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特許拒絶査定不服審判

2016-004626

関節力データを表示するためのシステム

審判番号
2016-004626
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2010-077119外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年03月30日
審決日
2017年03月22日
公報発行日
2017年05月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (A61B) / P18 .55 -WY (A61B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条の2第4項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2010- 77119「関節力データを表示するためのシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年10月28日出願公開、特開2010-240403、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,平成22年3月30日(パリ条約による優先権主張2009年3月31日,米国(US))を出願日とする出願であって,平成27年2月23日付けで最後の拒絶理由が通知され,同年6月3日に手続補正書が提出され,同年11月27日付けで同年6月3日に提出された手続補正書についての補正の却下の決定がなされ,同日付けで拒絶査定がなされ,平成28年3月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,同時に手続補正書が提出され,同年9月7日に上申書が提出され,同年10月20日付けで当審からの拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)が通知され,平成29年2月13日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1~10に係る発明は,平成29年2月13日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるものと認められるところ,そのうち本願の請求項1に係る発明は以下のとおりである(以下「本願の請求項1に係る発明」~「本願の請求項10に係る発明」を,それぞれ,「本願発明1」~「本願発明10」ともいう。)。 「【請求項1】 ディスプレイと, 患者の膝関節の関節力を示す関節力データを送信するよう構成されたセンサモジュールであって,(i)患者の脛骨と大腿骨との間に挿入されるように構成された脛骨パドルと,(ii)患者の膝蓋骨を亜脱臼または外転させる必要なく,前記脛骨パドルを患者の膝関節に位置付けることができるように,前記脛骨パドルの側面から延びるハンドルと,を備えており,前記ハンドルが前記脛骨パドルの長手方向軸に対して斜めに延びている,センサモジュールと, 前記ディスプレイにつながれ,前記センサモジュールから前記関節力データを受信するよう構成された受信機回路を備えるコンピュータであって, 患者の大腿骨及び患者の脛骨の位置を示す位置データを決定し, 前記位置データに基づいて前記患者の大腿骨及び前記患者の脛骨の画像を表示し, 前記関節力データに基づいて前記関節力の内側コンポーネントを示す内側力値を決定し, 前記関節力データに基づいて前記関節力の外側コンポーネントを示す外側力値を決定し, 前記ディスプレイに,前記内側力値及び前記外側力値を表示するよう構成される, コンピュータと,を備える,コンピュータを利用した整形外科的システムであって, 前記脛骨パドルは前側面,後側面,外側面,および内側面を有し,前記前側面および前記後側面は,前記脛骨パドルの前記長手方向軸の方向に延び,かつお互いに向かい合って配置されており,前記外側面および前記内側面は,前記前側面および前記後側面を接続するように延び,かつお互いに向かい合って配置されており, 前記後側面は,後側切り込みを有し, 前記ハンドルは,前記前側面に隣接する前記内側面または外側面の部分の一方から前記脛骨パドルの前記長手方向軸から離れるように斜めに延びている, コンピュータを利用した整形外科的システム。」 第3 原査定の理由について 1 原査定の理由の概要 「この出願の下記の請求項に係る発明は,その優先権主張日前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その優先権主張日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項1~10 ・引用文献等1-4 1.特開2007-152100号公報 2.特表2008-526427号公報 3.米国特許出願公開第2004/0064191号明細書 4.米国特許出願公開第2007/0239165号明細書 ・備考 整形外科的システムにおいて,センサモジュールにハンドルを設けることが引用文献4に記載されており,引用文献1に記載された整形外科的システムを,このようなハンドル付きのものとすることに格別の困難性はない。 2 原査定の理由の判断 (1)刊行物の記載事項(下線は当審で付与した。) ア 引用文献1に記載された事項及び引用文献1に記載された発明について (ア) 「【0004】 本発明は,関節のための再構成,ならびに全体的及び部分的置換外科手術の作業をするのに役立つための方法,ソフトウェア,及びシステムに関する。特に本発明は,周囲の軟部組織機構によって影響を受ける運動学的作用を有する関節の外科手術の再構成的関与に役立つための方法,及びソフトウェアに関する。代表的な実例は膝や足関節部の外科的処置であり,例えば,ACL(前十字靭帯)修復,関節表面の単一仕切り又は多数仕切りの交換,補正手術などが挙げられる。」 (イ) 「【0009】 図1を参照すると,患者の脚100は,膝置換外科手術に対する準備ができている。脚100は,患者の上脚若しくは大腿骨102が,患者の脛骨104に対して約90度の角度にあるように屈曲されている。脚100をこのように位置決めする手順のために,患者の膝106が所定位置に配置される。2つのトラッキング装置108は,コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112と対応付けられるカメラ110と通信することができ,これらトラッキング装置108がそれぞれ大腿骨102及び脛骨104とともに移動するように,大腿骨102及び脛骨104と対応付けられている。この結合は,骨に直接取り付けたり,又は,以下に論じられる他の結合方法によってもよい。コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112は,公知技術であり,本明細書中に更に論議されない。適切な外科用ナビゲーションシステムは,米国特許公開番号第2001/0034350号に記載され,その開示は参照によって組み込まれる。代表的なナビゲーションシステム112は,また,コンピュータやビデオモニタなどの表示装置114を含む。更に,多くのナビゲーションシステム112はまた,ナビゲーションシステム112と共に動作する前もって校正されているポインタ116のような特定工具を使用することもある。ポインタ116の校正により,ポインタ116上に位置付けられるLEDのような一組の位置決め装置120によってナビゲーションシステム112が,ポインタ・チップ118の正確な位置を決定することを可能にする。これら位置決め装置は,トラッキング装置108に使用されるのと同種類である。」 (ウ) 「【0012】 図2に述べられるように,ブロック200は大腿骨102及び脛骨104の位置を決定する。上記のように,このことは,トラッキング装置を大腿骨102及び脛骨104に対応付け,そして,ナビゲーションシステム112のカメラ110の視界内でそれぞれの肢部を操作することによって実行される。任意選択的に,ブロック200はまた,膝蓋骨112の位置を決定することができる。 【0013】 制御は次にブロック202に移行し,大腿骨102,脛骨104,膝106,及び任意選択的に膝蓋骨122に対する生体機械的性質が決定される。実際の切開手術が行なわれる前に一部の生体機械的性質が決定できる。たとえば,トラッキング装置108が大腿骨102に取り付けられ,対応付けられた後で,大腿骨の骨頭の位置は,ヒップ・ソケットの回りに回転するために大腿骨102を操作することによって決定することができる。更に,初期機能適屈曲軸の分析及び動作分析の範囲は,膝106の動作範囲の全体を通じて膝106を操作することによって実施されることができる。また,外果及び内果の位置は,ポインタ116を使用し,足関節部上の適切な骨目印(ランドマーク)にポインタチップ118を接触させることによって決定することができる。ナビゲーションシステム112は,膝106の閉じた膝の評価を実施する際に外科医を導くために,図3に示すようなタイプのディスプレイ114上に一連の画面を表示することができる。ナビゲーションシステム112は,大腿骨102と対応付けられるトラッカー108の位置を追跡記録し,充分な地点が大腿骨頭部を正確に位置付けするために記録されている場合を示し,動作の範囲と初期機能的屈曲軸を決定することになる。さらに,膝蓋骨122の脛骨104に対する関係は,この時点で決定することもできる。閉じた膝106におけるこれらの評価の一部は,術前精密検査の一部として前もって実施され,術後の際に使用するために記録できる。」 (エ) 「【0023】 図22に示されるタイプの原位置(in-situ)装置は特に有用であり,例えば膝の場合に膝蓋骨を外返しするような軟部組織関節外皮の変形例を今後は必要としないことが後述される。このような装置は,正常活動をシミュレートする伸延力を付与することができるバルーン(Balloon)システムでもよく,これによって,関節の自主的動作の際に経験される力に近接した近似値を提供する。これらのシステムは,使用されるための部位をほとんど若しくは少しも必要とせずに,小さな切開を通して若しくは間接鏡検査で使用されるようなカニューレ・システム(cannula system)を通して導入されることもできる。さらにまた,こうしたシステムは,屈曲及び拡張の際に一般に代表的なスタンスとは対照的に,動作の範囲全体にわたって関節の機能の評価を可能にする。さらに,本明細書中に示される他の装置もまた使用することができる。たとえば,米国特許第6,702,821号及び同第6,770,078号も同様に使用することができ,これら特許の開示は本明細書中に参照によって組み込まれる。 【0024】 原位置装置の他の利点は,関節の軟部組織外皮の実際の状態を正確に描写する関節の機能的屈曲軸として,関数パラメータを反復して証明し又は捕捉する能力である。所与の軟部組織の効果を即時評価することによって,所望の軟部組織修正を精確に駆動することが重要である。 【0025】 力/圧力検出素子が組み込まれたより精巧な伸延装置の使用は,動作の範囲全体にわたって関節の負荷パターン特性に関する正確な情報をもたらすことができる。こうした装置は,特定の軟部組織管理方法を設定するために使用することもでき,この方法において,特定の靭帯のグループ又は束状構造は,関節の特定の屈曲若しくは運動学的状態で負荷若しくは力のパターンに影響を与えるように選択的に対象にされる。こうした装置は,無線でリアルタイム方式においてフライ分析に関してコンピュータシステムに情報を送信することができる。この情報は,関節の設定したモデルと関連付けながら,数値的に若しくは図形で表示されることができる。この情報を使用すると,コンピュータシステムは,例えば基本的なエキスパートシステムに基づいて最も可能性が高い軟部組織管理方法もまた実現することもできる。」 (オ) 図3 (カ) 図3より,表示装置に大腿骨と脛骨の図形が表示されていることが見てとれる。 (キ)上記(ア)~(カ)の記載事項を総合すると,刊行物1には,次の発明が記載されていると認められる。 「コンピュータや表示装置114を含むコンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112と, 膝に導入される力/圧力検出素子が組み込まれた伸延装置と, からなる関節のための再構成,ならびに全体的及び部分的置換外科手術の作業をするのに役立つためシステムであって, 2つのトラッキング装置108が,それぞれ大腿骨102及び脛骨104とともに移動するように,大腿骨102及び脛骨104と対応付けられており, コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112と対応付けられるカメラ110と通信することができ, カメラ110の視界内でそれぞれの肢部を操作することによってコンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112は大腿骨102及び脛骨104の位置を決定し, 上記伸延装置からコンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112に力/圧力情報を送信することができ,この情報は,関節の設定したモデルと関連付けながら,数値的に若しくは大腿骨と脛骨の図形で表示装置114に表示される 上記システム。」(以下,「引用発明1」という。) (2)対比 本願発明1と引用発明1とを対比する。 (ア)引用発明1の「表示装置114」は,本願発明1の「ディスプレイ」に相当する。 (イ) (イ-1) 引用発明1の「膝に導入される力/圧力検出素子が組み込まれた伸延装置」からの「力/圧力情報」は,患者の膝に組み込まれた伸延装置から関節の力/圧力データといえるから,引用発明1の「力/圧力情報」は,本願発明1の「患者の膝関節の関節力を示す関節力データ」に相当する。 そうすると,引用発明1の「コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112に力/圧力情報を送信する」「伸延装置」は,力/圧力情報を送信する構成を備えていることは明らかであるから,本願発明1の「患者の膝関節の関節力を示す関節力データを送信するよう構成されたセンサモジュール」に相当する。 (イー2)膝は,大腿骨と脛骨との間に隙間を有するものであることは自明である。 そうすると,引用発明1の「膝に導入される力/圧力検出素子が組み込まれた伸延装置」は,大腿骨と脛骨との間に挿入されるといえるので,本願発明1の「(i)患者の脛骨と大腿骨との間に挿入されるように構成された脛骨パドル」に相当する構成を備えていることは明らかである。 (ウ)上記(イ-1),(イー2)より,引用発明1の「膝に導入される力/圧力検出素子が組み込まれた伸延装置」,「コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112に力/圧力情報を送信する」「上記伸延装置」と, 本願発明1の「患者の膝関節の関節力を示す関節力データを送信するよう構成されたセンサモジュールであって, (i)患者の脛骨と大腿骨との間に挿入されるように構成された脛骨パドルと, (ii)患者の膝蓋骨を亜脱臼または外転させる必要なく,前記脛骨パドルを患者の膝関節に位置付けることができるように,前記脛骨パドルの側面から延びるハンドルと,を備えており,前記ハンドルが前記脛骨パドルの長手方向軸に対して斜めに延びている, センサモジュール」とは, 「患者の膝関節の関節力を示す関節力データを送信するよう構成されたセンサモジュールであって, (i)患者の脛骨と大腿骨との間に挿入されるように構成された脛骨パドル, を備えている, センサモジュール」の点で共通する。 (エ) (エー1)引用発明1の「コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112」は,コンピュータや表示装置114を含むのであるから,実質的には,コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112の機能を奏する「表示装置を備えたコンピュータ」といえる。 (エー2)引用発明1は「上記伸延装置からコンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112に力/圧力情報を送信することができる」のであるから,引用発明1の「コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112」は,「上記伸延装置から」「力/圧力情報を」受信する受信機回路を備えているといえる。 (エー3)上記(エー1),(イ-1),(エー2),に鑑みれば,上記引用発明1の「コンピュータや表示装置114を含むコンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112」であって,「上記伸延装置から」「力/圧力情報」が「送信」されるものは,本願発明1の「前記ディスプレイにつながれ,前記センサモジュールから前記関節力データを受信するよう構成された受信機回路を備えるコンピュータ」に相当する。 (オ) (オー1)引用発明1の「2つのトラッキング装置108が,それぞれ大腿骨102及び脛骨104とともに移動するように,大腿骨102及び脛骨104と対応付けられており, コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112と対応付けられるカメラ110と通信することができ, カメラ110の視界内でそれぞれの肢部を操作することによってコンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112は大腿骨102及び脛骨104の位置を決定」することは, 「大腿骨102及び脛骨104と対応付けられ」た「2つのトラッキング装置108が」「コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112」により「対応付けられるカメラ110」「の視界内で大腿骨102及び脛骨104の位置を」「コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112」が「決定」することといえる。 (オー2)引用発明1の「大腿骨102及び脛骨104の位置を決定し, 上記伸延装置からコンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112に力/圧力情報を送信することができ,この情報は,関節の設定したモデルと関連付けながら,数値的に若しくは大腿骨と脛骨の図形で表示装置114に表示される」ことは,コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112が,大腿骨102及び脛骨104の位置データから大腿骨と脛骨の図形を表示装置114に表示させるといえる。 (オー3)上記(オー1),(オー2),(エー1)に鑑みれば,引用発明1の「2つのトラッキング装置108が,それぞれ大腿骨102及び脛骨104とともに移動するように,大腿骨102及び脛骨104と対応付けられており, コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112と対応付けられるカメラ110と通信することができ, カメラ110の視界内でそれぞれの肢部を操作することによってコンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112は大腿骨102及び脛骨104の位置を決定し, 上記伸延装置からコンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112に力/圧力情報を送信することができ,この情報は,関節の設定したモデルと関連付けながら,数値的に若しくは大腿骨と脛骨の図形で表示装置114に表示される」「コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112」と,本願発明1の「患者の大腿骨及び患者の脛骨の位置を示す位置データを決定し, 前記位置データに基づいて前記患者の大腿骨及び前記患者の脛骨の画像を表示し, 前記関節力データに基づいて前記関節力の内側コンポーネントを示す内側力値を決定し, 前記関節力データに基づいて前記関節力の外側コンポーネントを示す外側力値を決定し, 前記ディスプレイに,前記内側力値及び前記外側力値を表示するよう構成される, コンピュータ」とは, 「患者の大腿骨及び患者の脛骨の位置を示す位置データを決定し, 前記位置データに基づいて前記患者の大腿骨及び前記患者の脛骨の画像を表示でき, 関節力に関する値を表示できるよう構成される, コンピュータ」の点で共通する。 (カ)引用発明1の「コンピュータや表示装置114を含むコンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112と, 膝に導入される力/圧力検出素子が組み込まれた伸延装置と, からなる関節のための再構成,ならびに全体的及び部分的置換外科手術の作業をするのに役立つためシステム」は,本願発明1の「コンピュータを利用した整形外科的システム」に相当する。 そうすると,両者は, <一致点> 「ディスプレイと, 患者の膝関節の関節力を示す関節力データを送信するよう構成されたセンサモジュールであって,(i)患者の脛骨と大腿骨との間に挿入されるように構成された脛骨パドル,を備えている,センサモジュールと, 前記ディスプレイにつながれ,前記センサモジュールから前記関節力データを受信するよう構成された受信機回路を備えるコンピュータであって, 患者の大腿骨及び患者の脛骨の位置を示す位置データを決定し, 前記位置データに基づいて前記患者の大腿骨及び前記患者の脛骨の画像を表示でき, 関節力に関する値を表示できるよう構成される, コンピュータと,を備える,コンピュータを利用した整形外科的システム。」 である点で一致し,以下の点で相違するといえる。 <相違点1> センサモジュールの脛骨パドルについて, 本願発明1では,「(ii)患者の膝蓋骨を亜脱臼または外転させる必要なく,前記脛骨パドルを患者の膝関節に位置付けることができるように,前記脛骨パドルの側面から延びるハンドルと,を備えており,前記ハンドルが前記脛骨パドルの長手方向軸に対して斜めに延びている,」ものであって, 「前記脛骨パドルは前側面,後側面,外側面,および内側面を有し,前記前側面および前記後側面は,前記脛骨パドルの前記長手方向軸の方向に延び,かつお互いに向かい合って配置されており,前記外側面および前記内側面は,前記前側面および前記後側面を接続するように延び,かつお互いに向かい合って配置されており, 前記後側面は,後側切り込みを有し, 前記ハンドルは,前記前側面に隣接する前記内側面または外側面の部分の一方から前記脛骨パドルの前記長手方向軸から離れるように斜めに延びている」ものであるのに対して, 引用発明1では,構成を特定していない点。 <相違点2> 表示できる画像について, 本願発明1では,「患者の大腿骨及び前記患者の脛骨の画像を表示し, 前記関節力データに基づいて前記関節力の内側コンポーネントを示す内側力値を決定し, 前記関節力データに基づいて前記関節力の外側コンポーネントを示す外側力値を決定し, 前記ディスプレイに,前記内側力値及び前記外側力値を表示する」のに対して, 引用発明1では,「力/圧力情報」は,「関節の設定したモデルと関連付けながら,数値的に若しくは大腿骨と脛骨の図形で表示装置114に表示される」点。 (3)判断 上記相違点について検討する。 ア 相違点1について 相違点1について検討するに,引用文献4には,本願発明1のセンサモジュールに相当するセンサブロックの,長手方向軸に対して直角方向ににハンドルを設けることは記載されているといえるが,センサブロックの長手方向軸に対して斜めに延びてたハンドルを設けることは,記載されていないし,示唆する記載もない。 そして,引用文献2~4のいずれにも,「(ii)患者の膝蓋骨を亜脱臼または外転させる必要なく,脛骨パドルを患者の膝関節に位置付けることができるように,前記脛骨パドルの側面から延びるハンドルと,を備えており,前記ハンドルが前記脛骨パドルの長手方向軸に対して斜めに延びている,」ものであって「前記ハンドルは,前記前側面に隣接する前記内側面または外側面の部分の一方から前記脛骨パドルの前記長手方向軸から離れるように斜めに延びている」ものであって, 「脛骨パドルは前側面,後側面,外側面,および内側面を有し,前記前側面および前記後側面は,前記脛骨パドルの前記長手方向軸の方向に延び,かつお互いに向かい合って配置されており,前記外側面および前記内側面は,前記前側面および前記後側面を接続するように延び,かつお互いに向かい合って配置されており, 前記後側面は,後側切り込みを有し, 前記ハンドルは,前記前側面に隣接する前記内側面または外側面の部分の一方から前記脛骨パドルの前記長手方向軸から離れるように斜めに延びている」構成は記載されてなく,また,そのような構成を示唆する記載もない。 また,そのような構成が周知であるともいえない。 したがって,引用発明1において,本願発明1の上記相違点1に係る構成は,引用文献2~4に記載の技術事項に基づいて,当業者が容易に想到し得るものとはいえない。 (4)小括 以上のとおりであるから,相違点2を検討するまでもなく,本願発明1は,当業者が引用発明1及び引用文献2~4に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 また,本願発明2~10は,本願発明1をさらに限定したものであるので,本願発明1と同様に,当業者が引用発明1及び引用文献2~4に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 よって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 第4 当審拒絶理由について 1 当審拒絶理由の概要 「平成28年3月30日付けでした手続補正は,下記の点で特許法第36条の2第4項の規定により明細書,特許請求の範囲及び図面とみなされた同条第2項に規定する外国語書面の翻訳文(以下「翻訳文」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 記 理由(17条の2第3項違反について)(下線は当審で付与した。) 特許請求の範囲の請求項1に係る発明は,平成28年3月30日付けの手続補正により,補正前の請求項1に係る発明に,「前記ハンドルが前記脛骨パドルの長手方向軸に対して斜めに延びている」, 「前記脛骨パドルは前側面および後側面を有し,前記前側面および前記後側面は,前記脛骨パドルの前記長手方向軸の方向に延び,かつお互いに向かい合って配置されており, 前記後側面は,後側切り込みを有し, 前記ハンドルは,前記前側面の端部の一方から前記脛骨パドルの長手方向軸から離れるように斜めに延びている」という補正により導入された事項が付加された発明である。 しかしながら,翻訳文には,「【0022】 例示的脛骨パドル34は,湾曲した前側面36,湾曲した外側面38,湾曲した内側面40,及び湾曲した後側面42を含み,それぞれ整形外科的人工膝関節の脛骨ベアリングの形状に近似した形状である。 ・・・ 【0025】 図3及び4に例示するように,ハンドル32は脛骨パドル34の側面から延在する。例示的実施形態では,ハンドル32は,内側面40(これは,センサモジュール12が外側外科的アプローチ処置で用いられるとき外側面である)から延在する。ハンドル32はパドル34の側面から延在するため,脛骨パドル34は,患者の膝蓋骨を亜脱臼又は外転させる必要なく患者の膝関節に位置付けることができることを理解すべきである。つまり,脛骨パドル34は,天然の位置では,患者の膝蓋骨を用いて患者の脛骨近位と大腿遠位との間に適切に位置付けられ得る。」と記載されており,「ハンドル32は」,「脛骨パドル34の」「内側面40」「から延在する。」と記載されているが,「ハンドル32」が,「脛骨パドル34」の「前側面36」の端部の一方から延在する構成は記載されていない。 また,該構成が上記記載から自明であるともいえない。 してみると,上記「前記ハンドルは,前記前側面の端部の一方から前記脛骨パドルの長手方向軸から離れるように斜めに延びている」構成を導入する請求項1に係る発明は,翻訳文のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものでない。 請求項1を直接または間接的に引用する請求項2~10に係る発明についても同様である。」 2 当審拒絶理由についての判断 平成29年2月13日付け手続補正書によって,本願の請求項1に係る発明は「第2 本願発明」に記載したとおり補正された。 この補正により,本願発明1の「脛骨パドル」が,外側面,および内側面を有することが追加され,「前記ハンドルは,前記前側面に隣接する前記内側面または外側面の部分の一方から前記脛骨パドルの前記長手方向軸から離れるように斜めに延びている」と「ハンドル」の,「脛骨パドル」の位置が特定された。 この補正された事項は,翻訳文の「ハンドル32は」,「脛骨パドル34の」「内側面40」「から延在する。」との記載に沿っており,本願の請求項1に係る発明は翻訳文のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものとなった。 また,請求項1を直接または間接的に引用する請求項2~10に係る発明についても同様である。 第5 むすび 以上のとおりであるから,原査定の理由及び当審で通知した拒絶理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。

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2016-004626

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