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特許拒絶査定不服審判

2015-011027

段ボールを形成するための改善された方法および装置

審判番号
2015-011027
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-502518
請求日
2015年06月10日
審決日
2017年04月24日
公報発行日
2017年11月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】コルセル・アイピー・リミテッド
  • 【請求人代理人】村山 靖彦
  • 【請求人代理人】実広 信哉
  • 【請求人代理人】阿部 達彦
審判長/審判官
  • 審判長 平岩 正一
  • 審判官 渡邊 真
  • 審判官 刈間 宏信
分類
P18 .121-WZ (B31F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-502518「段ボールを形成するための改善された方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年10月 6日国際公開、WO2011/122968、平成25年 6月17日国内公表、特表2013-523492〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 本件出願は、平成23年3月31日(パリ条約による優先権主張日平成22年3月31日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成26年9月16日付けで拒絶理由が通知され、同年10月29日に意見書が提出されたが、平成27年4月22日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされた。 これに対し、同年6月10日に本件審判の請求がなされると同時に手続補正がされ、当審において平成28年7月13日付けで拒絶理由が通知され、平成29年1月12日に意見書の提出とともに手続補正がされたものである。 第2.本願発明について 1.本願発明 本件出願の請求項1~4に係る発明は、平成29年1月12日に手続補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりである。 「【請求項1】 自動化プロセスを介して多孔質材料の片面波形シートを冷間で製造するための装置であって、前記装置は、 -波形成形ローラと、 -糊の個々の液滴を波形成形されたばかりのシート材料の頂部に適用するための、起伏のあるローラと、 -複数の隣接するフルートを含む、無端フルート状コンベア表面を有する無端フルート状コンベアベルトアセンブリであって、前記フルートが、前記波形成形ローラ上の歯に対応するように構成される、無端フルート状コンベアベルトアセンブリと、 -接着剤が糊アプリケータによって適用される間、波形成形されたばかりのシート材料を前記フルート状コンベア表面に対して保持するように構成される、圧力機構と、 -平面シート材料および前記波形シート材料を一緒に保持することにより、加熱を行うことなく固着がそれらの間に形成される、無端線形引張ベルトアセンブリと、を含み、 前記圧力機構は、真空ポンプの形態であり、前記真空ポンプは、前記無端フルート状コンベアアセンブリの前部にのみ位置付けられる、装置。」(以下、「本願発明」という。) 2.刊行物に記載された発明 当審による平成28年7月13日付け拒絶理由通知書に引用され、本件出願前に頒布された刊行物である特公昭63-65502号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (ア)「第1図に示すように、例えば片面にライナーを有する段ボールを製造するための機械の主要部は、1個の駆動される波つけシリンダ1、および1個の駆動される歯を備えたエンドレスベルト2よりなる。ベルト2は方向変換ローラ3,4,5,6によって誘導される。 波つけシリンダ1の傍に接着剤塗布装置7および乾燥装置8を設ける。接着剤塗布装置7は駆動される接着剤塗布ローラ9を有し、ローラ9は接着剤容器10内の接着剤11の中に浸漬する。 送られてくる平滑な紙ウエブ12は波つけシリンダ1およびこれと噛み合う歯を備えたベルト2によって掴まれ、波つけシリンダ1のまわりを少なくとも部分的に、好ましくは四半周以上の領域(図示例の場合約120゜)にわたって取り捲く。波つけシリンダ1および歯付きベルト2の歯の形は普通よりも幾分尖つた輪郭をしている。 歯付きベルト2はベルトの張力および複数の荷重ローラ13,14,15,16によって波つけシリンダ1へ押し付けられる。荷重ローラの軸は波つけシリンダ1の半径方向にかどう取付けられ、適当な圧縮ばねによって負荷される。 紙ウエブ12に有効に波つけするために、波つけシリンダ1に空室17を設け、波つけシリンダ1を加熱するための蒸気をこの中に通ずる。 波つけした紙ウエブを伴って歯付きベルト2は波つけシリンダ1から更に接着剤塗布装置7の接着剤塗布ローラ9へ進む。接着剤塗布ローラ9は接着剤11を、歯付きベルト2に接触した波つけした紙ウエブ12の波頭に塗布する。 スクレーパ19を有する掃い落しローラ18は接着剤塗布ローラ9と共同して作業する。 波つけした紙ウエブ12は歯付ベルト2の波形の中に吸込み作用によってしっかりと保持させる。そのために真空ポンプ20を吸込み管21を介して吸込み箱22に接続する。吸込み箱22は、歯付きベルト2の上に、波つけシリンダ1から接着剤塗布装置7および乾燥装置8にかけての領域にある。吸込み箱22の中に負圧を作る。 歯付きベルト2を縦に分割し、或はこれを紙ウエブの全幅に広がらせて所々に吸込み用孔もしくはスロツトを設けることも可能である。上述の孔を介して、もしくは分割した場合はベルト間隙から、波つけした紙ウエブを歯付きベルト2に吸い付ける。 また波つけした紙ウエブ12を機械的保持装置、例えば図には示さない誘導レールによって、歯付ベルト2の波形の中にしっかりと保持することも可能である。 平滑なライナー23を接着剤を塗布された波つけした紙ウエブ12に、乾燥装置8の始点において添い合わせる。かようにして片面にライナーを附した段ボール24が乾燥装置8の中へ入る。乾燥装置8は、複数の互いに隣接する加熱板25,26,27よりなる。熱の伝達をよくするために、片面にライナーを附した段ボール24を複数の荷重ローラ28,29,30で加熱板25,26,27に押し付ける。」(2頁4欄32行-3頁6欄8行) (イ)第1図より、真空ポンプ20が、無端フルート状コンベアアセンブリのうち接着剤塗布装置7により接着剤が塗布される部分に配置されることが認識できる。 以上によれば、引用文献1には次の発明が記載されていると認められる。 「片面にライナーを有する段ボールを製造するための機械であって、 波つけシリンダ1と、 接着剤11を波つけした紙ウエブ12の波頭に塗布する接着剤塗布ローラ9と、 波形で、波つけシリンダ1と噛み合う歯を備えている歯付きベルト2(エンドレスベルト2)と、 歯付きベルト2の上の、波つけシリンダ1から接着剤塗布装置7および乾燥装置8にかけての領域にあり、波つけした紙ウエブ12を吸込み作用によってしっかりと保持する吸込み箱22と、 平滑なライナー23と波つけした紙ウエブ12とを押し付ける加熱板25、26、27と、 を含み、 真空ポンプ20が、無端フルート状コンベアアセンブリのうち接着剤塗布装置7により接着剤が塗布される部分に配置され、吸込み管21を介して吸込み箱22に接続される、装置。」(以下、「引用発明」という。) 3.対比 本願発明と引用発明とを比較する。 引用発明の「片面にライナーを有する段ボールを製造するための機械」、「波つけシリンダ1」は、それぞれ本願発明の「自動化プロセスを介して多孔質材料の片面波形シートを」「製造するための装置」、「波形成形ローラ」に相当する。 引用発明の「波つけした紙ウエブ12」、「接着剤塗布ローラ9」は、それぞれ本願発明の「波形成形されたばかりのシート材料」、「ローラ」に相当する。 引用発明の「歯付きベルト2(エンドレスベルト2)」は、波形であるから、本願発明の「複数の隣接するフルートを含む、無端フルート状」という要件を満足し、かつ、波つけシリンダ1と噛み合う歯を備えているから、本願発明の「無端フルート状コンベアベルトアセンブリ」に相当する。 引用発明の「接着剤塗布装置7」は、本願発明の「糊アプリケータ」に相当する。また、引用発明の「吸込み箱22」は、波つけシリンダ1から接着剤塗布装置7および乾燥装置8にかけての領域にあり、波つけした紙ウエブ12を吸込み作用によってしっかりと保持するから、本願発明の「圧力機構」に相当し、引用発明の「平滑なライナー23」は、本願発明の「平面シート材料」に相当する。 引用発明の「吸込み箱22」が真空ポンプ20に接続されていることは、本願発明の「圧力機構は、真空ポンプの形態」であることに相当する。 したがって、本願発明と引用発明とは、次の点で一致している。 「自動化プロセスを介して多孔質材料の片面波形シートを製造するための装置であって、前記装置は、 -波形成形ローラと、 -糊の個々の液滴を波形成形されたばかりのシート材料の頂部に適用するためのローラと、 -複数の隣接するフルートを含む、無端フルート状コンベア表面を有する無端フルート状コンベアベルトアセンブリであって、前記フルートが、前記波形成形ローラ上の歯に対応するように構成される、無端フルート状コンベアベルトアセンブリと、 -接着剤が糊アプリケータによって適用される間、波形成形されたばかりのシート材料を前記フルート状コンベア表面に対して保持するように構成される、圧力機構と、 -平面シート材料および前記波形シート材料を一緒に保持することにより固着がそれらの間に形成される構成と、 を含み、 前記圧力機構は、真空ポンプの形態である、装置。」 そして、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。 [相違点1] 本願発明では、糊の個々の液滴を波形成形されたばかりのシート材料の頂部に適用するためのローラが「起伏のある」ものであるのに対して、引用発明では、ローラが起伏を有するか否か特定されていない点。 [相違点2] 本願発明では、装置が、自動化プロセスを介しての多孔質材料の片面波形シートの製造を「冷間で」行うためのものであり、さらに、無端フルート状コンベアアセンブリと共に平面シート材料および前記波形シート材料を一緒に保持する構成が「無端線形引張ベルトアセンブリ」であるのに対して、引用発明では、冷間で製造するものではなく、一緒に保持する構成が「加熱板」である点。 [相違点3] 本願発明では、「前記真空ポンプは、前記無端フルート状コンベアアセンブリの前部にのみ位置付けられる」のに対して、引用発明では、無端フルート状コンベアアセンブリのうち、接着剤塗布装置7により接着剤が塗布される部分に配置される点。 4.相違点の検討 [相違点1]について 引用文献1(2頁4欄32行~3頁6欄8行、第1図等)には、接着剤を塗布するローラが起伏を有するか否かについては明記されていないが、引用文献1に記載の接着剤塗布ローラは、接着剤中に浸漬し、接着剤を被接着面まで運んで、塗布するものであるから、塗布機能を発揮するためには、接着剤を保持することが必要である。 しかるに、塗布ローラによる接着剤の保持に配慮すれば、表面に起伏のある塗布ローラを採用するのが通常であり、そのような目的で起伏のある接着剤塗布ローラを採用することは、例えば国際公開第2009/145642号(引用文献2、22頁18行~23頁20行等)にも記載されている。 してみると、引用発明において、接着剤塗布ローラとして起伏のあるものを採用することは、当業者であれば容易になし得た事項と認められる。 [相違点2]について 引用発明は、接着剤塗布ローラによって波つけした紙ウェブに接着剤を塗布してライナーと貼り合わせ、一定時間、歯付きベルト(エンドレスベルト)と加熱板とで狭着しつつ、インラインで固着させるものである。 そして、段ボールを製造する装置の技術分野において、加熱に代えて冷間で製造することは、例えば特公昭52-33558号公報(3頁右欄3行~19行)、特開昭59-165641号公報に示されたように、従来周知であり、熱間で固着するか冷間で固着するかは適宜選択し得る程度の事項にすぎない。 したがって、引用発明において熱間に代えて冷間を選択するという発想自体は、単なる選択的事項にすぎない。 また、段ボールを製造する装置の技術分野において、平面シート材料と波形シート材料とを接着剤により接着し固着する際に、それらを無端引張ベルトアセンブリにより所定の圧力により保持することは、例えば国際公開第2009/145642号(引用文献2、24頁~25頁、図1のendless belt13)、特開昭57-22042号公報(引用文献3、4頁左上欄~右上欄、第7図の上部ベルトc1、下部ベルトc2)、特開昭59-165641号公報(2頁右上欄5~17行)等に示すように、本願出願前に周知の技術である。 したがって、引用発明において段ボールを冷間で製造するにあたり、固定された加熱板に代えて無端引張ベルトアセンブリを用いることも、当業者であれば容易になし得たものと認められる。 [相違点3]について 請求項1に係る発明において、無端フルート状コンベアアセンブリの「前部」とは、明細書等の記載を参酌すれば、波形に形成されるシートの搬送経路中の無端フルート状コンベアアセンブリの上流部の一部で、糊アプリケータにより糊が塗布される部分を意味するものと解される。 一方、引用発明においても、吸込み箱22は、無端フルート状コンベアアセンブリのうち、接着剤塗布装置7により接着剤が塗布される部分に配置されるものであるから、両者の技術的意義に実質的な差異はない。 そうすると、真空ポンプと無端フルート状コンベアアセンブリとを、上記相違点に係る配置とすることは、相違点2に係る「後部」の長さに応じて相対的に決定される程度の事項に過ぎない。 よって、請求項1に係る発明は、引用発明、及び、上記各周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たものと認められる。 審判請求人は、平成29年1月12日付け意見書の(2)理由1(第29条第2項)において、次のように主張している。 「引用文献2に記載されたこの無端ベルトは、新請求項1にかかる発明の『無端フルート状コンベアベルトアセンブリ』に対応するものであり、『無端線形引張ベルトアセンブリ』に対応するものではございません。さらに、引用文献3には、『上部ベルトc1』及び『下部ベルトc2』が記載されていますが、引用文献3に記載された発明は、熱間プロセスを前提とする技術であり、冷間プロセスを前提とはしておりません。・・・ そのため、引用文献1~4に記載された発明を組み合わせても、『多孔質材料の片面波形シートを冷間で製造する』装置である新請求項1にかかる発明と同様の構成とすることは、容易には想到できないものと思料します。」(1頁34~44行) しかしながら、引用文献2に記載された無端ベルトはフルートを有していないから「無端フルート状コンベアベルトアセンブリ」に対応すると解する理由は何ら見出せないし、また、冷間で製造することは、[相違点2]で述べたように、当業者であれば適宜選択し得る事項にすぎない。 したがって、請求人による上記主張は、採用することができないものである。 以上のことから、本願発明は、引用発明、及び、上記各周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2015-011027

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