特許異議申立
2025-700283
赤外線缶用硬化オーブン
- 審判番号
- 2025-700283
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2024-014582
- 登録番号
- 7549751
- 請求日
- 2025年03月10日
- 審決日
- 2026年03月18日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ストール マシーナリ カンパニー,エルエルシー
- 【権利者代理人】弁理士法人 丸山国際特許事務所
- 【異議申立人】永野 真仁
- 審判長/審判官
- 審判長 川俣 洋史
- 審判官 山本 一
- 審判官 濱本 禎広
- 分類
- P1651.841-YAA(B05C) / P1651.851-YAA(B05C) / P1651.853-YAA(B05C) / P1651.121-YAA(B05C) / P1651.537-YAA(B05C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第36条、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7549751号発明「赤外線缶用硬化オーブン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7549751号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~14〕、〔15~19〕について訂正することを認める。
特許第7549751号の請求項1~3、5~12、14~19に係る特許を維持する。
特許第7549751号の請求項4、13に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7549751号の請求項1~19に係る特許についての出願は、2019年(令和元年)9月5日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2018年9月6日(US)米国)を国際出願日とする外国語特許出願である特願2021-512680号の一部を、令和6年2月2日に新たな出願としたものであって、令和6年9月3日にその特許権の設定登録がされ、同月11日に特許掲載公報が発行されたものである。なお、2018年9月6日を以下「優先日」という。
その後、その特許について、令和7年3月10日に、特許異議申立人 永野 真仁(以下「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下「申立書」という。)が提出され、請求項1~19に係る特許に対して特許異議の申立てがされた。
その後の経緯は、次のとおりである。
令和 7年 4月25日付け 取消理由通知書
同年 8月 4日 特許権者による訂正請求書の提出
同月25日付け 手続補正指令書(方式)
同年10月 1日 特許権者による訂正請求書を補正する手続
補正書(方式)の提出
同月17日付け 訂正拒絶理由通知書
同年12月10日 特許権者による訂正請求書を補正する手続
補正書及び意見書の提出
なお、令和8年1月9日付けで当審から申立人に対して訂正請求があった旨の通知を行い、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、当該期間内に申立人から応答はなかった。
第2 訂正の適否
1 令和7年12月10日に提出された手続補正書による手続補正の内容及び適否
令和7年12月10日に提出された手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)は、同年8月4日に提出された訂正請求書における訂正事項1(請求項1に係る訂正事項)の一部を削除し、訂正事項7~9(請求項8、9、17に係る訂正事項)を削除する補正であるから、本件補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
したがって、本件補正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第131条の2第1項の規定に適合するものである。
よって、本件補正は認められる。
2 令和7年8月4日に提出された訂正請求書に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨
前記1のとおり、本件補正は認められるから、本件訂正の請求の趣旨は、令和7年12月10日に提出された手続補正書によって補正された訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~19について訂正することを求める、というものである。
3 本件訂正前後の特許請求の範囲
(1)本件訂正前の特許請求の範囲の記載
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~19の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】
缶用硬化オーブンであって、
横方向に配置された幾つかの加熱ユニットを備える加熱アセンブリを含むハウジングアセンブリと、
幾つかの缶ボディを垂直に支持して、前記幾つかの缶ボディのコーティングを硬化させるために前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットを通って前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成された移送ベルトを含む移送アセンブリと、
を備えており、
前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットは、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えており、
前記モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートは、対向する対の単一の第1の列で配置されている、缶用硬化オーブン。
【請求項2】
前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットは、総有効量の受熱を生じるように構成されている、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項3】
前記幾つかの加熱ユニットは幾つかの赤外線加熱ユニットを含む、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項4】
前記幾つかの赤外線加熱ユニットは複数の赤外線加熱ユニットを含む、請求項3に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項5】
各赤外線加熱ユニットは、電気式赤外線加熱ユニット、ガス式赤外線加熱ユニット、及びオイル式赤外線加熱ユニットからなる群から選択される、請求項3に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項6】
前記ハウジングアセンブリは調節可能な装着アセンブリを含み、前記調節可能な装着アセンブリは、缶ボディの側面から有効距離にあるように各加熱ユニットを配置するように構成されている、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項7】
前記ハウジングアセンブリは細長くて直線状である、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項8】
前記細長くて直線状のハウジングアセンブリは、長さ、幅、及び高さを有しており、前記長さは1.0m乃至6.0mであり、前記幅は80mm乃至300mmであり、前記高さは200mm乃至500mmである、請求項7に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項9】
前記移送ベルトは複数のセグメントを含んでおり、前記移送ベルトは、前記細長くて直線状のハウジングアセンブリを通って延びるループ状の経路で動くように構成されている、請求項7に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項10】
前記移送アセンブリは複数の支持パッドを含んでおり、各支持パッドは缶ボディの底部を支持するように構成されている、請求項3に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項11】
各支持パッドは、従動パッド、自由パッド、又は固定パッドのうちの1つである、請求項10に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項12】
各支持パッドは缶カップリングを含んでおり、各缶カップリングは、磁石式カップリング及び吸引式カップリングからなる群から選択される、請求項10に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項13】
前記複数の加熱ユニットは、最大の缶デコレーター速度で缶ボディを処理するように構成されている、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項14】
前記複数の加熱ユニットは、1秒以内で完全に起動するように構成されている、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項15】
缶用硬化オーブンであって、
横方向に配置された幾つかの加熱ユニットを備える加熱アセンブリを含むハウジングアセンブリと、
幾つかの缶ボディを垂直に支持して、前記幾つかの缶ボディのコーティングを硬化させるために前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットを通って前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成された移送ベルトを含む移送アセンブリと、
を備えており、
前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットは、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えており、
前記モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートは、モジュール式のリンク可能な加熱ユニットプレートの対向する対の複数の積み重ねられた列で配置される、缶用硬化オーブン。
【請求項16】
前記ハウジングアセンブリは細長くて直線状である、請求項15に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項17】
前記移送ベルトは複数のセグメントを含んでおり、前記移送ベルトは、前記細長くて直線状のハウジングアセンブリを通って延びるループ状の経路で動くように構成されている、請求項16に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項18】
前記移送アセンブリは複数の支持パッドを含んでおり、各支持パッドは缶ボディの底部を支持するように構成されている、請求項15に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項19】
各支持パッドは、従動パッド、自由パッド、又は固定パッドのうちの1つである、請求項18に記載の缶用硬化オーブン。」
(2)本件訂正後の特許請求の範囲の記載
本件訂正後の特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。下線は、訂正箇所を示す。
「【請求項1】
缶用硬化オーブンであって、
幾つかの缶ボディを垂直に支持して、前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成された移送ベルトを含む移送アセンブリと、
前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された複数の加熱ユニットを備える加熱アセンブリを含むハウジングアセンブリと、
を備えており、
前記移送ベルトは、前記幾つかの缶ボディのコーティングを硬化させるために前記複数の加熱ユニットを通って前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成されており、
前記複数の加熱ユニットは、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えており、
前記モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートは、前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第1の加熱ユニットプレートと、前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第2の加熱ユニットプレートとを含んでおり、
前記複数の第1の加熱ユニットプレートの各々は、前記複数の第2の加熱ユニットプレートのうちの1つと対向するように配置されており、
前記幾つかの缶ボディは、前記複数の第1の加熱ユニットプレートと前記複数の第2の加熱ユニットプレートの間を移動する、缶用硬化オーブン。
【請求項2】
前記複数の加熱ユニットは、総有効量の受熱を生じるように構成されている、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項3】
前記複数の加熱ユニットは複数の赤外線加熱ユニットを含む、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
各赤外線加熱ユニットは、電気式赤外線加熱ユニット、ガス式赤外線加熱ユニット、及びオイル式赤外線加熱ユニットからなる群から選択される、請求項3に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項6】
前記ハウジングアセンブリは調節可能な装着アセンブリを含み、前記調節可能な装着アセンブリは、缶ボディの側面から有効距離にあるように各加熱ユニットを配置するように構成されている、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項7】
前記ハウジングアセンブリは細長くて直線状である、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項8】
前記細長くて直線状のハウジングアセンブリは、長さ、幅、及び高さを有しており、前記長さは1.0m乃至6.0mであり、前記幅は80mm乃至300mmであり、前記高さは200mm乃至500mmである、請求項7に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項9】
前記移送ベルトは複数のセグメントを含んでおり、前記移送ベルトは、前記細長くて直線状のハウジングアセンブリを通って延びるループ状の経路で動くように構成されている、請求項7に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項10】
前記移送アセンブリは複数の支持パッドを含んでおり、各支持パッドは缶ボディの底部を支持するように構成されている、請求項3に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項11】
各支持パッドは、従動パッド、自由パッド、又は固定パッドのうちの1つである、請求項10に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項12】
各支持パッドは缶カップリングを含んでおり、各缶カップリングは、磁石式カップリング及び吸引式カップリングからなる群から選択される、請求項10に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項13】
(削除)
【請求項14】
前記複数の加熱ユニットは、1秒以内で完全に起動するように構成されている、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項15】
缶用硬化オーブンであって、
幾つかの缶ボディを垂直に支持して、前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成された移送ベルトを含む移送アセンブリと、
前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された複数の加熱ユニットを備える加熱アセンブリを含むハウジングアセンブリと、
を備えており、
前記移送ベルトは、前記幾つかの缶ボディのコーティングを硬化させるために前記複数の加熱ユニットを通って前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成されており、
前記複数の加熱ユニットは、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えており、
前記モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートは、モジュール式のリンク可能な加熱ユニットプレートの対向する対の複数の積み重ねられた列で配置されており、
前記モジュール式のリンク可能な加熱ユニットプレートの対向する対の複数の積み重ねられた列における各列は、前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第1の加熱ユニットプレートと、前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第2の加熱ユニットプレートとを含んでおり、
前記幾つかの缶ボディは、前記複数の第1の加熱ユニットプレートと前記複数の第2の加熱ユニットプレートの間を移動する、缶用硬化オーブン。
【請求項16】
前記ハウジングアセンブリは細長くて直線状である、請求項15に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項17】
前記移送ベルトは複数のセグメントを含んでおり、前記移送ベルトは、前記細長くて直線状のハウジングアセンブリを通って延びるループ状の経路で動くように構成されている、請求項16に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項18】
前記移送アセンブリは複数の支持パッドを含んでおり、各支持パッドは缶ボディの底部を支持するように構成されている、請求項15に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項19】
各支持パッドは、従動パッド、自由パッド、又は固定パッドのうちの1つである、請求項18に記載の缶用硬化オーブン。」
4 一群の請求項について
訂正前の請求項1~14について、請求項2~14はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しており、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に準じて訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~14は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
また、訂正前の請求項15~19について、請求項16~19はそれぞれ請求項15を直接的又は間接的に引用しており、訂正事項6によって記載が訂正される請求項15に準じて訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項15~19は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
5 本件訂正の内容
本件訂正は、一群の請求項〔1~14〕、〔15~19〕について訂正するものであって、本件訂正の内容は、次のとおりの訂正事項1~6からなるものである。
(1)訂正事項1
訂正前の請求項1に「横方向に配置された幾つかの加熱ユニットを備える加熱アセンブリを含むハウジングアセンブリと、」とあるのを、「前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された複数の加熱ユニットを備える加熱アセンブリを含むハウジングアセンブリと、」なる記載とし(以下「訂正事項1-1」という。)、
訂正前の請求項1に「幾つかの缶ボディを垂直に支持して、前記幾つかの缶ボディのコーティングを硬化させるために前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットを通って前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成された移送ベルトを含む移送アセンブリと、」とあるのを、「幾つかの缶ボディを垂直に支持して、前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成された移送ベルトを含む移送アセンブリと、」なる記載として、「前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された複数の加熱ユニットを備える加熱アセンブリを含むハウジングアセンブリと、」との記載の前に位置を改めるとともに、「前記移送ベルトは、前記幾つかの缶ボディのコーティングを硬化させるために前記複数の加熱ユニットを通って前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成されており、」なる記載を加え(以下「訂正事項1-2」という。)、
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットは、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えており、」とあるのを「前記複数の加熱ユニットは、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えており、」なる記載とし(以下「訂正事項1-3」という。)、
訂正前の請求項1に「対向する対の単一の第1の列で配置されている」なる記載を「前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第1の加熱ユニットプレートと、前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第2の加熱ユニットプレートとを含んでおり、/ 前記複数の第1の加熱ユニットプレートの各々は、前記複数の第2の加熱ユニットプレートのうちの1つと対向するように配置されており、/ 前記幾つかの缶ボディは、前記複数の第1の加熱ユニットプレートと前記複数の第2の加熱ユニットプレートの間を移動する」(/は改行を表す。以下同様。)なる記載とする(以下「訂正事項1-4」という)。
請求項1の記載を引用する請求項2、3、5~12、14も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
訂正前の請求項2に「前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットは、総有効量の受熱を生じるように構成されている」とあるのを「前記複数の加熱ユニットは、総有効量の受熱を生じるように構成されている」と訂正する。
(3)訂正事項3
訂正前の請求項3に「前記幾つかの加熱ユニットは幾つかの赤外線加熱ユニットを含む」とあるのを「前記複数の加熱ユニットは複数の赤外線加熱ユニットを含む」と訂正する。
請求項3を直接的又は間接的に引用する請求項5、10、11及び12も同様に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項13を削除する。
(6)訂正事項6
訂正前の請求項15に「横方向に配置された幾つかの加熱ユニットを備える加熱アセンブリを含むハウジングアセンブリと、」とあるのを、「前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された複数の加熱ユニットを備える加熱アセンブリを含むハウジングアセンブリと、」なる記載とし(以下「訂正事項6-1」という。)、
訂正前の請求項15に「幾つかの缶ボディを垂直に支持して、前記幾つかの缶ボディのコーティングを硬化させるために前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットを通って前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成された移送ベルトを含む移送アセンブリと、」とあるのを、「幾つかの缶ボディを垂直に支持して、前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成された移送ベルトを含む移送アセンブリと、」なる記載として、「前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された複数の加熱ユニットを備える加熱アセンブリを含むハウジングアセンブリと、」との記載の前に位置を改めるとともに、「前記移送ベルトは、前記幾つかの缶ボディのコーティングを硬化させるために前記複数の加熱ユニットを通って前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成されており、」なる記載を加え(以下「訂正事項6-2」という。)、
訂正前の特許請求の範囲の請求項15に「前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットは、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えており、」とあるのを「前記複数の加熱ユニットは、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えており、」なる記載とし(以下「訂正事項6-3」という。)、
訂正前の特許請求の範囲の請求項15に「対向する対の複数の積み重ねられた列で配置される」とあるのを、「対向する対の複数の積み重ねられた列で配置されており、/ 前記モジュール式のリンク可能な加熱ユニットプレートの対向する対の複数の積み重ねられた列における各列は、前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第1の加熱ユニットプレートと、前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第2の加熱ユニットプレートとを含んでおり、/ 前記幾つかの缶ボディは、前記複数の第1の加熱ユニットプレートと前記複数の第2の加熱ユニットプレートの間を移動する」なる記載とする(以下「訂正事項6-4」という)。
請求項15の記載を引用する請求項16~19も同様に訂正する。
6 本件訂正の適否について
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1-1~1-3に係る訂正は、本件訂正前の請求項1における「横方向に配置された幾つかの加熱ユニット」との記載について、どちらの方向をもって「横方向」というのか明確でなかったものを正すものであるとともに、訂正事項1-4に係る訂正は、「前記モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートは、対向する対の単一の第1の列で配置されている」との記載について、何が「単一」であるのか、また、「第1の列」が、どの向きに配列する列であるのか、明確でなかったものを正すものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
イ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
訂正事項1に係る訂正は、上記アで述べたとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、明確でなかった記載を具体的に特定するとともに、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の有無
(ア)訂正事項1-1
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)【0065】の「加熱アセンブリ100は、幾つかの加熱ユニット102を含む」、「加熱ユニット102は、幾つかの赤外線加熱ユニット110を含む」との記載、【0066】の「赤外線加熱ユニット110には、燃料式赤外線加熱ユニット110’、及び電球式赤外線加熱ユニット110”が含まれる」との記載、及び、【0056】の「移送アセンブリ70は、幾つかの缶ボディ1を移動させるように構成される」、「図示されているように、移送アセンブリの移送ベルト72は、略直線状の経路にわたって延びる」との記載を踏まえると、特許明細書等の【図1】及び【図5】より、加熱ユニット102、赤外線加熱ユニット110、燃料式赤外線加熱ユニット110’が、移送アセンブリ70又は移送ベルト72の幾つかの缶ボディ1を移動させる略直線方向に沿って並んで配置されていることが看取できる。
したがって、「前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された複数の加熱ユニット」との記載とする訂正事項1-1による訂正は、特許明細書等の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(イ)訂正事項1-2及び1-3
訂正事項1-2及び1-3による訂正は、訂正前の請求項1の記載を、訂正事項1-1の変更に合わせて、明確化したものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(ウ)訂正事項1-4
特許明細書等の【0067】の「放射加熱ユニットプレート120は、移送アセンブリの移送ベルト72の両側に配置される。即ち、図4で示すように、各放射加熱ユニットプレート120は、IRエミッタ面124が移送アセンブリの移送ベルト72に隣接する(又は、対向する)ように方向付けられる。」との記載、【0069】の「図4及び図6は、略円柱形の缶ボディ1における、低い第1の形態(図4)と高い第2の形態(図6)とを示している。第1の形態の缶ボディ1のバッチが処理される場合、モジュール式放射加熱ユニットプレート120は、上述したように、移送アセンブリの移送ベルトの両側に、2つの対向する列で配置される。」との記載を踏まえると、特許明細書等の【図4】より、放射加熱ユニットプレート120が複数で列をなし、複数の加熱ユニットプレートの各々は、加熱ユニットプレートのうちの1つと対向するように配置されており、缶ボディ1は、対向する加熱ユニットプレートの間を移動することが看取できる。
したがって、訂正事項1-4による訂正は、特許明細書等の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(エ)以上より、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
エ 独立特許要件
本件においては、訂正前の全ての請求項1~19について特許異議の申立てがされているので、本件訂正後の請求項1について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(2)訂正事項2、3について
ア 訂正の目的
訂正事項2及び3に係る訂正は、訂正事項1に起因して、請求項2の記載内容が請求項1の記載との関係において不合理を生じることを正すものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
イ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
訂正事項2及び3に係る訂正は、上記アで述べたとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の有無
前記(1)ウ(ア)で述べたとおりであるから、訂正事項2及び3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
エ 独立特許要件
本件においては、訂正前の全ての請求項1~19について特許異議の申立てがされているので、本件訂正後の請求項2、3について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(3)訂正事項4、5について
ア 訂正の目的
訂正事項4及び5に係る訂正は、それぞれ請求項4及び13を削除するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、新規事項の有無
訂正事項4及び5に係る訂正は、請求項を削除する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、また、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
ウ 特許出願の際に独立して特許を受けることができるか
本件においては、訂正前の全ての請求項1~19について特許異議の申立てがされているので、本件訂正後の請求項4及び13について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(4)訂正事項6について
ア 訂正の目的
訂正事項6-1~6-3に係る訂正は、本件訂正前の請求項15における「横方向に配置された幾つかの加熱ユニット」との記載について、どちらの方向をもって「横方向」というのか明確でなかったものを正すものである。
また、訂正事項6-4に係る訂正は、加熱ユニットプレートの対向する対の複数の積み重ねられた列における各列について、「複数の第1の加熱ユニットプレート」及び「複数の第2の加熱ユニットプレート」からなること、及びその配置を限定するものである。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」及び同項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
訂正事項6に係る訂正は、上記アで述べたとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、明確でなかった記載を具体的に特定するとともに、特許請求の範囲を減縮するものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の有無
(ア)訂正事項6-1~6-3
前記(1)ウ(ア)、(イ)で述べたとおり、「前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された複数の加熱ユニット」との記載とする訂正事項6-1による訂正、及び、訂正事項6-1の変更に合わせて記載を整合させたものである訂正事項6-2~6-3による訂正は、特許明細書等の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(イ)訂正事項6-4
特許明細書等の【0067】の「放射加熱ユニットプレート120は、移送アセンブリの移送ベルト72の両側に配置される。即ち、図4で示すように、各放射加熱ユニットプレート120は、IRエミッタ面124が移送アセンブリの移送ベルト72に隣接する(又は、対向する)ように方向付けられる。」との記載、【0069】の「図4及び図6は、略円柱形の缶ボディ1における、低い第1の形態(図4)と高い第2の形態(図6)とを示している。第1の形態の缶ボディ1のバッチが処理される場合、モジュール式放射加熱ユニットプレート120は、上述したように、移送アセンブリの移送ベルトの両側に、2つの対向する列で配置される。第2の形態の缶ボディ1のバッチが処理される場合には、モジュール式放射加熱ユニットプレート120の追加の列が、既存の対向する列の上に配置される。」との記載を踏まえると、特許明細書等の【図6】より、放射加熱ユニットプレート120の積み重ねられた列の各列は、移送ベルトの両側にあり、缶ボディ1は、対向する加熱ユニットプレートの間を移動することが看取できる。
したがって、訂正事項6-4による訂正は、特許明細書等の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(エ)以上より、訂正事項6は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条第5項の規定に適合する。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができるか
本件においては、訂正前の全ての請求項1~19について特許異議の申立てがされているので、本件訂正後の請求項15について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
5 本件訂正の適否についての当審の判断のまとめ
以上検討のとおり、訂正事項1~訂正事項6からなる本件訂正は、特許法120条の5第2項並びに同条第9項において準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものであり、同条第9項で読み替えて準用する同法126条第7項に規定する独立特許要件は課されないから、いずれも適法である。
よって、前記結論のとおり、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~14〕、〔15~19〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2より、本件訂正は認められるから、本件訂正後の本件特許の請求項1~19に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明19」という。)は、前記第2の3(2)に示す、特許請求の範囲の請求項1~19に記載された事項により特定されるとおりのものである。
第4 取消理由通知書に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1~19に係る特許に対して、当審において、令和7年4月25日に特許権者に通知した取消理由(以下、単に「取消理由」という。)の要旨は、次のとおりである。
本件特許は、次の(1)~(4)に示すとおり、特許請求の範囲の記載に不備があるため、請求項1~19に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(1)請求項1には、「横方向に配置された幾つかの加熱ユニット」との記載があるが、どちらの方向をもって横方向というのか不明であり、上記記載によって、加熱ユニットがどのように配置されていることを特定しようとするのか、明確ではない。
(2)請求項1には、「前記モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートは、対向する対の単一の第1の列で配置されている」との記載があるが、「対向する対」となっている列は二列であり、単一ではないから、何が「単一」であるのか、明確ではない。また、第1の列とは、どの向きに配列する列をいうのか、明確ではない。
したがって、「前記モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートは、対向する対の単一の第1の列で配置されている」という記載により、いかなる事項を特定しようとするのか、発明の詳細な説明を参酌しても明確ではない。
(3)請求項13には、「前記複数の加熱ユニットは、最大の缶デコレーター速度で缶ボディを処理するように構成されている、請求項1に記載の缶用硬化オーブン」との記載がある。
しかしながら、「缶用硬化オーブン」の構成に含まれない「缶デコレータ」に関する「最大の缶デコレータ速度」という事項によって、「缶用硬化オーブン」が物としていかなる機能や特性等を有すればよいのかを明確に把握することができない。
また、一般的な缶デコレータにおける最大速度と解釈するとしても、缶デコレータの母集団の範囲や、時期的範囲が不明で、何をもって「最大」というのか、明確ではない。
(4)請求項15は、前記(1)と同じく「横方向に配置された幾つかの加熱ユニット」との記載を含み、前記(1)と同様の理由があるから、明確ではない。
2 当審の判断
(1)前記1(1)に示す取消理由で指摘した「横方向に配置された幾つかの加熱ユニット」との記載は、前記第2の5(1)に示す訂正事項1-1及び1-2により、「幾つかの缶ボディを垂直に支持して、前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成された移送ベルトを含む移送アセンブリと、/ 前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された複数の加熱ユニット」との記載に改められ、加熱ユニットが、移送ベルトによる缶ボディの移動方向に沿って複数配置されることが明確になったから、当該記載に起因して請求項1の記載が明確でないとする取消理由は解消された。
(2)前記1(2)に示す取消理由で指摘した「前記モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートは、対向する対の単一の第1の列で配置されている」との記載は、前記第2の5(1)に示す訂正事項1-4により、「前記モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートは、前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第1の加熱ユニットプレートと、前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第2の加熱ユニットプレートとを含んでおり、/ 前記複数の第1の加熱ユニットプレートの各々は、前記複数の第2の加熱ユニットプレートのうちの1つと対向するように配置されており、/ 前記幾つかの缶ボディは、前記複数の第1の加熱ユニットプレートと前記複数の第2の加熱ユニットプレートの間を移動する」との記載に改められ、加熱ユニットプレートが、複数の第1の加熱ユニットプレート及び第2の加熱ユニットプレートを含み、それぞれ缶ボディの移動方向に沿って並べて配置され、第1の加熱ユニットプレートの各々が第2の加熱ユニットプレートの1つと対向することが明確になったから、当該記載に起因して請求項1の記載が明確でないとする取消理由は解消された。
(3)前記1(3)に示す取消理由で指摘した請求項13は、訂正事項5により削除されたから、請求項13の記載が明確でないとする取消理由は解消された。
(4)前記1(4)に示す取消理由で指摘した記載は、前記第2の5(1)に示す訂正事項6-1及び6-2により、「幾つかの缶ボディを垂直に支持して、前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成された移送ベルトを含む移送アセンブリと、/ 前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された複数の加熱ユニット」との記載に改められ、加熱ユニットが、移送ベルトによる缶ボディの移動方向に沿って複数配置されることが明確になったから、当該記載に起因して請求項15の記載が明確でないとする取消理由は解消された。
(5)前記(1)~(4)において検討したとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由はすべて解消した。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 特許異議申立理由の概要及び証拠方法(1)特許異議申立の理由
申立人は、特許異議申立書において、以下のとおり主張する。
ア 訂正前の特許請求の範囲の請求項1~5、7、9、15~17に係る発明に関し、当該発明は、甲1号証に記載された発明であるから、本件発明に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
また、訂正前の特許請求の範囲の請求項1~12、15~19に係る発明に関し、当該発明は、甲1号証に記載された発明及び甲3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
イ 訂正前の特許請求の範囲の請求項1、2、7に係る発明に関し、当該発明は、甲2号証に記載された発明であるから、本件発明に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
訂正前の特許請求の範囲の請求項1~12、15~19に係る発明に関し、当該発明は、甲2号証に記載された発明及び甲3号証に記載された発明、に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
ウ 訂正前の特許請求の範囲の請求項1、2、6、8、13~15の記載には不備があり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(2)申立人が提示した証拠
特許異議申立人が提示した証拠は、次のとおりである。
甲1号証 :特開2007-212519号公報
甲2号証 :特開2013-166587号公報
甲3号証 :米国特許4327665号明細書及び抄訳文
甲4号証 :特開2001-276946号公報
甲5号証 :特開平11-240516号公報
なお、以下甲1号証を単に「甲1」といい、甲1号証に記載された発明を「甲1発明」ということがあり、甲2~5号証についても同様である。
2 各甲号証の記載及び甲号証に記載された発明の認定
(1)甲1
ア 甲1に記載された事項
本件特許の優先日前に発行された、甲1には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
(ア)請求項1~2
「【請求項1】
円筒形体の外側面の表面層を加熱処理する加熱処理装置であって、
加熱処理の対象の被処理物を、その円筒の軸が垂直方向になるように保持する保持手段、
前記被処理物を、その円筒の軸を中心に回転するように前記保持手段を回転させる回転駆動手段、
前記表面層を加熱処理する加熱手段を備えた加熱処理室、
前記被処理物を前記加熱処理室外部から加熱処理室入口、加熱処理室、加熱処理室出口を順次通り、該加熱処理室外部へ導く被処理物搬送路、及び、
前記保持手段で保持された前記被処理物を前記被処理物搬送路上で移動させて、前記加熱処理室内に搬入するとともに、熱処理終了後の該被処理物を該加熱処理室外へ搬出する被処理物搬送手段を備えた表面層加熱処理装置において、
上記加熱手段が、赤外線ヒータであり、かつ、
前記加熱処理室の被処理物搬送路の両側面に設けられた
ことを特徴とする表面層加熱処理装置。
【請求項2】
前記赤外線ヒータは被処理物の搬送方向に対して複数の加熱ユニットにユニット化されているとともに、
各加熱ユニットは高さ方向に対して、それぞれ線状の赤外線ヒータ1つずつを備えた複数の加熱ゾーンに分割されており、
各加熱ゾーンには、線状の赤外線ヒータが、水平に配された複数の水平配線部と、該水平配線部の端部から上下に隣接する他の水平配線部の端部を略垂直に繋ぐ連絡配線部とを形成するように一筆書き状に配置されて、かつ、
各加熱ユニットの複数の水平配線部が等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表面層加熱処理装置。」
(イ)【0001】~【0024】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒形の被処理物の外側面に配された樹脂などからなる表面層を加熱処理後に冷却処理を行う表面層加熱処理装置に関し、特に、電子写真方式等の、画像、文字等を定着させる定着装置に用いられる定着ベルト、なかでも表面がフッ素樹脂で被覆された定着ベルトの製造に好適に用いられ、形状精度の高い樹脂被覆無端状ベルトの表面樹脂を非晶質化する技術に応用することができる。
・・・中略・・・
【0006】
ここで、フッ素樹脂からなる層を成膜する際には、巨大なオーブンに被処理物を投入し、焼成する方式が一般的であった(バッチ焼成)。この際の問題点としては、とりわけこの定着ベルトの場合は先述のように離型層の下にシリコーンゴム層が存在するので、そのシリコーンゴムに熱的ダメージを与えてしまうことがあげられる。
【0007】
シリコーンゴムは耐熱性を向上したものであっても、340~350℃の加熱温度が限界であり、これより高い温度履歴を受けるとその柔軟性が損なわれ、ゴムとしての機能が低下する傾向にある。一方、フッ素樹脂は、融点が310~320℃程度であり、溶融後その表面の凹凸が平滑化(レベリング)して平滑な面とするためには、加熱処理による被処理物の温度を320±10℃の範囲で均一に保つ必要がある。これを一般的なオーブン(加熱炉)で実施しようとすると、上述の2つの温度条件を満たす均熱帯はオーブンの中央部にしか形成できず、その他の部分、すなわち、炉内の中央部以外は無駄な空間となってしまい、この無駄な空間を加熱するのにもエネルギーが使われてしまうために、熱効率が非常に悪かった。
・・・中略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の問題を解決すべく、連続的に加熱処理ができる、エネルギーおよびスペースに無駄がない、効率的でコンパクト化が可能な表面層加熱処理装置を提供することを課題とする。
【0009】
また、本発明は、連続的に加熱処理ができる、エネルギーとスペースに無駄がない、効率的でコンパクト化が可能な表面層加熱処理装置を備えた表面層加熱・急冷処理装置を提供することを特徴とする。
・・・中略・・・
【発明の効果】
【0023】
本発明の表面層加熱処理装置によれば、連続的に加熱処理ができる上、赤外線加熱によりエネルギーとスペースの無駄がない、均一な加熱処理が可能で、効率的でコンパクト化が可能な表面層加熱処理装置とすることができ、例えば、従来、エネルギーとスペースとの無駄が多かった表面がフッ素樹脂で被覆された定着ベルトの製造に好適に用いることができる。
【0024】
また、請求項2に記載の表面層加熱処理装置によれば、被処理物の加熱開始初期の温度上昇勾配を調整することができ、無理のない加熱処理が可能となるとともに、縦方向の温度分布も調整することができるので、通常であれば被処理物の上部の温度が高くなる現象を抑制して、均一な加熱が可能となる。」
(ウ)【0036】
「【0036】
本発明における被処理物搬送手段は、ベルトコンベア、各種アクチュエータ等を用いることができる。ここで被処理物搬送手段を複数の部分に分割し、複数のベルトコンベアや、複数のアクチュエータから構成することにより、加熱処理室内に搬入する被処理物搬入手段、加熱処理室内の前記被処理物を加熱処理室出口に向かって搬送する被処理物加熱処理室内搬送手段、および、加熱処理済みの該被処理物を該加熱処理室から搬出させる被処理物搬出手段等に分割することが可能となり、それぞれ最適な速度で被処理物を搬送することが可能となる。」
イ 甲1発明
前記アより、甲1には、以下のとおりの甲1発明が記載されていると認められる。
[甲1発明]
「 円筒形体の外側面の表面層を加熱処理する加熱処理装置であって、
加熱処理の対象の被処理物を、その円筒の軸が垂直方向になるように保持する保持手段、
前記被処理物を、その円筒の軸を中心に回転するように前記保持手段を回転させる回転駆動手段、
前記表面層を加熱処理する加熱手段を備えた加熱処理室、
前記被処理物を前記加熱処理室外部から加熱処理室入口、加熱処理室、加熱処理室出口を順次通り、該加熱処理室外部へ導く被処理物搬送路、及び、
前記保持手段で保持された前記被処理物を前記被処理物搬送路上で移動させて、前記加熱処理室内に搬入するとともに、熱処理終了後の該被処理物を該加熱処理室外へ搬出する被処理物搬送手段を備えた表面層加熱処理装置において、
上記加熱手段が、赤外線ヒータであり、かつ、
前記加熱処理室の被処理物搬送路の両側面に設けられ(前記ア(ア)【請求項1】)、
前記赤外線ヒータは被処理物の搬送方向に対して複数の加熱ユニットにユニット化されており(前記ア(ア)【請求項2】)、
特に、電子写真方式等の、画像、文字等を定着させる定着装置に用いられる定着ベルト、なかでも表面がフッ素樹脂で被覆された定着ベルトの製造に好適に用いられ、形状精度の高い樹脂被覆無端状ベルトの表面樹脂を非晶質化するものであり(前記ア(イ)【0001】)、
被処理物搬送手段は、ベルトコンベアを用いることができる(前記ア(ウ)【0036】)、
表面層加熱処理装置。」
(2)甲2
ア 甲2に記載された事項
本件特許の優先日前に発行された、甲2には、以下の事項が記載されている。
(ア)【0004】
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、缶体に画像を形成する画像形成装置が複数設けられた画像形成システムでは、各画像形成装置に缶体が供給され、また、画像が形成された缶体が各画像形成装置にて順次排出される。ところで、各画像形成装置に対し搬送手段を用いて缶体を搬送したり、各画像形成装置にて順次排出される缶体を搬送手段で搬送したりする場合、搬送手段が通る経路によっては画像形成システムの占有面積が大きくなってしまう。
本発明の目的は、缶体に画像を形成する画像形成装置を複数備えるとともに缶体を搬送する搬送手段を備えた画像形成システムの占有面積を小さくすることにある。」
(イ)【0036】
「【0036】
また、本実施形態では、各画像形成装置200にUVLEDランプ250を配置した場合を説明したが、スペース等の関係で各画像形成装置200にUVLEDランプ250を設けることが難しい場合には、3つの画像形成装置200の下流側に一つのUVLEDランプ250を設けることができる。
また、本実施形態では、紫外線硬化型のインクを用いた場合を説明したが、熱硬化型のインクを使用することもでき、この場合は、UVLEDランプ250に替えてヒータを設置することで缶体10を加熱することもできるし、例えば、図1の符号1Eに示すヒータにより缶体10を加熱することもできる。この場合、缶体10が加熱されて缶体10の表面のインクが硬化する。
(ウ)【0044】~【0055】
「【0044】
次に、缶体排出機構400について説明する。
缶体排出機構400には、図4に示すように、画像形成装置200の上方に配置され画像形成装置200にて画像が形成された缶体10を保持して搬送する第1搬送機構410、第1搬送機構410により搬送されてきた缶体10の外周面に保護層を形成する保護層形成装置440、この保護層形成装置440により保護層が形成された缶体10を搬送する第2搬送機構420、第2搬送機構420から缶体10を受け取りこの缶体10を搬送する第3搬送機構430が設けられている。
【0045】
ここで、第1搬送機構410は、図4に示すように、缶体10を吸引して保持する複数の保持パッド411と、この保持パッド411よりも上方に配置され保持パッド411を上方から支持する上方支持部材412とを備える。ここで、この上方支持部材412は、図1に示すように、予め定められた経路に沿って循環移動するように設けられている。また、上方支持部材412は、図1に示すように、3つの画像形成装置200のそれぞれに設けられた缶体排出箇所1Dを経由するように設けられている。また、上方支持部材412は、図1に示すように、上記円形の仮想線1Bの内側を通過するように設けられている。付言すると、上方支持部材412は、各画像形成装置200の中心部(回転部材210の中心部)よりも、符号1Aに示す箇所(図1参照)側を通過するように設けられている。
なお、本実施形態では、3つの画像形成装置200のそれぞれに設けられた缶体排出箇所1Dを経由するように第1搬送機構410が設けられた場合を一例に説明したが、缶体供給機構300についても、3つの画像形成装置200のそれぞれに設けられた缶体受け取り箇所1Cを経由するように設けることができる。付言すると、缶体供給機構300についても、例えば、保持パッドと、3つの画像形成装置200のそれぞれに設けられた缶体受け取り箇所1Cを経由するように配置された上方支持部材とにより構成することができる。なお、缶体供給機構300を保持パッドと上方支持部材とにより構成する場合、第1搬送機構410と同様、円形の仮想線1Bの内側を保持パッドが通過するように上方支持部材を設けることが好ましい。付言すると、各画像形成装置200の中心部(回転部材210の中心部)よりも、符号1Aに示す箇所(図1参照)側を保持パッドが通過するように、上方支持部材を設けることが好ましい。
【0046】
ここで本実施形態では、画像形成装置200による画像形成が行われた缶体10は、缶体排出箇所1D(図4参照)まで達した際に、上記保持パッド411により保持される。
具体的には、缶体10が缶体排出箇所1Dまで達すると、これまで缶体10を支持筒232に固着するため吸引に換えて、支持筒232の内部の空間に対し圧力の高められた空気が供給され、支持筒232の内部と外面を貫通する通風孔により支持筒232と缶体10の空隙に圧力の高められた空気が流入し、この空間の圧力が高められ、支持筒232から離脱しようとする力が缶体10に働く。これにより、支持筒232により支持されている缶体10は、上方に向かって移動するようになる。一方で、保持パッド411も吸引を開始する。これにより、缶体10が保持パッド411により保持されるようになる。また、保持パッド411を上下に移動する機能(不図示)を有するようにすることにより、保持パッド411が支持筒232まで下降し、保持パッド411が吸引を開始し、一方、支持筒232は缶体10の吸引を破壊することにより、缶体10を支持筒232から保持パッド411へ移動することを促し、また保持パッド411が缶体10を吸着した後、保持パッド411を上昇することにより、缶体10が支持筒232から外れて、保持パッド411に移動し、保持パッド411に保持するようにすることもできる。なお、保持パッド411により保持された缶体10は、上方支持部材412の移動に伴い移動し、保護層形成装置440に到達する。
・・・中略・・・
【0055】
ここで、保護層形成装置440による保護層の形成に際しては、まず、図4における符号4Eに示す箇所にて、第1搬送機構410により搬送されてきた缶体10が、保護層形成装置440へ受け渡される。より具体的には、符号4Eに示す箇所にて、それまで吸引して搬送してきた缶体10を、保持パッド411が吸引を破壊することにより、缶体10の吸引が終了され、缶体10が下方に落下するとともに、下方にて待機している支持筒443Bによってこの缶体10が吸引される。これにより、缶体10の内部に支持筒443Bが入り込み、支持筒443Bによる缶体10の保持がなされた状態となる。また、保持パッド411を上下に移動する機能(不図示)を有するようにすることにより、保持パッド411が缶体10を保持したまま支持筒443Bまで下降し、保持パッド411が吸引を破壊することにより、缶体10の吸引が終了され、保持パッド411が缶体10を放出する。一方、支持筒443Bに設置された通風孔(不図示)から吸引を開始することにより、缶体10は保持パッド411から支持筒443Bに移動し、支持筒443Bが缶体10を保持するようにすることもできる。」
(エ)図面
「【図1】
[図:0001436169000001.jpg]
・・・
【図4】
[図:0001436169000002.jpg]
」
イ 甲2の記載から把握できる事項
(ア)前記ア(イ)【0036】の「図1の符号1Eに示すヒータにより缶体10を加熱することもできる」との記載、及び前記ア(ウ)【0044】の「画像形成装置200の上方に配置され画像形成装置200にて画像が形成された缶体10を保持して搬送する第1搬送機構410、第1搬送機構410により搬送されてきた缶体10の外周面に保護層を形成する保護層形成装置440」との記載を踏まえれば、前記ア(エ)【図1】より、以下の事項が看取できる。
「画像形成装置200から保護層形成装置440の間に、第1搬送機構410によって搬送される缶体10を加熱するヒータ1Eが設けられること。」
(イ)また、前記ア(エ)【図1】より、以下の事項が看取できる。
「ヒータ1Eは、搬送方向に沿って複数の缶体10が存在可能な長さを有し、その内側を缶体10が通過するものであること。」
(ウ)前記ア(ウ)【0046】の「支持筒232により支持されている缶体10は、上方に向かって移動するようになる。一方で、保持パッド411も吸引を開始する。これにより、缶体10が保持パッド411により保持される」との記載を踏まえると、前記ア(エ)【図4】より、以下の事項が看取できる。
「缶体10は、第1搬送機構410の保持パッド411により垂直に保持されていること。」
イ 甲2発明
前記ア及びイより、甲2には、以下のとおりの甲2発明が記載されていると認められる。
[甲2発明]
「画像形成装置200から保護層形成装置440の間に、第1搬送機構410によって搬送される缶体10を加熱するヒータ1Eであって(前記イ(ア))、
搬送方向に沿って複数の缶体10が存在可能な長さを有し、その内側を缶体10が通過するものであり(前記イ(イ))、
缶体10は加熱されて缶体10の表面のインクが硬化し(前記ア(イ)【0036】)、
第1搬送機構410は、缶体10を吸引して保持する複数の保持パッド411と、この保持パッド411よりも上方に配置され保持パッド411を上方から支持する上方支持部材412とを備え、上方支持部材412は、予め定められた経路に沿って循環移動するように設けられ(前記ア(ウ)【0045】)、
画像形成装置200による画像形成が行われた缶体10は、缶体10が缶体排出箇所1Dまで達すると、これまで缶体10を支持筒232に固着するため吸引に換えて、支持筒232の内部の空間に対し圧力の高められた空気が供給され、支持筒232により支持されている缶体10は、上方に向かって移動するようになる一方で、保持パッド411も吸引を開始することにより、缶体10が保持パッド411により保持され(前記ア(ウ)【0046】)、
保持パッド411により垂直に保持された缶体10は、上方支持部材412の移動に伴い移動し、保護層形成装置440に到達し(前記ア(ウ)【0046】、前記イ(ウ))、
搬送されてきた缶体10が、それまで吸引して搬送してきた缶体10を、保持パッド411が吸引を破壊することにより、缶体10の吸引が終了され、缶体10が下方に落下するとともに、下方にて待機している支持筒443Bによってこの缶体10が吸引されることにより、缶体10の内部に支持筒443Bが入り込み、支持筒443Bによる缶体10の保持がなされた状態となる(前記ア(ウ)【0055】)、
ヒータ1E」
(3)甲3
ア 甲3に記載された事項
本件特許の優先日前に発行された、甲3には、以下の事項が記載されている。なお、括弧内は、提出された抄訳文を参考に合議体が作成した翻訳文である。
(ア)第1欄第5行~第2欄第19行
「BACKGROUND OF THE INVENTION
This invention relates specifically to a method and apparatus for curing the coating applied to a can along the seam formed during fabrication of a cylindrical can from a rectangular sheet of can material.
・・・
The radiation applied to the seam is derived from a plurality of independently controlled infrared lamp modules. The intensity of the radiation emitted from each module and the exposure time of the seam to the radiation is adjusted according to the curing characteristics of the coating material.」
(本発明は特に、缶材料の長方形シートから円筒形缶を製造する際に形成される継ぎ目に沿って缶に塗布されるコーティングを硬化させる方法及び装置に関する。
・・・
継ぎ目に適用される放射線は、独立して制御される複数の赤外線ランプモジュールから得られる。各モジュールから放射される放射線の強度および放射線に対する継ぎ目の露光時間は、コーティング材料の硬化特性に応じて調整される。)
(イ)第3欄第48~65欄
「The cans with the newly formed seam and the newly applied coating are preoriented with their cylindrical axes horizontal and seams facing the radiation source. The cans are then proceeded successively by a conveyor along the assembly line beneath the plurality of lamp modules in a direction generally transverse to the directed radiation beams. In most instances the coating is applied to the can seam on the interior of the can, but in certain cases the coating may be applied to the seam on the exterior of the can. The conveyor includes magnetic means for maintaining the horizontally oriented cans in like position as they move through the radiation beams so that the seams of all of the cans are oriented towards the infrared lamps so as to be exposed to the radiation. The conveyor for moving the cans past the lamp modules is driven by a motor whose speed may be varied so as to vary the time period during which the cans are exposed to the radiation.」
(新たに形成された継ぎ日と新たに塗布されたコーティングを有する缶は、その円筒軸が水平で継ぎ目が放射線源に向くように予め方向付けられる。その後、缶はコンベアによって、複数のランプモジュールの下にある生産ラインに沿って、指向された放射線ビームに対して概ね直角方向に順次進められる。ほとんどの場合、コーティングは缶の内側の継ぎ目に施されるが、場合によっては缶の外側の継ぎ目に施されることもある。コンベアには、水平に配置された缶が放射線ビームの中を移動する際に、すべての缶の継ぎ目が放射線を浴びるように赤外線ランプの方を向くように、水平に配置された缶を同じ位置に維持するための磁気手段が含まれる。缶をランプ。モジュールを通過させるコンベアは、缶が放射線に曝される時間を変化させるために、速度を変化させることができるモータによって駆動される。)
(ウ)第5欄第35行~第6欄第15行
「 The curing apparatus 10 comprises generally means for conveying the cans along the assembly line, such as a motor-driven conveyor 14, a plurality of mutually adjacent infrared lamp modules, such as infrared lamp module 16, at least one can seam temperature sensor, such as sensor 18, means for controlling the voltage to each infrared lamp module so as to control the intensity of radiation generated, and means for controlling the speed of conveyor 14 so as to control the duration of exposure.
Referring now to FIGS. 1, 2 and 4, the conveyor 14 comprises generally a pair of continuous chains 20 and 22 for supporting the horizontally-oriented cans, such as can 24 having a seam 26 with coating 28 thereon, a magnetic bar 30 extending the entire length of the curing apparatus 10 for maintaining the cans in position so that the can seams point in a like upward direction, and a motor 32 for driving the chains 20,22, preferably via drive chain 34 interconnecting a gear (not seen) on speed reducer 210, which is driven by motor shaft 38, and a gear 40 on shaft 42 which supports chain drive gears (not shown). A potentiometer 246 electrically coupled to motor 32 permits the speed of conveyor 14 to be varied.」
・・・
The infrared lamp modules are serially arranged in a mutually adjacent manner on the can assembly line. In one embodiment, as depicted in FIGS. 1 and 4, there are six lamp modules, each modle having a bank of twenty individual infrared lamps. The lamps may be arranged in rows of twos as shown in FIG. 6 or staggered as shown in FIG. 7. A typical lamp module, such as lamp module 16, is illustrated in detail in FIGS. 2 and 3 and comprises generally a bank of individual infrared lamps such as lamp 52 arranged as shown in FIG. 2; each lamp having a filament 54; a reflector 56 proximate lamp 52 for directing radiation generated by lamp 52 into a beam, a lamp module height adjusting means, such as geared wheel 80, and an outer shroud 60 confining the lamps and reflectors in module 16.」
(硬化装置10は、概して、モータ駆動のコンベヤ14のような、缶を組立ラインに沿って搬送する手段と、赤外線ランプモジュール16のような複数の互いに隣接する赤外線ランプモジュールと、センサ18のような少なくとも1つの缶継ぎ目温度センサと、発生する放射線の強度を制御するように各赤外線ランプモジュールへの電圧を制御する手段と、露光時間を制御するようにコンベヤ14の速度を制御する手段とを備えている。
図1、図2および図4を参照すると、コンベヤ14は、概して、その上にコーティング28が施された継ぎ目26を有する缶24のような、水平方向に向けられた缶を支持するための一対の連続チェーン20および22と、缶の継ぎ目が同様に上方向を向くように缶を定位置に維持するための、硬化装置10の全長にわたって延びるマグネットバー30と、および、チェーン20,22を駆動するためのモータ32であって、好ましくは、モータシャフト38によって駆動される減速機210上の歯車(図示せず)と、チェーン駆動歯車(図示せず)を支持するシャフト42上の歯車40とを相互に連結する駆動チェーン34を介する、モータ32とを備える。モータ32に電気的に結合されたポテンショメータ246により、コンベヤ14の速度を変化させることができる。
・・・
赤外線ランプモジュールは、缶の組立ライン上で互いに隣接するように直列に配置される。一実施形態では、図1および図4に描かれているように、6つのランプモジュールがあり、各モジュールは20個の個別の赤外線ランプのバンクを有する。ランプは、図6に示されるように2つの列に配置されてもよく、または図7に示されるように互い違いに配置されてもよい。ランプモジュール16のような典型的なランプモジュールは、図2及び図3に詳細に示されており、一般に、図2に示されるように配置されたランプ52のような個々の赤外線ランプの列と、フィラメント54を有する各ランプと、ランプ52により発生された放射線をビームに向けるためにランプ52に近接した反射器56と、ギア式ホイール80のようなランプモジュール高さ調節手段と、ランプ及び反射器をモジュール16内に閉じ込める外側シュラウド60とを有する。)
イ 甲3発明
前記アより、甲3には、以下のとおりの甲3発明が記載されていると認められる。
[甲3発明]
「缶材料の長方形シートから円筒形缶を製造する際に形成される継ぎ目に沿って缶に塗布されるコーティングを硬化させる装置であって(前記ア(ア))、
モータ駆動のコンベヤのような、缶を組立ラインに沿って搬送する手段と、赤外線ランプモジュールのような複数の互いに隣接する赤外線ランプモジュールと、センサのような少なくとも1つの缶継ぎ目温度センサと、発生する放射線の強度を制御するように各赤外線ランプモジュールへの電圧を制御する手段と、露光時間を制御するようにコンベヤの速度を制御する手段とを備え(前記ア(ウ))、
新たに形成された継ぎ日と新たに塗布されたコーティングを有する缶は、その円筒軸が水平で継ぎ目が放射線源に向くように予め方向付けられ(前記ア(イ))
コンベヤは、その上にコーティングが施された継ぎ目を有する缶のような、水平方向に向けられた缶を支持するための一対の連続チェーンと、缶の継ぎ目が同様に上方向を向くように缶を定位置に維持するための、硬化装置の全長にわたって延びるマグネットバーと、および、チェーンを駆動するためのモータとを備え(前記ア(ウ))
継ぎ目に適用される放射線は、独立して制御される複数の赤外線ランプモジュールから得られ(前記ア(ア))、
赤外線ランプモジュールは、缶の組立ライン上で互いに隣接するように直列に配置される(前記ア(ウ))、
硬化装置。」
(4)甲4及び甲5
ア 周知技術を示す文献として提出され、本件特許の優先日前に発行された、甲4には、以下の事項が記載されている。
「【0015】本実施形態のオーブン装置1は、図1に示すように、オーブン本体(加熱炉)2と冷却室3を、缶体を連続的に搬送するための無端ベルトコンベア4に沿って、該無端ベルトコンベア4を囲むようなトンネル状に連続して設けたものであり、オーブン本体2の内部は、図2に示すように、無端ベルトコンベア4の進行方向に沿って温度が異なる3つの加熱ゾーン2a,2b,2cに分けられていて、各加熱ゾーンのそれぞれの温度を異なった個別のものとするための温度制御部5がオーブン本体2に付設されている。」
イ 周知技術を示す文献として提出され、本件特許の優先日前に発行された、甲5には、以下の事項が記載されている。
「【0022】 各缶詰2を搬送路3に沿って搬送するための搬送ベルト6は、耐熱性のある材料からなる無端ベルトであって、図6に示すように、搬送ベルト6のベルト内面側には、搬送ベルト6を巻回させる駆動スプロケットや従動スプロケットの歯部と噛合する歯部6bが、該ベルト6の長手方向に沿って所定間隔で形成されていると共に、搬送ベルト6のベルト外面側には、スクリュー5によって一定の間隔とされた正立状態の各缶詰2をその間隔を保ったままで移動させるために、該ベルト6の幅方向中央部に長手方向に沿って所定間隔で、各缶詰2の下部をそれぞれ搬送方向に押すための突起部6aが形成されている。」
3 甲1発明に基づく新規性及び進歩性の判断
(1)本件発明1について
ア 新規性について
本件発明1と甲1発明を対比すると、本件発明1の「缶用硬化オーブン」は、「幾つかの缶ボディのコーティングを硬化させる」ものであるところ、甲1発明の「表面層加熱処理装置」は、「円筒形体の外側面の表面層を加熱処理する加熱処理装置」あるものの、具体的には「定着装置に用いられる定着ベルト、なかでも表面がフッ素樹脂で被覆された定着ベルトの製造」に好適に用いられるものであって、その「表面樹脂を非晶質化する」ものであるから、缶用の硬化オーブンとはいえない。
したがって、本件発明1が「缶用硬化オーブン」の発明であるのに対して、甲1発明は、「定着装置に用いられる定着ベルト」の「表面樹脂を非晶質化する」「加熱処理装置」の発明であって、「缶用硬化オーブン」ではない点(以下「相違点1」という。)で少なくとも相違する。
そうすると、本件発明1は、甲1発明ではない。
イ 進歩性について
前記相違点1について検討すると、甲1には、「円筒形体の外側面の表面層を加熱処理する加熱処理装置」を缶用の硬化オーブンとして用いることの記載及び示唆はなんらなされていない。
そして、定着ベルトの表面樹脂の非晶質化と缶ボディのコーティングの硬化が、装置構成を同じくして互いに転用可能であることが技術常識であるとはいえず、また、技術常識であることを示す特段の証拠も提出されていない。
したがって、甲1発明において、甲2~3発明並びに甲4及び甲5の記載事項を参照しても、缶用の硬化オーブンとして用いることの動機付けがあるとはいえない。
よって、本件発明1は、当業者であっても甲1~3発明、甲4及び甲5の記載事項に基づいて容易に発明できたものではない。
(2)本件発明15について
本件発明15と甲1発明を対比すると、前記(1)アと同様の理由により、前記相違点1と同様の点で少なくとも相違する。
そうすると、本件発明15は、甲1発明ではない。
また、前記(1)イと同様の理由により、本件発明15は、当業者であっても甲1~3発明、甲4及び甲5の記載事項に基づいて容易に発明できたものではない。
(3)本件発明2~3、5~12、14、16~19について
本件発明2~3、5~12、14は、本件発明1の構成を全て有するものであり、本件発明16~19は、本件発明15の構成を全て有するものであるところ、前記(1)及び(2)のとおりであるから、甲1発明ではなく、当業者であっても甲1~3発明、甲4及び甲5の記載事項に基づいて容易に発明できたものではない。
(4)小括
以上のとおりであるから、本件発明に係る特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものではない。
4 甲2発明に基づく新規性及び進歩性の判断
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲2発明を対比すると次のとおりである。
(ア)甲2発明の「缶体10を加熱する」「ヒータ1E」は、「第1搬送機構410」によって「缶体10」が「搬送」され、「その内側を缶体10が通過する」ものであり、「缶体10は加熱されて缶体10の表面のインクが硬化」するものであるから、甲2発明の「ヒータ1E」及び「第1搬送機構410」で構成される装置は、甲2発明は、「缶用硬化オーブン」といえる。
(イ)甲2発明の「缶体10」は、本件発明1の「缶ボディ」に相当する。また、甲2発明の「第1搬送機構410」は、「缶体10を吸引して保持する複数の保持パッド411」を有しているから、幾つかの缶体10を搬送可能なものであり、本件発明1の「移送アセンブリ」に対応する機構といえる。
そして、甲2発明は、「第1搬送機構410」により、「保持パッド411により垂直に保持された缶体10」を「上方支持部材412の移動に伴い移動」するものであるから、本件発明1の「移送アセンブリ」の「移送ベルト」と甲2発明の「第1搬送機構410」の「上方支持部材412」は、「幾つかの缶ボディを垂直に支持して、前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成された移動部材」である点で共通する。
また、甲2発明の「ヒータ1E」は、「搬送方向に沿って複数の缶体10が存在可能な長さを有し、その内側を缶体10が通過する」ものであるから、前記(ア)を踏まえると、甲2発明の「上方支持部材412」は、「前記幾つかの缶ボディのコーティングを硬化させるために」「加熱ユニットを通って前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成されて」いるといえる。
一方、本件発明1においては、「移送アセンブリ」が「移送ベルトを含む」ものであるのに対し、甲2発明の「第1搬送機構410」の「上方支持部材412」が「移送ベルト」であるのか特定されていない点で相違する。
(ウ)甲2発明の「ヒータ1E」は、「搬送方向に沿って複数の缶体10が存在可能な長さを有し、その内側を缶体10が通過する」ものであるから、本件発明1の「加熱アセンブリ」と「幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された」「加熱ユニットを備える」ものである点で共通する。
また、甲2発明の「ヒータ1E」は、「その内側を缶体10が通過する」ものであるから、技術常識からすれば、ハウジングアセンブリといえる構成を備えることは明らかである。
したがって、本件発明1と甲2発明は、「前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された加熱ユニットを備える加熱アセンブリを含むハウジングアセンブリ」を備える点で共通する。
一方で、本件発明1の「加熱アセンブリ」においては、「複数の加熱ユニット」が「幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された」ものであるのに対し、甲2発明の「ヒータ1E」が「複数の加熱ユニット」を含むことは特定されていない点で相違する。
(エ)本件発明1は、「前記複数の加熱ユニットは、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えており、
前記モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートは、前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第1の加熱ユニットプレートと、前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第2の加熱ユニットプレートとを含んでおり、
前記複数の第1の加熱ユニットプレートの各々は、前記複数の第2の加熱ユニットプレートのうちの1つと対向するように配置されており、
前記幾つかの缶ボディは、前記複数の第1の加熱ユニットプレートと前記複数の第2の加熱ユニットプレートの間を移動する」ものであるのに対し、甲2発明の「ヒータ1E」はそのような構成であるか不明である点で相違する。
(オ)以上(ア)~(エ)を整理すると、本件発明1と甲2発明は、次のとおりの一致点、相違点を有する。
[一致点]
「 缶用硬化オーブンであって、
幾つかの缶ボディを垂直に支持して、前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成された移動部材を含む移送アセンブリと、
前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された加熱ユニットを備える加熱アセンブリを含むハウジングアセンブリと、
を備えており、
前記移動部材は、前記幾つかの缶ボディのコーティングを硬化させるために前記加熱ユニットを通って前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成されており、
缶用硬化オーブン。」
[相違点2]
本件発明1においては、「移送アセンブリ」が「移送ベルトを含む」ものであるのに対し、
甲2発明においては、「第1搬送機構410」の「上方支持部材412」が「移送ベルト」であるのか特定されていない点
[相違点3]
本件発明1の「加熱アセンブリ」においては、「複数の加熱ユニット」が「幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された」ものであり「前記複数の加熱ユニットは、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えており、
前記モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートは、前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第1の加熱ユニットプレートと、前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第2の加熱ユニットプレートとを含んでおり、
前記複数の第1の加熱ユニットプレートの各々は、前記複数の第2の加熱ユニットプレートのうちの1つと対向するように配置されており、
前記幾つかの缶ボディは、前記複数の第1の加熱ユニットプレートと前記複数の第2の加熱ユニットプレートの間を移動する」ものであるのに対し、
甲2発明の「ヒータ1E」においては、「複数の加熱ユニット」を含むことは特定されておらず、また、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えるものであるのか不明である点で相違する。
イ 新規性について
前記ア(オ)のとおり、本件発明1と甲2発明とは、相違点2及び3を有するから、本件発明1は、甲2発明ではない。
ウ 進歩性について
(ア)相違点2について
甲2発明の「第1搬送機構410」の「上方支持部材412」は、「画像形成装置200による画像形成が行われた缶体10」を、「これまで缶体10を支持筒232に固着するため吸引に換えて、支持筒232の内部の空間に対し圧力の高められた空気が供給され、支持筒232により支持されている缶体10は、上方に向かって移動するようになる一方で、保持パッド411も吸引を開始することにより、缶体10が保持パッド411により保持され」、「保護層形成装置440に到達し」た「缶体10」が、「それまで吸引して搬送してきた缶体10を、保持パッド411が吸引を破壊することにより、缶体10の吸引が終了され、缶体10が下方に落下するとともに、下方にて待機している支持筒443Bによってこの缶体10が吸引されることにより、缶体10の内部に支持筒443Bが入り込み、支持筒443Bによる缶体10の保持がなされた状態となる」という具体的な機能を発揮するために、「保持パッド411よりも上方に配置され保持パッド411を上方から支持する」ものであるところ、「上方支持部材412」を、物体を載せて搬送する一般周知の移送ベルトの構成とすることは、甲2発明の「上方支持部材412」の機能を損なうものであって単なる均等物の置換とはいえない。
また、上述のとおり、移送ベルトの適用には、甲2発明の「上方支持部材412」の機能を損なうこととなるため阻害要因があるというべきでもあるから、甲2発明において、甲1発明及び甲3発明の構成並びに甲4及び甲5の記載事項を参照しても、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(イ)相違点3について
a 甲1発明は、「被処理物の搬送方向に対して複数の加熱ユニット」を備えるものの、甲2発明と甲1発明とは、加熱する対象が「表面がフッ素樹脂で被覆された定着ベルト」と「缶体10」で大きく異なるから技術分野が共通とはいえず、また、甲2発明の「ヒータ1E」について、「缶体10」の「搬送方向」に複数設けなければならない特段の理由は見いだせないから、甲2発明の「ヒータ1E」に対して、甲1発明の「複数の加熱ユニット」を適用する動機付けがない。
b 甲3発明は、「複数の互いに隣接する赤外線ランプモジュール」を有するものの、「円筒形缶を製造する際に形成される継ぎ目に沿って缶に塗布されるコーティングを硬化させる装置」であって、「水平方向に向けられた缶を支持するための一対の連続チェーン」と「缶の継ぎ目が同様に上方向を向くように缶を定位置に維持するための、硬化装置の全長にわたって延びるマグネットバー」を備える特定のコンベヤと組み合わせられるものである。
したがって、甲2発明と甲3発明は、具体的な搬送機構や搬送方向に対する缶体の向き等の前提となる装置構成が異なり、甲3発明の「複数のランプモジュール」を、甲2発明の「第1搬送機構410」の「保持パッド411により垂直に保持された」「缶体10」が内側を通過する「ヒータ1E」に用いる特段の理由は見いだせないから、甲2発明の「ヒータ1E」に対して、甲3発明の「複数の互いに隣接する赤外線ランプモジュール」を適用する動機付けがない。
c 甲4及び甲5は、相違点3に係る本件発明1の構成を開示しない。
d 前記a~cより、甲2発明において、甲1発明及び甲3発明並びに甲4及び甲5の記載事項を参照しても、相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(ウ)前記(ア)及び(イ)より、本件発明1は、当業者であっても甲1~3発明、甲4及び甲5の記載事項に基づいて容易に発明できたものではない。
(2)本件発明15について
本件発明15と甲2発明を対比すると、前記(1)ア(イ)のとおりであるから、前記(1)ア(オ)に示す相違点2に加え、次の点で相違する。
[相違点4]
本件発明15の「加熱アセンブリ」においては、「複数の加熱ユニット」が「幾つかの缶ボディの移動方向に沿って配置された」ものであり「前記複数の加熱ユニットは、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えており、
前記モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートは、モジュール式のリンク可能な加熱ユニットプレートの対向する対の複数の積み重ねられた列で配置されており、
前記モジュール式のリンク可能な加熱ユニットプレートの対向する対の複数の積み重ねられた列における各列は、前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第1の加熱ユニットプレートと、前記幾つかの缶ボディの移動方向に沿って並べて配置された複数の第2の加熱ユニットプレートとを含んでおり、
前記幾つかの缶ボディは、前記複数の第1の加熱ユニットプレートと前記複数の第2の加熱ユニットプレートの間を移動する」ものであるのに対し、
甲2発明の「ヒータ1E」においては、「複数の加熱ユニット」を含むことは特定されておらず、また、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えるものであるのか不明である点で相違する。
そうすると、本件発明15は、甲2発明ではない。
また、前記(1)ウ(ア)及び(イ)と同様の理由により、本件発明15は、甲2発明において、甲1発明及び甲3発明並びに甲4及び甲5の記載事項を参照しても、相違点2及び4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(3)本件発明2~3、5~12、14、16~19について
本件発明2~3、5~12、14は、本件発明1の構成を全て有するものであり、本件発明16~19は、本件発明15の構成を全て有するものであるところ、前記(1)及び(2)のとおりであるから、甲2発明ではなく、当業者であっても、甲1~甲3発明、甲4及び甲5の記載事項に基づいて容易に発明できたものではない。
(4)小括
以上のとおりであるから、本件発明に係る特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものではない。
5 明確性の判断
特許請求の範囲に記載された発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の本件出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。
上記観点に基づいて、申立人が特許異議申立書3(4)カ(ア)~(カ)(実質的に取消理由に採用した(オ)を除く。)で指摘する理由(以下「理由(ア)」などという。)について検討する。
(1)理由(ア)について
申立人は、請求項1における「前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットは、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えており」との記載について、「モジュール式」及び「リンク可能」とは、その文言の意味を明確に特定できないと主張する。
しかしながら、特許明細書等【0053】の「モジュール式」及び「リンク可能」について定義する記載と技術常識を踏まえれば、当該請求項1の記載の意味内容を理解できるものであって、第三者に不測の不利益を生じさせるものではないから、請求項1の記載は明確である。
(2)理由(イ)について
申立人は、請求項2における「加熱ユニットは、総有効量の受熱を生じるように構成されている」との記載の「総有効量の受熱」とは如何なるものであるか、その意味を明確に理解できないと主張する。
しかしながら、特許明細書等【0046】の「総有効量の受熱」について定義する記載と技術常識を踏まえれば、当該請求項2の記載の意味内容を理解できるものであって、第三者に不測の不利益を生じさせるものではないから、請求項6の記載は明確である。
(3)理由(ウ)について
申立人は、請求項6における「缶ボディの側面から有効距離にあるように各加熱ユニットを配置するように構成されている」との記載の「有効距離にあるように」とは如何なるものを意味するのか、理解できないと主張する。
しかしながら、特許明細書等【0047】の「有効距離」について定義する記載と技術常識を踏まえれば、当該請求項6の記載の意味内容を理解できるものであって、第三者に不測の不利益を生じさせるものではないから、請求項6の記載は明確である。
(4)理由(エ)について
申立人は、請求項8における、「前記細長くて直線状のハウジングアセンブリは、長さ、幅、及び高さを有しており、前記長さは1.0m乃至6.0mであり、前記幅は80mm乃至300mmであり、前記高さは200mm乃至500mmである」との記載について、「前記長さは1.0m乃至6.0m」及び「前記幅は80mm乃至300mm」としているが、この長さ及び幅の意味が全く不明、と主張する。
しかしながら、ハウジングの長さ、幅の具体的な寸法を特定する上記記載自体の意味内容は一意に決まるのであって、第三者に不測の不利益を生じさせるものではないから、請求項8の記載は明確である。
(5)理由(カ)について
申立人は、請求項14には、「前記複数の加熱ユニットは、1秒以内で完全に起動するように構成されている」との記載があるが、この1秒の根拠が理解できない、と主張する。
しかしながら、加熱ユニットの起動時間を特定する上記記載自体の意味内容は一意に決まるのであって、第三者に不測の不利益を生じさせるものではないから、請求項14の記載は明確である。
(6)小括
以上のとおりであるから、本件発明1~3、5~12、14~19は明確である。
第6 むすび
前記第2のとおりであるから、本件訂正を認める。
また、前記第4及び第5のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~3、5~12、14~19に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~3、5~12、14~19に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項4、13に係る特許についての特許異議の申立ては、本件訂正により申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700283