特許拒絶査定不服審判
2016-005239
通信装置及び通信方法
- 審判番号
- 2016-005239
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-559812外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年04月08日
- 審決日
- 2017年06月29日
- 公報発行日
- 2017年08月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .113-WY (H04L) / P18 .121-WY (H04L) / P18 .536-WY (H04L) / P18 .537-WY (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-559812「通信装置及び通信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 6日国際公開、WO2013/129752、平成27年 3月23日国内公表、特表2015-508978、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年10月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年3月2日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年7月9日付けで拒絶の理由が通知され、平成27年10月14日付けで手続の補正がされ、平成27年12月4日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成28年4月8日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同時に手続の補正がされ、平成28年12月21日付けで拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成29年4月10日付けで手続の補正がされたものである。
第2 原査定の理由
原査定(平成27年12月4日付け拒絶査定)の理由の概略は次のとおりである。
●理由1(特許法第29条第1項第3号)について
・請求項 1,2,6-9
・引用文献等 1
●理由2(特許法第29条第2項)について
・請求項 1-12
・引用文献等 1-4
<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2002/0067758号明細書
2.国際公開第2012/009691号(周知技術を示す文献)
3.特開2010-011296号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2010-206394号公報(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)
第3 当審拒絶理由
当審拒絶理由の概略は次のとおりである。
1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
2.(実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
●理由1(サポート要件)について
(1)請求項1に記載の「前記第2通信装置に送信したパケットが前記第2通信装置において誤りがある場合、前記第1通信装置の動作状態は、リセットのためのユーザ入力を受信するまで通信を中断する状態に遷移される」こと、すなわち、パケットを送信した「第1通信装置」が、「通信を中断する状態に遷移される」ことは、発明の詳細な説明には記載されていない。
(請求項1に記載の「前記第1通信装置の動作状態は、…遷移される」を、「前記第2通信装置の動作状態は、…遷移される」と補正すると、この拒絶理由は解消する。)
(2)請求項6の記載において、
ア 「前記第1通信装置が、前記パケットから安全データ、安全固有識別子及び受信データ誤り検出符号を取得するステップ」、及び
イ 「前記第1通信装置が、前記安全データを利用して比較データ誤り検出符号を計算するステップ」
は、いずれも、発明の詳細な説明には記載されていない。
(前記アを「前記第1通信装置が、前記パケットから安全データ及び受信データ誤り検出符号を取得するステップ」と、また、前記イを「前記第1通信装置が、前記安全データ及び安全固有識別子を利用して比較データ誤り検出符号を計算するステップ」と補正すると、この拒絶理由は解消する。)
●理由2(実施可能要件)について
前記理由1(1)において、仮に、請求項1ないし5に係る発明が、発明の詳細な説明に記載したものであるとしても、発明の詳細な説明は、「前記第2通信装置に送信したパケットが前記第2通信装置において誤りがある場合、前記第1通信装置の動作状態は、リセットのためのユーザ入力を受信するまで通信を中断する状態に遷移される」こと、すなわち、パケットを送信する「第1通信装置」が、どのような手段により、「リセットのためのユーザ入力を受信するまで通信を中断する状態に遷移される」のかについて、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載していない。
第4 本願発明
本願請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、平成29年4月10日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-11は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
IEC61508に準ずる産業用制御システムにおいて、第1通信装置が第2通信装置に命令フィールドに関する安全データを送信する通信方法であって、
前記第1通信装置が、前記第1通信装置の固有識別子及び前記第2通信装置の固有識別子を利用して、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の接続の有効性を確認するための安全固有識別子を生成するステップと、
前記第1通信装置が、前記安全固有識別子及び安全データを利用して誤りを検出するためのデータ誤り検出符号を計算するステップと、
前記第1通信装置が、前記安全データ及び前記データ誤り検出符号を含むパケットを生成するステップと、
前記第1通信装置が前記パケットを前記第2通信装置に送信するステップと、
を有し、
前記第1通信装置と前記第2通信装置とが互いに対応する前記安全固有識別子を有する場合、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間には接続の有効性があり、
前記第2通信装置に送信したパケットが前記第2通信装置において誤りがある場合、前記第2通信装置の動作状態は、リセットのためのユーザ入力を受信するまで通信を中断する状態に遷移される、通信方法。
【請求項2】
前記パケットは前記安全固有識別子だけを送信するためのフィールドを含まない、請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
前記第1通信装置の固有識別子は、送信元装置識別子及び送信元MACアドレスで構成され、
前記第2通信装置の固有識別子は、あて先装置識別子及びあて先MACアドレスで構成される、請求項1に記載の通信方法。
【請求項4】
前記安全固有識別子を生成するステップは、
前記送信元装置識別子と前記あて先装置識別子とを組み合わせて、前記安全固有識別子のための装置識別子を生成するステップと、
前記送信元MACアドレスと前記あて先装置MACアドレスとを組み合わせて、前記安全固有識別子のためのMACアドレスを生成するステップと、
前記装置識別子と前記MACアドレスとを組み合わせて、前記安全固有識別子を生成するステップと、
を有する、請求項3に記載の通信方法。
【請求項5】
前記第1通信装置が、ヘッダデータ、前記安全固有識別子及びシーケンス番号を利用して、前記ヘッダデータの誤りを検出するためのヘッダ誤り検出符号を計算するステップを更に有し、
前記パケットを生成するステップは、前記ヘッダデータ、前記ヘッダ誤り検出符号、前記安全データ及び前記データ誤り検出符号を含むパケットを生成するステップを有する、請求項1に記載の通信方法。
【請求項6】
IEC61508に準ずる産業用制御システムにおいて、第1通信装置が第2通信装置から命令フィールドに関する安全データを受信する通信方法であって、
前記第1通信装置が、パケットを前記第2通信装置から受信するステップと、
前記第1通信装置が、前記パケットから安全データ及び受信データ誤り検出符号を取得するステップと、
前記第1通信装置が、前記安全データ及び安全固有識別子を利用して比較データ誤り検出符号を計算するステップと、
前記第1通信装置が、前記受信データ誤り検出符号及び前記比較データ誤り検出符号に基づいて、前記パケットに誤りがあるか否かを判断するステップと、
前記第1通信装置が、前記パケットに誤りがあると判断した場合、動作状態を、リセットのためのユーザ入力を受信するまで通信を中断する状態に変更するステップと、を有し、
前記第1通信装置と前記第2通信装置とが互いに対応する前記安全固有識別子を有する場合、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間には接続の有効性が確認される、通信方法。
【請求項7】
前記パケットは、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の接続の有効性を確認するための安全固有識別子を含まない、請求項6に記載の通信方法。
【請求項8】
前記パケットに誤りがあるか否かを判断するステップは、
前記比較データ誤り検出符号を前記受信データ誤り検出符号と比較するステップと、
前記比較データ誤り検出符号が前記受信データ誤り検出符号と同じであるとき、前記パケットに誤りが発生していないと判断するステップと、
前記比較データ誤り検出符号が前記受信データ誤り検出符号と異なるとき、前記パケットに誤りが発生したと判断するステップと、
を有する、請求項6に記載の通信方法。
【請求項9】
前記安全固有識別子は、前記第1通信装置の固有識別子と前記第2通信装置の固有識別子との組合せで構成される、請求項7に記載の通信方法。
【請求項10】
前記第1通信装置の固有識別子は、あて先装置識別子及びあて先MACアドレスで構成され、
前記第2通信装置の固有識別子は、送信元装置識別子及び送信元MACアドレスで構成される、請求項9に記載の通信方法。
【請求項11】
前記安全固有識別子は、
前記送信元装置識別子と前記あて先装置識別子を組み合わせて生成された装置識別子と、
前記送信元MACアドレスと前記あて先装置MACアドレスとを組み合わせて生成されたMACアドレスと、
を結合して生成される、請求項10に記載の通信方法。」
第5 原査定についての判断
1.引用文献1について
平成27年12月4日付け拒絶査定に引用された米国特許出願公開第2002/0067758号明細書(以下「引用文献1」という。下線は当審が付与。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「DESCRIPTION OF A PREFERRED EMBODIMENT
[0012] Referring to FIG.1, a first data terminal 110, and a second data terminal 160 are shown, in accordance with the preferred embodiment of the present invention. The first data terminal 110 comprises a controller 120, a transmitter 130, a receiver 140, and an antenna 141. The second data terminal 160 comprises a controller 170, the same model transmitter 130, the same model receiver 140, and the same model antenna 141. The first and second data terminals 110, 160 are preferably modified PAGEWRITER 2000TM model pagers made by Motorola, Inc., Schaumburg, Ill. The controller 120 comprises a processor 122 and a program memory 124. The controller 170 comprises the processor 122 and a program memory 174. The processor 122 and program memories 124, 174 are conventional parts except that the program memory 124 is programmed with unique program segments that control the processor 122 to perform link setup and to encode data packets, and the program memory 174 is programmed with unique program instruction segments that control the processor 122 to perform link set up and to decode data packets in accordance with the preferred embodiment of the present invention, as detailed herein below, with reference to FIG.2.
[0013] It will be appreciated that the first and second data terminals 110, 160 are representative of a large class of data terminals, including personal messaging devices, alternatively called selective call radios, subscriber units, and personal messaging units, that can receive and transmit information messages, and that could be used alternatively in accordance with the present invention. The first and second data terminals 110, 160 also represent wireless modems. The transmissions by the first and second terminals 110, 160 can be by radio or other electromagnetic radiation, such as infrared light.
[0014] It will be appreciated that one or both of the first and second data terminals 110, 160 could be representative of a class of fixed communication equipment used in a variety of radio communication systems, such as the controller and base station of a paging or cellular telephone system, or a desktop paging terminal, or a base unit for a home remote telephone set. It will be further appreciated that although the data terminal 110 has been described as having a unique set of program instructions in memory 124 for encoding data packets, and the data terminal 160 has been described as having a unique set of program instructions in memory 174 for decoding data packets, in accordance with the preferred embodiment of the present invention, both data terminals 110, 160 can have both sets of program instructions, thereby providing bidirectional improvement of data packet reliability.
[0015] Referring to FIGS. 2 and 3 a flow chart of a technique used for communicating a data packet in a frequency hopping system is shown, in accordance with the preferred embodiment of the present invention. FIG. 2 shows steps relevant to encoding and transmitting a data packet transmitted in one frequency hop performed in the first data terminal 110 by the processor 122 under control of the program instruction segments in program memory 124. The data packet is part of a data message. At step 205, an identifier of a link is determined during a setup of the link between the first terminal 110 and the second terminal 160. The identifier is preferably an identity of the first terminal 110, but, alternatively can be an identity of the second terminal 160, and alternatively can be an identity of the link between the first terminal 110 and the second terminal 160 that is independent of the identity of the first terminal 110 and second terminal 160, and alternatively can be a combination of any two or all three of three aforementioned identities. Depending on which identity is used as the identifier, the identifier is either transmitted by the first data terminal 110 to the second data terminal 160, or vice versa, during the setup. The identifier is preferably unique within the universe of any terminals or links that could cause interference with the second terminal 160. A random number from a large enough range of numbers can be sufficiently reliable for the purpose of the link identity. At step 210, in accordance with the preferred embodiment of the present invention, the first terminal 110 transmits the identifier for reception by the second terminal 160. At step 215, a loop is setup in which data packets of the messages or calls are encoded and transmitted. The remaining steps in FIG.2 are the steps to encode and transmit one data packet.
[0016] At step 220, an information portion of the data message that is small enough to be included in one data packet is determined. The information portion is preferably a next unsent portion of the message or call, having N or fewer characters or digital words, wherein N is the number of characters or digital words that are transmitted in each packet. At step 225, a transmit redundancy check code is generated over the information portion determined at step 220 and the identifier of the link being used to communicate the present data packet. "Generating over" means that a binary logic function (a redundancy check code generator) that generates the redundancy check code is used to transform a combination of the information portion and the identifier of the link, the combination being one wherein the bits of the information portion and the identifier of the link are merged into one binary value. The transmit redundancy check code is generated using a predetermined redundancy check code generator that is preferably a conventional redundancy check code generator that generates a redundancy check code such as the cyclic redundancy check code known as CRC-16 to those of ordinary skill in the art. This is defined by the generator polynomial: g(x)=1+x2+x15+x16. Other redundancy check codes can be used equally well.
[0017] At step 230, the data packet is generated, comprising the information portion and the redundancy check code, without the identifier. Preferably, the information portion is transmitted first and the transmit redundancy check character is transmitted second, but the opposite order or interlacing can be used equally well. At step 235, the data packet is transmitted.
[0018] FIG.3 shows steps relevant to receiving and decoding the data packet transmitted in one frequency hop, performed in the second data terminal 160 by the processor 122 under control of the program instruction segments in program memory 174. At step 305, the identifier of the link is received during the setup of the link between the first terminal 110 and the second terminal 160. At step 310 the second terminal stores the identifier. As described above with reference to FIG.2, the identifier is alternatively transmitted from the second data terminal 160 to the first data terminal 110 during the setup of the link. At step 315, a loop is setup in which data packets of the messages are received and decoded. The remaining steps in FIG.2 are the steps to receive and decode one data packet.
[0019] At step 320, the data packet is received, including a received information portion and a received redundancy check code. The received information portion and a received redundancy check code are identical to the respective portions transmitted by the first terminal 110, but for errors induced by interference or distortion of the link. At step 325, the received information portion of the data packet is determined. At step 330, the same redundancy check code generator used to generate the transmit redundancy check code in the first terminal is used to generate a calculated redundancy check code that is calculated over the received information portion determined at step 325 and the identifier of the link stored at step 310. When the calculated redundancy check code and received redundancy check code match at step 335, the data packet is accepted, at step 340, as error free and being from the expected source (the first terminal 110). When the calculated redundancy check code and received redundancy check code do not match at step 335, the data packet is rejected at step 345. In a real time voice communication system, the data packet is mitigated. In a data system, a retransmission of the data packet is requested by the receiving terminal.
[0020] It will be appreciated that the use of a redundancy check code as described herein in accordance with the preferred embodiment of the present invention provides the benefit of reliably verifying that a data packet is from a desired data terminal without adding any data bits to a data packet to accomplish the verification, and is therefore a highly desirable improvement to frequency hopping systems, particularly to uncoordinated real time frequency hopping systems. The technique also provides improvements in coordinated and non real time data communications systems」
(当審訳:
[0012] 図1を参照すると、本発明の好ましい実施形態による第1データ端末110と第2データ端末160が示されている。第1データ端末110はコントローラ120、トランスミッタ130、レシーバ140とアンテナ141を含む。第2データ端末160はコントローラ170、同じモデルのトランスミッタ130、同じモデルのレシーバ140と同じモデルのアンテナ141を含む。第1及び第2データ端末110、160はイリノイ州ショームバーグのモトローラ社製のPAGEWRITER 2000(商標)改良モデルページャであることが好ましい。コントローラ120はプロセッサ122とプログラムメモリ124を含む。コントローラ170はプロセッサ122とプログラムメモリ174を含む。本発明の好ましい実施形態によれば、プロセッサ122とプログラムメモリ124、174は、プログラムメモリ124が制御プロセッサ122がリンクセットアップを実行してデータパケットを符号化するような固有のプログラムセグメントでプログラムされていることと、プログラムメモリ174が制御プロセッサ122がリンクセットアップを実行してデータパケットを復号化するような固有のプログラムセグメントでプログラムされていることを除いて従来品であり、図2を参照して下記に詳述する。
[0013] 第1及び第2データ端末110、160は、大型のデータ端末の典型であり、情報メッセージを受信及び送信できる、選択呼出ラジオ、加入者ユニット、パーソナルメッセージユニットとも呼ばれるパーソナルメッセージ装置を含み、本発明において代替的に使用できる。第1及び第2データ端末110、160は、無線モデムでもある。第1及び第2データ端末110、160による転送は、無線又は赤外線のような他の電磁放射によって行うことができる。
[0014] 第1及び第2データ端末110、160の片方あるいは両方は、ページングや携帯電話システムの制御局及び基地局、デスクトップページング端末又は家庭用リモート電話機のベースセットなどの様々な無線通信システムで使用される固定通信機器のクラスの典型である。データ端末110はデータパケットを符号化するための固有のプログラムのセットをメモリ124内に有しており、データ端末160は復号化するための固有のプログラムのセットをメモリ174内に有しており、本発明の好ましい実施形態においては、データ端末110、160の両方ともが両方のプログラムのセットを有し、これによりデータパケットの双方向での信頼性の改善を提供する。
[0015] 図2と図3を参照すると、本発明の好ましい実施形態による周波数ホッピングシステムにおけるデータパケットを通信する技術のフローチャートが示されている。図2は、プログラムメモリ124内のプログラム命令セグメントの制御の下でプロセッサ122によって、第1データ端末110内によって実行される、1つの周波数ホップで送信されたデータパケットを符号化し通信することに関するステップを示す。データパケットはデータメッセージの一部である。ステップ205において、第1端末110と第2端末120の間のリンクのセットアップ時にリンクの識別子が決定される。識別子は、好ましくは第1端末110の識別子であるが、代替的には第2端末160の識別子、第1端末110と第2端末160の間のリンクの識別子、あるいは前記3つのうちの2つか3つを組み合わせたもののいずれかとすることができる。識別子としてどの識別子が用いられるかに応じて、セットアップ時に識別子が第1データ端末110から第2データ端末160に送信される、またはその逆である。識別子は好ましくは、第2の端末160と干渉する可能性のある全ての端末やリンクの領域で一意である。十分に大きい範囲内の乱数はリンク識別子として十分信頼できる。ステップ210において、本発明の好ましい実施形態のよれば、第1端末110は第2端末160による受信のため、識別子を送信する。ステップ215において、ループがセットアップされ、メッセージ又は呼のデータパケットが符号化され、送信される。図2の残りのステップは、一つのデータパケットを符号化し送信するステップである。
[0016] ステップ220において、1つのデータパケットに含まれるのに十分小さいデータメッセージの情報部分が決定される。情報部分は、好ましくはN又はより少ない文字数又はビット数のメッセージ又は呼の次の未送信部分であり、Nは各パケットで送信される文字数又はビット数である。ステップ225において、ステップ220で決定された情報部分と現在のデータパケットを送信しようとするリンクの識別子に対して送信冗長チェック符号が生成される。「生成する」とは、冗長チェック符号を生成する二進論理関数(冗長チェック符号生成器)が情報部分とリンク識別子を変換し、情報部分とリンク識別子のビットの組み合わせが二進値に変換することを意味する。送信冗長チェック符号は、従来の周知技術であるCRC-16として知られている巡回冗長チェック符号のような冗長チェック符号を生成する従来の冗長チェック符号生成器のような予め決められた冗長チェック符号生成器を用いて生成される。これは生成多項式g(x)=1+x2+x15+x16によって定義されている。他の冗長チェック符号も同様に使用できる。
[0017] ステップ230において、情報部分と冗長チェック符号を含み識別子を含まないデータパケットが生成される。好ましくは情報部分が最初に送信され、冗長チェック符号が2番目に送信されるが、反対の順序やインターレースが同様に使用できる。ステップ235において、データパケットが送信される。
[0018] 図3は、プログラムメモリ174内のプログラム命令セグメントの制御の下でプロセッサ122によって、第2データ端末160によって実行される、1つの周波数ホップでデータパケットを受信し復号するステップが示されている。ステップ305において、第1端末110と第2端末160の間のリンクのセットアップ中に、リンクの識別子が受信される。ステップ310において、第2端末は識別子を蓄積する。図2を参照して上述したように、識別子は代替的に、リンクのセットアップ中に第2データ端末160から第1データ端末110に送信される。ステップ315において、メッセージのデータパケットが受信され復号されるループがセットアップされる。図2の残りのステップは、1つのデータパケットを受信し復号するステップである。
[0019] ステップ320において、受信された情報部分と受信された冗長チェック符号を含むデータパケットが受信される。受信された情報部分と受信された冗長チェック符号は第1端末110が送信した各部分と同一であるが、リンクの干渉やひずみによってエラーが誘発される。ステップ325において、データパケットの受信された情報部分が決定される。ステップ330において、第1端末で送信冗長チェック符号を生成したのと同じ冗長チェック符号生成器が、ステップ325で受信された情報部分とステップ310で蓄積されたリンクの識別子によって冗長チェック符号を計算する。ステップ335で、計算された冗長チェック符号と受信された冗長チェック符号が一致した場合、ステップ340でエラー無しの期待された送信(第1端末110)からのデータパケットとして受け入れられる。ステップ335で計算された冗長チェック符号と受信した冗長チェック符号が一致しない場合、ステップ345でデータパケットは拒絶される。実時間音声通信システムにおいて、データパケットが軽減される。データシステムにおいては、データパケットの再送信が受信端末によって要求される。
[0020] 本発明の好ましい実施形態の冗長チェック符号の使用は、定められたデータ端末からのデータパケットであり、どんなビットもデータパケットに追加されていないことの検証の信頼性を向上させ、それにより周波数ホッピングシステム、特に調整されていない実時間周波数ホッピングシステムにとって非常に望ましい改善を提供する。この技術はまた調整された非実時間データ通信システムにも提供する。)
の記載があるから、
「第1データ端末110が第2データ端末160にデータパケットを送信する通信方法であって、
前記第1データ端末110が、前記第1データ端末110の識別子及び前記第2データ端末160の識別子を利用して、前記第1データ端末110と前記第2データ端末160との間の接続の有効性を確認するためのリンクの識別子を生成するステップと、
前記第1データ端末110が、前記リンクの識別子及び情報部分を利用して冗長チェック符号が生成されるステップと、
前記第1データ端末110が、前記情報部分及び前記冗長チェック符号を含み識別子を含まないデータパケットを生成するステップと、
前記第1データ端末110が前記データパケットを前記第2データ端末160に送信するステップと、
を有し、
第2データ端末160で計算された冗長チェック符号が、受信した冗長チェック符号と一致しない場合、データパケットは拒絶され、実時間音声システムにおいてはデータパケットが軽減され、データシステムにおいては、データパケットの再送信が受信端末によって要求される、
通信方法。」(以下「引用発明」という)
が記載されていると認める。
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「第1データ端末110」は、本願発明1の「第1通信装置」に、
引用発明の「第2データ端末160」「受信端末」は、どちらも本願発明1の「第2通信装置」に、
引用発明の「第1端末110の識別子」は、本願発明1の「第1通信装置の固有識別子」に、
引用発明の「第2端末160の識別子」は、本願発明1の「第2通信装置の固有識別子」に、
それぞれ相当する。
引用発明の通信方法は、「定められたデータ端末からのデータパケットであり、どんなビットもデータパケットに追加されていないことの検証の信頼性を向上させ」るのであるから、引用発明において送信される「データパケット」は「安全データ」であるといえる。
そして、引用発明の「リンクの識別子」は「第1端末110の識別子」と「第2端末160の識別子」「を組み合わせたもの」であって「一意」であるから、引用発明の「リンクの識別子」は「第1通信装置の固有識別子及び第2通信装置の固有識別子を利用」しているといえ、本願発明1の「安全固有識別子」に相当する。
引用発明は、「情報部分と冗長チェック符号を含み識別子を含まないデータパケットが生成」され、「データパケットが送信され」るから、「第1通信装置が、前記安全データ及び前記データ誤り検出符号を含むパケットを生成」して、「第1通信装置が前記パケットを前記第2通信装置に送信する」といえる。
引用発明は、受信装置側で保有する識別子を用いて冗長チェック符号を計算して、受信された冗長チェック符号との一致を調べることで、送信装置側の識別子と受信装置側の識別子が一致していることを確認している。これは、「第1装置110と第2装置160とが互いに対応するリンクの識別子を有する場合、第1装置110と第2装置160との間には接続の有効性があ」ることを確認しているといえる。
したがって、本願発明1と引用発明とは、
「第1通信装置が第2通信装置に安全データを送信する通信方法であって、
前記第1通信装置が、前記第1通信装置の固有識別子及び前記第2通信装置の固有識別子を利用して、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の接続の有効性を確認するための安全固有識別子を生成するステップと、
前記第1通信装置が、前記安全固有識別子及び安全データを利用して誤りを検出するためのデータ誤り検出符号を計算するステップと、
前記第1通信装置が、前記安全データ及び前記データ誤り検出符号を含むパケットを生成するステップと、
前記第1通信装置が前記パケットを前記第2通信装置に送信するステップと、
を有し、
前記第1通信装置と前記第2通信装置とが互いに対応する前記安全固有識別子を有する場合、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間には接続の有効性がある
通信方法。」
で一致し、以下の点で相違する。
相違点1
「通信方法」の前提となるシステムが、本願発明1では「IEC61508に準ずる産業用制御システム」であるのに対し、引用発明では、「ページングや携帯電話システム」である点。
相違点2
本願発明1の「安全データ」は「命令フィールドに関する」のに対し、引用発明の「パケットデータ」はそのような記載は無い点。
相違点3
本願発明1は、
「前記第2通信装置に送信したパケットが前記第2通信装置において誤りがある場合、前記第2通信装置の動作状態は、リセットのためのユーザ入力を受信するまで通信を中断する状態に遷移される」
のに対し、引用発明は、受信したデータパケットに誤りがある場合にデータパケットを拒絶し、データシステムにおいては、データパケットの再送信が受信端末によって要求される点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、相違点3について検討する。
引用発明において、データパケットに誤りがある場合、当該データパケットを拒絶し、「再送信」が要求されて通信が継続されることから、本願発明1のように「通信を中断する状態に遷移される」状態とならないことは明らかである。
そして、引用発明は「ページングや携帯電話システム」等の無線通信システムで用いられ、実時間で音声を送受信する必要があることから、「再送信」に替えて「通信を中断する状態に遷移される」動機付けも見当たらない。
また、引用文献2-4にも、パケットに誤りがある場合に、「通信を中断する状態に遷移」することは記載されていない。
したがって、本願発明1は、引用発明と同一ではなく、また、少なくとも相違点3について当業者が引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえないから、引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができた、ともいえない。
2.本願発明2-5について
本願発明1と同一の構成を備えるから、少なくとも相違点3について、当業者が容易に発明をすることができたとはいえないから、引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができた、とはいえない。
3.本願発明6について
受信装置である第1通信装置が、
「前記第1通信装置が、前記パケットに誤りがあると判断した場合、動作状態を、リセットのためのユーザ入力を受信するまで通信を中断する状態に変更するステップ」
を有し、本願発明1と同様に、「通信を中断する状態に変更」することは、当業者が引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができた、とはいえない。
4.本願発明7-11について
本願発明6と同一の構成を備えるから、同様に、引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができた、とはいえない。
第7 当審拒絶理由についての判断
1.請求項1に対するサポート要件について
平成29年4月10日付けの補正により、「通信を中断する状態に遷移」するのは「第2通信装置」に補正されたので、明細書に記載された内容となった。
2.請求項6に対するサポート要件について
平成29年4月10日付けの補正により、
「前記第1通信装置が、前記パケットから安全データ及び受信データ誤り検出符号を取得するステップ」
および
「前記第1通信装置が、前記安全データ及び安全固有識別子を利用して比較データ誤り検出符号を計算するステップ」
に補正されたので、明細書に記載された内容となった。
3.請求項1に対する実施可能要件について
平成29年4月10日付けの補正により、「通信を中断する状態に遷移」するのは「第2通信装置」に補正されたので、発明の詳細な説明に、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されている。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-005239