実用新案無効審判
2025-400004
飾り具
- 審判番号
- 2025-400004
- 法域
- 実用新案
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 実願2024-003612
- 登録番号
- 3249632
- 請求日
- 2025年04月16日
- 審決日
- 2026年02月13日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 請求成立(無効)
- 当事者
- 【請求人】松本 秀治
- 【請求人代理人】松本 秀治
- 【被請求人】株式会社ケイカンパニー
- 【被請求人代理人】杉本 勝徳
- 審判長/審判官
- 審判長 窪田 治彦
- 審判官 関口 哲生
- 審判官 長馬 望
- 分類
- U1114.112-Z (A47G) / U1114.113-Z (A47G) / U1114.121-Z (A47G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 実用新案法第3条、実用新案法第3条第1項、実用新案法第41条、特許法第169条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第3249632号実用新案「飾り具」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
実用新案登録第3249632号の請求項1から3に係る考案についての実用新案登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 請求の趣旨
請求人の求める請求の趣旨は、次のとおりである。
(1)実用新案登録第3249632号の実用新案登録請求の範囲の請求項1の考案、請求項2の考案、請求項3の考案に係る各考案についての実用新案登録を無効とする。
(2)審判費用は被請求人の負担とする。
なお、下記第2に示すとおり、被請求人は、答弁書を提出していない。
第2 手続の経緯
本件無効審判の請求に係る実用新案登録第3249632号は、令和6年10月31日に被請求人「株式会社ケイカンパニー」が出願した実願2024-3612号(以下、「本件出願」という。)に係り、同年12月18日にその請求項1から3に係る考案(以下、それぞれについて「本件考案1」等といい、これらを総称して「本件考案」という。)について実用新案権の設定登録がなされた。
その後、令和7年4月16日に請求人「松本 秀治」から本件無効審判が請求された。その後の経緯は、以下のとおりである。なお、以下、請求人が提出した証拠である甲第1号証等については、「甲1」等と略す。
令和7年 4月16日 審判請求書、甲1から甲4の提出
同年 6月16日付け 手続補正指令
同月26日 手続補正書の提出(請求人)
同年 7月 2日付け 答弁指令
同年10月17日付け 書面審理通知
同月29日付け 無効理由通知、職権審理結果通知
なお、令和7年7月2日付けの答弁指令に対し、被請求人は答弁書を提出しておらず、また、令和7年10月29日付けの無効理由通知書、職権審理結果通知書に対し、請求人、被請求人とも意見書等を提出しなかった。
第3 本件考案
本件考案は、その請求項1から3に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1から3の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
中空の箱体と、前記箱体に連結される輪状部材と、前記箱体内部に収容されるとともに絵柄の施された絵柄パーツとを備えた飾り具であって、
前記箱体は、互いに摺動して接離する一側部分と他側部分とを有し、
前記一側部分と前記他側部分が離間した際に、互いの間隙に前記絵柄パーツが現れることを特徴とする飾り具。
【請求項2】
前記一側部分と前記他側部分は、前記絵柄パーツを介して連結されるとともに、前記一側部分、及び前記他側部分のうち少なくとも一方の部分が、前記絵柄パーツに対して摺動可能に設けられており、
前記絵柄パーツと、前記一方の部分が、前記一側部分と前記他側部分が当接した際に、磁石により固定される請求項1に記載の飾り具。
【請求項3】
前記一側部分と前記他側部分が当接する際の当接面は、周縁が波線状をなす請求項1、又は請求項2に記載の飾り具。」
第4 請求人の主張及び証拠方法
1 請求人の主張の概要
令和7年6月26日に提出された手続補正書により補正された審判請求書により請求人が主張する請求の理由は、概略、次のとおりである。
(1)甲1に掲載された考案に基づく新規性の欠如
本件考案1から3は、下記甲1の第22頁、第23頁(当審注:下記第6・1(1)アに示す箇所)に掲載された、とびだすキーホルダー(以下、「引用考案」という。)であり、本件出願の出願前に電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった考案であり、実用新案法3条1項3号に該当するから、請求項1から3に係る実用新案登録は、実用新案法3条1項の規定に違反してされたものであり、同法37条1項2号に該当し、無効とすべきである。
(2)甲1等により公然実施されたと認められる考案に基づく新規性の欠如
本件考案1から3は、下記甲1から甲4により、本件出願の出願前に公然実施された考案であり、実用新案法3条1項2号に該当するから、請求項1から3に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第1項の規定に違反してされたものであり、同法37条1項2号に該当し、無効とすべきである。
2 証拠方法
請求人が審判請求書と共に提出した証拠は、次のとおりである。
甲1:株式会社丸三のホームページのお知らせ、作成日令和7年4月13日、インターネット<URL:https://www.marusan-japan.com/news/news.html>
甲2:Oshi Zoo 推しいろ動物園 2024年9月発行 株式会社丸三
甲3:Oshi Aquarium 推しいろ水族館 2024年9月発行 株式会社丸三
甲4:キーホルダーの外観およびその一部を分解した状態を撮影した写真、作成日令和7年4月13日、請求人代理人
第5 職権無効理由
当審が令和7年10月29日付けで被請求人に通知した職権無効理由は、概略次のとおりである。
1 甲2に掲載された考案及び甲2により公然実施されたと認められる考案に基づく新規性、進歩性の欠如
(1)本件考案1は、甲2により、本件出願の出願前に日本国内又は外国において公然実施されたと認められる考案であって、実用新案法3条1項2号に該当し、また、本件考案1は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に掲載された考案であって、実用新案法3条1項3号に該当するから、請求項1に係る実用新案登録は、実用新案法3条1項の規定に違反してされたものであり、仮にそうでないとしても、本件考案1は、甲2により、本件出願の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされたと認められる考案、又は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に掲載された考案に基いて、本件出願の出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項1に係る実用新案登録は、実用新案法3条2項の規定に違反してされたものである。
(2)本件考案2は、甲2により、本件出願の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされたと認められる考案及び周知技術(周知例として下記の周知例1から3がある。以下同様。)、又は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に掲載された考案及び周知技術に基いて、本件出願の出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項2に係る実用新案登録は、実用新案法3条2項の規定に違反してされたものである。
(3)本件考案3は、甲2により、本件出願の出願前に日本国内又は外国において公然実施されたと認められる考案であって、実用新案法3条1項2号に該当し、また、本件出願の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に掲載された考案であって、実用新案法3条1項3号に該当するから、請求項3に係る実用新案登録は、実用新案法3条1項の規定に違反してされたものである。また、本件考案3は、甲2により、本件出願の出願前に日本国内又は外国において公然実施されたと認められる考案及び周知技術、又は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に掲載された考案及び周知技術に基いて、本件出願の出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項3に係る実用新案登録は、実用新案法3条2項の規定に違反してされたものである。
2 甲3に掲載された考案及び甲3により公然実施されたと認められる考案に基づく新規性、進歩性の欠如
(1)本件考案1は、甲3により、本件出願の出願前に日本国内又は外国において公然実施されたと認められる考案であって、実用新案法3条1項2号に該当し、また、本件考案1は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3に掲載された考案であって、実用新案法3条1項3号に該当するから、請求項1に係る実用新案登録は、実用新案法3条1項の規定に違反してされたものであり、仮にそうでないとしても、本件考案1は、甲3により、本件出願の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされたと認められる考案、又は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3に掲載された考案に基いて、本件出願の出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項1に係る実用新案登録は、実用新案法3条2項の規定に違反してされたものである。
(2)本件考案2は、甲3により、本件出願の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされたと認められる考案及び周知技術、又は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3に掲載された考案及び周知技術に基いて、本件出願の出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項2に係る実用新案登録は、実用新案法3条2項の規定に違反してされたものである。
(3)本件考案3は、甲3により、本件出願の出願前に日本国内又は外国において公然実施されたと認められる考案であって、実用新案法3条1項2号に該当し、また、本件出願の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3に掲載された考案であって、実用新案法3条1項3号に該当するから、請求項3に係る実用新案登録は、実用新案法3条1項の規定に違反してされたものである。また、本件考案3は、甲3により、本件出願の出願前に日本国内又は外国において公然実施されたと認められる考案及び周知技術、又は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3に掲載された考案及び周知技術に基いて、本件出願の出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項3に係る実用新案登録は、実用新案法3条2項の規定に違反してされたものである。
職権無効理由通知において周知技術の周知例として示された文献は、以下のとおりである。
周知例1:特開2014-161447号公報
周知例2:登録実用新案第3208139号公報
周知例3:登録実用新案第3064745号公報
第6 当審の判断
1 甲号証の掲載された事項及び掲載された考案、並びに周知例1から3の記載事項
(1)甲1
甲1には、次の事項が掲載されている。なお、フォント、文字サイズ等は、同じものに統一した。また、掲載されている写真の一部を省略し、省略した箇所にその旨記載した。
ア 「第98回東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2024 開催のお知らせ
2024.09.04
平素より格別のお引立てを頂き、ありがとうございます。
本日9月4日(水)より6日(金)まで東京ビッグサイト(東京国際展示場)で開催される「第98回東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2024」に弊社ブースを出展しております。
今回は、インバウンド向け新商品に加え、修学旅行生向けご当地の新商品・動物園や水族館向け新商品も多数展示しております。
実際にお手に取って商品をご覧頂ける機会ですので、是非お立ち寄りください。
スタッフ一同お待ちしております。
弊社ブース 東京ビッグサイト東2ホール[東2-T11-07]
開催期間:2024年9月4日(水)~6日(金)
10:00~18:00(最終日のみ17:00終了)
会場:東京ビッグサイト
入場:無料(事前登録制)
[図:0001435220000001.jpg]
写真を2枚省略
[図:0001435220000002.jpg]
[図:0001435220000003.jpg]
写真を1枚省略
(クリックで拡大) 」
イ 「<2024年9月発行>商品カタログを掲載しました
2024.08.26
[図:0001435220000004.jpg]
2024年9月発行の新商品を追加した最新カタログがご用意できました。
「推しいろ動物園」
動物園向け商品カタログ
「推しいろ水族館」
水族館向け商品カタログ
「タビオドル」
ご当地修学旅行生向け商品カタログ
「総合カタログ」
物産と和雑貨商品等カタログ
お値段、発送時期等、お気軽にお問い合わせください。
ご連絡心よりお待ちしております。 」
ウ 「第98回東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2024 出展のお知らせ
2024.08.06
この度、丸三は「第98回東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2024」に出展する運びとなりました!
今回は、新シリーズの豆柴に加え、おみくじの新商品、ご当地のお土産も多数展示しております。
実際にお手に取って商品をご覧頂ける機会ですので、是非お立ち寄りください。
スタッフ一同お待ちしております。
弊社ブース 東京ビッグサイト 東展示棟[東2-T11-07]
開催期間:2024年9月4日(水)~9月6日(金) 10:00~18:00(最終日のみ17:00終了)
会場:東京ビッグサイト
入場:無料(事前登録制)
[図:0001435220000005.jpg]
(クリックで拡大)
写真を一枚省略
(クリックで拡大) 」
(2)甲2
ア 甲2に掲載された事項
甲2には、次の事項が掲載されている。
(ア)「
[図:0001435220000006.jpg]
」
イ 甲2に掲載された事項から理解できること
この甲2に掲載された事項から、次の(ア)から(オ)に示すことが理解できる。
(ア)推しいろ動物園びっくりキーホルダーには、タマゴ型の部材があり、このタマゴ型の部材には、丸カンが接続されている。
(イ)タマゴ型の部材は、丸カンが接続される上側部材と下側部材で構成されている。上側部材と下側部材をひっぱると、上側部材と下側部材は一体となった状態から離れ、このときに、上側部材と下側部材との間に動物を模した絵柄が施された絵柄部品が現れるが、上側部材と下側部材が一体となった状態では、正面視で動物を模した絵柄が施された絵柄部品は、タマゴ型の部材に隠れている。
(ウ)上側部材、下側部材、動物を模した絵柄が施された絵柄部品は、キーホルダーの一部を構成するものであることを考慮すると、これらは、何らかの手段によりつながっているものである。一方、上側部材と下側部材をひっぱって、これらが離れた状態では、これらが直接つながっていないことから、上側部材と下側部材は、動物を模した絵柄が施された絵柄部品を介してつながっていると解される。そうすると、上側部材と下側部材をひっぱったときには、上側部材と下側部材の少なくとも一方が、動物を模した絵柄が施された絵柄部品に対して摺動するから、上側部材と下側部材の少なくとも一方は、動物を模した絵柄が施された絵柄部品に対して摺動可能である。
(エ)「ひっぱると タマゴから動物たちがとびだすよ!」と掲載されていることからみて、上側部材と下側部材をひっぱっていないときには、上側部材と下側部材は、何らかの手段により一体となった状態にあり、この状態を保持する手段を推しいろ動物園びっくりキーホルダーは有している。
(オ)上側部材と下側部材が接する部分の面は、縁部分が波形をしている。
ウ 甲2に掲載された考案、及び甲2により公然実施されたと認められる考案
上記ア及びイより、甲2には、次の考案(以下、「甲2考案1」という。)が掲載されていると認められ、また、甲2が株式会社丸三が商品の譲渡又は譲渡等の申出をするためのものであることを考慮すると、甲2考案1が公然実施されていたと認められる。
・甲2考案1
「タマゴ型の部材と、前記タマゴ型の部材に接続される丸カンと、前記タマゴ型の部材に正面視で隠されるとともに動物を模した絵柄が施された絵柄部品とを備えた推しいろ動物園びっくりキーホルダーであって、
前記タマゴ型の部材は、互いに摺動して一体となった状態から離れる上側部材と下側部材とを有し、
前記上側部材と前記下側部材とが離れたときに、前記上側部材と前記下側部材との間に前記絵柄部品が現れる推しいろ動物園びっくりキーホルダー。」
また、甲2には、次の考案(以下、それぞれ、「甲2考案2」、「甲2考案3」という。)が掲載され、甲2により、甲2考案2及び甲2考案3が公然実施されていたと認められる。
・甲2考案2
「前記上側部材と前記下側部材は、前記絵柄部品を介してつなげられるとともに、前記上側部材、及び前記下側部材のうち少なくとも一方の部材が、前記絵柄部品に対して摺動可能に設けられており、
前記絵柄部品と、前記上側部材と前記下側部材が一体となった状態を保持する甲2考案1に係る推しいろ動物園びっくりキーホルダー。」
・甲2考案3
「前記上側部材と前記下側部材が接する部分の面は、縁部分が波形をしている甲2考案1又は甲2考案2に係る推しいろ動物園びっくりキーホルダー。」
(3)甲3
ア 甲3に掲載された事項
甲3には、次の事項が掲載されている。
(ア)「
[図:0001435220000007.jpg]
」
イ 甲3に掲載された事項から理解できること
この甲3に掲載された事項から、次の(ア)から(オ)に示すことが理解できる。
(ア)推しいろ水族館びっくりキーホルダーには、二枚貝の2つの貝殻を模した二枚貝型の部材があり、この二枚貝型の部材には、丸カンが接続されている。
(イ)二枚貝型の部材は、丸カンが接続される上側部材と下側部材で構成されている。上側部材と下側部材をひっぱると、上側部材と下側部材は一体となった状態から離れ、このときに、上側部材と下側部材との間に海の生き物を模した絵柄が施された絵柄部品が現れるが、上側部材と下側部材が一体となった状態では、正面視で海の生き物を模した絵柄が施された絵柄部品は、二枚貝型の部材に隠れている。
(ウ)上側部材、下側部材、海の生き物を模した絵柄が施された絵柄部品は、キーホルダーの一部を構成するものであることを考慮すると、これらは、何らかの手段によりつながっているものである。一方、上側部材と下側部材をひっぱって、これらが離れた状態では、これらが直接つながっていないことから、上側部材と下側部材は、海の生き物を模した絵柄が施された絵柄部品を介してつながっていると解される。そうすると、上側部材と下側部材をひっぱったときには、上側部材と下側部材の少なくとも一方が、海の生き物を模した絵柄が施された絵柄部品に対して摺動するから、上側部材と下側部材の少なくとも一方は、海の生き物を模した絵柄が施された絵柄部品に対して摺動可能である。
(エ)「ひっぱると 貝から海の生き物たちがとびだすよ!」と掲載されていることからみて、上側部材と下側部材をひっぱっていないときには、上側部材と下側部材は、何らかの手段により一体となった状態にあり、この状態を保持する手段を推しいろ水族館びっくりキーホルダーは有している。
(オ)上側部材と下側部材が接する部分の面は、縁部分が波形をしている。
ウ 甲3に掲載された考案、及び甲3により公然実施されたと認められる考案
上記ア及びイより、甲3には、次の考案(以下、「甲3考案1」という。)が掲載されていると認められ、また、甲3が株式会社丸三が商品の譲渡又は譲渡等の申出をするためのものであることを考慮すると、甲3考案1が公然実施されていたと認められる。
・甲3考案1
「二枚貝型の部材と、前記二枚貝型の部材に接続される丸カンと、前記二枚貝型の部材に正面視で隠されるとともに海の生き物を模した絵柄が施された絵柄部品とを備えた推しいろ水族館びっくりキーホルダーであって、
前記二枚貝型の部材は、互いに摺動して一体となった状態から離れる上側部材と下側部材とを有し、
前記上側部材と前記下側部材とが離れたときに、前記上側部材と前記下側部材との間に前記絵柄部品が現れる推しいろ水族館びっくりキーホルダー。」
また、甲3には、次の考案(以下、それぞれ、「甲3考案2」、「甲3考案3」という。)が掲載され、甲3により、甲3考案2及び甲3考案3が公然実施されていたと認められる。
・甲3考案2
「前記上側部材と前記下側部材は、前記絵柄部品を介してつなげられるとともに、前記上側部材、及び前記下側部材のうち少なくとも一方の部材が、前記絵柄部品に対して摺動可能に設けられており、
前記絵柄部品と、前記上側部材と前記下側部材が一体となった状態を保持する甲3考案1に係る推しいろ水族館びっくりキーホルダー。」
・甲3考案3
「前記上側部材と前記下側部材が接する部分の面は、縁部分が波形をしている甲3考案1又は甲3考案2に係る推しいろ水族館びっくりキーホルダー。」
(4)甲4
ア 甲4に記載された事項
甲4には、次の事項が記載されている。
「
[図:0001435220000008.jpg]
」
(5)周知例1(特開2014-161447号公報)
職権無効理由通知で示した周知例1には、次の事項が記載されている。
ア 「【0023】
人形玩具1の概要について説明する。人形玩具1は、図1,2に示すように、軟質合成樹脂によって形成された人型形状体2と衣服形状体20とからなる。人型形状体2には、衣服形状の輪郭の凹部3が形成され、この凹部3に相当する位置に磁石5が埋設されている(図4参照)。衣服形状体20は、人型形状体2の凹部3に嵌合するように形成され、強磁性体21が埋設されており、人型形状体2の凹部3に着脱可能に取り付けられる。」
イ 周知例1には、次の図1及び図2として、次の図が記載されている。
[図:0001435220000009.jpg]
(6)周知例2(登録実用新案3208139号公報)
職権無効理由通知で示した周知例2には、次の事項が記載されている。
ア 「【0012】
マスコット10は、例えば扁平状である。図1はわずかに斜め右方向から見た図であり、扁平状の厚みも表している。マスコット10は、内部に磁石(第1磁石)を備えている。磁石の磁力により、他のマスコットの金属部材又は他のマスコットの磁石(第2磁石)と引き合ってマスコット10と他のマスコットがくっつく。また、マスコット10は、他のマスコットに限らず、冷蔵庫やスチール製のテーブル及びキャビネットなどの金属製品とくっつくことができる。マスコット10は例えば人の形状をしており、顔や手などの体のパーツが印刷等により描かれている。図1(a)は、マスコット10の表面と裏面ともに、人が同じ側から見た図柄(この例では正面を向いた図柄)が描かれた例である。図1(b)は、マスコット10の表面と裏面の一方に、人を一方の側から見た図柄(この例では正面を向いた図柄)が描かれ、他方に人を対向する側から見た図柄(この例では後方を向いた図柄)が描かれた例を示す。図1(a)のように同じ側から見た図柄を用いる場合、例えば、一方の面の図柄を左右反転した図柄を他方の面に用いてもよい。」
イ 周知例2には、図1として次の図が記載されている。
[図:0001435220000010.jpg]
(7)周知例3(登録実用新案第3064745号公報)
職権無効理由通知で示した周知例3には、次の事項が記載されている。
ア 「【0007】
また、この飾り具は、同様にS極の磁界が外部へ作用するように磁石2′′を飾り具本体1′′に内蔵し、かつ、ストラップ3′′を接続した別の飾り具に対しては、図1に示すように、両方の磁石2,2′′の吸引力によって、飾り具本体1,1′′を互いに吸着し合って、腹部同士を密着させて、あたかも抱擁したような状態となる。」
イ 周知例3には、図1として次の図が記載されている。
[図:0001435220000011.jpg]
2 当審で通知した職権無効理由について
事案に鑑み、上記第5に示す職権無効理由から検討する。
(1)本件考案1と甲2考案1との対比、及び判断
本件考案1と甲2考案1とを対比する。
甲2考案1の「絵柄部品」は、本件考案1の「絵柄パーツ」に相当する。そして、甲2考案1の「タマゴ型の部材」と本件考案1の「箱体」とは、絵柄パーツ(絵柄部品)を隠す絵柄パーツ隠し部材である点で共通する。さらに、甲2考案1の「接続される」、「丸カン」は、それぞれ本件考案1の「連結される」、「輪状部材」に相当し、甲2考案1の「動物の絵柄を模した」ことは、本件考案1の「絵柄の施された」ことに相当し、甲2考案1の「前記タマゴ型の部材に正面視で隠される」ことと本件考案1の「前記箱体内部に収容される」こととは、絵柄パーツ隠し部材に隠されることで共通する。また、甲2考案1の「推しいろ動物園びっくりキーホルダー」は、本件考案1の「飾り具」に相当する。
そうすると、甲2考案1の「タマゴ型の部材と、前記タマゴ型の部材に接続される丸カンと、前記タマゴ型の部材に正面視で隠されるとともに動物を模した絵柄が施された絵柄部品とを備えた推しいろ動物園びっくりキーホルダー」と本件考案1の「中空の箱体と、前記箱体に連結される輪状部材と、前記箱体内部に収容されるとともに絵柄の施された絵柄パーツとを備えた飾り具」とは、絵柄パーツ隠し部材と、前記絵柄パーツ隠し部材に連結される輪状部材と、前記絵柄パーツ隠し部材に隠されるとともに絵柄の施された絵柄パーツとを備えた飾り具である点で共通する。
甲2考案1の「互いに摺動して一体となった状態から離れる」ことは、本件考案1の「互いに摺動して接離する」ことに相当し、甲2考案1の「上側部材」は、本件考案1の「一側部分」に相当し、甲2考案1の「下側部材」は、本件考案1の「他側部分」に相当する。
そうすると、甲2考案1の「前記タマゴ型の部材は、互いに摺動して一体となった状態から離れる上側部材と下側部材とを有」することと、本件考案1の「前記箱体は、互いに摺動して接離する一側部分と他側部分とを有」することは、絵柄パーツ隠し部材は、互いに摺動して接離する一側部分と他側部分とを有することで共通する。
甲2考案1の「離れたとき」は、本件考案1の「離間した際」に相当し、甲2考案1の「前記上側部材と前記下側部材との間」は、本件考案1の「互いの間隙」に相当する。
そうすると、甲2考案1の「前記上側部材と前記下側部材とが離れたときに、前記上側部材と前記下側部材との間に前記絵柄部品が現れる」ことは、本件考案1の「前記一側部分と前記他側部分が離間した際に、互いの間隙に前記絵柄パーツが現れる」ことに相当する。
これらのことから、本件考案1と甲2考案1とは、次の一致点2-1で一致し、相違点2-1で相違する。
・一致点2-1
絵柄パーツ隠し部材と、前記絵柄パーツ隠し部材に連結される輪状部材と、前記絵柄パーツ隠し部材に隠されるとともに絵柄の施された絵柄パーツとを備えた飾り具であって、
前記絵柄パーツ隠し部材は、互いに摺動して接離する一側部分と他側部分とを有し、
前記一側部分と前記他側部分が離間した際に、互いの間隙に前記絵柄パーツが現れる飾り具。
・相違点2-1
絵柄パーツ隠し部材に関して、本件考案1は、「中空の箱体」であって、絵柄パーツが「箱体内部に収容され」、箱体は一側部分と他側部分とを有するのに対し、甲2考案1は、「タマゴ型の部材」であって、絵柄部品が「前記タマゴ型の部材に正面視で隠される」ものの、内部に収容されるか否か不明であり、タマゴ型の部材は、上側部材と下側部材とを有する点。
上記相違点2-1について検討する。
甲2考案1は、キーホルダーについての考案であって、一般にキーホルダーの装飾品は、正面だけからではなく、背面を含む様々な方向から使用者等にみられるものである。
また、甲2に掲載された「ひっぱると タマゴから動物たちがとびだすよ!」の「タマゴ」とは、卵を模したものであって、引っ張ると、この卵を模したものから動物を模した絵柄が施された絵柄部品が現れることを意味していると解される。
これらのことを考慮すると、甲2考案1の「タマゴ型の部材」は、卵と同様に中空の部材であって、その内部に絵柄部品を収容することにより、上側部材と下側部材とが一体となった状態では、キーホルダーを正面及び背面を含む様々な方向から見ても当該絵柄部品が使用者からみえない状態におかれているものと解される。
この点は、甲2に掲載された平板上に置かれていると解される概ね青緑色をしている「Capybara」との記載のあるキーホルダーにおいて平板上に影が現れていることとも整合する。
そうすると、甲2考案1の推しいろ動物園びっくりキーホルダーは、本件考案1と同様に、タマゴ型の部材が「中空の箱体」であって、絵柄部品がタマゴ型の部材の内部に収容されているものと解されるから、上記相違点2-1は、実質的な相違点ではない。
よって、本件考案1は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において公然実施された甲2考案1であって、実用新案法3条1項2号に該当し、また、本件考案1は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2考案1であって、実用新案法3条1項3号に該当するから、請求項1に係る実用新案登録は、実用新案法3条1項の規定に違反してされたものである。
また、仮にそうでないとしても、甲2に掲載された「ひっぱると タマゴから動物たちがとびだすよ!」より、甲2考案1の「タマゴ型の部材」を中空の箱体とし、絵柄部品を内部に収容することにより、上記相違点2-1に係る本件考案1の考案特定事項を得ることは、考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)がきわめて容易になし得た事項である。
よって、本件考案1は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた甲2考案1、又は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2考案1に基いて、本件実用新案登録の出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項1に係る実用新案登録は、実用新案法3条2項の規定に違反してされたものである。
(2)本件考案2と甲2考案2との対比、及び判断
本件考案2と甲2考案2とを対比すると、本件考案1と甲2考案1との対比と同様に対比でき、さらに、甲2考案2の「つなげられる」ことは、本件考案2の「連結される」ことに相当し、甲2考案2の「少なくとも一方の部材」は、本件考案2の「少なくとも一方の部分」に相当する。
そうすると、甲2考案2の「前記上側部材と前記下側部材は、前記絵柄部品を介してつなげられるとともに、前記上側部材、及び前記下側部材のうち少なくとも一方の部材が、前記絵柄部品に対して摺動可能に設けられて」いることは、本件考案2の「前記一側部分と前記他側部分は、前記絵柄パーツを介して連結されるとともに、前記一側部分、及び前記他側部分のうち少なくとも一方の部分が、前記絵柄パーツに対して摺動可能に設けられて」いることに相当する。
また、甲2考案2の「前記絵柄部品と、前記上側部材と前記下側部材が一体となった状態を保持する」ことは、本件考案2の「前記絵柄パーツと、前記一方の部分が、前記一側部分と前記他側部分が当接した際に、磁石により固定される」ことと、絵柄パーツと、一方の部分が、一側部分と他側部分が当接した際に、固定される点で共通する。
これらのことから、本件考案2と甲2考案2とは、次の一致点2-2で一致し、相違点2-1に加え、相違点2-2で相違する。
・一致点2-2
「前記一側部分と前記他側部分は、前記絵柄パーツを介して連結されるとともに、前記一側部分、及び前記他側部分のうち少なくとも一方の部分が、前記絵柄パーツに対して摺動可能に設けられており、
前記絵柄パーツと、前記一方の部分が、前記一側部分と前記他側部分が当接した際に、固定される一致点2-1に係る飾り具。」
・相違点2-2
絵柄パーツと、一方の部分が、一側部分と他側部分が当接した際に、固定される点に関して、本件考案2は、「磁石により固定される」のに対し、甲2考案2は、一体となった状態を保持する手段が不明な点。
上記相違点について検討する。
相違点2-1についての判断は、上記(1)に示すとおりである。
次に相違点2-2について検討すると、甲2考案2は、上側部材と下側部材が絵柄部品に対して摺動可能に設けられ、一体となった状態から離れる状態にもなるものであり、これらの2つの状態を繰り返すことが可能なものである。
一方、2つの部材を固定する手段として磁石を用いることは、周知技術(周知例として上記1(5)から(7)に示す周知例1から3がある。)である。
そうすると、甲2考案2において、上側部材と下側部材が絵柄部品に対して固定されることで、一体となった状態を保持する手段として、周知技術に基づいて磁石を用いることは、当業者がきわめて容易になし得た事項であり、上記相違点2-2に係る本件考案2の考案特定事項を得ることは当業者がきわめて容易になし得た事項である。
よって、本件考案2は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた甲2考案2及び周知技術に基いて、又は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2考案2及び周知技術に基いて、本件実用新案登録の出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項2に係る実用新案登録は、実用新案法3条2項の規定に違反してされたものである。
(3)本件考案3と甲2考案3との対比、及び判断
本件考案3と甲2考案3とを対比すると、本件考案1と甲2考案1との対比、本件考案2と甲2考案2との対比と同様に対比でき、さらに、甲2考案3の「前記上側部材と前記下側部材が接する部分の面」は、本件考案3の「前記一側部分と前記他側部分が当接する際の当接面」に相当し、甲2考案3の「縁部分」は、本件考案3の「周縁」に相当し、甲2考案2の「波形をしている」ことは、本件考案3の「波線状をなす」ことに相当する。
そうすると、本件考案3と甲2考案3とは、次の一致点2-3で一致し、相違点2-1又は、相違点2-1及び相違点2-2で相違する。
・一致点2-3
「前記一側部分と前記他側部分が当接する際の当接面は、周縁が波線状をなす一致点2-1、又は一致点2-2に係る飾り具。」
そして、相違点2-1及び相違点2-2についての判断は、上記(1)及び(2)に示すとおりである。
よって、本件考案3は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において公然実施された甲2考案3であって、実用新案法3条1項2号に該当し、また、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2考案3であって、実用新案法3条1項3号に該当するから、請求項3に係る実用新案登録は、実用新案法3条1項の規定に違反してされたものである。
また、本件考案3は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において公然実施された甲2考案3及び周知技術、又は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3考案3及び周知技術に基いて、本件実用新案登録の出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項3に係る実用新案登録は、実用新案法3条2項の規定に違反してされたものである。
(4)本件考案1と甲3考案1との対比、及び判断
本件考案1と甲3考案1とを対比する。
甲3考案1の「絵柄部品」は、本件考案1の「絵柄パーツ」に相当する。そして、甲3考案1の「二枚貝型の部材」と本件考案1の「箱体」とは、絵柄パーツ(絵柄部品)を隠す絵柄パーツ隠し部材である点で共通する。さらに、甲3考案1の「接続される」、「丸カン」は、それぞれ本件考案1の「連結される」、「輪状部材」に相当し、甲3考案1の「海の生き物の絵柄を模した」ことは、本件考案1の「絵柄の施された」ことに相当し、甲3考案1の「前記二枚貝型の部材に正面視で隠される」ことと本件考案1の「前記箱体内部に収容される」こととは、絵柄パーツ隠し部材に隠されることで共通する。また、甲3考案1の「推しいろ水族館びっくりキーホルダー」は、本件考案1の「飾り具」に相当する。
そうすると、甲3考案1の「二枚貝型の部材と、前記二枚貝型の部材に接続される丸カンと、前記二枚貝型の部材に正面視で隠されるとともに海の生き物を模した絵柄が施された絵柄部品とを備えた推しいろ水族館びっくりキーホルダー」と本件考案1の「中空の箱体と、前記箱体に連結される輪状部材と、前記箱体内部に収容されるとともに絵柄の施された絵柄パーツとを備えた飾り具」とは、絵柄パーツ隠し部材と、前記絵柄パーツ隠し部材に連結される輪状部材と、前記絵柄パーツ隠し部材に隠されるとともに絵柄の施された絵柄パーツとを備えた飾り具である点で共通する。
甲3考案1の「互いに摺動して一体となった状態から離れる」ことは、本件考案1の「互いに摺動して接離する」ことに相当し、甲3考案1の「上側部材」は、本件考案1の「一側部分」に相当し、甲3考案1の「下側部材」は、本件考案1の「他側部分」に相当する。
そうすると、甲3考案1の「前記二枚貝型の部材は、互いに摺動して一体となった状態から離れる上側部材と下側部材とを有」することと、本件考案1の「前記箱体は、互いに摺動して接離する一側部分と他側部分とを有」することは、絵柄パーツ隠し部材は、互いに摺動して接離する一側部分と他側部分とを有することで共通する。
甲3考案1の「離れたとき」は、本件考案1の「離間した際」に相当し、甲3考案1の「前記上側部材と前記下側部材との間」は、本件考案1の「互いの間隙」に相当する。
そうすると、甲3考案1の「前記上側部材と前記下側部材とが離れたときに、前記上側部材と前記下側部材との間に前記絵柄部品が現れる」ことは、本件考案1の「前記一側部分と前記他側部分が離間した際に、互いの間隙に前記絵柄パーツが現れる」ことに相当する。
これらのことから、本件考案1と甲3考案1とは、次の一致点3-1で一致し、相違点3-1で相違する。
・一致点3-1
絵柄パーツ隠し部材と、前記絵柄パーツ隠し部材に連結される輪状部材と、前記絵柄パーツ隠し部材に隠されるとともに絵柄の施された絵柄パーツとを備えた飾り具であって、
前記絵柄パーツ隠し部材は、互いに摺動して接離する一側部分と他側部分とを有し、
前記一側部分と前記他側部分が離間した際に、互いの間隙に前記絵柄パーツが現れる飾り具。
・相違点3-1
絵柄パーツ隠し部材に関して、本件考案1は、「中空の箱体」であって、絵柄パーツが「箱体内部に収容され」、箱体は一側部分と他側部分とを有するのに対し、甲3考案1は、「二枚貝型の部材」であって、絵柄部品が「前記二枚貝型の部材に正面視で隠される」ものの、内部に収容されるか否か不明であり、二枚貝型の部材は、上側部材と下側部材とを有する点。
上記相違点3-1について検討する。
甲3考案1は、キーホルダーについての考案であって、一般にキーホルダーの装飾品は、正面だけからではなく、背面を含む様々な方向から使用者等にみられるものである。
また、甲3に掲載された「ひっぱると 貝から海の生き物たちがとびだすよ!」の「貝」とは、甲3に掲載されたキーホルダーの図柄からみて、二枚貝を意図して模したものであり、引っ張ると、この二枚貝を模したものから海の生き物を模した絵柄が施された絵柄部品が現れることを意味していると解される。
これらのことを考慮すると、甲3考案1の「二枚貝型の部材」は、二枚貝と同様に中空の部材であって、その内部に絵柄部品を収容することにより、上側部材と下側部材とが一体となった状態では、キーホルダーを正面及び背面を含む様々な方向から見ても当該絵柄部品が使用者からみえない状態におかれているものと解される。
この点は、甲3に掲載された平板上に置かれていると解される概ね黄色をしている「Jinbeizame」との記載のあるキーホルダーにおいて平板上に影が現れていることとも整合する。
そうすると、甲3考案1の推しいろ水族館びっくりキーホルダーは、本件考案1と同様に、二枚貝型の部材が「中空の箱体」であって、絵柄部品が二枚貝型の部材の内部に収容されているものと解されるから、上記相違点3-1は、実質的な相違点ではない。
よって、本件考案1は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において公然実施された甲3考案1であって、実用新案法3条1項2号に該当し、また、本件考案1は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3考案1であって、実用新案法3条1項3号に該当するから、請求項1に係る実用新案登録は、実用新案法3条1項の規定に違反してされたものである。
また、仮にそうでないとしても、甲3に掲載された「ひっぱると 貝から海の生き物たちがとびだすよ!」より、甲3考案1の「二枚貝型の部材」を中空の箱体とし、絵柄部品を内部に収容することにより、上記相違点3-1に係る本件考案1の考案特定事項を得ることは、当業者がきわめて容易になし得た事項である。
よって、本件考案1は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた甲3考案1、又は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3考案1に基いて、本件実用新案登録の出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項1に係る実用新案登録は、実用新案法3条2項の規定に違反してされたものである。
(5)本件考案2と甲3考案2との対比、及び判断
本件考案2と甲3考案2とを対比すると、本件考案1と甲3考案1との対比と同様に対比でき、さらに、甲3考案2の「つなげられる」ことは、本件考案3の「連結される」ことに相当し、甲3考案2の「少なくとも一方の部材」は、本件考案2の「少なくとも一方の部分」に相当する。
そうすると、甲3考案2の「前記上側部材と前記下側部材は、前記絵柄部品を介してつなげられるとともに、前記上側部材、及び前記下側部材のうち少なくとも一方の部材が、前記絵柄部品に対して摺動可能に設けられて」いることは、本件考案2の「前記一側部分と前記他側部分は、前記絵柄パーツを介して連結されるとともに、前記一側部分、及び前記他側部分のうち少なくとも一方の部分が、前記絵柄パーツに対して摺動可能に設けられて」いることに相当する。
また、甲3考案2の「前記絵柄部品と、前記上側部材と前記下側部材が一体となった状態を保持する」ことは、本件考案2の「前記絵柄パーツと、前記一方の部分が、前記一側部分と前記他側部分が当接した際に、磁石により固定される」ことと、絵柄パーツと、一方の部分が、一側部分と他側部分が当接した際に、固定される点で共通する。
これらのことから、本件考案2と甲3考案2とは、次の一致点3-2で一致し、相違点3-1に加え、相違点3-2で相違する。
・一致点3-2
「前記一側部分と前記他側部分は、前記絵柄パーツを介して連結されるとともに、前記一側部分、及び前記他側部分のうち少なくとも一方の部分が、前記絵柄パーツに対して摺動可能に設けられており、
前記絵柄パーツと、前記一方の部分が、前記一側部分と前記他側部分が当接した際に、固定される一致点3-1に係る飾り具。」
・相違点3-2
絵柄パーツと、一方の部分が、一側部分と他側部分が当接した際に、固定される点に関して、本件考案2は、「磁石により固定される」のに対し、甲3考案2は、一体となった状態を保持する手段が不明な点。
上記相違点について検討する。
相違点3-1についての判断は、上記(4)に示すとおりである。
次に相違点3-2について検討すると、甲3考案2は、上側部材と下側部材が絵柄部品に対して摺動可能に設けられ、一体となった状態から離れる状態にもなるものであり、これらの2つの状態を繰り返すことが可能なものである。
一方、2つの部材を固定する手段として磁石を用いることは、周知技術(周知例として上記1(5)から(7)に示す周知例1から3がある。)である。
そうすると、甲3考案2において、上側部材と下側部材が絵柄部品に対して固定されることで、一体となった状態を保持する手段として、周知技術に基づいて磁石を用いることは、当業者がきわめて容易になし得た事項であり、上記相違点3-2に係る本件考案2の考案特定事項を得ることは当業者がきわめて容易になし得た事項である。
よって、本件考案2は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた甲3考案2及び周知技術に基いて、又は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3考案2及び周知技術に基いて、本件実用新案登録の出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項2に係る実用新案登録は、実用新案法3条2項の規定に違反してされたものである。
(6)本件考案3と甲3考案3との対比、及び判断
本件考案3と甲3考案3とを対比すると、本件考案1と甲3考案1との対比、本件考案2と甲3考案2との対比と同様に対比でき、さらに、甲3考案3の「前記上側部材と前記下側部材が接する部分の面」は、本件考案3の「前記一側部分と前記他側部分が当接する際の当接面」に相当し、甲3考案3の「縁部分」は、本件考案3の「周縁」に相当し、甲3考案2の「波形をしている」ことは、本件考案3の「波線状をなす」ことに相当する。
そうすると、本件考案3と甲3考案3とは、次の一致点3-3で一致し、相違点3-1又は、相違点3-1及び相違点3-2で相違する。
・一致点3-3
「前記一側部分と前記他側部分が当接する際の当接面は、周縁が波線状をなす一致点3-1、又は一致点3-2に係る飾り具。」
そして、上記相違点3-1及び相違点3-2についての判断は、上記(4)及び(5)に示すとおりである。
よって、本件考案3は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において公然実施された甲3考案3であって、実用新案法3条1項2号に該当し、また、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3考案3であって、実用新案法3条1項3号に該当するから、請求項3に係る実用新案登録は、実用新案法3条1項の規定に違反してされたものである。
また、本件考案3は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において公然実施された甲3考案3及び周知技術に基いて、又は、本件実用新案登録の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3考案3及び周知技術に基いて、本件実用新案登録の出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項3に係る実用新案登録は、実用新案法3条2項の規定に違反してされたものである。
3 請求人の主張する無効理由について
(1)甲1に掲載された考案に基づく新規性について
請求人は、本件考案1から3は、甲1の第22頁、第23頁(当審注:上記1(1)アに示す箇所)に掲載された引用考案である旨主張する(令和7年6月26日提出の手続補正書により補正された審判請求書の「(4-1-2)引用考案の説明」及び「(4-1-3)本件考案1と引用考案との対比」、「(4-2-3)本件考案2と引用考案との対比」、「(4-3-3)本件考案3と引用考案との対比」参照。)
ここで、請求人の指摘する甲1の箇所には、2024年9月4日から同月6日に東京ビッグサイト東2ホールで開催された「第98回東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2024」に株式会社丸三が出展したブースにおいて、「推しいろ水族館」及び「推しいろ動物園」と記載のある展示パネルが各種商品と共に展示されている写真が掲載されている(上記1(1)ア参照)。
しかしながら、これらの写真を含む請求人の指摘する甲1の箇所の掲載事項は、本件考案1から3の飾り具と対比することができる考案を認定できるものとはいえない。
また、請求人は、甲1の第15頁、第18頁、第19頁(当審注:上記1(1)ウに示す箇所)に、引用考案と同様のキーホルダーが記載されている旨主張する(令和7年6月26日提出の手続補正書により補正された審判請求書の「(4-1-2)引用考案の説明」)。
請求人の指摘する箇所には、「推しいろ水族館」、「推しいろ動物園」及び「新登場 かわいい ご当地みやげ」の記載と共に複数のキーホルダーが記載された写真が掲載されているが、これらの写真からでは、甲2考案1や甲3考案1で認定されるように、上側部材、下側部材及び絵柄部品といえるものがあるか否かや、仮にこれらがあったとしても、上側部材及び下側部材が互いに摺動するかは明らかではなく(単に、写真に示されているような形から変形することのないキーホルダーの可能性もある。)、本件考案1から3の飾り具と対比することができる考案を認定できるものとはいえない。
また、請求人は、甲2及び甲3に引用考案と同様のキーホルダーが記載されていると主張する(令和7年6月26日提出の手続補正書により補正された審判請求書の「(4-1-2)引用考案の説明」)。しかし、甲1に掲載されている考案と甲2に掲載されている考案、甲3に掲載されている考案は、それぞれ異なる考案であって、これらが、「推しいろ動物園」又は「推しいろ水族館」と称する商品名等で掲載されていたとしても、それによって、甲1に、甲2に掲載されている考案及び甲3に掲載されている考案と同様のものが掲載されていることにはならないから、請求人の当該主張は採用することができない。
そうすると、本件考案1から3は、甲1に掲載されたものであるとはいえず、これにより本件考案1から3を無効とすることは、できない。
(2)甲1等により公然実施されたと認められる考案に基づく新規性について
上記(1)に示すように、甲1には、上記1(1)アに示す箇所において、2024年9月4日から同月6日に東京ビッグサイト東2ホールで開催された「第98回東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2024」(以下、単に「ギフトショー」という。)に株式会社丸三が出展したブースにおいて、「推しいろ水族館」及び「推しいろ動物園」と記載のある展示パネルが各種商品と共に展示されている写真が掲載されているから、株式会社丸三は、ギフトショーにおいて「推しいろ水族館」及び「推しいろ動物園」に関する商品の譲渡のための展示をしたと解される。
また、甲1には、上記1(1)ウに示す箇所において、ギフトショーに出展のお知らせと共に、「推しいろ水族館」、「推しいろ動物園」の記載と複数のキーホルダーが記載された写真を掲載している。この掲載は、当該箇所に「2024.08.06」と掲載されていることから、2024年8月6日に行われたと解される。
また、甲1には、上記1(1)イに示す箇所において、「2024年9月発行の新商品を追加した最新カタログがご用意できました。」、「「推しいろ動物園」動物園向け商品カタログ」、「「推しいろ水族館」水族館向け商品カタログ」と掲載され、さらに「商品カタログ」と記載された画像ファイルには、「PDFダウンロードはこちらから」と記載されている。この掲載は、当該箇所に「2024.08.26」と掲載されていることから、2024年8月26日に行われたと解される。
そして、甲2は、株式会社丸三が2024年9月に発行した「推しいろ動物園」のカタログであり、甲3は、株式会社丸三が2024年9月に発行した「推しいろ水族館」のカタログであることを考慮すると、甲1に掲載された「2024年9月発行の新商品を追加した最新カタログ」は、甲2及び甲3を含むものといえる。
ここで、甲2及び甲3が株式会社丸三が商品の譲渡又は譲渡等の申出をするためのものであることから甲2考案1から甲2考案3及び甲3考案1から甲3考案3が公然実施されていたと認められることについては、上記1(2)ウ及び1(3)ウ等に示すとおりであるが、請求人の主張は、本件考案1から3は、ギフトショーに株式会社丸三が出展したブースにおいて、公然実施された考案であると解されることから、この点について検討する。
まず、甲1の上記1(1)ウに示す箇所において、「推しいろ水族館」、「推しいろ動物園」の記載と共に掲載された写真の複数のキーホルダーは、その形状等からみて、甲3の8ページにジンベエザメの表記と共に記載されたキーホルダーと、アザラシの表記と共に記載されたキーホルダー、甲2の8ページにウサギの表記と共に記載されたキーホルダーと、カピバラの表記と共に記載されたキーホルダーと同じものと解される。しかしながら、この甲1の上記1(1)ウに示す箇所の掲載は、上記のように2024年8月6日に行われたものであって、同年9月4日から開催されたギフトショーにおいて、これらの写真及び甲2、甲3のカタログが展示あるいは頒布されたことを示す証拠は提出されていない。
また、甲1の上記1(1)アに示す箇所には、ギフトショーに株式会社丸三が出展したブースにおいて、「推しいろ水族館」及び「推しいろ動物園」と記載のある展示パネルが各種商品と共に展示されている写真が掲載されているが、甲2及び甲3によれば、推しいろ動物園及び推しいろ水族館に含まれる商品は、甲2考案1、甲3考案1等のキーホルダーだけでなく、「風船みたいに膨らんだバルーン型のキーホルダー」である「バルーンキーホルダー」や「おみくじミニタオル」等様々な種類のものがあるから、「推しいろ水族館」及び「推しいろ動物園」と記載のある展示パネルと共に、これらの商品のうち、ギフトショーにおいて展示されたものがいずれであるのかは、甲1の掲載事項からは、特定することができない。
また、甲4は、証拠説明書によれば、本件出願の出願後に請求人代理人によって作成された甲1から甲3に記載の実物のキーホルダーを一部分解して示す写真と説明されるものであって、これより本件考案1から3がギフトショーにおいて公然実施されたことが示されるものではない。そもそも、甲4に記載された「Okinawa」、「ま~さん!」と記載されたものは、甲1、甲2及び甲3のいずれにも示されておらず、「甲1から甲3に記載の実物のキーホルダー」ともいえない。
そうすると、甲1から甲4より、ギフトショーにおいて展示された商品を特定することができないから、本件考案1から本件考案3は、ギフトショーにおいて公然実施された考案であるとはいえない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、請求項1に係る実用新案登録は、実用新案法3条1項の規定に違反してされたものであり、仮にそうでないとしても、実用新案法3条2項の規定に違反してされたものであるから、同法37条1項2号に該当し、無効とするべきものであり、請求項2に係る実用新案登録は、実用新案法3条2項の規定に違反してされたものであるから、同法37条1項2号に該当し、無効とするべきものであり、請求項3に係る実用新案登録は、実用新案法3条1項の規定に違反してされたものであり、また、実用新案法3条2項の規定に違反してされたものであるから、同法37条1項2号に該当し、無効とするべきものである。
審判に関する費用については、実用新案法41条の規定で準用する特許法169条2項の規定によりさらに準用する民事訴訟法61条の規定により、被請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-400004