特許無効審判
2015-800110
システム作動方法
- 審判番号
- 2015-800110
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願平6-306428
- 登録番号
- 特許第3350773号(P3350773)
- 請求日
- 2015年04月17日
- 審決日
- 2017年03月24日
- 公報発行日
- 2019年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 コーエーテクモゲームス
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】大貫 進介
- 【請求人代理人】鶴谷 裕二
- 【請求人代理人】小原 寿美子
- 【請求人代理人】佐藤 安紘
- 【請求人代理人】高橋 元弘
- 【請求人代理人】吉羽 真一郎
- 【請求人代理人】末吉 亙
- 【被請求人】株式会社 カプコン
- 【被請求人代理人】▼廣▲瀬 文雄
- 【被請求人代理人】金井 美智子
- 【被請求人代理人】重冨 貴光
- 【被請求人代理人】古庄 俊哉
- 【被請求人代理人】長谷部 陽平
- 【被請求人代理人】澤 祥雅
- 審判長/審判官
- 審判長 石井 茂和
- 審判官 須田 勝巳
- 審判官 辻本 泰隆
- 分類
- P1113.111-YAA(G06F) / P1113.121-YAA(G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第126条第5項、特許法第123条第1項第2号、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第134条、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第1号、特許法第135条、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
上記当事者間の特許第3350773号発明「システム作動方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第3350773号の明細書を,平成28年12月5日提出の手続補正書により補正された訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり,訂正後の請求項1,2,3について訂正することを認める。
請求項1,2に記載された発明についての審判の請求は成り立たない。
請求項3についての本件審判の請求を却下する。
審判費用は,請求人の負担とする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第3350773号についての出願は,平成6年12月9日に出願され,平成14年9月20日に,その請求項1~3に係る発明について特許の設定登録がなされたものである。
これに対して,請求人より平成27年4月17日に本件無効審判の請求がなされたものである。
本件無効審判に係る手続の経緯は,概略以下のとおりである。
平成27年 4月17日 無効審判請求(甲第1号証~甲第13号証の6)
平成27年 7月10日 被請求人より,訂正請求書,答弁書(乙第1号証~乙第3号証)提出
平成27年 7月28日付け 訂正拒絶理由通知
平成27年 8月25日 被請求人より,意見書,手続補正書提出
平成27年 8月31日 請求人より,弁駁書(甲第14の1号証~甲第19の3の2号証),意見書提出
平成27年 9月15日付け 補正許否の決定(許可する)
平成27年10月16日 被請求人より,訂正請求書,答弁書(乙第4号証の1,乙第4号証の2)提出
平成27年11月 6日 請求人より,上申書提出
平成27年11月19日付け 審理事項通知
平成28年 1月 8日 被請求人より,口頭審理陳述要領書提出
平成28年 1月12日 請求人より,口頭審理陳述要領書(甲第20号証の1~甲第21号証の2)提出
平成28年 1月25日 口頭審理,口頭による訂正拒絶理由通知
平成28年 2月24日 被請求人より,意見書(乙第5号証~乙第9号証),手続補正書,上申書提出
平成28年 3月 9日 請求人より,上申書(甲第22号証)提出
平成28年 6月21日付け 審決予告
平成28年 7月28日 被請求人より,訂正請求書,上申書提出
平成28年 8月17日付け 手続補正指令(方式)
平成28年 8月29日 被請求人より,手続補正書提出
平成28年10月 3日 請求人より,弁駁書(甲第23号証~甲第24号証)提出
平成28年11月22日付け 訂正拒絶理由通知
平成28年12月 5日 被請求人より,意見書,手続補正書提出
平成28年12月22日 請求人より,意見書提出
第2 訂正請求について
1 訂正請求の内容
被請求人の平成28年7月28日提出の訂正請求書は,平成28年8月29日提出の手続補正書(以下,「手続補正書(1)」という。)により補正され,さらに平成28年12月5日提出の手続補正書(以下,「手続補正書(2)」という。)により補正された。
手続補正書(1)による補正は,平成28年8月17日付けの手続補正指令(方式)に対応して,「一群の請求項についての説明」を追加するとともに,これと併せて,「訂正前後の請求項の対応表」を追加して訂正前後の請求項の対応を明確化し,さらに「引用関係の解消の求め」の項目を起こして,請求項1と請求項2がそれぞれ別の請求単位として扱われるように求めることを明確にしたものであるから,訂正請求書の要旨を変更するものではなく,特許法第134条の2第9項で準用する同法第131条の2第1項の規定に適合するので,当該補正を認める。
また,手続補正書(2)による補正は,上記訂正請求書により請求された訂正事項1~15のうち,訂正事項4~6を削除するものであるから,訂正請求書の要旨を変更するものではなく,特許法第134条の2第9項で準用する同法第131条の2第1項の規定に適合するので,当該補正を認める。
よって,被請求人の求める訂正の内容(以下,「本件訂正」という。)は,上記手続補正書(2)により補正された上記訂正請求書に記載された以下のとおりのものである。
(1)請求項1についての訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶する記憶媒体」とあるのを,「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するとともに所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体」に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「記憶媒体を」とあるのを,「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を」に訂正する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「所定のゲーム装置に装填して」とあるのを,「上記ゲーム装置に装填して」に訂正する。
エ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1に「上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに対し,」とあるのを,「上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,」に訂正する。
オ 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項1に「音響の豊富化を達成するように形成されたものであり」とあるのを,「音響の豊富化を達成するためのゲームプログラムおよび/またはデータであり」に訂正する。
(2)請求項2についての訂正
カ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項2に「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶する記憶媒体」とあるのを,「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するとともに所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体」に訂正する。
キ 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項2に「記憶媒体を・・・ゲーム装置に装填して」とあるのを,「記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を・・・ゲーム装置に装填して」に訂正する。
ク 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項2に「所定のゲーム装置に装填して」とあるのを,「上記ゲーム装置に装填して」に訂正する。
ケ 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項2に「上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに対し,」とあるのを,「上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,」に訂正する。
コ 訂正事項13
特許請求の範囲の請求項2に「音響の豊富化を達成するように形成されたものであり」とあるのを,「音響の豊富化を達成するためのゲームプログラムおよび/またはデータであり」に訂正する。
サ 訂正事項14
特許請求の範囲の請求項2に「上記第2の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填されるとき,この第2の記憶媒体中の上記制御プログラムは,上記ゲーム装置に他の記憶媒体を装填させるインストラクションを表示させ」とあるのを,「上記第2の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填され,かつ,上記所定のキーが読み込まれていないときのみに,この第2の記憶媒体中の上記制御プログラムは,上記ゲーム装置に他の記憶媒体を装填させるインストラクションを表示させ」に訂正する。
(3)請求項3についての訂正
シ 訂正事項15
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
2 訂正の適否について
(1)請求項1についての訂正
(1-1)訂正事項1について
ア 当審の判断
(ア)訂正の目的について
訂正事項1は,請求項1の「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶する記憶媒体」を,「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するとともに所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体」に訂正するものであり,記憶媒体が,本件特許発明の課題解決手段となるホットプラグが可能な記憶媒体であることを特定するために,記憶媒体を,ゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体に限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって,訂正事項1は,特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加について
請求項1の記載を「所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体」とする訂正事項1に係る訂正が,本件特許の願書に添付した明細書又は図面(以下,「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであるか検討する。
例えば,「CTSTAGETM セットアップガイド A1版,沖電気工業株式会社,1997年8月1日,24~30頁」に記載されているように,CD-ROMは,装置の作動中に,取り出しや挿入が可能な記憶媒体であると認められるから,CD-ROMは,「装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体」であるといえる。
一方で,本件特許の願書に添付した明細書(以下,「本件特許明細書」という。)には,以下の記載がある。
a 「【産業上の利用分野】本願発明は,たとえば家庭用ゲーム機などの情報処理装置を対象としたシステム作動方法に関し,より詳しくは,CD-ROMなどの高密度記憶媒体をソフトウェア供給媒体として使用する場合に好適なシステム作動方法に関する。」(段落【0001】)
b 「【発明の作用および効果】情報処理装置の具体例としては家庭用ゲーム機があり,記憶媒体の具体例としてはCD-ROMがあり,これに記憶されるプログラムおよび/またはデータの具体例としては,いわゆるゲームソフトがある。」(段落【0015】)
c 「さらに,上記実施例では,記憶媒体としてCD-ROMを使用し,情報処理装置としてゲーム機を使用したが,これに代えて,他の記憶媒体としてたとえばフロッピーディスク,ハードディスク,光磁気(MO)ディスクを使用し,また他の情報処理装置としてたとえばパーソナルコンピュータを使用してもよい。」(段落【0042】)
そうすると,訂正事項1により訂正された訂正後の「装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体」は,本件特許明細書等に記載されているCD-ROM等,装置の作動中に「入れ換え可能な」記憶媒体を意味するものであって,訂正事項1は,本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって,訂正事項1は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は,発明特定事項を直列的に付加するものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないから,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(エ)なお,訂正事項1に係る訂正について,請求人は特に主張していない。
イ 小括
以上のとおりであるから,訂正事項1に係る訂正は,訂正要件を満たしている。
(1-2)訂正事項2について
ア 被請求人の主張の概要
平成28年12月5日提出の手続補正書(2)により補正された平成28年7月28日提出の訂正請求書における主張
「b 訂正事項2
(a)訂正の目的について
訂正事項2は,請求項1の「記憶媒体を」を,「記憶媒体(ただし,セ一ブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を」に訂正するものであり,請求項1について,「記憶媒体」から「セーブデータを記憶可能な記憶媒体」を除き,「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」に限定するものであるから,特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(b)実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと
上記(a)の理由から明らかなように,訂正事項2は,発明特定事項を直列的に付加するものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(c)願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は,請求項1について,「記憶媒体」から「セーブデータを記憶可能な記憶媒体」を除き,「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」に限定するものであるが,本件予告審決において,本件特許発明1が公知技術1に対し新規性がないと判断していることから,公知技術1の構成aである「セーブデータなどを記憶可能で,ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するディスク」に基づいて,「セーブデータを記憶可能な記憶媒体」を除くとしたものである。そして,訂正後の発明についても,訂正前の発明と同様の効果を奏するものであり,公知発明1の内容となっている「セーブデータを記憶可能な記憶媒体」を除外することによって,本件明細書に記載された本件訂正前の発明に関する技術的事項に何らかの変更を生じさせているものではないから,訂正事項2が本件明細書に開示された技術的事項に新たな技術的事項を付加したものでないことは明らかである。したがって,訂正事項2は,当業者によって,本件明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであることが明らかであるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(d)特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件特許無効審判事件においては,すべての請求項が無効審判の請求の対象とされているから,訂正事項2に関して,特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は適用されない。」(第7頁14行~第8頁26行)
イ 請求人の主張の概要
平成28年10月3日提出の弁駁書における主張
「1 訂正事項2
訂正事項2は,特許請求の範囲の請求項1に「記憶媒体を」とあるのを,「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を」に訂正するものである。
しかしながら,「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を」との事項は明細書又は図面に記載された事項ではない。
被請求人は,訂正請求書において,この訂正を行った理由として,「本件予告審決において,本件特許発明1 が公知技術1に対し新規性がないと判断していることから,公知技術1の構成aである「セーブデータなどを記憶可能で,ゲームプログラムおよび/ またはデータを記憶するディスク」に基づいて,「セーブデータを記憶可能な記憶媒体」を除くとしたものである。」(訂正請求書・8頁)などと主張している。しかしながら,上述のようにこの訂正は,明細書等に記載された事項に基づく訂正の理由は存在しない。単に新規性欠如を回避するためとの理由は,訂正の理由には当たらず,到底認められるものではないことは明らかである。
したがって,この訂正は拒絶されるべきものである。」(第4頁10~24行)
ウ 当審の判断
(ア)訂正の目的について
訂正事項2は,請求項1の「記憶媒体を」を,「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を」に訂正するものであり,訂正前の記憶媒体が,「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶する“任意の”記憶媒体」であったところ,この“任意の”記憶媒体から「セーブデータを記憶可能な記憶媒体」を除いた「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」に限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって,訂正事項2は,特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加について
「セーブ」とは,一般的に,「アプリケーションなどで編集中のデータを外部記憶装置に記録(保存)すること。」(日経パソコン新語辞典 99年版,日経BP社,1999年3月16日,初版第3刷,第768頁)であると認められるところ,本件特許明細書の段落【0042】には,セーブデータ,すなわち,ゲーム装置で編集中のデータを記憶可能な記憶媒体として,フロッピーディスク,ハードディスク,光磁気(MO)ディスクが記載されている。
そして,本件特許明細書の請求項1は,「セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。」との,いわゆる「除くクレーム」の表現で記載されており,請求項の記載をこのような形式で表記することは通常許される(知財高裁平成20年5月30日大合議判決(平成18年(行ケ)第10563号))。
そうすると,訂正事項2により訂正された訂正後の「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」は,本件特許明細書等に記載されている複数の記憶媒体から,フロッピーディスク,ハードディスク,光磁気(MO)ディスクなどの「セーブデータを記憶可能な記憶媒体」を除いたものと認められるので,訂正事項2は,本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって,訂正事項2は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は,発明特定事項を直列的に付加するものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないから,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(エ)請求人の主張に対して
請求人は,平成28年10月3日提出の弁駁書の第4頁14~23行において,訂正事項2に関し,「『記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を』との事項は,明細書又は図面に記載された事項ではない。・・・上述のようにこの訂正は,明細書等に記載された事項に基づく訂正の理由は存在しない。単に新規性欠如を回避するためとの理由は,訂正の理由には当たらず,到底認められるものではないことは明らかである。」と主張している。
しかしながら,この点については,上記「(イ)新規事項の追加について」で検討したとおりであるから,請求人の主張は採用することができない。
エ 小括
以上のとおりであるから,訂正事項2に係る訂正は,訂正要件を満たしている。
(1-3)訂正事項3について
ア 当審の判断
訂正事項3は,請求項1の「所定のゲーム装置に装填して」を,「上記ゲーム装置に装填して」に訂正するものであり,訂正事項1により「所定のゲーム装置」が前出することに伴い整合を図るためのものである。
したがって,訂正事項3は,特許法第134条の2第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
なお,訂正事項3に係る訂正について,請求人は特に主張していない。
イ 小括
以上のとおりであるから,訂正事項3に係る訂正は,訂正要件を満たしている。
(1-4)訂正事項7,8について
ア 当審の判断
訂正事項7は,請求項1の「上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに対し,」を,「上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,」に訂正するものであり,「拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ」が,「標準ゲームプログラムおよび/またはデータ」と比較して,「ゲームキャラクタの増加および/またはゲームキャラクタのもつ機能の豊富化および/または場面の拡張および/または音響の豊富化」を実現するための「ゲームプログラムおよび/またはデータ」であることをより明確にするものである。
したがって,訂正事項7は,特許法第134条の2第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項8は,請求項1の「音響の豊富化を達成するように形成されたものであり」を,「音響の豊富化を達成するためのゲームプログラムおよび/またはデータであり」に訂正するものであり,「拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ」が,「ゲームキャラクタの増加および/またはゲームキャラクタのもつ機能の豊富化および/または場面の拡張および/または音響の豊富化」を達成するための処理を実行する「ゲームプログラムおよび/またはデータ」であることをより明確にするものである。
したがって,訂正事項8は,特許法第134条第の2第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
なお,訂正事項7及び訂正事項8に係る訂正について,請求人は特に主張していない。
イ 小括
以上のとおりであるから,訂正事項7及び訂正事項8に係る訂正は,訂正要件を満たしている。
(1-5)請求項1についての訂正のまとめ
以上のとおり,請求項1についての訂正事項1~3,7,8はいずれも訂正要件を満たしているから,請求項1についての訂正を認める。
(2)請求項2についての訂正
(2-1)訂正事項9について
ア 当審の判断
訂正事項9は,請求項2の「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶する記憶媒体」を,「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するとともに所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体」に訂正するものであり,訂正事項9に係る訂正は,訂正事項1に係る訂正と同じ内容であるから,上記「(1-1)訂正事項1について」で検討したことと同様のことがいえる。
したがって,訂正事項9は,特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものであり,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
なお,訂正事項9に係る訂正について,請求人は特に主張していない。
イ 小括
以上のとおりであるから,訂正事項9に係る訂正は,訂正要件を満たしている。
(2-2)訂正事項10について
ア 被請求人の主張の概要
平成28年12月5日提出の手続補正書(2)により補正された平成28年7月28日提出の訂正請求書における主張
「g 訂正事項10
(a)訂正の目的について
訂正事項10は,請求項2の「記憶媒体を・・・ゲーム装置に装填して」を,「記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を・・・ゲーム装置に装填して」に訂正するものである。
まず,訂正事項10のうち,請求項2の「記憶媒体」を「記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除く・・・。)」とする訂正事項は,前示の本件予告審決においても説示されているとおり,本来,本件発明の課題解決手段はゲーム装置の作動中に入れ換え可能なものであり,半導体ROM カセットはゲーム装置の作動中に抜き差しして入れ換えることはできないから,半導体ROMカセットが含まれないことを明確にするために限定することで,「(1)CD-ROM,(2)フロッピーディスク,(3)ハードディスク,(4)光磁気ディスク」のうち,本件発明の課題解決手段となるホットプラグが可能な記憶媒体であることを特定するものである。したがって,この訂正事項は,特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」又は同ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
また,訂正事項10のうち,請求項2の「記憶媒体」を「記憶媒体(ただし,・・・セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」とする訂正事項は,請求項2について,「記憶媒体」から「セーブデータを記憶可能な記憶媒体」を除き,「記憶媒体( ただし,・・・セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」に限定するものであるから,特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(b)実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと
上記(a)の理由から明らかなように,訂正事項10は,発明特定事項を直列的に付加するものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(c)願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
まず,訂正事項10のうち,請求項2の「記憶媒体」を「記憶媒体(ただし,半導体ROM カセットを除く・・・。)」とする訂正事項は,前示の本件予告審決においても説示されているとおり,本件発明の実施例である図2のフローチャートの内容からみて,本件発明の記憶媒体は,「ゲーム装置の作動中に入れ換え可能」であるという性質を利用しているものであり,また,「半導体ROMカセット」が本件発明の課題解決手段にはならないことは明らかである。したがって,この訂正事項は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
また,訂正事項10のうち,請求項2の「記憶媒体」を「記憶媒体(ただし,・・・セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」とする訂正事項は,請求項2について,「記憶媒体」から「セーブデータを記憶可能な記憶媒体」を除き,「記憶媒体(ただし,・・・セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」に限定するものであるが,本件予告審決において,公知技術2 の構成fである「セーブデータなどを記憶可能で,ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するディスク」に基づいて,「セーブデータを記憶可能な記憶媒体」を除くとしたものである。そして,訂正後の発明についても,訂正前の発明と同様の効果を奏するものであり,公知発明2の内容となっている「セーブデータを記憶可能な記憶媒体」を除外することによって,本件明細書に記載された本件訂正前の発明に関する技術的事項に何らかの変更を生じさせているものではないから,この訂正事項が本件明細書に開示された技術的事項に新たな技術的事項を付加したものでないことは明らかである。したがって,この訂正事項は,当業者によって,本件明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであることが明らかであるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(d)特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件特許無効審判事件においては,すべての請求項が無効審判の請求の対象とされているから,訂正事項10に関して,特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は適用されない。」(第13頁8行~第15頁17行)
イ 請求人の主張の概要
平成28年10月3日提出の弁駁書における主張
「5 訂正事項10
訂正事項10は,請求項2における「記憶媒体を・・・ゲーム装置に装填して」を,「記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を・・・ゲーム装置に装填して」に訂正するものである。
既に訂正事項2において指摘したように,「セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く」との限定を付加することは,明細書又は図面に開示されておらず,新規性欠如を回避するためだけの理由であり,訂正が認められる理由には当たらない。
「セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く」との限定を付加する根拠が見いだせない以上,「記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を・・・ゲーム装置に装填して」との訂正も,明細書又は図面に開示されていない。この訂正は拒絶されるべきである。」(第7頁6~16行)
ウ 当審の判断
(ア)訂正の目的について
訂正事項10は,請求項2の「記憶媒体を・・・ゲーム装置に装填して」を,「記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を・・・ゲーム装置に装填して」に訂正するものであり,訂正前の記憶媒体が,「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶する“任意の”記憶媒体」であったところ,この“任意の”記憶媒体から「半導体ROMカセット」と「セーブデータを記憶可能な記憶媒体」を除いた「記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」に限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって,訂正事項10は,特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加について
「セーブ」とは,一般的に,「アプリケーションなどで編集中のデータを外部記憶装置に記録(保存)すること。」(日経パソコン新語辞典 99年版,日経BP社,1999年3月16日,初版第3刷,第768頁)であると認められるところ,本件特許明細書の段落【0042】には,セーブデータ,すなわち,ゲーム装置で編集中のデータを記憶可能な記憶媒体として,フロッピーディスク,ハードディスク,光磁気(MO)ディスクが記載されている。
また,本件特許明細書の段落【0002】,【0003】には,記憶媒体として,半導体ROMカセットが記載されている。
そして,本件特許明細書の請求項2は,「半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。」との,いわゆる「除くクレーム」の表現で記載されており,請求項の記載をこのような形式で表記することは通常許される(知財高裁平成20年5月30日大合議判決(平成18年(行ケ)第10563号))。
そうすると,訂正事項10により訂正された訂正後の「記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」は,本件特許明細書等に記載されている複数の記憶媒体から,半導体ROMカセットを除くとともに,フロッピーディスク,ハードディスク,光磁気(MO)ディスクなどの「セーブデータを記憶可能な記憶媒体」を除いたものと認められるので,訂正事項10は,本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって,訂正事項10は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと
訂正事項10は,発明特定事項を直列的に付加するものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないから,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(エ)請求人の主張に対して
請求人は,平成28年10月3日提出の弁駁書の第4頁14~23行において,訂正事項10に関し,「『セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く』との限定を付加することは,明細書又は図面に開示されておらず,新規性欠如を回避するためだけの理由であり,訂正が認められる理由には当たらない。『セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く』との限定を付加する根拠が見いだせない以上,『記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を・・・ゲーム装置に装填して』との訂正も,明細書又は図面に開示されていない。この訂正は拒絶されるべきである。」と主張している。
しかしながら,この点については,上記「(イ)新規事項の追加について」で検討したとおりであるから,請求人の主張は採用することができない。
エ 小括
以上のとおりであるから,訂正事項10に係る訂正は,訂正要件を満たしている。
(2-3)訂正事項11~14について
ア 当審の判断
訂正事項11は,請求項2の「所定のゲーム装置に装填して」を,「上記ゲーム装置に装填して」に訂正するものであり,訂正事項9により「所定のゲーム装置」が前出することに伴い整合を図るためのものである。
したがって,訂正事項11は,特許法第134条の2第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項12は,請求項2の「上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに対し,」を,「上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,」に訂正するものであり,「拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ」が,「標準ゲームプログラムおよび/またはデータ」と比較して,「ゲームキャラクタの増加および/またはゲームキャラクタのもつ機能の豊富化および/または場面の拡張および/または音響の豊富化」を実現するための「ゲームプログラムおよび/またはデータ」であることをより明確にするものである。
したがって,訂正事項12は,特許法第134条の2第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項13は,請求項2の「音響の豊富化を達成するように形成されたものであり」を,「音響の豊富化を達成するためのゲームプログラムおよび/またはデータであり」に訂正するものであり,「拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ」が,「ゲームキャラクタの増加および/またはゲームキャラクタのもつ機能の豊富化および/または場面の拡張および/または音響の豊富化」を達成するための処理を実行する「ゲームプログラムおよび/またはデータ」であることをより明確にするものである。
したがって,訂正事項13は,特許法第134条第の2第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項14は,請求項2の「上記第2の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填されるとき,この第2の記憶媒体中の上記制御プログラムは,上記ゲーム装置に他の記憶媒体を装填させるインストラクションを表示させ」を,「上記第2の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填され,かつ,上記所定のキーが読み込まれていないときのみに,この第2の記憶媒体中の上記制御プログラムは,上記ゲーム装置に他の記憶媒体を装填させるインストラクションを表示させ」に訂正するものである。
訂正事項14は,請求項2において,第2の記憶媒体がゲーム装置に装填された場合に,所定のキーが読み込まれていないときのみに,制御プログラムがインストラクションを表示することを限定するものであり,制御プログラムがインストラクションを表示するための条件が具体的には,「上記所定のキーが読み込まれていないときのみ」である旨を発明特定事項として付加するものである。
したがって,訂正事項14は,特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
なお,訂正事項11~14に係る訂正について,請求人は特に主張していない。
イ 小括
以上のとおりであるから,訂正事項11~14に係る訂正は,訂正要件を満たしている。
(2-4)請求項2についての訂正のまとめ
以上のとおり,請求項2についての訂正事項9~14はいずれも訂正要件を満たしているから,請求項2についての訂正を認める。
(3)請求項3についての訂正
(3-1)訂正事項15について
ア 当審の判断
訂正事項15は,請求項3を削除するものであり,特許請求の範囲を減縮するものであるから,特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また,訂正事項15は,本件訂正前の請求項3が請求項1及び2を引用しているため,請求項1と請求項2が一群の請求項として一体的に扱われる状態であったところ,請求項1と請求項2がそれぞれ別の請求単位として扱われ,一群の請求項として一体的に扱われないように,請求項1及び2と請求項3との引用関係を解消することを目的とする訂正であるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものでもある。
そして,訂正事項15は,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないから特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
なお,訂正事項15係る訂正について,請求人は特に主張していない。
イ 小括
以上のとおりであるから,訂正事項15に係る訂正は,訂正要件を満たしている。
(3-2)請求項3についての訂正のまとめ
以上のとおり,請求項3についての訂正事項15は訂正要件を満たしているから,請求項3についての訂正を認める。
3 訂正請求についてのまとめ
以上のとおりであるから,請求項1についての訂正事項1~3,7,8に係る訂正,請求項2についての訂正事項9~14に係る訂正,及び請求項3についての訂正事項15に係る訂正を含む本件訂正を認める。
第3 本件特許発明
上記「第2 訂正請求について」のとおり,本件訂正を認めることから,本件特許の請求項3に係る発明は削除されたので,本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下それぞれ「本件特許発明1」及び「本件特許発明2」という。)は,それぞれ,平成28年12月5日提出の手続補正書(2)により補正された訂正請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
1 本件特許発明1
「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するとともに所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を上記ゲーム装置に装填してゲームシステムを作動させる方法であって,
上記記憶媒体は,少なくとも,所定のゲームプログラムおよび/またはデータと,所定のキーとを包含する第1の記憶媒体と,所定の標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて所定の拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含する第2の記憶媒体とが準備されており,
上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,ゲームキャラクタの増加および/またはゲームキャラクタのもつ機能の豊富化および/または場面の拡張および/または音響の豊富化を達成するためのゲームプログラムおよび/またはデータであり,
上記第2の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填されるとき,上記ゲーム装置が上記所定のキーを読み込んでいる場合には,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータと上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってゲーム装置を作動させ,上記所定のキーを読み込んでいない場合には,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってゲーム装置を作動させることを特徴とする,ゲームシステム作動方法。」
2 本件特許発明2
「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するとともに所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を上記ゲーム装置に装填してゲームシステムを作動させる方法であって,
上記記憶媒体は,少なくとも,所定のゲームプログラムおよび/またはデータと,所定のキーとを包含する第1の記憶媒体と,所定の標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて所定の拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含するとともに所定の制御プログラムを包含する第2の記憶媒体とが準備されており,
上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,ゲームキャラクタの増加および/またはゲームキャラクタのもつ機能の豊富化および/または場面の拡張および/または音響の豊富化を達成するためのゲームプログラムおよび/またはデータであり,
上記第2の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填され,かつ,上記所定のキーが読み込まれていないときのみに,この第2の記憶媒体中の上記制御プログラムは,上記ゲーム装置に他の記憶媒体を装填させるインストラクションを表示させ,このインストラクションにしたがって装填された他の記憶媒体が上記所定のキーを包含する上記第1の記憶媒体である場合には,上記第2の記憶媒体中の上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってゲーム装置を作動させ,他の記憶媒体が装填されない場合または装填された記憶媒体が上記所定のキーを包含する上記第1の記憶媒体でない場合には,上記第2の記憶媒体中の上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってゲーム装置を作動させることを特徴とする,ゲームシステム作動方法。」
第4 無効理由に関する当事者の主張及び証拠方法
1 請求人の主張
(1)請求の趣旨
特許第3350773号の特許を無効とする
審判請求費用は被請求人の負担とする
との審決を求める。
(2)請求の理由
ア 無効理由1
本件特許(特許第3350773号)の請求項1及び2に係る発明は,本件特許の出願前に日本国内において公然知られた発明又は公然実施された発明(以下,「公知発明」という。)(甲2ないし甲10,甲13及び甲14)であり,特許法第29条第1項第1号又は同第2号により特許を受けることができないものであるから,特許法第123条第1項第2号の規定に該当し,無効とすべきである。
また,仮にそうでないとしても,本件特許の請求項1及び2に係る発明は,公知発明,先行技術発明A,及び当業者に周知の技術に基づいて,本件特許の出願前に,当業者が容易に発明できたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,特許法第123条第1項第2号の規定に該当し,無効とすべきである。
イ 無効理由2
本件特許の請求項3に係る発明は,公知発明,先行技術発明A,及び当業者に周知の技術に基づいて,本件特許の出願前に,当業者が容易に発明できたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,特許法第123条第1項第2号の規定に該当し,無効とすべきである。
(3)証拠方法
甲第1号証:特許第3350773号公報
甲第2号証:「ゲームシステム」の構成及び表示画面ビデオ録画環境
甲第3号証の1:「魔洞戦紀 ディープダンジョン」のディスクの写真
甲第3号証の2:「魔洞戦紀 ディープダンジョン」の情報を示すウェブページ
甲第3号証の3:「勇士の紋章ディープダンジョンII」のディスクの写真
甲第3号証の4:「勇士の紋章ディープダンジョンII」の情報を示すウェブページ
甲第4号証の1:「勇士の紋章ディープダンジョンII」に付属する解説書
甲第4号証の2:勇士の紋章の攻略本「Perfect 攻略シリーズ1 勇士の紋章 ディープダンジョン 完全攻略法」
甲第5号証の1:ファミリーコンピュータの写真
甲第5号証の2:ファミリーコンピュータの取扱説明書(改訂版4)
甲第5号証の3:任天堂株式会社の「会社の沿革」のウェブページ
甲第6号証の1:ディスクシステムの写真
甲第6号証の2:ディスクシステムに関する任天堂株式会社のウェブページ
甲第7号証:「エキサイティングベースボールゲーム」のディスクの写真
甲第8号証の1:公知発明:作動その1
甲第8号証の2:公知発明:作動その2
甲第8号証の3:公知発明:作動その3
甲第8号証の4:公知発明:作動その4
甲第9号証:「脱テレビな2次元オタ雑記」のウェブページ
甲第10号証:「『FCのゲーム制覇しましょ』まとめ」のウェブページ
甲第11号証:特開平6-282980号公報
甲第12号証:特開平6-114162号公報
甲第13号証の1:勇士の紋章ディープダンジョンディスク2(VideoID:Q0404)(CD-R)
甲第13号証の2:勇士の紋章ディープダンジョンディスク2(VideoID:Q0606)(CD-R)
甲第13号証の3:勇士の紋章ディープダンジョンディスク2(VideoID:Q1212)(CD-R)
甲第13号証の4:魔洞戦紀ディープダンジョンディスク1X(VideoID:Q0101)(CD-R)
甲第13号証の5:魔洞戦紀ディープダンジョンディスク1Y(VideoID:Q0202)(CD-R)
甲第13号証の6:勇士の紋章ディープダンジョンディスク2(VideoID:R0111)(CD-R)
甲第14の1号証:勇士の紋章ディープダンジョンディスク2(VideoID:8004b)(CD-R)
甲第14の2号証:勇士の紋章ディープダンジョンディスク2(VideoID:8004b)(CD-R)
甲第15の1号証:「沙羅曼蛇」ROMのゲームプログラムを単独で作動させた沙羅曼蛇ゲームの動画
甲第15の2号証:「沙羅曼蛇」ROMに加えて「グラディウス2」ROMもROMスロットに装填した状態で「沙羅曼蛇」ROMのゲームプログラムを作動させた沙羅曼蛇ゲーム内容の動画
甲第16の1号証:MSXで動作する「沙羅曼蛇」(サラマンダ)ゲームの構成及びビデオ録画環境
甲第16の2号証:沙羅曼蛇(MSX版)サラマンダ
甲第16の3号証:GRADIUS 2 (MSX版)グラディウス2
甲第17の1号証:「沙羅曼蛇」単独のゲーム作動と,「沙羅曼蛇」及び「グラディウス2」とをスロットに装填た場合の作動
甲第17の2号証:報告書
甲第18の1号証:「MSX Magazine」1986年2月号
甲第18の2号証:「MSXマガジン」1988年8月号
甲第19の1号証:「Log in」1988年7月15日号
甲第19の2号証:「Log in」1989年4月7日号
甲第19の3の1号証:Wikipedia「信長の野望・武将風雲録」
甲第19の3の2号証:「信長の野望・武将風雲録」マニュアル
甲第20号証の1:「プロ野球ファミリースタジアム(MSX2)」Wikipedia記事
甲第20号証の2:「プロ野球がファミリースタジアムペナントレース」取扱説明書
甲第21号証の1:ゲームアーツウェブサイト「製品情報」
甲第21号証の2:ウェブサイト ぎゅわんぶらあ自己中心派2自称!強豪雀士編(ゲームアーツ)
甲第22号証:「TAIYO YUDEN 会社案内」
甲第23号証:ソノシートに関連するブログ記事
甲第24号証:ウィキペディア(ソノシート)
2 被請求人の主張
(1)答弁の趣旨
本件審判の請求は成り立たない
審判費用は請求人の負担とする
との審決を求める。
(2)証拠方法
乙第1号証:ASCII,株式会社アスキー,平成5年1月,第17巻,第1号,p348-349
乙第2号証:本件特許の出願経過における平成13年8月20日付け拒絶理由通知書
乙第3号証:本件特許の出願経過における平成13年10月29日付け意見書
乙第4号証の1:MSX版「沙羅曼陀」の商品パッケージ,コナミ株式会社,1987年
乙第4号証の2:MSX版「沙羅曼陀」の商品パッケージに同封された取扱解説書「USER’S MANUAL」,コナミ株式会社,1987年
乙第5号証:前田尋之著,「海外のゲーム&パソコンガイドブック」,株式会社オークラ出版,2015年5月25日,p.027,040
乙第6号証:山崎功著,「家庭用ゲーム機コンプリートガイド」,株式会社主婦の友インフォス情報社,2014年5月31日,p.080
乙第7号証:特開平6-205351号公報,平成6年7月22日公開
乙第8号証:国際公開第94/10685号,1994年5月11日公開
乙第9号証:「MSXのゲームタイトル一覧」(Wikipedia記事),[online],最終更新2015年9月15日,[平成28年2月2日検索],インターネット<URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/MSX%E3%81%AE%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%AB%E4%B8%80%E8%A6%A7>
第5 甲各号証に記載された事項
(1)甲第1号証
甲1ア:甲第1号証は,本件特許公報である。
(2)甲第2号証
甲2ア:甲第2号証の図1には,任天堂株式会社のファミリーコンピュータ(FC)10に,任天堂株式会社のディスクシステム20とテレビ30が接続され,ディスク40を用いる「ゲームシステム」の構成が示されている。
図2には,ゲームシステムの外観が示されている。
図3には,ファミリーコンピュータ10のVHF出力をテレビ30の裏面のVHF入力端子31に接続している様子が示されている。
図4には,ゲームシステムを構成するゲーム用ディスクの一部が示されている。ディスク1X及びディスク1Yは,「魔洞戦紀 ディープダンジョン」のディスク(以下,「魔洞戦紀DDI」という。)である。ディスク2は,「勇士の紋章 ディープダンジョンII」のディスク(以下,「勇士の紋章DDII」という。)である。
(下線は当審で付したものである。以下,同様。)
(3)甲第3号証の1
甲3の1ア:甲第3号証の1には,魔洞戦紀DDIの外観が示されている。
(4)甲第3号証の2
甲3の2ア:甲第3号証の2には,株式会社スクウェア・エニックスのホームページに,DDIの発売日が,1986年12月19日であることが示されている。
(5)甲第3号証の3
甲3の3ア:甲第3号証の3には,勇士の紋章DDIIの外観が示されている。
(6)甲第3号証の4
甲3の4ア:甲第3号証の4には,株式会社スクウェア・エニックスのホームページに,勇士の紋章DDIIの発売日が,1987年5月29日であることが示されている。
(7)甲第4号証の1
甲4の1ア:甲第4号証の1には,勇士の紋章DDIIに付属する解説書(1987年6月30日 第2刷 株式会社スクウェア発行)の写しが示されている。
甲4の1イ:14頁には,
「前作『魔洞戦紀ディープダンジョン』の勇剣士が『勇士の紋章』に復活するぞ! ただし,すでに3人分登録してあるときは,できないんだ。」
と記載されている。
甲4の1ウ:14頁~15頁には,
「(1)(当審注。原文は◆に白抜き数字。以下同様に,◆に白抜き数字はカッコ()で囲んで表記する。)『まどうせんきのゆうけんし』を選ぶ
まず,セレクト画面で『まどうせんきのゆうけんし』に矢印を合わせよう。そしてスタートボタンを押すんだ。
(2)ディスクをいれかえる
『まどうせんきのAメンをいれてください』と表示が出たら,『勇士の紋章』のディスクを抜き,『魔洞戦紀』のディスクのSIDE Aをセット。
(3)キャラクタを選ぶ
ディスクのロードが終わると,『魔洞戦紀』の登録画面が表示される。セレクトボタンでキャラクタを選び,スタートボタンを押そう。
(4)もう一度ディスクを入れかえる
右の表示が出たら,『魔洞戦紀』のディスクを抜いて,『勇士の紋章』のディスクのSIDE Aを入れよう。これで『魔洞戦紀』の勇剣士が,『勇士の紋章』で復活するのだ。
(5)よしスタート!!
キャラクタを移し終わると,再び『勇士の紋章』のセレクト画面が表示される。『ゲームをはじめる』を選ぶと,登録画面に魔洞戦紀の勇剣士の名前が出現。準備完了だ。
(6)レベル2から始められるんだ
さて,勇剣士の復活が終わったところで,その効果を見てみよう。転送した勇剣士のLEVELが十分に高ければ,そのキャラクタは『勇士の紋章』にLEVEL2の勇士として生まれ変われるんだ。
キミの勇剣士が,まだ十分経験を積んでいないと,残念ながらLEVEL1からのスタートとなってしまう。でも,魔洞戦紀を戦い抜いたキャラクタだから愛着もあるし,またいっしょに闘うのも楽しいよね!」
と記載されている。
甲4の1エ:19頁には,
「交易所には,武器・防具・道具を売る店がある。」
と記載されている。
甲4の1オ:21頁には,
「HP-MAX(ヒットポイント)
勇士の現在の体力と,体力の上限が表示される。」
と記載されている。
甲4の1カ:27頁には,
「道具 ダンジョン内は常に危険に満ちている。武器や防具だけでは対処しきれないことも多いんだ。そんなときぜひ役立てて欲しいのが道具だ。攻撃用の魔法が使える道具は一度手に入れれば何度でも使えるから便利だ。くさのつゆとしろきのこは使うたびに減ってしまうが,それぞれ9個まで持てるよ。
●くさのつゆ
まぼろしの薬草から作られたくさのつゆは,モンスターの攻撃で受けた傷をいやしてくれる。傷が深くなる前に使用しよう。20ゴールド。
●しろきのこ
毒消しの成分があり,ドールの街では古来より解毒剤として重宝されてきた。ダンジョン内には毒をもつモンスターがたくさんいるので,ぜひ用意しておきたい。50ゴールド。」
と記載されている。
甲4の1キ:48頁には,
「磁気フィルムにはふれない!
ディスクカードを見ると長方形の穴がある。そこから見える茶色の磁気フィルムに,ゲームのプログラムやセーブしたデータが記録されているんだ。」
と記載されている。
(8)甲第4号証の2
甲4の2ア:甲第4号証の2には,勇士の紋章の攻略本「Perfect 攻略シリーズ1 勇士の紋章 ディープダンジョン 完全攻略法」(1987年6月26日 第1刷 株式会社ビッグアップル発行)の写しが示されている。
甲4の2イ:9頁には,
「交易所には,武器,防具,道具の店があって,いろいろなアイテムがそろっている。ここで戦力アップしようぜ。」
と記載されている。
甲4の2ウ:14頁には,
「くさのつゆ HPを回復させてくれる。9個まで持てるのでいつも装備させておこう。20G。
しろきのこ 毒消しの効果がある。ぜひ用意しておきたい。9個まで持てる。50G。」
と記載されている。
甲4の2エ:14頁の表には,
「くさのつゆの買い値が20G,しろきのこの買い値が50G」
であることが記載されている。
甲4の2オ:18頁には,
「よみがえる魔洞戦記
前作『ディープダンジョン』をきわめた人には,うれしい情報だ。な~んと,前作で育てた勇剣士を『勇士の紋章』で復活させることができるんだ。ともに戦い抜いた愛着あるキャラと,また再びいっしょに闘えるなんて,うれしいではないか!!
◆十分に経験を積んだキャラならレベル2から
『魔洞戦紀』で大切に育てた勇剣士が,十分に経験を積み,レベルが高ければ,復活したキャラは,このゲームにレベル2の勇剣士として登場するんだ。これでつらくて長いレベル1での戦いから解放されるわけで,こりゃ朗報だ!!
◆なつかしの勇剣士を呼び出し,ともに戦おう
最初の画面が出たら,「まどうせんきのゆうけんし」に矢印を合わせスタートボタンを押す。『勇士の紋章』のディスクを抜き,『魔洞戦紀』を入れキャラを選ぼう。キャラが決まり,ディスクを『勇士の紋章』にかえると勇剣士の復活だ。」
と記載されている。
甲4の2カ:19頁には,
「◆ダメージや毒をあびてもすぐ回復できるように,『くさのつゆ』と『しろきのこ』は,いつでも3~4個は持っているように。」
と記載されている。
(9)甲第5号証の1
甲5の1ア:甲第5号証の1には,ファミリーコンピュータの外観が示されている。
(10)甲第5号証の2
甲5の2ア:甲第5号証の2には,ファミリーコンピュータの取扱説明書の写しが示されている。
(11)甲第5号証の3
甲5の3ア:甲第5号証の3には,任天堂株式会社のウェブページの会社概要に,ファミリーコンピュータの発売日が1983年であることが示されている。
(12)甲第6号証の1
甲6の1ア:甲第6号証の1には,ファミリーコンピュータに接続して作動するディスクシステムの外観が示されている。
(13)甲第6号証の2
甲6の2ア:甲第6号証の2の1/3ページには
「1986年,ディスクシステムが誕生
ファミリーコンピュータ(ファミコン)が誕生したのが1983年。日本中に一大ムーブメントを巻き起こし,ゲームが新たなエンターテインメントとして定着しつつあった1986年2月21日,その遊びを拡張するための周辺機器として『ファミリーコンピュータディスクシステム』が登場しました。当時ROMカセットしかなかったソフト媒体に,“クイックディスク”を基にしたディスクを起用。それまでのファミコンの概念に,新風を吹き込んだのでした。」
と記載されている。
(14)甲第7号証
甲7ア:甲第7号証には,「エキサイティングベースボール」のディスクの外観が示されている。
ラベルから,「KONAMI 1987」の文字が読み取れる。
(15)甲第8号証の1
甲8の1ア:甲第8号証の1には,VideoIDQ0404(甲第13号証の1)及びVideoIDQ0606(甲第13号証の2)の映像の主要な場面の静止画像が示されている。
画面1-1a:「勇士の紋章」のメニュー画面。
画面1-3a:キャラクタ名の入力画面。キャラクタの名前として,操作者が「はる」を入力している。
画面1-5a:キャラクタの選択画面。キャラクタ名「はる」の横に表示されているLEVELは「1」である。
画面1-6a:キャラクタ「はる」がレベル2に昇格した直後の持ち物の内容を表示する画面。アイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」は,それぞれ0個である。
画面1-7a:神殿で祈りを捧げた後のメッセージの表示画面。メッセージとして「あなたのたたかいが ぶじおわりますよう。あくまに わざわいを!」が表示されている。
画面1-8a:神殿で祈りを捧げた後におけるキャラクタ「はる」の持ち物を表示させた画面。アイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」の数は,それぞれ0個である。
画面1-1b:「勇士の紋章」のメニュー画面において,「まどうせんきのゆうけんし」を選択する場面。
画面1-2b:DDIの挿入を促す「まどうせんきのAメンをいれてください」とのメッセージが表示される画面。
画面1-4b:DDIの挿入後,操作者にキャラクタの選択を促すためのキャラクタリストの表示画面。
画面1-5b:キャラクタの選択画面。画面1-5bには,キャラクタ名「じゅんく」の横にLEVEL2が表示されている。
画面1-6b:キャラクタの持ち物を表示させる画面。キャラクタ「じゅんく」が持っているアイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」の数は,それぞれ0個であることが表示されている。
画面1-7b:神殿で祈りを捧げた後のメッセージの表示画面。「ゆうけんしのしそん じゅんくよ。がんばるのだぞ。」とのメッセージが表示されている。
画面1-8b:神殿で祈りを捧げた後に,キャラクタの持ち物を表示させる画面。キャラクタ「じゅんく」の持っているアイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」の数は,それぞれ1個であることが表示されている。
(16)甲第8号証の2
甲8の2ア:甲第8号証の2には,VideoIDQ1212(甲第13号証の3)の映像の主要な場面の静止画像が示されている。
画面2-1:「勇士の紋章」のメニュー画面。
画面2-2:DDIの挿入を促す「まどうせんきのAメンをいれてください」とのメッセージが表示される画面。
画面2-3:操作者にキャラクタの選択を促すためのキャラクタリストの表示画面。DDI(ディスク1Y)に格納されている2つのキャラクタ名が表示されている。
画面2-4:キャラクタの選択画面。キャラクタ名「らんぼう」の横にLEVEL1が表示されている。
画面2-5:キャラクタの持ち物を表示させる画面。キャラクタ「らんぼう」の持っているアイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」の数は,それぞれ0個であることが表示されている。
画面2-6:神殿で祈りを捧げた後のメッセージの表示画面。「あなたのたたかいが ぶじおわりますよう。あくまに わざわいを!」とのメッセージが表示されている。
画面2-7:神殿で祈りを捧げた後に,キャラクタの持ち物を表示させる画面。キャラクタ「らんぼう」の持っているアイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」の数は,それぞれ0個であることが表示されている。
(17)甲第8号証の3
甲8の3ア:甲第8号証の3には,VideoIDQ0101(甲第13号証の4)及びVideoIDQ0202(甲第13号証の5)の映像の主要な場面の静止画像が示されている。
画面3-1:キャラクタ「じゅんく」のLEVELが21であることが表示されている。
画面3-2:キャラクタ「まっくす」のLEVELが1であり,キャラクタ「らんぼう」のLEVELが7であることが表示されている。
(18)甲第8号証の4
甲8の4ア:甲第8号証の4には,VideoIDR0111(甲第13号証の6)の映像の主要な場面の静止画像が示されている。
画面4-1:「まどうせんきのAメンをいれてください」のメッセージが表示された時にベースボールゲームのディスクをディスクシステムに挿入する場面。
画面4-2:「DISK ERR 04」が表示された画面。
画面4-3:「DISK ERR 05」が表示された画面。
画面4-4:リセットボタンを押下する場面。
画面4-5:「勇士の紋章」が再起動する場面。
(19)甲第9号証
甲9ア:甲第9号証には,
「○データ引継ぎ特典
『勇士の紋章』には,前作『魔洞戦記ディープダンジョン』からのデータ引継ぎ特典があり,『魔洞戦記ディープダンジョン』でLv16以上のキャラを『勇士の紋章』に転送すると,Lv2からスタートできることに加えて,神殿で祈ることで回復アイテムをもらえるようになります。フトコロの厳しい序盤で,回復アイテムを無料でもらえるのはかなり嬉しいです(復活技を使う場合は,それほどでもなくなりますが...)。」
と記載されている。
(20)甲第10号証
甲10ア:甲第10号証には,
「勇士の紋章(DISK)
・・・
ディープダンジョン(DISK)の続編。
・・・
前作からのデータ転送が可能。
前作のLV16以上のキャラデータを転送するとLV2の状態からスタート出来る。」
と記載されている。
(21)甲第11号証
甲11ア:甲第11号証には,「【0002】【従来の技術】個人ユースのテレビゲーム機で最も一般的なものは,ゲーム・プログラムを蓄積したいわゆるROMカセットをゲーム機のスロットに挿入してプレーするものである。こうした一般的形態のほかに,最近は,ゲーム内容や音楽効果をより多彩にするため,ROMカセットに加えて,さらにCD-ROMをプログラムROMとして使用するCD-ROMゲーム機が登場している。」と記載されている。
甲11イ:甲第11号証には,「【0028】ゲーム回路基板7には前述したように,ゲーム用メイン回路が登載される。このメイン回路には,サブCPU703,メインCPU711,サウンドCPU721,これらCPUの為のワークRAM705及び713,サブCPU703とドライブ制御回路51間のCDインタフェース701,サブCPU703とメインCPU711間のCPUインタフェース709,メインCPU711とサウンドCPU721間のサウドインタフェース717,PCM音源回路707,ビデオ・ディスプレイ・プロセッサ715,FM音源回路723,ROMカセット用コネクタ71,並びにジョイスティックなどの操作用入力器のための入力インタフェース719などが含まれる。」と記載されている。
(22)甲第12号証
甲12ア:甲第12号証には,
「【請求項3】CD-ROM(コンパクト,デイスク,リード,オンリー,メモリー)ドライブとFDD(フロッピー,デイスク,ドライブ)とICカード(インテグレイト,サーキット)の3種類のいずれかの記憶装置で構成する事を特徴とする請求項1記載のテレビゲーム用の外部記憶装置。」
と記載されている。
甲12イ:甲第12号証には,
「【0001】
【産業上の利用分野】最近のテレビゲームのソフトはCD-ROMを媒体とするケースが増加している。そして,ゲームの途中結果をなんらかの記憶装置に保存している。例えば半導体メモリー等がある。」
と記載されている。
(23)甲第13号証の1
甲13の1ア:甲第13号証の1には,ゲームシステムの作動方法(勇士の紋章DDIIを単独で作動させたゲームの流れの一例)を録画した映像が記録されている。
甲第13号証の1から,以下の内容が読み取れる。
(23-1)「勇士の紋章」のメニュー画面(甲第8号証の1・画面1-1a)において,「なまえをとうろく」を選択すると,操作者が任意に定める「キャラクタ」の名前を登録することができる。
(23-2)キャラクタ名の入力画面(甲第8号証の1・画面1-3a)において,キャラクタの名前として,操作者が「はる」を入力し,メニュー画面に戻って,「ゲームをはじめる」を選択すると,キャラクタの選択画面(甲第8号証の1・画面1-5a)が表示される。
(23-3)キャラクタの選択画面(甲第8号証の1・画面1-5a)には,キャラクタ名の横にLEVELが表示されており,キャラクタ名「はる」のLEVELは「1」である。
(23-4)画面1-5aで,キャラクタ名「はる」を選択してゲームを進め,キャラクタ「はる」がレベル2に昇格した直後の持ち物の内容(甲第8号証の1・画面1-6a)を表示すると,アイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」は,それぞれ0個であることが示されている。
(23-5)神殿で祈りを捧げた後のメッセージの表示画面(甲第8号証の1・画面1-7a)には,メッセージとして「あなたのたたかいが ぶじおわりますよう。あくまに わざわいを!」が表示されている。
(23-6)神殿で祈りを捧げた後のキャラクタの持ち物を表示させた画面(甲第8号証の1・画面1-8a)には,神殿で祈りを捧げた後におけるキャラクタ「はる」の持ち物の内容が表示されており,アイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」の数は,変化せず,それぞれ0個であることが示されている。
甲13の1イ:甲第13号証の1から,以下の内容が読み取れる。
勇士の紋章DDIIをディスクシステム20に挿入すると,「PUSHSTART」の文字が表示され,これに応じてスタートボタンを押すと,「げーむをはじめる」「なまえをとうろく」「なまえをけす。」「まどうせんきのゆうけんし」の4つのメニュー項目が表示される。
(24)甲第13号証の2
甲13の2ア:甲第13号証の2には,ゲームシステムの作動方法(勇士の紋章DDII作動後にDDIを挿入した場合であって,DDIにおいてLEVEL21であるキャラクタ「じゅんく」を選択した場合のゲームシステムの流れ)を録画した映像が記録されている。
甲第13号証の2から,以下の内容が読み取れる。
(24-1)「勇士の紋章」のメニュー画面(甲第8号証の1・画面1-1b)において,「まどうせんきのゆうけんし」を選択すると,DDIの挿入を促す「まどうせんきのAメンをいれてください」とのメッセージが表示(甲第8号証の1・画面1-2b)され,ゲームシステムは,操作者にDDIの挿入を促す。
(24-2)DDI(ディスク1X)の挿入後,操作者にキャラクタの選択を促すためのキャラクタリストの表示画面(甲第8号証の1・画面1-4b)には,DDI(ディスク1X)に格納されている3つのキャラクタ名が表示される。
(24-3)この画面で,操作者が,キャラクタ「じゅんく」を選択すると,「ゆうしのもんしょうのAメンをいれてください」とのメッセージが表示され,DDI(ディスク1X)を抜いてDDIIを挿入し直し,メニュー画面に戻って,「ゲームをはじめる」を選択すると,キャラクタの選択画面(甲第8号証の1・画面1-5b)が表示される。
(24-4)この画面(甲第8号証の1・画面1-5b)では,先ほどDDI(ディスク1X)の挿入時に選択されたキャラクタ名「じゅんく」が表示されている。同画面には,キャラクタ名「じゅんく」の横にLEVEL2が表示されている。
(24-5)この画面(甲第8号証の1・画面1-5b)で,キャラクタ名「じゅんく」を選択することで,DDIIにおいてLEVEL2のキャラクタ「じゅんく」でゲームを始めることができる。
(24-6)キャラクタの持ち物を表示させる画面(甲第8号証の1・画面1-6b)で,キャラクタ「じゅんく」の持ち物の内容を表示すると,アイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」の数は,それぞれ0個であることが表示される。
(24-7)神殿で祈りを捧げた後のメッセージの表示画面(甲第8号証の1・画面1-7b)には,「ゆうけんしのしそん じゅんくよ。がんばるのだぞ。」とのメッセージが表示されている。
(24-8)神殿で祈りを捧げた後に,キャラクタの持ち物を表示させる画面(甲第8号証の1・画面1-8b)で,キャラクタ「じゅんく」の持ち物の内容を表示すると,アイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」の数は,1増加し,それぞれ1個であることが示されている。
甲13の2イ:甲第13号証の2から,以下の内容が読み取れる。
勇士の紋章DDIIをディスクシステム20に挿入すると,「PUSHSTART」の文字が表示され,これに応じてスタートボタンを押すと,「げーむをはじめる」「なまえをとうろく」「なまえをけす。」「まどうせんきのゆうけんし」の4つのメニュー項目が表示される。
(25)甲第13号証の3
甲13の3ア:甲第13号証の3には,ゲームシステムの作動方法(勇士の紋章DDIIの作動後にDDIを挿入した場合であって,DDIにおいてLEVEL7であるキャラクタ「らんぼう」を選択した場合のゲームシステムの作動の流れ)を録画した映像が記録されている。
甲第13号証の3から,以下の内容が読み取れる。
(25-1)「勇士の紋章」のメニュー画面(甲第8号証の2・画面2-1)において,「まどうせんきのゆうけんし」を選択すると,DDIの挿入を促す「まどうせんきのAメンをいれてください」とのメッセージが表示(甲第8号証の2・画面2-2)され,ゲームシステムは,操作者にDDIの挿入を促す。
(25-2)DDI(ディスク1Y)の挿入後,操作者にキャラクタの選択を促すためのキャラクタリストの表示画面(甲第8号証の2・画面2-3)には,DDI(ディスク1Y)に格納されている2つのキャラクタ名が表示される。
(25-3)この画面で,操作者が,キャラクタ「らんぼう」を選択すると,「ゆうしのもんしょうのAメンをいれてください」とのメッセージが表示され,DDIを抜いてDDIIを挿入し直し,メニュー画面に戻って,「ゲームをはじめる」を選択すると,キャラクタの選択画面(甲第8号証の2・画面2-4)が表示される。
(25-4)この画面(甲第8号証の2・画面2-4)では,先ほどDDI(ディスク1Y)の挿入時に選択されたキャラクタ名「らんぼう」が表示されている。同画面には,キャラクタ名「らんぼう」の横にLEVEL1が表示されている。
(25-5)この画面(甲第8号証の2・画面2-4)で,キャラクタ名「らんぼう」を選択することで,DDIIにおいてLEVEL1のキャラクタ「らんぼう」でゲームを始めることができる。
(25-6)キャラクタの持ち物を表示させる画面(甲第8号証の2・画面2-5)で,キャラクタ「らんぼう」の持ち物の内容を表示すると,アイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」の数は,それぞれ0個であることが表示される。
(25-7)神殿で祈りを捧げた後のメッセージの表示画面(甲第8号証の2・画面2-6)には,「あなたのたたかいが ぶじおわりますよう。あくまに わざわいを!」とのメッセージが表示されている。
(25-8)神殿で祈りを捧げた後に,キャラクタの持ち物を表示させる画面(甲第8号証の2・画面2-7)で,キャラクタ「らんぼう」の持ち物の内容を表示すると,この場合においては,神殿で祈ることによっても,アイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」の数は,それぞれ0個であり,増加しないことが示されている。
甲13の3イ:甲第13号証の3から,以下の内容が読み取れる。
勇士の紋章DDIIをディスクシステム20に挿入すると,「PUSHSTART」の文字が表示され,これに応じてスタートボタンを押すと,「げーむをはじめる」「なまえをとうろく」「なまえをけす。」「まどうせんきのゆうけんし」の4つのメニュー項目が表示される。
(26)甲第13号証の4
甲13の4ア:甲第13号証の4から,以下の内容が読み取れる。
魔洞戦紀DDI(ディスク1X)に保存されているキャラクタのレベルを表示する画面において,キャラクタ「じゅんく」のLEVELは21であることが示されている(甲第8号証の3・画面3-1)。
(27)甲第13号証の5
甲13の5ア:甲第13号証の5から,以下の内容が読み取れる。
魔洞戦紀DDI(ディスク1Y)に保存されているキャラクタのレベルを表示する画面において,キャラクタ「らんぼう」のLEVELは7であることが示されている(甲第8号証の3・画面3-2)。
(28)甲第13号証の6
甲13の6ア:甲第13号証の6には,ゲームシステムの作動方法(勇士の紋章DDIIの作動後,ベースボールゲームを挿入した場合のゲームシステムの流れ)を録画した映像が記録されている。
甲第13号証の6から,以下の内容が読み取れる。
(28-1)「まどうせんきのAメンをいれてください」のメッセージが表示された時にベースボールゲームのディスクをディスクシステムに挿入する(甲第8号証の4・画面4-1)と,「DISK ERR 04」が表示されたままとなる(甲第8号証の4・画面4-2)。
(28-2)その後,ベースボールゲームを取り出し,DDIIをゲームシステムに挿入すると,「DISK ERR 05」が表示されたままとなる(甲第8号証の4・画面4-3)。
(28-3)ゲームシステムが停止した状態となるため,リセットボタンを押下(甲第8号証の4・画面4-4)することにより,「勇士の紋章」が起動し,その後DDIIの読み込みが開始される。
(28-4)「勇士の紋章」が再起動し,正常動作する(甲第8号証の4・画面4-5)。
甲13の6イ:甲第13号証の6から,以下の内容が読み取れる。
勇士の紋章DDIIをディスクシステム20に挿入すると,「PUSHSTART」の文字が表示され,これに応じてスタートボタンを押すと,「げーむをはじめる」「なまえをとうろく」「なまえをけす。」「まどうせんきのゆうけんし」の4つのメニュー項目が表示される。
(29)甲第14の1号証
甲14の1ア:甲第14の1号証から,以下の内容が読み取れる。
レベルが2のキャラクタ(じゅんく)が神殿で祈りを捧げる毎に,回復アイテム(「しろきのこ」及び「くさのつゆ」)の保持数が増加する。
キャラクタ(じゅんく)は,DDIから転送されたキャラクタである。
(30)甲第14の2号証
甲14の2ア:甲第14の2号証から,以下の内容が読み取れる。
レベルが2のキャラクタ(はる)が神殿で祈りを捧げても,回復アイテム(「しろきのこ」及び「くさのつゆ」)の保持数は増加しない。
キャラクタ(はる)は,「DDII」単独でレベル1からゲームプログラムを作動させレベル2までアップさせたキャラクタである。
(31)甲第15の1号証
甲15の1ア:甲第15の1号証には,MSXに「沙羅曼蛇」ROMのみを装填した状態(以下,これを「1本差し」という。)でゲームをプレイした場合のゲーム画面を収録した動画が記録されている。
甲15の1イ:甲第15の1号証から,「OPERATION THREE」の次のステージは「OPERATION FOUR」であることが読み取れる。
(32)甲第15の2号証
甲15の2ア:甲第15の2号証には,「沙羅曼蛇」ROMに加えて「グラディウス2」ROMもROMスロットに装填した状態(以下,これを「2本差し」という。)で「沙羅曼蛇」ROMのゲームをプレイした場合のゲーム画面を収録した動画が記録されている。
甲15の2イ:甲第15の2号証から,「OPERATION THREE」の次のステージは「OPERATION X」であることが読み取れる。
(33)甲第16の1号証
甲16の1ア:甲第16の1号証の図1には,「沙羅曼蛇」ゲームの撮影環境が示されている。
図2には,MSXの外観(上面)が示されている。MSXの上面に,ROMスロット1とROMスロット2の2つのROMスロットが設けられていることが分かる。
図3には,MSXの下面が示され,「品名 パーソナルコンピュータ」,「品番 FS-4000」,及び「松下電器産業株式会社」の文字が読み取れる。
図4には,「沙羅曼蛇」のROMカセットが示されている。
図5には,「グラディウス2」のROMカセットが示されている。
(34)甲第16の2号証
甲16の2ア:甲第16の2号証(KONAMIのウェブサイト)には,沙羅曼蛇(MSX版)のゲームの内容が示されている。
甲16の2イ:甲第16の2号証には,
「MSXの本体スロット2にグラディウス2のカートリッジを挿すことで永遠のクリスタルが出現して,これを回収することで真のエンディングが見られたりといった謎解き要素などもあります」
と記載されている。
(35)甲第16の3号証
甲16の3ア:甲第16の3号証(KONAMIのウェブサイト)には,GRADIUS2(MSX版)のゲームの内容が示されている。
(36)甲第17の1号証
甲17の1ア:甲第17の1号証には,「沙羅曼蛇」の1本差しでゲームをプレイした場合のゲーム画面を収録した動画(甲第15の1号証)の静止画キャプチャ画像と,「沙羅曼蛇」と「グラディウス2」の2本差しで「沙羅曼蛇」のゲームをプレイした場合のゲーム画面を収録した動画(甲第15の2号証)の静止画キャプチャ画像との比較が示されている。
甲17の1イ:図1aには,1本差しの場合のゲーム初期画面が,図1bには,2本差しの場合のゲーム初期画面がそれぞれ示され,両者が同じ画面であることが示されている。
甲17の1ウ:図2aには,1本差しの場合の「OPERATION THREE」のタイトル画面が,図2bには,2本差しの場合の「OPERATION THREE」のタイトル画面がそれぞれ示され,両者が同じ画面であることが示されている。
甲17の1エ:図3aには,1本差しの場合の「OPERATION THREE」のステージ画像が,図3bには,2本差しの場合の「OPERATION THREE」のステージ画像がそれぞれ示され,両者が同じ画面であることが示されている。
甲17の1オ:図4aには,1本差しの場合の「OPERATION FOUR」のタイトル画面が,図4bには,2本差しの場合の「OPERATION X」のタイトル画面がそれぞれ示され,両者が異なる画面であることが示されている。
甲17の1カ:図5aには,1本差しの場合の「OPERATION FOUR」のステージ画像1が,図5bには,2本差しの場合の「OPERATION X」のステージ画像1がそれぞれ示され,両者が異なる画面であることが示されている。
甲17の1キ:図6aには,1本差しの場合の「OPERATION FOUR」のステージ画像2が,図6bには,2本差しの場合の「OPERATION X」のステージ画像2がそれぞれ示され,両者が異なる画面であることが示されている。
(37)甲第17の2号証
甲17の2ア:甲第17の2号証の報告書には,1本差しの場合には,ステージ3「OPERATION THREE」の後にステージ4「OPERATION FOUR」となるが,2本差しの場合には,ステージ3「OPERATION THREE」の後にステージX「OPERATION X」となることを確認したことが記載されている。
甲17の2イ:甲第17の2号証の報告書には,2本差しの場合には,1本差しの場合と比較して,ステージX「OPERATION X」の場面や真のエンディングの場面が拡張されていることを確認したことが記載されている。
(38)甲第18の1号証
甲18の1ア:甲第18の1号証(1986年2月号のMSX MAGAZINE)には,「’85MSX of THE YEAR 決定!」のタイトルと「ランキングの1位がナショナルFS-4000であること」が示されている。
(39)甲第18の2号証
甲18の2ア:甲第18の2号証(1988年8月号のMSXマガジン)には,「1988年5月12日から6月9日まで集計したMSX SOFT TOP30において,14位に沙羅曼蛇が,20位にグラディウス2がランキングしていること」が記載されている。
(40)甲第19の1号証
甲19の1ア:甲第19の1号証(1988年7月15日号のLog in)には,ゲームソフト「ソーサリアン」の宣伝広告において,「ソーサリアン」に複数の「追加シナリオ」を組み合わせることで,複数のシナリオのゲームを楽しむことができることが記載されている。
(41)甲第19の2号証
甲19の2ア:甲第19の2号証(1989年4月7日号のLog in)には,ゲームソフト「太平洋の嵐DX」に組み合わせて用いられるシナリオ集「バンディッツ」について記載されている。
(42)甲第19の3の1号証
甲19の3の1ア:甲第19の3の1号証(Wikipedia「信長の野望・武将風雲録」)には,「信長の野望・武将風雲録」が,1990年12月に発売されたことが記載されている。
(43)甲第19の3の2号証
甲19の3の2ア:甲第19の3の2号証(「信長の野望・武将風雲録」のマニュアル)には,ゲームソフト「信長の野望・武将風雲録」では,CD-ROMに収録した音楽が,ゲームの場面に連動して演奏されることが記載されている。
(44)甲第20号証の1
甲20の1ア:甲第20号証の1(Wikipedia「プロ野球ファミリースタジアム(MSX2)」)には,「ゲームソフト『プロ野球ファミリースタジアムホームランコンテスト』の3.5インチFDが1989年4月29日に発売されたこと」,及び「ゲームソフト『プロ野球ファミリースタジアムペナントレース』のROMカートリッジが1989年11月21日に発売されたこと」が記載されている。
(45)甲第20号証の2
甲20の2ア:甲第20号証の2(「プロ野球がファミリースタジアムペナントレース」取扱説明書)の14頁には,
「すでに,発売中の当社MSX2/MSX2+用ソフト『プロ野球ファミリースタジアム~ホームランコンテスト~』(ディスク版,9,200円)のディスクを,ROMカートリッジといっしょに本体にセットし,電源を入れると,代打が,通常の4人から,6人に増えます。超強力な,2人の助っ人は,攻撃力をさらに高めます。」
と記載されている。
(46)甲第21号証の1
甲21の1ア:甲第21号証の1(ゲームアーツウェブサイト「製品情報」)には,ゲームソフト「ぎゅわんぶらあ自己中心派2 自称!強豪雀士編」の製品情報として,「『ぎゅわんぶらあ自己中心派』と2枚同時に使用することにより,合計24人のキャラクターと対戦できます。」と記載されている。
(47)甲第21号証の2
甲21の2ア:甲第21号証の2(ゲームソフト「ぎゅわんぶらあ自己中心派2自称!強豪雀士編(ゲームアーツ)」を評価したウェブサイト)には,「人気麻雀ゲームシリーズの続編です。新メンバーは,全16人で,MSXの二つのスロットに前作と同時に挿すことによって双方のメンバーを含めた対戦が可能となっているのが最大の特徴。」と記載されている。
第6 無効理由についての当審の判断
1 無効理由1について
(1)ファミコンゲームシステム及び当該ファミコンゲームシステムを作動させる方法が本件特許の出願前に公然知られていたかの検討
甲第2号証の図1には,任天堂株式会社のファミリーコンピュータ10に,任天堂株式会社のディスクシステム20とテレビ30が接続され,ディスク40を用いるゲームシステム(以下,「ファミコンゲームシステム」という。)が示されている。
また,甲第2号証の図2には,ファミコンゲームシステムの外観が示されている。
上記甲5の3アより,ファミコンゲームシステムのうち,ファミリーコンピュータ10は,その発売日が1983年であり,上記甲6の2アより,ディスクシステム20は,その発売日が1986年であるから,いずれも,本件特許の出願日である平成6年12月9日(1994年12月9日)より前に公然知られていたものである。
また,ファミコンゲームシステムは,ファミリーコンピュータ10のVHF出力をテレビ30の裏面のVHF入力端子31に接続している(甲第2号証の図3)ところ,VHF信号を入力して映像を表示する,いわゆるアナログテレビが本件特許の出願前に公然知られていたことは明らかである。
また,上記甲3の2アより,本件に関連して用いられるゲームディスクについては,魔洞戦紀DDIの発売日が,1986年12月19日であり,上記甲3の4アより,勇士の紋章DDIIの発売日が,1987年5月29日であり,上記甲7アより,「エキサイティングベースボール」のディスクは,1987年に販売されたものと認められるから,いずれも,本件特許の出願日である平成6年12月9日(1994年12月9日)より前に公然知られていたものである。
以上のとおり,本件に関連してファミコンゲームシステムにおいて使用されるすべての構成は,本件特許の出願前に,日本国内又は外国において販売等されており,公然知られていたものであるから,これらの構成を用いてディスクに格納されたゲームプログラムを作動させる,甲第2号証に示されたファミコンゲームシステムが,本件特許の出願前に公然知られていたことは明らかである。
そして,ファミコンゲームシステムが,本件特許の出願前に公然知られていたシステムであることから,ファミコンゲームシステムを,本件特許の出願前に公然知られていたゲームプログラムを用いて作動させる方法もまた,本件特許の出願前に公然知られていた方法であるということができる。
(2)甲各号証の検討
ア 公知発明1
a 上記甲2アの「甲第2号証の図1には,任天堂株式会社のファミリーコンピュータ(FC)10に,任天堂株式会社のディスクシステム20とテレビ30が接続され,ディスク40を用いる『ゲームシステム』の構成が示されている。」旨の記載と,
上記甲13の2アの「『勇士の紋章』のメニュー画面において,『まどうせんきのゆうけんし』を選択すると,DDIの挿入を促す『まどうせんきのAメンをいれてください』とのメッセージが表示され,ゲームシステムは,操作者にDDIの挿入を促す。・・・この画面で,操作者が,キャラクタ『じゅんく』を選択すると,『ゆうしのもんしょうのAメンをいれてください』とのメッセージが表示され,DDI(ディスク1X)を抜いてDDIIを挿入し直し,メニュー画面に戻って,『ゲームをはじめる』を選択すると,キャラクタの選択画面が表示される。」旨の記載と,
上記甲4の1キの「そこから見える茶色の磁気フィルムに,ゲームのプログラムやセーブしたデータが記録されている」旨の記載と,
請求人,被請求人の主張を総合勘案すると,
甲第2号証,甲第4号証の1,及び甲第13号証の2から,
「ファミリーコンピュータとディスクシステムとテレビとから構成され,ディスクを用いてゲームを行うファミコンゲームシステムにおいて,セーブデータなどを記憶可能で,ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するファミコンゲームシステムの作動中に入れ換え可能なディスクをディスクシステムに挿入して,ファミコンゲームシステムを作動させる方法」を認定することができる。
b
b-1 ファミコンゲームシステムにおいて,魔洞戦紀DDIが“魔洞戦紀のゲームプログラムおよび/またはデータ”を“包含”していることは自明であることと,
上記甲13の4アの「魔洞戦紀DDI(ディスク1X)に保存されているキャラクタのレベルを表示する画面において,キャラクタ『じゅんく』のLEVELは21であることが示されている」旨の記載と,
請求人,被請求人の主張を総合勘案すると,
ファミコンゲームシステムの「ディスク」は,「魔洞戦紀のゲームプログラムおよび/またはデータと,魔洞戦紀にセーブされたキャラクタのレベルが21であることを示す情報とを包含する魔洞戦紀DDI」が「準備されて」いることを認定することができる。
b-2
(a)上記甲8の1ア及び甲13の1アより,勇士の紋章のゲームプログラムには,キャラクタの名前を登録する機能があり,登録したキャラクタによってゲームを進行し,レベルが2となった場合に,神殿で祈ると「あなたのたたかいが ぶじおわりますよう。あくまに わざわいを!」とのメッセージが表示され,アイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」は増えないという動作機能があることを読み取ることができる。
上記甲8の1ア,甲8の3ア,甲13の2ア,及び甲13の4アより,勇士の紋章のゲームプログラムには,魔洞戦紀DDIからキャラクタの転送を受け入れる機能があり,魔洞戦紀DDIから転送されたキャラクタの魔洞戦紀におけるレベルが21であるときには,そのキャラクタの勇士の紋章におけるレベルが最初から2となり,神殿で祈ると「ゆうけんしのしそん じゅんくよ。がんばるのだぞ。」とのメッセージが表示され,アイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」が1つ増えるという動作機能があることを読み取ることができる。
上記甲8の2ア,甲8の3ア,甲13の3ア,及び甲13の5アより,勇士の紋章のゲームプログラムには,魔洞戦紀DDIから転送されたキャラクタの魔洞戦紀におけるレベルが7であるときには,そのキャラクタの勇士の紋章におけるレベルは1となり,この場合,神殿で祈ると「あなたのたたかいが ぶじおわりますよう。あくまに わざわいを!」とのメッセージが表示され,アイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」は増えないという動作機能があることを読み取ることができる。
上記甲14の1ア及び甲14の2アより,勇士の紋章のゲームプログラムには,同じ「レベル2のキャラクタ」が神殿で祈りを捧げたときでも,当該キャラクタが,魔洞戦紀DDIから転送されたキャラクタである場合には,アイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」を増加させる一方,勇士の紋章において名前を登録されたキャラクタである場合には,アイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」を増加させないという機能があることを読み取ることができる。
以上のことから,勇士の紋章のゲームプログラムには,魔洞戦紀DDIからレベルが21のキャラクタが転送された場合に実行されるゲーム機能部分,すなわち,上記甲13の2アの「キャラクタの勇士の紋章におけるレベルが最初から2となり,神殿で祈ると『ゆうけんしのしそん じゅんくよ。がんばるのだぞ。』とのメッセージが表示され,アイテム『くさのつゆ』及び『しろきのこ』が1つ増える」という動作機能を実行するゲーム機能部分(以下,「ゲーム機能部分1」という。)と,それ以外のゲーム機能部分(以下,「ゲーム機能部分2」という。)とがあることが理解される。
ここで,上記甲4の1ウの「転送した勇剣士のLEVELが十分に高ければ,そのキャラクタは『勇士の紋章』にLEVEL2の勇士として生まれ変われる」旨の記載と,
上記甲4の2オの「『魔洞戦紀』で大切に育てた勇剣士が,十分に経験を積み,レベルが高ければ,復活したキャラは,このゲームにレベル2の勇剣士として登場する」旨の記載と,
上記甲9アの「『魔洞戦記ディープダンジョン』でLv16以上のキャラを『勇士の紋章』に転送すると,Lv2からスタートできることに加えて,神殿で祈ることで回復アイテムをもらえるようにな」る旨の記載と,
上記甲10アの「前作のLV16以上のキャラデータを転送するとLV2の状態からスタート出来る」旨の記載から,
魔洞戦紀DDIから転送されたキャラクタのレベルが16以上である場合には,上記ゲーム機能部分1が実行され,転送されたキャラクタのレベルが16未満である場合には,上記ゲーム機能部分1は実行されないものと認められる。
そして,上記ゲーム機能部分1を実行させるためには,ユーザが魔洞戦紀のDDIを持っており,かつ,魔洞戦紀におけるキャラクタのレベルを16以上に高めておくことが条件であり,そのような条件を満たした場合にのみ実行されるゲーム機能部分1は,そのような条件を満たさなくても実行できるゲーム機能部分2に対して,“拡張”されたゲーム機能部分(以下,「拡張ゲーム機能部分」という。)であるということができ,また,これに対する上記ゲーム機能部分2は,“標準的な”ゲーム機能部分(以下,「標準ゲーム機能部分」という。)であるということができる。
そして,このような標準ゲーム機能部分や拡張ゲーム機能部分を実現するためには,そのためのプログラムやデータが必要であることは自明のことである。
また,上記標準ゲーム機能部分と拡張ゲーム機能部分とはその動作内容が異なるものであるから,上記拡張ゲーム機能部分を実現する“拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ”と,上記標準ゲーム機能部分を実現する“標準ゲームプログラムおよび/またはデータ”とは“異なる”ものである。
(b)なお,被請求人は,平成27年7月10日提出の答弁書の「(2)公知発明の認定の誤り」の「ア 公知発明1」の「(ア)構成b-2について」(第8~9頁)において「「公知発明1において,キャラクタのレベルの値が1から2になることは,通常のゲーム進行である「標準ゲームプログラムおよびデータ」によっても実現されることであり,「DDI」からレベルの値が16以上であるキャラクタ(じゅんく)を転送した場合には,このキャラクタのレベルの値を1から2に「置き換えて」スタートできるようにしただけのことにすぎないから,キャラクタがレベル2からスタートできるようにすることは単なる置き換えであってゲーム内容を拡張するものではない。また,公知発明1において,回復アイテム(「しろきのこ」及び「くさのつゆ」)の数が0から1になることは,通常のゲーム進行である「標準ゲームプログラムおよびデータ」によっても実現されるものであり,「DDI」からレベルの値が16以上であるキャラクタ(じゅんく)を転送した場合には,回復アイテムの数を0から1に「置き換えて」ゲームを進行できるようにしただけのことにすぎないから,神殿で祈ることで回復アイテム(「しろきのこ」及び「くさのつゆ」)が取得できるようにすることは単なる置き換えであってゲーム内容を拡張するものではない。」旨を主張している。
また,同答弁書の「(イ)構成cについて」(第9~10頁),「(ウ)構成d,構成d-1,及び構成d-2について」(第10~11頁),「イ 公知発明2」の「(イ)構成g-2について」(第11~12頁),「(ウ)構成hについて」(第12頁),「(エ)構成i,構成i-1及び構成i-2について」(第12~14頁),平成27年10月16日提出の答弁書の「6.3 公知発明の認定の誤りについて」(第6~19頁),平成28年1月8日提出の口頭審理陳述要領書の「(2)『2.進歩性に関する合議体の暫定的な見解について』『(1)訂正が認められない場合』に対して」の「ア 本件発明1について」の「(ア)構成B-2について」(第8~11頁),同「(ウ)構成D-1について」(第12~13頁),「イ 本件発明2について」の「(ウ)構成I-1について」(第13~14頁),同「(エ)構成I-2について」(第14~15頁)においても同趣旨の主張をしている。
確かに,公知発明は,“キャラクタのレベルの値を1から2に「置き換えて」スタートできるようにしただけ”,或いは“回復アイテムの数を0から1に「置き換えて」ゲームを進行できるようにしただけ”と考えられなくもないが,他方で,そのように「置き換える」という新たな動作を取り入れたという点では,拡張動作とみることもできないわけではない。
そして,仮に,公知発明が,メッセージやレベルの置き換えを行うものであるとした場合でも,当該置き換えを行うためには,そのようにするために,何らかの「置換のためのプログラム」と「置換のためのデータ」が必要であることは明らかであり(この点は,被請求人も平成27年7月10日提出の答弁書の「(2)公知発明の認定の誤り」の「ア 公知発明1」の「(ア)構成b-2について」(第8~9頁)において認めているところである。),例えば,DDIから転送されるキャラクタのレベルが16以上である場合に,「置換のためのプログラム」に条件分岐して「置換のためのデータ」と置き換える処理を行うようなことも想定されるところ,この「置換のためのプログラム」によって,置換前のデータを「置換のためのデータ」に置き換えることで,ゲームの内容は実質的に「拡張」されるものとみることもできることからすれば,この「置換のためのプログラム」と「置換のためのデータ」は,少なくとも,文言上「拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ」の概念に包含されるものと言わざるを得ない。
してみれば,被請求人の主張は,失当であり,これを採用することはできない。
また,被請求人は,平成28年7月28日提出の上申書の「5.2 本件予告審決における公知発明の認定の誤りについて」の「(1)公知発明1の認定の誤り」の「ア b-2に対して」(第4~5頁)において,
「しかしながら,勇士の紋章のゲームでは,本件予告審決でいう“拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ”が実行される場合,すなわち,「キャラクタの勇士の絞章におけるレベルが最初から2となり,神殿で祈ると『ゆうけんしのしそん じゅんくよ。がんばるのだぞ。』とのメッセージが表示され,アイテム『くさのつゆ』及び『しろきのこ』が1つ増えるという動作機能」を実行する場合には,“標準ゲームプログラムおよび/またはデータで実行される,キャラクタの勇士の絞章におけるレベルが1からのスタート及び「登録したキャラクタによってゲームを進行し,レベルが2となった場合に,神殿で祈ると『あなたのたたかいが ぶじおわりますよう。あくまに わざわいを!』とのメッセージが表示され,アイテム『くさのつゆ』及び『しろきのこ』は増えないという動作機能」は実行されることはない。すなわち,本件予告審決でいう“拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ”は,“標準ゲームプログラムおよび/またはデータ”が置き換えられたものであるから,“標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて拡張ゲーム機能部分を実行するものではなく,“置換ゲームプログラムおよび/またはデータ”によって置き換えられた“標準ゲームプログラムおよび/またはデータ”である。」
と主張している。
しかしながら,公知発明において,標準ゲームプログラムおよび/またはデータとは,勇士の紋章の基本的なゲーム機能部分である標準ゲーム機能部分を実現するプログラムおよび/またはデータであるから,その多くの部分は,拡張ゲームプログラムおよび/またはデータが,実行されるか否かにかかわらず実行されるものであり,仮に,拡張ゲームプログラムおよび/またはデータが実行されるときに標準ゲームプログラムおよび/またはデータの一部が実行されないとしても,拡張ゲームプログラムおよび/またはデータが,標準ゲームプログラムおよび/またはデータに“加えて”実行されるものであることに変わりはないから,被請求人の上記主張は採用することができない。
(c)以上の検討から,ファミコンゲームシステムの「ディスク」は,「標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,魔洞戦紀DDIから転送されたキャラクタの魔洞戦紀におけるレベルが16以上であるときには,そのキャラクタの勇士の紋章におけるレベルが最初から2となり,神殿で祈ると『ゆうけんしのしそん じゅんくよ。がんばるのだぞ。』とのメッセージが表示され,アイテム『くさのつゆ』及び『しろきのこ』が1つ増えるという動作機能を実行する拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含する勇士の紋章DDII」が「準備されて」いることを認定することができる。
c 上記b-2で検討した,“キャラクタの勇士の紋章におけるレベルが最初から2とな”ることは,“キャラクタのレベルの増加”に他ならず,“アイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」が1つ増える”ことは“キャラクタのためのアイテムの増加”に他ならない。
してみれば,「拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,標準ゲームプログラムおよび/またはデータに対して,キャラクタのレベルの増加,またはキャラクタのためのアイテムの増加を達成するように形成されたものであ」るといえる。
d 上記甲13の2アの「(24-3)この画面で,操作者が,キャラクタ『じゅんく』を選択すると,『ゆうしのもんしょうのAメンをいれてください』とのメッセージが表示され,DDI(ディスク1X)を抜いてDDIIを挿入し直」す旨の記載と,
上記甲13の3アの「(25-3)この画面で,操作者が,キャラクタ『らんぼう』を選択すると,『ゆうしのもんしょうのAメンをいれてください』とのメッセージが表示され,DDIを抜いてDDIIを挿入し直」す旨の記載からすると,
上記甲第13号証の2における(24-4)~(24-8)の動作,及び甲第13号証の3の(25-4)~(25-8)の動作は,「勇士の紋章DDIIがディスクシステムに挿入されるとき」の動作であるということができる。
d-1 上記甲13の2アの動作の記載から,勇士の紋章のゲームを実行する際に,魔洞戦紀DDI(ディスク1X)から,“キャラクタのレベルが21であることを示す情報”が“ファミリーコンピュータ”に“読み込まれていると”,“拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ”が実行されるものである。
ここで,「キャラクタのレベルが21であることを示す情報」とは,いいかえると,「キャラクタのレベルが16以上であることを示す情報」である。
また,上記b-2で検討したように,拡張ゲーム機能部分と標準ゲーム機能部分とからなる勇士の紋章のゲームにおいて,拡張ゲーム機能部分を実現するための“拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ”が実行される場合であっても,勇士の紋章の基本的なゲーム機能部分である標準ゲーム機能部分が実行されなくなるというわけではない。
してみれば,「ファミリーコンピュータが,魔洞戦紀DDIから,キャラクタのレベルが21,すなわち16以上であることを示す情報を読み込んでいる場合には,標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータと拡張ゲーム機能部分を実行する拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってファミリーコンピュータを作動させ」ているということができる。
d-2 上記甲13の1アの動作では,魔洞戦紀DDIからのキャラクタの転送が行われておらず,上記甲13の3アの動作では,魔洞戦紀DDIからのキャラクタの転送は行われているものの,転送されたキャラクタの魔洞戦紀におけるレベルが7(16未満)であるから,いずれの場合も,“ファミリーコンピュータ”は,DDIから,“キャラクタのレベルが16以上であることを示す情報”を“読み込んでいない”ことになる。
そして,このときは,上記b-2で検討したように,“標準ゲーム機能部分”を実行する“標準ゲームプログラムおよび/またはデータ”は実行されるものの,“拡張ゲーム機能部分”を実行する“拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ”は実行されない。
してみれば,「ファミリーコンピュータが,魔洞戦紀DDIから,キャラクタのレベルが16以上であることを示す情報を読み込んでいない場合には,標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってファミリーコンピュータを作動させ」ているということができる。
以上の検討から,甲第2号証~甲第10号証,甲第13号証の1~甲第14の2号証より以下の発明(以下,「公知発明1」という。)を認定することができる。なお,各分説を表す記号は,審判請求書において使用された記号を用いた。
「 a ファミリーコンピュータとディスクシステムとテレビとから構成され,ディスクを用いてゲームを行うファミコンゲームシステムにおいて,セーブデータなどを記憶可能で,ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するファミコンゲームシステムの作動中に入れ換え可能なディスクをディスクシステムに挿入して,ファミコンゲームシステムを作動させる方法であって,
b 上記ディスクは,
b-1 魔洞戦紀のゲームプログラムおよび/またはデータと,魔洞戦紀にセーブされたキャラクタのレベルが21であることを示す情報とを包含する魔洞戦紀DDIと,
b-2 標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,魔洞戦紀DDIから転送されたキャラクタの魔洞戦紀におけるレベルが16以上であるときには,そのキャラクタの勇士の紋章におけるレベルが最初から2となり,神殿で祈ると『ゆうけんしのしそん じゅんくよ。がんばるのだぞ。』とのメッセージが表示され,アイテム『くさのつゆ』及び『しろきのこ』が1つ増えるという動作機能を実行する拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含する勇士の紋章DDIIとが準備されており,
c 拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,標準ゲームプログラムおよび/またはデータに対して,キャラクタのレベルの増加,またはキャラクタのためのアイテムの増加を達成するように形成されたものであり,
d 勇士の紋章DDIIがディスクシステムに挿入されるとき,
d-1 ファミリーコンピュータが,魔洞戦紀DDIから,キャラクタのレベルが21,すなわち16以上であることを示す情報を読み込んでいる場合には,標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータと拡張ゲーム機能部分を実行する拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってファミリーコンピュータを作動させ,
d-2 ファミリーコンピュータが,魔洞戦紀DDIから,キャラクタのレベルが16以上であることを示す情報を読み込んでいない場合には,標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってファミリーコンピュータを作動させる,
e ファミコンゲームシステム作動方法。」
イ 公知発明2
f 上記「ア 公知発明1」の「a」の検討から,ファミコンゲームシステムの作動方法は,「ファミリーコンピュータとディスクシステムとテレビとから構成され,ディスクを用いてゲームを行うファミコンゲームシステムにおいて,セーブデータなどを記憶可能で,ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するファミコンゲームシステムの作動中に入れ換え可能なディスクをディスクシステムに挿入して,ファミコンゲームシステムを作動させる方法」であるといえる。
g
g-1 上記「ア 公知発明1」の「b-1」の検討から,ファミコンゲームシステムの「ディスク」は,「魔洞戦紀のゲームプログラムおよび/またはデータと,魔洞戦紀にセーブされたキャラクタのレベルが21であることを示す情報とを包含する魔洞戦紀DDI」が「準備されて」いるということができる。
g-2 上記甲13の1イの「勇士の紋章DDIIをディスクシステム20に挿入すると,『PUSHSTART』の文字が表示され,これに応じてスタートボタンを押すと,『げーむをはじめる』『なまえをとうろく』『なまえをけす。』『まどうせんきのゆうけんし』の4つのメニュー項目が表示される」旨の記載からみて,“勇士の紋章DDII”が,メニュー項目を表示制御するための“メニュー制御プログラム”を“包含”していることは明らかである。
また,上記甲4の1イの「前作『魔洞戦紀ディープダンジョン』の勇剣士が『勇士の紋章』に復活するぞ! ただし,すでに3人分登録してあるときは,できないんだ。」との記載から,勇士の紋章で登録できるキャラクタの数は3であり,“魔洞戦紀DDI”からは,最大で“3人まで”,“キャラクタ”を“転送”できるものと認められる。
上記の検討と,上記「ア 公知発明1」の「b-2」の検討から,ファミコンゲームシステムの「ディスク」は,「標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,魔洞戦紀DDIから転送されたキャラクタの魔洞戦紀におけるレベルが16以上であるときには,そのキャラクタの勇士の紋章におけるレベルが最初から2となり,神殿で祈ると『ゆうけんしのしそん じゅんくよ。がんばるのだぞ。』とのメッセージが表示され,アイテム『くさのつゆ』及び『しろきのこ』が1つ増えるという動作機能を実行する拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含するとともにメニュー制御プログラムを包含する勇士の紋章DDII」が「準備されており」,「ここで,魔洞戦紀DDIからは,最大で3人まで,キャラクタを転送できるものとなって」いるということができる。
h 上記「ア 公知発明1」の「c」の検討から,「拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,標準ゲームプログラムおよび/またはデータに対して,キャラクタのレベルの増加,またはキャラクタのためのアイテムの増加を達成するように形成されたものであ」るといえる。
i 上記甲13の1イ,甲13の2イ,甲13の3イ及び甲13の6イの「勇士の紋章DDIIをディスクシステム20に挿入すると,『PUSHSTART』の文字が表示され,これに応じてスタートボタンを押すと,『げーむをはじめる』『なまえをとうろく』『なまえをけす。』『まどうせんきのゆうけんし』の4つのメニュー項目が表示される」旨の記載から,上記甲13の1ア,甲13の2ア,甲13の3ア及び甲13の6アの動作は,“勇士の紋章DDII”が“ディスクシステム”に“挿入されるとき”の動作であるということができる。
また,上記「g-2」で検討したように,“勇士の紋章DDII中”には,メニュー項目を表示制御するための“メニュー制御プログラム”が包含されており,上記4つのメニュー項目が,この“勇士の紋章DDII中のメニュー制御プログラム”によって“表示”されることは明らかである。
また,上記“メニュー項目”は,“テレビの画面”に“表示”されているものである。
上記甲4の1ウの「まず,セレクト画面で『まどうせんきのゆうけんし』に矢印を合わせよう。そしてスタートボタンを押すんだ。・・・『まどうせんきのAメンをいれてください』と表示が出たら,『勇士の紋章』のディスクを抜き,『魔洞戦紀』のディスクのSIDE Aをセット。」との記載,及び
上記甲13の2アの「『勇士の紋章』のメニュー画面において,『まどうせんきのゆうけんし』を選択すると,DDIの挿入を促す『まどうせんきのAメンをいれてください』とのメッセージが表示され,ゲームシステムは,操作者にDDIの挿入を促す」旨の記載から,
上記“メニュー制御プログラム”は,メニュー画面において,“まどうせんきのゆうけんし”が“選択され”ると,“まどうせんきのAメンをいれてください”とのメッセージ,すなわち,“インストラクション”を“表示”させることが読み取れる。
以上の検討から,ファミコンゲームシステムは,「勇士の紋章DDIIがディスクシステムに挿入されるとき,勇士の紋章DDII中のメニュー制御プログラムは,『まどうせんきのゆうけんし』とのメニュー項目をテレビの画面に表示し,さらにテレビの画面の『まどうせんきのゆうけんし』が選択されたときに,『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションを表示させ」るように動作するものである。
i-1 上記甲13の2アの「『勇士の紋章』のメニュー画面において,『まどうせんきのゆうけんし』を選択すると,DDIの挿入を促す『まどうせんきのAメンをいれてください』とのメッセージが表示され,ゲームシステムは,操作者にDDIの挿入を促す」との動作内容からみて,魔洞戦紀DDI(ディスク1X)は,“まどうせんきのAメンをいれてください”との“インストラクションにしたがって”,“勇士の紋章DDIIに替えて”,“挿入”されるものである。
そして,“まどうせんきのAメンをいれてください”との“インストラクションにしたがって”,“勇士の紋章DDIIに替えて”“挿入”された“他のディスク”が,“キャラクタのレベルが21,すなわち16以上であることを示す情報を包含する上記魔洞戦紀DDI”である場合には,上記「ア 公知発明1」の「d-1」で検討したように,“勇士の紋章DDII中”の“標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータと拡張ゲーム機能部分を実行する拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってファミリーコンピュータを作動させ”るものである。
してみれば,ファミコンゲームシステムは,「『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションにしたがって,勇士の紋章DDIIに替えて挿入された他のディスクが,キャラクタのレベルが21,すなわち16以上であることを示す情報を包含する上記魔洞戦紀DDIである場合には,勇士の紋章DDII中の標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータと拡張ゲーム機能部分を実行する拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってファミリーコンピュータを作動させ」るように動作するものである。
i-2 上記甲13の2ア,甲13の3アに示されるように,“まどうせんきのAメンをいれてください”との“インストラクション”に対して,魔洞戦紀DDIを挿入すると,操作者にキャラクタの選択を促すためのキャラクタリストの表示画面が自動的に表示されるところ,この“インストラクション”に対して何らかの“他のディスク”が“挿入されない場合”には,上記のように動作が進まず,“まどうせんきのAメンをいれてください”との“インストラクション”が“表示されたまま”となるものと認められる。
また,上記甲13の6アの「(28-1)『まどうせんきのAメンをいれてください』のメッセージが表示された時にベースボールゲームのディスクをディスクシステムに挿入すると,『DISK ERR 04』が表示されたままとなる」旨の記載からみて,“まどうせんきのAメンをいれてください”との“インストラクション”にしたがって“勇士の紋章DDIIに替えて挿入されたディスク”が,“ベースボールゲームのディスク”である場合には,“DISK ERR 04”が表示されたままとなるものである。
ここで,“勇士の紋章DDIIに替えて挿入されたディスクが,ベースボールゲームのディスクである場合”とは,いいかえると,“勇士の紋章DDIIに替えて挿入されたディスクが,魔洞戦紀DDIでない場合”である。
以上のことから,“他のディスクが挿入されない場合”には,“まどうせんきのAメンをいれてくださいとのインストラクションが表示されたまま”となり,また,“勇士の紋章DDIIに替えて挿入されたディスクが,魔洞戦紀DDIでない場合”には,“DISK ERR 04が表示されたまま”となり,“これらの場合”には,例えば,再度勇士の紋章DDIIを挿入し直して,リセットボタンを押すなどする他はなく,その場合,前作魔洞戦紀DDIから勇士の紋章DDIIへのキャラクタの転送は行われないから,結果的に,“勇士の紋章DDII中”の“標準ゲーム機能部分”を実行する“標準ゲームプログラムおよび/またはデータ”のみで“ファミコンゲームシステム”を“作動させる”ことになる。
してみれば,ファミコンゲームシステムは,「他のディスクが挿入されない場合または勇士の紋章DDIIに替えて挿入されたディスクが,魔洞戦紀DDIでない場合には,『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションまたは,『DISK ERR 04』が表示されたままとなり,これらの場合には,勇士の紋章DDII中の,標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってファミリーコンピュータを作動させる」ように動作するものである。
以上の検討から,甲第2号証~甲第10号証,甲第13号証の1~甲第14の2号証より以下の発明(以下,「公知発明2」という。)を認定することができる。なお,各分説を表す記号は,審判請求書において使用された記号を用いた。
「 f ファミリーコンピュータとディスクシステムとテレビとから構成され,ディスクを用いてゲームを行うファミコンゲームシステムにおいて,セーブデータなどを記憶可能で,ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するファミコンゲームシステムの作動中に入れ換え可能なディスクをディスクシステムに挿入して,ファミコンゲームシステムを作動させる方法であって,
g 上記ディスクは,
g-1 魔洞戦紀のゲームプログラムおよび/またはデータと,魔洞戦紀にセーブされたキャラクタのレベルが21であることを示す情報とを包含する魔洞戦紀DDIと,
g-2 標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,魔洞戦紀DDIから転送されたキャラクタの魔洞戦紀におけるレベルが16以上であるときには,そのキャラクタの勇士の紋章におけるレベルが最初から2となり,神殿で祈ると『ゆうけんしのしそん じゅんくよ。がんばるのだぞ。』とのメッセージが表示され,アイテム『くさのつゆ』及び『しろきのこ』が1つ増えるという動作機能を実行する拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含するとともにメニュー制御プログラムを包含する勇士の紋章DDIIとが準備されており,ここで,魔洞戦紀DDIからは,最大で3人まで,キャラクタを転送できるものとなっており,
h 拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,標準ゲームプログラムおよび/またはデータに対して,キャラクタのレベルの増加,またはキャラクタのためのアイテムの増加を達成するように形成されたものであり,
i 勇士の紋章DDIIがディスクシステムに挿入されるとき,勇士の紋章DDII中のメニュー制御プログラムは,『まどうせんきのゆうけんし』とのメニュー項目をテレビの画面に表示し,さらにテレビの画面の『まどうせんきのゆうけんし』が選択されたときに,『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションを表示させ,
i-1 『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションにしたがって,勇士の紋章DDIIに替えて挿入された他のディスクが,キャラクタのレベルが21,すなわち16以上であることを示す情報を包含する上記魔洞戦紀DDIである場合には,勇士の紋章DDII中の標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータと拡張ゲーム機能部分を実行する拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってファミリーコンピュータを作動させ,
i-2 他のディスクが挿入されない場合または勇士の紋章DDIIに替えて挿入されたディスクが,魔洞戦紀DDIでない場合には,『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションまたは,『DISK ERR 04』が表示されたままとなり,これらの場合には,勇士の紋章DDII中の,標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってファミリーコンピュータを作動させる,
j ファミコンゲームシステム作動方法。」
ウ 先行技術発明A
a MSX及びゲームソフトの公知性について
上記甲16の1アより,甲第16の1号証の図2には,先行技術発明Aが本件特許の出願日より前に公然知られていたことを示すために使用されたMSXの外観が示され,同じく図3には,当該MSXが松下電器産業株式会社の「FS-4000」であることが示されているところ,上記甲18の1アを参照すれば,「FS-4000」が,遅くとも,本件特許の出願日である1994年12月9日より前の1986年2月には,日本国内で既に販売されていたものと認められる。
また,先行技術発明Aが本件特許の出願日より前に公然知られていたことを示すために用いられたゲームソフトである「沙羅曼蛇」及び「グラディウス2」は,上記甲18の2アによれば,遅くとも,本件特許の出願日である1994年12月9日より前の1988年8月には,日本国内で既に販売されていたものと認められる。
したがって,先行技術発明Aを示すために使用されたMSX(FS-4000),「沙羅曼蛇」,及び「グラディウス2」は何れも本件特許の出願前に公知のものであると認められる。
b 甲17の1ア~キによれば,甲第17の1号証には,「沙羅曼蛇」の1本差しでゲームをプレイした場合のゲーム画面を収録した動画(甲第15の1号証)の静止画キャプチャ画像と,「沙羅曼蛇」と「グラディウス2」の2本差しで「沙羅曼蛇」のゲームをプレイした場合のゲーム画面を収録した動画(甲第15の2号証)の静止画キャプチャ画像との比較が示されており,また,甲17の2アによれば,甲第17の2号証の報告書には,1本差しの場合には,ステージ3「OPERATION THREE」の後にステージ4「OPERATION FOUR」となるが,2本差しの場合には,ステージ3「OPERATION THREE」の後にステージX「OPERATION X」となることを確認した旨が記載されている。
また,上記のことは,甲第15の1号証及び甲第15の2号証に記録された動画の内容からも,確認することができる。
以上のことから,グラディウス2のROMカセットには,沙羅曼蛇のゲームの展開を変更させるための,何らかの「情報」があることが推認される。
また,甲17の2イによれば,甲第17の2号証の報告書には,2本差しの場合には,1本差しの場合と比較して,ステージX「OPERATION X」の場面や真のエンディングの場面が拡張されていることを確認した旨が記載されている。
また,甲16の2イによれば,甲第16の2号証には,MSXの本体スロット2にグラディウス2のカートリッジを挿すことで,真のエンディングが見られる旨が記載されている。
以上のことから,甲第15の1号証~甲第18の2号証より,以下の先行技術発明Aを認定することができる。
「MSX本体に「沙羅曼蛇」ROMと「グラディウス2」ROMを装填した状態で「沙羅曼蛇」のゲームをプレイすると,「グラディウス2」ROMに含まれている所定の情報に基づいて,MSX本体に「沙羅曼蛇」ROMのみを装填してゲームをプレイした場合にはなかったステージX「OPERATION X」が現れるとともに,エンディングが異なったものとなる。」
(3)対比・判断
ア 本件特許発明1について
(ア)本件特許発明1と公知発明1とを対比する。
a 公知発明1の「ファミリーコンピュータとディスクシステムとテレビとから構成され,ディスクを用いてゲームを行うファミコンゲームシステムにおいて,セーブデータなどを記憶可能で,ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するファミコンゲームシステムの作動中に入れ換え可能なディスクをディスクシステムに挿入して,ファミコンゲームシステムを作動させる方法」(前者)と
本件特許発明1の「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するとともに所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を上記ゲーム装置に装填してゲームシステムを作動させる方法」(後者)
とを対比すると,
公知発明1の「ゲームプログラムおよび/またはデータ」が本件特許発明1の「ゲームプログラムおよび/またはデータ」に相当し,
公知発明1の「ディスク」は記憶可能な記憶媒体であるから,本件特許発明1の「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」とは,共に「記憶媒体」という上位概念で共通し,
公知発明1の「ファミリーコンピュータとディスクシステムとテレビとから構成され」る“装置”は,“ディスクシステムを備えたゲーム装置”として動作するものであるから,本件特許発明1の「ゲーム装置」に相当し,
公知発明1の「ファミコンゲームシステム」が「作動中」であることは,すなわち,「ファミリーコンピュータとディスクシステムとテレビとから構成されるゲーム装置」が「作動中」であることに他ならないから,公知発明1の「ファミコンゲームシステムの作動中に入れ換え可能なディスク」と本件特許発明1の「所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体」とは,「所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体」である点で共通し,
公知発明1の「ディスクをディスクシステムに挿入」することが,本件特許発明1の「記憶媒体・・・を上記ゲーム装置に装填」することに相当し,
公知発明1の「ファミコンゲームシステム」は,ゲームを実行するためのシステムであるから本件特許発明1の「ゲームシステム」に相当し,
公知発明1の「ファミコンゲームシステムを作動させる方法」が本件特許発明1の「ゲームシステムを作動させる方法」に相当するから,
前者と後者とは,後記する相違点1で相違するものの,
「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するとともに所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体を上記ゲーム装置に装填してゲームシステムを作動させる方法」
である点で共通する。
b 公知発明1の「上記ディスクは,魔洞戦紀のゲームプログラムおよび/またはデータと,魔洞戦紀にセーブされたキャラクタのレベルが21であることを示す情報とを包含する魔洞戦紀DDIと,標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,魔洞戦紀DDIから転送されたキャラクタの魔洞戦紀におけるレベルが16以上であるときには,そのキャラクタの勇士の紋章におけるレベルが最初から2となり,神殿で祈ると『ゆうけんしのしそん じゅんくよ。がんばるのだぞ。』とのメッセージが表示され,アイテム『くさのつゆ』及び『しろきのこ』が1つ増えるという動作機能を実行する拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含する勇士の紋章DDIIとが準備されており」(前者)と
本件特許発明1の「上記記憶媒体は,少なくとも,所定のゲームプログラムおよび/またはデータと,所定のキーとを包含する第1の記憶媒体と,所定の標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて所定の拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含する第2の記憶媒体とが準備されており」(後者)
とを対比すると,
公知発明1の「魔洞戦紀DDI」,「勇士の紋章DDII」と本件特許発明1の「第1の記憶媒体」,「第2の記憶媒体」とは,公知発明1のディスクシステムが記憶機能を有するものであるので,「一の記憶媒体」,「二の記憶媒体」である点で共通し,
公知発明1の「魔洞戦紀のゲームプログラムおよび/またはデータ」が本件特許発明1の「所定のゲームプログラムおよび/またはデータ」に相当し,
公知発明1の「魔洞戦紀にセーブされたキャラクタのレベルが21であることを示す情報」は,この「情報」をファミリーコンピュータが読み込んでいるか否かに応じてファミリーコンピュータの動作を切り換えるための情報であるから,本件特許発明1の「所定のキー」とは,共に「切換キー」である点で共通し,
公知発明1の「標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータ」が本件特許発明1の「所定の標準ゲームプログラムおよび/またはデータ」に相当し,
公知発明1の「魔洞戦紀DDIから転送されたキャラクタの魔洞戦紀におけるレベルが16以上であるときには,そのキャラクタの勇士の紋章におけるレベルが最初から2となり,神殿で祈ると『ゆうけんしのしそん じゅんくよ。がんばるのだぞ。』とのメッセージが表示され,アイテム『くさのつゆ』及び『しろきのこ』が1つ増えるという動作機能を実行する拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ」が本件特許発明1の「所定の拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ」に相当する。
してみれば,前者と後者とは,後記する相違点2~4で相違するものの,
「上記記憶媒体は,少なくとも,所定のゲームプログラムおよび/またはデータと,切換キーとを包含する一の記憶媒体と,所定の標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて所定の拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含する二の記憶媒体とが準備されており」
の点で共通する。
c 公知発明1の「拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,標準ゲームプログラムおよび/またはデータに対して,キャラクタのレベルの増加,またはキャラクタのためのアイテムの増加を達成するように形成されたものであり」(前者)と
本件特許発明1の「上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,ゲームキャラクタの増加および/またはゲームキャラクタのもつ機能の豊富化および/または場面の拡張および/または音響の豊富化を達成するためのゲームプログラムおよび/またはデータであり」(後者)
とを対比すると,
公知発明1の「キャラクタのためのアイテムの増加」は,“神殿で祈ると,アイテム「くさのつゆ」及び「しろきのこ」が1つ増える”という機能をキャラクタに新たに持たせたことになるから,「ゲームキャラクタのもつ機能の豊富化」に他ならず,
公知発明1の「神殿で祈ると『ゆうけんしのしそん じゅんくよ。がんばるのだぞ。』とのメッセージが表示され」る場面は,勇士の紋章DDIIを単独で動作させている限りは表示されない“場面”であるから,そのような“場面”を表示する機能を有する公知発明1の“拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ”は,“標準ゲームプログラムおよび/またはデータ”に対して,“場面の拡張”を達成するための「ゲームプログラムおよび/またはデータ」であるということができ,
上記「(2)甲各号証の検討」の「ア 公知発明1」の「b-2」において指摘したように,公知発明1の「拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ」は「標準ゲームプログラムおよび/またはデータ」と異なるものであるから,「上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ」は,「標準ゲームプログラムおよび/またはデータ」に“加えて”,「ゲームキャラクタのもつ機能の豊富化」および/または「場面の拡張」を達成するための「ゲームプログラムおよび/またはデータであ」るということができる。
してみれば,前者と後者とは,
「上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,ゲームキャラクタのもつ機能の豊富化および/または場面の拡張を達成するためのゲームプログラムおよび/またはデータであり」
の点で共通する。
d 公知発明1の「勇士の紋章DDIIがディスクシステムに挿入されるとき」(前者)と
本件特許発明1の「上記第2の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填されるとき」(後者)
とを対比すると,
上記「b」で検討したように,公知発明1の「勇士の紋章DDII」と本件特許発明1の「第2の記憶媒体」とは,「二の記憶媒体」である点で共通し,
上記「a」で検討したように,公知発明1の「ディスクをディスクシステムに挿入」することは,本件特許発明1の「記憶媒体・・・を上記ゲーム装置に装填」することに相当するから,
前者と後者とは,後記する相違点3で相違するものの,
「二の記憶媒体がゲーム装置に装填されるとき」
である点で共通する。
なお,本件特許発明1の「上記第2の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填されるとき」について,本件特許明細書では,図2のフローチャートのステップ001の前のタイミングで,「第2のCD-ROM2がゲーム機SのCDドライブ装置4に装填される」とき(段落【0034】)と,図2のフローチャートのステップ008,ステップ009のタイミングにおいて,再度「第2のCD-ROM2が装填される」とき(段落【0036】)の記載があり,特許請求の範囲の文言上は,これらを区別しないものとなっている。
そのため,特許請求の範囲の文言上,「上記第2の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填されるとき」を,上記段落【0036】の“再度「第2のCD-ROM2が装填される」とき”とみれば,公知発明1のごとく,「第1のディスク(DDI)」の挿入後に再度「第2のディスク(DDII)」を挿入する態様も含むものとなってしまうので,上記のように判断されるものである。
d-1 公知発明1の「ファミリーコンピュータが,魔洞戦紀DDIから,キャラクタのレベルが21,すなわち16以上であることを示す情報を読み込んでいる場合には,標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータと拡張ゲーム機能部分を実行する拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってファミリーコンピュータを作動させ」(前者)と
本件特許発明1の「上記ゲーム装置が上記所定のキーを読み込んでいる場合には,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータと上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってゲーム装置を作動させ」(後者)
とを対比すると,
上記「a」及び「b」の検討から,公知発明1の「ファミリーコンピュータが,魔洞戦紀DDIから,キャラクタのレベルが21,すなわち16以上であることを示す情報を読み込んでいる場合」と本件特許発明1の「上記ゲーム装置が上記所定のキーを読み込んでいる場合」とは,「上記ゲーム装置が上記切換キーを読み込んでいる場合」である点で共通し,
公知発明1の「ファミリーコンピュータとディスクシステムとテレビとから構成される装置」が本件特許発明1の「ゲーム装置」に相当するから,公知発明1の「ファミリーコンピュータを作動させ」ることと,本件特許発明1の「ゲーム装置を作動させ」ることとの間に実質的な差異はない。
してみれば,前者と後者とは,後記する相違点4で相違するものの,
「上記ゲーム装置が上記切換キーを読み込んでいる場合には,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータと上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってゲーム装置を作動させ」
る点で共通する。
d-2 公知発明1の「ファミリーコンピュータが,魔洞戦紀DDIから,キャラクタのレベルが16以上であることを示す情報を読み込んでいない場合には,標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってファミリーコンピュータを作動させる」(前者)と
本件特許発明1の「上記所定のキーを読み込んでいない場合には,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってゲーム装置を作動させる」(後者)
とを対比すると,
上記「a」,「b」及び「d-1」の検討から,
前者と後者とは,後記する相違点4で相違するものの,
「上記切換キーを読み込んでいない場合には,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってゲーム装置を作動させる」
点で共通する。
e 上記「a」の検討から,公知発明1の「ファミコンゲームシステム作動方法」が本件特許発明1の「ゲームシステム作動方法」に相当する。
上記「a」~「e」の検討から,公知発明1と本件特許発明1とは,
「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するとともに所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体を上記ゲーム装置に装填してゲームシステムを作動させる方法であって,
上記記憶媒体は,少なくとも,所定のゲームプログラムおよび/またはデータと,切換キーとを包含する一の記憶媒体と,所定の標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて所定の拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含する二の記憶媒体とが準備されており,
上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,ゲームキャラクタのもつ機能の豊富化および/または場面の拡張を達成するためのゲームプログラムおよび/またはデータであり,
上記二の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填されるとき,上記ゲーム装置が上記切換キーを読み込んでいる場合には,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータと上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってゲーム装置を作動させ,上記切換キーを読み込んでいない場合には,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってゲーム装置を作動させることを特徴とする,ゲームシステム作動方法。」
の点で一致し,次の点で相違する。
[相違点1]
所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体に関して,
本件特許発明1の記憶媒体は,「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」であるのに対して,
公知発明1の記憶媒体はディスクであり,「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」ではない点。
[相違点2]
一の記憶媒体に関して,
本件特許発明1の記憶媒体は,「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」であるのに対して,
公知発明1の魔洞戦紀DDIはディスクであり,「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」ではない点。
[相違点3]
二の記憶媒体に関して,
本件特許発明1の記憶媒体は,「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」であるのに対して,
公知発明1の勇士の紋章DDIIはディスクであり,「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」ではない点。
[相違点4]
切換キーが,
本件特許発明1では,「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」に包含されていることから,「セーブデータ」ではないのに対して,
公知発明1では「魔洞戦紀にセーブされたキャラクタのレベルが21であることを示す情報」が,ディスクにセーブされた「セーブデータ」である点。
(イ)上記相違点について検討する。
a 相違点1~3について
公知発明1は,要するに「前作のキャラクタのレベルが16以上であると,後作において拡張ゲームプログラムが楽しめるようにしてゲームを面白くするという発明」であり,具体的には,後作において,「レベルが最初から2となる」「神殿で祈るとアイテムが1つ増える」「神殿で祈った時に,異なるメッセージが表示される」というような拡張ゲームプログラムが楽しめるという発明であるから,公知発明1において,「前作のキャラクタのレベルが16以上であること」は,拡張ゲームプログラムを楽しむための必須の条件である。このことは,キャラクタのレベルが7の場合には,上記のような拡張ゲームプログラムを楽しむことができないようになっていることからも明らかである。
このように,公知発明1は,少なくとも,前作のキャラクタのレベルが所定値以上となるまで,前作のゲームをプレイしたという,いわば「痕跡」があることが,後作において拡張ゲームプログラムを楽しめるようにするための必須の条件であり,そのような「痕跡」を示す情報を前作の記憶媒体にセーブできることが発明の前提であるから,公知発明1において,前作のゲームをプレイしたという「痕跡」の情報をセーブできない記憶媒体を採用することは想定されていない。
また,そのような「痕跡」の情報をセーブできない記憶媒体を採用すると,「前作のキャラクタのレベルが16以上であると,後作において拡張ゲームプログラムが楽しめるようにしてゲームを面白くする」という公知発明1を実現することができなくなることは明らかである。
そうすると,たとえ,甲第11号証及び甲第12号証に開示されているように,ゲームプログラム及び/又はデータを記憶する媒体としてCD-ROMを用いることが本件特許の出願前において周知の技術であったとしても,公知発明1において,ディスクを,キャラクタのレベルの情報が記憶できない記憶媒体,すなわち,「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」に変更する動機付けはなく,むしろ,そのような記憶媒体を採用することには,阻害要因がある。
以上検討したとおりであるから,公知発明1において,所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体,一の記憶媒体,及び二の記憶媒体を,ディスクから「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」に変更すること,すなわち,上記相違点1~3に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
b 相違点4について
上記aで検討したように,公知発明1は,少なくとも,前作のキャラクタのレベルが所定値以上となるまで前作のゲームをプレイしたという「痕跡」を用いることによって,後作において拡張ゲームプログラムを楽しめるようにするという発明である。
すなわち,公知発明1は,「前作のゲームを一定程度プレイしたユーザに対してのみ,後作において拡張ゲームプログラムを楽しめるようにするという発明」であって,単に「前作を有していれば,誰にでも,後作において拡張ゲームプログラムを楽しめるようにするという発明」ではないから,公知発明1と本件特許発明1とは,どのような場合に「後作において拡張ゲームプログラムを楽しめるようにする」かという発想の点で異なっている。
つまり,本件特許発明1では,ユーザが前作を所有していることを促す,すなわち,「ユーザに前作の購入を促す」ことが目的となっているのに対して,公知発明1では,「ユーザが前作のゲームを一定程度プレイすることを促す」ことが目的となっており,ユーザにどのような行為を促すのかという目的の点で異なっていることから,本件特許発明1と公知発明1とは,所定のキーを設ける目的が異なるものである。
そうすると,「ユーザが前作のゲームを一定程度プレイすることを促す」ことを目的としている公知発明1において,「前作のゲームを一定程度プレイした」という条件を取り除く理由がなく,「前作のゲームを一定程度プレイした」という条件を取り除いてしまうと公知発明1の目的を達成することができなくなるのであるから,そのようにすることにはむしろ阻害要因があるといえる。
なお,請求人は,
「MSX本体に『沙羅曼蛇』ROMと『グラディウス2』ROMを装填した状態で『沙羅曼蛇」のゲームをプレイすると,『グラディウス2』ROMに含まれている所定の情報に基づいて,MSX本体に『沙羅曼蛇』ROMのみを装填してゲームをプレイした場合にはなかったステージX『OPERATION X』が現れるとともに,エンディングが異なったものとなる。」
旨の先行技術発明Aを示し,この先行技術発明Aは,「セーブデータではないキー情報」に基づいて拡張ゲームプログラムを楽しめるようにするものであるから,これを公知発明1に適用することで,「キャラクタのレベルが16以上であることを示す情報」に替えて「セーブデータではないキー情報」に基づいて,拡張ゲームプログラムを楽しめるように構成することは容易である旨主張している。
しかしながら,そもそも公知発明1は,「前作のキャラクタのレベルが16以上であると,後作において拡張ゲームプログラムが楽しめるようにしてゲームを面白くするという発明」であって,上記で検討したとおり,「前作のゲームを一定程度プレイした」という条件が必須の発明であるから,この公知発明1において,「前作のゲームを一定程度プレイした」という条件を撤廃する理由がなく,公知発明1に先行技術発明Aを適用して,「魔洞戦紀にセーブされたキャラクタのレベルが21であることを示す情報」を「セーブデータではないキー情報」に変更することが容易であるとはいえない。
また,先行技術発明Aの内容は,要するに,「MSXの本体に前作と後作を装填した状態で後作をプレイすると,後作のみを装填してプレイした場合にはなかった場面が現れる。」というものであり,「MSXの本体に前作と後作を装填した状態で後作をプレイする」という,いわゆる二本差しを前提とした発明であるうえに,公知発明1のディスクシステムからみれば従来技術に相当するROMカセットを用いた発明であり,公知発明1と先行技術発明Aとは異なるゲームシステムを前提とする発明であることから,両発明の内容を適宜組み合わせることが容易であるということもできない。
請求人は,公知発明1と先行技術発明Aとを組み合わせる動機付けに関して,平成28年1月12日提出の口頭審理陳述要領書の31~38頁,平成28年10月3日提出の弁駁書の17~18頁において,公知発明1の「キャラクタのレベルが16以上である」という条件を,「DDIが装填された」という条件1と「キャラクタのレベルが16以上である」という条件2に分離したうえで,公知発明1において重要な条件は条件1であり,条件2は撤廃しても公知発明1の機能は失われないなどと主張するとともに,先行技術発明Aは,条件1のみをチェックしていることに該当するから,公知発明1と先行技術発明Aのいずれにも,両者を組み合わせることに対して阻害要因は存在しないなどと主張している。
確かに,条件1と条件2は,いずれも拡張機能を楽しめるようにするために必須の条件であるとは認められるものの,条件1はあくまで拡張機能を楽しめるようにするための前提条件であり,「前作のキャラクタのレベルが16以上であると,後作において拡張ゲームプログラムが楽しめるようにしてゲームを面白くするという発明」を特徴づける条件が条件2であることは明らかである。そうすると,公知発明1において,発明を特徴づける条件である条件2を撤廃することはあり得ないことであるから,「キャラクタのレベルが16以上である」という条件を条件1と条件2に分離したうえで,条件2を過小評価することによって,公知発明1と先行技術発明Aを組み合わせることに阻害要因はないとする請求人の主張は採用することができない。
なお,先行技術発明Aに類似する技術を開示する,甲第20号証の1,甲第20号証の2,甲第21号証の1及び甲第21号証の2の内容を考慮しても,上記のように判断されることに変わりはない。
以上検討したとおりであるから,公知発明1において,切換キーを「セーブデータ」ではない「キー情報」に変更することで,「前作のゲームを一定程度プレイした」という条件を用いないようにすること,すなわち,上記相違点4に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
(ウ)小括
以上のとおりであるから,本件特許発明1は,公知発明1と同一であるとも,公知発明1,先行技術発明A及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
イ 本件特許発明2について
(ア)本件特許発明2と公知発明2とを対比する。
f 公知発明2の「ファミリーコンピュータとディスクシステムとテレビとから構成され,ディスクを用いてゲームを行うファミコンゲームシステムにおいて,セーブデータなどを記憶可能で,ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するファミコンゲームシステムの作動中に入れ換え可能なディスクをディスクシステムに挿入して,ファミコンゲームシステムを作動させる方法」(前者)と
本件特許発明2の「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するとともに所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を上記ゲーム装置に装填してゲームシステムを作動させる方法」(後者)
とを対比すると,
上記「ア 本件特許発明1について」の「(ア)」の「a」の検討から,
前者と後者とは,後記する相違点5で相違するものの,
「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するとともに所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体を上記ゲーム装置に装填してゲームシステムを作動させる方法」
である点で共通する。
g 公知発明2の「上記ディスクは,魔洞戦紀のゲームプログラムおよび/またはデータと,魔洞戦紀にセーブされたキャラクタのレベルが21であることを示す情報とを包含する魔洞戦紀DDIと,標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,魔洞戦紀DDIから転送されたキャラクタの魔洞戦紀におけるレベルが16以上であるときには,そのキャラクタの勇士の紋章におけるレベルが最初から2となり,神殿で祈ると『ゆうけんしのしそん じゅんくよ。がんばるのだぞ。』とのメッセージが表示され,アイテム『くさのつゆ』及び『しろきのこ』が1つ増えるという動作機能を実行する拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含するとともにメニュー制御プログラムを包含する勇士の紋章DDIIとが準備されており」(前者)と
本件特許発明2の「上記記憶媒体は,少なくとも,所定のゲームプログラムおよび/またはデータと,所定のキーとを包含する第1の記憶媒体と,所定の標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて所定の拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含するとともに所定の制御プログラムを包含する第2の記憶媒体とが準備されており」(後者)
とを対比すると,
公知発明2の「メニュー制御プログラム」は,
「『まどうせんきのゆうけんし』とのメニュー項目をテレビの画面に表示し,さらにテレビの画面の『まどうせんきのゆうけんし』が選択されたときに,『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションを表示させ」る制御,
「『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションにしたがって,勇士の紋章DDIIに替えて挿入された他のディスクが,キャラクタのレベルが21,すなわち16以上であることを示す情報を包含する上記魔洞戦紀DDIである場合には,勇士の紋章DDII中の標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータと拡張ゲーム機能部分を実行する拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってファミリーコンピュータを作動させ」る制御,及び
「他のディスクが挿入されない場合または勇士の紋章DDIIに替えて挿入されたディスクが,魔洞戦紀DDIでない場合には,『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションまたは,『DISK ERR 04』を表示されたままとすることで,「勇士の紋章DDII中の,標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってファミリーコンピュータを作動させる」制御
を行うものである一方,
本件特許発明2の「制御プログラム」は,
「上記ゲーム装置に他の記憶媒体を装填させるインストラクションを表示させ」る制御,
「このインストラクションにしたがって装填された他の記憶媒体が上記所定のキーを包含する上記第1の記憶媒体である場合には,上記第2の記憶媒体中の上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってゲーム装置を作動させ」る制御,及び
「他の記憶媒体が装填されない場合または装填された記憶媒体が上記所定のキーを包含する上記第1の記憶媒体でない場合には,上記第2の記憶媒体中の上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってゲーム装置を作動させる」制御
を行うものである点で同様の制御を行うものであるから,公知発明2の「メニュー制御プログラム」は本件特許発明2の「制御プログラム」に対応するものであり,
公知発明2の「メニュー制御プログラム」は,勇士の紋章DDIIに包含されるものである。
そして,上記「ア 本件特許発明1について」の「(ア)」の「b」の検討も踏まえると,
前者と後者とは,後記する相違点6~8で相違するものの,
「上記記憶媒体は,少なくとも,所定のゲームプログラムおよび/またはデータと,切換キーとを包含する一の記憶媒体と,所定の標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて所定の拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含するとともに所定の制御プログラムを包含する二の記憶媒体とが準備されており」
の点で共通する。
h 公知発明2の「拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,標準ゲームプログラムおよび/またはデータに対して,キャラクタのレベルの増加,またはキャラクタのためのアイテムの増加を達成するように形成されたものであり」(前者)と
本件特許発明2の「上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,ゲームキャラクタの増加および/またはゲームキャラクタのもつ機能の豊富化および/または場面の拡張および/または音響の豊富化を達成するためのゲームプログラムおよび/またはデータであり」(後者)
とを対比すると,
上記「ア 本件特許発明1について」の「(ア)」の「c」の検討から,
前者と後者とは,
「上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,ゲームキャラクタのもつ機能の豊富化および/または場面の拡張を達成するためのゲームプログラムおよび/またはデータであり」
の点で共通する。
i 公知発明2の「勇士の紋章DDIIがディスクシステムに挿入されるとき,勇士の紋章DDII中のメニュー制御プログラムは,『まどうせんきのゆうけんし』とのメニュー項目をテレビの画面に表示し,さらにテレビの画面の『まどうせんきのゆうけんし』が選択されたときに,『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションを表示させ」(前者)と
本件特許発明2の「上記第2の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填され,かつ,上記所定のキーが読み込まれていないときのみに,この第2の記憶媒体中の上記制御プログラムは,上記ゲーム装置に他の記憶媒体を装填させるインストラクションを表示させ」(後者)
とを対比すると,
上記「ア 本件特許発明1について」の「(ア)」の「d」の検討から,公知発明2の「勇士の紋章DDIIがディスクシステムに挿入されるとき」と本件特許発明2の「上記第2の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填されるとき」とは,「二の記憶媒体がゲーム装置に装填されるとき」である点で共通し,
上記「g」の検討から,公知発明2の「勇士の紋章DDII中のメニュー制御プログラム」と本件特許発明2の「第2の記憶媒体中の制御プログラム」とは,「二の記憶媒体中の制御プログラム」である点で共通し,
公知発明2の「『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクション」は,現在ディスクシステムに挿入されている勇士の紋章DDIIに対して,魔洞戦紀DDIという“他のディスク”を“挿入させる”ための“インストラクション”であり,上記「ア 本件特許発明1について」の「(ア)」の「a」の検討から,公知発明2の「ディスクをディスクシステムに挿入」することは,本件特許発明2の「記憶媒体・・・を上記ゲーム装置に装填」することに相当するから,公知発明2の「勇士の紋章DDII中のメニュー制御プログラムは,『まどうせんきのゆうけんし』とのメニュー項目をテレビの画面に表示し,さらにテレビの画面の『まどうせんきのゆうけんし』が選択されたときに,『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションを表示させ」ることと本件特許発明2の「この第2の記憶媒体中の上記制御プログラムは,上記ゲーム装置に他の記憶媒体を装填させるインストラクションを表示させ」ることとは,「この二の記憶媒体中の上記制御プログラムは,上記ゲーム装置に他の記憶媒体を装填させるインストラクションを表示させ」ることである点で共通する。
してみれば,前者と後者とは,後記する相違点7及び9で相違するものの,
「上記二の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填されるときに,この二の記憶媒体中の上記制御プログラムは,上記ゲーム装置に他の記憶媒体を装填させるインストラクションを表示させ」
る点で共通する。
i-1 公知発明2の「『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションにしたがって,勇士の紋章DDIIに替えて挿入された他のディスクが,キャラクタのレベルが21,すなわち16以上であることを示す情報を包含する上記魔洞戦紀DDIである場合には,勇士の紋章DDII中の標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータと拡張ゲーム機能部分を実行する拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってファミリーコンピュータを作動させ」(前者)と
本件特許発明2の「このインストラクションにしたがって装填された他の記憶媒体が上記所定のキーを包含する上記第1の記憶媒体である場合には,上記第2の記憶媒体中の上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってゲーム装置を作動させ」(後者)
とを対比すると,
公知発明2の「『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションにしたがって,勇士の紋章DDIIに替えて挿入された他のディスク」が本件特許発明2の「このインストラクションにしたがって装填された他の記憶媒体」に相当するから,公知発明2の「『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションにしたがって,勇士の紋章DDIIに替えて挿入された他のディスクが,キャラクタのレベルが21,すなわち16以上であることを示す情報を包含する上記魔洞戦紀DDIである場合」と本件特許発明2の「このインストラクションにしたがって装填された他の記憶媒体が上記所定のキーを包含する上記第1の記憶媒体である場合」とは,「このインストラクションにしたがって装填された他の記憶媒体が上記切換キーを包含する上記一の記憶媒体である場合」である点で共通し,
公知発明2の「標準ゲームプログラムおよび/またはデータ」と「拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ」は,それぞれ異なる動作機能を実行するためのものであるから,「標準ゲームプログラムおよび/またはデータ」と「拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ」の「双方」によってゲーム装置を作動する際には,「拡張ゲームプログラムおよび/またはデータ」を,「標準ゲームプログラムおよび/またはデータ」に“加えて”実行するものであるということができ,
さらに,上記「ア 本件特許発明1について」の「(ア)」の「d-1」の検討を踏まえると,
前者と後者とは,後記する相違点6~9で相違するものの,
「このインストラクションにしたがって装填された他の記憶媒体が上記切換キーを包含する上記一の記憶媒体である場合には,上記二の記憶媒体中の上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってゲーム装置を作動させ」
る点で共通する。
i-2 公知発明2の「他のディスクが挿入されない場合または勇士の紋章DDIIに替えて挿入されたディスクが,魔洞戦紀DDIでない場合には,『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションまたは,『DISK ERR 04』が表示されたままとなり,これらの場合には,勇士の紋章DDII中の,標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってファミリーコンピュータを作動させる」(前者)と
本件特許発明2の「他の記憶媒体が装填されない場合または装填された記憶媒体が上記所定のキーを包含する上記第1の記憶媒体でない場合には,上記第2の記憶媒体中の上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってゲーム装置を作動させる」(後者)
とを対比すると,
公知発明2の「他のディスクが挿入されない場合」が本件特許発明2の「他の記憶媒体が装填されない場合」に相当し,公知発明2の「勇士の紋章DDIIに替えて挿入されたディスク」が本件特許発明2の「装填された記憶媒体」に相当するから,公知発明2の「他のディスクが挿入されない場合または勇士の紋章DDIIに替えて挿入されたディスクが,魔洞戦紀DDIでない場合」と本件特許発明2の「他の記憶媒体が装填されない場合または装填された記憶媒体が上記所定のキーを包含する上記第1の記憶媒体でない場合」とは,「他の記憶媒体が装填されない場合または装填された記憶媒体が上記切換キーを包含する上記一の記憶媒体でない場合」である点で共通し,
公知発明2の「勇士の紋章DDII中の,標準ゲーム機能部分を実行する標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってファミリーコンピュータを作動させる」ことと本件特許発明2の「上記第2の記憶媒体中の上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってゲーム装置を作動させる」こととは,「上記二の記憶媒体中の上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってゲーム装置を作動させる」ことである点で共通するから,
前者と後者とは,後記する相違点6~8で相違するものの,
「他の記憶媒体が装填されない場合または装填された記憶媒体が上記切換キーを包含する上記一の記憶媒体でない場合には,上記二の記憶媒体中の上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってゲーム装置を作動させる」
点で共通する。
j 上記「ア 本件特許発明1について」の「(ア)」の「a」の検討から,公知発明2の「ファミコンゲームシステム作動方法」が本件特許発明2の「ゲームシステム作動方法」に相当する。
上記「f」~「j」の検討から,公知発明2と本件特許発明2とは,
「ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するとともに所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体を上記ゲーム装置に装填してゲームシステムを作動させる方法であって,
上記記憶媒体は,少なくとも,所定のゲームプログラムおよび/またはデータと,切換キーとを包含する一の記憶媒体と,所定の標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて所定の拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含するとともに所定の制御プログラムを包含する二の記憶媒体とが準備されており,
上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは,上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて,ゲームキャラクタのもつ機能の豊富化および/または場面の拡張を達成するためのゲームプログラムおよび/またはデータであり,
上記二の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填されるときに,この二の記憶媒体中の上記制御プログラムは,上記ゲーム装置に他の記憶媒体を装填させるインストラクションを表示させ,このインストラクションにしたがって装填された他の記憶媒体が上記切換キーを包含する上記一の記憶媒体である場合には,上記二の記憶媒体中の上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってゲーム装置を作動させ,他の記憶媒体が装填されない場合または装填された記憶媒体が上記切換キーを包含する上記一の記憶媒体でない場合には,上記二の記憶媒体中の上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってゲーム装置を作動させることを特徴とする,ゲームシステム作動方法。」
の点で一致し,次の点で相違する。
[相違点5]
所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体に関して,
本件特許発明2の記憶媒体は,「記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」であるのに対して,
公知発明2の記憶媒体はディスクであり,「記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」ではない点。
[相違点6]
一の記憶媒体に関して,
本件特許発明2の記憶媒体は,「記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」であるのに対して,
公知発明2の魔洞戦紀DDIはディスクであり,「記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」ではない点。
[相違点7]
二の記憶媒体に関して,
本件特許発明2の記憶媒体は,「記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」であるのに対して,
公知発明2の勇士の紋章DDIIはディスクであり,「記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」ではない点。
[相違点8]
切換キーが,
本件特許発明2では,「記憶媒体(ただし,半導体ROMカセットを除くとともに,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」に包含されていることから,「セーブデータ」ではないのに対して,
公知発明2では「魔洞戦紀にセーブされたキャラクタのレベルが21であることを示す情報」が,ディスクにセーブされた「セーブデータ」である点。
[相違点9]
他の記憶媒体を装填させるインストラクションを表示させるのが,
本件特許発明2では,「上記所定のキーが読み込まれていないときのみ」であるのに対して,
公知発明2では,勇士の紋章DDIIがディスクシステム20に挿入されるとき,「まどうせんきのゆうけんし」とのメニュー項目をテレビの画面に表示し,さらにテレビの画面の「まどうせんきのゆうけんし」が選択されたときに,「まどうせんきのAメンをいれてください」とのインストラクションを表示させている点。
(イ)上記相違点について検討する。
a 相違点5~7について
相違点5~7については,上記「ア 本件特許発明1について」の「(イ)」の「a 相違点1~3について」で検討したことと同様のことがいえるから,公知発明2において,所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体,一の記憶媒体,及び二の記憶媒体を,ディスクから「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」に変更すること,すなわち,上記相違点5~7に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
b 相違点8について
相違点8については,上記「ア 本件特許発明1について」の「(イ)」の「b 相違点4について」で検討したことと同様のことがいえるから,公知発明2において,切換キーを「セーブデータ」ではない「キー情報」に変更することで,「前作のゲームを一定程度プレイした」という条件を用いないようにすること,すなわち,上記相違点8に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
c 相違点9について
本件特許発明2は,「上記所定のキーが読み込まれていないときのみ」に,他の記憶媒体を装填させるインストラクションを表示させるものであるところ,この動作を行うために,まず,「所定のキー」が「読み込まれているか否かの判断」を行い,その「判断」の結果,「所定のキーが読み込まれていない」と「判断」された場合にのみ,他の記憶媒体を装填させるインストラクションを表示させるものである。
一方,公知発明2は,「勇士の紋章DDIIがディスクシステムに挿入されるとき,勇士の紋章DDII中のメニュー制御プログラムは,『まどうせんきのゆうけんし』とのメニュー項目をテレビの画面に表示し,さらにテレビの画面の『まどうせんきのゆうけんし』が選択されたときに,『まどうせんきのAメンをいれてください』とのインストラクションを表示させ」るものであるから,ユーザが「まどうせんきのゆうけんし」とのメニュー項目を選択することによって,「魔洞戦紀にセーブされたキャラクタのレベルを示す情報」を読み込ませたいという意思表示をしたときに,当該ユーザに対して,「魔洞戦紀にセーブされたキャラクタのレベルを示す情報」を読み込ませるために必要な操作の案内をしているものであると認められる。
そうすると,公知発明2のこのインストラクションは,ユーザが「まどうせんきのゆうけんし」とのメニュー項目を選択したときには,“必ず”,表示されるものであって,ユーザが「まどうせんきのゆうけんし」とのメニュー項目を選択したときに,何らかの「判断」を行って,その結果に応じて表示したり表示しなかったりするという性質のものではないから,公知発明2において,「所定のキー」が「読み込まれているか否かの判断」を行って,その「判断」の結果,「所定のキーが読み込まれていない」と「判断」された場合にのみ,他の記憶媒体を装填させるインストラクションを表示させるように構成すること,すなわち,上記相違点9に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
(ウ)小括
以上のとおりであるから,本件特許発明2は,公知発明2と同一であるとも,公知発明2,先行技術発明A及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
(4)無効理由1のまとめ
以上のとおり,本件特許発明1は,公知発明1と同一であるとはいえず,また,公知発明1,先行技術発明A及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
また,本件特許発明2は,公知発明2と同一であるとはいえず,また公知発明2,先行技術発明A及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
2 無効理由2について
上記第2のとおり,本件訂正により,請求項3は削除されたので,請求項3に対する本件審判の請求は,その対象が存在しないものとなる。
したがって,請求項3についての本件審判の請求は,不適法であって,その補正をすることができないものであることから,特許法第135条の規定により,却下すべきものである。
第7 むすび
以上のとおりであるから,請求人の主張及び証拠方法によっては,本件特許発明1及び本件特許発明2の特許を無効とすることはできない。
請求項3に係る発明は訂正により削除されたので,請求項3についての本件審判の請求を却下する。
審判費用については,特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2015-800110