特許拒絶査定不服審判
2025-007320
半導体デバイス
- 審判番号
- 2025-007320
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-132092
- 請求日
- 2025年05月13日
- 審決日
- 2026年03月18日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】長江存儲科技有限責任公司
- 【請求人代理人】新居 広守
- 審判長/審判官
- 審判長 小宮 慎司
- 審判官 棚田 一也
- 審判官 河本 充雄
- 分類
- P18 .121-Z (H10B) / P18 .561-Z (H10B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023-132092「半導体デバイス」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年10月24日出願公開、特開2023-156435〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和1年)9月11日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2019年4月15日(以下、「本願優先日」という。) 中国(CN))を国際出願日とする特願2021-545730号の一部を、令和5年8月14日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 8月18日 :上申書の提出
令和6年 6月11日 :手続補正書の提出
令和6年 9月19日付け:拒絶理由通知
令和6年12月26日 :意見書の提出
令和7年 1月29日付け:拒絶査定
令和7年 5月13日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和7年5月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和7年5月13日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであり、本件補正後の特許請求の範囲の請求項13の記載は、次のとおりである。
「 【請求項13】
半導体デバイスであって、
プロセッサと、スタティック・ランダムアクセス・メモリ(SRAM)セルのアレイと、第1の誘電体によって分離された第1の接合接点を含む第1の接合層とを有する第1の半導体構造と、
ダイナミック・ランダムアクセス・メモリ(DRAM)セルのアレイと、第2の誘電体によって分離された第2の接合接点を含む第2の接合層とを有する第2の半導体構造と、を備え、
前記第1の接合接点は、前記第2の接合接点と接合し、前記第1の誘電体は、前記第2の誘電体と接合しており、
前記第1の半導体構造は、基板であって、前記プロセッサ及び前記SRAMセルのアレイが前記基板上にあり、前記プロセッサが前記SRAMセルのアレイの外側にある基板をさらに有する、
半導体デバイス。」
2 補正の適否
(1)新規事項の追加の有無について
ア 本件補正後の請求項13について
本件補正後の請求項13は、発明を特定する事項として、「前記プロセッサが前記SRAMセルのアレイの外側にある」こと(以下、「請求項13特定事項」という。)を含む。
イ 当初明細書等の記載
本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には次の記載がある(下線は強調のために当審において付加した。以下同様である。)。
「【0035】
・・・(中略)・・・SRAM204は、プロセッサ202の外部に配置することができる。例えば、図2AはSRAM204の例示的なレイアウトを示し、SRAMセルのアレイがプロセッサ202の外部にある半導体構造200内の複数の別個の領域に分散されている。すなわち、SRAM204によって形成されたキャッシュモジュールは、より小さなキャッシュ領域に分割され、半導体構造200内のプロセッサ202の外部に分散することができる。一例では、キャッシュ領域の分散は、接合接点の設計、例えば接合接点なしでエリアを占有することに基づき得る。別の例では、キャッシュ領域の分布はランダムであってもよい。これにより、追加のチップエリアを占有することなく、より多くの内部キャッシュ(例えば、オンダイSRAMを使用する)をプロセッサ202の周囲に配置することができる。
・・・(中略)・・・
【0038】
・・・(中略)・・・SRAM204および周辺回路(例えば、行デコーダ208、列デコーダ210)の両方をプロセッサ202の外部に配置することができる。例えば、図3AはSRAM204の例示的なレイアウトを示し、SRAMセルのアレイがプロセッサ202の外部にある半導体構造300内の複数の別個の領域に分散されている。半導体構造300は、例えば、行デコーダ208、列デコーダ210、および任意の他の適切なデバイスを含む、DRAM206を制御および感知するためのすべての周辺回路を含むことができる。図3Aは、周辺回路(例えば、行デコーダ208、列デコーダ210)およびSRAM204がプロセッサ202の外側の同じ平面上の異なる領域に形成される周辺回路(例えば、行デコーダ208、列デコーダ210)の例示的なレイアウトを示す。・・・(中略)・・・
【0042】
いくつかの実施形態では、デバイス層410は、基板408上のプロセッサ412と、基板408上およびプロセッサ412の外側のSRAMセルのアレイ414とを含む。・・・(中略)・・・
【0057】
半導体デバイス401の第1の半導体構造405は、相互接続層429および接合層451の上方にデバイス層431をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、デバイス層431は、相互接続層429および接合層451の上方のプロセッサ435と、相互接続層429および接合層451の上方で、プロセッサ435の外側のSRAMセルのアレイ437とを含む。・・・(中略)・・・
【0062】
半導体デバイス500の第1の半導体構造502は、基板508の上方にデバイス層510を含むことができる。いくつかの実施形態では、デバイス層510は、基板508上のプロセッサ512と、基板508上およびプロセッサ512の外側のSRAMセルのアレイ514とを含む。・・・(中略)・・・
【0074】
半導体デバイス501の第1の半導体構造505は、相互接続層537および接合層533の上方にデバイス層539をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、デバイス層539は、相互接続層537および接合層533の上方のプロセッサ543と、相互接続層537および接合層533の上方かつプロセッサ543の外側のSRAMセルのアレイ545とを含む。・・・(中略)・・・
【0111】
いくつかの実施形態では、第1の半導体構造は、第2の接合層の上方の第1の接合層と、第1の接合層の上方のプロセッサと、第1の接合層の上方かつ1つまたは複数のプロセッサの外側にあるSRAMセルのアレイと、プロセッサおよびSRAMセルのアレイの上方にあり、プロセッサおよびSRAMセルのアレイと接触する半導体層とを含む。」
「
[図:0001438049000001.jpg]
」
「
[図:0001438049000002.jpg]
」
ウ 新規事項の追加の有無についての当審の判断
上記イによれば、当初明細書等には、SRAMセルのアレイがプロセッサの外側にあることが記載されているといえ、他に、SRAMセルのアレイとプロセッサとの位置関係に関する記載はない。
そうすると、当初明細書等には、プロセッサがSRAMセルのアレイの外側にあることは記載されていないから、上記アの請求項13特定事項の「前記プロセッサが前記SRAMセルのアレイの外側にある」ことは、当初明細書等に記載された事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項であるともいえない。
したがって、請求項13を含む特許請求の範囲についてした本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たさないものである。
(2)小括
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~20に係る発明は、令和6年6月11日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~20に記載された事項により特定されるものであり、その請求項14に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「 【請求項14】
半導体デバイスであって、
プロセッサと、スタティック・ランダムアクセス・メモリ(SRAM)セルのアレイと、第1の誘電体によって分離された第1の接合接点を含む第1の接合層とを有する第1の半導体構造と、
ダイナミック・ランダムアクセス・メモリ(DRAM)セルのアレイと、第2の誘電体によって分離された第2の接合接点を含む第2の接合層とを有する第2の半導体構造と、を備え、
前記第1の接合接点は、前記第2の接合接点と接合し、前記第1の誘電体は、前記第2の誘電体と接合している、
半導体デバイス。」
第4 原査定の拒絶の理由の概要
令和7年1月29日付け拒絶査定(以下、「原査定」という。)の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
理由1.(新規性)本願の請求項1~6,8,11~13に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
理由2.(進歩性)本願の請求項1~6,8,11~13に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、本願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、請求項7,9,10,14~20に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2,3に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願の請求項1~20に係る発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
記
1.特開2015-119038号公報
2.中国特許出願公開第109411473号明細書(周知技術を示す文献)
3.中国特許出願公開第107658315号明細書(周知技術を示す文献)
第5 当審の判断
1 引用文献の記載、引用発明、周知技術
(1)引用文献1の記載、引用発明
ア 引用文献1の記載
原査定で引用された引用文献1(特開2015-119038号公報)には、以下の記載がある。
「【0025】
(実施の形態1)
<半導体装置>
まず、本実施の形態1の半導体装置(半導体パッケージ)1の概要構成について、図1~図4を用いて説明する。図1は、実施の形態1の半導体装置の斜視図である。図2は、実施の形態1の半導体装置の下面図である。図3は、実施の形態1の半導体装置の透視平面図である。図3は、封止体を取り除いた状態で、配線基板上の半導体装置の内部構造を示す。図4は、実施の形態1の半導体装置の断面図である。図4は、図3のA-A線に沿った断面図である。なお、図1~図4では、見やすさのため、端子数を少なくして示しているが、端子(ボンディングリード2f、ランド2g、半田ボール6、ならびに表面電極3apおよび4apなど)の数は、図1~図4に示す態様には限定されない。
【0026】
本実施の形態1の半導体装置(半導体パッケージ)1は、配線基板(基材)2、配線基板2上に搭載された周辺回路チップ(半導体チップ)3およびロジックチップ(半導体チップ)4、ならびに、周辺回路チップ3およびロジックチップ4を封止する封止体(封止材、樹脂)5を備えている。
【0027】
図4に示すように、配線基板(基材)2は、周辺回路チップ3が搭載された上面(面、主面、チップ搭載面)2a、上面2aとは反対側の下面(面、主面、実装面)2b、および上面2aと下面2bとの間に配置された側面2cを備え、図2および図3に示すように、平面視において四角形の外形形状を有する。図2および図3に示す例では、配線基板2の平面サイズ(平面視における寸法、上面2aおよび下面2bの寸法、外形サイズ)として、例えば一辺の長さが14mm程度であり、配線基板2は、平面視において正方形状を有する。また、配線基板2の厚さ(高さ)、すなわち、図4に示す上面2aから下面2bまでの距離は、例えば0.3mm~0.5mm程度である。
【0028】
なお、本願明細書では、平面視においてとは、配線基板2の上面2aもしくは下面2b、周辺回路チップ3の表面3aもしくは裏面3b、またはロジックチップ4の表面4aもしくは裏面4bに垂直な方向から視た場合を意味する。
【0029】
配線基板2は、上面2a側に搭載された周辺回路チップ3およびロジックチップ4と、図示しない実装基板とを電気的に接続するためのインタポーザであって、上面2a側と下面2b側を電気的に接続する複数の配線層(図4に示す例では4層)を有する。各配線層には、複数の配線2d、ならびに、複数の配線2d間および隣り合う配線層間を絶縁する絶縁層2eが形成されている。ここで、本実施の形態1の配線基板2は、3つの絶縁層2eを有しており、真ん中の絶縁層2eがコア層(コア材)であるが、コアとなる絶縁層2eを有していない、いわゆるコアレス基板を用いてもよい。また、配線2dには、絶縁層2eの上面または下面に形成される配線2d1、および、絶縁層2eを厚さ方向に貫通するように形成されている層間導電路であるビア配線2d2が含まれる。
【0030】
また、配線基板2の上面2aには、周辺回路チップ3と電気的に接続される端子である、複数のボンディングリード(端子、チップ搭載面側端子、電極)2fが形成されている。ボンディングリード2fは、周辺回路チップ3の表面3a上に形成された表面電極(端子、電極パッド、ボンディングパッド)3apと、ワイヤ7を介して電気的に接続された端子である。一方、配線基板2の下面2bには、複数のランド2gが形成されている。ランド2gには、図示しない実装基板と電気的に接続するための端子、すなわち、半導体装置1の外部接続端子である複数の半田ボール6が接合されている。複数のボンディングリード2fと複数のランド2gは、複数の配線2dを介して、それぞれ電気的に接続されている。なお、ボンディングリード2fやランド2gに接続される配線2dは、ボンディングリード2fやランド2gと一体に形成されるので、図4では、ボンディングリード2fおよびランド2gを、配線2dの一部として示している。
・・・(中略)・・・
【0033】
また、半導体装置1は、配線基板2上に搭載された複数の半導体チップとして、周辺回路チップ3およびロジックチップ4を備えている。図4に示す例では、配線基板2上に周辺回路チップ3が搭載されており、周辺回路チップ3上にロジックチップ4が搭載されている。ロジックチップ4は、周辺回路チップ3を介して配線基板2と電気的に接続されている。また、図9~図12を用いて後述するように、周辺回路チップ3およびロジックチップ4には、例えばMISFET(Metal insulator semiconductor field effect transistor)などの複数の半導体素子が形成されている。
【0034】
周辺回路チップ3は、表面(主面、上面)3a、表面3aとは反対側の裏面(主面、下面)3b、および、表面3aと裏面3bとの間に位置する側面3cを有し、図3に示すように、平面視において四角形の外形形状を有する。また、周辺回路チップ3は、表面3aに形成された表面電極(端子、電極パッド、ボンディングパッド)3apを有する。なお、周辺回路チップ3の表面電極3apのうち、配線基板2のボンディングリード2fと電気的に接続されるものを、表面電極(基材用電極パッド)3ap1とし、ロジックチップ4の表面電極(端子、電極パッド、ボンディングパッド)4apと電気的に接続されるものを、表面電極(チップ用電極パッド)3ap2とする。
【0035】
ロジックチップ4は、表面(主面、上面)4a、表面4aとは反対側の裏面(主面、下面)4b、および、表面4aと裏面4bとの間に位置する側面4cを有し、図3に示すように、平面視において四角形の外形形状を有する。また、ロジックチップ4は、表面4aに形成された表面電極(端子、電極パッド、ボンディングパッド)4apを有する。
【0036】
図5を用いて後述するように、周辺回路チップ(半導体チップ)3には、CAN(Controller area network)モジュールPR1などの周辺回路、SRAM(Static random access memory)などのメモリMM1、電源制御回路PC1、および、サーマルダイオード(温度センサ)TS1が形成されている。すなわち、周辺回路チップ3は、周辺回路が形成された半導体チップである。
【0037】
また、ロジックチップ(半導体チップ)4には、CPU(Central processing unit)回路PU1、ローカルRAM制御部PR3などの周辺回路、および、SRAMなどのメモリMM3が形成されている。すなわち、ロジックチップ4は、論理回路、すなわちロジック回路としての中央演算処理装置であるCPUが形成された半導体チップである。
【0038】
周辺回路チップ3が備える各回路は、周辺回路チップ3の表面3a側に形成される。詳しくは、図9および図11を用いて後述するように、周辺回路チップ3は、例えばシリコン(Si)から成る半導体基板30S(後述する図9参照)を備え、半導体基板30Sの主面(素子形成面)30p(後述する図9参照)に、例えばMISFETなどの複数の半導体素子(後述する図9参照)が形成されている。半導体基板30Sの主面上(表面3a側)には、複数の配線と、複数の配線間を絶縁する絶縁膜とが積層された配線層3asが形成されている。図4には、配線層3asが示されている。配線層3asの複数の配線は複数の半導体素子とそれぞれ電気的に接続されて、回路を構成する。周辺回路チップ3の表面3a(図4参照)に形成された複数の表面電極3apは、半導体基板30Sと表面3aの間に設けられている配線層3asを介して半導体素子と電気的に接続され、回路の一部を構成する。
【0039】
ロジックチップ4が備える各回路は、ロジックチップ4の表面4a側に形成される。詳しくは、図10および図12を用いて後述するように、ロジックチップ4は、例えばシリコン(Si)から成る半導体基板40S(後述する図10参照)を備え、半導体基板40Sの主面(素子形成面)40p(後述する図10参照)に、例えばMISFETなどの複数の半導体素子(後述する図10参照)が形成されている。半導体基板40Sの主面上(表面4a側)には、複数の配線と、複数の配線間を絶縁する絶縁膜とが積層された配線層4asが形成されている。図4には、配線層4asが示されている。配線層4asの複数の配線は複数の半導体素子とそれぞれ電気的に接続されて、回路を構成する。ロジックチップ4の表面4a(図4参照)に形成された複数の表面電極4apは、半導体基板40Sと表面4aの間に設けられている配線層4asを介して半導体素子と電気的に接続され、回路の一部を構成する。
【0040】
周辺回路チップ3は、周辺回路チップ3の裏面3bが配線基板2の上面2aと対向するように、配線基板2上に搭載されている。周辺回路チップ3は、配線基板2の上面2aのうち周辺回路チップ3を搭載する予定領域であるチップ搭載領域(チップ搭載部)2p1上に、搭載されている。周辺回路チップ3と、配線基板2とは、ワイヤ(導電性部材)7により接続されている。詳しくは、周辺回路チップ3の表面電極(基材用電極パッド)3ap1と、配線基板2のボンディングリード2fとが、ワイヤ7を介して電気的に接続されている。そのため、周辺回路チップ3の裏面3bと、配線基板2の上面2aとが、ダイボンド材(接着材)8を介して接合されている。
【0041】
ロジックチップ4は、ロジックチップ4の表面4aが周辺回路チップ3の表面3aと対向するように、周辺回路チップ3上に搭載されている。ロジックチップ4は、周辺回路チップ3の表面3aのうちロジックチップ4を搭載する予定領域であるチップ搭載領域(チップ搭載部)3p1上に、搭載されている。ロジックチップ4と、周辺回路チップ3とは、フリップチップ接続されている。詳しくは、周辺回路チップ3の表面電極(端子、電極パッド、ボンディングパッド)3ap2と、ロジックチップ4の表面電極(端子、電極パッド、ボンディングパッド)4apとが、例えば以下に示すように、フリップチップ接続により接続されている。
【0042】
ロジックチップ4の表面電極4apと、周辺回路チップ3の表面電極3ap2との接合部では、例えば、柱状(例えば円柱形)に形成した銅(Cu)を主成分とする金属部材である突起電極(導電性部材、柱状電極、バンプ)9を介して、ロジックチップ4の表面電極4apと、周辺回路チップ3の表面電極3ap2とが、電気的に接続される。例えば、ロジックチップ4の表面電極4apに形成された突起電極9の先端に、ニッケル(Ni)膜、半田(例えばSnAg)膜を積層しておき、この先端の半田膜を周辺回路チップ3の表面電極3ap2に接合させることで、ロジックチップ4の表面電極4apと周辺回路チップ3の表面電極3ap2を、電気的に接続することができる。ただし、突起電極9の先端に形成される接合材を構成する材料は、電気的特性上の要求、あるいは接合強度上の要求を満たす範囲内で種々の変形例を適用することができる。
・・・(中略)・・・
【0050】
<半導体装置の回路構成>
次に、半導体装置1の回路構成例について、図5および図6を用いて説明する。図5は、実施の形態1の半導体装置の回路構成例を示すブロック図である。図6は、実施の形態1の半導体装置における回路配置を模式的に示す斜視図である。なお、図6では、メモリMM2を制御するメモリコントローラ(図5では図示を省略)を、符号MM2を付して図示している。
【0051】
前述したように、本実施の形態1では、配線基板2上に搭載される1つの半導体チップが、CPUが形成されたロジックチップ4と、周辺回路が形成された周辺回路チップ3とに、分割されている。
【0052】
図5に示すように、周辺回路チップ3は、CAN(Controller area network)モジュール(周辺回路)PR1、および、外部インタフェース回路(周辺回路、インタフェース)PR2を有する。また、周辺回路チップ3は、SRAM(Static random access memory)またはグローバルRAM(Random access memory)などから成るメモリ(RAM)MM1、および、フラッシュメモリまたはDRAM(Dynamic random access memory)などから成るメモリMM2を有する。さらに、周辺回路チップ3は、電源制御回路PC1、および、サーマルダイオード(温度センサ)TS1を有する。なお、電源制御回路PC1とサーマルダイオードTS1とは、半導体装置を駆動する電源(駆動電源、電流、電圧)の供給を制御する電源制御部CU1を構成する。
【0053】
図5に示すように、ロジックチップ4は、CPU(Central processing unit)回路(CPU)PU1、およびローカルRAM制御部(周辺回路)PR3を有する。また、ロジックチップ4は、SRAMまたはローカルRAMなどから成るメモリ(RAM)MM3を有する。さらに、ロジックチップ4は、制御回路CC1、CC2およびCC3を有する。
・・・(中略)・・・
【0107】
層間絶縁膜39上には、例えばアルミニウム(Al)から成る表面電極(端子、電極パッド、ボンディングパッド)3apが形成されている。表面電極3apは、金属プラグp36と電気的に接続されている。図9に示すように、表面電極3apの表面を含めて層間絶縁膜39上には、ファイナルパッシベーション膜として、例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜などの単層膜、あるいはこれらの2層膜から成る表面保護膜3hが形成されていてもよい。このとき、この表面保護膜3hに形成されたパッド開口3iの底部に、表面電極3apが露出している。
【0108】
なお、本願明細書では、図9に示すように、周辺回路チップ(半導体チップ)3の表面3aとは、多層配線構造を有する配線層3asの上面、すなわち、層間絶縁膜39の上面を意味する。このとき、表面電極3apは、周辺回路チップ3の表面3aに形成されている。
・・・(中略)・・・
【0122】
層間絶縁膜49上には、例えばアルミニウム(Al)から成る表面電極(端子、電極パッド、ボンディングパッド)4apが形成されている。表面電極4apは、金属プラグp46と電気的に接続されている。図10に示すように、表面電極4apの表面を含めて層間絶縁膜49上には、ファイナルパッシベーション膜として、例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜などの単層膜、あるいはこれらの2層膜から成る表面保護膜4hが形成されていてもよい。このとき、この表面保護膜4hに形成されたパッド開口4iの底部に、表面電極4apが露出している。
【0123】
なお、本願明細書では、図10に示すように、ロジックチップ(半導体チップ)4の表面4aとは、多層配線構造を有する配線層4asの上面、すなわち、層間絶縁膜49の上面を意味する。このとき、表面電極4apは、ロジックチップ4の表面4aに形成されている。」
イ 引用発明
(ア)上記アの段落0026には、「本実施の形態1の半導体装置」「1は、配線基板」「2、配線基板2上に搭載された周辺回路チップ」「3およびロジックチップ」「4、ならびに、周辺回路チップ3およびロジックチップ4を封止する封止体」「5を備えている。」と記載され、段落0033には、「配線基板2上に周辺回路チップ3が搭載されており、周辺回路チップ3上にロジックチップ4が搭載されている。ロジックチップ4は、周辺回路チップ3を介して配線基板2と電気的に接続されている。」と記載されている。
したがって、本実施の形態1の半導体装置1は、配線基板2、配線基板2上に搭載された周辺回路チップ3、及び、周辺回路チップ3上に搭載されたロジックチップ4、並びに、周辺回路チップ3及びロジックチップ4を封止する封止体5を備え、ロジックチップ4は、周辺回路チップ3を介して配線基板2と電気的に接続されているものであるといえる。
(イ)上記アの段落0027には、「配線基板」「2は、周辺回路チップ3が搭載された上面」「2a」「を備え」と記載され、段落0030には、「上面2aには、周辺回路チップ3と電気的に接続される端子である、複数のボンディングリード」「2fが形成され」と記載されている。
(ウ)a 上記アの段落0036には、「周辺回路チップ3は、周辺回路が形成された半導体チップである。」と記載され、段落0052には、「周辺回路チップ3は」「DRAM」「から成るメモリMM2を有する。」と記載されている。
したがって、周辺回路チップ3は、周辺回路、及び、DRAMから成るメモリMM2を有する半導体チップであるといえる。
b また、上記アの段落0034には、「周辺回路チップ3は、表面」「3a、表面3aとは反対側の裏面」「3b」「を有し」「周辺回路チップ3は、表面3aに形成された表面電極」「3apを有する。」「周辺回路チップ3の表面電極3apのうち、配線基板2のボンディングリード2fと電気的に接続されるものを、表面電極」「3ap1とし、ロジックチップ4の表面電極」「4apと電気的に接続されるものを、表面電極」「3ap2とする。」と記載されている。
c 上記アの段落0107には、「表面電極3apの表面を含めて層間絶縁膜39上には、ファイナルパッシベーション膜として」「表面保護膜3hが形成されていてもよい。このとき、この表面保護膜3hに形成されたパッド開口3iの底部に、表面電極3apが露出している。」と記載されている。また、上記アの段落0108には、「周辺回路チップ」「3の表面3aとは」「層間絶縁膜39の上面を意味する。」と記載されているから、「層間絶縁膜39の上面」は「表面3a」であるといえる。
したがって、表面電極3apの表面を含めて表面3a上には、ファイナルパッシベーション膜として表面保護膜3hが形成され、表面保護膜3hに形成されたパッド開口3iの底部に、表面電極3apが露出しているといえる。
d 上記a~cによれば、周辺回路チップ3は、周辺回路、及び、DRAMから成るメモリMM2を有する半導体チップであって、表面3a、表面3aとは反対側の裏面3bを有し、表面3aには、表面電極3apが形成され、周辺回路チップ3の表面電極3apのうち、配線基板2のボンディングリード2fと電気的に接続されるものを、表面電極3ap1とし、ロジックチップ4の表面電極4apと電気的に接続されるものを、表面電極3ap2とし、表面電極3apの表面を含めて表面3a上には、ファイナルパッシベーション膜として表面保護膜3hが形成され、表面保護膜3hに形成されたパッド開口3iの底部に、表面電極3apが露出しているといえる。
(エ)a 上記アの段落0037には、「ロジックチップ」「4には、CPU」「回路PU1」「および、SRAMなどのメモリMM3が形成されている。すなわち、ロジックチップ4は」「CPUが形成された半導体チップである。」と記載されている。
したがって、ロジックチップ4は、CPU回路PU1、及び、SRAMから成るメモリMM3を有する半導体チップであるといえる。
b また、上記アの段落0035には、「ロジックチップ4は、表面」「4a、表面4aとは反対側の裏面」「4b」「を有し、」「表面4aに形成された表面電極」「4apを有する。」と記載されている。
したがって、ロジックチップ4は、表面4a、及び、表面4aとは反対側の裏面4bを有し、表面4aには表面電極4apが形成されるといえる。
c さらに、上記アの段落0122には、「表面電極4apの表面を含めて層間絶縁膜49上には、ファイナルパッシベーション膜として」「表面保護膜4hが形成されていてもよい。このとき、この表面保護膜4hに形成されたパッド開口4iの底部に、表面電極4apが露出している。」と記載されている。また、上記アの段落0123には、「ロジックチップ」「4の表面4aとは」「層間絶縁膜49の上面を意味する。」と記載されているから、「層間絶縁膜49の上面」は「表面4a」であるといえる。
したがって、表面電極4apの表面を含めて表面4a上には、ファイナルパッシベーション膜として表面保護膜4hが形成され、表面保護膜4hに形成されたパッド開口4iの底部に、表面電極4apが露出しているといえる。
d 上記a~cによれば、ロジックチップ4は、CPU回路PU1、及び、SRAMから成るメモリMM3を有する半導体チップであって、表面4a、及び、表面4aとは反対側の裏面4bを有し、表面4aには表面電極4apが形成されると共に、表面電極4apの表面を含めて表面4a上には、ファイナルパッシベーション膜として表面保護膜4hが形成され、表面保護膜4hに形成されたパッド開口4iの底部に、表面電極4apが露出しているといえる。
(オ)上記アの段落0040には、「周辺回路チップ3は、周辺回路チップ3の裏面3bが配線基板2の上面2aと対向するように、配線基板2上に搭載され」、「周辺回路チップ3の表面電極」「3ap1と、配線基板2のボンディングリード2fとが、ワイヤ7を介して電気的に接続され」と記載されている。
(カ)上記アの段落0041には、「ロジックチップ4は、ロジックチップ4の表面4aが周辺回路チップ3の表面3aと対向するように、周辺回路チップ3上に搭載され」と記載され、段落0042には、「ロジックチップ4の表面電極4apと、周辺回路チップ3の表面電極3ap2との接合部では、」「柱状」「に形成した銅」「を主成分とする金属部材である突起電極」「9を介して、ロジックチップ4の表面電極4apと、周辺回路チップ3の表面電極3ap2とが、電気的に接続される」と記載されている。
(キ)上記(ア)~(カ)によれば、引用文献1には、「実施の形態1」として、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。(括弧内は対応する項番を示す。)
<引用発明>
「配線基板2、配線基板2上に搭載された周辺回路チップ3、及び、周辺回路チップ3上に搭載されたロジックチップ4、並びに、周辺回路チップ3及びロジックチップ4を封止する封止体5を備え、ロジックチップ4は、周辺回路チップ3を介して配線基板2と電気的に接続されている半導体装置1であって、(上記(ア))
配線基板2は、周辺回路チップ3が搭載された上面2aを備え、上面2aには、周辺回路チップ3と電気的に接続される端子である、複数のボンディングリード2fが形成され、(上記(イ))
周辺回路チップ3は、周辺回路、及び、DRAMから成るメモリMM2を有する半導体チップであって、表面3a、表面3aとは反対側の裏面3bを有し、表面3aには、表面電極3apが形成され、周辺回路チップ3の表面電極3apのうち、配線基板2のボンディングリード2fと電気的に接続されるものを、表面電極3ap1とし、ロジックチップ4の表面電極4apと電気的に接続されるものを、表面電極3ap2とし、表面電極3apの表面を含めて表面3a上には、ファイナルパッシベーション膜として表面保護膜3hが形成され、表面保護膜3hに形成されたパッド開口3iの底部に、表面電極3apが露出し、(上記(ウ))
ロジックチップ4は、CPU回路PU1、及び、SRAMから成るメモリMM3を有する半導体チップであって、表面4a、及び、表面4aとは反対側の裏面4bを有し、表面4aには表面電極4apが形成されると共に、表面電極4apの表面を含めて表面4a上には、ファイナルパッシベーション膜として表面保護膜4hが形成され、表面保護膜4hに形成されたパッド開口4iの底部に、表面電極4apが露出し、(上記(エ))
周辺回路チップ3は、周辺回路チップ3の裏面3bが配線基板2の上面2aと対向するように、配線基板2上に搭載され、周辺回路チップ3の表面電極3ap1と、配線基板2のボンディングリード2fとが、ワイヤ7を介して電気的に接続され、(上記(オ))
ロジックチップ4は、ロジックチップ4の表面4aが周辺回路チップ3の表面3aと対向するように、周辺回路チップ3上に搭載され、ロジックチップ4の表面電極4apと、周辺回路チップ3の表面電極3ap2との接合部では、柱状に形成した銅を主成分とする金属部材である突起電極9を介して、ロジックチップ4の表面電極4apと、周辺回路チップ3の表面電極3ap2とが、電気的に接続される、(上記(カ))
半導体装置1。」
(2)引用文献2及び3の記載、周知技術
ア 引用文献2の記載
(ア)原査定で引用された引用文献2(中国特許出願公開第109411473号明細書)には、以下の記載がある。なお、引用文献2の記載は、当審の訳文で示す。
「[0060] 本出願の実施例が提供するDRAMメモリチップの製造方法は以下のステップを含む:
[0061] S201:第一チップ10上に周辺回路101を形成する。
[0062] 一例として、周辺回路101はCMOS回路であってもよく、特定の用途では、周辺回路101はまた、行デコーダ、列デコーダ、制御回路、入力/出力バッファ、状態機械、およびスタティックランダムアクセスメモリのうちの少なくとも1つであってもよい。
・・・(中略)・・・
[0064] 該ステップを実行した後に対応する断面構造の概略図は図3(1)に示すとおりである。
[0065] S202:第一チップ10の表面に周辺回路101と電気的に接続される複数の第一金属貫通孔102を形成する。
[0066] 該ステップは具体的には、プラズマエッチング等のドライエッチングの方法を利用して第一チップ10の表面に複数の第一金属貫通孔102を形成し、ここで、第一金属貫通孔102は金属相互接続線層及びコンタクトホールを介して周辺回路101に電気的に接続される。
[0067] 第一金属貫通孔102の導電機能を実現するために、一例として、第一金属貫通孔102の内部に金属材料を充填してもよく、別の例として、第一金属貫通孔102の側壁に一層の金属材料を電気めっきしてもよい。 ここで、第一金属貫通孔102内に充填された金属材料又は第一金属貫通孔102の側壁にメッキされた金属材料層はW、Cu、TiAl、Al又は他の適切な金属材料であってもよい。
[0068] 該ステップを実行した後に対応する断面構造模式図はそれぞれ図3(2)に示すとおりである。
[0069] S203:第二チップ11にメモリアレイを形成する。
・・・(中略)・・・
[0072] 該ステップを実行した後に対応する断面構造の概略図は図3(3)に示すとおりである。
[0073] S204:第二チップ11の表面にメモリアレイに電気的に接続された複数の第二金属貫通孔112を形成する。
[0074] 該ステップは具体的には、プラズマエッチング等のドライエッチングの方法を利用して第二チップ11の表面に複数の第二金属貫通孔112を形成し、ここで、第二金属貫通孔112は金属相互接続線層及びコンタクトホールを介して第二チップ11と電気的に接続することができる。
[0075] 第二金属貫通孔112の導電機能を実現するために、一例として、第二金属貫通孔112の内部に金属材料を充填してもよく、別の例として、第二金属貫通孔112の側壁に一層の金属材料を電気めっきしてもよい。 ここで、第二金属貫通孔112内に充填された金属材料又は第二金属貫通孔112の側壁にメッキされた金属材料層はW、Cu、TiAl、Al又は他の適切な金属材料であってもよい。
・・・(中略)・・・
[0078] S205:第一チップ10と第二チップ11を金属貫通孔によって電気的に接続する。
[0079] 該ステップは具体的には以下のとおりである:第一チップ10の表面を反転させて第二チップ11に積層し、第一チップ10の表面に設置された第一金属貫通孔102及び第二チップ11の表面に設置された第二金属貫通孔112を当接させて接合し、さらに周辺回路101、第一金属貫通孔102、第二金属貫通孔112及びメモリアレイを電気的に接続させ、第一チップ10と第二チップ11との電気的接続を実現する。
[0080] なお、第1チップ10と第2チップ11との電気的接続を実現し、ワイヤボンディングを必要とせず、従って抵抗を低下させ、チップの電気的性能を効果的に向上させることができる。」
「図3(2)
[図:0001438049000003.jpg]
」
「図3(4)
[図:0001438049000004.jpg]
」
(イ)上記(ア)によれば、以下のことがいえる。
a 段落0061には、「第一チップ10上に周辺回路101を形成する。」と記載され、段落0062には、「周辺回路101はCMOS回路であってもよく」と記載され、段落0065には、「第一チップ10の表面に周辺回路101と電気的に接続される複数の第一金属貫通孔102を形成する。」と記載され、段落0066には、「該ステップは」「ドライエッチングの方法を利用して第一チップ10の表面に複数の第一金属貫通孔102を形成し」と記載され、段落0067には、「第一金属貫通孔102の内部に金属材料を充填してもよく」と記載されている。
また、図3(2)から、第一チップ10の表面にある層に第一金属貫通孔102を形成することが見て取れる。
したがって、引用文献2には、第一チップ10上にCMOS回路である周辺回路101を形成し、第一チップ10の表面にある層に、ドライエッチングの方法を利用して周辺回路101と電気的に接続された複数の第一金属貫通孔102を形成し、第一金属貫通孔102の内部には、金属材料が充填されることが記載されているといえる。
b 段落0069には、「第二チップ11にメモリアレイを形成する。」と記載され、段落0073には、「第二チップ11の表面にメモリアレイに電気的に接続された複数の第二金属貫通孔112を形成する。」と記載され、段落0074には、「該ステップは」「ドライエッチングの方法を利用して第二チップ11の表面に複数の第二金属貫通孔112を形成し」と記載され、段落0075には、「第二金属貫通孔112の内部に金属材料を充填してもよく」と記載されている。
また、図3(4)から、第二チップ11の表面にある層に第二金属貫通孔112を形成することが見て取れる。
したがって、引用文献2には、第二チップ11にメモリアレイを形成し、第二チップ11の表面にある層に、ドライエッチングの方法を利用してメモリアレイに電気的に接続された複数の第二金属貫通孔112を形成し、第二金属貫通孔112の内部には金属材料が充填されることが記載されているといえる。
c 段落0079には、「第一チップ10の表面に設置された第一金属貫通孔102及び第二チップ11の表面に設置された第二金属貫通孔112を当接させて接合し、さらに周辺回路101、第一金属貫通孔102、第二金属貫通孔112及びメモリアレイを電気的に接続させ、第一チップ10と第二チップ11との電気的接続を実現する。」と記載され、段落0080には、「第1チップ10と第2チップ11との電気的接続を実現し、ワイヤボンディングを必要とせず、従って抵抗を低下させ、チップの電気的性能を効果的に向上させることができる。」と記載されている。
したがって、引用文献2には、第一チップ10の表面に設置された第一金属貫通孔102及び第二チップ11の表面に設置された第二金属貫通孔112を当接させて接合して、周辺回路101、第一金属貫通孔102、第二金属貫通孔112及びメモリアレイを電気的に接続させ、第一チップ10と第二チップ11との電気的接続を実現することによって、ワイヤボンディングを必要とせず、従って抵抗を低下させ、チップの電気的性能を効果的に向上させることが記載されているといえる。
d 上記a~cによれば、引用文献2には、以下の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
<引用文献2記載事項>
「第一チップ10にCMOS回路を含む周辺回路101を形成し、第一チップ10の表面にある層に、ドライエッチングの方法を利用して周辺回路101と電気的に接続された複数の第一金属貫通孔102を形成し、第一金属貫通孔102の内部には、金属材料が充填され、
第二チップ11にメモリアレイを形成し、第二チップ11の表面にある層に、ドライエッチングの方法を利用してメモリアレイに電気的に接続された複数の第二金属貫通孔112を形成し、第二金属貫通孔112の内部には金属材料が充填され、
第一チップ10の表面に設置された第一金属貫通孔102及び第二チップ11の表面に設置された第二金属貫通孔112を当接させて接合して、周辺回路101、第一金属貫通孔102、第二金属貫通孔112及びメモリアレイを電気的に接続させ、第一チップ10と第二チップ11との電気的接続を実現することによって、
ワイヤボンディングを必要とせず、従って抵抗を低下させ、チップの電気的性能を効果的に向上させること。」
イ 引用文献3の記載
(ア)原査定で引用された引用文献3(中国特許出願公開第107658315号明細書)には、以下の記載がある。なお、引用文献3の記載は、当審の訳文で示す。
「[0078] 例示的な方法600は、図6に示すように、第1のシリコン基板上に周辺デバイスを形成する動作602で開始する。図3Aに示すように、第1のシリコン基板302は、いくつかの実施形態では複数のトランジスタデバイス304を含む周辺デバイスを形成するために最初に提供される。複数のトランジスタ素子304は、第1のシリコン基板302上に形成されている。いくつかの実施形態では、トランジスタデバイス304を形成することは、限定はしないが、フォトリソグラフィ、ドライ/ウェットエッチング、薄膜堆積、熱成長、注入、化学機械平坦化(CMP)、および/またはそれらの組合せを含む複数のステップを含む。いくつかの実施形態では、ドープ領域308も第1のシリコン基板302上に形成される。いくつかの実施形態では、分離領域36も第1のシリコン基板302上に形成される。
[0079] 例示的な方法600は、図6に示すように、周辺デバイス上に1つまたは複数の絶縁層および導体層を形成する動作604に続く。1つまたは複数の絶縁層および導体層は、周辺デバイスの電気信号を伝送することができる周辺相互接続層の一部である。図3Bに示すように、第1シリコン基板302上に第1絶縁層310が形成され、周辺デバイスを電気的に接続するコンタクト層308が形成される。図3Cに示すように、第1絶縁層310上に第2絶縁層316を形成する。・・・(中略)・・・
[0080] 例示的な方法600は、図6に示すように、周辺相互接続層の上部絶縁層および上部導体層を形成する動作606に続く。図3Dに示すように、第2絶縁層316上に第3絶縁層318を形成し、第3絶縁層318内に導体層320を形成する。これにより、周辺配線層322が形成される。・・・(中略)・・・
[0081] 図4A~図4Dは、本発明の一実施形態によるNANDメモリのアレイデバイスおよびアレイ相互接続層の製造ステップの概略図である。図7は、アレイデバイスおよびアレイ相互接続層を形成する例示的な方法700のフローチャートである。
[0082] 例示的な方法700は、図7に示すように、第2のシリコン基板上にドープ領域および分離領域を形成する動作702で開始する。図4Aに示すように、第2のシリコン基板402は、アレイデバイスを形成するために使用される。・・・(中略)・・・
[0083] 例示的な方法700は、図7に示すように、第2のシリコン基板上に絶縁層の複数の対を形成する動作704に続く。図4Bに示すように、第2のシリコン基板402上に複数の絶縁層対410、412を形成する。いくつかの実施形態では、複数の絶縁層対が階層層スタック408を形成する。いくつかの実施形態では、絶縁層対は、窒化シリコン層410および酸化シリコン層412を含む。いくつかの実施形態では、階層スタック408は、異なる材料から作製され、異なる厚さを有する絶縁層のより多くの対を有する。・・・(中略)・・・
[0084] 例示的な方法700は、図7に示すように、第2のシリコン基板上に複数のアレイデバイスのNANDストリングを形成する動作706に続く。図4Cに示すように、第2のシリコン基板402上に複数のNANDストリング418を形成する。いくつかの実施形態では、複数の導体/絶縁体対が階層スタック408内に形成されるように、階層スタック414の絶縁体対内の絶縁体410を導体層416で置き換えることができる。・・・(中略)・・・
[0089] 例示的な方法700は、図7に示すように、複数のNANDストリング上にアレイ相互接続層を形成する動作708に続く。図4Dに示すように、アレイ相互接続層438は、複数のNANDストリング418上に形成される。アレイ相互接続層は、NANDストリングと他の回路との間で電気信号を伝達するために使用される。いくつかの実施形態では、アレイ相互接続層438を形成することは、絶縁層434を形成し、次いで、絶縁層434内にあり、NANDストリング418と接触している複数のビット線コンタクト432を形成することを含む。・・・(中略)・・・
[0092] いくつかの実施形態では、アレイ相互接続層438を形成することは、上部導電層442および上部絶縁層436を形成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、上部導電層442を形成する導体材料は、タングステン、コバルト、銅、アルミニウム、ドープされたシリコン、シリサイド、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、上部絶縁層436を形成する絶縁材料は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
[0093] 図5A~図5Cは、本発明の一実施形態による、上述のアレイデバイスと周辺デバイスとを組み合わせるステップの概略図である。図8は、上述のアレイデバイスと周辺デバイスとを組み合わせる例示的な方法800のフローチャートである。
[0094] 例示的な方法800は、図8に示すように、第2のシリコン基板上のアレイデバイスを上下反転させて、アレイ相互接続層が第2のシリコン基板の下に位置するようにし、アレイ相互接続層を周辺相互接続層と位置合わせするステップ802で開始する。図5Aに示すように、アレイ相互接続層438は、第2のシリコン基板402の下に配置される。いくつかの実施形態では、アレイ相互接続層438および周辺相互接続層322は、アレイ相互接続層438の導体層442および周辺相互接続層322の導体層320を位置合わせすることによって位置合わせされる。したがって、導体層442および320は、アレイデバイスが周辺デバイスと組み合わされたときに接触する。
[0095] 例示的な方法800は、図8に示すように、アレイ相互接続層と周辺相互接続層とを接合するステップ804に続く。図5Bに示すように、アレイ相互接続層438および周辺相互接続層322は接合され、接合界面503を形成する。いくつかの実施形態では、図5Aに示すように、プロセス502を使用して、2つの相互接続層が接合される前または接合されている間に、アレイ相互接続層と周辺相互接続層との間の接合を強化することができる。いくつかの実施形態では、絶縁層436は酸化シリコン層であり、絶縁層318は窒化シリコン層である。いくつかの実施形態では、絶縁層436は窒化シリコン層であり、絶縁層318は酸化シリコン層である。いくつかの実施形態では、処理プロセス502は、2つの絶縁層436と318との間に形成される化学結合を強化するために、アレイ相互接続層の表面および周辺相互接続層の表面を処理するプラズマ処理プロセスを含む。いくつかの実施形態では、処理プロセス502は、2つの絶縁層436と318との間に形成される化学結合を強化するために、アレイ相互接続層および周辺相互接続層の表面を処理する湿式化学処理プロセスを含む。
[0096] いくつかの実施形態では、処理プロセス502は、接合プロセスで行われる熱処理プロセスである。いくつかの実施形態では、熱処理の操作温度は250℃~600℃である。いくつかの実施形態では、熱処理プロセスは、導体層442と320との間の相互拡散を引き起こす。これにより、導体442と導体320とが接合処理後に混合される。いくつかの実施形態では、導体層442および320は両方とも銅から作製される。」
「図3D
[図:0001438049000005.jpg]
」
「図4D
[図:0001438049000006.jpg]
」
「図5B
[図:0001438049000007.jpg]
」
(イ)上記(ア)によれば、以下のことがいえる。
a 段落0078には、「第1のシリコン基板302は」「複数のトランジスタデバイス304を含む周辺デバイスを形成するために最初に提供される。複数のトランジスタ素子304は、第1のシリコン基板302上に形成されている。」と記載され、段落0079には、「周辺デバイス上に1つまたは複数の絶縁層および導体層を形成する」及び「1つまたは複数の絶縁層および導体層は、」「周辺相互接続層の一部である。」と記載され、段落0080には、「周辺相互接続層の上部絶縁層および上部導体層を形成する動作606に続く。図3Dに示すように、第2絶縁層316上に第3絶縁層318を形成し、第3絶縁層318内に導体層320を形成する。これにより、周辺配線層322が形成される。」と記載されている。
また、図3Dから、周辺相互接続層322は、上部に露出する第3絶縁層318と、上部に露出し、第3絶縁層318によって分離された導体層320とからなる層を有することが見て取れる。
したがって、第1のシリコン基板302上に、周辺デバイスに含まれるトランジスタデバイス304を形成し、トランジスタデバイス304上に周辺相互接続層322を形成し、周辺相互接続層322は、上部に露出する第3絶縁層318と、上部に露出し、第3絶縁層318によって分離された導体層320とからなる層を有することが記載されているといえる。
b 段落0082には、「第2のシリコン基板402は、アレイデバイスを形成するために使用される。」と記載され、段落0084には、「第2のシリコン基板上に複数のアレイデバイスのNANDストリングを形成する動作706に続く。」、「第2のシリコン基板402上に複数のNANDストリング418を形成する。」と記載され、段落0089には、「図4Dに示すように、アレイ相互接続層438は、複数のNANDストリング418上に形成される。」と記載され、段落0092には、「アレイ相互接続層438を形成することは、上部導電層442および上部絶縁層436を形成することをさらに含む。」と記載されている。
また、図4Dから、アレイ相互接続層438は、上部に露出する上部絶縁層436と、上部に露出し、上部絶縁層436によって分離された上部導電層442とからなる層を有することが見て取れる。
したがって、引用文献3には、第2のシリコン基板402上に、アレイデバイスを構成するNANDストリング418を形成し、NANDストリング418上にアレイ相互接続層438を形成し、アレイ相互接続層438は、上部に露出する上部絶縁層436と、上部に露出し、上部絶縁層436によって分離された上部導電層442とからなる層を有することが記載されているといえる。
c 段落0093には、「図5A~図5Cは、本発明の一実施形態による、上述のアレイデバイスと周辺デバイスとを組み合わせるステップの概略図である。」と記載され、段落0095には、「図5Bに示すように、アレイ相互接続層438および周辺相互接続層322は接合され、接合界面503を形成する。」、「絶縁層436と318との間に形成される化学結合を強化する」と記載され、段落0096には、「導体442と導体320とが接合処理後に混合される。」と記載されている。
また、図5Bから、絶縁層436と絶縁層318との間、導体442と導体320との間に接合界面503が形成されることが見て取れる。
したがって、引用文献3には、絶縁層436と絶縁層318とを接合し、導体442と導体320とを接合して、アレイデバイスと周辺デバイスとが組み合わされることが記載されているといえる。
d 上記cの「絶縁層318」及び「導体320」は、上記aの「第3絶縁層318」及び「導体層320」に対応し、上記cの「絶縁層436」及び「導体442」は、上記bの「上部絶縁層436」及び「上部導電層442」に対応すると解される。
e 上記a~dによれば、引用文献3には、以下の事項(以下、「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。
<引用文献3記載事項>
「第1のシリコン基板302上に、周辺デバイスに含まれるトランジスタデバイス304を形成し、トランジスタデバイス304上に周辺相互接続層322を形成し、周辺相互接続層322は、上部に露出する第3絶縁層318と、上部に露出し、第3絶縁層318によって分離された導体層320とからなる層を有し、
第2のシリコン基板402上に、アレイデバイスを構成するNANDストリング418を形成し、NANDストリング418上にアレイ相互接続層438を形成し、アレイ相互接続層438は、上部に露出する上部絶縁層436と、上部に露出し、上部絶縁層436によって分離された上部導電層442とからなる層を有し、
上部絶縁層436と第3絶縁層318とを接合し、上部導電層442と導体層320とを接合して、アレイデバイスと周辺デバイスとを組み合わせること。」
ウ 周知技術
(ア)引用文献2記載事項について
a 引用文献2記載事項の「第一チップ10」及び「第二チップ11」は、それぞれ、「CMOS回路を含む周辺回路101」及び「メモリセルアレイ」が形成される構造体である。また、CMOS回路又はメモリセルが形成される「チップ」が半導体からなることは、本願優先日における技術常識である。
したがって、引用文献2記載事項の「第一チップ10」及び「第二チップ11」は、それぞれ、第1の半導体構造及び第2の半導体構造であるといえる。
b 引用文献2記載事項の「第一金属貫通孔102」及び「第二金属貫通孔112」は、それぞれ「第一チップ10」及び「第二チップ11」に形成され、「金属材料が充填され」るものであり、「当接させて接合し」て、「第一チップ10と第二チップ11との電気的接続を実現する」ものであるから、第1の接合接点及び第2の接合接点であるといえる。
c 上記bによれば、引用文献2記載事項の「金属が充填され」た「第一金属貫通孔102」は、第1の接合接点であるといえるところ、引用文献2記載事項の「第一チップ10の表面にある層」は、第1の接合接点である「金属が充填され」た「第一金属貫通孔102」が設けられる層であるから、「金属が充填され」た「第一金属貫通孔102」を分離するものであるといえ、絶縁性を有する誘電体からなることは明らかである。
同様に、引用文献2記載事項の「金属が充填され」た「第二金属貫通孔112」は、第2の接合接点であるといえるところ、引用文献2記載事項の「第二チップ11の表面にある層」は、第2の接合接点である「金属が充填され」た「第二金属貫通孔112」が設けられる層であるから、「金属が充填され」た「第二金属貫通孔112」を分離するものであるといえ、絶縁性を有する誘電体からなることは明らかである。
よって、引用文献2記載事項の「第一チップ10の表面にある層」及び「第二チップ11の表面にある層」は、第1の接合接点を分離する第1の誘電体、及び、第2の接合接点を分離する第2の誘電体であるといえる。
d 引用文献2記載事項において、接合接点である「第一金属貫通孔102」及び「第二金属貫通孔112」を「当接させて接合」する際に、接合接点を分離する誘電体である「第一チップ10の表面にある層」及び「第二チップ11の表面にある層」も当接させて接合することは、技術常識から明らかである。
よって、引用文献2記載事項において、「第一チップ10の表面にある層」は、「第二チップ11の表面にある層」と接合しているといえる。
e 上記b及びdを踏まえると、引用文献2記載事項の「第一金属貫通孔102」及び「第一チップ10の表面にある層」は、第1の接合層であり、「第二金属貫通孔112」及び「第二チップ11の表面にある層」は、第2の接合層であるいえる。
f 引用文献2記載事項において、「第一チップ10の表面にある層に」「第一金属貫通孔102を形成し」、「第二チップ11の表面にある層に」「第二金属貫通孔112を形成し」、「第一チップ10の表面に設置された第一金属貫通孔102及び第二チップ11の表面に設置された第二金属貫通孔112を当接させて接合して」、「第一チップ10と第二チップ11との電気的接続を実現する」ことは、上記a~eによれば、「第1の半導体構造に、第1の誘電体によって分離された第1の接合接点を含む第1の接合層を形成し、第2の半導体構造に、第2の誘電体によって分離された第2の接合接点を含む第2の接合層を形成し、第1の接合接点を第2の接合接点と接合し、第1の誘電体を、第2の誘電体に接合して、第1の半導体構造と第2の半導体構造とを電気的に接続すること」であるといえる。
(イ)引用文献3記載事項について
a 引用文献3記載事項の「第1のシリコン基板302上に、周辺デバイスに含まれるトランジスタデバイス304を形成し、トランジスタデバイス304上に周辺相互接続層322を形成し」た構造と、「第2のシリコン基板402上に、アレイデバイスを構成するNANDストリング230を形成し、NANDストリング230上にアレイ相互接続層438を形成し」た構造とは、共に半導体基板を含む構造体であるから、それぞれ、第1の半導体構造及び第2の半導体構造であるといえる。
b また、引用文献3記載事項の「上部導電層442」及び「導体層320」は、互いに「接合」され、それぞれ「周辺相互接続層322」及び「アレイ相互接続層438」が有するものであるから、第1の接合接点及び第2の接合接点であるといえる。
c 引用文献3記載事項において「第3絶縁層318」及び「上部絶縁層436」は、それぞれ「周辺相互接続層322」及び「アレイ相互接続層438」が有するものであり、それぞれ「導体層320」及び「上部導電層442」を分離するものである。そして、絶縁層が誘電体からなることは、本願優先日における技術常識であるから、上記bを踏まえると、引用文献3記載事項の「第3絶縁層318」及び「上部絶縁層436」は、第1の接合接点を分離する第1の誘電体、及び、第2の接合接点を分離する第2の誘電体であるといえる。
d 引用文献3記載事項においては、「上部絶縁層436と第3絶縁層318とを接合し、上部導電層442と導体層320とを接合」するから、上記b及びcを踏まえると、引用文献3記載事項の「第3絶縁層318と」「導体層320とからなる層」は、第1の接合層であり、引用文献3記載事項の「上部絶縁層436と」「上部導電層442とからなる層」は、第2の接合層であるといえる。
e 引用文献3記載事項において「周辺相互接続層322」の「導体層320」と、「アレイ相互接続層438」の「上部導電層442」とが接合するから、「第1のシリコン基板302上に、周辺デバイスに含まれるトランジスタデバイス304を形成し、トランジスタデバイス304上に周辺相互接続層322を形成し」た構造と、「第2のシリコン基板402上に、アレイデバイスを構成するNANDストリング230を形成し、NANDストリング230上にアレイ相互接続層438を形成し」た構造とは、電気的に接続するといえる。
f 引用文献3記載事項において、「第1のシリコン基板302上に、周辺デバイスに含まれるトランジスタデバイス304を形成し、トランジスタデバイス304上に周辺相互接続層322を形成し」た構造が、「第3絶縁層318と」「導体層320とからなる層」を有し、「第2のシリコン基板402上に、アレイデバイスを構成するNANDストリング418を形成し、NANDストリング418上にアレイ相互接続層438を形成し」た構造が、「上部絶縁層436と」「上部導電層442とからなる層」を有し、「上部絶縁層436と第3絶縁層318とを接合し、上部導電層442と導体層320とを接合」することは、上記a~eによれば、「第1の半導体構造に、第1の誘電体によって分離された第1の接合接点を含む第1の接合層を形成し、第2の半導体構造に、第2の誘電体によって分離された第2の接合接点を含む第2の接合層を形成し、第1の接合接点を第2の接合接点と接合し、第1の誘電体を、第2の誘電体に接合して、第1の半導体構造と第2の半導体構造とを電気的に接続すること」であるといえる。
(ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、以下の事項は、本願優先日における周知技術であるといえる。
「第1の半導体構造に、第1の誘電体によって分離された第1の接合接点を含む第1の接合層を形成し、第2の半導体構造に、第2の誘電体によって分離された第2の接合接点を含む第2の接合層を形成し、第1の接合接点を第2の接合接点と接合し、第1の誘電体を、第2の誘電体に接合して、第1の半導体構造と第2の半導体構造とを電気的に接続すること。」
2 対比、判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「CPU回路PU1」は、本願発明の「プロセッサ」に相当する。
イ SRAMからなるメモリが、SRAMセルのアレイとして構成されることは本願優先日における技術常識であるから、引用発明の「SRAMから成るメモリMM3」は、本願発明の「スタティック・ランダムアクセス・メモリ(SRAM)セルのアレイ」に相当する。
ウ パッシベーション膜が絶縁性を有する誘電体からなることは技術常識から明らかであるから、本願発明の「第1の誘電体」と、引用発明の「ロジック回路チップ4」に形成される「ファイナルパッシベーション膜として」の「表面保護膜4h」とは、第1の誘電体である点で共通する。
エ 引用発明は、「ロジックチップ4の表面電極4apと、周辺回路チップ3の表面電極3ap2とが、電気的に接続される」ものであるから、引用発明の「表面電極4ap」は、電気的に接続される部分であり、接点であるといえる。
したがって、本願発明の「第1の接合接点」と、引用発明の「表面電極4ap」とは、第1の接点である点で共通する。
オ 引用発明の「表面電極4apの表面を含めて表面4a上には、ファイナルパッシベーション膜として表面保護膜4hが形成され、表面保護膜4hに形成されたパッド開口4iの底部に、表面電極4apが露出」することにより、表面保護膜4hによって表面電極4apが分離されるといえるから、引用発明は、「表面保護膜4h」によって分離された「表面電極4ap」を含むといえる。
したがって、上記ウ及びエを踏まえると、本願発明の「第1の誘電体によって分離された第1の接合接点を含む」ことと、引用発明の「表面電極4apの表面を含めて表面4a上には、ファイナルパッシベーション膜として表面保護膜4hが形成され、表面保護膜4hに形成されたパッド開口4iの底部に、表面電極4apが露出」することとは、第1の誘電体によって分離された、第1の接点を含むことである点で共通する。
カ (ア)引用発明の「ロジックチップ4」は、「CPU回路PU1、及び、SRAMから成るメモリMM3を有する半導体チップであって、表面4a」「を有し、表面4aには表面電極4apが形成されると共に、表面電極4apの表面を含めて表面4a上には、ファイナルパッシベーション膜として表面保護膜4hが形成され、表面保護膜4hに形成されたパッド開口4iの底部に、表面電極4apが露出」するものである。
(イ)引用発明の「ロジックチップ4」は、「半導体チップであ」るから、第1の半導体構造であるといえる。
(ウ)上記(ア)及び(イ)、並びに上記ア~オによれば、本願発明の「プロセッサと、スタティック・ランダムアクセス・メモリ(SRAM)セルのアレイと、第1の誘電体によって分離された第1の接合接点を含む第1の接合層とを有する第1の半導体構造」と、引用発明の「ロジックチップ4」とは、プロセッサと、スタティック・ランダムアクセス・メモリ(SRAM)セルのアレイと、第1の誘電体によって分離された接点とを有する半導体構造である点で共通する。
キ DRAMから成るメモリがDRAMセルのアレイから構成されることは、本願優先日における技術常識であるから、引用発明の「DRAMから成るメモリMM2」は、本願発明の「ダイナミック・ランダムアクセス・メモリ(DRAM)セルのアレイ」に相当する。
ク 上記ウにおける検討と同様の理由により、本願発明の「第2の誘電体」と、引用発明の「周辺回路チップ3」の「ファイナルパッシベーション膜として」の「表面保護膜3h」とは、第2の誘電体である点で共通する。
ケ 上記エにおける検討と同様の理由により、引用発明の「表面電極3ap2」は、接点であるといえる。
したがって、本願発明の「第2の接合接点」と、引用発明の「表面電極3ap2」とは、第2の接点である点で共通する。
コ 引用発明の「表面電極3apのうち、」「ロジックチップ4の表面電極4apと電気的に接続されるものを、表面電極3ap2とし、」「表面電極3apの表面を含めて表面3a上には、ファイナルパッシベーション膜として表面保護膜3hが形成され、表面保護膜3hに形成されたパッド開口3iの底部に、表面電極3apが露出」することにより、表面保護膜3hによって表面電極3ap2が分離されるといえるから、引用発明は、「表面保護膜3h」によって分離された「表面電極3ap2」を含むといえる。
したがって、上記ク及びケを踏まえると、本願発明の「第2の誘電体によって分離された第2の接合接点を含む」ことと、引用発明の「表面電極3apのうち、」「ロジックチップ4の表面電極4apと電気的に接続されるものを、表面電極3ap2とし、」「表面電極3apの表面を含めて表面3a上には、ファイナルパッシベーション膜として表面保護膜3hが形成され、表面保護膜3hに形成されたパッド開口3iの底部に、表面電極3apが露出」することは、第2の誘電体によって分離された、第2の接点を含むことである点で共通する。
サ (ア)引用発明の「周辺回路チップ3」は、「DRAMから成るメモリMM2を有する半導体チップであって、表面3a」「を有し、表面3aには、表面電極3apが形成され、周辺回路チップ3の表面電極3apのうち、」「ロジックチップ4の表面電極4apと電気的に接続されるものを、表面電極3ap2とし、表面電極3apの表面を含めて表面3a上には、ファイナルパッシベーション膜として表面保護膜3hが形成され、表面保護膜3hに形成されたパッド開口3iの底部に、表面電極3apが露出」するものである。
(イ)引用発明の「周辺回路チップ3」は、「半導体チップであ」るから、第2の半導体構造であるといえる。
(ウ)上記(ア)及び(イ)、並びに上記キ~コによれば、本願発明の「ダイナミック・ランダムアクセス・メモリ(DRAM)セルのアレイと、第2の誘電体によって分離された第2の接合接点を含む第2の接合層とを有する第2の半導体構造」と、引用発明の「周辺回路チップ3」とは、ダイナミック・ランダムアクセス・メモリ(DRAM)セルのアレイと、第2の誘電体によって分離された接点とを有する半導体構造である点で共通する。
シ 上記カ及びサを踏まえると、本願発明の「半導体デバイス」と、引用発明の「半導体装置1」とは、第1の半導体構造と第2の半導体構造とを備える半導体デバイスである点で共通する。
ス 本願発明は、「第1の接合接点」と「第2の接合接点」とが「接合」するものである。これに対し、引用発明では、「ロジックチップ4の表面電極4apと、周辺回路チップ3の表面電極3ap2とが」「突起電極9を介して」「電気的に接続される」から、引用発明は、「表面電極4ap」と「表面電極3ap2」とが接合するものではない。したがって、引用発明の「表面電極4ap」及び「表面電極3ap2」は、接点ではあるものの、接合接点であるとはいえない。
セ 上記ア~スによれば、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。
<一致点>
「半導体デバイスであって、
プロセッサと、スタティック・ランダムアクセス・メモリ(SRAM)セルのアレイと、第1の誘電体によって分離された第1の接点とを有する第1の半導体構造と、
ダイナミック・ランダムアクセス・メモリ(DRAM)セルのアレイと、第2の誘電体によって分離された第2の接点とを有する第2の半導体構造と、を備える、
半導体デバイス。」
<相違点1>
本願発明が「第1の誘電体によって分離された第1の接合接点を含む第1の接合層」を有するのに対し、引用発明の「表面電極4ap」が、接点ではあるものの、接合接点ではなく、「表面電極4ap」及び「表面保護膜4h」が第1の接合層を構成しない点。
<相違点2>
本願発明が「第2の誘電体によって分離された第2の接合接点を含む第2の接合層」を有するのに対し、引用発明の「表面電極3ap2」が、接点ではあるものの、接合接点ではなく、「表面電極3ap2」及び「表面保護膜2h」が第1の接合層を構成しない点。
<相違点3>
本願発明が「前記第1の接合接点は、前記第2の接合接点と接合し、前記第1の誘電体は、前記第2の誘電体と接合している」のに対し、引用発明は、「表面電極4ap」が「表面電極3ap2」と接合し、「表面保護膜4h」が「表面保護膜3h」と接合するものではない点。
(2)相違点についての検討
相違点1~3は、相互に関連するものであるから、まとめて検討する。
引用発明は、「ロジックチップ4は、周辺回路チップ3を介して配線基板2と電気的に接続されている半導体装置1」であり、「ロジックチップ4の表面電極4apと、周辺回路チップ3の表面電極3ap2とが、電気的に接続される」から、「ロジックチップ4」と「周辺回路チップ3」とは電気的に接続されているといえる。
また、上記1(2)ウ(ウ)で挙げたとおり、「第1の半導体構造に、第1の誘電体によって分離された第1の接合接点を含む第1の接合層を形成し、第2の半導体構造に、第2の誘電体によって分離された第2の接合接点を含む第2の接合層を形成し、第1の接合接点を第2の接合接点と接合し、第1の誘電体を、第2の誘電体に接合して、第1の半導体構造と第2の半導体構造とを電気的に接続すること。」は、周知技術である。
そして、引用発明と上記周知技術とは、2つの半導体構造を電気的に接続するという共通の作用・機能を有するものであるから、引用発明において上記周知技術を適用し、「表面電極4ap」及び「表面保護膜4h」に替えて、「第1の誘電体によって分離された第1の接合接点を含む第1の接合層を形成」し、「表面電極3ap2」及び「表面保護膜3h」に替えて、「第2の誘電体によって分離された第2の接合接点を含む第2の接合層を形成」し、「第1の接合接点を第2の接合接点と接合し、第1の誘電体を、第2の誘電体に接合して、第1の半導体構造と第2の半導体構造とを電気的に接続」したものとして、相違点1~3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(3)請求人の主張について
ア 請求人の主張
(ア)請求人は、令和7年5月13日提出の審判請求書において、本願発明の「基板であって、前記プロセッサ及び前記SRAMセルのアレイが前記基板上にあり、前記プロセッサが前記SRAMセルのアレイの外側にある基板をさらに有する」第1の半導体構造を備えるという特徴(以下、「特徴1」という。)は、引用文献1~3のいずれにも記載されていない旨主張(以下、「主張1」という。)している。
(イ)また、請求人は、令和6年12月26日提出の意見書において、本願発明の「第1の半導体構造」が「第1の接合接点及び前記第1の接合接点を分離する第1の誘電体層を含む第1の接合層」を備え、「第2の半導体構造」が「第2の接合接点及び前記第2の接合接点を分離する第2の誘電体層を含む第2の接合層」を備えるという特徴(以下、「特徴2」という。)は、引用文献1には記載されていない旨主張(以下、「主張2」という。)している。
イ 請求人の主張についての検討
(ア)主張1について
上記第2のとおり、本件補正は却下され、本願発明は特徴1を有さないものとなったから、主張1を採用することはできない。
(イ)主張2について
上記1(2)ウ(ウ)において検討したとおり、特徴2は周知技術であり、また、上記(2)において検討したとおり、引用発明に上記周知技術を適用することは、当業者が容易になし得たことであるから、主張2を採用することはできない。
3 小括
上記2のとおり、本願発明は、引用発明と、引用文献2及び3に記載された周知技術とに基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-007320