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特許拒絶査定不服審判

2025-002070

パワーデバイス保護装置

審判番号
2025-002070
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2023-552371
請求日
2025年02月10日
審決日
2025年12月08日
公報発行日
2026年05月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
  • 【請求人代理人】和田 宣喜
  • 【請求人代理人】市川 英彦
審判長/審判官
  • 審判長 土居 仁士
  • 審判官 丸山 高政
  • 審判官 衣鳩 文彦
分類
P18 .113-Z (H03K) / P18 .121-Z (H03K) / P18 .575-Z (H03K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項、特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

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特願2023-552371「パワーデバイス保護装置」拒絶査定不服審判事件〔令和4年10月27日国際公開、WO2022/225223、令和6年2月27日国内公表、特表2024-508492〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2022年(令和4年)4月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2021年4月22日(KR)大韓民国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 6年 6月24日付け 拒絶理由通知書 9月26日 意見書・手続補正書 10月18日付け 拒絶査定 令和 7年 2月10日 審判請求書・手続補正書 4月16日 前置報告書 以下では、令和6年10月18日付け拒絶査定を「原査定」といい、令和7年2月10日の手続補正書による補正を「本件補正」という。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正前及び本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載を、それぞれ以下の(1)及び(2)に示す。 (1)本件補正前の請求項1の記載 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1は、令和6年9月26日の手続補正書により補正された請求項1であり、その記載は次のとおりである。 【請求項1】 パワーデバイスに接続され、前記パワーデバイスの過電流の有無を判断する比較器と、 前記過電流の有無を判断する過電流基準値をソフトウェア的に変化させるように前記比較器を制御する制御部と、 を含み、 前記比較器に接続され、前記パワーデバイスに所定の電圧以上の電圧がかかると、該比較器に流れる電流を遮断するように形成されるダイオードと、 該ダイオードと前記比較器との間に配置され、前記パワーデバイスがオフ状態からオン状態に切り替えられる際に、前記比較器で過電流が検出されないように防止するコンデンサと、 をさらに含み、 前記制御部は、 前記パワーデバイスの温度情報を受信し、 前記温度情報に基づいて、前記過電流基準値を変化させると共に、 前記パワーデバイスの特性に基づいて、前記温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせることを特徴とするパワーデバイス保護装置。 (2)本件補正後の請求項1の記載 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。 【請求項1】 パワーデバイスに接続され、前記パワーデバイスの過電流の有無を判断する比較器と、 前記過電流の有無を判断する過電流基準値をソフトウェア的に変化させるように前記比較器を制御する制御部と、 前記比較器に接続され、前記パワーデバイスに所定の電圧以上の電圧がかかると、該比較器に流れる電流を遮断するように形成されるダイオードと、 該ダイオードと前記比較器との間に配置され、前記パワーデバイスがオフ状態からオン状態に切り替えられる際に、前記比較器で過電流が検出されないように防止するコンデンサと、 前記比較器と前記ダイオードとの間に接続され、前記パワーデバイスがオン状態のときに前記ダイオードをオンにするバイアス電流源と、 該バイアス電流源を制御する電流源制御モジュールと、 前記比較器と前記コンデンサとの間に接続され、前記パワーデバイスがオフ状態になる際に、前記コンデンサにより電流が検出されないように、電流検出ラインの電圧を低くするトランジスタと、 を含み、 前記制御部は、 前記パワーデバイスの温度情報を受信し、 前記温度情報に基づいて、前記過電流基準値を変化させると共に、 前記パワーデバイスの特性に基づいて、前記温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせることを特徴とするパワーデバイス保護装置。 2 本件補正の目的 本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「パワーデバイス保護装置」について、「バイアス電流源」、「電流源制御モジュール」及び「トランジスタ」を含むとの限定を付加するものであって、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものに該当する。 3 本件補正の適否 本件補正の目的が限定的減縮に該当するので、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項に規定にする要件(いわゆる独立特許要件)に適合するかについて、以下、検討する。 (1)本件補正発明の認定 本件補正発明は、前記1(2)に示した請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 なお、後の参照の便宜のため、本件補正後の請求項1の記載にA~Jの記号を付して分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。 【請求項1】 A パワーデバイスに接続され、前記パワーデバイスの過電流の有無を判断する比較器と、 B 前記過電流の有無を判断する過電流基準値をソフトウェア的に変化させるように前記比較器を制御する制御部と、 C 前記比較器に接続され、前記パワーデバイスに所定の電圧以上の電圧がかかると、該比較器に流れる電流を遮断するように形成されるダイオードと、 D 該ダイオードと前記比較器との間に配置され、前記パワーデバイスがオフ状態からオン状態に切り替えられる際に、前記比較器で過電流が検出されないように防止するコンデンサと、 E 前記比較器と前記ダイオードとの間に接続され、前記パワーデバイスがオン状態のときに前記ダイオードをオンにするバイアス電流源と、 F 該バイアス電流源を制御する電流源制御モジュールと、 G 前記比較器と前記コンデンサとの間に接続され、前記パワーデバイスがオフ状態になる際に、前記コンデンサにより電流が検出されないように、電流検出ラインの電圧を低くするトランジスタと、 H を含み、 I 前記制御部は、 I1 前記パワーデバイスの温度情報を受信し、 I2 前記温度情報に基づいて、前記過電流基準値を変化させると共に、 I3 前記パワーデバイスの特性に基づいて、前記温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせる J ことを特徴とするパワーデバイス保護装置。 (2)引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された米国特許出願公開第2018/0097515号明細書(以下「引用文献」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付した。 ア 「TECHNICAL FIELD [0001] The present invention relates generally to gate drivers, and, in particular embodiments, to a system and method for an overcurrent state detector.」 (当審訳: 技術分野 [0001] 本発明は、概してゲートドライバに関し、特定の実施形態においては、過電流状態検出器のためのシステム及び方法に関する。) イ 「[0003] Detecting overcurrent conditions allows low-voltage devices, such as integrated circuit (IC) devices, to protect a power switch from the overcurrent conditions. One technique for detecting overcurrent conditions involves directly measuring the output current of the switching network, such as with a half-bridge. Another technique for detecting overcurrent conditions involves implementing fast desaturation or saturation detection in the switch. During a current overload, the collector-emitter voltage VCE of a BJT or IGBT may increase rapidly while the switch exits saturation. A BJT or IGBT exiting saturation may sometimes be referred to as being in “desaturation.” Likewise, the drain-source voltage VDS of a MOSFET may increase rapidly while the switch exits the linear region of operation. A MOSFET exiting the linear region may sometimes be referred to as being in “saturation.” Measuring VCE or VDS is an indirect and fast way to determine whether the switch has entered desaturation and a current overload. However, semiconductor switches for power generators and supplies may operate at high voltages, and so VCE or VDS may be too large to directly measure with an IC.」 (当審訳: [0003] 過電流状態を検出することで、集積回路(IC)デバイスなどの低電圧デバイスが、パワースイッチを過電流状態から保護できる。過電流状態を検出する一つの手法は、ハーフブリッジなどによるスイッチングネットワークの出力電流を直接測定することを含む。過電流状態を検出する別の手法は、スイッチにおける非飽和又は飽和の高速な検出を実施することである。電流過負荷時、BJT又はIGBTのコレクタ・エミッタ間電圧VCEは、スイッチが飽和から脱する際に急激に増加するかもしれない。飽和から脱するBJT又はIGBTは、「非飽和状態」にあると表現されてもよい。同様に、MOSFETのドレイン・ソース間電圧VDSは、スイッチが線形動作領域から脱する際に急激に増加するかもしれない。線形領域から脱するMOSFETは「飽和状態」にあると表現されてもよい。VCE又はVDSを測定することは、スイッチが非飽和状態に入り過電流状態にあるかを間接的かつ高速に判断する方法である。しかしながら、発電機及び電源装置向けの半導体スイッチは高電圧で動作するかもしれず、VCE又はVDSは、ICで直接測定するには大きすぎるかもしれない。) ウ 「[0011] Techniques for limiting overpower conditions in a semiconductor power switch are provided in accordance with various embodiments. As used herein, the term (de)saturation, when used without reference to any particular type of switch, refers to either a bipolar transistor (such as a BJT or IGBT) being in desaturation or a field-effect transistor (such as a MOSFET) being in saturation. Overpower conditions of a power switch may be detected by determining, among other parameters, an overcurrent condition in the power switch. In particular, an IC is configured to indirectly measure the collector-emitter voltage VCE or the drain-source voltage VDS of a power switch. The collector-emitter voltage VCE or the drain-source voltage VDS of the power switch is indirectly measured because it may undergo large voltage swings, such as up to about 1000 V. The ratio of the collector-emitter voltage VCE to the collector current IC of an IGBT drifts with the temperature of the junction. This drift may lead to inaccurate (de)saturation detection, causing false positives and resulting in inverter instability. Further, inaccurate (de)saturation detection may cause false negatives, resulting in the IGBT remaining on during an overcurrent state, which may destroy the IGBT through electrical overstress, or lower the reliability of the IGBT. This drift may increase the failure rate of switches, lowering reliability due to electrical or thermal stresses. Various embodiments integrate temperature sensor(s) with a driver system for a semiconductor power switch, and vary a threshold of VCE or VDS that indicates switch (de)saturation (sometimes called the “(de)saturation threshold”). The (de)saturation threshold is varied according to the measured temperature.」 (当審訳: [0011] 半導体パワースイッチにおける過電力状態を制限する技術が、様々な実施形態に従って提供される。本明細書において、(非)飽和という用語は、特定種類のスイッチを考慮せずに使用されるとき、バイポーラトランジスタ(BJTやIGBTなど)が非飽和状態にあること、又は、電界効果トランジスタ(MOSFETなど)が飽和状態にあることを指す。パワースイッチの過電力状態は、いくつかあるパラメータの中でも特に、パワースイッチでの過電流状態を判定することで検出してもよい。具体的には、ICは、パワースイッチのコレクタ・エミッタ間電圧VCE又はドレイン・ソース間電圧VDSを間接的に測定するように構成される。パワースイッチのコレクタ・エミッタ間電圧VCE又はドレイン・ソース間電圧VDSが間接的に測定されるのは、これらが最大約1000Vに達するような大きな電圧変動を受けるかもしれないからである。IGBTのコレクタ・エミッタ間電圧VCEのコレクタ電流ICに対する比率は、接合部の温度とともにドリフトする。このドリフトは、不正確な(非)飽和検出を引き起こし、誤検出を招いてインバータの不安定化をもたらすかもしれない。さらに、不正確な(非)飽和検出は、検出漏れを引き起こすかもしれず、過電流状態でもIGBTがオン状態を維持する結果となり、これにより電気的過負荷でIGBTが破壊されるか、IGBTの信頼性が低下するかもしれない。このドリフトは、スイッチの故障率を増加させ、電気的又は熱的ストレスによる信頼性低下を招く。様々な実施形態は、半導体パワースイッチ用のドライバシステムに温度センサを統合し、スイッチの(非)飽和状態を示すVCE又はVDSのしきい値(「(非)飽和しきい値」と呼ばれることもある)を変化させる。この(非)飽和しきい値は、測定された温度に応じて変化する。) エ 「[0015] FIG. 1A is a circuit diagram of a desaturation detector system 100, which may be part of a power inverter, according to an embodiment. The desaturation detector system 100 includes a power switch 102, a detector interface circuit 104, a temperature sensor 106, and a gate driver 108.」 (当審訳: [0015] 図1Aは、一実施形態による、電力インバータの一部となるかもしれない非飽和検出器システム100の回路図である。非飽和検出器システム100は、パワースイッチ102、検出器インターフェース回路104、温度センサ106、及びゲートドライバ108を含む。) オ 「[0017] The detector interface circuit 104 is coupled to the power switch 102 and indirectly measures the collector-emitter voltage VCEor the drain-source voltage VDSof the power switch 102. The detector interface circuit 104 includes a high voltage diode 110 and a protection resistor 112 in series, and is coupled to the collector or drain of the power switch 102. The high voltage diode 110 has a voltage drop VD across in the forward direction. The protection resistor 112 has a resistance Rprot. In some embodiments, the resistance Rprot is about 1 kΩ. Although FIG. 1A shows the cathode of the high voltage diode 110 coupled to the power switch 102, it should be appreciated that the high voltage diode 110 and the protection resistor 112 may be swapped such that the protection resistor 112 is coupled to the power switch 102, and the anode of the high voltage diode 110 is coupled to the gate driver 108.」 (当審訳: [0017] 検出器インターフェース回路104は、パワースイッチ102に接続され、パワースイッチ102のコレクタ・エミッタ間電圧VCE又はドレイン・ソース間電圧VDSを間接的に測定する。検出器インターフェース回路104は、直列に接続された高電圧ダイオード110と保護抵抗112を含み、パワースイッチ102のコレクタ又はドレインに接続される。高電圧ダイオード110は順方向において電圧降下VDを有する。保護抵抗112は抵抗値Rprotを有する。一部の実施例では、抵抗値Rprotは約1kΩである。図1Aでは高電圧ダイオード110のカソードがパワースイッチ102に接続されているが、高電圧ダイオード110と保護抵抗112とを入れ替えて、保護抵抗112をパワースイッチ102に接続し、高電圧ダイオード110のアノードをゲートドライバ108に接続してもよいと認識されるべきである。) カ 「[0019] The gate driver 108 produces a high-current and/or high-voltage drive output, which is provided to the gate of the power switch 102. The drive output may be a larger signal produced from a logic-level signal, such as the output of a microcontroller. For example, the drive output produced may have a voltage of up to about +/-15 V and a current of up to about 10 A. In some embodiments, the gate driver 108 is an application-specific integrated circuit (ASIC) that includes a level shifter or an isolation circuit, and an amplifier (not shown). In such embodiments, the gate driver 108 may produce the higher level drive signal from a low-power signal. The gate driver 108 has terminals for a source voltage VCC, a desaturation detection voltage VDESAT, and grounding, and includes measurement interfaces 114, a protection MOSFET 116, and a current source 118. In some embodiments, the gate driver 108 may also include a filter (not shown) between the desaturation detection voltage VDESAT terminal and GND, which may be used to prevent noise and spikes from causing desaturation detection false positives. The filter may include a capacitor.」 (当審訳: [0019] ゲートドライバ108は、大電流及び/又は高電圧の駆動出力を生成し、これがパワースイッチ102のゲートに供給される。この駆動出力は、マイクロコントローラの出力などのロジックレベル信号から生成されるより大きな信号であってもよい。例えば、生成される駆動出力は、電圧が最大約±15V、電流が最大約10Aを有してもよい。一部の実施例において、ゲートドライバ108は、レベルシフタ又はアイソレーション回路、及び増幅器(図示せず)を含む特定用途向け集積回路(ASIC)である。このような実施形態において、ゲートドライバ108は、低電力信号からより高いレベルの駆動信号を生成してもよい。ゲートドライバ108は、電源電圧VCC、非飽和検出電圧VDESAT、及び接地用の端子を有し、測定インターフェース114、保護MOSFET116、及び電流源118を含む。一部の実施例において、ゲートドライバ108は、非飽和検出電圧VDESAT端子とGNDとの間にフィルタ(図示せず)をも含むかもしれず、このフィルタは、ノイズ及びスパイクが非飽和検出の誤検出を引き起こすのを防止するために使用されてもよい。このフィルタはキャパシタを含んでもよい。) キ 「[0020] The measurement interfaces 114 include a comparator and a sensor interface (not shown). The detector interface circuit 104 is coupled to the comparator, and the temperature sensor 106 is coupled to the sensor interface. When the power switch 102 is on, the comparator compares VCEor VDSto a desaturation threshold to determine whether the power switch 102 is in desaturation. The measurement interfaces 114 interface the temperature sensor 106 with the gate driver 108 and other devices.」 (当審訳: [0020] 測定インターフェース114は、比較器及びセンサインターフェース(図示せず)を含む。検出器インターフェース回路104は比較器に接続され、温度センサ106はセンサインターフェースに接続される。パワースイッチ102がオンのとき、比較器はVCE又はVDSを非飽和しきい値と比較してパワースイッチ102が非飽和状態にあるかを判定する。測定インターフェース114は、温度センサ106をゲートドライバ108およびその他のデバイスと接続する。) ク 「[0021] The protection MOSFET 116 is between the desaturation detection voltage VDESAT terminal of the gate driver 108 and the ground, and protects the measurement interfaces 114. The protection MOSFET 116 is enabled (e.g., the gate is driven to the active region) when the drive output for the power switch 102 is disabled, clamping the detection voltage VDESAT terminal to GND. Enabling the protection MOSFET 116 may prevent any voltages present at the collector or drain of the power switch 102 from being transferred through the high voltage diode 110 and the protection resistor 112 to the detection voltage VDESAT terminal. By enabling the protection MOSFET 116 when the power switch 102 is disabled (e.g., after desaturation detection), the gate driver 108 may also be protected from surges.」 (当審訳: [0021] 保護MOSFET116は、ゲートドライバ108の非飽和検出電圧VDESAT端子とグランドの間にあり、測定インターフェース114を保護する。保護MOSFET116は、パワースイッチ102への駆動出力が無効化されたときに有効化され(例えば、ゲートがアクティブ領域へ駆動され)、検出電圧VDESAT端子がGNDにクランプされる。保護MOSFET116を有効化することで、パワースイッチ102のコレクタ又はドレインに現れる電圧が、高電圧ダイオード110及び保護抵抗112を介して検出電圧VDESAT端子へ伝達されるのを防ぐかもしれない。パワースイッチ102が無効化されているとき(例えば、非飽和検出後)、保護MOSFET116を有効化することにより、ゲートドライバ108もサージから保護されるかもしれない。) ケ 「[0022] The current source 118 is powered by the source voltage VCC and forces a biasing current Im to flow from the desaturation detection voltage VDESAT terminal, through the protection resistor 112 and the high voltage diode 110, and to the collector or drain of the power switch 102.The biasing current Im may be provided when the power switch 102 is switched on and the voltage at the collector or drain of the power switch 102 is measured.The high voltage diode 110 protects the gate driver 108 from a potentially high voltage at the collector or drain of the power switch 102 when the biasing current Im is provided. Driving the biasing current Im causes a voltage drop across the high voltage diode 110, protecting the gate driver 108 from the high voltages. The voltage drop VD across the high voltage diode 110 can be related to the collector-emitter voltage VCE of the power switch 102 according to: VDESAT=Im*Rprot+VD+VCE. (1)」 (当審訳: [0022] 電流源118は、電源電圧VCCから電力供給を受け、非飽和検出電圧VDESAT端子から、保護抵抗112及び高電圧ダイオード110を経由して、パワースイッチ102のコレクタ又はドレインへバイアス電流Imを強制的に流す。パワースイッチ102がオン状態でパワースイッチ102のコレクタ又はドレインでの電圧が測定されるときに、バイアス電流Imは供給される。高電圧ダイオード110は、バイアス電流Imが供給されるときにパワースイッチ102のコレクタ又はドレインで発生し得る高電圧からゲートドライバ108を保護する。バイアス電流Imを流し込むことで、高電圧ダイオード110で電圧降下VDが発生し、ゲートドライバ108を高電圧から保護する。高電圧ダイオード110での電圧降下VDは、以下の式に従ってパワースイッチ102のコレクタ・エミッタ間電圧VCEに関係し得る: VDESAT=Im*Rprot+VD+VCE (1)) コ 「[0027] The desaturation threshold may be adjusted according to the temperature coefficients and changes in the temperatures of various components in the desaturation detector system 100. In some embodiments, the temperatures and temperature coefficients of the high voltage diode 110, the protection resistor 112, and the power switch 102 are taken in to consideration when adjusting the desaturation threshold. In other words, the desaturation threshold VTH may be determined based on the behavior of the system as a whole, and not the temperature of any particular component considered in isolation. For example, the constellation of devices and the distribution of temperatures in the desaturation detector system 100 may be considered when determining the desaturation threshold. The desaturation threshold may be determined according to: VTH = Im*Rprot + [VD+TCD*TD] + [VCE,SAT + TCSAT*TSWITCH], (2) where TCD is the temperature coefficient of the forward voltage of the high voltage diode 110, TD is the temperature of the diode, VCE,SAT is the saturation voltage of the power switch 102, TCSAT is the temperature coefficient of the saturation voltage of the power switch 102, and TSWITCH is the temperature of the switch. In embodiments where more than one high voltage diode is used, the term [VD+TCD*TD] may be multiplied by the quantity of high voltage diodes.」 (当審訳: [0027] 非飽和しきい値は、非飽和検出器システム100内の種々の構成要素の温度係数及び温度変化に応じて調整されてもよい。一部の実施形態では、非飽和しきい値を調整するときに、高電圧ダイオード110、保護抵抗器112、及びパワースイッチ102の温度及び温度係数が考慮される。言い換えれば、非飽和しきい値VTHは、個別の特定の構成要素の温度ではなく、システム全体の挙動に基づいて決定されてもよい。例えば、非飽和しきい値の決定のとき、非飽和検出器システム100におけるデバイス構成と温度分布が考慮されてもよい。非飽和しきい値は、以下の式に従って決定されてもよい: VTH = Im*Rprot + [VD+TCD*TD] + [VCE,SAT + TCSAT*TSWITCH] (2) ここで、TCDは高電圧ダイオード110の順方向電圧の温度係数、TDはダイオードの温度、VCE,SATはパワースイッチ102の飽和電圧、TCSATはパワースイッチ102の飽和電圧の温度係数、TSWITCHはスイッチの温度である。複数の高電圧ダイオードを使用する実施形態では、[VD+TCD*TD]の項は高電圧ダイオードの数が乗算されてもよい。) サ 「[0040] The master control unit 306 controls the gate driver 108. It includes function units and/or circuitry for performing start-up sequences, controlling power modes, optimizing, and testing the gate driver 108. The master control unit 306 may include a control state machine, which interfaces with the comparator 310 and controls the power switch 102. According to embodiments, the master control unit 306 controls the sensitivity of overcurrent detection by adjusting the desaturation threshold according to values read from the temperature sensor 106.The master control unit 306 may be a microcontroller, microprocessor, DSP, digital logic device, ASIC or the like.」 (当審訳: [0040] マスター制御ユニット306は、ゲートドライバ108を制御する。これには、起動シーケンスの実行、電力モードの制御、最適化、及びゲートドライバ108のテストを行うための機能ユニット及び/又は回路が含まれる。マスター制御ユニット306は制御ステートマシンを含んでもよく、それは比較器310とインターフェースし、パワースイッチ102を制御する。実施形態によれば、マスター制御ユニット306は、温度センサ106から読み出された値に基づいて非飽和しきい値を調整することにより、過電流検出の感度を制御する。マスター制御ユニット306は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、DSP、デジタルロジックデバイス、ASICなどであってもよい。) シ Fig.1A [図:0001434950000001.jpg] (当審訳: [図:0001434950000002.jpg] ) Fig.1Aによれば、検出器インターフェース回路104の高電圧ダイオード110は、保護抵抗112を介して、測定インターフェース114と接続し、電流源118は、測定インターフェース114と高電圧ダイオード110との間に接続し、保護MOSFET116は、測定インターフェース114とVDESAT端子との間に接続すると解される。 ス Fig.3 [図:0001434950000003.jpg] (当審訳: [図:0001434950000004.jpg] ) (3)引用発明の認定 引用文献の[0003]の下線の記載は、背景技術についての記載ではあるが、過電流状態の検出の手法の一つとしてトランジスタの非飽和の検出があるという一般的な技術常識を説明しているものであり、この記載の内容は、引用発明においても妥当すると解される。 そうすると、前記(2)の記載によれば、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、引用発明に記号a~uを付して分説し、「構成a」のようにして参照する。 a 過電流状態検出器のためのシステムであって、([0001]) b 過電流状態を検出することで、パワースイッチを過電流状態から保護でき、([0003]) c 過電流状態を検出する手法は、スイッチにおける非飽和の高速な検出を実施することであり、([0003]) d 非飽和検出器システム100は、パワースイッチ102、検出器インターフェース回路104、温度センサ106、及びゲートドライバ108を含み、([0015]) e 検出器インターフェース回路104は、パワースイッチ102に接続され、パワースイッチ102のコレクタ・エミッタ間電圧VCEを測定し、([0017]) f ゲートドライバ108は、測定インターフェース114、保護MOSFET116、及び電流源118を含み、([0019]) g ゲートドライバ108は、非飽和検出電圧VDESAT端子とGNDとの間にフィルタをも含み、([0019]) g1 フィルタは、ノイズ及びスパイクが非飽和検出の誤検出を引き起こすのを防止するために使用され、([0019]) g2 フィルタはキャパシタを含み、([0019]) h 測定インターフェース114は、比較器及びセンサインターフェースを含み、([0020]) i 検出器インターフェース回路104は比較器に接続され、([0020]) j 比較器はVCEを非飽和しきい値と比較してパワースイッチ102が非飽和状態にあるかを判定し、([0020]) k 保護MOSFET116は、パワースイッチ102への駆動出力が無効化されたときに有効化され、検出電圧VDESAT端子がGNDにクランプされ、([0021]) l 電流源118は、非飽和検出電圧VDESAT端子から、保護抵抗112及び高電圧ダイオード110を経由して、パワースイッチ102のコレクタへバイアス電流Imを強制的に流し、([0022]) m パワースイッチ102がオン状態でパワースイッチ102のコレクタの電圧が測定されるときに、バイアス電流Imは供給され、([0022]) n 高電圧ダイオード110は、パワースイッチ102のコレクタで発生し得る高電圧からゲートドライバ108を保護し、([0022]) o 非飽和しきい値は、非飽和検出器システム100内の種々の構成要素の温度係数及び温度変化に応じて調整されてもよく、非飽和しきい値を調整するときに、パワースイッチ102の温度及び温度係数が考慮され、([0027]) p 検出器インターフェース回路104の高電圧ダイオード110は、測定インターフェース114と接続し、(Fig.1A) q 電流源118は、測定インターフェース114と高電圧ダイオード110との間に接続し、(Fig.1A) r 保護MOSFET116は、測定インターフェース114とVDESAT端子との間に接続し、(Fig.1A) s マスター制御ユニット306は、温度センサ106から読み出された値に基づいて非飽和しきい値を調整することにより、過電流検出の感度を制御し、([0040])、 t マスター制御ユニット306は、マイクロプロセッサである、([0040]) u システム。 (4)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 発明特定事項Jについて 事案に鑑み、発明特定事項Jについての対比を先に行う。 発明特定事項Jは、「ことを特徴とするパワーデバイス保護装置。」というものである。 (ア) 引用発明の「パワースイッチ」(構成b)は、本件補正発明の「パワーデバイス」に相当する。 引用発明の「過電流状態検出器のためのシステム」(構成a)は、「過電流状態を検出することで、パワースイッチを過電流状態から保護でき」る(構成b)から、パワーデバイス保護システムであるといえる。 (イ)引用発明の「過電流状態検出器のためのシステム」(構成a)において、「過電流状態を検出する手法は、スイッチにおける非飽和の高速な検出を実施することであ」る(構成c)に鑑みれば、引用発明の「非飽和検出器システム100」(構成d)は、「過電流状態検出器のためのシステム」のことであると解される。 (ウ)そして、引用発明の「非飽和検出器システム100」は、「パワースイッチ102、検出器インターフェース回路104、温度センサ106、及びゲートドライバ108を含」む(構成d)から、電気回路からなるシステムであり、当該電気回路を搭載した装置として具現化されるものと解される。 (エ)前記(ア)~(ウ)によれば、本件補正発明の「パワーデバイス保護装置」と引用発明の「過電流状態検出器のためのシステム」とは、「パワーデバイス保護装置」である点で一致する。 イ 発明特定事項A及びHについて 発明特定事項A及びHは「パワーデバイスに接続され、前記パワーデバイスの過電流の有無を判断する比較器と、」「を含み、」というものである。 (ア)引用発明の「比較器」(構成j)は、本件補正発明の「比較器」に相当する。 そして、引用発明の「比較器」は、「パワースイッチ102が非飽和状態にあるかを判定」し(構成j)、非飽和状態であることを判定することは、過電流状態であることを判定することに他ならない(構成b)。 そうすると、引用発明の「比較器」は、本件補正発明の「前記パワーデバイスの過電流の有無を判断する比較器」に相当する。 (イ)引用発明の「比較器」は、「検出器インターフェース回路104」「に接続され」(構成i)、「検出器インターフェース回路104は、パワースイッチ102に接続され」る(構成e)から、「比較器」は「パワースイッチ102」に接続されている。 よって、引用発明の「比較器」は、本件補正発明の「パワーデバイスに接続され」た「比較器」に相当する。 (ウ)前記(ア)及び(イ)によれば、本件補正発明と引用発明とは、「パワーデバイスに接続され、前記パワーデバイスの過電流の有無を判断する比較器」「を含」む点で一致する。 ウ 発明特定事項B及びHについて 発明特定事項B及びHは「前記過電流の有無を判断する過電流基準値をソフトウェア的に変化させるように前記比較器を制御する制御部と、」「を含み、」というものである。 (ア)前記イ(ア)で触れたように、引用発明の「比較器」は「パワースイッチ102が非飽和状態にあるかを判定」することで、過電流状態であることを判定するものである。 そして、引用発明の「比較器」における非飽和状態の判定は、「VCEを非飽和しきい値と比較して」(構成j)行われる。 そうすると、引用発明の「非飽和しきい値」は、本件補正発明の「前記過電流の有無を判断する過電流基準値」に相当する。 (イ)引用発明の「マスター制御ユニット306」は、「非飽和しきい値を調整する」(構成s)から、「非飽和しきい値」を判断に使用する「比較器」を制御しているといえる。 よって、引用発明の「マスター制御ユニット306」は、本件補正発明の「過電流基準値を」「変化させるように前記比較器を制御する制御部」に相当する。 (ウ)引用発明の「マスター制御ユニット306」は、「マイクロプロセッサであ」る(構成t)から、前記(イ)の制御は、ソフトウェアによって行われていると解される。 上記並びに前記(ア)及び(イ)によれば、本件補正発明と引用発明とは、「前記過電流の有無を判断する過電流基準値をソフトウェア的に変化させるように前記比較器を制御する制御部」「を含」む点で一致する。 エ 発明特定事項C及びHについて 発明特定事項C及びHは「前記比較器に接続され、前記パワーデバイスに所定の電圧以上の電圧がかかると、該比較器に流れる電流を遮断するように形成されるダイオードと、」「を含み、」というものである。 (ア)引用発明では、「検出器インターフェース回路104の高電圧ダイオード110は、測定インターフェース114と接続し」ており(構成p)、「測定インターフェース114は、比較器及びセンサインターフェースを含み、」(構成h)、「検出器インターフェース回路104は比較器に接続され」る(構成i)から、引用発明の「高電圧ダイオード110」は「比較器」と接続していると解される。 よって、引用発明の「高電圧ダイオード110」は、本件補正発明の「前記比較器に接続され」た「ダイオード」に相当する。 (イ)引用発明の「高電圧ダイオード110」は、「パワースイッチ102のコレクタで発生し得る高電圧からゲートドライバ108を保護」するもの(構成n)であり、引用文献のFig.1Aを参照すると、パワースイッチ102のVCEが所定の電圧(概ねVDESAT端子の電圧)以上の電圧となると、高電圧ダイオード110が遮断され、比較器に向かって電流が流れることがないと理解できる。 そうすると、引用発明の「高電圧ダイオード110」は、本件補正発明の「前記パワーデバイスに所定の電圧以上の電圧がかかると、該比較器に流れる電流を遮断するように形成されるダイオード」に相当する。 (ウ)前記(ア)及び(イ)によれば、本件補正発明と引用発明とは、「前記比較器に接続され、前記パワーデバイスに所定の電圧以上の電圧がかかると、該比較器に流れる電流を遮断するように形成されるダイオード」「を含」む点で一致する。 オ 発明特定事項D及びHについて 発明特定事項D及びHは「該ダイオードと前記比較器との間に配置され、前記パワーデバイスがオフ状態からオン状態に切り替えられる際に、前記比較器で過電流が検出されないように防止するコンデンサと、」「を含み、」というものである。 (ア)引用発明では、「非飽和検出電圧VDESAT端子とGNDとの間にフィルタをも含み」(構成g)、「フィルタはキャパシタを含」む(構成g2)から、VDESAT端子とGNDとの間にキャパシタを備える。一般に、キャパシタはコンデンサとして具現化されるものであるから、引用発明の「キャパシタ」は、本件補正発明の「コンデンサ」に相当する。 引用文献のFig.1A及びFig.3によれば、VDESAT端子は、高電圧ダイオード110と比較器(比較器310)との間に位置すると解される。 そうすると、引用発明の「キャパシタ」は、本件補正発明の「該ダイオードと前記比較器との間に配置され」た「コンデンサ」に相当する。 (イ)引用発明の「キャパシタ」を含む「フィルタ」(構成g2)は、「非飽和検出の誤検出を引き起こすのを防止するために使用され」る(構成g1)から、比較器で過電流が検出されないように防止するものと解される。 よって、引用発明の「フィルタ」をなす「キャパシタ」は、本件補正発明の「前記比較器で過電流が検出されないように防止するコンデンサ」に相当する。 (ウ)引用発明の「キャパシタ」を含む「フィルタ」(構成g2)は、「ノイズ及びスパイク」の影響を「防止するために使用され」る(構成g1)。 引用発明の「パワースイッチ102」が、オフ状態とオン状態とを遷移する際に、ノイズ及びスパイクが発生することは、技術常識から明らかである。 よって、引用発明の「フィルタ」をなす「キャパシタ」は、「パワースイッチ102」がオフ状態からオン状態に切り替えられる際のノイズ及びスパイクの影響(構成g1によれば、非飽和検出の誤検出)を防止するためのものと解される。 (エ)前記(ア)~(ウ)によれば、本件補正発明と引用発明とは、「該ダイオードと前記比較器との間に配置され、前記パワーデバイスがオフ状態からオン状態に切り替えられる際に、前記比較器で過電流が検出されないように防止するコンデンサ」「を含」む点で一致する。 カ 発明特定事項E及びHについて 発明特定事項E及びHは「前記比較器と前記ダイオードとの間に接続され、前記パワーデバイスがオン状態のときに前記ダイオードをオンにするバイアス電流源と、」「を含み、」というものである。 (ア)引用発明の「電流源118」は、「バイアス電流Imを強制的に流」す(構成l)から、本件補正発明の「バイアス電流源」に相当する。 そして、引用発明の「電流源118」は、「高電圧ダイオード110を経由して」「電流Imを強制的に流」す(構成l)から、高電圧ダイオード110をオンにすると解され、本件補正発明の「前記ダイオードをオンにするバイアス電流源」に相当する。 さらに、引用発明の「バイアス電流Im」は、「パワースイッチ102がオン状態で」「供給され」る(構成m)から、「バイアス電流Im」を流す「電流源118」は、「パワースイッチ102がオン状態で」高電圧ダイオード110をオンにすると解される。 以上によれば、引用発明の「電流源118」は、本件補正発明の「前記パワーデバイスがオン状態のときに前記ダイオードをオンにするバイアス電流源」に相当する。 (イ)引用発明の「電流源118」は、「測定インターフェース114と高電圧ダイオード110との間に接続し」(構成q)、「測定インターフェース114は、比較器及びセンサインターフェースを含み」(構成h)、前記エ(ア)のとおり、高電圧ダイオード110は比較器と接続しているから、「電流源118」は、比較器と高電圧ダイオード110との間に接続していると解される。 (ウ)前記(ア)及び(イ)によれば、本件補正発明と引用発明とは、「前記比較器と前記ダイオードとの間に接続され、前記パワーデバイスがオン状態のときに前記ダイオードをオンにするバイアス電流源」「を含」む点で一致する。 キ 発明特定事項F及びHについて 発明特定事項F及びHは「該バイアス電流源を制御する電流源制御モジュールと、」「を含み、」というものである。 これに対し、引用発明は、「電流源118」を制御するモジュールについて特定されていない点で相違する。 ク 発明特定事項G及びHについて 発明特定事項G及びHは「前記比較器と前記コンデンサとの間に接続され、前記パワーデバイスがオフ状態になる際に、前記コンデンサにより電流が検出されないように、電流検出ラインの電圧を低くするトランジスタと、」「を含み、」というものである。 (ア)引用発明の「保護MOSFET116」(f)は、本件補正発明の「トランジスタ」に相当する。 (イ)引用発明の「比較器」は、「パワースイッチ102が非飽和状態にあるかを判定」する(構成j)ことで「過電流状態を検出する」(構成c)から、「比較器」と「検出器インターフェース回路104」とを接続し(構成i)、「検出器インターフェース回路104」と「パワースイッチ102」とを接続する線のうち、「比較器」に接続される線は、過電流を検出する線という意味で、「電流検出ライン」といえる。 そして、引用発明では、「保護MOSFET116は、パワースイッチ102への駆動出力が無効化されたときに有効化され、検出電圧VDESAT端子がGNDにクランプされ」る(構成k)から、保護MOSFET116は、パワースイッチがオフ状態にされたときに、VDESAT端子をGNDに接続して当該端子の電圧を低くすると解される。 そして、Fig.1Aによれば、VDESAT端子は、前記「電流検出ライン」上にある。 そうすると、引用発明の「保護MOSFET116」は、本件補正発明の「前記パワーデバイスがオフ状態になる際に」「電流検出ラインの電圧を低くするトランジスタ」に相当する。 (ウ)引用発明の「フィルタ」をなす「キャパシタ」(構成g2)は、VDESAT端子とGNDとの間にある(構成g)から、「保護MOSFET116」が「VDESAT端子」を「GNDにクランプする」(構成k)と、「キャパシタ」に蓄えられた電荷はGNDに流れて比較器には流れず、過電流は検出されない。そうすると、引用発明の「保護MOSFET116」は、「キャパシタ」により過電流が検出されないようにしていると解される。 よって、引用発明の「保護MOSFET116」は、本件補正発明の「前記パワーデバイスがオフ状態になる際に、前記コンデンサにより電流が検出されないように、電流検出ラインの電圧を低くするトランジスタ」に相当する。 (エ)引用発明の「保護MOSFET116」は、「測定インターフェース114とVDESAT端子との間に接続し」(構成r)、「測定インターフェース114は、比較器」「を含み」(構成h)、VDESAT端子には「キャパシタ」が接続される(構成g、g2)から、「保護MOSFET116」は、「比較器」と「キャパシタ」との間に接続されているといえる。 (オ)前記(ア)~(エ)によれば、本件補正発明と引用発明とは、「前記比較器と前記コンデンサとの間に接続され、前記パワーデバイスがオフ状態になる際に、前記コンデンサにより電流が検出されないように、電流検出ラインの電圧を低くするトランジスタ」「を含」む点で一致する。 ケ 発明特定事項I及びI1について 発明特定事項I及びI1は「前記制御部は、」「前記パワーデバイスの温度情報を受信し、」というものである。 引用発明の「マスター制御ユニット306」は、「温度センサ106から読み出された値に基づいて非飽和しきい値を調整する」(構成s)から、温度センサ106から温度情報を受信していると解される。 また、引用発明では「非飽和しきい値を調整するときに、パワースイッチ102の温度」「が考慮され」る(構成o)から、温度センサ106から受信する温度情報は、パワースイッチ102の温度情報であると解される。 よって、本件補正発明と引用発明とは、「前記制御部は、」「前記パワーデバイスの温度情報を受信」する点で一致する。 コ 発明特定事項I及びI2について 発明特定事項I及びI2は「前記制御部は、」「前記温度情報に基づいて、前記過電流基準値を変化させると共に、」というものである。 引用発明の「マスター制御ユニット306」は、「温度センサ106から読み出された値に基づいて非飽和しきい値を調整する」(構成s)から、温度情報に基づいて非飽和しきい値を調整していると解される。 よって、本件補正発明と引用発明とは、「前記制御部は、」「前記温度情報に基づいて、前記過電流基準値を変化させる」点で一致する。 サ 発明特定事項I及びI3について 発明特定事項I及びI3は「前記制御部は、」「前記パワーデバイスの特性に基づいて、前記温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせる」というものである。 引用発明では、「非飽和しきい値を調整するときに、パワースイッチ102の温度及び温度係数が考慮され」る(構成o)。 よって、本件補正発明と引用発明とは、「前記制御部は、」「前記パワーデバイスの特性に基づいて、前記温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせる」点で一致する。 シ 一致点及び相違点 前記ア~サによれば、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりと認められる。 〈一致点〉 「パワーデバイスに接続され、前記パワーデバイスの過電流の有無を判断する比較器と、 前記過電流の有無を判断する過電流基準値をソフトウェア的に変化させるように前記比較器を制御する制御部と、 前記比較器に接続され、前記パワーデバイスに所定の電圧以上の電圧がかかると、該比較器に流れる電流を遮断するように形成されるダイオードと、 該ダイオードと前記比較器との間に配置され、前記パワーデバイスがオフ状態からオン状態に切り替えられる際に、前記比較器で過電流が検出されないように防止するコンデンサと、 前記比較器と前記ダイオードとの間に接続され、前記パワーデバイスがオン状態のときに前記ダイオードをオンにするバイアス電流源と、 前記比較器と前記コンデンサとの間に接続され、前記パワーデバイスがオフ状態になる際に、前記コンデンサにより電流が検出されないように、電流検出ラインの電圧を低くするトランジスタと、 を含み、 前記制御部は、 前記パワーデバイスの温度情報を受信し、 前記温度情報に基づいて、前記過電流基準値を変化させると共に、 前記パワーデバイスの特性に基づいて、前記温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせることを特徴とするパワーデバイス保護装置。」である点。 〈相違点〉 本件補正発明は、「該バイアス電流源を制御する電流源制御モジュールと、」を含むのに対し、引用発明は、「電流源118」を制御するモジュールについて特定されていない点。(発明特定事項F) ス 請求人の主張について 請求人は、「引用文献1及び2はいずれも、「該ダイオードと前記比較器との間に配置され、前記パワーデバイスがオフ状態からオン状態に切り替えられる際に、前記比較器で過電流が検出されないように防止する」コンデンサ205を開示又は示唆するものではありません。」(意見書「(3)対比」)、「引用文献1は、本願の請求項1に規定された「バイアス電流源」、「電流源制御モジュール」及び「トランジスタ」並びにこれらの機能を、開示又は示唆するものではありません。」(審判請求書「(1C)対比」)と主張する。 引用文献が「電流源制御モジュール」及びその機能を開示も示唆もしていない点は、相違点として認定したとおりである。 しかしながら、「コンデンサ」、「バイアス電流源」及び「トランジスタ」については、引用発明の「キャパシタ」、「電流源118」及び「保護MOSFET116」として開示されており、これらの機能も、前記オ、カ及びクに示したように、本件補正発明のものと一致する。 よって、請求人の主張のうち、「コンデンサ」、「バイアス電流源」及び「トランジスタ」についてのものは、採用できない。 (5)相違点についての判断 引用発明では、「パワースイッチ102がオン状態でパワースイッチ102のコレクタの電圧が測定されるときに、バイアス電流Imは供給され」る(構成m)ので、パワースイッチ102がオフ状態のとき又はパワースイッチのコレクタの電圧が測定されないときには、バイアス電流Imは供給されないと解される。よって、バイアス電流Imを流す「電流源118」は、「パワースイッチ102がオン状態でパワースイッチ102のコレクタの電圧が測定されるとき」のみ動作し、それ以外のときには非動作状態となっていると解される。 そうすると、引用発明において、「電流源118」の動作・非動作を切り替えるために、「電流源118」を制御するためのモジュールを設けることは、当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎず、格別のこととは認められない。 したがって、相違点に係る構成は、当業者が引用発明から容易になし得たと認められる。 (6)効果についての判断 本件補正発明の効果は、引用発明と比して格別とは認められない。 (7)小括 以上によれば、本件補正発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものとは認められない。 4 本件補正についてのむすび 前記3(7)によれば、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明 本件補正は上述のとおり却下されたため、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(1)に示した請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 第4 原査定の概要 原査定の概要は、以下のとおりである。 1.(新規性)この出願の請求項1~14に係る発明は、以下の文献に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の請求項1~16に係る発明は、以下の文献1に記載された発明並びに文献2及び3に示される周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 3.(実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。 文献1.米国特許出願公開第2018/0097515号明細書 文献2.特開2019-122107号公報 文献3.韓国登録特許第10-1911259号公報 第5 文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された文献1(この審決における引用文献に対応)の記載事項は、前記第2[理由]3(2)に示したとおりである。 第6 本願発明と引用発明との対比・判断 本願発明は、前記第2[理由]3で検討した本件補正発明から、その発明特定事項である「バイアス電流源」(発明特定事項E)、「電流源制御モジュール」(発明特定事項F)及び「トランジスタ」(発明特定事項G)を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明と引用発明との相違点が、前記第2[理由]3(4)に示したとおり、発明特定事項Fに係る相違点のみであるから、本件補正発明から発明特定事項Fが削除された本願発明は、引用発明との間に相違点が存在しない。よって、本願発明は、引用発明と同一であると認められる。 また、本願発明は、当業者が引用発明から容易に発明をすることができたと認められる。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に掲げる発明である引用発明と同一であるから、同項の規定に違反し、特許を受けることができない。 また、本願発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-002070

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