特許拒絶査定不服審判
2016-004788
空気入りタイヤ
- 審判番号
- 2016-004788
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-230038外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年04月01日
- 審決日
- 2017年05月24日
- 公報発行日
- 2017年07月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (B60C) / P18 .55 -WY (B60C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-230038号「空気入りタイヤ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年3月19日出願公開、特開2015-51768号、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年3月26日に出願した特願2014-064511号(優先権主張 平成25年3月26日)の一部を平成26年11月12日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成26年11月12日 :手続補正書、上申書の提出
平成27年9月25日付け :拒絶理由の通知
平成27年11月27日 :意見書、手続補正書の提出
平成27年12月25日付け:拒絶査定
平成28年4月1日 :審判請求書の提出
平成29年2月14日付け :拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という 。)の通知
平成29年3月23日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~8に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本願発明1」といい、それ以外の請求項に係る発明を「その他の本願発明」という。)は、平成29年3月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
一対のビード部と、前記ビード部に連なるサイドウォール部と、前記サイドウォール部を連結するトレッド部とを備える空気入りタイヤであって、
前記空気入りタイヤの総幅SWと外径ODとの比が、
SW/OD ≦ 0.3
の関係を満たし、
前記空気入りタイヤの内径RDと前記外径ODとの比が、
RD/OD ≧ 0.7
の関係を満たし、かつ、
タイヤ子午線方向の断面視における前記トレッド部の表面の輪郭線であるトレッドプロファイルは、タイヤ幅方向の中央に位置する中央部円弧と、前記トレッド部におけるタイヤ幅方向の最も外側に位置するサイド部円弧と、前記サイド部円弧と連続する、前記サイド部円弧の次にタイヤ幅方向の外側に位置するショルダー側円弧とを少なくとも含む、互いに異なる曲率半径を有する複数の円弧を繋げることによって形成されており、
タイヤ子午線方向の断面視にて、一方の前記ショルダー側円弧の延長線と前記サイド部円弧の延長線との交点を一方の第一の基準点とし、前記一方の第一の基準点を通る前記トレッドプロファイルに垂直な直線と、前記トレッドプロファイルとの交点を一方の第二の基準点とし、他方の前記ショルダー側円弧の延長線と前記サイド部円弧の延長線との交点を他方の第一の基準点とし、前記他方の第一の基準点を通る前記トレッドプロファイルに垂直な直線と、前記トレッドプロファイルとの交点を他方の第二の基準点とし、前記一方の第二の基準点から前記他方の第二の基準点までの前記トレッドプロファイルに沿った長さをトレッド展開幅TDWとしたときに、
0.55 ≦ TDW/SW ≦ 0.60
の関係を満たして形成されていることを特徴とする、
空気入りタイヤ。」
なお、その他の本願発明は、本願発明1を減縮した発明である。
第3 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1) 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(国際公開第2011/135774号)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
(1a)「[0001] 本発明は、乗用車用空気入りラジアルタイヤ、特には、タイヤ装着車両における低燃費性及び居住性を両立させ得る乗用車用空気入りラジアルタイヤに関する。」
(1b)「[0006] 発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。
その結果、ラジアルタイヤにおいて、タイヤの断面幅Wと外径Lとを適切な比の下に規制することが所期した諸特性の向上に極めて有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0007] 前記の課題を解決するための本発明の要旨構成は、以下の通りである。
(1)一対のビード部間でトロイダル状に跨る、ラジアル配列コードのプライからなるカーカスを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
前記タイヤの断面幅Wと外径Lとの比W/Lが0.25以下であることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
[0008] (2)前記比W/Lが0.24以下であることを特徴とする、上記(1)に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。」
(2) また、引用文献1の段落[0023]の[表1]には、供試タイヤ1として、タイヤサイズ155/55R21であって、タイヤ断面幅Wとタイヤの外径Lの比W/Lが0.22である乗用車用空気入りラジアルタイヤが記載されている。
(3) したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「一対のビードコア1間をトロイダル状に跨がり、ラジアルに配列した、カーカス2を備えた乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
タイヤサイズが155/55R21であって、タイヤ断面幅Wとタイヤの外径Lの比W/Lが0.22である乗用車用空気入りラジアルタイヤ。」
2.引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2012-91738号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(2a)「【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関し、特に、低燃費化を目的として転がり抵抗を低減するために使用空気圧を高圧化した場合に、センター領域の径成長増加に伴う接地圧増加によるセンター領域の摩耗およびドライ制動性の悪化を改善した空気入りタイヤに関するものである。」
(2b)「【0020】
本実施の形態の空気入りタイヤ1は、図1に示すように、トレッド部2を有している。トレッド部2は、ゴム材(トレッドゴム)からなり、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面が空気入りタイヤ1の輪郭となる。このトレッド部2の表面は、空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)が走行した際に路面と接触する面であるトレッド面21として形成されている。」
(2c)「【0031】
このように構成された空気入りタイヤ1において、トレッド部2の表面であるトレッド面21のプロファイルは、タイヤ径方向外側に凸形状の複数の異なる曲率半径の円弧により形成されている。具体的に、トレッド面21は、図1に示すように、中央部円弧21aと、ショルダー側円弧21bと、ショルダー部円弧21cと、サイド部円弧21dとで構成されている。
【0032】
中央部円弧21aは、トレッド面21におけるタイヤ幅方向の中央に位置しており、タイヤ赤道面CLを含み、タイヤ赤道面CLを中心としてタイヤ幅方向の両側に形成されている。この中央部円弧21aは、タイヤ赤道面CLを含む部分のタイヤ径方向における径が最も大きく形成されている。ショルダー側円弧21bは、中央部円弧21aのタイヤ幅方向外側に連続して形成されている。ショルダー部円弧21cは、ショルダー側円弧21bのタイヤ幅方向外側に連続して形成されている。サイド部円弧21dは、ショルダー部円弧21cのタイヤ幅方向外側に連続して形成され、トレッド部2のタイヤ幅方向最外側に位置している。
【0033】
そして、空気入りタイヤ1を正規リムに組込んで正規内圧の5[%]を内圧充填した無負荷状態で、図1に示すタイヤ子午線方向の断面視にて、ショルダー側円弧21bの仮想の延長線とサイド部円弧21dの仮想の延長線との交点を基準点Pとする。また、タイヤ赤道面CLとトレッド面21のプロファイルとの交点をセンタークラウンCCとし、基準点PとセンタークラウンCCとを結んだ直線Aと、センタークラウンCCを通過してタイヤ幅方向に平行な直線Bとがなす角度をθとする。また、中央部円弧21aの曲率半径をRcとする。また、ショルダー側円弧21bの曲率半径をRsとする。また、タイヤ赤道面CLからショルダー側円弧21bのタイヤ幅方向内側端部位置までの円弧長である基準展開幅をLとする。また、トレッド面21のタイヤ幅方向の円弧長であるトレッド展開幅をTDWとする。また、扁平率をβとする。なお、トレッド展開幅TDWは、上記基準点Pを通過すると共に、タイヤ赤道面CLと平行な基準線が、トレッド面21に交差した点間でのタイヤ幅方向のトレッド面21の展開長である。」
(2d)「【0045】
また、空気入りタイヤ1は、タイヤ幅方向において幅が最も大きい位置の長さであるタイヤ断面幅をSWとした場合に、プロファイルが、0.65≦TDW/SW≦0.85を満たして形成されていることが好ましい。TDW/SWを0.65以上とすることで、ショルダー摩耗をより好適に抑制することができる。また、TDW/SWを0.85以下とすることで、転がり抵抗をより低くすることができる。なお、空気入りタイヤ1は、トレッド展開幅TDWとタイヤ断面幅SWとの関係が、0.70≦TDW/SW≦0.80を満たすことがより好ましい。空気入りタイヤ1は、0.70≦TDW/SW≦0.80を満たすことで上記効果をより好適に得ることができる。」
3.引用文献3について
(1) さらに、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2008-273471号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(3a)「【0001】
本発明は空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、良好な転がり抵抗を維持しながら、良好なリム組み性と耐リム外れ性とを両立させた空気入りタイヤに関する。」
(3b)「【0013】
本発明の空気入りタイヤ1は、図1に示すように、空気入りタイヤ1をリムRにリム組みした状態において、トレッド接地幅TDWのタイヤ総幅Wに対する比率を63~77%、好ましくは68~75%の小さい範囲に抑えると共に、ベルト層9最大幅BWのトレッド接地幅TDWに対する比率を98~112%、好ましくは102~110%に維持している。」
(3c)「【0019】
本発明において、トレッド接地幅TDWとは、JATMAイヤーブック(2004年度版)に規定される空気圧-負荷能力対応表において、最大負荷能力に対応する空気圧をタイヤに充填し、その最大負荷能力の80%に相当する荷重をかけたときのタイヤ接地幅をいう。」
(2) また、引用文献3の段落【0028】の【表1】には、比較例1として、トレッド接地幅TDWのタイヤ総幅に対する比率を0.60とした空気入りタイヤが記載されている。
第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「カーカス2」が「一対のビードコア1間をトロイダル状に跨がり、ラジアルに配列」されることにより、ビード部に連なるサイドウォール部と、前記サイドウォール部を連結するトレッド部を備えることとなることは、当業者には明らかである。また、引用発明の「乗用車用空気入りラジアルタイヤ」は「空気入りタイヤ」の一つの態様である。したがって、引用発明の「一対のビードコア1間をトロイダル状に跨がり、ラジアルに配列した、カーカス2を備えた乗用車用空気入りラジアルタイヤ」は、本願発明1の「一対のビード部と、前記ビード部に連なるサイドウォール部と、前記サイドウォール部を連結するトレッド部とを備える空気入りタイヤ」に相当する。
引用発明の「タイヤ断面幅Wとタイヤの外径Lの比W/Lが0.22である」ことは、技術的にみて本願発明1の「前記空気入りタイヤの総幅SWと外径ODとの比が、SW/OD ≦ 0.3の関係を満たし」を充足する。
引用発明のタイヤのサイズは155/55R21であるところ、このタイヤのタイヤ外径は、705mm(=155/0.22)と算出でき、扁平率が55%であることから、そのタイヤの内径は、535mm(=705-(155×0.55×2))と算出できる。したがって、内径と外径の比は0.76(=535/705)となるから、本願発明1の「前記空気入りタイヤの内径RDと前記外径ODとの比が、RD/OD ≧ 0.7の関係を満たし」を充足する。
よって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点および相違点があるといえる。
<一致点>
「一対のビード部と、前記ビード部に連なるサイドウォール部と、前記サイドウォール部を連結するトレッド部とを備える空気入りタイヤであって、
前記空気入りタイヤの総幅SWと外径ODとの比が、
SW/OD ≦ 0.3
の関係を満たし、
前記空気入りタイヤの内径RDと前記外径ODとの比が、
RD/OD ≧ 0.7
の関係を満たして形成されている空気入りタイヤ。」
<相違点>
本願発明1は、「タイヤ子午線方向の断面視における前記トレッド部の表面の輪郭線であるトレッドプロファイルは、タイヤ幅方向の中央に位置する中央部円弧と、前記トレッド部におけるタイヤ幅方向の最も外側に位置するサイド部円弧と、前記サイド部円弧と連続する、前記サイド部円弧の次にタイヤ幅方向の外側に位置するショルダー側円弧とを少なくとも含む、互いに異なる曲率半径を有する複数の円弧を繋げることによって形成されて」おり、しかも、「タイヤ子午線方向の断面視にて、一方の前記ショルダー側円弧の延長線と前記サイド部円弧の延長線との交点を一方の第一の基準点とし、前記一方の第一の基準点を通る前記トレッドプロファイルに垂直な直線と、前記トレッドプロファイルとの交点を一方の第二の基準点とし、他方の前記ショルダー側円弧の延長線と前記サイド部円弧の延長線との交点を他方の第一の基準点とし、前記他方の第一の基準点を通る前記トレッドプロファイルに垂直な直線と、前記トレッドプロファイルとの交点を他方の第二の基準点とし、前記一方の第二の基準点から前記他方の第二の基準点までの前記トレッドプロファイルに沿った長さをトレッド展開幅TDWとしたときに、0.55 ≦ TDW/SW ≦ 0.60の関係を満たして形成されている」のに対し、引用発明のトレッドプロファイルについては限定がない点。
(2)判断
以下、<相違点>について検討する。
引用文献2には、トレッド部2の表面であるトレッド面21のプロファイル(本願発明1の、「タイヤ子午線方向の断面視におけるトレッド部の表面の輪郭線であるトレッドプロファイル」に相当する。)が、中央部円弧21aと、ショルダー側円弧21bと、ショルダー部円弧21cと、サイド部円弧21dの、互いに異なる曲率半径を有する複数の円弧を繋げることによって形成される点が記載されている(上記「第3」2.(2c)段落【0031】、【0032】および引用文献2の図1)。
そして、トレッドプロファイルに沿ったトレッド面21のタイヤ幅方向の円弧長であるドレッド展開幅をTDWとしたときに、このトレッド展開幅TDWのタイヤ断面幅SWに対する比率について規定している(上記「第3」2.(2c)段落【0033】、(2d))。
しかしながら、引用文献2のトレッド展開幅TDWは、ショルダー側円弧21bの仮想の延長線とサイド部円弧21dの仮想の延長線との交点を基準点Pとし、上記基準点Pを通過すると共に、タイヤ赤道面CLと平行な基準線が、トレッド面21に交差した点間でのタイヤ幅方向のトレッド面21の展開長である(上記「第3」2.(2c)段落【0033】)のに対し、本願発明1のトレッド展開幅TDWは、「タイヤ子午線方向の断面視にて、一方の前記ショルダー側円弧の延長線と前記サイド部円弧の延長線との交点を一方の第一の基準点とし、前記一方の第一の基準点を通る前記トレッドプロファイルに垂直な直線と、前記トレッドプロファイルとの交点を一方の第二の基準点とし、他方の前記ショルダー側円弧の延長線と前記サイド部円弧の延長線との交点を他方の第一の基準点とし、前記他方の第一の基準点を通る前記トレッドプロファイルに垂直な直線と、前記トレッドプロファイルとの交点を他方の第二の基準点とし、前記一方の第二の基準点から前記他方の第二の基準点までの前記トレッドプロファイルに沿った長さ」であり、その定義が異なっている。
もっとも、引用発明のトレッド展開幅TDWは本願発明1のトレッド展開幅TDWに近似しているとも解しうるが、このように解しても、引用発明のタイヤ断面幅SWに対する比率は、0.65≦TDW/SW≦0.85であるのに対し、本願発明1では、0.55≦TDW/SW≦0.60とその範囲が異なっており、引用文献2に記載のトレッドプロファイルおよび上記トレッドプロファイルにおけるトレッド展開幅TDWのタイヤ断面幅SWに対する比率を引用発明に適用しても、相違点に係る本願発明1の構成には至らない。
一方、トレッド展開幅TDWのタイヤ断面幅SWに対する比率に関し、引用文献3には、トレッド接地幅TDWのタイヤ総幅に対する比率を0.60とした空気入りタイヤが記載されている(上記「第3」3.(2))。
しかしながら、引用文献3のトレッド接地幅TDWは、JATMAイヤーブック(2004年度版)に規定される空気圧-負荷能力対応表において、最大負荷能力に対応する空気圧をタイヤに充填し、その最大負荷能力の80%に相当する荷重をかけたときのタイヤ接地幅のことであり(上記「第3」3.(1)(3c))、本願発明1のトレッド展開幅TDWとは定義が異なるため、トレッド接地幅TDWのタイヤ総幅に対する比率を0.60とした空気入りタイヤが記載されている引用文献3に記載の事項をもって、本願発明1の0.55≦TDW/SW≦0.60との構成の一部が開示されているとまで断ずることはできず、したがって、引用文献3に記載の事項をもってしても、相違点に係る本願発明1の構成に至ることはできない。
以上のとおりであるから、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2および引用文献3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2.その他の本願発明について
その他の本願発明は、本願発明1を減縮したものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用発明、引用文献2および引用文献3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5 原査定の概要および原査定についての判断
1.原査定は、請求項1~8係る発明について上記引用文献1~3を含む引用文献1~6(引用文献1に記載された発明、引用文献2~6に記載された事項)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。なお、引用文献4~6については、以下のとおりである。
引用文献4:特開2013-28289号公報
引用文献5:特開2012-91736号公報
引用文献6:特開2005-28946号公報
2.本願の請求項1~8に係る発明は、平成29年3月23日にされた手続補正により補正され、空気入りタイヤの総幅をSWとし、トレッド展開幅をTDWとしたときに、「0.55 ≦ TDW/SW ≦ 0.60 の関係を満た」すとの発明を特定するために必要な事項(以下、「発明特定事項」という。)を含むこととなった。
そして、この発明特定事項を含む本願発明1~8が、当業者であっても、引用発明、引用文献2および引用文献3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないことは上記「第4」で説示のとおりである。また、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4~6にも、上記発明特定事項に関する記載も示唆もない。
よって、請求項1~8に係る発明は、引用発明および引用文献2~6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、原査定を維持することはできない。
第6 当審拒絶理由について
当審では、請求項1の「(但し、0.63≦TDW/SW<0.65 を除く)」の特に、「0.63」は願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書」という。)には記載されていないから、平成27年11月27日付けでした手続補正は、当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない、との拒絶の理由を通知した。
これに対し、平成29年3月23日にされた手続補正によって、上記「(但し、0.63≦TDW/SW<0.65 を除く)」を削除するとともに、「0.55 ≦ TDW/SW ≦ 0.60」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1およびその他の本願発明は、引用発明および引用文献2~6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶する理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2016-004788