特許拒絶査定不服審判
2025-010299
プログラム、システム、方法、及びサーバ
- 審判番号
- 2025-010299
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-215665
- 請求日
- 2025年07月02日
- 審決日
- 2025年09月02日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ポケモン
- 【請求人代理人】今 智司
- 審判長/審判官
- 審判長 秋田 将行
- 審判官 ▲吉▼川 康史
- 審判官 蔵野 いづみ
- 分類
- P18 .121-Z (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023-215665「プログラム、システム、方法、及びサーバ」拒絶査定不服審判事件〔令和 6年 2月29日出願公開、特開2024- 27140〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年12月17日に出願した特願2021-205515の一部を令和5年8月4日に新たな特許出願(特願2023-128166)とし、さらにその一部を同年12月21日に新たな特許出願(特願2023-215665)としたものである。
そして、本願は、令和6年12月3日に手続補正書が提出され、令和7年1月6日付けで拒絶の理由が通知され、同月14日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年2月27日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年3月7日に意見書が提出され、同年4月30日付け(送達日:同年5月7日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年7月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1~6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2019-111181号公報
2.社員の睡眠量を可視化し、報酬を支払う福利厚生制度 日本初!「睡眠報酬制度」を導入,PR TIMES[online],2018年10月19日,インターネット<URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000030858.html>,[2024年12月26日検索]
第3 本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和7年1月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のものである。なお、符号A等は分説のため合議体が付し、分説されたそれぞれの発明を特定するために必要な事項を、以下「特定事項A」等という。
本願発明
「A プロセッサとメモリとを備えるコンピュータに睡眠に関わるゲームを実行させるためのプログラムであって、
B 前記プログラムは、前記プロセッサに、
B1 ユーザの操作に応じて、睡眠に関する測定の開始の時間と、前記測定の終了の時間とを決定するステップと、
B2 前記測定の開始の操作に応じて、起床のためのアラームを設定するステップと、
B3 前記測定の開始の操作の後に前記アラームの設定時刻が到来した場合に、当該アラームを発する処理を実行するステップと、
B4 第1の日付に対応する前記測定の開始の時間の情報と前記測定の終了の時間の情報とに基づいて前記ゲームの処理に用いる第1ゲームパラメータを生成し、当該第1ゲームパラメータの記憶期間に所定の期間制限を設定するステップと、
B5 前記第1の日付より後の日付である第2の日付に対応する前記測定の開始の時間の情報と前記測定の終了の時間の情報とに基づき、前記第2の日付に対応し前記ゲームの処理に用いる第2ゲームパラメータを生成し、前記第2ゲームパラメータを前記第1ゲームパラメータに累積して記憶するステップと
A を実行させるプログラム。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1に記載された発明
原査定の拒絶理由において引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2019-111181号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。以下同様。)。
(1)記載事項
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの睡眠状態に基づいて異なるイベントが発生するゲームを提供するゲームプログラムおよびゲーム装置に関する。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザの睡眠状態によって前述のような現実の時間あるいはゲーム内時間と連動して発生するイベントが変化するゲームはこれまでに存在していなかった。
【0006】
本発明の目的は、ユーザの睡眠状態によって現実の時間あるいはゲーム内時間と連動して発生するイベントが変化する、興趣に富んだゲームを実行するゲームプログラムを提供することである。」
「【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
本発明の実施の形態にかかるゲーム装置1について、図1~図7を参照して説明する。
・・・
【0031】
<ゲーム装置1の説明>
ゲーム装置1は、スピーカ130、液晶画面140、タッチパッド150、センサ160、マイク170およびカメラ180が内蔵される、例えば、スマートフォンなどの端末装置である。このゲーム装置1において、サーバ装置2から配信されたゲームプログラムおよびデータに基づいてゲームが進行する。
【0032】
また、ゲーム装置1は、他ゲーム装置1およびサーバ装置2との間で、インターネットあるいはLANなどの通信ネットワーク3を介して互いにデータ通信をすることができる。
【0033】
ゲーム装置1は、制御部10、記憶部11、ネットワークインターフェース12、オーディオ処理部13、グラフィック処理部14、操作部15、検知部16、音声入力部17、および撮影部18を備える。
・・・
【0035】
制御部10は、ゲーム装置1の動作を制御する。
・・・
【0040】
操作部15には、ユーザからの操作信号が入力される。本実施形態において操作部15には、入力位置検出装置であるタッチパッド150を介してユーザからの操作信号が入力される。ユーザはタッチパッド150をタッチすることによって、選択肢43の選択、あるいは、オブジェクトの操作等を行う。
【0041】
検知部16は、ゲーム装置1の周囲の環境を検知する。本実施形態においては、検知部16には、例えば、照度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、温度センサ、湿度センサ等の複数種類のセンサ160が接続されている。
【0042】
そして、例えば、照度センサが部屋の照明が消されたことを検知し、かつ、加速度センサおよびジャイロセンサのいずれもがゲーム装置1が所定時間以上操作されていないことを検知した場合には、検知部16は無操作検知情報を生成し、それを制御部10へ送信する。この無操作検知情報は、所定の時間ごとに生成され、そのたびに制御部10へ送信される。
【0043】
一方、例えば、加速度センサおよびジャイロセンサのいずれかがゲーム装置1が所定時間以上操作されていることを検知した場合には、検知部16は操作検知情報を生成し、それを制御部10へ送信する。
・・・
【0047】
前述のとおり、本実施形態では、検知部16からの無操作検知情報および操作検知情報、音声入力部17からの音検出情報、ならびに撮影部18からの情報により、制御部10にて入床情報、未就寝情報、就寝情報、起床情報および睡眠状態に関する情報が生成される。
【0048】
<ゲーム装置1の制御部10の機能的構成>
ゲーム装置1の制御部10は、サーバ装置2からゲーム装置1にダウンロードしたゲームプログラムを実行することで、ゲーム進行手段101、通信手段102、睡眠状態判定手段103、就寝起床判定手段104、アラーム手段105、スケジュール管理手段106、就寝促進手段107および操作禁止手段108として機能する。
【0049】
<ゲーム進行手段101の説明>
ゲーム進行手段101は、ゲームデータに含まれるゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどのデータを記憶部11から読み出し、二次元または三次元の仮想ゲーム空間を生成する。
【0050】
また、ゲーム進行手段101は、仮想ゲーム空間にキャラクタ41を配置する。そして、ゲーム進行手段101は、ユーザによるタッチパッド150への操作信号、および、ゲームの進行状況に応じて、キャラクタ41の行動を制御する。
【0051】
また、ゲーム進行手段101は、これらの仮想ゲーム空間およびキャラクタ41をゲーム画面として液晶画面140に表示するための情報を生成する。これらの情報に従って、図2~図6のとおり、グラフィック処理部14が液晶画面140上にゲーム画像を描画する。
【0052】
そして、ゲーム進行手段101は、図3のとおり、ユーザが起床したと就寝起床判定手段104が判定した場合に、睡眠状態判定手段103から送信された睡眠状態に関する情報に応じたイベントを発生させる。
【0053】
例えば、ユーザの睡眠状態が良好であったと判定された場合には、キャラクタ41が「よく寝ていたね。」などのメッセージ42を発する。一方、ユーザの睡眠状態があまり良好ではなかったと判定された場合には、キャラクタ41が「悪い夢でも見たの?」などのメッセージ42を発する。」
「【0059】
<睡眠状態判定手段103の説明>
睡眠状態判定手段103は、検知部16、音声入力部17および撮影部18からユーザの睡眠に関する状態(睡眠状態)に関する情報を受信する。睡眠状態に関する情報は、ユーザの睡眠中の状態を示す情報であり、例えば、入床から睡眠開始までの時間、起床から離床までの時間、総睡眠時間、および、睡眠時活動量である。
【0060】
また、睡眠状態判定手段103は、就寝起床判定手段104が生成した入床情報、未就寝情報、就寝情報、起床情報を受信する。
【0061】
睡眠状態判定手段103は、これらの睡眠状態に関する情報を受けて、ユーザの睡眠状態を判定する。睡眠状態判定手段103は、睡眠状態に関する情報に応じて、「ユーザの睡眠は良好だった」など、睡眠状態の判定を行う。
【0062】
<就寝起床判定手段104の説明>
就寝起床判定手段104は、ゲーム装置1に設定されている時間(以下、「端末時間」という。)が、ユーザが設定した就寝時間になった場合にユーザが就寝しているか否か、および、端末時間が、ユーザが設定した起床時間になった場合にユーザが起床したか否かを判定する。
【0063】
就寝起床判定手段104は、例えば就寝時間経過後に無操作検知情報を受信した場合には、ユーザが入床したと判定し、入床情報を生成する。入床情報は、ユーザが布団の中に入って就寝する準備を整えた(入床した)ことを示す情報である。
【0064】
また、就寝起床判定手段104は、端末時間が就寝時間を経過しても操作検知情報を受信した場合、あるいは、無操作検知情報を受信してから例えば1時間以内に操作検知情報を受信した場合には、ユーザは就寝していないと判定し、未就寝情報を生成する。
【0065】
また、就寝起床判定手段104は、入床情報が生成される前に無操作検知情報を受信してから例えば1時間を超えても操作検知情報を受信しない場合には、ユーザは就寝したと判定し、就寝情報を生成する。就寝情報は、ユーザが睡眠中である状態を示す情報である。
・・・
【0069】
<アラーム手段105の説明>
アラーム手段105は、ユーザのタッチパッド150に対する操作に基づいて、ユーザの就寝時間、および、ユーザの起床時間を設定する。ユーザは、タッチパッド150を操作することによって、例えば、22時を就寝時間に、7時を起床時間に設定することができる。
【0070】
また、アラーム手段105は、端末時間が起床時間になった場合に、ユーザが起床したと就寝起床判定手段104が判定するまで(就寝起床判定手段104が起床情報を生成するまで)アラームを鳴らす。端末時間が現実の時間である場合には、現実の時間が起床時間になった場合にアラームが鳴る。
【0071】
また、アラーム手段105は、睡眠状態判定手段103の判定結果に基づいて、ユーザにとって最適な時間に起床時間を設定し直す。具体的には、アラーム手段105は、ユーザの睡眠状態が良好である場合には起床時間を変更せず、ユーザの睡眠状態が良好でない場合には、例えば総睡眠時間ができる限り適正な範囲となるように5分単位あるいは10分単位などで起床時間を設定し直す。」
「【0078】
<就寝起床判定処理の説明>
以下、図7を参照して、本発明の就寝起床判定処理について説明する。
【0079】
まず、就寝起床判定手段104は、ユーザが設定した就寝時間の経過後に無操作検知情報を受信しているか否かを判定する(ステップS1)。
【0080】
就寝起床判定手段104が就寝時間経過後に無操作検知情報を受信している場合(S1:YES)には、就寝起床判定手段104は、入床情報を生成する(ステップS2)。
【0081】
ついで、就寝時間経過後に無操作検知情報が受信されてから1時間以内に、就寝起床判定手段104が操作検知情報を受信したか否かを判定する(ステップS3)。
【0082】
就寝起床判定手段104が操作検知情報を受信していない場合(S3:NO)には、就寝起床判定手段104は、ユーザが就寝したと判定するとともに就寝情報を生成する(ステップS4)。
【0083】
ついで、睡眠状態判定手段103が、検知部16、音声入力部17、撮影部18、および就寝起床判定手段104から受信した情報をもとに、睡眠状態を判定するとともに睡眠状態に関する情報を生成する(ステップS5)。
【0084】
ついで、アラーム手段105が、睡眠状態判定手段103の判定結果に基づいて、ユーザにとって最適な時間に起床時間を設定し直す(ステップS6)。なお、ユーザの睡眠状態が良好である場合には、アラーム手段105は、起床時間の再設定を行わない。
・・・
【0087】
一方、端末時間が起床時間になっている場合(S7:YES)には、アラーム手段105がアラームを鳴らす(ステップS8)。具体的には、アラーム手段105は、図3のとおり、ユーザが入力した名前を含む文章を音声出力するアラームを鳴らす。
【0088】
ついで、就寝起床判定手段104が、操作検知情報を受信したか否かを判定する(ステップS9)。
・・・
【0090】
就寝起床判定手段104が操作検知情報を受信している場合(S9:YES)には、就寝起床判定手段104はユーザが起床したと判定するとともに起床情報を生成する(ステップS10)。
・・・
【0092】
ついで、ゲーム進行手段101が、睡眠中のユーザの睡眠状態に関する情報に基づいて、イベントを発生させる(ステップS12)。このイベントでは、例えば、ユーザの睡眠状態が良好である場合には、図3のとおり、キャラクタ41が「よく寝ていたね。」とのメッセージ42を発する。その後、本発明の就寝起床判定処理は終了する。」
「
[図:0001428964000001.jpg]
」
「
[図:0001428964000002.jpg]
」
(2)引用発明
上記(1)によれば、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
引用発明
「ゲーム装置1は、スピーカ130、液晶画面140、タッチパッド150、センサ160、マイク170およびカメラ180が内蔵された、例えば、スマートフォンなどの端末装置であって、このゲーム装置1において、サーバ装置2から配信されたゲームプログラムおよびデータに基づいてゲームが進行し(【0031】)、ゲーム装置1は、サーバ装置2との間で通信ネットワーク3を介して互いにデータ通信をすることができ(【0032】)、
ゲーム装置1は、制御部10、記憶部11、ネットワークインターフェース12、オーディオ処理部13、グラフィック処理部14、操作部15、検知部16、音声入力部17、および撮影部18を備え(【0033】)、制御部10は、ゲーム装置1の動作を制御し(【0035】)、検知部16は、ゲーム装置1の周囲の環境を検知し、検知部16には、例えば、照度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、温度センサ、湿度センサ等の複数種類のセンサ160が接続されていて(【0041】)、
照度センサが部屋の照明が消されたことを検知し、かつ、加速度センサおよびジャイロセンサのいずれもがゲーム装置1が所定時間以上操作されていないことを検知した場合には、検知部16は無操作検知情報を生成し、それを制御部10へ送信し(【0042】)、加速度センサおよびジャイロセンサのいずれかがゲーム装置1が所定時間以上操作されていることを検知した場合には、検知部16は操作検知情報を生成し、それを制御部10へ送信し(【0043】)、
検知部16からの無操作検知情報および操作検知情報、音声入力部17からの音検出情報、ならびに撮影部18からの情報により、制御部10にて入床情報、未就寝情報、就寝情報、起床情報および睡眠状態に関する情報が生成され(【0047】)、
ゲーム装置1の制御部10は、サーバ装置2からゲーム装置1にダウンロードしたゲームプログラムを実行することで、ゲーム進行手段101、通信手段102、睡眠状態判定手段103、就寝起床判定手段104、アラーム手段105、スケジュール管理手段106、就寝促進手段107および操作禁止手段108として機能し(【0048】)、
睡眠状態判定手段103は、検知部16、音声入力部17および撮影部18からユーザの睡眠に関する状態(睡眠状態)に関する情報を受信し、睡眠状態に関する情報は、ユーザの睡眠中の状態を示す情報であり、例えば、入床から睡眠開始までの時間、起床から離床までの時間、総睡眠時間、および、睡眠時活動量であり(【0059】)、
アラーム手段105は、ユーザのタッチパッド150に対する操作に基づいて、ユーザの就寝時間、および、ユーザの起床時間を設定し(【0069】)、また、アラーム手段105は、端末時間が起床時間になった場合に、ユーザが起床したと就寝起床判定手段104が起床情報を生成するまでアラームを鳴らし(【0070】)、
就寝起床判定手段104は、ゲーム装置1に設定されている時間(以下、「端末時間」という。)が、ユーザが設定した就寝時間になった場合にユーザが就寝しているか否か、および、端末時間が、ユーザが設定した起床時間になった場合にユーザが起床したか否かを判定するものであって(【0062】)、
就寝起床判定処理では(【0078】、図7)、就寝起床判定手段104は、ユーザが設定した就寝時間の経過後に無操作検知情報を受信しているか否かを判定し(【0079】)、就寝起床判定手段104が就寝時間経過後に無操作検知情報を受信している場合には、就寝起床判定手段104は、入床情報を生成し(【0080】)、ついで、就寝時間経過後に無操作検知情報が受信されてから1時間以内に、就寝起床判定手段104が操作検知情報を受信したか否かを判定し(【0081】)、就寝起床判定手段104が操作検知情報を受信していない場合には、就寝起床判定手段104は、ユーザが就寝したと判定するとともに就寝情報を生成し(【0082】)、
ついで、睡眠状態判定手段103が、検知部16、音声入力部17、撮影部18、および就寝起床判定手段104から受信した情報をもとに、睡眠状態を判定するとともに睡眠状態に関する情報を生成し(【0083】)、端末時間が起床時間になっている場合には、アラーム手段105がアラームを鳴らし(【0087】)、
ついで、就寝起床判定手段104が、操作検知情報を受信したか否かを判定し(【0088】)、就寝起床判定手段104が操作検知情報を受信している場合には、就寝起床判定手段104はユーザが起床したと判定するとともに起床情報を生成し(【0090】)、
ゲーム進行手段101が、睡眠中のユーザの睡眠状態に関する情報に基づいて、イベントを発生させ、このイベントでは、例えば、ユーザの睡眠状態が良好である場合には、キャラクタ41が「よく寝ていたね。」とのメッセージ42を発した後、就寝起床判定処理を終了する(【0092】)、
サーバ装置2からダウンロードされ、ゲーム装置1で実行されるゲームプログラム(【0048】)。」
2 引用例2に記載された技術
(1)原査定の拒絶理由において引用文献2として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、「社員の睡眠量を可視化し、報酬を支払う福利厚生制度 日本初!「睡眠報酬制度」を導入,PR TIMES[online],2018年10月19日,インターネット<URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000030858.html>,[2024年12月26日検索](以下「引用例2」という。)」には、次の事項が記載されている。
「「睡眠報酬制度」は、社員の睡眠量を可視化し決められた指標を達成した社員に対して報酬を支払う制度です。この制度の導入により、企業として社員個人の生活主幹の改革をサポートし、社員が十分な睡眠をとることで集中力を高め、業務の生産性を向上させ得ることを目指します。
・・・
睡眠報酬制度」の主な内容は、以下の通りです。
1)目的
社員個人が自身の睡眠時間をマネジメントすることにより個々人のライフスキル向上及び健康促進につながり、結果として組織全体の業務生産性をあげるため
2)付与対象者
1週間のうち5日以上「6時間以上」の睡眠時間を確保できた社員
3)計測方法
・エアウィーヴ社が開発したスマートフォンアプリ「airweave Sleep Analysis」 (Android / iOS)を使用し睡眠時間を計測
・計測結果をCVS形式でダウンロードし、専用フォーマットを会社に提出
4)報酬内容
6時間以上の睡眠を達成した日数に応じてポイント付与
100ポイント=100円分としてオフィス内の食堂やカフェで利用可能。
(ポイントは3ヶ月分をまとめて一括付与)
・5日間達成:500ポイント
・6日間達成:600ポイント
・7日間達成:1000ポイント
・皆勤賞(1ヶ月間毎日計測した社員*):+1000ポイント
*6時間以上の達成にかかわらず連続して計測した社員が対象」
(2)引用例2に記載された技術
上記(1)によれば、引用例2には次の技術(「引用例2に記載された技術」という。)が記載されていると認められる。
引用例2に記載された技術
「睡眠報酬制度として、スマートフォンアプリ「airweave Sleep Analysis」を使用し睡眠時間を計測し、計測結果をCVS形式でダウンロードし、専用フォーマットを会社に提出することにより、
1週間のうち5日以上「6時間以上」の睡眠時間を確保できた社員を報酬の付与対象者として、6時間以上の睡眠を達成した日数に応じてポイント付与する技術。」
第5 対比・判断
1 対比
(1)分説ごとの対比
分説にしたがい、本願発明と引用発明を対比する。
ア 特定事項Aについて
引用発明の「例えば、スマートフォンなどの端末装置であ」る「ゲーム装置1」が備える「制御部10、記憶部11」は、CPU(プロセッサ)及びRAM、ROMを含む記憶手段(メモリ)を備えるコンピュータの一部であることは明らかであるから、引用発明は、本願発明の「プロセッサとメモリとを備えるコンピュータ」に相当する構成を備えるといえる。
また、引用発明の「睡眠中のユーザの睡眠状態に関する情報に基づいて、イベントを発生させ」ること、「ゲームプログラム」はそれぞれ、本願発明の「睡眠に関わるゲーム」、「プログラム」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項Aに相当する構成を備える。
イ 特定事項B、B1について
引用発明は、「ユーザのタッチパッド150に対する操作に基づいて」「アラーム手段105は、」「ユーザの就寝時間」「を設定」するところ、「就寝起床判定処理では」、「就寝起床判定手段104は、ゲーム装置1に設定されている時間(以下、「端末時間」という。)が、ユーザが設定した就寝時間になった場合にユーザが就寝しているか否か」「を判定するものであ」るから、引用発明において、「ユーザの就寝時間」の「設定」が、「ユーザのタッチパッド150に対する操作に基づいて」いることは、本願発明の「ユーザの操作に応じて」いることに相当し、引用発明の「ユーザの就寝時間」、「設定」することはそれぞれ、本願発明の「睡眠に関する測定の開始の時間」、「決定する」ことに相当する。
また、引用発明は、「ユーザのタッチパッド150に対する操作に基づいて」「ユーザの起床時間を設定」するところ、「端末時間が起床時間になっている場合には」「就寝起床判定手段104が、操作検知情報を受信したか否かを判定し」「就寝起床判定手段104が操作検知情報を受信している場合には、就寝起床判定手段104はユーザが起床したと判定するとともに起床情報を生成し、就寝起床判定処理を終了する」から、引用発明において、「ユーザの起床時間」の「設定」が、「ユーザのタッチパッド150に対する操作に基づいて」いることは、本願発明の「ユーザの操作に応じて」いることに相当し、引用発明の「ユーザの起床時間」、「設定」することはそれぞれ、本願発明の「測定の終了の時間」、「決定する」ことに相当する。
そして、上記アの検討を踏まえると、「ゲーム装置1で実行されるゲームプログラム」を備える引用発明は、本願発明の特定事項Bの「前記プログラムは、前記プロセッサに、」実行させることに相当する構成を備えることは明らかである。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項B、B1に相当する構成を備える。
ウ 特定事項B2について
上記イより、引用発明の「ユーザの就寝時間」が本願発明の「睡眠に関する測定の開始の時間」に相当することに加え、「就寝起床判定処理」では、まず、「就寝起床判定手段104は、ユーザが設定した就寝時間の経過後に無操作検知情報を受信しているか否かを判定し」ているから、引用発明の「ユーザが設定した就寝時間」の設定を含む「ユーザの就寝時間、および、ユーザの起床時間」の「設定」は、本願発明の「測定の開始の操作」に相当する。
そして、引用発明における「アラーム手段105は、端末時間が起床時間になった場合に」「アラームを鳴ら」すための処理は、本願発明の「起床のためのアラームを設定する」ことに相当する。
そうすると、引用発明において、「アラーム手段105は、端末時間が起床時間になった場合に」「アラームを鳴ら」す処理を含む一連の処理である「就寝起床判定処理」が実行される契機が、「ユーザの就寝時間、および、ユーザの起床時間」の「設定」であることは、本願発明の「起床のためのアラーム」の「設定」が、「前記測定の開始の操作に応じて」いることに相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項B2に相当する構成を備える。
エ 特定事項B3について
上記イ、ウに加え、引用発明の「ユーザのタッチパッド150に対する操作に基づいて」設定された「ユーザの起床時間」は、本願発明の「アラームの設定時刻」に相当するととともに、「前記測定の開始の操作の後」に相当する時刻であることは明らかである。
そして、引用発明において、引用発明の「アラーム手段105は、端末時間が起床時間になった場合に」「アラームを鳴ら」すことは、本願発明の「当該アラームを発する処理を実行する」ことに相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項B3に相当する構成を備える。
オ 特定事項B4、B5について
(ア)上記イ~エを踏まえると、引用発明の「ユーザが設定した就寝時間」、「ユーザが設定した起床時間」はそれぞれ、本願発明の「測定の開始の時間の情報」、「測定の終了の時間の情報」に相当する。
また、引用発明は、「ユーザが設定した就寝時間」及び「ユーザが設定した起床時間」を用いて、「就寝起床判定処理」では、「就寝起床判定手段104は、ゲーム装置1に設定されている時間(以下、「端末時間」という。)が、ユーザが設定した就寝時間になった場合にユーザが就寝しているか否か、および、端末時間が、ユーザが設定した起床時間になった場合にユーザが起床したか否かを判定する」という一連の処理を行う構成であるから、「就寝起床判定処理」は、本願発明の「前記測定の開始の時間の情報と前記測定の終了の時間の情報とに基づいて」いることに相当する処理であるといえる。
(イ)そして、引用発明の「就寝起床判定処理」では、「睡眠状態判定手段103が、検知部16、音声入力部17、撮影部18、および就寝起床判定手段104から受信した情報をもとに、睡眠状態を判定するとともに睡眠状態に関する情報を生成」することにより、「ゲーム進行手段101が、睡眠中のユーザの睡眠状態に関する情報に基づいて、イベントを発生させ」るところ、当該睡眠状態に関する情報は、「例えば、入床から睡眠開始までの時間、起床から離床までの時間、総睡眠時間、および、睡眠時活動量」であり、「このイベントでは、例えば、ユーザの睡眠状態が良好である場合には、キャラクタ41が「よく寝ていたね。」とのメッセージ42を発」するものである。そうすると、引用発明においては、「「よく寝ていたね。」とのメッセージ42を発する」「イベントを発生させ」るために、「睡眠状態に関する情報」から、ユーザーの睡眠状態が良好であることを示す情報を生成していることは明らかである。そして、スマートフォン等のデジタル機器において、当該ユーザーの睡眠状態が良好であるかどうかを示す情報を「1」と「0」の2値パラメータで示すことは技術常識である。
一方、本願明細書の記載によれば、本願発明の特定事項B4の「ゲームの処理に用いる第1ゲームパラメータ」及び同B5の「ゲームの処理に用いる第2ゲームパラメータ」は、いずれも睡眠情報に基づいてパラメータ生成部により生成されるものであるところ、既存のゲームパラメータが格納されている場合に生成されるゲームパラメータを「第2ゲームパラメータ」と呼び、既存のゲームパラメータが格納されていない場合に生成されるゲームパラメータを「第1ゲームパラメータ」と呼ぶものと解される(【0056】、【0103】)。
(ウ)よって、本願発明の特定事項B4、B5と、引用発明とは、「前記測定の開始の時間の情報と前記測定の終了の時間の情報とに基づいて前記ゲームの処理に用いるゲームパラメータを生成」するステップである点で共通する。
(2)一致点及び相違点
上記(1)の対比より、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
A プロセッサとメモリとを備えるコンピュータに睡眠に関わるゲームを実行させるためのプログラムであって、
B 前記プログラムは、前記プロセッサに、
B1 ユーザの操作に応じて、睡眠に関する測定の開始の時間と、前記測定の終了の時間とを決定するステップと、
B2 前記測定の開始の操作に応じて、起床のためのアラームを設定するステップと、
B3 前記測定の開始の操作の後に前記アラームの設定時刻が到来した場合に、当該アラームを発する処理を実行するステップと、
B4’、B5’ 前記測定の開始の時間の情報と前記測定の終了の時間の情報とに基づいて前記ゲームの処理に用いるゲームパラメータを生成するステップと、
A を実行させるプログラム。
[相違点]
ア 相違点1(特定事項B4、B5)
測定の開始の時間の情報と測定の終了の時間の情報とに基づいて生成されるゲームの処理に用いるゲームパラメータについて、本願発明は、「第1の日付に対応する」情報に基づいて生成された「第1ゲームパラメータ」(特定事項B4)、及び、「前記第1の日付より後の日付である第2の日付に対応する」情報に基づいて生成された「第2ゲームパラメータ」(特定事項B5)を用いるのに対し、引用発明において用いられる、「睡眠状態に関する情報」から生成される「ユーザーの睡眠状態が良好であることを示す情報」は、日付に対応する情報と紐付けられておらず、また、「睡眠状態に関する情報」から生成される「ユーザーの睡眠状態が良好であることを示す情報」が、「第1ゲームパラメータ」(特定事項B4)及び「第2ゲームパラメータ」(特定事項B5)であるかどうか不明である点。
イ 相違点2(特定事項B4)
本願発明は、「当該第1ゲームパラメータの記憶期間に所定の期間制限を設定する」のに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
ウ 相違点3(特定事項B5)
本願発明は、「前記第2ゲームパラメータを前記第1ゲームパラメータに累積して記憶する」のに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
2 判断
(1)相違点についての検討
相違点1~3は、ゲームの処理に用いるパラメータに係るものである点で関連するのでまとめて検討する。
ア 引用発明と引用例2に記載された技術とは、スマートフォンを用いたユーザの睡眠時間の測定・管理という点で技術分野が共通するとともに、引用例2に記載された技術は、ユーザの行動の結果、満足感が得られたり得られなかったりする、ゲームに使われている構造をビジネスの分野で応用したいわゆるゲーミフィケーションであるから、ゲームである引用発明と技術分野の関連性があるといえる。
さらに、一般に、睡眠状態が良好である場合とは、一定の睡眠時間以上の睡眠が確保できた状態であるから、引用例2に記載された技術の「「6時間以上」の睡眠時間を確保できた」か否かを判断した結果(フラグ)は、引用発明の「ユーザーの睡眠状態が良好であることを示す情報」と同様に、ユーザーの睡眠状態が良好であることを示す「ゲームパラメータ」といえ、また、引用発明のキャラクタ41が「よく寝ていたね。」とのメッセージ42を発することと、引用例2に記載された技術の「6時間以上の睡眠を達成した日数に応じてポイント付与する」こととは、睡眠状態が良好である場合にユーザに満足感を提供する状態を発生させる点で共通するといえる。
そうすると、引用発明と引用例2に記載された技術は、いずれも、測定された睡眠に関する情報を評価し、「ユーザーの睡眠状態が良好であること」を示す「ゲームパラメータ」を用いて、ユーザの満足感が得られる状況を発生させるという点で機能が共通するから、引用発明において、「ユーザーの睡眠状態が良好であることを示す情報」を用いて、キャラクタが「よく寝ていたね。」とのメッセージを発するような、ユーザーに満足感を提供するイベントを発生させるにあたり、引用例2に記載された技術のように、1週間のうち5日以上ユーザの睡眠状態が良好である日を確保できたことを条件として、イベントを発生するように構成することは当業者が容易に想到し得たことである。
イ そして、引用発明において、1週間のうち5日以上ユーザの睡眠状態が良好である日を確保できたかどうかを判定するために、1週間分の「ユーザーの睡眠状態が良好であることを示す情報」を記憶すること、当該情報が得られた最初の日付を第1の日付と呼び、当該最初の日の後の日付を第2の日付と呼んで「ユーザーの睡眠状態が良好であることを示す情報」をそれぞれ対応させること、ユーザの睡眠状態が良好である日が5日以上確保できたかどうかを判定するうえで、最初の日付の「ユーザーの睡眠状態が良好であることを示す情報」に、その後の日付の「ユーザーの睡眠状態が良好であることを示す情報」を累積して記憶すること、及び、1週間が経過してイベントを発生させた後に、不要となる「ユーザーの睡眠状態が良好であることを示す情報」の記憶期間について期間制限を設定するように設計変更を行うことにより、本願発明における前記相違点1~3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。
(2)小括
よって、本願発明は、引用発明及び引用例2に記載された技術から、当業者が容易に発明できたものである。
そして、本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び引用例2に記載された技術の奏する効果から、当業者が予測することができる程度のものである。
(3)請求人の主張について
ア 審判請求書の主張
請求人は、審判請求書において、特に次の主張をしている。
(ア)「(2-1)拒絶査定における引用文献2に係る引用発明の認定に誤りがあるため、引用文献2が引用文献としての適格性を有さない点について
・・・
そうすると、引用文献2では「社員個人が自身の睡眠時間をマネジメントすることにより個々人のライフスキル向上及び健康促進につながり、結果として組織全体の業務生産性を上げる」(引用文献2の本文参照)ことを目的として、「1週間のうち5日以上「6時間以上」の睡眠時間を確保できた社員」に「ポイント」を付与するという構成(つまり、所定時間以上の睡眠をとった日が所定日数以上であればポイントが付与され、そうではない場合はポイントが付与されないという構成)を把握できるところ、上記拒絶査定において審査官は、当該構成を捨象して「睡眠時間の実績を累積的にカウント」するという技術事項を認定したものであり、技術事項の範囲を不当に抽象化、拡大化するものといえ、係る認定は誤りであると思料致します。
以上より、上記拒絶査定における引用文献2に係る引用発明の認定に誤りがあるため、引用文献2は引用文献としての適格性を有さず、その結果、本願の各請求項に係る発明は、引用文献1~2の記載に基づき、当業者が容易に想到し得るものではないと考えます。」
「(2-2)「容易の容易」は容易ではない点について
仮に引用文献2に引用文献としての適格性があるとしても、以下の点から本願の各請求項に係る発明は、引用文献1~2の記載に基づき、当業者が容易に想到し得るものではないと考えます。
・・・
そうすると、審査官の係る認定は、引用文献2に記載の内容から容易に想到し得たものを基準とし(この点、「引用文献2の記載事項(中略)を考慮し」との記載から明らかです。)、更に引用文献2に記載の内容を引用文献1に記載の内容に適用することが容易であるという、いわゆる「容易の容易」の場合に相当します。そのため、引用文献2に基づいて、相違点に係る構成(「第1の日付に対応する前記測定の開始の時間の情報と前記測定の終了の時間の情報とに基づいて前記ゲームの処理に用いる第1ゲームパラメータを生成し、当該第1ゲームパラメータの記憶期間に所定の期間制限を設定する」こと、及び「前記第1の日付より後の日付である第2の日付に対応する前記測定の開始の時間の情報と前記測定の終了の時間の情報とに基づき、前記第2の日付に対応し前記ゲームの処理に用いる第2ゲームパラメータを生成し、前記第2ゲームパラメータを前記第1ゲームパラメータに累積して記憶する」こと)に想到することは、格別な努力が必要であり、当業者にとって容易であるとはいえません。
したがって、本願の各請求項に係る発明は、引用文献1~2の記載に基づき、当業者が容易に想到し得るものではないと考えます。」
(イ)「(2-3)引用文献2の技術内容に阻害要因がある点について
・・・」
「(2-4)上記拒絶査定における審査官の認定は「後知恵」である点について
・・・」
「(2-5)引用文献1に係る技術分野と引用文献2に係る技術分野とが異なり、また、引用文献2の記載に阻害要因がある点について
・・・」
(ウ)「(2-6)引用文献2に係る技術思想と本願発明の技術思想とが異なることから、引用文献2に係る技術を引用文献1に適用できたとしても本願発明を実現し得ない点について
引用文献2には「6時間以上の睡眠を達成した日数に応じて」所定のポイントが付与される旨が記載されています。すなわち、引用文献2に係る技術思想は、6時間以上の睡眠を達成した日数をカウントし、カウントした日数に応じたポイントを付与する思想です。そのため、引用文献2に係る技術においては、6時間未満の睡眠の場合は日数がカウントされず(若しくは生成されず)、また、カウントされる対象は「日数」ですので、カウントして得られる数値は必ず一定の数値になります。更に、引用文献2においてカウントされる対象は「日数」であって一定の数値であるため、いかなる社員であっても、また、各社員の睡眠時間がそれぞれ異なっていたとしても、得られる結果は予め定められた「日数」という数値にしかなりません。この点、引用文献2には「・5日間達成:500ポイン ト ・6日間達成:600ポイント」等と記載されていることからも明らかです。
一方、本願の請求項1に係る本願発明1においては、第1ゲームパラメータは「第1の日付に対応する前記測定の開始の時間の情報と前記測定の終了の時間の情報とに基づいて」生成されるゲームパラメータであり、第2ゲームパラメータは「前記第1の日付より後の日付である第2の日付に対応する前記測定の開始の時間の情報と前記測定の終了の時間の情報とに基づ」いて生成されるゲームパラメータです。そして、本願発明1では「前記第2ゲームパラメータを前記第1ゲームパラメータに累積して記憶」しています。
すなわち、本願発明1においては、引用文献2に係る技術とは異なり、第1ゲームパラメータ及び第2ゲームパラメータはユーザごとに異なる値となって第1ゲームパラメータに第2ゲームパラメータが累積されるパラメータです。この点、引用文献2に係る技術ではユーザが誰であっても必ず一定の数値になるので、本願発明1の技術思想は引用文献2に係る技術思想と全く異なることになります。そして、本願発明1においては「測定の開始の時間の情報と測定の終了の時間の情報とに基づいて」各ゲームパラメータが生成され、測定の開始時間及び測定の終了時間が毎日全く同一になる訳ではないので、各ゲームパラメータが指し示す値が引用文献2に係る技術のように必ず一定の数値になる訳ではありません。
したがって、引用文献1に係る技術に引用文献2に係る技術を適用できたとしても、本願発明1を実現することができません。そのため、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1~2の記載に基づき、当業者が容易に想到し得るものではありません。」
イ 合議体の見解
上記アの請求人の主張について、合議体の見解は次のとおりである。
(ア)上記ア(ア)の主張について
a 本願発明と引用発明との相違点に対する合議体の判断は、前記(1)に示したとおりである。
上記相違点について想到容易性を判断するに際し、引用例2に記載された技術から理解できる事項を言い換えたものであって、引用例2に記載された技術を抽象化、拡大化するものにあたらない。
b また、請求人は、「(つまり、所定時間以上の睡眠をとった日が所定日数以上であればポイントが付与され、そうではない場合はポイントが付与されないという構成)を把握できるところ、上記拒絶査定において審査官は、当該構成を捨象して「睡眠時間の実績を累積的にカウント」するという技術事項を認定したものであり、」とも主張するが、引用例2に記載された技術は、「「6時間以上」の睡眠時間を確保できた」か否かを判断した結果」(睡眠時間の実績)が、複数の日数分保持され、それぞれの日毎の、「「6時間以上」の睡眠時間を確保できた」か否かを判断した結果」に基づいて、「6時間以上の睡眠を達成した日数に応じてポイント付与する」ことを表しているから、引用例2に記載された技術の認定に誤りはない。
c そして、本願発明と引用発明との相違点に対する合議体の判断は、前記(1)に示したとおりであって、前記(1)イのとおり、前記相違点1~3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ)上記ア(イ)の主張について
引用発明に引用例2に記載された技術を適用する動機付けが存在することは、前記(1)アに示したとおりであって、請求人の上記ア(イ)の主張を採用することはできない。
(ウ)上記ア(ウ)の主張について
また、請求人は、「引用文献2に係る技術思想と本願発明の技術思想とが異なる」とも主張し、具体的には、引用文献等2について、「6時間未満の睡眠の場合は日数がカウントされず(若しくは生成されず)、また、カウントされる対象は「日数」ですので、カウントして得られる数値は必ず一定の数値にな」ることをもって、「この点、引用文献2に係る技術ではユーザが誰であっても必ず一定の数値になるので、本願発明1の技術思想は引用文献2に係る技術思想と全く異なることになります。」と主張する。
しかし、本願発明において、「累積して記憶」される「第2ゲームパラメータ」及び「第1ゲームパラメータ」(特定事項B5)は、それぞれ、前者の「第2ゲームパラメータ」は、「前記第1の日付より後の日付である第2の日付に対応する前記測定の開始の時間の情報と前記測定の終了の時間の情報とに基づき」「生成」されるものであり(特定事項B5)、後者の「「第1ゲームパラメータ」は、「第1の日付に対応する前記測定の開始の時間の情報と前記測定の終了の時間の情報とに基づいて」「生成」されるもの(特定事項B4)である。すなわち、本願発明では、睡眠時間そのものを「累積して記憶」することを特定するものではなく、睡眠時間「に基づいて」「生成」されるパラメータを「累積して記憶」することを特定している。
そして、睡眠時間「に基づいて」「生成」されるパラメータであれば、一定の値となることも生じ得るし、特許請求の範囲の記載から、ユーザ毎に異なる数値となることを特定しているとはいえないから、請求人の上記主張は特許請求の範囲の記載に基づくものではない。
(エ)小括
以上のとおり、請求人の主張を採用することはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-010299