特許拒絶査定不服審判
2015-022443
センサレスねじりモード減衰のシステムおよび方法
- 審判番号
- 2015-022443
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-501840
- 請求日
- 2015年12月22日
- 審決日
- 2017年04月27日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ヌオーヴォ ピニォーネ ソシエタ ペル アチオニ
- 【請求人代理人】荒川 聡志
- 【請求人代理人】小倉 博
- 【請求人代理人】黒川 俊久
- 【請求人代理人】田中 拓人
- 審判長/審判官
- 審判長 藤井 昇
- 審判官 堀川 一郎
- 審判官 矢島 伸一
- 分類
- P18 .536-WZ (H02P) / P18 .537-WZ (H02P)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条4項1号特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-501840「センサレスねじりモード減衰のシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年10月 6日国際公開、WO2011/121050、平成25年 6月17日国内公表、特表2013-524754〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は、2011年3月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年4月1日、イタリア)を国際出願日とする出願であって、平成27年8月17日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成27年8月25日)、これに対し、平成27年12月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、当審により平成28年9月1日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成28年9月6日)、これに対し、平成28年12月2日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。
2.特許請求の範囲
平成28年12月2日付手続補正で、特許請求の範囲は以下のように補正された。
「【請求項1】
ドライブトレーンに機械的に接続された電気機械を駆動するコンバータに接続されたねじりモード減衰コントローラシステムであって、
測定されたデータを受け取るように構成された入力インターフェースと、
前記入力インターフェースに接続され、
前記入力インターフェースからの前記データを、慣性値、減衰値および剛性値を推定する機械的モデルに入力して、前記ドライブトレーンの軸の区間に沿った少なくとも1つの動的トルク成分を計算し、
前記少なくとも1つの動的トルク成分に基づいて、前記ドライブトレーン内のねじり振動を減衰させるための前記コンバータの制御データを生成し、
前記コンバータの一部である整流器の整流器制御遅れ角および前記コンバータの一部であるインバータのインバータ制御遅れ角の少なくとも一方を変更して、前記コンバータと前記電気機械との間で交換される有効電力を変調するために前記制御データを前記コンバータに送る
ように構成されたコントローラと、
を含み、
前記データが、前記コンバータによって前記電気機械に供給される電流および電圧、ならびに、前記コンバータの整流器とインバータとの間の直流(DC)リンク電流のうちの少なくとも一方を示す、
コントローラシステム。
【請求項2】
ドライブトレーンに機械的に接続された電気機械を駆動するシステムであって、
電源から交流を受け取り、前記交流を直流に変換するように構成された整流器と、
前記整流器に接続され、前記直流を伝達するように構成された直流リンクと、
前記直流リンクに接続され、受け取られた直流を交流に変更するように構成されたインバータと、
測定されたデータを受け取るように構成された入力インターフェースと、
前記入力インターフェースに接続され、
前記入力インターフェースからの前記データを、慣性値、減衰値および剛性値を推定する機械的モデルに入力して、前記ドライブトレーンの軸の区間に沿った少なくとも1つの動的トルク成分を計算し、
前記少なくとも1つの動的トルク成分に基づいて、前記ドライブトレーン内のねじり振動を減衰させるための前記整流器および/またはインバータの制御データを生成し、
前記コンバータの一部である整流器の整流器制御遅れ角および前記コンバータの一部であるインバータのインバータ制御遅れ角の少なくとも一方を変更して、前記インバータと前記電気機械との間で交換される有効電力を変調するために前記制御データを前記整流器および/またはインバータに送る
ように構成されたコントローラと、
を含み、
前記データが、前記コンバータによって前記電気機械に供給される電流および電圧、ならびに、前記コンバータの整流器とインバータとの間の直流(DC)リンク電流のうちの少なくとも一方を示す、
システム。
【請求項3】
ドライブトレーンに機械的に接続された電気機械内でねじり振動を減衰させる方法であって、
測定されたデータを受け取るステップと、
前記受け取られたデータを、慣性値、減衰値および剛性値を推定する機械的モデルに入力して、前記ドライブトレーンの軸の区間に沿った少なくとも1つの動的トルク成分を計算するステップと、
前記少なくとも1つの動的トルク成分に基づいて、前記ねじり振動を減衰させるための前記コンバータの制御データを生成するステップと、
前記コンバータの一部である整流器の整流器制御遅れ角および前記コンバータの一部であるインバータのインバータ制御遅れ角の少なくとも一方を変更して、前記コンバータと前記電気機械との間で交換される有効電力を変調するために前記制御データを前記コンバータに送るステップと、
を含み、
前記データが、前記コンバータによって前記電気機械に供給される電流および電圧、ならびに、前記コンバータの整流器とインバータとの間の直流(DC)リンク電流のうちの少なくとも一方を示す、
方法。」
3.当審の拒絶の理由
平成28年9月1日付の当審の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
「この出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。
記
(1)この出願の発明の構成が不明である。例えば、請求項1に、「トレーンに機械的に接続された電気機械」との訳語あるが、そもそもトレーンとの日本語はどの様な機械を意味するのか不明であり、ガスタービンが含まれるのか否か不明(図面等にはモータにガスタービンが接続されたものしか開示が無い)であり、負荷・軸は含まれるのか否か不明(図3において、どの部分がトレーンか。)である。請求項8-10も同様である。
更に、図3において、負荷を駆動するのは、モータだけか、ガスタービンだけか、両方か不明であり、仮に両方であるとすると、モータとガスタービンが等速で回転しない場合(一方が他方より高速で回転しようとする場合)、低速で回転しようとするものが高速で回転しようとするものの負荷になり、より捻りが発生するものと考えるが、この点不明である。
更に、請求項1に、「前記コンバータまたは前記電気機械の変数に関連する測定されたデータを受け取るように構成された入力インターフェース」との訳語があるが、「変数に関連する測定されたデータ」とは一般的な用語ではないため、変数とはどの様なものを意味するのか不明であり、「関連する」は曖昧な表現であるためどの様に関連するのか不明であり、したがってどの様なデータであるのか不明である。請求項8も同様である。
更に、請求項1に、「前記入力インターフェースからの前記データに基づいて」との訳語があるが、「基づいて」は曖昧な表現であるため、データをどの様に用いて動的トルク成分をどの様に計算するのか不明である。請求項8、9も同様である。
更に、請求項1に、「慣性値、減衰値および剛性値を推定する機械的モデル」との訳語があるが、当該モデルをどの様にして構築するのか何ら開示が無く不明(そもそも「トレーンに機械的に接続された電気機械」とあるだけで、トレーン、電気機械がどの様な形状・構造・材質であって、負荷がどの様なものであって、これらを接続する軸がどの様な形状・構造・材質であるのか何ら特定が無く、これらが決まらなければモデルを構築できない。しかも、当該モデルと慣性値、減衰値および剛性値の関係がどの様になるのか何ら示されていない。)である。請求項8-10も同様である。
更に、請求項1に、「前記トレーンの軸の区間に沿った少なくとも1つの動的トルク成分を計算」との訳語があるが、「トレーンの軸の区間」とはどの様な意味か不明(区間がトレーンの軸の意味か、トレーンの軸を区間に区分する意味か、それ以外か。)であり、区間がトレーンの軸の場合、トレーンの軸の位置によって動的トルクは異なるものと考えられ、何故トレーンの軸の一箇所のみで動的トルク成分を計算するのか不明であり、トレーンの軸を区間に区分する場合、何故幾つかある区間のうち一つの区間で計算できれば足りるのか不明であり、「少なくとも1つ」とあるから複数でも良いこととなるが、計算した複数の動的トルク成分が異なる値の場合、どの様に異なった値を調整するのか不明(複数の異なる値をどの様に演算に用いるのか)であり、機械的モデルをどの様に用いて動的トルク成分を計算するのか何ら開示が無く不明である。請求項8-10も同様である。
更に、請求項1に、「前記少なくとも1つの動的トルク成分に基づいて、前記トレーン内のねじり振動を減衰させるための前記コンバータの制御データを生成」との訳語があるが、動的トルク成分をどの様に用いて(どの様な演算を行って)どの様な制御データを生成するのか何ら開示が無く不明であり、「少なくとも1つ」とあるから複数でも良いこととなるが、複数の動的トルク成分が異なる値の場合、どの様に異なった値を調整するのか不明(複数の異なる値をどの様に演算に用いるのか)である。請求項8-10も同様である。
更に、請求項1に、「前記コンバータと前記電気機械との間で交換される有効電力を変調するために前記制御データを前記コンバータに送る」との訳語があるが、制御データをどの様に用いて有効電力を変調するのか不明である。請求項8-10も同様である。
更に、請求項6に、「前記受け取られたデータが、前記電気機械の角度位置、速度、加速度、またはトルクを示し」との訳語があるが、どの実施例も、電圧と電流しか検出していないにもかかわらず、何故電気機械の角度位置、速度、加速度、またはトルクが測定されたデータとして受け取ることができるのか不明(なお【0007】が本願の前提である)であり、【0024】の「(モータの軸の測定されたトルク、速度、または加速度に関する情報なし)」との記載とも矛盾するため、構成が特定できず不明である。請求項7、10も同様である。」
4.拒絶の理由に対する当審の判断
(1)請求項1に、「ドライブトレーンに機械的に接続された電気機械」とあり、ドライブトレーンは動力伝達手段を意味するが、単に動力伝達手段では様々なものが該当(「しかし、当業者は、より多数またはより少数の構成要素を有する他のシステムを、これから議論する新規の特徴を含むように適合させることができることを理解するはずである。」【0018】参照)し、本願発明においてどの様なものが含まれるのか明細書の記載を参照しても不明であって、この場合のドライブトレーンとはどの様な機械を含むことを意味するのか不明であり、又、図面にはモータにガスタービンが接続されたものしか開示がないが、ガスタービンは含まれるのか否か不明であり、負荷・軸は含まれるのか否か不明(図3のどの部分がドライブトレーンか不明。)である。請求項2、3も同様である。
(2)図3において、負荷を駆動するのは、モータだけか、ガスタービンだけか、両方か不明であり、仮に両方であるとすると、モータとガスタービンが等速で回転しない場合(一方が他方より高速で回転しようとする場合)、モータがガスタービンの負荷になったり、ガスタービンがモータの負荷になったりして、より捻りが発生するものと考えるが、この点不明であり、ひいてはドライブトレーンとはどの部分のことを意味するのか不明である。
(3)請求項1に、「測定されたデータを受け取るように構成された入力インターフェース」とあるが、コンバータ、電気機械との特定が無くなったため、コンバータまたは電気機械の変数に関連する測定されたデータに限られることなく、如何なる種類のデータであっても良いこととなるが、何故如何なる種類のデータであってもねじりモードを減衰できるのか不明であり、明細書の何処に対応する記載があるのか不明(何処に如何なる種類のデータであっても良いとの記載があるのか。【0007】の記載と矛盾している。)であり、又、請求項1に、「前記データが、前記コンバータによって前記電気機械に供給される電流および電圧、ならびに、前記コンバータの整流器とインバータとの間の直流(DC)リンク電流のうちの少なくとも一方を示す」とあるが、少なくとも一方を示すとあるから、データは当該データ以外に如何なる種類のデータであっても良いこととなるが、何故如何なる種類のデータであってもねじりモードを減衰できるのか不明であり、明細書の何処に対応する記載があるのか不明(何処に如何なる種類のデータであっても良いとの記載があるのか。【0007】の記載と矛盾している。)であり、少なくとも一方を示すとあるから、直流(DC)リンク電流のみで良いこととなるが、この場合どの様にしてねじりモードを減衰できるのか明細書に何等開示が無く不明である。請求項2、3も同様である。
(4)請求項1に、「前記入力インターフェースからの前記データを、慣性値、減衰値および剛性値を推定する機械的モデルに入力して、前記ドライブトレーンの軸の区間に沿った少なくとも1つの動的トルク成分を計算し」とあり、「慣性値、減衰値および剛性値を推定する機械的モデル」とあるが、当該モデルをどの様にして構築するのか明細書に何ら開示が無く不明(そもそも「ドライブトレーンに機械的に接続された電気機械」とあるだけで、ドライブトレーン、電気機械がどの様な形状・構造・材質であって、負荷がどの様なものであって、これらを接続する軸がどの様な形状・構造・材質であるのか何ら特定が無く、これらが決まらなければモデルを構築できない。しかも、当該モデルと慣性値、減衰値および剛性値の関係がどの様になるのか何ら示されていない。)であり、又、「前記入力インターフェースからの前記データ」とあるが、入力インターフェースからの如何なる種類であっても良いデータをどの様に用いて動的トルク成分をどの様に計算するのか明細書に何等開示が無く不明(どの様な機械的モデルにデータを入力してどの様に動的トルク成分が計算できるのか演算式が何等開示されていない)であり、又、「前記ドライブトレーンの軸の区間に沿った少なくとも1つの動的トルク成分」とあるが、「ドライブトレーンの軸の区間」とはどの様な意味か構成が特定できず不明(区間がドライブトレーンの軸の意味か、ドライブトレーンの軸を区間に区分する意味か、それ以外か。)であり、仮に請求人が平成28年12月2日付意見書で主張するように「軸の区間」が軸を区分した区間を意味するとすると、「少なくとも1つ」とあるから、幾つかあるドライブトレーンの軸の区間のうち何故一つの区間で動的トルク成分が計算できればねじり振動を減衰させるのに足りるのか不明であり、しかも動的トルク成分が計算できたとしても何故軸の一つの区間での動的トルク成分であると特定できるのか不明(軸が複数区分を有するとき、何故何処か一つの区間の動的トルク成分であると特定できるのか不明。二つ以上の区間ではなく何故一つの区間の動的トルク成分であると特定できるのか不明。)であり、「少なくとも1つの動的トルク成分」とあるから複数でも良いこととなるが、計算した複数の動的トルク成分が異なる値の場合、どの様に異なった値を調整するのか不明(複数の異なる値をどの様に演算に用いるのか)であり、そもそも得られるデータから何故複数の動的トルク成分が計算で得られるのか不明であり、機械的モデルをどの様に用いて動的トルク成分を計算するのか明細書に何ら開示が無く不明である。請求項2、3も同様である。
(5)請求項1に、「前記少なくとも1つの動的トルク成分に基づいて、前記ドライブトレーン内のねじり振動を減衰させるための前記コンバータの制御データを生成し」とあるが、機械であるコントローラがデータを生成するのであるから、何らかの演算を行ってデータを生成するはずであるが、動的トルク成分をどの様に用いて(どの様な演算を行って)どの様な制御データを生成するのか明細書に何ら開示が無く不明であり、「少なくとも1つ」とあるから複数でも良いこととなるが、複数の動的トルク成分が異なる値の場合、どの様に異なった値を調整するのか不明(複数の異なる値をどの様に演算に用いるのか)である。請求項2、3も同様である。
(6)請求項1に、「前記コンバータと前記電気機械との間で交換される有効電力を変調するために前記制御データを前記コンバータに送る」とあるが、機械であるコントローラがデータを送るのであるから、何らかの演算を行ってデータを送るはずであるが、有効電力を変調するためにどの様な演算を行ってどの様な制御データをコンバータに送るのか明細書に何等開示が無く不明であり、請求項1に、「前記コンバータの一部である整流器の整流器制御遅れ角および前記コンバータの一部であるインバータのインバータ制御遅れ角の少なくとも一方を変更して」と記載されているが、動的トルク成分をどの様に用いて(どの様な演算を行って)どの様にして各制御遅れ角を求めるのか、各制御角の遅れをどの様に配分するのか明細書に何ら開示が無く不明である。請求項2、3も同様である。
(7)したがって、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないので、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、請求項1-3の記載は、発明の詳細な説明を参照しても明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
5.むすび
したがって、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないので、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、請求項1-3の記載は、発明の詳細な説明を参照しても明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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