補正は、特許法第17条の2第5項第3号に規定する「誤記の訂正」を目的とする補正に該当する。そして当該補正は新規事項を追加するものではない。
次に上記(2)の補正について検討すると、「前記第1入賞手段又は前記第2入賞手段を開放すると共に、前記第1入賞手段と前記第2入賞手段とを互いに同時に開放しないよう構成され」は、「所定のラウンド遊技」における「特別遊技実行手段」の構成を限定しているといえる。
そして、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、当該補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
そして、当該補正は、新規事項を追加するものではない。
3.独立特許要件
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下に検討する。
(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の補正の概要において示した次のとおりのものである(A~Gについては、審判請求書における請求人の分説にしたがって当審で付与した。)。
「【請求項1】
A 始動条件の成立により、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する判定手段と、
B 前記判定手段にて前記特別遊技を実行すると判定されると、入賞手段を開放する複数のラウンド遊技からなる前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
C 前記特別遊技実行手段による前記特別遊技の実行後、遊技者に有利な遊技状態で遊技を制御可能な遊技制御手段と、を備え、
D 前記入賞手段は、
第1入賞手段と、
E 入球した遊技球を計数する計数手段、前記特別遊技実行手段による前記ラウンド遊技が継続性を有する構成の下、遊技球が通過することにより前記ラウンド遊技の継続が確定する継続確定手段、及び、遊技球が通過することにより前記遊技制御手段による前記遊技者に有利な遊技状態への移行が確定する移行確定手段を有する第2入賞手段と、から構成され、
F 前記特別遊技実行手段は、所定のラウンド遊技において、前記第1入賞手段又は前記第2入賞手段を開放すると共に、
G 前記第1入賞手段と前記第2入賞手段とを互いに同時に開放しないよう構成されていること、 を特徴とする遊技機。」
(2)刊行物、先願明細書
(2-1)刊行物1
本願の出願前に頒布された刊行物である「特開2014-104133号公報」(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア)「【課題を解決するための手段】
【0005】
本態様に係るぱちんこ遊技機は、
遊技球が入球可能な始動口(例えば、第1主遊技始動口2210又は第2主遊技始動口2110)と、
閉状態と開状態とを採り得る第一可変入賞口(例えば、第2大入賞口2220)と、
第一可変入賞口(例えば、第2大入賞口2220)に入球した遊技球が入球し得る第一特定領域(例えば、特定領域2224)と、
閉状態と開状態とを取り得る第二可変入賞口(例えば、第1大入賞口2120)と、
第二可変入賞口(例えば、第1大入賞口2120)に入球した遊技球が入球し得る第二特定領域(例えば、継続領域2124)と
を備え、
始動口(例えば、第1主遊技始動口2210又は第2主遊技始動口2110)への遊技球の入球に基づき、乱数を取得する乱数取得手段(例えば、第1主遊技乱数取得判定実行手段1121又は第2主遊技乱数取得判定実行手段1122)と、
前記乱数に基づき、当否判定を実行する当否判定実行手段(例えば、当否抽選手段1135)と、
当否判定実行手段(例えば、当否抽選手段1135)による当否判定結果が当選である場合、第一可変入賞口(例えば、第2大入賞口2220)及び第二可変入賞口(例えば、第1大入賞口2120)のいずれかを閉状態から開状態とする遊技であって、第一可変入賞口(例えば、第2大入賞口2220)又は第二可変入賞口(例えば、第1大入賞口2120)への所定個数の入球又は所定期間が経過するまで閉状態から開状態とし得る遊技である単位遊技(いわゆるラウンドであり、以下同じ)を複数回実行する特別遊技を実行し得る特別遊技実行手段(例えば、特別遊技実行手段1173)と、
前記乱数に基づく抽選が実行可能である非特別遊技時の遊技状態として、通常遊技状態と通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な特定遊技状態(例えば、いわゆる確率変動遊技状態や時間短縮遊技状態)とを有し、特別遊技の実行終了後において通常遊技状態及び特定遊技状態(例えば、いわゆる確率変動遊技状態や時間短縮遊技状態)のいずれかとする非特別遊技時遊技状態制御手段(例えば、特定遊技制御手段1180)と
を備え、
特別遊技実行手段(例えば、特別遊技実行手段1173)は、
少なくとも初回の単位遊技については第一可変入賞口(例えば、第2大入賞口2220)を閉状態から開状態とし得る遊技とし、初回の単位遊技の実行に基づく第一可変入賞口(例えば、第2大入賞口2220)への遊技球の有無に拘わらず初回の単位遊技の実行後には次回の単位遊技を実行すると共に、当該次回以降のある単位遊技の実行後において更なる単位遊技の実行が予定されている状況下、当該ある単位遊技が第二可変入賞口(例えば、第1大入賞口2120)を閉状態から開状態とし得る遊技であって当該ある単位遊技の実行に基づく第二特定領域(例えば、継続領域2124)への入球があった場合には、当該ある単位遊技の実行後において更なる単位遊技を実行する一方、当該ある単位遊技が第二可変入賞口(例えば、第1大入賞口2120)を閉状態から開状態とし得る遊技であって当該ある単位遊技の実行に基づく第二特定領域(例えば、継続領域2124)への入球がなかった場合には、当該ある単位遊技の実行後において更なる単位遊技を実行せずに特別遊技の実行を終了し、
非特別遊技時遊技状態制御手段(例えば、特定遊技制御手段1180)は、
特別遊技の実行中における第一可変入賞口(例えば、第2大入賞口2220)を閉状態から開状態とし得る単位遊技の実行に基づく第一特定領域(例えば、特定領域2224)への入球があったことを条件として、当該特別遊技の実行終了後において特定遊技状態(例えば、いわゆる確率変動遊技状態や時間短縮遊技状態)に移行させ得る
ことを特徴とするぱちんこ遊技機である。」
(イ)「【0101】
次に、図16は、図14におけるステップ2100のサブルーチンに係る、継続判定遊技実行処理のフローチャートである。はじめに、本実施形態においては、特別遊技実行中の所定ラウンド(本例では、第2~15ラウンド)において、当該特別遊技の残りラウンドの実行可否を決定するための遊技(以下、継続判定遊技と呼ぶことがある)を実行可能に構成されている。まず、ステップ2102で、継続判定遊技実行制御手段1175は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194のフラグエリアを参照し、開放中フラグがオンであるか否かを判定する。ステップ2102でYesの場合、即ち、継続判定遊技の実行途中である場合、以下で詳述するステップ2104~2114の処理を行うことなく、ステップ2116に移行する。
【0102】
他方、ステップ2102でNoの場合、即ち、継続判定遊技の実行開始直前である場合、まず、ステップ2104で、継続判定遊技実行制御手段1175は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194内の開放中フラグをオンにする。次に、ステップ2106で、継続判定遊技実行制御手段1175は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194のフラグエリアを参照し、長開放フラグがオンであるか否かを判定する。ステップ2106でYesの場合、ステップ2108で、継続判定遊技実行制御手段1175は、第1大入賞口(継続入賞口)電動役物2122の長開放パターン(本例では、30秒間開放されるパターン)を、継続判定遊技実行用タイマ1175aにセットし、ステップ2112に移行する。他方、ステップ2106でNoの場合、ステップ2110で、継続判定遊技実行制御手段1175は、第1大入賞口(継続入賞口)電動役物2122の短開放パターン(本例では、1秒間開放されるパターン)を、継続判定遊技実行用タイマ1175aにセットし、ステップ2112に移行する。」
(ウ)「【0107】
次に、図17は、図14におけるステップ2200のサブルーチンに係る、振分遊技実行処理のフローチャートである。はじめに、本実施形態においては、特別遊技実行中の所定ラウンド(本例では、第1及び16ラウンド)において、当該特別遊技終了後の確率変動遊技状態移行可否を決定するための遊技(以下、振分遊技と呼ぶことがある)を実行可能に構成されている。即ち、ステップ2202で、振分遊技実行制御手段1176は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194のフラグエリアを参照し、開放中フラグがオンであるか否かを判定する。ステップ2202でYesの場合、即ち、振分遊技の実行途中である場合、以下で詳述するステップ2204~2214の処理を行うことなく、ステップ2216に移行する。
【0108】
他方、ステップ2202でNoの場合、即ち、振分遊技の実行開始直前である場合、まず、ステップ2204で、振分遊技実行制御手段1176は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194内の開放中フラグをオンにする。次に、ステップ2206で、振分遊技実行制御手段1176は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194のフラグエリアを参照し、長開放フラグがオンであるか否かを判定する。ステップ2206でYesの場合、ステップ2208で、振分遊技実行制御手段1176は、第2大入賞口(振分入賞口)電動役物2222の長開放パターン(本例では、15秒間開放されるパターン)を、振分遊技実行用タイマ1176aにセットし、ステップ2212に移行する。他方、ステップ2206でNoの場合、ステップ2210で、振分遊技実行制御手段1176は、第2大入賞口(振分入賞口)電動役物2222の短開放パターン(本例では、0.5秒間開放されるパターン)を、振分遊技実行用タイマ1176aにセットし、ステップ2212に移行する。
【0109】
次に、ステップ2212で、振分遊技実行制御手段1176は、振分遊技関連情報一時記手段1197内の入賞球カウンタをゼロクリアする。次に、ステップ2214で、振分遊技実行制御手段1176は、第2大入賞口2220(以下、振分入賞口と呼ぶことがある)の第2大入賞口電動役物2222を駆動して、第2大入賞口2220を開放すると共に、振分遊技実行用タイマ1176aをスタートし、ステップ2216に移行する。
【0110】
次に、ステップ2216で、振分遊技実行制御手段1176は、第2大入賞口入賞検出装置2221からの第2大入賞口入球情報に基づき、第2大入賞口2220にて所定球(例えば10球)の入賞球があったか否かを判定する。ステップ2216でYesの場合には、ステップ2220に移行する。他方、ステップ2216でNoの場合、ステップ2218で、振分遊技実行制御手段1176は、振分遊技実行用タイマ1176a(特に、開放時間タイマ)を参照して、第2大入賞口電動役物2222の開放期間が終了したか否かを判定する。ステップ2218でYesの場合、ステップ2220に移行し、Noの場合には、本サブルーチンの呼び出し元に復帰する。
(エ)「【0138】
また、本実施形態では継続入賞口と振分入賞口とを別個に設けるよう構成したが、これには限定されず、例えば、継続領域及び特定領域を有していない通常の第1の大入賞口(大入賞口の開放中に入球がなかった場合にも次回のラウンドを実行する大入賞口)と、継続領域及び特定領域を有する第2の大入賞口と、を設けるよう構成してもよい。そのように構成する場合には、例えば、当該第2の大入賞口の内部に遊技球を誘導する誘導部材を設け、当該第2の大入賞口の開放時に、当該誘導部材が遊技球を、継続領域→特定領域の順にて誘導するよう動作させるよう構成することで、万が一、当該第2の大入賞口の短開放(例えば、0.1秒間の開放)時に、当該第2の大入賞口への不測の入球があったとしても、継続領域への誘導が先に行われるため、特定領域への不測の入球を防ぐ(予期せぬ確率変動遊技状態への移行を回避し、設計値を超える利益率が導出されてしまうことを防ぐ)ことが可能となる。」
上記記載事項(ア)~(ウ)より以下の事項が導かれる。
(a)上記(ア)には、「始動口(例えば、第1主遊技始動口2210又は第2主遊技始動口2110)への遊技球の入球に基づき、乱数を取得する乱数取得手段(例えば、第1主遊技乱数取得判定実行手段1121又は第2主遊技乱数取得判定実行手段1122)と、前記乱数に基づき、当否判定を実行する当否判定実行手段(例えば、当否抽選手段1135)」が記載され、これを整理すると、
始動口への遊技球の入球に基づき、乱数を取得し、当否判定を実行する当否判定実行手段が記載されているといえる。
(b)また、上記(ア)には、「当否判定実行手段(例えば、当否抽選手段1135)による当否判定結果が当選である場合、第一可変入賞口(例えば、第2大入賞口2220)及び第二可変入賞口(例えば、第1大入賞口2120)のいずれかを閉状態から開状態とする遊技であって、第一可変入賞口(例えば、第2大入賞口2220)又は第二可変入賞口(例えば、第1大入賞口2120)への所定個数の入球又は所定期間が経過するまで閉状態から開状態とし得る遊技である単位遊技(いわゆるラウンドであり、以下同じ)を複数回実行する特別遊技を実行し得る特別遊技実行手段(例えば、特別遊技実行手段1173)」と記載されており、これを整理すると、
当否判定実行手段による当否判定結果が当選である場合、第2大入賞口2220及び第1大入賞口2120のいずれかを閉状態から開状態とする遊技であって、該大入賞口を閉状態から開状態とし得る遊技である単位遊技(ラウンド)を複数回実行する特別遊技を実行し得る特別遊技実行手段が記載されているといえる。
(c)そして、上記(ア)には、「前記乱数に基づく抽選が実行可能である非特別遊技時の遊技状態として、通常遊技状態と通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な特定遊技状態(例えば、いわゆる確率変動遊技状態や時間短縮遊技状態)とを有し、特別遊技の実行終了後において通常遊技状態及び特定遊技状態(例えば、いわゆる確率変動遊技状態や時間短縮遊技状態)のいずれかとする非特別遊技時遊技状態制御手段(例えば、特定遊技制御手段1180)とを備え、」と記載され、これを整理すると、
特別遊技の実行終了後において通常遊技状態及び特定遊技状態(確率変動遊技状態等)のいずれかとする特定遊技制御手段とを備えることが記載されているといえる。
(d)さらに、上記(ア)には、「特別遊技実行手段(例えば、特別遊技実行手段1173)は、少なくとも初回の単位遊技については第一可変入賞口(例えば、第2大入賞口2220)を閉状態から開状態とし得る遊技とし、初回の単位遊技の実行に基づく第一可変入賞口(例えば、第2大入賞口2220)への遊技球の有無に拘わらず初回の単位遊技の実行後には次回の単位遊技を実行すると共に、当該次回以降のある単位遊技の実行後において更なる単位遊技の実行が予定されている状況下、当該ある単位遊技が第二可変入賞口(例えば、第1大入賞口2120)を閉状態から開状態とし得る遊技であって当該ある単位遊技の実行に基づく第二特定領域(例えば、継続領域2124)への入球があった場合には、当該ある単位遊技の実行後において更なる単位遊技を実行する一方、当該ある単位遊技が第二可変入賞口(例えば、第1大入賞口2120)を閉状態から開状態とし得る遊技であって当該ある単位遊技の実行に基づく第二特定領域(例えば、継続領域2124)への入球がなかった場合には、当該ある単位遊技の実行後において更なる単位遊技を実行せずに特別遊技の実行を終了し、」と記載されている。
したがって、特別遊技実行手段は、少なくとも初回の単位遊技については第2大入賞口2220を閉状態から開状態とし得る遊技とし、ある単位遊技の実行後において更なる単位遊技の実行が予定されている状況下、ある単位遊技が第1大入賞口2120を閉状態から開状態とし得る遊技であって当該ある単位遊技の実行に基づく継続領域2124への入球があった場合には、当該ある単位遊技の実行後において更なる単位遊技を実行することが記載されているといえる。
(e)また、上記(ア)には、「非特別遊技時遊技状態制御手段(例えば、特定遊技制御手段1180)は、特別遊技の実行中における第一可変入賞口(例えば、第2大入賞口2220)を閉状態から開状態とし得る単位遊技の実行に基づく第一特定領域(例えば、特定領域2224)への入球があったことを条件として、当該特別遊技の実行終了後において特定遊技状態(例えば、いわゆる確率変動遊技状態や時間短縮遊技状態)に移行させ得る」と記載され、これを整理すると、
特定遊技制御手段は、第2大入賞口2220を閉状態から開状態とし得る単位遊技の実行に基づく特定領域2224への入球があったことを条件として、当該特別遊技の実行終了後において特定遊技状態(確率変動遊技状態等)に移行させ得ることが記載されているといえる。
そして、上記(ウ)の【0110】には、「振分遊技実行制御手段1176は、第2大入賞口入賞検出装置2221からの第2大入賞口入球情報に基づき、第2大入賞口2220にて所定球(例えば10球)の入賞球があったか否かを判定する。」と記載され、これから、振分遊技実行制御手段は第2大入賞口2220の入賞球を計数していることは明らかである。
(f)上記(d)で示した(ア)の記載事項と上記(イ)から、
特別遊技実行手段は、所定ラウンド(第2~15ラウンド)において、第1大入賞口を開放することが記載されているといえる。
また、同様に上記(d)で示した(ア)の記載事項と上記(ウ)から、
特別遊技実行手段は、所定ラウンド(第1及び16ラウンド)において、第2大入賞口を開放することが記載されているといえる。
したがって、特別遊技実行手段は、所定ラウンドにおいて、第1大入賞口又は第2大入賞口を開放することが記載されているといえる。
(g)上記(f)によれば、第1大入賞口は第2~15ラウンドにおいて開放し、第2大入賞口は第1及び16ラウンドにおいて開放するから、互いに同時に開放しないように構成されていることは明らかである。
したがって上記(ア)~(ウ)の記載事項及び上記(a)~(g)の認定事項を総合すれば、刊行物1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(a~gについては、当審が分説するために付与した。)。
「a 始動口への遊技球の入球に基づき、乱数を取得し、当否判定を実行する当否判定実行手段と、
b 当否判定実行手段による当否判定結果が当選である場合、第2大入賞口2220及び第1大入賞口2120のいずれかを閉状態から開状態とする遊技であって、該大入賞口への所定個数の入球又は所定期間が経過するまで閉状態から開状態とし得る遊技である単位遊技(ラウンド)を複数回実行する特別遊技を実行し得る特別遊技実行手段と、
c 特別遊技の実行終了後において通常遊技状態及び特定遊技状態(確率変動遊技状態等)のいずれかとする特定遊技制御手段とを備え、
d 特別遊技実行手段は、少なくとも初回の単位遊技については第2大入賞口2220を閉状態から開状態とし得る遊技とし、ある単位遊技の実行後において更なる単位遊技の実行が予定されている状況下、ある単位遊技が第1大入賞口2120を閉状態から開状態とし得る遊技であって当該ある単位遊技の実行に基づく継続領域2124への入球があった場合には、当該ある単位遊技の実行後において更なる単位遊技を実行し、
e 振分遊技実行制御手段は第2大入賞口2220の入賞球を計数し、特定遊技制御手段は、第2大入賞口2220を閉状態から開状態とし得る単位遊技の実行に基づく特定領域2224への入球があったことを条件として、当該特別遊技の実行終了後において特定遊技状態(確率変動遊技状態等)に移行させ、
f 特別遊技実行手段は、所定ラウンドにおいて第1大入賞口又は第2大入賞口を開放し、
g 第1大入賞口と第2大入賞口は互いに同時に開放しないように構成されている、遊技機。」
(2-2)先願明細書等
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願の日前の他の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた特願2014-10107号(優先権主張日:平成25年1月24日)(特開2014-158700号公報参照。以下「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、「遊技機」に関して次の事項が図面とともに記載されている(下線部は当審で付与した。)。
(ア)「【請求項1】
遊技盤に設けられた始動口と、
遊技盤に設けられた大入賞装置と、
始動口への入球に起因して大当りか否かの当否判定を実行する当否判定手段と、
該当否判定手段の判定結果に応じて大当り図柄又はハズレ図柄を決定する図柄決定手段と、
図柄を変動表示した後に前記大当り図柄又は前記ハズレ図柄を確定表示せしめて前記判定結果を報知する表示手段と、を具備し、
前記当否判定手段により大当りの判定がなされると所定の大入賞装置の開閉作動を1ラウンドとする遊技を複数ラウンドにわたり連続的に実行可能な特別遊技に移行する遊技機において、
大入賞装置の内部には、特別遊技中に遊技球が入球することにより、特別遊技の次のラウンドの継続条件を達成させる継続手段と、遊技球が入球することにより、特別遊技後に次回の大当りの獲得に有利な特典遊技を付与するための付与条件を達成させる特典手段と、を具備し、
前記特別遊技の大入賞装置の開放作動が所定のラウンド回数時にのみ前記特典手段を有効とすることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記大入賞装置として、内部に前記継続手段である継続入球口を有する第1の大入賞装置とともに、内部に前記特典手段である特典入球口を有する第2の大入賞装置を具備し、前記所定のラウンド回数時に前記第2の大入賞装置を開放することを特徴とする遊技機。」
(イ)「【0029】
主制御装置40は、裏配線中継端子板530および外部接続端子板38を介して前記遊技施設のホールコンピュータ500と電気的に接続される。また主制御装置40には、裏配線中継端子板530や遊技盤中継端子板531を介して、前枠(ガラス枠)11および内枠30が開放しているか否か検出するガラス枠開放SW(スイッチ)501、内枠開放SW502、第1特図始動口23Aへの入球を検出する第1始動口SW503、第2特図始動口23Bへの入球を検出する第2始動口SW504、普図の作動ゲート22への入球を検出する普通図柄作動SW505、普通入賞口26への入球を検出する入賞口SW506、第1大入賞装置25Aへの入球を検出する第1カウントSW507、第2大入賞装置25Bへの入球を検出する第2カウントSW508、第1大入賞装置25Aの継続口210への入球を検出する継続SW509、第2大入賞装置25Bの特典口211への入球を検出する特典SW510、および役物連続作動ゲート24への入球を検出する役物連続作動SW511等の検出信号が入力される。」
(ウ)「【0059】
「特別遊技処理」は、図11に示すように、先ずS400の処理において、役物連続作動装置が作動中か確認し(S400)、作動中であれば(S400:yes)、S401の処理で第1又は第2大入賞装置25A,25Bが開放中か確認する。
S401の処理で第1又は第2大入賞装置25A,25Bが開放中でなければ(S401:no)、インターバル中か確認し(S402)、インターバル中でなければ(S402:no)、大当り終了演出中か確認し(S403)、大当り終了演出中でなければ(S403:no)、大当り開始演出時間が経過したか確認し(S404)、大当り開始演出時間が経過していれば(S404:yes)、S405の大入賞口開放処理において、最初の1R目は第1大入賞装置25Aを開放して、リターンする。第1大入賞装置25Aの開放中に継続口210への入球が可能となり、継続口210が有効となる。
・・・
【0064】
一方、前記S422の処理で最終ラウンドでなければ(S422:no)、前回のラウンドが14Rであったか否かを確認し(S424)、14Rでなければ(S424:no)、S425の処理において第1大入賞装置25Aを開放する。
【0065】
一方、前記S424の処理で14Rであれば(S424:yes)、S426の処理において最終ラウンド(15R)として第2大入賞装置25Bの開放処理を実行してリターンする。第2大入賞装置25Bの開放中に特典口211への入球が可能となり、特典口211が有効となる。
・・・
【0067】
続くS433の処理において、特典口211への入球があったか否かを確認し、特別遊技終了後に確変遊技に移行するか否かを確認する(S423)。特典口211への入球の確認は、入球時に入球フラッグ等をセットし、該入球フラグを確認することが望ましい。
確変遊技に移行するのであれば(S433:yes)、確変設定処理(S424)および確変フラグに「1」をセットする処理(S435)を行う。」
(エ)「【0071】
特別遊技では最大15Rの遊技が可能である。特別遊技の1Rから14Rでは、第1大入賞装置25Aが開放され、各ラウンドに継続口210への入球により次のラウンドが実施される。従って、遊技者の次のラウンドへの期待感と、特別遊技が終わってしまうのではないかといったスリル感を向上することができる。この場合、次のラウンドへの継続となると、図15(a)に示すように、演出図柄表示装置21において特別遊技の継続を示すことが望ましい。例えば、表示画面にラウンド数表示700、メインキャラクタである笑顔の「くまの達吉」701、継続確定の表示702、および大当り図柄等703を表示する。
【0072】
特別遊技の最終の15Rでは第2大入賞装置25Bを開放して、特典口211を有効としている。この場合、図15(b)に示すように、演出図柄表示装置21において確変、時短といった特典遊技の獲得を促すことが望ましい。例えば、表示画面にラウンド数表示、メインキャラクタの「くまの達吉」701、特典口211への入球を促す表示704、および大当り図柄703等を表示する。
そして特典口211への入球により、特別遊技終了後に確変遊技、時短遊技が付与される。この場合、図15(c)に示すように、演出図柄表示装置21において、例えば、表示画面にラウンド数表示700、メインキャラクタの光輝く笑顔の「くまの達吉」701、特典遊技獲得の表示705、および大当り図柄703等を表示する。」
(オ)「【0074】
本パチンコ機1は、特別遊技において1Rから14Rでは第1大入賞装置25Aを開放し、15Rでは第2大入賞装置25Bを開放する開放パターンとしたが、これに限らず、例えば、1Rから8Rおよび10Rから15Rに第1大入賞装置25Aを開放し、9Rに第2大入賞装置25Bを開放する開放パターンとしてもよい。この場合、特典口211には、特典の付与は勿論、特別遊技継続の機能を持たせる。
・・・・」
上記(ア)~(オ)の記載事項から以下の事項が導かれる。
(a)上記(ア)には、「始動口への入球に起因して大当りか否かの当否判定を実行する当否判定手段」が記載されている。
(b)また、上記(ア)には、「当否判定手段により大当りの判定がなされると所定の大入賞装置の開閉作動を1ラウンドとする遊技を複数ラウンドにわたり連続的に実行可能な特別遊技に移行する遊技機」が記載されている。
(c)そして、上記(ア)には、「特別遊技後に次回の大当りの獲得に有利な特典遊技を付与するための付与条件を達成させる特典手段」が記載されている。
(d、e)さらに、上記(ア)には、「大入賞装置の内部には、特別遊技中に遊技球が入球することにより、特別遊技の次のラウンドの継続条件を達成させる継続手段と、遊技球が入球することにより、特別遊技後に次回の大当りの獲得に有利な特典遊技を付与するための付与条件を達成させる特典手段」と記載され、また、【請求項2】には、「大入賞装置として、内部に前記継続手段である継続入球口を有する第1の大入賞装置とともに、内部に前記特典手段である特典入球口を有する第2の大入賞装置を具備」と記載されている。
一方で、上記(オ)には、「1Rから8Rおよび10Rから15Rに第1大入賞装置25Aを開放し、9Rに第2大入賞装置25Bを開放する開放パターンとしてもよい。この場合、特典口211には、特典の付与は勿論、特別遊技継続の機能を持たせる。」と記載されている。また、上記(イ)には、第2大入賞装置25Bへの入球を検出する第2カウントSW508について記載されている。
以上より、大入賞装置は、第1大入賞装置と、入球を検出する第2カウントSW508、内部に特別遊技中に遊技球が入球することにより、特別遊技の次のラウンドの継続条件を達成させる継続手段と、遊技球が入球することにより、特別遊技後に次回の大当りの獲得に有利な特典遊技を付与するための付与条件を達成させる特典手段を有する第2の大入賞装置から構成されることが記載されているといえる。
(f、g)上記(オ)に「1Rから8Rおよび10Rから15Rに第1大入賞装置25Aを開放し、9Rに第2大入賞装置25Bを開放する開放パターンとしてもよい。」と記載されているからも、第1大入賞装置又は第2大入賞装置は所定のラウンドに開放することが記載されているといえる。
また、1Rから8Rおよび10Rから15Rに第1大入賞装置を開放し、9Rに第2大入賞装置を開放するから、第1大入賞装置と第2大入賞装置は互いに同時に開放することはないといえる。
以上の(ア)~(オ)の記載事項及び上記(a)~(g)の認定事項を総合すると、上記先願明細書等には、以下の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている(a~gは当審で分説付与した。)。
「a 始動口への入球に起因して大当りか否かの当否判定を実行する当否判定手段を有し、
b 当否判定手段により大当りの判定がなされると所定の大入賞装置の開閉作動を1ラウンドとする遊技を複数ラウンドにわたり連続的に実行可能な特別遊技に移行する遊技機において、
c 特別遊技後に次回の大当りの獲得に有利な特典遊技を付与するための付与条件を達成させる特典手段と、
d 大入賞装置は、第1大入賞装置と、
e 入球を検出する第2カウントSW508、内部に特別遊技中に遊技球が入球することにより、特別遊技の次のラウンドの継続条件を達成させる継続手段と、遊技球が入球することにより、特別遊技後に次回の大当りの獲得に有利な特典遊技を付与するための付与条件を達成させる特典手段を有する第2の大入賞装置とを備え、
f 所定のラウンドにおいて、第1大入賞装置又は第2大入賞装置は開放し、
g 第1大入賞装置と第2大入賞装置は互いに同時に開放しないように構成された遊技機。」
(3)対比1
本願補正発明と上記(2-1)で認定した引用発明を対比する。
(a)引用発明の「始動口への遊技球の入球」は、本願補正発明の「始動条件の成立」に相当する。そして、引用発明の認定bより、当否判定の結果が当選である場合、第2大入賞口2220及び第1大入賞口2120のいずれかを閉状態から開状態とする特別遊技を実行する、すなわち、遊技者に有利な特別遊技を実行するから、
引用発明の「始動口への遊技球の入球に基づき、乱数を取得し、当否判定を実行する当否判定実行手段」は、本願補正発明の「始動条件の成立により、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する判定手段」に相当する。
(b)引用発明の「第2大入賞口2220及び第1大入賞口2120」は、本願補正発明の「入賞手段」に相当するから、
引用発明の「当否判定実行手段による当否判定結果が当選である場合、第2大入賞口2220及び第1大入賞口2120のいずれかを閉状態から開状態とする遊技であって、該大入賞口を閉状態から開状態とし得る遊技である単位遊技(ラウンド)を複数回実行する特別遊技を実行し得る特別遊技実行手段」は、本願補正発明の「前記判定手段にて前記特別遊技を実行すると判定されると、入賞手段を開放する複数のラウンド遊技からなる前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段」に相当する。
(c)引用発明の「特別遊技の実行終了後において」「特定遊技状態(確率変動遊技状態等)」とすることは、本願補正発明の「特別遊技の実行後、遊技者に有利な遊技状態で遊技を制御可能」とすることに相当する。
したがって、引用発明の「特別遊技の実行終了後において通常遊技状態及び特定遊技状態(確率変動遊技状態等)のいずれかとする特定遊技制御手段」は、本願補正発明の「前記特別遊技実行手段による前記特別遊技の実行後、遊技者に有利な遊技状態で遊技を制御可能な遊技制御手段」に相当する。
(d、e)引用発明の「第1大入賞口2120」、「第2大入賞口2220」はそれぞれ、本願補正発明の「第1入賞手段」、「第2入賞手段」に対応している。また、引用発明の「単位遊技」は、本願補正発明の「ラウンド遊技」に相当することは明らかである。
ここで、引用発明の「特別遊技実行手段は」「ある単位遊技の実行後において更なる単位遊技の実行が予定されている状況下、ある単位遊技が第1大入賞口2120を閉状態から開状態とし得る遊技であって当該ある単位遊技の実行に基づく継続領域2124への入球があった場合には、当該ある単位遊技の実行後において更なる単位遊技を実行」すること、本願補正発明の「特別遊技実行手段による前記ラウンド遊技が継続性を有する構成の下、遊技球が通過することにより前記ラウンド遊技の継続が確定する継続確定手段」「を有する第2入賞手段」を対比する。
引用発明の「ある単位遊技の実行後において更なる単位遊技の実行が予定されている状況下」は、本願補正発明の「ラウンド遊技が継続性を有する構成の下」に相当する。そして、引用発明の「特別遊技実行手段は」、「継続領域2124への入球があった場合には、当該ある単位遊技の実行後において更なる単位遊技を実行」するから、本願補正発明の「継続確定手段」に相当するといえる。また、引用発明の第1大入賞口2120(第1入賞手段)は「特別遊技実行手段」により制御されているから、「継続確定手段」を有しているといえる。
したがって、引用発明は、本願補正発明の表現を用いれば、「特別遊技実行手段による前記ラウンド遊技が継続性を有する構成の下、遊技球が通過することにより前記ラウンド遊技の継続が確定する継続確定手段」を有する第1入賞手段を備えているといえる。
そうすると、引用発明と本願補正発明は、「入賞手段」が「特別遊技実行手段による前記ラウンド遊技が継続性を有する構成の下、遊技球が通過することにより前記ラウンド遊技の継続が確定する継続確定手段」を有する点で共通する。
次に、引用発明の「振分遊技実行制御手段は第2大入賞口2220の入賞球を計数」するから、引用発明の「振分遊技実行制御手段」は、本願補正発明の「第2入賞手段」が有する「入球した遊技球を計数する計数手段」に相当する。
そして、引用発明の「特定遊技制御手段は、第2大入賞口2220を閉状態から開状態とし得る単位遊技の実行に基づく特定領域2224への入球があったことを条件として、当該特別遊技の実行終了後において特定遊技状態(確率変動遊技状態等)に移行させ」ることと、本願補正発明の「遊技球が通過することにより前記遊技制御手段による前記遊技者に有利な遊技状態への移行が確定する移行確定手段」「を有する第2入賞手段」を対比する。
引用発明の「特定遊技制御手段は」、「特定領域2224への入球があったことを条件として、当該特別遊技の実行終了後において特定遊技状態(確率変動遊技状態等)に移行させ」るから、本願補正発明の「移行確定手段」に相当する。また、引用発明の第2大入賞口2220(第2入賞手段)は「特定遊技制御手段」により制御されているから、「移行確定手段」を有しているといえる。
(f)引用発明の「特別遊技実行手段は、所定ラウンドにおいて第1大入賞口又は第2大入賞口を開放」することは、本願補正発明「特別遊技実行手段は、所定のラウンド遊技において、前記第1入賞手段又は前記第2入賞手段を開放」することに相当する。
(g)そして、上記(f)を前提として、引用発明の「第1大入賞口と第2大入賞口は互いに同時に開放しないように構成」することは、本願補正発明の「前記第1入賞手段と前記第2入賞手段とを互いに同時に開放しないよう構成」することに相当する。
以上の(a)~(g)の対比より、本願補正発明と引用発明は、
「A 始動条件の成立により、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する判定手段と、
B 前記判定手段にて前記特別遊技を実行すると判定されると、入賞手段を開放する複数のラウンド遊技からなる前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
C 前記特別遊技実行手段による前記特別遊技の実行後、遊技者に有利な遊技状態で遊技を制御可能な遊技制御手段と、を備え、
D’前記入賞手段は、
第1入賞手段と、
前記特別遊技実行手段による前記ラウンド遊技が継続性を有する構成の下、遊技球が通過することにより前記ラウンド遊技の継続が確定する継続確定手段と、
E’入球した遊技球を計数する計数手段、及び、遊技球が通過することにより前記遊技制御手段による前記遊技者に有利な遊技状態への移行が確定する移行確定手段を有する第2入賞手段と、から構成され、
F 前記特別遊技実行手段は、所定のラウンド遊技において、前記第1入賞手段又は前記第2入賞手段を開放すると共に、
G 前記第1入賞手段と前記第2入賞手段とを互いに同時に開放しないよう構成されていること、 を特徴とする遊技機。」である点で一致しており、次の点で相違する。
(相違点)
特別遊技実行手段による前記ラウンド遊技が継続性を有する構成の下、遊技球が通過することにより前記ラウンド遊技の継続が確定する継続確定手段について、本願補正発明は第2入賞手段が有しているが、引用発明は第1入賞手段が有している点。
(4)判断1
上記(2-1)の(エ)には、「継続領域及び特定領域を有していない通常の第1の大入賞口(大入賞口の開放中に入球がなかった場合にも次回のラウンドを実行する大入賞口)と、継続領域及び特定領域を有する第2の大入賞口と、を設けるよう構成してもよい。」と記載されている。これは、第2の大入賞口、すなわち、第2入賞手段にも継続領域を設けてもよいことであるから、継続確定手段を第2入賞手段が有することを示唆する記載である。
したがって、引用発明に刊行物1に記載の上記記載事項、すなわち、継続確定手段を第2入賞手段が有する構成を採用し、本願補正発明のようにすることは当業者が容易になし得ることである。
そして、本願補正発明の作用効果も引用発明及び刊行物1に記載された事項からみて格別のものではない。
よって、本願補正発明は引用発明及び刊行物1に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
(5)対比2、判断2
次に、上記とは別の理由についての検討も付け加える。
そこで、本願補正発明と先願発明とを対比する。
(a)先願発明の「始動口への入球」は、本願補正発明の「始動条件の成立」に相当する。そして、先願発明の認定bによると先願発明の「大当り」は特別遊技の移行を意味し、遊技者に有利な特別遊技を実行を可能とする。
したがって、先願発明の「始動口への入球に起因して大当りか否かの当否判定を実行する当否判定手段」は本願補正発明の「始動条件の成立により、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する判定手段」に相当する。
(b)先願発明は「当否判定手段により大当りの判定がなされると所定の大入賞装置の開閉作動を1ラウンドとする遊技を複数ラウンドにわたり連続的に実行可能な特別遊技に移行する」から、特別遊技を実行する手段を備えていることは明らかである。
したがって、先願発明は本願補正発明の「前記判定手段にて前記特別遊技を実行すると判定されると、入賞手段を開放する複数のラウンド遊技からなる前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段」を備えているといえる。
(c)先願発明の「次回の大当りの獲得に有利な特典遊技」は、本願補正発明の「特別遊技の実行後、遊技者に有利な遊技状態」での「遊技」に相当する。そして、引用発明の「特典遊技付与手段」は、本願補正発明の「遊技者に有利な遊技状態で遊技を制御可能な遊技制御手段」の機能を備えているといえる。
(d)先願発明の「大入賞装置」、「第1大入賞装置」、「第2大入賞装置」及び「第2大入賞装置」に「遊技球が入球すること」は、それぞれ、本願補正発明の「入賞手段」、「第1入賞手段」、「第2入賞手段」及び「第2入賞手段」に「遊技球が通過すること」に相当することは明らかである。
(e)先願発明の「入球を検出する第2カウントSW508」は、計測スイッチであるから、本願補正発明の「入球した遊技球を計数する計数手段」に相当する。
また、先願発明の「継続手段」、「特典手段」はそれぞれ、本願補正発明の「継続確定手段」、「移行確定手段」に相当するから、
先願発明の「内部に特別遊技中に遊技球が入球することにより、特別遊技の次のラウンドの継続条件を達成させる継続手段と、遊技球が入球することにより、特別遊技後に次回の大当りの獲得に有利な特典遊技を付与するための付与条件を達成させる特典手段を有する第2の大入賞装置」は、
本願補正発明の「前記特別遊技実行手段による前記ラウンド遊技が継続性を有する構成の下、遊技球が通過することにより前記ラウンド遊技の継続が確定する継続確定手段、及び、遊技球が通過することにより前記遊技制御手段による前記遊技者に有利な遊技状態への移行が確定する移行確定手段を有する第2入賞手段」に相当する。
(f)上記(b)のとおり、先願発明も「特別遊技実行手段」を備えることは明らかであるので、先願発明は本願補正発明の「前記特別遊技実行手段は、所定のラウンド遊技において、前記第1入賞手段又は前記第2入賞手段を開放する」構成を備えている。
(g)先願発明も本願補正発明同様に「第1入賞手段と前記第2入賞手段とを互いに同時に開放しないよう構成され」ていることは明らかである。
以上の(a)~(g)の対比のとおりであるから、本願補正発明と先願発明は、
「A 始動条件の成立により、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する判定手段と、
B 前記判定手段にて前記特別遊技を実行すると判定されると、入賞手段を開放する複数のラウンド遊技からなる前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
C 前記特別遊技実行手段による前記特別遊技の実行後、遊技者に有利な遊技状態で遊技を制御可能な遊技制御手段と、を備え、
D 前記入賞手段は、
第1入賞手段と、
E 入球した遊技球を計数する計数手段、前記特別遊技実行手段による前記ラウンド遊技が継続性を有する構成の下、遊技球が通過することにより前記ラウンド遊技の継続が確定する継続確定手段、及び、遊技球が通過することにより前記遊技制御手段による前記遊技者に有利な遊技状態への移行が確定する移行確定手段を有する第2入賞手段と、から構成され、
F 前記特別遊技実行手段は、所定のラウンド遊技において、前記第1入賞手段又は前記第2入賞手段を開放すると共に、
G 前記第1入賞手段と前記第2入賞手段とを互いに同時に開放しないよう構成されている遊技機。」
である点で一致し、相違点はない。
そうすると、本願補正発明は先願発明と同一であり、先願明細書等に記載された発明であるということができる。
なお、審判請求人は請求書において、
「本願発明のEと、引用文献2に記載の発明のE’とは一致するように見えなくもありません。
しかしながら、本願発明の継続確定手段と移行確定手段が別体であるのに対し(段落[0223]~[0227])、引用文献2(先願発明)に記載の発明の継続確定手段と移行確定手段は、一つの特典口211に両方の機能を持たせています。」と主張している。
しかしながら、本願補正発明においては、第2入賞手段が継続確定手段と、移行確定手段とを有することが特定されているものの、これらの手段が別体であることまでが特定されているとは認められない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(6)まとめ
よって、上記判断1、2で示したとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定又は特許法第29条の2の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成27年9月7日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
始動条件の成立により、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段にて前記特別遊技を実行すると判定されると、入賞手段を開放する複数のラウンド遊技からなる前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
前記特別遊技実行手段による前記特別遊技の実行後、遊技者に有利な遊技状態で遊技を制御可能な遊技制御手段と、を備え、
前記入賞手段は、第1入賞手段、および、入球した遊技球を計数する計数手段、前記特別遊技実行手段による前記特別遊技が継続性を有する構成の下、遊技球が通過することにより前記特別遊技の継続が確定する継続確定手段、及び、遊技球が通過することにより前記遊技制御手段による前記遊技者に有利な遊技状態への移行が確定する移行確定手段を有する第2入賞手段から構成され、
前記特別遊技実行手段は、所定のラウンド遊技において、前記第2入賞手段を開放するよう構成されていること、
を特徴とする遊技機。」
1.先願明細書等
上記第2の(2-2)で示したとおり、先願明細書等には先願発明が記載されている。
2.対比、判断
上記第1の2.補正の適否で検討したとおり、本願発明は、上記第1の1.の下線部の構成を本願補正発明から実質的に省いたものである。なお、誤記に関する「特別遊技」と「ラウンド」については、補正前も補正後と同様の解釈をすることとする。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2の検討のとおり、先願発明と同一であるから、本願発明も、同様に、先願発明と同一であり、先願明細書等に記載された発明であるといえる。
3.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条の2の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-009512