意匠拒絶査定不服審判
2025-008082
住宅用トイレの内装
- 審判番号
- 2025-008082
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2023-012110
- 登録番号
- 1811025
- 請求日
- 2025年05月26日
- 審決日
- 2025年09月03日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】アイカ工業株式会社
- 【請求人代理人】名古屋国際弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 綿貫 浩一
- 審判官 前畑 さおり
- 審判官 坂田 麻智
- 分類
- D18 .121-WY (L3-7)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条、意匠法第4条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2023- 12110「住宅用トイレの内装」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、意匠法4条2項の規定の適用を受けようとする、令和5年(2023年)6月13日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。
令和 6年(2024年)10月11日付け 拒絶理由通知書
同年 11月25日 意見書の提出
令和 7年(2025年) 2月18日付け 拒絶査定
同年 5月26日 審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願は、店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾(以下「店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾」を「内装」という。)を構成する物品及び建築物(以下「内装を構成する物品及び建築物」を「内装意匠」という。)について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の内装意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書の意匠に係る物品の欄の記載を「住宅用トイレの内装」とし、その形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものであり、本願意匠において、当該意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「破線部分(取付金具、配管、壁、床、便器)以外の実線で表した部分(上板、下板、水栓蛇口、洗面器)が意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定の拒絶の理由及び引用した意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法3条2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「本願意匠は、住宅用トイレの内装に係るものであり、トイレ内部における壁、床、便器、取付金具、配管部を除いた手洗いカウンター(上板)と棚板(下板)を意匠登録を受けようとする部分としたものです。
トイレ用カウンターの分野においては、横長のカウンターの端に洗面器と水栓蛇口を備えて手洗いカウンターとすることが本願出願前より当該物品の属する分野で通常行われています(例えば、意匠1及び意匠2)。
また、手洗いカウンターの下に棚板を配置して上下2段構成にすることも本願出願前より通常行われています(意匠2及び意匠3)。このうち意匠3では、上下2段の板の下板を短く構成しており、トイレの内装において、これらは便器の横の壁に取り付けられています。
そして、洗面器及び水栓蛇口の分野では、本願意匠に用いられているような横長で下方に窄まる洗面器(意匠4)とその隣に設置する略トの字状の水栓蛇口(意匠5)が本願出願前より公然知られています。
そうすると、本願意匠は、意匠1及び意匠2の手法を用いて、特段特徴を有さない周知形状である横長長方形状のカウンターの端部に意匠4及び意匠5に見られる洗面器及び水栓蛇口を配置し、当該カウンターの下に意匠2及び意匠3に見られる手法で棚板を設置し、下の棚板については上のカウンターよりも短い長さに構成したものを意匠3に倣ってトイレ内部の便器の横の壁に取り付けたに過ぎず、当業者にとって容易に創作できたものと認められます。
意匠1
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2008年 8月22日に受け入れた
2008.7 WASHLET NEOREST
第32頁所載
トイレ用洗面台の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC20015561号)
意匠2
意匠登録第1578451号の意匠
意匠3
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2020年12月14日に受け入れた
&home 2020年12月22日67号
第89頁所載
家屋用トイレの内装の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第RA02016918号)
意匠4
意匠登録第1736535号の意匠
意匠5
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2015年 1月14日に受け入れた
CaSa BRUTUS 2015年 1月10日2号
第067頁所載
洗面器の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HA26008000号)」
第4 当審の判断
以下、本願意匠の意匠法3条2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。
1 本願意匠
(1)本願意匠について
本願意匠は、トイレの壁面に上下に設置した板(カウンター)、水栓蛇口及び洗面器からなる「住宅用トイレの内装」である。
(2)本願部分の用途及び機能
本願部分は、住宅用トイレ内の壁に設置した小物等載置用の上下の板と、上板の上に設置した手洗いのための洗面器及び水栓蛇口である。
(3)本願部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分の位置は、正面視において、奥の壁側で、上板は床から約1/3.3の高さで便器の高さよりやや高い位置で洗面器及び水栓蛇口を右寄りに設け、下板は床から約1/5.5の高さで便器の高さよりやや低い位置とし、大きさ及び範囲は、平面視において、上板は床の横幅いっぱいで、下板は床の約7/10の横幅で、それぞれ床の縦幅の約1/8の大きさ及び範囲とするものである。
(4)本願部分の形状等
ア カウンター
(ア)上板
上板は、略横長長方形板で、縦横の長さ及び厚みの比率は、約1:11:0.2である。
(イ)下板
下板は、上板と縦の長さと厚みが同じの略横長長方形板で、縦横の長さ及び厚みの比率は、約1:7.7:0.2である。
イ 洗面器及び水栓蛇口
(ア)洗面器
洗面器は、略横長角丸矩形状の浅い丼鉢形で、上板から手前側が若干はみ出るように設けている。
(イ)水栓蛇口
水栓蛇口は、略縦長円柱形の胴体の上端に開閉レバーと上端寄りに略円柱形の吐水口を斜め上向きに取り付けたものであって、正面視において、洗面器の右脇に設けている。
2 引用意匠の認定
(1)意匠1(別紙第2参照)
意匠1は、「トイレ用洗面台」の意匠であって、その形状等は、便器の隣に略横長長方形厚板のカウンターを配置し、その上面の左寄りに洗面器を取り付け、その左脇に水栓蛇口を取り付け、カウンターの下側の左端にキャビネットと真ん中にトイレットペーパーホルダーを取り付けている。
(2)意匠2(別紙第3参照)
意匠2は、意匠に係る物品「トイレ用カウンター」の意匠であって、その形状等は、略縦長矩形箱状のキャビネットの右側面の上端及び真ん中に略横長長方形板状のカウンターを水平に取り付け、その底面奥に略横長長方形板状の支持板を取り付け、カウンターの上面に水栓蛇口と洗面器を取り付けている。
(3)意匠3(別紙第4参照)
意匠3は、「家屋用トイレの内装」の意匠であって、その形状等は、トイレの右隅に便器を設置し、右側の壁の奥の便器とほぼ同じ高さに長いカウンターを取り付け、その下側に隙間を空けて短いカウンターを取り付け、その右側にトイレットペーパーホルダーを取り付け、手前側に洗面台を取り付けている。
(4)意匠4(別紙第5参照)
意匠4は、意匠に係る物品「取付け用洗面器」の意匠であって、その形状等は、略横長角丸矩形状の浅い丼鉢形である。
(5)意匠5(別紙第6参照)
意匠5は、水栓蛇口付きの「洗面器」の意匠であって、その形状等は、略円錐形の洗面器の右脇に略縦長円柱形の胴体の上端に開閉レバーと上端寄りに略円柱形の吐水口を斜め上向きに取り付けた水栓蛇口を設けたものである。
3 本願意匠の創作性の検討
この内装意匠の属する分野において、トイレ内において、便器の隣に略横長長方形厚板のカウンターを配置し、その上面の左寄りに洗面器を取り付け、その左脇に水栓蛇口を取り付けたもの(意匠1)や、便器の隣の壁に便器とほぼ同じ高さの長いカウンターを取り付け、その下側に隙間を空けて短いカウンターを取り付けたもの(意匠3)が、本願の出願前から公然知られているものである。
しかしながら、本願部分のように、便器の横の壁の便器の高さよりやや高い位置に上板を取り付け、その上面に洗面器と水栓蛇口を設け、上板の下側で便器の横の壁の便器の高さよりやや低い位置に上板の7割程度の長さの下板取り付けたものは、引用意匠には見られないものであるから、本願部分は、当業者にとって、格別の創作を要したものといわざるを得ない。
そうすると、本願意匠は、この内装を構成する物品又は建築物の属する分野において、独自の着想によって創出したものであり、当業者が引用意匠に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。
第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、原査定の拒絶の理由によっては意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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