特許拒絶査定不服審判
2016-006308
特に、コンピューティング・リソース・ベースおよび/またはモバイル機器ベースの信頼コンピューティングに関する、方法、1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体、および機器
- 審判番号
- 2016-006308
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-520638外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年04月27日
- 審決日
- 2017年06月23日
- 公報発行日
- 2017年08月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】フェイスブック,インク.
- 【請求人代理人】恩田 誠
- 【請求人代理人】恩田 博宣
- 分類
- P18 .121-WY (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第184条の4第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-520638「特に,コンピューティング・リソース・ベースおよび/またはモバイル機器ベースの信頼コンピューティングに関する,方法,1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体,および機器」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月 9日国際公開,WO2014/008221,平成27年10月 8日国内公表,特表2015-529997,請求項の数(20)〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は,特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本願は,2013年7月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年7月3日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって,
平成27年2月24日付けで特許法第184条の4第1項の規定による明細書,請求の範囲,及び,図面(図面の中の説明に限る)の日本語による翻訳文が提出され,同日付けで審査請求がなされると共に手続補正がなされ,平成27年5月28日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して平成27年12月9日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,平成28年2月8日付けで審査官により拒絶査定がなされ(謄本送達;平成28年2月16日),これに対して平成28年4月27日付けで審判請求がなされたものである。
第2.本願発明について
本願の請求項1~請求項20に係る発明は,平成27年12月9日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~請求項20に記載された,次のとおりのものである。
「 【請求項1】
検証機関が,複数のユーザのうちの特定の1のユーザのモバイル機器上のアプリケーションからアクセス・データを受信する工程であって,該アクセス・データは,共用機器に関連付けられている認証データと,前記モバイル機器に関連付けられているデジタル・クレデンシャルとを含み,デジタル証明書として機能し,前記共用機器は,前記モバイル機器とは異なる機器であり,少なくとも前記複数のユーザによる使用のために構成されている,前記工程と,
前記検証機関が,前記アクセス・データと,前記検証機関によって記憶されている検証データとの比較に基づいて前記アクセス・データを認証する工程と,
前記検証機関が,前記認証に応じて,前記検証機関によって署名されている前記デジタル証明書であって,前記共用機器への前記特定のユーザのアクセスを提供する署名されている前記デジタル証明書を前記共用機器に送信する工程と,
前記検証機関が,前記モバイル機器に信頼性に基づくメトリックを提供する工程であって,前記信頼性に基づくメトリックは,前記共用機器にアクセスした後においてアカウントの信用度が低いとされた,前記特定のユーザのソーシャル・グラフにおけるユーザの数に基づく,前記工程と
を備える方法。
【請求項2】
前記検証機関はソーシャル・ネットワーキング・システムの認証マネージャを含むことと,前記モバイル機器がスマートフォンであることと,前記共用機器がデスクトップ・コンピュータであることとのうちの少なくとも1つを含む,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記共用機器が前記検証機関に登録されている,請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記登録されている共用機器へのアクセスが,前記検証機関により提供されるウェブページによって少なくとも部分的に制御される,請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記デジタル・クレデンシャルが,前記モバイル機器または前記特定のユーザを一意に識別するデータを含む,請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記認証データが,前記共用機器のディスプレイに表示されるクイック・レスポンス(QR)コードにより符号化されている,請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記モバイル機器に関連付けられているシステム状態情報であって,前記モバイル機器にインストールされている1つ以上のアプリケーションを示す前記システム状態情報を受信する工程と,
前記システム状態情報と,前記モバイル機器にインストールされている前記アプリケーションのうちの1つ以上の各アプリケーションの署名とを比較する工程と
をさらに含む,請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
複数のユーザのうちの特定の1のユーザのモバイル機器上のアプリケーションからアクセス・データを受信することであって,該アクセス・データは,共用機器に関連付けられている認証データと,前記モバイル機器に関連付けられているデジタル・クレデンシャルとを含み,デジタル証明書として機能し,前記共用機器は,前記モバイル機器とは異なる機器であり,少なくとも前記複数のユーザによる使用のために構成されている,前記受信することと,
前記アクセス・データと,検証機関によって記憶されている検証データとの比較に基づいて前記アクセス・データを認証することと,
前記検証機関によって署名されている前記デジタル証明書であって,前記共用機器への前記特定のユーザのアクセスを提供する署名されている前記デジタル証明書を前記認証に応じて前記共用機器に送信することと,
前記モバイル機器に信頼性に基づくメトリックを提供することであって,前記信頼性に基づくメトリックは,前記共用機器にアクセスした後においてアカウントの信用度が低いとされた,前記特定のユーザのソーシャル・グラフにおけるユーザの数に基づく,前記提供することと
をプロセッサに実行させるためのプログラムを格納した1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
前記検証機関はソーシャル・ネットワーキング・システムの認証マネージャを含むことと,前記モバイル機器がスマートフォンであることと,前記共用機器がデスクトップ・コンピュータであることとのうちの少なくとも1つを含む,請求項8に記載の媒体。
【請求項10】
前記共用機器が,前記検証機関に登録されている,請求項8または9に記載の媒体。
【請求項11】
前記登録されている共用機器へのアクセスが,前記検証機関により提供されるウェブページによって少なくとも部分的に制御される,請求項10に記載の媒体。
【請求項12】
前記デジタル・クレデンシャルが,前記モバイル機器または前記特定のユーザを一意に識別するデータを含む,請求項8乃至11のいずれか一項に記載の媒体。
【請求項13】
前記認証データが,前記共用機器のディスプレイに表示されるクイック・レスポンス(QR)コードにより符号化されている,請求項8乃至12のいずれか一項に記載の媒体。
【請求項14】
前記プログラムが,
前記モバイル機器に関連付けられているシステム状態情報であって,前記モバイル機器にインストールされている1つ以上のアプリケーションを示す前記システム状態情報を受信することと,
前記システム状態情報と,前記モバイル機器にインストールされている前記アプリケーションのうちの1つ以上の各アプリケーションの署名とを比較することと
を前記プロセッサに実行させるようにさらに構成されている,請求項8乃至13のいずれか一項に記載の媒体。
【請求項15】
記憶部に接続されているプロセッサと,
前記プロセッサに接続されている1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって,
複数のユーザのうちの特定の1のユーザのモバイル機器上のアプリケーションからアクセス・データを受信することであって,該アクセス・データは,共用機器に関連付けられている認証データと,前記モバイル機器に関連付けられているデジタル・クレデンシャルとを含み,デジタル証明書として機能し,前記共用機器は,前記モバイル機器とは異なる機器であり,少なくとも前記複数のユーザによる使用のために構成されている,前記受信することと,
前記アクセス・データと,検証機関によって記憶されている検証データとの比較に基づいて前記アクセス・データを認証することと,
前記検証機関によって署名されている前記デジタル証明書であって,前記共用機器への前記特定のユーザのアクセスを提供する署名されている前記デジタル証明書を前記認証に応じて前記共用機器に送信することと,
前記モバイル機器に信頼性に基づくメトリックを提供することであって,前記信頼性に基づくメトリックは,前記共用機器にアクセスした後においてアカウントの信用度が低いとされた,前記特定のユーザのソーシャル・グラフにおけるユーザの数に基づく,前記提供することと
を前記プロセッサに実行させるためのプログラムを格納した前記1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体と
を備える機器。
【請求項16】
前記共用機器が,前記機器に登録されている,請求項15に記載の機器。
【請求項17】
前記登録されている共用機器へのアクセスが,前記機器により提供されるウェブページによって少なくとも部分的に制御される,請求項16に記載の機器。
【請求項18】
前記デジタル・クレデンシャルが,前記モバイル機器または前記特定のユーザを一意に識別するデータを含む,請求項15に記載の機器。
【請求項19】
前記認証データが,前記共用機器のディスプレイに表示されるクイック・レスポンス(QR)コードにより符号化されている,請求項15に記載の機器。
【請求項20】
前記プログラムが,
前記モバイル機器に関連付けられているシステム状態情報であって,前記モバイル機器にインストールされている1つ以上のアプリケーションを示す前記システム状態情報を受信することと,
前記システム状態情報と,前記モバイル機器にインストールされている前記アプリケーションのうちの1つ以上の各アプリケーションの署名とを比較することと
を前記プロセッサに実行させるようにさらに構成されている,請求項15に記載の機器。」
第3.引用刊行物に記載の事項
1.原審における平成27年5月28日付けの拒絶理由(以下,これを「原審拒絶理由」という)において引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2005-78371号公報(2005年3月24日公開,以下,これを「引用刊行物1」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
A.「【0008】
従って本発明の目的は,認証端末が備える認証情報を利用して,認証情報を備えない通信端末を認証する情報処理サーバ及び情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために,本発明は,認証端末が備える認証情報を利用して,認証情報を備えない通信端末を認証する情報処理システムに用いられる情報処理サーバにおいて,認証情報を記憶した認証情報記憶装置と,通信端末の認証依頼を受信すると,認証パラメータを生成し,認証パラメータを含む認証画像を生成して通信端末に送信し,認証パラメータを認証パラメータ記憶装置に記憶する認証画像生成手段と,通信端末から取得した認証画像の情報と,認証端末が備える認証情報を,認証端末から取得する認証情報取得手段と,認証パラメータ記憶装置を参照して,認証情報取得手段で取得した認証画像の情報が,認証画像生成手段で生成された画像の情報であり,更に,認証端末が備える認証情報が,認証情報記憶装置に記憶した認証情報と一致するか否かを判定し,その結果を通信端末に送信する認証情報照合手段とを備える。
【0010】
このような本発明によれば,認証情報を持たない端末でも,認証情報を用いることにより認証を受けることができる。」
B.「【0045】
次に,図2を参照して本発明の第1の実施の形態に係る情報処理方法を説明する。
【0046】
まず,ステップS101において情報処理サーバ1は,認証画像生成手段111によって,通信端末2から認証依頼を受信すると,ステップS102において,ワンタイムパスワードや日時などの情報を含む認証画像を生成し,認証パラメータ記憶装置101に記憶する。更にステップS103において,情報処理サーバ1は,生成した認証画像を通信端末2に送信する。
通信端末2は,ステップS103において認証画像を受信すると,受信した画像をステップS104において提示する。
ステップS104において通信端末2で認証画像が提示されると,ステップS105において認証端末3は提示された認証画像を撮影し,認証画像データ記憶装置301に記憶する。更にステップS106において認証端末3は,認証画像データ記憶装置301に記憶された認証画像の情報と,認証識別子記憶装置302に記憶された認証端末3の認証識別子を併せて認証情報を作成し,ステップS107において,認証情報を情報処理サーバ107に送信する。
【0047】
ステップS107において,情報処理サーバ1は認証端末3から認証情報を受信すると,認証情報取得手段112によって,受信した認証情報を認証情報記憶装置102に記憶し,ステップS108において認証情報照合手段113によって認証パラメータ記憶装置101,認証情報記憶装置102,認証識別子記憶装置103を参照して認証情報の照合を行う。
認証情報の認証結果が出ると,情報処理サーバ1は,通信端末2に認証結果を送信し,通信端末2は認証結果取得手段213によって認証結果を受信する。
【0048】
本発明の第1の実施の形態に係る情報処理サーバ1によると,認証端末3の認証情報を利用することにより,認証情報を備えていない通信端末2を認証することができる。従って,ユーザは一つの認証端末3を備えていれば,複数の端末について同様に認証を受けることができる。」
2.原審拒絶理由に引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,「梅澤 克之、加藤 崇利、萱島 信、手塚 悟,“端末の信頼性を確保した端末連携認証システムの提案”,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2011年 5月26日,Vol.111、No.75,p.119-125」(以下,これを「引用刊行物2」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
C.「
」
D.「
」
E.「
」
F.「
」
G.「
」
3.原審拒絶理由に引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,「Scott Garriss, Ramon Caceres, Stefan Berger, Reiner Sailer, Leendert van Doorn, and Xiaolan Zhang,“Trustworthy and Personalized Computing on Public Kiosks”,Proceedings of the 6th international conference on Mobile systems, applications, and services (MobiS,[online],2008年,p.199-210」(以下,これを「引用刊行物3」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
H.「2. USER EXPERIENCE
To provide context for the rest of this paper, we begin with an overview of how a user interacts with our trustworthy kiosk computing system. We believe this interaction is simple enough that it does not place an undue burden on the user while providing important security functionality.
Figure 2 shows a timeline of the steps a user follows after stepping up to a kiosk that she intends to use. First, she makes the identity of the kiosk known to her mobile phone. We propose for kiosk owners to display a numerical identifier on the outside of the kiosk in barcode form. The user captures the contents of the barcode using the digital camera available on modern phones [17].
Second, the phone presents the user with a list of software configurations available on the kiosk. Figure 3(a) is an example of a mobile phone screen that presents these choices to the user. In this example, there are two choices, a personalized computing environment to be provided by the user, or a standard set of applications provided by the kiosk owner. The user selects the configuration she wants to use, and the phone forwards the choice to the kiosk.
Third, the user simply waits while the phone and kiosk carry out the rest of our trust establishment protocol, which we will describe in detail in Section 4. At the completion of this protocol, the phone announces to the user that the kiosk is either untrustworthy or trustworthy. Figures 3(b) and 3(c) show examples of these two cases. If the kiosk is declared untrustworthy, the user can walk away before divulging any personal information to the kiosk. If the kiosk is declared trustworthy, the user can proceed to use the kiosk.」(200頁右欄16行~45行)
(2.ユーザ認識
この論文の残りの部分の文脈を提供することを,ユーザが,どのようにして,我々の信頼できる,キオスク計算機システムと対話するかについての概要から始める。我々は,この対話が,余りに簡単なので,重要なセキュリティ機能が提供されいる間は,ユーザに,適切でない負担を置くことはないと,信ずる。
図2は,ユーザが,使おうとしているキオスクに近づいた後に,ユーザが従うステップの予定表を示している。第1に,彼女は,彼女の携帯電話に,キオスクの身元を知らせることができる。我々は,キオスクの所有者に,キオスクの識別子を,バーコード形式で,キオスクの外部に表示するよう要求する。ユーザは,現代の携帯電話に存在するであろう,ディジタル・カメラを用いて,バーコードのコンテンツを,キャプチャーする[17]。
第2に,携帯電話は,ユーザに,キオスク上に存在するであろう,ソフトウェア構成のリストを提示する。図3(a)は,ユーザのための,これらの選択肢を提示する,携帯電話画面の例である。この例においては,ユーザによって提供される,個別のコンピューティング環境か,或いは,キオスクの所有者によって提供された,アプリケーションの通常のセットの,2つの選択肢がある。ユーザは,彼女が使用することを望む,構成を選択し,携帯電話は,その選択を,キオスクに転送する。
第3に,ユーザは,単に,4章において詳細に説明する,我々の信頼性確立プロトコルの残りの部分を,携帯電話と,キオスクが実行するのを,待つ。このプロトコルの完了時に,携帯電話は,ユーザに,キオスクが,信頼できるか,そうでないかを通知する。図3(b)と,図3(c)は,この2つの場合を,例示している。もし,キオスクが,信頼できないと宣言されれば,ユーザは,任意の個人情報を,キオスクに漏らす前に,立ち去ることができる。もし,キオスクが,信頼できると宣言されれば,ユーザは,キオスクを使用することを,開始する。<当審にて訳出。以下,同じ。>)
4.原審における平成28年2月8日付けの拒絶査定(以下,これを「原審拒絶査定」という)において,周知技術を示すために提示された,本願の第1国出願前に既に公知である,「Ryoichi Shinkuma, et al.,New Generation Information Network Architecture Based on Social Metric,電子情報通信学会2010年通信ソサイエティ大会講演論文集2,日本,社団法人電子情報通信学会,2010年 8月31日,B-6-67,p.67」(以下,これを「周知技術文献」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
I.「2. Basic concepts
An entity, the smallest unit in the logical layer of our architecture, represents anything in the real world: a human, digital content, a location, or a network resource. Two related entities have a logical link between them. The length of this logical link represents the necessity, reliability, and similarity between two entities. We call the distance between two (or more) entities a social metric. However, social metrics for a user can depend on her social context. That is, the social metric of a user i to entity A with social context si should be represented as mi(A, si). Note that social metric is always directional. A service could be an entity or composed by two or more entities based on their social metrics and contexts. Then, physical resources play a role of outputting the logically-composed service to the real world.」(67頁左欄20行~33行)
(2.基本的な概念
エンティティ,我々のアーキテクチャの論理階層における最小単位は,人,ディジタル・コンテンツ,場所,或いは,ネットワーク資源といった,実世界における,あらゆるものに相当する。2つの関連したエンティティは,それらの間に,論理的なリンクを有する。この論理的なリンクの長さは,2つのエンティティ間の,必要度,信頼度,及び,類似度を表している。我々は,2つ(或いは,それ以上)のエンティティ間の距離を,社会的測定基準(ソーシャル・メトリック)と呼ぶ。しかしながら,ユーザのためのソーシャル・メトリックは,ユーザの社会的状況に依存する。即ち,ユーザiの,エンティティAへのソーシャル・メトリックは,社会状況siと共に,mi(A,si)と表される。ソーシャル・メトリックは,常に,方向性があることに注意されたい。サービスは,エンティティ,或いは,2つ,或いは,それ以上のエンティティを,それらのソーシャル・メトリック,及び,状況に基づいて,組み立てたもの,であり得る。次に,物理的な資源は,論理的に構成されたサービスを,現実世界に出力する役割を果たす。)
第4.引用刊行物に記載の発明
1.上記Aの「本発明の目的は,認証端末が備える認証情報を利用して,認証情報を備えない通信端末を認証する情報処理サーバ及び情報処理方法を提供すること」という記載,及び,同じく,上記Aの「本発明は,認証端末が備える認証情報を利用して,認証情報を備えない通信端末を認証する情報処理システムに用いられる情報処理サーバ」という記載から,引用刊行物1には,“認証端末が備える認証情報を利用して,認証情報を備えない通信端末を認証する情報処理サーバ及び情報処理方法”が記載されていることが読み取れる。
2.上記Aの「通信端末の認証依頼を受信すると,認証パラメータを生成し,認証パラメータを含む認証画像を生成して通信端末に送信し」という記載,上記Bの「情報処理サーバ1は,認証画像生成手段111によって,通信端末2から認証依頼を受信すると,ステップS102において,ワンタイムパスワードや日時などの情報を含む認証画像を生成し,認証パラメータ記憶装置101に記憶する。更にステップS103において,情報処理サーバ1は,生成した認証画像を通信端末2に送信する」という記載から,引用刊行物1においては,
“情報処理サーバは,通信端末から認証依頼を受信すると,認証画像を生成して,生成した認証画像を通信端末に送信する”ものであることが読み取れる。
3.上記Aの「通信端末から取得した認証画像の情報と,認証端末が備える認証情報を,認証端末から取得する認証情報取得手段」という記載,上記Bの「通信端末2は,ステップS103において認証画像を受信すると,受信した画像をステップS104において提示する。
ステップS104において通信端末2で認証画像が提示されると,ステップS105において認証端末3は提示された認証画像を撮影し,認証画像データ記憶装置301に記憶する」という記載,及び,同じく,上記Bの「認証端末3は,認証画像データ記憶装置301に記憶された認証画像の情報と,認証識別子記憶装置302に記憶された認証端末3の認証識別子を併せて認証情報を作成し,ステップS107において,認証情報を情報処理サーバ107に送信する」という記載から,引用刊行物1においては,
“通信端末は,認証画像を受信すると,受信した認証画像を提示し,認証端末は,前記認証画像を撮影して記憶し,前記記憶した認証画像と,前記認証端末の認証識別子とから,認証情報を作成し,前記認証情報を情報処理サーバに送信する”ものであることが読み取れる。
4.上記Aの「認証パラメータ記憶装置を参照して,認証情報取得手段で取得した認証画像の情報が,認証画像生成手段で生成された画像の情報であり,更に,認証端末が備える認証情報が,認証情報記憶装置に記憶した認証情報と一致するか否かを判定し,その結果を通信端末に送信する」という記載と,上記Bの「情報処理サーバ1は認証端末3から認証情報を受信すると,認証情報取得手段112によって,受信した認証情報を認証情報記憶装置102に記憶し,ステップS108において認証情報照合手段113によって認証パラメータ記憶装置101,認証情報記憶装置102,認証識別子記憶装置103を参照して認証情報の照合を行う」という記載,及び,同じく,上記Bの「認証情報の認証結果が出ると,情報処理サーバ1は,通信端末2に認証結果を送信し,通信端末2は認証結果取得手段213によって認証結果を受信する」という記載から,引用刊行物1においては,
“情報処理サーバは,認証端末から認証情報を受信すると,情報処理サーバが記憶する情報と比較することで,前記認証情報の照合を行い,前記認証情報の認証結果を,通信端末に送信する”ものであることが読み取れる。
5.以上1.~4.において検討した事項から,引用刊行物1には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。
「認証端末が備える認証情報を利用して,認証情報を備えない通信端末を認証する情報処理サーバ及び情報処理方法であって,
前記情報処理サーバは,前記通信端末から認証依頼を受信すると,認証画像を生成して,生成した認証画像を通信端末に送信し,
前記通信端末は,認証画像を受信すると,受信した認証画像を提示し,
前記認証端末は,前記認証画像を撮影して記憶し,前記記憶した認証画像と,前記認証端末の認証識別子とから,認証情報を作成し,前記認証情報を情報処理サーバに送信し,
前記情報処理サーバは,前記認証端末から,前記認証情報を受信すると,前記情報処理サーバが記憶する情報と比較することで,前記認証情報の照合を行い,前記認証情報の認証結果を,前記通信端末に送信する,方法。」
第5.本願発明と引用発明との対比
1.本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)と引用発明とを対比すると,
引用発明における「情報処理サーバ」,「認証端末」,「認証画像」,及び,「端末の認証識別子」が,本願発明における「検証機関」,「モバイル機器」,「共用機器に関連付けられている認証データ」,及び,「モバイル機器に関連付けられているデジタル・クレデンシャル」に相当し,
引用発明における「通信端末」と,本願発明における「共用機器」とは,“所定の装置”である点で共通する。
2.引用発明における「認証情報」は,「認証画像」,「端末の認証識別子」から構成されるものであるから,本願発明における「アクセス・データ」とは,
“所定の装置に関連付けられている認証データと,モバイル機器に関連付けられているデジタル・クレデンシャルから生成される情報”である点で共通する。
3.引用発明における「情報処理サーバは,前記認証端末から,前記認証情報を受信する」ことと,
本願発明における「検証機関が,複数のユーザのうちの特定の1のユーザのモバイル機器上のアプリケーションからアクセス・データを受信する工程」とは,
“検証機関が,モバイル機器から,所定の装置に関連付けられている認証データと,モバイル機器に関連付けられているデジタル・クレデンシャルから生成される情報を受信する工程”である点で共通する。
4.引用発明における「通信端末」が,「認証端末」とは,“別の端末”であるから,
引用発明における「通信端末」と,本願発明における「共用機器」とは,
“所定の装置は,モバイル機器とは異なる機器である”点でも共通する。
5.引用発明における「情報処理サーバが記憶する情報」は,「認証情報」を,認証するために用いるものであるから,本願発明における「検証機関によって記憶されている検証データ」に相当するので,
引用発明における「前記情報処理サーバが記憶する情報と比較することで,前記認証情報の照合を行」うことと,
本願発明における「検証機関が,前記アクセス・データと,前記検証機関によって記憶されている検証データとの比較に基づいて前記アクセス・データを認証する工程」とは,
“検証機関が,所定の装置に関連付けられている認証データと,モバイル機器に関連付けられているデジタル・クレデンシャルから生成される情報と,検証機関によって記憶されている検証データとの比較に基づいて前記所定の装置に関連付けられている認証データと,モバイル機器に関連付けられているデジタル・クレデンシャルから生成される情報を認証する工程”である点で共通する。
6.引用発明における「認証情報の認証結果を,前記通信端末に送信する」ことと,
本願発明における「検証機関が,前記認証に応じて,前記検証機関によって署名されている前記デジタル証明書であって,前記共用機器への前記特定のユーザのアクセスを提供する署名されている前記デジタル証明書を前記共用機器に送信する工程」とは,
“検証機関が,認証に応じて,認証の結果に基づく情報を,所定の装置に送信する工程”である点で共通する。
7.以上1.~6.において検討した事項から,本願発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。
[一致点]
検証機関が,モバイル機器から,所定の装置に関連付けられている認証データと,モバイル機器に関連付けられているデジタル・クレデンシャルから生成される情報を受信する工程であって,
前記所定の装置は,前記モバイル機器とは異なる機器であり,
前記検証機関が,前記所定の装置に関連付けられている認証データと,前記モバイル機器に関連付けられているデジタル・クレデンシャルから生成される情報と,前記検証機関によって記憶されている検証データとの比較に基づいて前記所定の装置に関連付けられている認証データと,前記モバイル機器に関連付けられているデジタル・クレデンシャルから生成される情報を認証する工程と,
前記検証機関が,前記認証に応じて,前記認証の結果に基づく情報を,前記所定の装置に送信する工程,
とを有する方法。
[相違点1]
“デジタル・クレデンシャルから生成される情報を受信する工程”に関して,
本願発明においては,「複数のユーザのうちの特定の1のユーザのモバイル機器上のアプリケーションからアクセス・データを受信する工程であって,該アクセス・データは,共用機器に関連付けられている認証データと,前記モバイル機器に関連付けられているデジタル・クレデンシャルとを含み,デジタル証明書として機能」するものであるのに対して,
引用発明における「認証情報」は,「認証端末」の「アプリケーション」から送信されたものではなく,「認証情報」が,「デジタル証明書として機能」する点については,言及されていない点。
[相違点2]
“所定の装置”に関して,
本願発明においては,「共用機器は,前記モバイル機器とは異なる機器であり,少なくとも前記複数のユーザによる使用のために構成されている」ものであるのに対して,
引用発明における「通信端末」は,「複数のユーザによる使用のために構成されている」ものであるかについては,特に言及されていない点。
[相違点3]
“検証機関が,前記認証に応じて,前記認証の結果に基づく情報を,前記所定の装置に送信する工程”に関して,
本願発明においては,「検証機関が,前記認証に応じて,前記検証機関によって署名されている前記デジタル証明書であって,前記共用機器への前記特定のユーザのアクセスを提供する署名されている前記デジタル証明書を前記共用機器に送信する工程」であるのに対して,
引用発明においては,「認証結果」に,“通信端末への特定のユーザのアクセスを提供する署名されているデジタル証明書を,通信端末へ送信する”といった構成については,言及されていない点。
[相違点4]
本願発明においては,「検証機関が,前記モバイル機器に信頼性に基づくメトリックを提供する工程であって,前記信頼性に基づくメトリックは,前記共用機器にアクセスした後においてアカウントの信用度が低いとされた,前記特定のユーザのソーシャル・グラフにおけるユーザの数に基づく,前記工程」を有するのに対して,
引用発明においては,“情報処理サーバが,認証端末に信頼性に基づくメトリックを提供する工程”については,特に言及していない点。
[相違点5]
本願発明が,“共用機器への特定のユーザをアクセスを提供する”もの,即ち,“特定のユーザが,共用機器へのアクセスの提供を受けられるか否かを認証する”ものであるのに対して,
引用発明は,「認証端末が備える認証情報を利用して,認証情報を備えない通信端末を認証する」ものである点。
第6.相違点についての当審の判断
1.[相違点1],及び,[相違点3]について
原審拒絶理由に引用された,引用刊行物2,引用刊行物3,及び,原審拒絶査定において周知技術を示すために提示された,周知技術文献の何れにも,
“ユーザのモバイル機器から,ユーザが,共用機器へのアクセスを提供する,即ち,ユーザが,共有機器へアクセスすることを許可するために用いられる,検証機関によって署名された,デジタル証明書を,検証機関から,共用機器へ送信する”構成に対応する構成については記載されていない。
そして,“サービスを受けるために,認証機関が署名した,デジタル証明書を受信する”ことが,周知技術であったとしても,当該「デジタル証明書」を,「ユーザ」の「モバイル機器」ではなく,当該「モバイル機器」が,「アクセス」を求めている「共用機器」側に送信する構成まで,周知技術ということはできない。
2.[相違点2]について
本願発明における「共用機器」に相当する「公共端末」を用いる点については,引用刊行物2に,同じく,本願発明における「共用機器」に相当する「KIOSK」を用いる点については,引用刊行物3に,それぞれ,記載されており,引用発明における「通信端末」に代えて,引用刊行物2に記載の「公共端末」,引用刊行物3に記載の「KIOSK」を用いることは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点2]は,格別のものではない。
3.[相違点4]について
「ソーシャル・メトリック」については,原審拒絶査定において周知技術を示すために提示された,周知技術文献に,「ソーシャル・メトリック」という用語は存在しているが,本願発明における「ソーシャル・メトリック」と,周知技術文献に記載の「ソーシャル・メトリック」が同一のものとは,認められず,その使用法も,両者で異なっている。
そして,引用刊行物2,及び,引用刊行物3には,「ソーシャル・メトリック」に関する言及は存在しない。
4.[相違点5]について
引用刊行物2には,上記C~上記Gに引用した記載内容から,
“サービス提供サイトから,サービスを受けるための認証情報を有する携帯端末のユーザが,公共端末を介して,前記サービスを受けることを目的として,携帯端末と,公共端末との接続を確立し,前記接続に成功した場合には,携帯端末が有する前記認証情報を,前記公共端末に送付し,前記公共端末は,前記認証情報を用いて,前記サービス提供サイトにアクセスする”ことが開示されていることが読み取れる。
上記の指摘の引用刊行物2における記載内容から明らかなように,引用刊行物2に係る発明においては,
“携帯端末と,サービス提供サーバ,或いは,携帯端末と,端末管理サーバとの間で,携帯端末が,公共端末に対するアクセスを認証するための処理”は,行われていない。
引用刊行物3についても,上記Hに引用した記載内容から,
“ユーザに対して,キオスク(本願発明における「共用機器」に相当)が,信頼できるか,否かの認証を行うもの”であって,引用刊行物3に係る発明においても,
“ユーザの携帯電話が,キオスクに対するアクセスを認証するための処理”は,行われていない。
そして,周知技術文献においても,本願発明における「共用機器」に相当する機器に対して,本願発明における「モバイル機器」に相当する「機器」のアクセスを許可するための認証処理に関しては,何ら記載されていない。
以上に,検討したとおりであるから,本願発明と,引用発明,引用刊行物2に係る発明,引用刊行物3に係る発明,及び,周知技術文献に開示の周知技術とは,前提とするシステムの構成が,明らかに異なっている。
したがって,引用発明,引用刊行物2に係る発明,引用刊行物3に係る発明,及び,周知技術文献に開示の周知技術を,いかように組み合わせても,本願発明に到達できるとはいえない。
5.以上,1.~4.において検討したとおりであるから,本願発明と,引用発明との,[相違点1],及び,[相違点3]~[相違点5]は,引用刊行物2に係る発明,引用刊行物3に係る発明,及び,周知技術文献に開示の周知技術を検討しても,容易ということはできない。
また,上記指摘の本願発明と,引用発明との,[相違点1],及び,[相違点3]~[相違点5]を容易というに足る,新たな証拠も見出せない。
第7.本願の請求項2に係る発明~本願の請求項20に係る発明と,引用発明との対比,及び,判断
1.請求項2に係る発明~請求項7に係る発明について
本願の請求項2~本願の請求項7に係る発明は,本願の請求項1を直接・間接に引用するものであるから,上記「第6.相違点についての当審の判断」において検討した,[相違点1],[相違点3]~[相違点5]を内包している。
確かに,引用発明は,
「通信端末は,認証画像を受信すると,受信した認証画像を提示」する構成を有し,
また,引用刊行物3に記載の発明は,
「彼女は,彼女の携帯電話に,キオスクの身元を知らせることができる。我々は,キオスクの所有者に,キオスクの識別子を,バーコード形式で,キオスクの外部に表示するよう要求する。ユーザは,現代の携帯電話に存在するであろう,ディジタル・カメラを用いて,バーコードのコンテンツを,キャプチャーする」構成を有しているが,これらの構成が,仮に当業者にとって,周知の技術事項であったとしても,上記「第6.相違点についての当審の判断」における「4.[相違点5]について」において検討しとおり,これらの構成は,“ユーザのモバイル機器が,共用端末にアクセスすること許可する”ための処理に用いられるものではないので,
本願の請求項2に係る発明~本願の請求項7に係る発明は,容易になし得るものではない。
2.請求項8に係る発明~請求項14に係る発明について
本願の請求項8に係る発明は,本願発明と,発明のカテゴリが相違し,当該カテゴリの相違による,表現の相違が存在するものの,実質的には,ほぼ,同等の構成を有するものである。
よって,本願の請求項8に係る発明と,引用発明とは,本願発明と,引用発明との間の[相違点1],[相違点3]~[相違点5]を有している。
また,本願の請求項9~本願の請求項14は,本願の請求項8を直接・間接に引用するものであるから,本願の請求項8に係る発明と同じく,前記[相違点1],[相違点3]~[相違点5]を内包している。
よって,上記1.において検討したとおり,本願の請求項8に係る発明~本願の請求項14に係る発明は,引用発明,引用刊行物2に係る発明,引用刊行物3に係る発明,及び,周知技術文献に開示の技術から,当業者が容易になし得るものではない。
3.請求項15に係る係る発明~請求項20に係る発明について
本願の請求項15に係る発明は,若干の構成要素の相違はあるものの,本願の請求項8と,ほぼ,同等の構成を有し,本願の請求項16~本願の請求項20は,本願の請求項15を直接・間接に引用するものであるから,上記2.において検討したとおり,本願の請求項15に係る発明~本願の請求項20に係る発明と,引用発明とは,前記[相違点1],[相違点3]~[相違点5]を内包している。
よって,上記2.において検討したとおり,本願の請求項15に係る発明~本願の請求項20に係る発明は,引用発明,引用刊行物2に係る発明,引用刊行物3に係る発明,及び,周知技術文献に開示の技術から,当業者が容易になし得るものではない。
第8.むすび
以上において検討したとおり,本願発明,及び,本願の請求項2に係る発明~本願の請求項20に係る発明は,原審拒絶理由にされた引用発明,引用刊行物2に係る発明,引用刊行物3に係る発明,及び,原審拒絶査定において,周知技術を示すために提示された,周知技術文献に開示の技術から,当業者が容易になし得るものとは認められず,
また,本願の請求項各項に係る発明の何れかの進歩性を否定するに足る,新たな先行技術を見出すこともできなかった。
よって,結論のとおり審決する。
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2016-006308