特許拒絶査定不服審判
2016-005336
モータ制御システム及びモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせ
- 審判番号
- 2016-005336
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2011-162522
- 請求日
- 2016年04月11日
- 審決日
- 2017年08月28日
- 公報発行日
- 2017年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】伊東電機株式会社
- 【請求人代理人】藤田 隆
- 審判長/審判官
- 審判長 久保 竜一
- 審判官 堀川 一郎
- 審判官 中川 真一
- 分類
- P18 .536-WZ (H02P) / P18 .537-WZ (H02P)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条4項1号特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2011-162522「モータ制御システム及びモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 2月 4日出願公開、特開2013- 27254〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は、平成23年7月25日の出願であって、平成28年1月7日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成28年1月14日)、これに対し、平成28年4月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、当審により平成29年1月13日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成29年1月23日)、これに対し、平成29年3月24日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。
2.本願発明
本願の請求項1-2に係る発明は、上記した平成29年3月24日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
ローラ本体を有し、少なくとも2つのモータがローラ本体内に内蔵され、少なくとも2つのモータによってローラ本体を回転させるモータ内蔵ローラを対象とし、内蔵された2つのモータを制御するモータ内蔵ローラのモータ制御システムにおいて、
回転数検出手段を有していてモータの回転数を検出可能であり、
前記モータは、少なくともロータを内蔵したDCブラシレスモータであり、
前記2つのモータは、回転部が機械的に連結されていて強制的に同期回転させられるものであり、
前記2つのモータは、個々に制御装置を有し、
前記制御装置は、回転数検出手段で検出したモータの回転部の回転数がいずれも所定の目標回転数となる様に個々に制御するものであり、且つ前記制御装置はいずれも制御対象のモータの負荷が大きくなると制御対象のモータに供給する電流値が上がり、制御対象のモータの負荷が小さくなると制御対象のモータに供給する電流値が下がる様にモータに供給する電流を増減させるものであり、
前記制御装置は、いずれも制御対象のモータに供給する電流に、目標回転数に応じた下限が設定されており、
前記制御装置は、同じ目標回転速度が設定されていて制御対象のモータを駆動し、モータの駆動によってローラ本体が駆動されている状態にあっては、各前記2つのモータに供給される電流はいずれも前記下限未満にはならないものであり、
前記モータの駆動によってローラ本体が駆動されている状態であって、前記2つのモータに掛かる負荷がアンバランスとなり、一方のモータが他方のモータによって回転される状態となっても当該モータに供給される電流は、前記下限で維持されるものであり、
目標回転速度と前記回転数検出手段によって検出されるモータの実際の回転速度を比較し、実際の回転速度が目標回転速度を上回っている場合であって、一方のモータに供給される電流が前記回転数に応じた下限となっている場合には、一方のモータに供給される電流が前記下限で維持されることで他方のモータに供給される電流が減少することを特徴とするモータ制御システム。
【請求項2】
モータ内蔵ローラとモータ内蔵ローラに内蔵されるモータを制御する制御装置との組み合わせであって、
モータ内蔵ローラは単一のローラ本体の中に、回転部が機械的に連結された2つのDCブラシレスモータが内蔵され、前記2つのモータによってローラ本体を回転させるものであり、
回転数検出手段を有していてモータの回転数を検出可能であり、
前記2つのモータは、個々に制御装置を有し、
前記制御装置は、回転数検出手段で検出したモータの回転部の回転数がいずれも所定の目標回転数となる様に個々に制御するものであり、且つ前記制御装置はいずれも制御対象のモータの負荷が大きくなると制御対象のモータに供給する電流値が上がり、制御対象のモータの負荷が小さくなると制御対象のモータに供給する電流値が下がる様にモータに供給する電流を増減させるものであり、
前記制御装置は、同じ目標回転速度が設定されていて制御対象のモータを駆動し、モータの駆動によってローラ本体が駆動されている状態にあっては、各前記2つのモータに供給される電流はいずれも前記下限未満にはならないものであり、
前記モータの駆動によってローラ本体が駆動されている状態であって、前記2つのモータに掛かる負荷がアンバランスとなり、一方のモータが他方のモータによって回転される状態となっても当該モータに供給される電流は、前記下限で維持されるものであり、
目標回転速度と前記回転数検出手段によって検出されるモータの実際の回転速度を比較し、実際の回転速度が目標回転速度を上回っている場合であって、一方のモータに供給される電流が前記回転数に応じた下限となっている場合には、一方のモータに供給される電流が前記下限で維持されることで他方のモータに供給される電流が減少することを特徴とするモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせ。」
3.当審の拒絶の理由
当審で平成29年1月13日付で通知した拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
「この出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。
記
(1)この出願の発明の構成が不明である。例えば、請求項1には、「各前記2つのモータに対して、目標の回転速度を設定し、前記2つのモータのうち、一のモータについて、前記目標の回転速度と実際の回転速度との差を算出し、前記差に応じて、モータに供給する前記電流を調整するものであり」とあり、2つのモータはローラ本体内に設けられ、「前記2つのモータは回転部が機械的に連結されていて強制的に同期回転させられるもの」(【請求項1】)であるから、同じ定格で同じ目標の回転速度を設定するものと考えられる。2つのモータの実際の回転速度は、2つのモータが強制的に同期回転している(ローラ本体内に設けられている)から、同じ回転速度である(【0057】参照)。図2等を参照すると、コントローラの入力はモータの回転数のみであってモータの電流は取り込んでいない。そうすると、一のモータについて電流を調整しようとしても、どのモータがトルクを発生させてどのモータを引っ張っているか不明であるにもかかわらず、どの様にして一のモータを選択するのか明細書に何ら開示が無く不明(モータ制御システムであるから何らかのモータ選択手段がなければ一のモータについて電流を調整できないが、モータの選択手段は一切開示が無い。請求項・明細書の記載では、トルクを発生させているモータに更に電流を供給するものが含まれ、従来技術の問題点を何等解決していない。図6区間Dで、モータ5ではなくモータ4の電流を増加させると判断する根拠が何等開示が無い。)であり、このとき他のモータにはどの様な指令(目標の回転速度)が与えられるのか不明である。請求項3も同様である。
更に、請求項1には、「モータの回転数に応じて前記モータの回転部が所定の回転数となる様にモータに供給する電流に下限が設定されており」とあるが、この場合、モータの回転数は、目標の回転速度であるのか実際の回転速度であるのか不明である。請求項2、3も同様である。
更に、請求項2には、「一のモータについて、前記目標の回転速度と実際の回転速度を比較し、実際の回転速度が目標の回転速度を上回っている場合であって、かつ他のモータに供給される電流が前記回転数に応じた下限となっている場合には、前記他のモータに供給される電流を維持したまま、前記一のモータの目標の回転速度と実際の回転速度の差に応じて、前記一のモータに供給される電流を減少させる」とあるが、モータが設けられるのはローラ本体内であるから、2つのモータには同じ目標の回転速度が設定され、一のモータが実際の回転速度が目標の回転速度を上回っている場合は、他のモータも実際の回転速度が目標の回転速度を上回っている。2つのモータには同じ目標の回転速度を設定するのであるから、一のモータが実際の回転速度が目標の回転速度を上回る電流が流れる場合、何故他のモータは電流が回転数に応じた下限となるのか不明である。」
4.当審の拒絶の理由についての判断
(1)請求項1のモ-タ制御システムは、「少なくとも2つのモータがローラ本体内に内蔵され」、「前記2つのモータは、回転部が機械的に連結されていて強制的に同期回転させられ」、「同じ目標回転速度が設定されて」いるから、2つのモータは同じ目標回転数を設定され、実際の回転速度は同じ回転速度(【0057】参照)である。請求項1及び図2等を考慮すると、モータ制御システムの制御用入力はモータの回転数のみであってモータの電流は取り込んでいない。そうすると、請求項1の「前記モータの駆動によってローラ本体が駆動されている状態であって、前記2つのモータに掛かる負荷がアンバランス」となっても、2つのモータの目標回転数は同じであって実際の回転速度も同じ回転速度あるから、「一方のモータが他方のモータによって回転される状態」が発生せず、2つのモータのどの様な状態のことを意味するのか明細書を参照しても不明であり、したがって発明の構成が不明である。請求項2も同様である。
(2)請求項1に、「実際の回転速度が目標回転速度を上回っている場合であって、一方のモータに供給される電流が前記回転数に応じた下限となっている場合には、一方のモータに供給される電流が前記下限で維持されることで他方のモータに供給される電流が減少する」とあるが、モータが設けられるのはローラ本体内であるから、実際の回転速度は同じ回転速度であり、2つのモータには同じ目標回転数が設定され、一方のモータが実際の回転速度が目標回転速度を上回っている場合は、他方のモータも実際の回転速度が目標回転速度を上回っている。2つのモータには同じ目標回転速度を設定し、実際の回転速度は同じ回転速度であるから、何故一方のモータに供給される電流が下限で維持されることで他方のモータに供給される電流が減少するのか明細書を参照しても不明である。請求項2も同様である。
したがって、請求項1-2の記載は明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、かつ、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
5.むすび
したがって、請求項1-2の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
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