特許拒絶査定不服審判
2015-019341
不整地走行用の空気入りタイヤ
- 審判番号
- 2015-019341
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-152822外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年10月28日
- 審決日
- 2017年02月27日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】住友ゴム工業株式会社
- 【請求人代理人】住友 慎太郎
- 分類
- P18 .113-WY (B60C) / P18 .121-WY (B60C) / P18 .537-WY (B60C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-152822号「不整地走行用の空気入りタイヤ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月30日出願公開、特開2014- 15095号、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年7月6日の出願であって、平成26年5月30日付けで拒絶理由が通知され、同年7月16日に意見書及び手続補正書が提出され、平成27年1月23日付けで拒絶理由が通知され、同年3月2日に意見書が提出され、同年7月29日付けで拒絶査定がされ、同年10月28日に拒絶査定不服審判が請求され、平成28年10月3日付けで拒絶理由が通知され、同年11月24日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~10に係る発明(以下「本願発明1~10」という。)は、平成28年11月24日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される次のとおりのものである(なお、下線部が補正箇所である。)。
「【請求項1】
トレッド部に、複数個のブロックが設けられたブロックパターンを有する不整地走行用の空気入りタイヤであって、
前記トレッド部は、トレッド端からタイヤ赤道と前記トレッド端との間のトレッド展開長さであるトレッド展開半幅の20%の領域である端部領域を有し、
前記ブロックは、タイヤ半径方向の外側を向く踏面と、該踏面のエッジからタイヤ半径方向内側にのびる壁面とを含み、
前記ブロックは、前記トレッド端に沿って前記端部領域に踏面の面積の60%以上が配されたショルダーブロックを含み、
前記ショルダーブロックは、タイヤ周方向の長さの略中間部に、トレッド端側の前記壁面からタイヤ赤道側にのびて途切れる凹溝を具えた横向きのU字状ブロックと、タイヤ赤道側の前記壁面から前記トレッド端側にのびて途切れる凹溝を具えた逆U字状ブロックとを含むことを特徴とする不整地走行用の空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記U字状ブロックの前記踏面は、タイヤ周方向の最大長さがタイヤ軸方向の最大長さよりも大きい縦長状である請求項1記載の不整地走行用の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記U字状ブロックの前記踏面は、タイヤ赤道側をタイヤ周方向に沿ってのびる内側エッジと、トレッド端側の外側エッジと、
前記内側エッジと前記外側エッジとの間をブロックのタイヤ周方向の両端部側でのびる第1周方向端部エッジ及び第2周方向端部エッジとを有し、
前記外側エッジは、前記凹溝から前記第1周方向端部エッジに向かってタイヤ赤道側に傾斜する第1外側エッジ部と、前記凹溝から前記第2周方向端部エッジに向かってタイヤ赤道側に傾斜する第2外側エッジ部とを含む請求項1又は2記載の不整地走行用の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記U字状ブロックの前記踏面は、タイヤ赤道側をタイヤ周方向に沿ってのびる内側エッジと、トレッド端側の外側エッジと、
前記内側エッジと前記外側エッジとの間をブロックのタイヤ周方向の両端部側でのびる第1周方向端部エッジ及び第2周方向端部エッジとを有し、
前記第1周方向端部エッジ及び前記第2周方向端部エッジは、タイヤ赤道側からトレッド端側に向かって互いに離間する向きに傾斜している請求項1乃至3のいずれかに記載の不整地走行用の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記U字状ブロックの前記踏面は、タイヤ赤道側をタイヤ周方向に沿ってのびる内側エッジと、トレッド端側の外側エッジと、
前記内側エッジと前記外側エッジとの間をブロックのタイヤ周方向の両端部側でのびる第1周方向端部エッジ及び第2周方向端部エッジとを有し、
前記第1周方向端部エッジと前記内側エッジとがなすコーナ部、及び、前記第2周方向端部エッジと前記内側エッジとがなすコーナ部には、それぞれ、面取部が設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の不整地走行用の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記面取部は、前記踏面の中心側に向かって凸となる曲率半径が2mm以下の円弧状である請求項5に記載の不整地走行用の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記踏面において、前記凹溝の溝幅は、前記踏面のタイヤ周方向の最大長さの0.10~0.30倍である請求項1乃至6のいずれかに記載の不整地走行用の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記踏面において、前記凹溝のタイヤ軸方向長さは、前記踏面のタイヤ軸方向の最大幅の0.15~0.50倍である請求項1乃至7のいずれかに記載の不整地走行用の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記ブロックは、前記トレッド部の中央部に配されたセンターブロックと、前記センターブロックと前記ショルダーブロックとの間の領域に配されたミドルブロックとを含み、 前記ミドルブロックは、前記U字状ブロックを含み、
前記トレッド部は、タイヤ赤道の両側において、前記U字状ブロックからなる前記ショルダーブロックと、前記U字状ブロックからなる前記ミドルブロックとがタイヤ周方向に交互に設けられている請求項1乃至8のいずれかに記載の不整地走行用の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記ブロックは、前記トレッド部の中央部に配されたセンターブロックと、前記センターブロックと前記ショルダーブロックとの間の領域に配されたミドルブロックとを含み、 前記ミドルブロックは、前記U字状ブロックを含み、
前記逆U字状ブロックからなる前記ショルダーブロックと、前記U字状ブロックからなる前記ミドルブロックとは、タイヤ軸方向で互いに向き合っている請求項1乃至9のいずれかに記載の不整地走行用の空気入りタイヤ。」
第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
平成26年7月16日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
記
請求項1の補正は、補正前の請求項1に記載されていた「前記ブロックは、前記トレッド部の中央部に配されたセンターブロックと、トレッド端に沿って配されたショルダーブロックと、前記センターブロックと前記ショルダーブロックとの間の領域に配されたミドルブロックとを含み」との構成を削除する補正を含むものである。
しかし、当該構成には、センターブロック又は/及びミドルブロックを備えない構成のものが含まれるが、当初明細書或いは図面に、センターブロックとミドルブロックを備えないものは記載されていないから、当該補正は新規事項を含むものである。
2 当審の判断
ア 当初明細書には、「旋回中のグリップ力及びトラクション性能を維持しつつ、角張り感を軽減してハンドリングの軽快性を向上させた不整地走行用の空気入りタイヤ」について開示されているところ(段落【0001】)、かかる空気入りタイヤは、「トレッド部に複数個のブロックが設けられたブロックパターンの空気入りタイヤ」(段落【0002】)や「ブロックの踏面や壁面に凹部を設けた空気入りタイヤ」(段落【0003】)といった従来の空気入りタイヤが有する問題、すなわち、「ブロックのトレッド端側の剛性が相対的に大きい。このような剛性の偏りは、旋回時、ドライバーに、ごつごつとした感触の操作性である『角張り感』を与え、ハンドリングの軽快性を悪化させるという問題」に鑑みて案出されたものであり(段落【0005】)、「ミドルブロック又はショルダーブロックに、トレッド端側の壁面から、タイヤ赤道側にのびて途切れる凹溝を具える横向きのU字状ブロックを用いることを基本として、旋回中のグリップ力及びトラクション性能を維持しつつ、角張り感を軽減してハンドリングの軽快性を向上させ得る不整地走行用の空気入りタイヤを提供すること」を課題とするものである(段落【0006】)。
イ そして、その効果は、「本発明の不整地走行用の空気入りタイヤは、ミドルブロック又はショルダーブロックの少なくとも一つが、タイヤ周方向の長さの略中間部に、トレッド端側の壁面からタイヤ赤道側にのびて途切れる凹溝を具えた横向きのU字状ブロックを含む。このようなブロックは、エッジ成分を大きく確保し、旋回中のグリップ力及びトラクション性能を維持する。また、このようなブロックは、凹溝により、トレッド端側の剛性が緩和されている。このため、本発明のタイヤは、旋回時、U字状ブロックのトレッド端側が適度に変形し、角張り感を軽減させ、ひいてはハンドリングの軽快性や旋回時の接地感を向上させることができる。」(段落【0016】)というものであり、より具体的には、「本実施形態のショルダーブロック13は、U字状ブロック18と、タイヤ赤道C側の壁面16からトレッド端側にのびて途切れる凹溝17を具えた逆U字状ブロック19とを含んでいる。このようなショルダーブロック13は、フルバンク付近でのグリップ力を向上させながら、車体が起上がる際の接地感を向上させる。」(段落【0050】)というものである。
ウ 以上を踏まえて検討すると、当初明細書の請求項1には、「トレッド部に、複数個のブロックが設けられたブロックパターンを有する不整地走行用の空気入りタイヤであって、 前記ブロックは、前記トレッド部の中央部に配されたセンターブロックと、トレッド端に沿って配されたショルダーブロックと、前記センターブロックと前記ショルダーブロックとの間の領域に配されたミドルブロックとを含み、・・・不整地走行用の空気入りタイヤ。」と記載されており、確かに、「トレッド部に、複数個のブロックが設けられたブロックパターンを有する不整地走行用の空気入りタイヤ」において、「センターブロック」、「ショルダーブロック」及び「ミドルブロック」を設けることが記載されている。
しかし、上記アで述べたとおり、当初明細書に記載された発明が解決しようとする課題は、「ミドルブロック又はショルダーブロックに、・・・U字状ブロックを用いることを基本として、旋回中のグリップ力及びトラクション性能を維持しつつ、角張り感を軽減してハンドリングの軽快性を向上させ得る不整地走行用の空気入りタイヤを提供する」というものであるから、かかる課題を解決するためには、少なくとも「ミドルブロック」又は「ショルダーブロック」の構成が特定されれば足りるものと解され、特に「センターブロック」の構成までをも特定しなければ発明が構成し得ないというものではない。
これについて補足すれば、上記「センターブロック」は、「トレッド部2の排土性が維持され、直進時及び制動時のグリップ力が向上する」という機能を有するものとして位置付けられ(段落【0026】)、また、「ミドルブロック」又は「ショルダーブロック」は、「旋回中のグリップ力及びトラクション性能が維持される。また、・・・そのトレッド端側の剛性が緩和される。このため、U字状ブロック18は、旋回時にブロックのトレッド端側が変形し、角張り感を軽減させ、ひいてはハンドリングの軽快性や旋回時の接地感が向上する」という機能を有するものとして位置付けられるものであるから(段落【0031】)、上記課題は、少なくとも「ミドルブロック」又は「ショルダーブロック」の構成を特定することにより解決するものと理解することができ、それは、上記イで述べた発明の効果とも符合するものである。
エ したがって、「トレッド部に、複数個のブロックが設けられたブロックパターンを有する不整地走行用の空気入りタイヤ」を前提として、少なくとも「ショルダーブロック」における課題解決のための構成を特定して発明を構成することは、当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものといえる。
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、平成28年10月3日付けの拒絶理由通知における拒絶の理由(平成26年7月16日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に対する拒絶の理由)であり、その概要は以下のとおりである。
[理由1]本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない。
[理由2]本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
[理由3]本願の請求項2~4、7、8に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基いて、また、本願の請求項5、6に係る発明は、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、上記[理由2]及び[理由3]に関し、次の刊行物1及び刊行物2が示されている。
刊行物1:特開2012-30615号公報
刊行物2:特開2008-120351号公報
2 当審拒絶理由の判断
2-1 [理由1]について
平成28年11月24日付けの手続補正により、本願の請求項1~10は、上記「第2」のとおり補正されるものであるところ、かかる補正は、当初明細書の段落【0027】等の記載を根拠に、「前記トレッド部は、トレッド端からタイヤ赤道と前記トレッド端との間のトレッド展開長さであるトレッド展開半幅の20%の領域である端部領域を有し」との事項を追加するとともに、補正前の「前記ブロックは、トレッド端に沿って配されたショルダーブロックを含み」との事項を、「前記ブロックは、前記トレッド端に沿って前記端部領域に踏面の面積の60%以上が配されたショルダーブロックを含み」に補正するものである。
そして、この補正により、上記[理由1]は解消した。
2-2 [理由2]について
(1)刊行物1に記載された発明
ア 刊行物1には、「エッジ成分を増大させ、不整地での操縦安定性を向上しうる不整地走行用の自動二輪車用タイヤ」に関する技術について開示されているところ(段落【0001】)、その特許請求の範囲には、次のとおり記載されている。
「【請求項1】
トレッド部に、複数のブロックが配置された不整地走行用の自動二輪車用タイヤであって、
前記ブロックの少なくとも一つは、ブロック縁からブロック中央部側へのびる一対の第1サイプと、該第1サイプ間を継ぐ第2サイプとからなる切込部により、該切込部の内側に区分される副部と、該切込部の外側に区分される主部とを具えた切込付ブロックであり、
前記副部の踏面は、前記主部の踏面に対して位置ずれして設けられるとともに、
前記副部の前記ブロック縁からタイヤ半径方向内方にのびる副部外壁面は、前記主部の前記ブロック縁からタイヤ半径方向内方にのびる主部外壁面に対して位置ずれして設けられることを特徴とする不整地走行用の自動二輪車用タイヤ。
・・・
【請求項3】
前記副部の踏面は、前記主部の踏面から凹むとともに、前記副部外壁面は、前記主部外壁面から凹む請求項1記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤ。」
イ また、刊行物1の記載によれば、上記自動二輪車用タイヤの実施の態様として、
(ア)ブロックBは、タイヤ赤道C上に設けられたセンターブロックBc、トレッド端2tに沿って配されたショルダーブロックBs、及びセンターブロックBcとショルダーブロックBsとの間に配されたミドルブロックBmを含んで構成され得ること(段落【0034】)、
(イ)センターブロックBc、ショルダーブロックBs及びミドルブロックBmは切込付ブロック21として形成され得ること(段落【0040】)、
(ウ)ショルダーブロックBsの踏面11は、その幅W2がトレッド展開幅TWeの9~14%程度に設定されること(段落【0037】)、が明らかである。
ウ さらに、図2より、
(ア)前記ショルダーブロックBsの副部17は、タイヤ赤道Cを向くように配置されていること、
(イ)前記ミドルブロックBmの副部17は、トレッド端2tを向くように配置されていること、
(ウ)前記ミドルブロックBmは、トレッド端2tと一定間隔を隔てて沿うような状態で配置されていること、を看取し得る。
エ 以上によれば、刊行物1には、
「トレッド部2に、複数のブロックBが配置された不整地走行用の自動二輪車用タイヤであって、
前記ブロックBの少なくとも一つは、ブロック縁からブロック中央部側へのびる一対の第1サイプと、該第1サイプ間を継ぐ第2サイプとからなる切込部14により、該切込部14の内側に区分される副部17と、該切込部14の外側に区分される主部16とを具えた切込付ブロック21であり、
前記副部17の踏面は、前記主部16の踏面に対して位置ずれして設けられるとともに、
前記副部17の前記ブロック縁からタイヤ半径方向内方にのびる副部外壁面は、前記主部16の前記ブロック縁からタイヤ半径方向内方にのびる主部外壁面に対して位置ずれして設けられ、
前記副部17の踏面は、前記主部16の踏面から凹むとともに、前記副部外壁面は、前記主部外壁面から凹むものであり、
前記ブロックBは、タイヤ赤道C上に設けられたセンターブロックBc、トレッド端2tに沿って配されたショルダーブロックBs、及びセンターブロックBcとショルダーブロックBsとの間に配されたミドルブロックBmを含んで構成され、
前記センターブロックBc、前記ショルダーブロックBs及び前記ミドルブロックBmは切込付ブロック21として形成され、
前記ショルダーブロックBsの踏面11は、その幅W2がトレッド展開幅TWeの9~14%程度に設定され、
前記ショルダーブロックBsの副部17は、タイヤ赤道Cを向くように配置され、
前記ミドルブロックBmの副部17は、トレッド端2tを向くように配置され、
前記ミドルブロックBmは、トレッド端2tと一定間隔を隔てて沿うような状態で配置されている、不整地走行用の自動二輪車用タイヤ。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
なお、引用発明における各構成要素の符号は、刊行物1の符号の説明(段落【0084】)の記載等を参酌して付与した。
(2)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「トレッド部2」、「ブロックB」及び「不整地走行用の自動二輪車用タイヤ」は、本願発明1の「トレッド部」、「ブロック」及び「不整地走行用の空気入りタイヤ」に相当する。
また、引用発明の「ブロックB」は、「トレッド部2に、複数・・・配置され」るものであり、そのような配置によってブロックパターンが形成されることも明らかであるから、引用発明の「トレッド部2に、複数のブロックBが配置された不整地走行用の自動二輪車用タイヤ」は、本願発明1の「トレッド部に、複数個のブロックが設けられたブロックパターンを有する不整地走行用の空気入りタイヤ」に相当するものといえる。
さらに、引用発明は、「自動二輪車用タイヤ」として構成されるものであるから、トレッド部2に、トレッド端が存在すること、さらに、タイヤ赤道とトレッド端との間には、トレッド展開長さであるトレッド展開半幅の20%の領域である端部領域が存在することは自明であり、したがって、本願発明1の「前記トレッド部は、トレッド端からタイヤ赤道と前記トレッド端との間のトレッド展開長さであるトレッド展開半幅の20%の領域である端部領域を有し」との構成を具備したものといえる。
イ 引用発明において、「ブロックB」は、その少なくとも一つが「副部17」と「主部16」とを具えた「切込付ブロック21」として構成されるものであり、さらに、上記「主部16」は、「踏面」及び「ブロック縁からタイヤ半径方向内方にのびる主部外壁面」を含み構成されるものであるから、かかるブロックB(切込付ブロック21)の構成は、本願発明1における「ブロック」の「タイヤ半径方向の外側を向く踏面と、該踏面のエッジからタイヤ半径方向内側にのびる壁面とを含み」という構成に相当するものといえる。
ウ 引用発明の「ブロックB」は、「トレッド端2tに沿って配されたショルダーブロックBs」を含んで構成されるものであるところ、「前記ショルダーブロックBsの踏面11は、その幅W2がトレッド展開幅TWeの9~14%程度に設定され」るものであるから、上記「ショルダーブロックBs」の踏面が、上記アで述べた「端部領域」に配されることは明らかである。
したがって、引用発明における上記「ブロックB」に係る構成と本願発明1の「前記ブロックは、前記トレッド端に沿って前記端部領域に踏面の面積の60%以上が配されたショルダーブロックを含み」とする構成とは、「前記ブロックは、前記トレッド端に沿って前記端部領域に踏面が配されたショルダーブロックを含み」という構成の限度で共通するものといえる。
エ 引用発明の「ショルダーブロックBs」は、「副部17」と「主部16」とを具えた「切込付ブロック21」として構成されるとともに、「前記副部17の踏面は、前記主部16の踏面から凹むとともに、前記副部外壁面は、前記主部外壁面から凹む」ものであるところ、そのような「凹む」構成により、図9にも示されるとおり、切込付ブロック21の副部17が、タイヤ周方向の長さの略中間部に形成される凹溝をなし、主部16がU字状あるいは逆U字状のブロックの形態をなすことが明らかである。
また、引用発明において、「前記ショルダーブロックBsの副部17は、タイヤ赤道Cを向くように配置され」るものであるから、「ショルダーブロックBs」は、タイヤ赤道C側の壁面からトレッド端2t側にのびて途切れる凹溝を具えた逆U字状ブロックということができる。
そうすると、引用発明の「ショルダーブロックBs」の配設構成と、本願発明1の「前記ショルダーブロックは、タイヤ周方向の長さの略中間部に、トレッド端側の前記壁面からタイヤ赤道側にのびて途切れる凹溝を具えた横向きのU字状ブロックと、タイヤ赤道側の前記壁面から前記トレッド端側にのびて途切れる凹溝を具えた逆U字状ブロックとを含む」という構成とは、「前記ショルダーブロックは、タイヤ周方向の長さの略中間部に、タイヤ赤道側の前記壁面から前記トレッド端側にのびて途切れる凹溝を具えた逆U字状ブロックとを含む」という構成の限度で共通するものといえる。
したがって、本願発明1と引用発明とは、
「トレッド部に、複数個のブロックが設けられたブロックパターンを有する不整地走行用の空気入りタイヤであって、
前記トレッド部は、トレッド端からタイヤ赤道と前記トレッド端との間のトレッド展開長さであるトレッド展開半幅の20%の領域である端部領域を有し、
前記ブロックは、タイヤ半径方向の外側を向く踏面と、該踏面のエッジからタイヤ半径方向内側にのびる壁面とを含み、
前記ブロックは、前記トレッド端に沿って前記端部領域に踏面が配されたショルダーブロックを含み、
前記ショルダーブロックは、タイヤ周方向の長さの略中間部に、タイヤ赤道側の前記壁面から前記トレッド端側にのびて途切れる凹溝を具えた逆U字状ブロックとを含む、不整地走行用の空気入りタイヤ。」の点で一致し、以下の点で相違している。
〔相違点〕
本願発明1は、ショルダーブロックが、「タイヤ周方向の長さの略中間部に、トレッド端側の前記壁面からタイヤ赤道側にのびて途切れる凹溝を具えた横向きのU字状ブロック」をも含み構成されるものであり、また、ショルダーブロックの「踏面の面積の60%以上」が端部領域に配されるものであるのに対し、引用発明は、ショルダーブロックが、そのような横向きのU字状ブロックをも含むものではなく、また、ショルダーブロックの端部領域における踏面の面積割合が明らかでない点。
(3)判断
上記(2)で述べたとおり、本願発明1と引用発明は相違点を有するものであり、本願発明は引用発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものとはいえなくなった。
2-3 [理由3]について
本願発明2~8は、本願発明1の発明特定事項をすべて含み、本願発明1をさらに限定したものであるから、本願発明2~8と引用発明とは、少なくとも上記「2-2」で述べた相違点で相違するものである。
そこで上記相違点について検討すると、刊行物1には、上記相違点に係る本願発明2~8の構成は記載も示唆もなされていない。
また、刊行物2(特に、【請求項3】、段落【0028】~段落【0029】、段落【0038】等を参照)には、トレッド部2に、複数個のブロック7が設けられたブロックパターンを有する不整地走行用の空気入りタイヤにおいて、前記ブロック7の壁面を2つの平面部が交差する平面交差部を含むように構成するとともに、前記平面交差部の2つの平面部に跨って凹部11を形成することが記載されているが、上記相違点に係る本願発明2~8の構成は記載も示唆もなされていない。
そして、本願発明2~8は、上記相違点に係る「ショルダーブロック」を設けることにより、「U字状ブロック18と、タイヤ赤道C側の壁面16からトレッド端側にのびて途切れる凹溝17を具えた逆U字状ブロック19とを含んでいる。このようなショルダーブロック13は、フルバンク付近でのグリップ力を向上させながら、車体が起上がる際の接地感を向上させる」(段落【0050】)という格別の効果を奏するものである。
したがって、本願発明2~8は、引用発明及び刊行物2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえなくなった(なお、本願発明9及び10については、拒絶の理由3を通知していない。)。
第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2015-019341