特許拒絶査定不服審判
2015-011014
可変通信容量を備えるモジュール式基地局
- 審判番号
- 2015-011014
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-217714外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年06月10日
- 審決日
- 2017年01月11日
- 公報発行日
- 2017年07月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】インターデイジタル テクノロジー コーポレーション
- 【請求人代理人】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
- 分類
- P18 .567-WZ (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-217714「可変通信容量を備えるモジュール式基地局」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月13日出願公開、特開2014- 30264〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本願は、1999年3月17日(優先権主張1998年3月17日、米国)を国際出願日とする特願2000-537330号の一部を、新たな特許出願とする特願2008-309139号の一部を、さらに新たな特許出願とする特願2011-133724号の一部を、またさらに新たな特許出願とする特願2012-119748号の一部を、さらに平成25年10月18日に新たな特許出願としたものである。
そして、平成26年5月21日付けの拒絶の理由の通知に対して、同年9月29日付けで手続補正書及び意見書が提出され、平成27年2月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同時に手続補正がなされ、当審において、平成28年2月25日付けで、本願は特許請求の範囲の記載が不備で特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていないとの理由を含む拒絶の理由を通知した。そして、これに対して平成28年6月1日付けで手続補正書及び意見書が提出されたものである。
第2.本願発明
本願請求項1~6に係る発明は、平成28年6月1日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)によって補正された特許請求の範囲の記載から見て、本願の特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「 【請求項1】
利用可能なセル容量を改善するために、個別の同期に対するn個の同期信号の各々がn個の個別の時間間隔、最大電力レベルで送信されるように前記n個の同期信号を送信するように構成された回路であって、各個別の時間間隔は、異なる同期信号を送信するためのものである、回路と、
報知チャネル上で情報を加入者ユニットに送信するように構成された回路と、
前記報知チャネルから抽出された少なくとも1つのコードを、アクセスチャネルを要求している加入者ユニットから受信するように構成された回路と
を備えたことを特徴とする符号分割多重アクセス(CDMA)基地局。
【請求項2】
前記n個の同期信号の各々は、コードを含むことを特徴とする請求項1に記載のCDMA基地局。
【請求項3】
前記n個の同期信号の各々は、パイロット信号であることを特徴とする請求項1に記載のCDMA基地局。
【請求項4】
符号分割多重アクセス(CDMA)基地局による使用のための方法であって、
利用可能なセル容量を改善するために、個別の同期に対するn個の同期信号の各々がn個の個別の時間間隔、最大電力レベルで送信されるように前記n個の同期信号を送信するステップであって、各個別の時間間隔は、異なる同期信号を送信するためのものである、ステップと、
報知チャネル上で情報を加入者ユニットに送信するステップと、
前記報知チャネルから抽出された少なくとも1つのコードを、アクセスチャネルを要求している加入者ユニットから受信するステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記n個の同期信号の各々は、コードを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記n個の同期信号の各々は、パイロット信号であることを特徴とする請求項4に記載の方法。」
第3.当審が通知した拒絶の理由
当審が平成28年2月25日付けで通知した拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は以下のとおりである。
「A) この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
・・・・・中略・・・・・・
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
<理由Aについて>
請求項1記載の「報知チャネル上で情報を加入者ユニットに送信するように構成された回路と、
前記送信された情報から抽出された複数のコードを加入者ユニットから受信するように構成された回路」について、請求人は、平成27年11月10日付の上申書において、「上記補正の請求項1に係る「前記送信された情報から抽出された複数のコード」は、明細書の段落番号[0031]に記載される「加入者ユニットから送信されたシンボル長の短符号」に対応致します。」と述べている。しかしながら、明細書の段落番号[0031]には、シンボル長の短符号が、加入者ユニットから、送信されたものであることは、記載されているが、送信された情報から抽出されたとの記載はなく、また、それを示唆する記載もない。また、発明の詳細な説明の全体をみても当該事項が記載されているとは認められない。
よって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
また、同様な記載がある請求項4に係る発明についても、同様な理由で、発明の詳細な説明に記載したものではない。
・・・・・(以下略)・・・・・ 」
第4.請求人の主張
上記の拒絶理由に対し、請求人は、平成28年6月1日付けの意見書(以下、「本意見書」という。)において、以下の主張をしている。
「2.補正
上記手続補正書により、特許請求の範囲を補正致しました。請求項1および4は、明細書の段落[0030]および[0031]などの記載に基づいて補正したものです。
3.拒絶理由Aに対する意見
今回の補正により、請求項1および4の補正前の記載「前記送信された情報から抽出された複数のコード」を、「前記報知チャネルから抽出された少なくとも1つのコード」に改めました。これは、明細書の段落番号[0028]、[0029]、[0046]、および[0052]などの記載に基づいており、加入者ユニットがアクセス要求する際、報知情報から抽出される情報を、報知情報を送信した基地局を識別するために送信することは明細書の記載から明らかであるものと思料致します。したがって、拒絶理由Aは解消されたものと思料致します。」
第5.当審の判断
請求人は、当審拒絶理由を解消するため、請求項1から6に係る発明を新たな請求項1から6に係る発明に補正した。そこで、補正後の請求項1の記載が、当審拒絶理由のうち特許法36条6項1号の規定を満たしているかどうかを検討する。
(あ)請求項1の記載について
補正前の請求項1の「報知チャネル上で情報を加入者ユニットに送信するように構成された回路と、
前記送信された情報から抽出された複数のコードを加入者ユニットから受信するように構成された回路」の記載は、
補正により、「報知チャネル上で情報を加入者ユニットに送信するように構成された回路と、
前記報知チャネルから抽出された少なくとも1つのコードを、アクセスチャネルを要求している加入者ユニットから受信するように構成された回路」と補正された。(下線は当審で付与。)
(い)本件特許明細書の発明の詳細な説明における記載事項
請求人は、当審拒絶理由の理由Aに関して、請求項1の補正前の記載「前記送信された情報から抽出された複数のコード」を、「前記報知チャネルから抽出された少なくとも1つのコード」とし、本意見書において、明細書の段落番号[0028]、[0029]、[0046]、および[0052]などの記載に基づいていると釈明している。
また、補正後の請求項1および4は、明細書の段落[0030]および[0031]などの記載に基づいて補正したものとも主張している。
したがって、上記明細書の段落について、以下摘記する。
「【0028】
加入者ユニット25は各覚醒処理サイクルについて時刻情報に基づきIgroupからの被選択BSUを抽出し、その被選択BSUのグローバルパイロットチャネルおよび報知チャネル対応のpn拡散符号をロードする。次に、加入者ユニット25は覚醒処理サイクルごとに1回ずつ受信パイロット信号の相対的信号強度を測定して、その相対的レベルをメモリに格納し、候補BSUの各々について最新の測定値の平均値をとる。
【0029】
加入者ユニット25は所定のBSUのサポート中のトラフィック量の情報をその情報が低速報知チャネル経由で送信中であれば読み取り、または各BSUについての赤の交通信号灯の数を認識しメモリに格納して短期間平均値を維持する。
【0030】
加入者ユニット25は好ましいBSUを特定する選択処理を行う。加入者ユニット25がアクセスチャネルを要求すると、その好ましいBSUを選択して適切な符号をロードし通常の立上げ処理を起動する。
【0031】
BSUは時刻クロックを維持し、1ミリ秒ごとに1回または1サブエポックごとに1回読み出す。時刻情報はグローバルチャネル送信同期の特定のために用いる。次にそれぞれのグローバルチャネルを割り当てて送信電力を所望のレベルに設定する。BSUから報知チャネルで通常送信されるトラフィックメッセージおよび信号は進行する。加入者ユニット25とBSUとの間の同期が確保されている場合は、加入者ユニット25は送信電力レベルを徐々に上げながらシンボル長の短符号を送信する。加入者ユニット25はBSUからの受信確認信号、すなわちBSUによる受信の有無の判定のための交通信号灯として作用し上記の短符号の受信確認として作用する受信確認信号を監視する。」(下線は当審で付与、以下同様。)
「【0046】
BSU69の各々は所属の加入者ユニットと互いに独立に交信できる。前述のとおり、この機能を達成するにはBSU69の各々はグローバルパイロット信号137用の独自のグローバルチャネルと、高速報知チャネル139と低速報知チャネル141とを備えなければならない。」
「【0052】
BSU69の各々は独自のグローバルパイロット信号137の送信のために独自の符号を必要とする。パイロット信号137の各々につき共通のシードをBSU69すべてに供給するが、BSU69の各々に独自の符号を実効的に生ずるように符号をz千チップだけずらして独自の識別番号を生成する。単一の共通グローバルパイロットシードからBSU69の各々のための複数の独自符号を生成する。」
(う)判断
補正後の請求項1に記載された発明は「基地局」に関するもので、これは、明細書の記載の「BSU」に対応する。
そして、補正後の請求項1に記載された「コード」に関し、「コード」とは、「情報を表現する記号、符号に関する体系。または、情報伝達の効率・信頼性、守秘性を向上させるために変換された情報の表現」との意味を有するものである。
そこで、補正後の請求項1に記載の「コード」を、明細書に記載の「符号」に相当するものとして、以下判断する。
上記(い)で摘記した記載によると、
(1)「加入者ユニット25は、被選択BSUの報知チャネル対応のpn拡散符号をロードする」
(2)「加入者ユニット25は、トラフィック量の情報をその情報が低速報知チャネル経由で送信中であれば読み取」る
(3)「加入者ユニット25がアクセスチャネルを要求すると、その好ましいBSUを選択して適切な符号をロード」する
(4)「BSUから報知チャネルで通常送信されるトラフィックメッセージおよび信号は進行する。加入者ユニット25とBSUとの間の同期が確保されている場合は、加入者ユニット25は送信電力レベルを徐々に上げながらシンボル長の短符号を送信する」
(5)「BSU69の各々は高速報知チャネル139と低速報知チャネル141とを備え」ること
(6)「BSU69の各々は独自のグローバルパイロット信号137の送信のために独自の符号を必要とする」
点が記載されている。
そして、上記の(1)~(6)から、補正後の請求項1の「基地局」、「報知チャネル」「加入者ユニット」、及び「コード」に関して以下の事項が記載されているものと認められる。
a)加入者ユニットは、被選択BSU(基地局)の報知チャネル対応のpn拡散符号(コード)をロードすること(上記(1)の記載)。
b)加入者ユニットがアクセスチャンネルを要求すると、その好ましいBSU(基地局)を選択して適切な符号(コード)をロードすること(上記(3)の記載)。
c)BSU(基地局)の各々は高速報知チャネルと低速報知チャネルとを備え、加入者ユニットは、トラフィック量の情報をその情報が低速報知チャネル経由で送信中であれば読み取り、基地局から報知チャネルで通常送信されるトラフィックメッセージおよび信号は進行し、加入者ユニットとBSU(基地局)との間の同期が確保されている場合は、加入者ユニットは送信電力レベルを徐々に上げながらシンボル長の短符号(コード)を送信すること(上記(2)、(4)、(5)の記載)。
d)BSU(基地局)の各々は独自のグローバルパイロット信号の送信のために独自の符号(コード)を必要とすること(上記(6)の記載)。
そして、上記明細書に記載された事項のa)~d)と、補正後の請求項1に記載された「基地局」が備える「報知チャネル上で情報を加入者ユニットに送信するように構成された回路と、
前記報知チャネルから抽出された少なくとも1つのコードを、アクセスチャネルを要求している加入者ユニットから受信するように構成された回路」
とが実質的に対応しているかどうかを検討する。
上記c)の事項からみて、明細書には、補正後の請求項1に記載の「基地局」が「報知チャネル上で情報を加入者ユニットに送信する」ことは、記載されていると認められる。
また、「加入者ユニット」が「基地局」に対してコードを送信すること、つまり、「基地局」においてコードを「加入者ユニットから受信する」ことも記載されていると認められる。
しかしながら、この「基地局」で受信されたコードが、「前記報知チャネルから抽出された」ものである点については、記載も示唆もされてされていない。
また、当該事項が、明細書の他の記載や技術常識から、当業者が認識できる範囲のものであるともいえない。
したがって、本件補正は、特許法36条6項1号に違反してなされたものである。
第6.まとめ
以上のとおり、本願の特許請求の範囲が不備で特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていないとの拒絶理由を通知したが、依然として上記の拒絶理由で指摘した不備の点は解消していない。
したがって、本願は、上記の拒絶理由によって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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