2025-011539
ヘアードライヤー
- 審判番号
- 2025-011539
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2023-025020外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 1827908
- 請求日
- 2025年07月24日
- 審決日
- 2026年04月08日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】深▲せん▼市港基電技術有限公司
- 【請求人代理人】崔 海龍
- 分類
- D18 .113-WY (B7-3)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、令和5年(2023年)12月1日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。
同年 12月19日 :意見書の提出
同年 7月24日 :審判請求書の提出
同年 9月16日付け :審尋
第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「ヘアードライヤー」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
「引用意匠2021年10月 1日発行の『大韓民国意匠商標公報』ヘアドライヤー(登録番号30-1129812)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第RH03436521号)この意匠登録出願の意匠と引用の意匠とは、本体部及び本体部と垂直に接合されたハンドル部とからなる全体構造において、本体部は前後長を全幅(直径)よりもやや長くした極短円柱形状を基本とし、その中間部やや後方よりの位置から直径が本体部の半分程度の円柱形状のハンドル部を垂直に垂下させてなる点が顕著に共通しており、これに本体部正背面における共通形状、本体部外周の正面側(前端)の縁部には幅広の斜状面取りを施した態様、ハンドル部下方端外周に網目状の開口部を設けた態様、並びに、ハンドル部背面側上方に略同形状の操作ボタンを設けた態様が相まって、意匠全体として需要者に強い共通の視覚的印象を与えるものとなっています。よって、本願の意匠は、意匠全体として引用意匠に類似するものと認められます。」
第4 請求人の主張
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請求人は、令和7年(2025年)7月24日提出の審判請求書において、本願意匠が登録されるべき理由として、以下のとおり主張した。
「3.本願意匠が登録されるべき理由出願人は、かかる理由による拒絶には承服致しかねますので、以下の意見を申し上げます。(1)意匠の形態について審査官殿は、「この意匠登録出願の意匠と引用の意匠とは、本体部及び本体部と垂直に接合されたハンドル部とからなる全体構造において、本体部は前後長を全幅(直径)よりもやや長くした極短円柱形状を基本とし、その中間部やや後方よりの位置から直径が本体部の半分程度の円柱形状のハンドル部を垂直に垂下させてなる点が顕著に共通しており、これに本体部正背面における共通形状、本体部外周の正面側(前端)の縁部には幅広の斜状面取りを施した態様、ハンドル部下方端外周に網目状の開口部を設けた態様、並びに、ハンドル部背面側上方に略同形状の操作ボタンを設けた態様が相まって、意匠全体として需要者に強い共通の視覚的印象を与えるものとなっています。」とご指摘されています。続きを表示(全19行)しかし、審査官殿がご指摘された共通点はかなり大づかみにみた場合の構成態様の共通点と言えです。特に、「本体部及び本体部と垂直に接合されたハンドル部とからなる全体構造において、本体部は前後長を全幅(直径)よりもやや長くした極短円柱形状を基本とし、その中間部やや後方よりの位置から直径が本体部の半分程度の円柱形状のハンドル部を垂直に垂下させてなる」という特徴点が容易に想到し得る設計点となる場合、消費者はヘアドライヤーを選ぶときに、ヘアドライヤーの他の外観上のデザインに目を向けるはずです。以下の対比図面を参照しながら、本願意匠の引用意匠に対する差異点について、具体的に述べてみたいと思います。(2)各差異点についてI、ヘアドライヤーのハンドル部について斜視図から分かるように、本願意匠のハンドル部の外周に網目状の開口部を設けた下方端は、全体として円筒型であり、その下にさらに断面が台形である線接続部が設けられています。しかも、前述の下方端の外面に形成された吸気口がクロスメッシュであり、引用意匠のハンドル部の下方端に形成されたハニカムの吸気口とイメージが違っています。また、引用意匠のハンドル部の下方端には、本願意匠のような装飾バー、レースなどが形成されていないです。そこで、本願意匠に係るヘアドライヤーのハンドル部が引用意匠と顕著に異なっています。II、ヘアドライヤーのヘッド部についてまず、正面図と背面図との対比から明らかなように、本願意匠に係るヘアドライヤーのフロントカバーとバックカバーは、引用意匠に示されたヘアドライヤーの対応する部分と明らかに異なっています。具体的には、まず、正面図に示すように、本願意匠に係るヘアドライヤーのフロントカバーの外輪には多重の円環状の境界線が形成されており、内輪の境界線とその隣の境界線との間に形成された補助出気孔が一回りの略四角状の微小孔で構成されています。そして、本願意匠に係るヘアドライヤーの中心孔は、より小さく形成されています。これに対して、引用意匠に係るヘアドライヤーのフロンドカバーは、外輪がよりシンプルであり、内輪がヘッド部の内部へ凹んでおり、その中心に風を吹き出すための中心孔が大きく形成されています。そして、引用意匠のヘアドライヤーのフロントカバーに形成された補助出気孔は、略帯状の貫通孔を円環状に7つ配置しています。したがって、両者のヘッド部の前端面は、消費者に別異の印象を与えていると出願人は思料致します。つぎに、背面図に示すように、本願意匠に係るヘアドライヤーのバックカバーには、幾つかの花型パターンを円環で直列に結ぶようなパターンが形成されており、デザイン性がより強いです。これらの花型パターンは、機能ボタンの模様とし、ユーザにより押圧される又はクリックされることで、ヘアドライヤーの音量や温度などを調節することができています。これに対して、引用意匠のヘアドライヤーのバックカバーには何の模様がなく、消費者に地味な印象を与えています。また、本願意匠のヘアドライヤーのバックカバーは、引用意匠のバックカバーのほど凹むことがなく、引用意匠のバックカバーの形状と明らかに異なっています。最後に、左/右側面図、平面及び底面図を対比すると、本願意匠に係るヘアドライヤーのヘッド部の両端の形状も、引用意匠に係るヘアドライヤーのヘッド部の後端の形状と異なっていることが分かります。具体的には、本願意匠に係るヘアドライヤーの後端の縁部には斜状面取りが施されていないが、引用意匠に係るヘアドライヤーの後端の縁部には斜状面取りが施されています。これにより、両者のヘッド部の全体形状は異なるようになります。[図:0001435222000001.jpg][図:0001435222000002.jpg]以上より、外観から見ると、本願意匠に係るヘアドライヤーは、以上の差異点によって、引用意匠に係る物品と顕著に異なるものであり、消費者に特別な美感をもたらしています。そして、これらの差異点は、微細で発見しにくい差異に属さないです。消費者は、この2つの製品に直面しているときに、これらの差異点を無視することはできないだと出願人は思料致します。」
第5 審尋及びその回答について
1 審尋について
請求人による審判請求書に対して、当審から請求人に、以下のとおり審尋した。
「1 ヘッド部の前端面について請求人は、令和7年(2025年)7月24日提出の審判請求書において、「正面図に示すように、本願意匠に係るヘアドライヤーのフロントカバーの外輪には多重の円環状の境界線が形成されており、内輪の境界線とその隣の境界線との間に形成された補助出気孔が一回りの略四角状の微小孔で構成されています。そして、本願意匠に係るヘアドライヤーの中心孔は、より小さく形成されています。これに対して、引用意匠に係るヘアドライヤーのフロンドカバーは、外輪がよりシンプルであり、内輪がヘッド部の内部へ凹んでおり、その中心に風を吹き出すための中心孔が大きく形成されています。そして、引用意匠のヘアドライヤーのフロントカバーに形成された補助出気孔は、略帯状の貫通孔を円環状に7つ配置しています。したがって、両者のヘッド部の前端面は、消費者に別異の印象を与えていると出願人は思料致します。」と主張しています。しかしながら、本願の願書及び願書に添付した図面には、外輪及び内輪について説明がないので、外輪及び内輪並びにこれらに形成された境界線(下線部分)がどの部位を示すものであるか、図面上、認識できません。続きを表示(全14行)また、外輪及び内輪の形状について、中心孔の大きさ及び補助出気孔の態様以外にどのような形状の相違があるのか具体的に説明されていません。2 回答について(1)外輪及び内輪の境界線について外輪及び内輪並びにこれらに形成された境界線(下線部分)が、どの部位を示すものであるかを、説明してください。(2)多重の円環状の境界線について請求人は、本願意匠は、多重の円環状の境界線が形成されており、引用意匠は、よりシンプルである旨を主張していますが、多重の円環状の境界線によってどのような形状の相違があるのか、具体的に説明してください。(3)ヘッド部の内部への凹みについて請求人は、本願意匠は、中心孔は、より小さく形成されており、引用意匠は、内輪がヘッド部の内部へ凹んでおり、その中心に風を吹き出すための中心孔が大きく形成されている旨を主張しています。当審合議体は、本願意匠も、中心孔の周囲がヘッド部の内部へ凹んでいると推認しています。ヘッド部の内部への凹みの有無を含め、中心孔の周囲において相違点があれば、具体的に説明してください。」
2 請求人からの回答について
これに対し、回答書提出の期限を経過しても、請求人からの応答はなかった。
第6 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「ヘアードライヤー」であるのに対し、引用意匠は、「ヘアドライヤー」であるが、いずれも髪を乾かすために用いられるヘアードライヤーであるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は一致する。
(2)両意匠の形状等
両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお、引用意匠の図の向きは、本願意匠の図の向きに合わせて認定する。
ア 共通点
(ア)基本的構成態様
両意匠は、上方に横倒しの略太径円柱状の本体部と、その下方に略縦長円柱形状のハンドル部を配したもので、側面視において、略T字状に組み合わせてなるものである点
各部の態様として
(イ)各部の長さと径の比率
両意匠は、本体部の長さと径の比率が約1:0.8、ハンドル部の長さと径の比率を約1:0.22とし、本体部の長さが、ハンドル部の長さの約1/2である点、
(ウ)本体部
正面側において、先端周縁は屈折して縮径しており、縮径した頂部に略円形環状部の端部を設け、その中央に孔を設けている点、
(エ)ハンドル部
ハンドル部について、上部背面側に縦長の略楕円形と略円形の2つの操作部を上下に並べて設け、ハンドル部下側の周縁に、複数の極小開口部を集約した縦長矩形状通気口を6箇所設けている点、
において共通する。
イ 相違点
(ア)本体部正面側
本願意匠は、正面視において、略円形環状の端面部の内側に、略四角形状の小孔を帯状に連結した吹き出し口を円環状に8つ配置し、中央の孔は、ヘッド部直径に対して約27%の大きさで設けてあるのに対して、引用意匠は、略円形環状の端面部の内側のやや窪んだ箇所に略帯状の吹き出し口を円環状に7つ配置し、中央の孔は、ヘッド部直径に対して約37%の大きさで設けた態様である点、
(イ)本体部背面側
本願意匠は、背面視において、平坦な略円形としたものであって、その上下左右寄りに一つずつ極小の略花柄様模様を付し、隣り合う略花柄様模様の間に、本体背面と同心の円弧状線模様をあらわしたものであるのに対して、引用意匠は、周縁部を斜面状に面取りして、中央部は中心に向けてすり鉢状に窪み、何ら模様を施されていない点、
(ウ)ハンドル部下側
本願意匠は、ハンドル部下側は、上側と同径の略円柱形で、極小開口部をメッシュ状で設けているのに対して、引用意匠は、ハンドル部下端寄りを若干縮径して設け、左右側面に細幅の縦リブを形成し、極小開口部を細かいハニカム状に設けている点、
(エ)ハンドル部下端
本願意匠は、ハンドル部の下端中央に略逆円錐台形状の突起部を設けているのに対して、引用意匠は、下端に突起を設けていない点、
において相違する。
2 両意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響を評価するとともに、評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、一致するから、同一である。
(2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価
ア 共通点の評価
(ア)について、ヘアードライヤーの分野において、本体部及びハンドル部を円柱状に構成し、これらを側面視略T字状に組み合わせたものは、本願出願前より、よく見られる構成態様であるから、この共通点が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(イ)について、この種物品分野において、本体部及びハンドル部を様々なサイズで形成したものは、本願出願前より、ごく普通に見られるものであるから、格別新規な特徴とはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(ウ)送風箇所を有する正面側に向けて、先端周縁は屈折して縮径しており、縮径した頂部に略円形環状部の端部を設け、その中央に孔を設けている点は、下記参考意匠1(別紙第3参照)のように、本願意匠出願前に既に見られる態様であり、両意匠のみが有する特徴ではないので、共通点(ウ)が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
参考意匠1
欧州連合知的財産庁が2023年11月13日に発行した欧州連合意匠公報(公報番号:015040457-0001)に掲載されている「ヘアドライヤー」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第RH0520639400号)
(エ)ハンドル部について、上部背面側に縦長の略楕円形と略円形の2つの操作部を上下に並べて設け、ハンドル部下側の周縁に、複数の極小開口部を集約した縦長矩形状通気口を6箇所設けている態様は、上記参考意匠1(別紙第3参照)のように、この種物品分野においては特段特徴のあるものではないから、この点が部分意匠全体の美感に与える影響は小さい。
イ 相違点の評価
(ア)正面側における円環状に配した吹き出し口の態様、中央に設けた孔の大きさの相違については、当該箇所がヘアードライヤーの主たる目的である送風の吹き出し経路にあたることから、格別需要者の注意を引かないとまでは言えず、両意匠の類否判断に一定程度の影響を与える。
(イ)引用意匠は、ヘッド部後端縁部に面取りが施され、中央に向けてすり鉢状に窪む態様がシンプルな印象を与えるのに対して、本願意匠は、平坦な略円形面に複数の模様を表しており、これらの模様は、ヘアードライヤーの稼働状態を表すことを想起させるものであり、需要者の注意を強くひく態様であることから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(ウ)及び(エ)について、本願意匠のハンドル部下側周縁にメッシュ状で略縦長矩形状の通気口を等幅に6箇所設け、下端中央に略逆円錐台形状の突起部を配している態様は、下記参考意匠2(別紙第4参照)のように、メッシュ状であるかハニカム状であるかの差はあるものの、本願出願前にも見られる態様であるから、本願意匠のみが有する特徴とは言えず、ハンドル部下側の相違点が類否判断に与える影響は小さい。
参考意匠2
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1755026号の意匠
(意匠に係る物品、ヘアードライヤー)の意匠
(4)形状等の類否判断
両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、共通点が両意匠の類否判断に与える影響はいずれも小さいのに対して、相違点の内、相違点(ウ)及び(エ)の影響は小さいものの、相違点(ア)及び相違点(イ)が両意匠の類否判断に与える影響は大きい又は一定程度ある。
したがって、両意匠の形状等を全体として総合的に観察した場合、両意匠の形状等は、共通点に比べて、相違点が両意匠の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない。
(5)小括
そうすると、両意匠は、意匠に係る物品は一致するが、その形状等においては類似しないから、本願意匠は引用意匠に類似しない。
第7 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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