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特許拒絶査定不服審判

2016-002942

蒸気ドラムにおける疲労を低減するための方法及び構成

審判番号
2016-002942
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-501175
請求日
2016年02月26日
審決日
2017年01月10日
公報発行日
2017年07月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
  • 【請求人代理人】荒川 聡志
審判長/審判官
  • 審判長 千壽 哲郎
  • 審判官 莊司 英史
  • 審判官 佐々木 正章
分類
P18 .121-Z (F22B) / P18 .575-Z (F22B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-501175号「蒸気ドラムにおける疲労を低減するための方法及び構成」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 9月27日国際公開、WO2012/129195、平成26年 5月29日国内公表、特表2014-513261号〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2012年3月20日(パリ条約による優先権主張外国受理 2011年3月23日 (US)米国)を国際出願日とする出願であって、平成26年10月30日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、平成27年5月7日に意見書及び手続補正書が提出され、その後、平成27年10月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成28年2月26日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。 第2 平成28年2月26日の手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成28年2月26日の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、補正前の 「排熱回収ボイラであって、 該排熱回収ボイラを通流するガス流と熱を交換することによって蒸気及び水を発生させるため、内部を通流する水を有する複数の発生管と、 該複数の発生管を通流する前記蒸気及び水を捕集するため、前記複数の発生管に流体接続された立上り管と、 前記立上り管から、前記捕集された水及び蒸気を受け取るための第1の蒸気ドラムと、 前記第1の蒸気ドラムと直接流体接続された第2の蒸気ドラムであって、第1の蒸気ドラムから前記水及び蒸気を直接受け取るための第2の蒸気ドラムと、 前記第2の蒸気ドラム内に配置され、前記受け取られた水及び蒸気から蒸気を分離して、分離された蒸気を形成するための、蒸気分離器と、 前記第2の蒸気ドラムに配置された、該第2の蒸気ドラムから前記分離された蒸気を解放するように適応された蒸気流れ出口と、を備えることを特徴とする排熱回収ボイラ。」 から、補正後の 「排熱回収ボイラであって、 該排熱回収ボイラを通流するガス流と熱を交換することによって蒸気及び水を発生させるため、内部を通流する水を有する複数の発生管と、 該複数の発生管を通流する前記蒸気及び水をまとめて捕集するため、前記複数の発生管に流体接続された立上り管と、 前記立上り管から、前記捕集された水及び蒸気を受け取るための第1の蒸気ドラムと、 接続ラインを介して、前記第1の蒸気ドラムと直接流体接続された第2の蒸気ドラムであって、前記接続ラインを介して、第1の蒸気ドラムから前記捕集された水及び蒸気を直接受け取るための第2の蒸気ドラムと、 前記第2の蒸気ドラム内に配置され、前記受け取られ捕集された水及び蒸気から蒸気を分離して、分離された蒸気を形成するための、蒸気分離器と、 前記第2の蒸気ドラムに配置された、該第2の蒸気ドラムから前記分離された蒸気を解放するように適応された蒸気流れ出口と、を備えることを特徴とする排熱回収ボイラ。」 へと変更する補正事項を含むものである(下線は、補正箇所を示す。)。 2 補正の目的 上記補正事項は、 (1)補正前の請求項1に係る発明を特定する事項である「立上り管」について「複数の発生管を通流する」「蒸気及び水をまとめて捕集する」ことに限定するもの、 (2)補正前の請求項1に係る発明を特定する事項である「第1の蒸気ドラム」と「第2の蒸気ドラム」について、「第2の蒸気ドラム」が「第1の蒸気ドラム」から「接続ラインを介して」「複数の発生管」で「捕集された水及び蒸気」を受け取ることに限定するもの、 であって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下検討する。 3 独立特許要件 (1)本願補正発明 本願補正発明は、本件補正後の明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、上記「第2 1 補正の内容」の補正後の請求項1に記載されたとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先日前に頒布された刊行物である欧州特許出願公開第01526331号明細書(以下「引用文献1」という。)及び特開昭53-71701号公報(以下「引用文献2」という。)並びに本願優先日前に頒布された刊行物である特開平8-303704号公報(以下「引用文献3」という。)及び特開2003-74802号公報(以下「引用文献4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 引用文献1 (ア)「[0001] The invention relates to an evaporator system for an industrial boiler according to the introductory part of claim 1.」 (当審訳:本発明は、請求項1の導入部分に係る産業用ボイラの蒸発器システムに関する。) (イ)「[0002] In its most fundamental form such an evaporator system consists of a water-steam drum, a heat transfer section and interconnecting piping. Water from the drum is transported to the heat transfer section where it is partly evaporated. The so generated water-steam mixture is transported back to the drum,where the steam is separated from the water and the separated steam is dried. Other connections on the evaporator system are for feed water supply and steam extraction.」 (当審訳:そのような蒸発器システムの最も基本的な構成は、水蒸気ドラム、伝熱部及び連絡配管からなる。ドラムからの水は伝熱部に搬送され一部が蒸発する。生成された水と蒸気の混合物はドラムに戻され、蒸気は水から分離され、分離された蒸気は乾燥される。蒸発器システムの他の接続は、給水と蒸気の抽出のためである。) (ウ)「[0006] It is the object of the invention to design the separating and drying means of the known evaporator system in such a way that wall thicknesses are reduced and as a result there of faster load changes of the evaporator system are allowed.」 (当審訳:本発明の目的は、公知の蒸発器システムの分離及び乾燥手段を壁の厚さを薄くすることで蒸発器システムの負荷変化の高速化を許容するように設計することである。) (エ)「[0008] The invention is based on the split up and assignment of the functions of separating water and steam and drying the separated steam to various vessels with relatively small diameters, in combination with a heat transfer section optimised with regard to minimal water-steam volume. One or more horizontal vessels connected in parallel in a horizontal plane contain the required minimum amount of water and a relatively small steam volume. The water-steam mixture generated in the heat transfer section is first transported to these horizontal vessels where the primary separation of water and steam is realized. Subsequently the separated wet steam is transported to one or more vertical vessels connected in parallel where the final steam drying takes place. The water level in the vertical vessels is high enough to create the necessary pressure to force the separated water to flow back to the evaporator system or to flow to another suitable system. The dried steam is extracted to a superheater for instance.」 (当審訳:本発明は、最小限の水-蒸気の量に関して、最適化された伝熱部との組み合わせのなかで、水と蒸気に分離し、比較的小さい直径の種々の容器で分離した蒸気を乾燥させるという、分割及び割り当ての機能に基づいている。水平面内で並列に接続された一つ以上の水平容器は、必要最小量の水と比較的少ない蒸気量を含む。伝熱部で生成された水-蒸気混合物は、最初に水平容器に搬送されて、主要な水と蒸気の分離がされる。続いて分離された湿り蒸気は、最終的な蒸気乾燥が行われる並列に接続された一つ以上の垂直容器に搬送される。垂直容器内の水位は、分離された水が蒸発器システムに返流したり、もう一つの適切なシステムに流れるようにするために必要な圧力を生成するのに十分な高さである。乾燥した蒸気は、例えば過熱器に抽出される。) (オ)「[0012] An evaporator system of an industrial boiler with a not shown heat transfer system for generating a water-steam mixture is provided with a water-steam separator. The water-steam separator comprises a horizontal vessel 1 that contains the required minimum water volume and internals that realize a primary separation of water and steam. These internals are not shown because they are conventional. The internals force the water-steam mixture entering the vessel 1 to slow down and to take one or more turns, whereby the mixture is separated into water and wet steam. Instead of one vessel 1 several vessels of similar design to vessel 1 may be arranged in one horizontal plane and connected in parallel. A water level is introduced in the vessel 1 somewhere between a low level LL and a high level HL dependant on the operation mode of the boiler such as start-up or normal operation.」 (当審訳:水-蒸気混合物を生成するための図示しない熱伝達システムを有する産業用ボイラの蒸発器システムは、水-蒸気分離器が設けられている。水-蒸気分離器は水平容器1を含み、水と蒸気の主要な分離を実現するに必要な最低限の水量と内部が含まれている。これら内部は従来のものなので示されていない。内部は、容器1内に浸入した水-蒸気混合物を減速し、1以上のターンを行わせ、それによって水-蒸気混合物は水と湿り蒸気に分離される。1つの容器1の代わりに容器1に類似した複数の容器を同一平面に配置し、並列に接続してもよい。水位は起動時や通常動作のようなボイラの動作モードに応じたローレベルLLとハイレベルHLの間のどこかで容器1内に導入される。) (カ)「[0013] Pipings 3, 4, 5 are connected to the vessel 1. The piping 3 transports water from vessel 1 to the heat transfer section, the piping 4 transports the water-steam mixture from the heat transfer section back to the vessel 1 and through piping 5 feed water is supplied to the vessel 1.」 (当審訳:配管3、4、5は容器1に接続されている。配管3は容器1からの水を伝熱部に搬送し、配管4は水-蒸気混合物を伝熱部から容器1に移し、配管5を介して容器1に供給水が供給される。) (キ)「[0014] The water-steam separator further comprises a vertical vessel 2(arranged separately from the horizontal vessel 1), in which the final steam drying takes place. This is carried out by forcing the wet steam to follow a trajectory spiralling downward by introducing it tangentially into vessel 2. Instead of, or inaddition to, such cyclone means a demister may be installed within vessel 2. The upper part of vessel 1 is connected to vessel 2 by a piping 6, through which the wet steam separated in vessel 1 is transported to vessel 2. The lower parts of vessel 1 and vessel 2 are connected to each other by a piping 7, through which the water separated in vessel2 is transported back to vessel 1. A piping 8 is connected to the upper part of vessel 2 through which piping the dried steam is extracted from vessel 2. Instead of one vessel 2 several vessels of similar design to vessel 2 may be arranged in one horizontal plane and connected in parallel.」 (当審訳:水-蒸気分離器は、さらに垂直容器2(水平容器1とは別に設けられた)を有し、最終的な蒸気の乾燥が行われる。これは、湿り蒸気を容器2内に接線方向に導入することにより、螺旋の下方への軌道とすることで行われる。このようなサイクロン手段の代わりに、または加えてデミスタを容器2内に配置することもできる。容器1の上部は、配管6を介して容器2に接続されており、そこを通って容器1で分離された湿り蒸気は容器2に搬送される。容器1と容器2の下部は、配管7を介して相互に接続されており、そこを通って容器2で分離された水は、容器1に戻される。配管8は、容器2の上部に接続され、そこを通って乾燥された蒸気は、容器から抽出される。一つの容器2の代わりに、容器2に類似した設計の幾つかの容器を同一平面内に配置し、並列に接続してもよい。) (ク)上記記載事項(ア)~(キ)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「産業用ボイラであって、 伝熱部で水-蒸気混合物が生成され、 水-蒸気混合物を伝熱部から水平容器1に移す配管4と 水平容器1の上部は配管6を介して垂直容器2に接続されており、配管6を通って水平容器1で分離された湿り蒸気は垂直容器2に搬送され、 垂直容器2内に配置されるデミスタと、 垂直容器2の上部に接続され、乾燥された蒸気が垂直容器2の上部から抽出される配管8を備える産業用ボイラ。」 イ 引用文献2 (ア)「3. 発明の詳細な説明 本発明はボイラに関するものである。 ボイラの蒸気ドラムは、運転条件が低圧になるに従い、蒸気室負荷、水面負荷の関係から、ドラム径およびドラム長さを増大させて蒸気室容積および蒸発水面面積を大きく取らざるを得ない。今、ドラム圧力を一定とし、ドラム径を増大させると、ドラム板厚は次第に増加し、それに伴ってドラム重量が大きく増加するため、ドラム径には自ずと上限が存在することになる。また一方、気水分離性能、蒸発管および降水管の配置、定期検査などのメインテナンス、等の問題からドラム径の下限が定まる。以上の理由により、蒸気ドラム径は蒸発量、蒸気条件にかかわらず2000φ~800φ程度になっているのが実情である。従来形ボイラにて、低圧、大容量(大蒸発量)ボイラを考えた場合、蒸気ドラム部は径、長さ共に過大となり、構造上、不都合を生ずることは明らかである。 そこで本発明は上記問題点を解決し得るボイラを提供するもので、以下その実施例を列記する。 ○第1実施例(第1図~第3図参照) (1A)は蒸気ドラム(2A)と水ドラム(3A)と蒸発管(4A)とからなる第1ブロック、(1B)は第1ブロック(1A)の一側端から前方に連設した第2ブロックで、蒸気ドラム(2B)と水ドラム(3B)と蒸発管(4B)とからなる。また(1C)は第1ブロック(1A)の他側端から前方に連設した第3ブロックで、同じく蒸気ドラム(2C)と水ドラム(3C)と蒸発管(4C)とからなる。これらブロック(1A)、(1B)、(1IC)は平面視においてコ(当審注:公報では、下方に開口している)状となり、その内側に、バーナ(5)が対向する燃焼室(6)を形成している。 燃焼室(6)は、各ブロック(1A)(1B)(1C)と一体であるところの内側部水冷壁(7A)(7B)(7C)と、上部水冷壁(8)と、底部水冷壁(9)とにより形成され、前部水冷壁(9)の部分に前記バーナ(5)を配置し、以って前焚方式のボイラを形成している。なお第2、第3ブロック(1B)(1C)の内側部水冷壁(7B)(7C)はその配管を適当間隔置きにして開口部(19A)(19B)を形成し、燃焼室(4)から両蒸発管(4B)(4C)部へのガス通路を形成している。(10)はヘッダ、(11A)(11B)(11C)は外側部水冷壁を示す。隣接する蒸気ドラム間、すなわち(2A)と(2B)間、(2A)と(2C)間は連絡管(12A)(12B)により連通してある。さらに隣接する水ドラム間、すなわち(3A)と(3B)間、(3A)と(3C)間、(3B)と(3C)間は連絡管(13A)(13B)(13C)により連通してある。前記第1ブロック(1A)は隔壁(14)により区画され、それぞれの出口(15A)(15B)にはダンパ(16A)(16B)が設けられる。(17A)(17B)(17C)は支持脚、(18A)(18B)は蒸気出口、(22)は前部水冷壁を示す。 バーナ(5)の燃焼によって燃焼室(6)に生じたガスは、第2図矢印に示すように、開口部(19A)(19B)から内側部水冷壁(7B)(7C)を通って蒸発管(4B)(4C)に流入し、そして蒸発管(4A)部を通って出口(15A)(15B)から排出される。」(公報第1ページ左下欄第9行ないし第2ページ右上欄第3行) (イ)「○燃焼ガスが蒸発管群に対し全て直交する形で流れるため、効率良く伝熱を行うことができる。」(公報第2ページ右下欄第12行ないし第14行) (ウ)「○オイル、ガス等の燃料焚ボイラ兼廃熱ボイラとしても使用できる。」(公報第2ページ右下欄第19行及び第20行) ウ 引用文献3 (ア)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は廃熱を利用して蒸気を得る貫流式廃熱ボイラーに関し、伝熱管の過熱や蒸気乾き度の低下を防ぐことのできる貫流式廃熱ボイラーに関するものである。」 (イ)「【0009】 【実施例】本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は請求項1の一実施例、図2は請求項2の一実施例の要部を示した斜視図である。上部管寄せ1と下部管寄せ2は平行に設けられており、一対の上部管寄せ1と下部管寄せ2の間に伝熱管列3が1列に設けられて基本体が形成され、基本体は伝熱管群が直方体状になるように多数段接合される。給水配管4は途中で分岐して各下部管寄せ2の一端に接続されており、各下部管寄せ2の他端には濃縮水ブローのために下部管寄せを連結した下部連絡管(図示せず)が設けられ、下部連絡管にブロー配管(図示せず)が接続される。各上部管寄せ1の上部には個別連絡管5が接続され、各個別連絡管5は集合連絡管6に接続されており、各伝熱管列3で発生した蒸気は、上部管寄せ1・個別連絡管5・集合連絡管6を通って気水分離器7へ送られる。気水分離器7では蒸気中の水分を分離して蒸気のみを取り出し、水分は気水分離器7下部に設けられた降水管8を通じて再び下部管寄せ2へ戻される。排ガスは上部管寄せ1および下部管寄せ2の長手方向に対し直角となるように水平方向に流動させて伝熱管列3を加熱する。 【0010】給水配管4より給水される水は、各下部管寄せ2へ同じ水圧で送られており、伝熱管列3への加熱が行われていない場合には各伝熱管列3とも同じ水位となる。排ガスを上下管寄せの長手方向に対し直角となる水平方向に流動し、伝熱管列3を排ガスによって加熱すると、排ガス上流側の伝熱管列3より加熱され、排ガスは次々と下流の伝熱管列3を加熱するが、上流側の伝熱管列3で熱交換しているため排ガス温度は下流ほど低くなり、下流側の伝熱管列3ほど加熱量は低下する。そのため、排ガス上流側の伝熱管列3から発生する蒸気量は多くなり、排ガス下流側の伝熱管3から発生する蒸気量は少ない。上部管寄せ1に達した蒸気は個別連絡管5・集合連絡管6を通って気水分離器7へ送られるが、個別連絡管5で通過する蒸気量が制限されるため、蒸気発生量の多い排ガス上流側の伝熱管列3の上部管寄せ1ほど圧力損失は大きくなり、伝熱管内水位は低下する。」 エ 引用文献4 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、業務用、空調用、産業用、発電用に使用される自然循環式の水管式ボイラに関するものである。」 (イ)「【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、上下部管寄に連結した水管群の一部を非加熱降水管として他の該水管群の側方部分に設けて、該水管群の加熱上昇管との2つに分け、且つ加熱上昇管と非加熱降水管との間には断熱壁を設けた水管式ボイラを提供するものである。 【0009】前記非加熱降水管をフィンで結合したことで、燃焼ガスに対して密閉された構造とすることができる 【0010】前記上部管寄には、加熱上昇管と非加熱降水管とに分流する仕切部を設けたもので、上部管寄内を仕切る部材を設けることで、2つの異なる機能を有する管群を1つの上部管寄で行うことが可能となり、一層コンパクト化が図られる。 【0011】前記上部又は下部管寄は、単一の容器体から形成され、又同一形状であるので、製作がより容易となり、又組み立ても簡単とする。 【0012】水管式ボイラに於ける上下部管寄に連結した水管群の一部を非加熱降水管として該水管群の側方部分に設けて、該水管群の加熱上昇管との2つに分け、且つ加熱上昇管と非加熱降水管との間には断熱壁を設けたものにおいて、上下部管寄に連結した水管群を1モジュールとし、該モジュールを高温ガスの流れ方向に単段又は複数段列設したものである。 【0013】汽水ドラムは水管群の中央部に設け、且つ上下部管寄に連結した水管群の一部を非加熱降水管として、他を該水管群の側方部分に設けて、加熱上昇管との2つに分けたもので、対称的な全体構造となるので製造もメインテナンスもより容易とする。」 (ウ)「【0021】更に、図2の平面図に示すように、複数の加熱上昇管3及び非加熱降水管301は、1モジュールから形成されておりユニット化されている。この状況は、図4の側面図に示すものからも理解される。汽水ドラム4から、降水連絡管7が、各モジュールへ延びており、上部管寄1と連絡しているのがわかる。」 (3)対比・判断 ア 本願補正発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「産業用ボイラ」と、本願補正発明の「廃熱回収用ボイラ」とは、その機能からみて「ボイラ」であるという限りにおいて一致する。 また、引用発明の「水-蒸気混合物」及び「湿り蒸気」は、本願補正発明の「蒸気及び水」又は「水及び蒸気」に相当する。 また、引用発明の「伝熱部で水-蒸気混合物が生成され」る態様は、伝熱部が水-蒸気混合物を生成していることを意味するから、引用発明の当該態様と、本願補正発明の「排熱回収ボイラを通流するガス流と熱を交換することによって蒸気及び水を発生させるため、内部を通流する水を有する複数の発生管」とは、「蒸気及び水を発生させる装置」の限りにおいて一致する。 また、引用発明の「水平容器1」及び「垂直容器2」は、本願補正発明の「第1蒸気ドラム」及び「第2の蒸気ドラム」に相当し、引用発明の「配管4」は本願補正発明の「立上り管」に相当する。 また、引用発明の「配管4」によって「伝熱部から」の「水-蒸気混合物」が「戻」される「水平容器1」は、「伝熱部」で生成された「水-蒸気混合物」を「配管4」によって受けとっているといえるから、本願補正発明の「立上り管から、前記捕集された水及び蒸気を受け取るための第1の蒸気ドラム」に相当し、さらに、引用発明の「水-蒸気混合物を水平容器1に移す配管4」と、本願補正発明の「複数の発生管に流体接続された立上り管」とは、「蒸気及び水を発生させる装置に流体接続された立上り管」であるという限りにおいて一致する。 また、引用発明の「配管6」は、本願補正発明の「接続ライン」に相当する。 また、引用発明の「配管6を通って水平容器1で分離された湿り蒸気は垂直容器2に搬送され」る態様は、湿り蒸気は蒸気が水を含んでいる状態であると認められること及び水平容器1と垂直容器2は配管6を介して直接接続されており、「水平容器1から湿り蒸気を直接受け取るための垂直容器2」といえるから、引用発明の当該態様は、本願補正発明の「接続ラインを介して、前記第1の蒸気ドラムと直接流体接続された第2の蒸気ドラムであって、前記接続ラインを介して、第1の蒸気ドラムから前記捕集された水及び蒸気を直接受け取るための第2の蒸気ドラム」に相当する。 また、引用発明の「垂直容器2内に配置されるデミスタ」は、湿り蒸気を乾燥させるものであるから、本願補正発明の「前記第2の蒸気ドラム内に配置され、前記受け取られ捕集された水及び蒸気から蒸気を分離して、分離された蒸気を形成するための、蒸気分離器」に相当する。 また、引用発明の「垂直容器2の上部に接続され、乾燥された蒸気が垂直容器2の上部から抽出される配管8」は、本願補正発明の「第2の蒸気ドラムに配置された、該第2の蒸気ドラムから前記分離された蒸気を解放するように適応された蒸気流れ出口」に相当する。 イ よって、本願補正発明と引用発明とは、 「ボイラであって、 蒸気及び水を発生させる装置と、 該蒸気及び水を発生させる装置に流体接続された立上り管と、 前記立上り管から、前記捕集された水及び蒸気を受け取るための第1の蒸気ドラムと、 接続ラインを介して、前記第1の蒸気ドラムと直接流体接続された第2の蒸気ドラムであって、前記接続ラインを介して、第1の蒸気ドラムから前記捕集された水及び蒸気を直接受け取るための第2の蒸気ドラムと、 前記第2の蒸気ドラム内に配置され、前記受け取られ捕集された水及び蒸気から蒸気を分離して、分離された蒸気を形成するための、蒸気分離器と、 前記第2の蒸気ドラムに配置された、該第2の蒸気ドラムから前記分離された蒸気を解放するように適応された蒸気流れ出口と、を備えるボイラ。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1] 本願補正発明のボイラは、「廃熱回収ボイラ」であって、蒸気及び水を発生させる装置が「廃熱回収ボイラを通流するガス流と熱を交換することによって蒸気及び水を発生させるため、内部を通流する水を有する複数の発生管と、該複数の発生管を通流する前記蒸気及び水をまとめて捕集するため、前記複数の発生管に流体接続された立上がり管」を有するのに対して、引用発明は、熱源が廃熱であることは特定されておらず、また、伝熱部の具体的構造も特定されていない点。 ウ そこで、上記[相違点1]について検討する。 ボイラにおいて、廃熱を熱源とすること、すなわち廃熱回収型のボイラは、例えば引用文献2(上記摘記事項(2)イ(ウ)参照。)及び3(上記摘記事項(2)ウ(ア)及び(イ)参照。)に記載されているように周知技術である。 また、ボイラの「伝熱部」の具体的構造として、高温ガスと熱交換を行うために蒸気を発生させるために水が通流している管を複数設けることは、引用文献3(図1及び図2参照。)及び引用文献4(図2及び図4参照。)に記載されているように周知技術であり、また、複数の管で発生した水及び蒸気をまとめて捕集することも、引用文献3(図1及び図2参照。)及び引用文献4(図2及び図4参照。)に記載されているとおり周知技術である。 そして、引用発明においてどのような熱源を用いるかは、当業者が必要に応じて適宜選択し得る得る設計事項であり、具体的な熱源として廃熱を用いることに格段の困難性はないし、適用を阻害する要因もない。また、ボイラにおいて熱源との熱交換率を向上させることは当然の課題であるところ、引用発明においても、熱交換率の向上の具体的構成として、高温ガスと熱交換を行うために蒸気を発生させるために水が通流している管を複数設け、複数の管で発生した水及び蒸気をまとめて捕集するという上記周知技術を採用することは、当業者が容易になし得ることであり、当該周知技術の適用を阻害する要因もない。 よって、引用発明において、上記相違点1に係る本願補正発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得ることである。 エ そして、本願補正発明の奏する効果は引用発明及び上記周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものであり、格別顕著なものとはいえない。 オ よって、本願補正発明は、引用発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4) 審判請求人の主張について 審判請求人は、審判請求書において 「4-2.本願発明と引用文献1~3(当審注:引用文献1は州特許出願公開第01526331号明細書、引用文献2は特開昭53-71701号公報、引用文献3は特開2002-130606号公報)、に係る発明(以下、引用発明1~3と記載)との対比 (1)本願請求項1に係る発明について 引用文献1には、確かに、熱伝達セクション(本願の発生管に対応)と、該熱伝達セクションから水及び蒸気を搬送するパイプ4(本願の立上り管に対応)と、該パイプ4に接続された容器1(本願の第1の蒸気ドラムに対応)と、パイプ6を介して容器1と接続された容器2(本願の第2の蒸気ドラムに対応)と、容器2から蒸気を排出するパイプ8(本願の蒸気流れ出口に対応)と、が記載されています(段落[0012]~[0014]、図面)。 しかしながら、引用発明1では、まず、容器1内において、熱伝達セクションから搬送された水及び蒸気の混合物を水及び蒸気に分離し(段落[0012])、容器1内においてある程度の水が分離された湿り蒸気を、最終的に、容器2内で乾燥した蒸気に分離しています(段落[0014])。つまり、引用発明1では、本願請求項1に係る発明とは異なり、熱伝達セクションで発生した水及び蒸気の全てを、容器1を通流して容器2に搬送するように、容器1及び容器2が直接流体接続されているものではありません。このように、引用文献1には、上記本願請求項1に係る発明独特の上記(I)、(II)に係る構成が記載されていません。 更に、上述のように引用発明1では、容器1及び容器2の両方で水及び蒸気の分離を行っており、本願請求項1に係る発明とは異なり、容器2内にのみ配置された蒸気分離器によって、水及び蒸気の分離を行っているものではありません。」と主張している。 しかしながら、上記審判請求人が主張する、「熱伝達セクションで発生した水及び蒸気の全てを、容器1を通流して容器2に搬送するように、容器1及び容器2が直接流体接続され」ることは、特許請求の範囲で特定されておらず、特許請求の範囲に基づかない主張であるから、採用することはできない。 また、仮に本願補正発明の機能を主張するものであったとしても、ボイラの技術において、通常、蒸気ドラムは、水と蒸気の混合物を水と蒸気に分離させるために設けられるものであり、このことは、本願の明細書【0015】の「ガス流111に存在する熱は、ガス流から熱伝達面114へ伝達される。熱の伝達は、高温の水及び蒸気の組合せを発生し、この組合せは、蒸気ドラム118へ提供され、蒸気ドラム118は水から蒸気を分離する。蒸気は、例えば発電などのさらなるプロセスにおいて使用されてよい。」、また【0022】の「第1の蒸気ドラム118aにおける水は、水及び蒸気の流れ132よりも密度が高く、降下管138に接続された出口136を通じて水の流れ134として第1の蒸気ドラムから出る。」という記載とも整合するものであるから、本願補正発明においても、第1の蒸気ドラムは、蒸気と水との分離が行われているものと認められる。 そうすると、引用発明の「水平容器1」は、本願補正発明の「第1蒸気ドラム」に相当するものということができる。 よって、審判請求人の上記主張は失当である。 (5)小括 したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年5月7日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(上記「第2 1 補正の内容」の補正前の請求項1参照。)により特定されるとおりのものと認める。 2 引用文献の記載事項及び引用発明 引用文献の記載事項及び引用発明は、上記「第2 3(2)引用文献の記載事項」に記載したとおりである。 3 対比・判断 (1) 本願発明と引用発明とを対比する。 上記「第2 3(3)ア」における引用発明と本願発明との対比を参酌すると、本願発明と引用発明とは、 「ボイラであって、 蒸気及び水を発生させる装置と、 該蒸気及び水を発生させる装置に流体接続された立上り管と、 前記立上り管から、前記水及び蒸気を受け取るための第1の蒸気ドラムと、 前記第1の蒸気ドラムと直接流体接続された第2の蒸気ドラムであって、第1の蒸気ドラムから水及び蒸気を受け取るための第2の蒸気ドラムと、 前記第2の蒸気ドラム内に配置され、前記受け取られた水及び蒸気から蒸気を分離して、分離された蒸気を形成するための、蒸気分離器と、 前記第2の蒸気ドラムに配置された、該第2の蒸気ドラムから前記分離された蒸気を解放するように適応された蒸気流れ出口と、を備えるボイラ。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1’] 本願発明のボイラは、「廃熱回収ボイラ」であって、蒸気及び水を発生させる装置が「廃熱回収ボイラを通流するガス流と熱を交換することによって蒸気及び水を発生させるため、内部を通流する水を有する複数の発生管と、該複数の発生管を通流する前記蒸気及び水を捕集するため、前記複数の発生管に流体接続された立上がり管」を有するのに対して、引用発明は、熱源が廃熱であることは特定されておらず、また伝熱部の具体的構造も特定されていない点。 (2) 上記[相違点1’]について検討する。 上記相違点1’に係る本願発明の構成は、本願補正発明の「複数の発生管を通流する前記蒸気及び水をまとめて捕集する」の「まとめて」を省いたものに相当する。 よって、上記「第2 3(3)ウ」に記載したのと同様に、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-002942

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