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特許無効審判

2024-800001

ヒンジ

審判番号
2024-800001
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2018-204275
登録番号
7283725
請求日
2024年01月05日
審決日
2025年02月17日
公報発行日
2026年04月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】加藤電機 株式会社
  • 【請求人代理人】伊藤 捷雄
  • 【請求人代理人】小林 慶哉
  • 【被請求人】下西技研工業 株式会社
  • 【被請求人代理人】弁理士法人ブライタス
審判長/審判官
  • 審判長 山村 浩
  • 審判官 後藤 孝平
  • 審判官 野村 伸雄
分類
P1113.113-Y (G03B) / P1113.121-Y (G03B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第7283725号発明「ヒンジ」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨 本件審判の請求の趣旨及び答弁の趣旨は、次のとおりである。 1 請求の趣旨 特許第7283725号発明の特許請求の範囲の請求項1~4に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。 2 答弁の趣旨 本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。 第2 手続の経緯 1 本件特許の出願の経緯の概略 特許第7283725号(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成30年10月30日にされ、令和5年5月22日に設定登録がされた。 2 本件審判の手続の経緯 本件審判における手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 令和6年 1月 5日付け:審判請求書の提出 同年 2月15日付け:手続補正指令書(方式) 同年 3月22日付け:手続補正書の提出 同年 5月28日付け:手続補正書の提出 同年 7月25日付け:審判事件答弁書の提出 同年 9月12日付け:審理事項通知書 同年11月12日付け:口頭審理陳述要領書の提出(請求人) 同日付け:口頭審理陳述要領書の提出(被請求人) 同月26日 :第1回口頭審理期日 同月28日付け:当合議体からの審尋 同年12月11日付け:上申書の提出(請求人) 同月13日付け:回答書の提出(請求人) 同月24日付け:上申書の提出(被請求人) 第3 本件発明 本件特許の請求項1~4に係る発明(以下、本件特許の請求項1~4に係る発明をそれぞれ、「本件発明1」~「本件発明4」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるものであり、当該各請求項の記載は次のとおりである。なお、請求項1の分説は、審判請求書の記載に倣って、当合議体が行った。 「【請求項1】 1A カム部を備える第一ウイング部材と、 1B 一方端部に開口部を有し、他方端部に底部を有する筒状の部材であり、前記開口部に繋がった収容部を備え、前記カム部を前記開口部付近に位置させつつ、前記第一ウイング部材に回動軸を介して回動可能に連結される第二ウイング部材と、 1C 当接部を備え、前記収容部内に収容されつつ前記カム部に対して接近する方向および離間する方向に移動可能なスライダと、 1D 前記スライダを前記接近する方向に付勢することにより前記当接部を前記カム部に当接させる付勢部材と、を具備し、 1E 前記スライダは、前記第二ウイング部材の回動時に、前記付勢部材による付勢により前記接近する方向に移動し、及び、前記カム部と前記当接部との当接により前記離間する方向へ移動し、 1F 前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が閉状態のとき、前記当接部と前記カム部との当接する部分が第二ウイング部材の収容部内に位置し、 1G 前記第二ウイング部材は、前記開口部の縁部から前記スライダの移動方向に沿って突出した突出部を有し、 1H 前記第一ウイング部材は、前記突出部を間に挟む一対の支持部を有し、 1I 前記突出部と、前記一対の支持部とには、前記回動軸が挿入される貫通孔が設けられている、 1J ヒンジ。 【請求項2】 前記カム部は、前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が閉状態のとき、前記突出部と対向するように前記開口部から前記収容部内へ延びた構成であり、先端部が前記当接部と当接する、 請求項1に記載のヒンジ。 【請求項3】 前記回動軸の軸方向に垂直な前記第二ウイング部材の断面において、前記スライダの移動方向に直交する幅方向に沿って前記収容部を挟む前記第二ウイング部材の周壁部のうち、前記突出部が設けられた側は、他方側よりも、前記幅方向の長さが大きい、 請求項1または請求項2に記載のヒンジ。 【請求項4】 前記当接部と前記カム部とは、互いの先端部からオフセットした位置で当接し、 前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が閉状態のとき、前記当接部と前記カム部との当接する部分が、少なくとも、前記スライダの移動方向と直交する方向に対して20°の前記回動軸から引いた線よりも前記スライダが前記離間する方向側に位置する、 請求項1から請求項3のいずれか一つに記載のヒンジ。」 第4 請求人の主張及び証拠方法 1 請求人の主張の概要 請求人の主張する請求の理由(無効理由)は次のとおりである。以下、証拠番号を示すときは、「第」及び「号証」を略する。 なお、令和6年11月12日付け口頭審理陳述要領書(請求人)における「5.」「(1)」及び同「(2)」の無効理由についての主張は、令和6年12月13日付け回答書において撤回された。 (1)無効理由1 本件発明1及び2に対する、甲2に記載された発明に基づく新規性欠如 (2)無効理由2 ア 本件発明3に対する、甲2に記載された発明(主引用発明)、及び甲4に記載された技術的事項に基づく進歩性欠如 イ 本件発明4に対する、甲2に記載された発明(主引用発明)、及び甲4~6に記載された技術的事項に基づく進歩性欠如 (3)無効理由3 本件発明1及び2に対する、甲3に記載された発明に基づく新規性欠如 (4)無効理由4 ア 本件発明3に対する、甲3に記載された発明(主引用発明)、及び甲4に記載された技術的事項に基づく進歩性欠如 イ 本件発明4に対する、甲3に記載された発明(主引用発明)、及び甲4~6に記載された技術的事項に基づく進歩性欠如 2 証拠方法 請求人が提出した証拠は、次のとおりである。 甲1:特許第7283725号公報(本件特許に係るものである。) 甲2:特開2011-112967号公報 甲3:特開2012-168470号公報 甲4:特開2018-205370号公報 甲5:特開2010-266055号公報 甲6:特開2010-271627号公報 第5 被請求人の主張及び証拠方法 1 被請求人の主張の概要 被請求人の主張する答弁の理由(無効理由に対する反論)は、請求人の主張する無効理由は成り立たないというものである。 2 証拠方法 被請求人は証拠を提出していない。 第6 当合議体の判断 1 証拠に記載された事項等の認定 (1)甲2 ア 甲2に記載された事項 甲2には、以下の事項が記載されている(下線は当合議体が付した。以下同様。)。 「【請求項1】 第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、 第一開口部を有する第一収容室および第二開口部を有する第二収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一ウイング部材と、 前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、 前記第一収容室に収容され、前記第一収容室の内周面に当接しつつ前記第一開口部から突出する方向および前記第一収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、 前記第一収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記第一開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、 前記第二収容室に収容され、前記第二収容室の内周面に当接しつつ前記第二開口部から突出する方向および前記第二収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、 前記第二収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記第二開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、 を具備し、 前記第二ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成されるとともに前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、 前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との隙間には粘性体が配置されるヒンジ。」 「【請求項4】 前記第一開口部および前記第二開口部は前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回動軸の軸線方向に並んで配置され、 前記第一カム部および前記第二カム部は前記回動軸の軸線方向に並んで配置される請求項1または請求項2に記載のヒンジ。」 「【請求項9】 第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、 主ヒンジ部材と、 前記主ヒンジ部材に対して別体となる副ヒンジ部材と、 を具備し、 前記主ヒンジ部材は、 第一開口部を有する第一収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一主ウイング部材と、 前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一主ウイング部材に回動可能に連結される第二主ウイング部材と、 前記第一収容室に収容され、前記第一収容室の内周面に当接しつつ前記第一開口部から突出する方向および前記第一収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、 前記第一収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記第一開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、 を具備し、 前記第二主ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成され、 前記副ヒンジ部材は、 第二開口部を有する第二収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一副ウイング部材と、 前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一副ウイング部材に回動可能に連結される第二副ウイング部材と、 前記第二収容室に収容され、前記第二収容室の内周面に当接しつつ前記第二開口部から突出する方向および前記第二収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、 前記第二収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記第二開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、 を具備し、 前記第二副ウイング部材には、前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、 前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との隙間には粘性体が配置されるヒンジ。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば事務機器の本体に事務機器の原稿圧着板を開閉可能に連結する等、第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジに関する。より詳細には、第二連結対象物を第一連結対象物に対して緩やかかつ確実に閉じる技術に関する。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、第二連結対象物を第一連結対象物に対して緩やかかつ確実に閉じることが可能なヒンジを提供するものである。」 「【0085】 以下では図18から図28を用いて本発明に係るヒンジの第二実施形態であるヒンジ200について説明する。 【0086】 図18に示す如く、ヒンジ200は複合機21の本体22に原稿圧着板23を回動可能に連結する。 複合機21は事務機器の実施の一形態である。複合機21は本体22および原稿圧着板23を具備する。 複合機21、本体22および原稿圧着板23の基本的な構成および機能は図1に示す複合機11、本体12および原稿圧着板13と概ね同じであることから、説明を省略する。 【0087】 図19から図24に示す如く、ヒンジ200はケース部材210、回動部材220、回動ピン230、第一スライダ240、第一バネ250、第二スライダ260および第二バネ270を具備する。 【0088】 ケース部材210は本発明に係る第一ウイング部材の実施の一形態である。 本実施形態のケース部材210は樹脂製であり、射出成形により製造される。 図19および図25に示す如く、ケース部材210は概ね薄い直方体形状の部材である。 図25に示す如く、ケース部材210の内部には第一収容室211および第二収容室212の二つの空間が形成される。 【0089】 第一収容室211は本発明に係る第一収容室の実施の一形態である。第一収容室211はケース部材210の内部に形成された二つの空間のうち、左側の空間(ヒンジ200が複合機21の原稿圧着板23を本体22に回動可能に連結したとき、複合機21の左側に位置する空間)である。 第一収容室211はケース部材210の基端部(ケース部材210と回動部材220とが回動可能に連結される位置に近い方の端部)において開口しており、当該開口している部分が第一開口部211aを成す。すなわち、第一収容室211は第一開口部211aを有する。第一開口部211aは本発明に係る第一開口部の実施の一形態である。 第一収容室211の内周面にはガイド溝211b・211bが形成される。ガイド溝211b・211bは第一収容室211の第一開口部211aから第一収容室211の奥に向かって(ケース部材210の基端部から先端部に向かって)延びた溝である。 【0090】 第二収容室212は本発明に係る第二収容室の実施の一形態である。第二収容室212はケース部材210の内部に形成された二つの空間のうち、右側の空間(ヒンジ200が複合機21の原稿圧着板23を本体22に回動可能に連結したとき、複合機21の右側に位置する空間)である。 第二収容室212はケース部材210の基端部において開口しており、当該開口している部分が第二開口部212aを成す。すなわち、第二収容室212は第二開口部212aを有する。第二開口部212aは本発明に係る第二開口部の実施の一形態である。 第二収容室212の内周面にはガイド突起212b・212b・・・が形成される。ガイド突起211b・211b・・・は第二収容室212の第二開口部212aから第二収容室212の奥に向かって(ケース部材210の基端部から先端部に向かって)延びた突起(凸条)である。」 「【0093】 ケース部材210の基端部には貫通孔215a・215b・215cが形成される。 貫通孔215a・215b・215cは一直線に並んで配置され、貫通孔215a・215b・215cを合わせたものは実質的にケース部材210の左側面から右側面までを貫通する。 貫通孔215a・215b・215cの長手方向(軸線方向)は左右方向に対して平行である。」 「【0096】 胴体部221は回動部材220の胴体を成す部分である。図26に示す如く、本実施形態の胴体部221は一対の板面を上面および下面とする概ね板状の部分である。 【0097】 胴体部221には第一カム部221aが形成される。 第一カム部221aは本発明に係る第一カム部の実施の一形態であり、胴体部221の上面の左半部から上方に突出する塊状の部分である。 第一カム部221aには貫通孔221cが形成される。貫通孔221cは第一カム部221aの左側面後部から右側面後部までを貫通する孔である。」 「【0099】 胴体部221には突起部221dが形成される。突起部221dは一対の板面を左右側面とする板状の部分であり、胴体部221の上面の右端部(第二カム部221bよりも右側となる位置)から上方に突出する 突起部221dには貫通孔221eが形成される。貫通孔221eは突起部221dの左右の板面を貫通する孔である。 第一カム部221aに形成された貫通孔221cおよび突起部221dに形成された貫通孔221eは一直線に並ぶように配置され、貫通孔221cおよび貫通孔221eを合わせたものの長手方向(軸線方向)は左右方向に対して平行である。」 「【0103】 回動ピン230は本発明に係る回動軸の実施の一形態である。 図20および図21に示す如く、本実施形態の回動ピン230は胴体部231および頭部232を有し、胴体部231の一端部(先端部)にカシメ穴231aが形成される金属製の部材である。 本実施形態の回動ピン230の基本的な構成は図8に示す回動ピン130と略同じであるため説明を省略する。 図21に示す如く、回動ピン230の胴体部231を左から順に貫通孔215a、貫通孔221c、貫通孔215b、貫通孔221eおよび貫通孔215cに貫装することにより、回動部材220は回動ピン230を介してケース部材210に回動可能に連結され、ひいては、ヒンジ200により原稿圧着板23(の下面後端部)が本体22(の上面後端部)に回動可能に連結される。 【0104】 図23に示す如く、回動部材220が回動ピン230を介してケース部材210に回動可能に連結されたとき、第一カム部221aはケース部材210に形成された第一収容室211の第一開口部211aに対向する。 図24に示す如く、回動部材220が回動ピン230を介してケース部材210に回動可能に連結されたとき、第二カム部221bはケース部材210に形成された第二収容室212の第二開口部212aに対向する。 【0105】 第一スライダ240は本発明に係る第一スライド部材の実施の一形態である。 本実施形態の第一スライダ240は樹脂製であり、射出成形により製造される。 図23および図27に示す如く、第一スライダ240は当接部241、ガイド部242・242および筒部243を有する。」 「【0109】 図23に示す如く、第一スライダ240はケース部材210の第一収容室211に収容される。 第一収容室211に収容された第一スライダ240は第一収容室211の内周面に当接する。また、第一収容室211に収容された第一スライダ240は第一開口部211aから突出する方向および第一収容室211の内部(奥部)に没入する方向に移動可能である。 より詳細には、第一スライダ240が第一収容室211に収容されたとき、当接部241の薄い直方体部分の四つの端面はそれぞれ第一収容室211の内周面(四つの内壁面)に摺動可能に当接するとともに、ガイド部242・242はガイド溝211b・211bに摺動可能に係合する。 【0110】 第一バネ250は本発明に係る第一付勢部材の実施の一形態である。 本実施形態の第一バネ250は金属製の巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。 図23に示す如く、第一バネ250はケース部材210の第一収容室211に収容される。 第一収容室211に収容された第一バネ250の一端部は第一収容室211の底面に当接し、第一バネ250の他端部は第一スライダ240の筒部243に嵌装されるとともに当接部241の他方の板面(二分割された円柱形状の突起が積層されていない方の板面)に当接する。 従って、第一バネ250は第一スライダ240を第一収容室211の第一開口部211aから突出する方向に付勢し、第一スライダ240の当接部241の当接面241aは回動部材220の第一カム部221aに当接する。 その結果、第一バネ250の付勢力は第一スライダ240を経て回動部材220に伝達されるので、回動部材220はケース部材210に対して右側面視で時計回りに回動する方向に付勢され、原稿圧着板23は本体22に対して開く方向に付勢される(図18参照)。」 「【0118】 以下では、図18、図23および図24を用いて原稿圧着板23を閉じるときのヒンジ200の挙動について説明する。 本実施形態では原稿圧着板23が完全に閉じたとき、すなわち原稿圧着板23の下面が本体22の上面に当接しているときの原稿圧着板23の回動角度θ(本体22に対する原稿圧着板23の回動角度θ)を「0°」とし、原稿圧着板23が開く方向に回動した場合に回動角度θが増加する(回動角度θが正になる)ように原稿圧着板23の回動角度θを定義する(図18参照)。 【0119】 本実施形態では、原稿圧着板23の回動角度θが35°以上(θ≧35°)の場合には原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属し、原稿圧着板23の回動角度θが35°未満(0°≦θ<35°)の場合には原稿圧着板23が「落下領域」に属する。 【0120】 本実施形態における「フリーストップ領域」は、(A2)「原稿圧着板23の重量に起因して回動ピン230を中心として回動部材220に作用する回転力(モーメント)」と(B2)「第一バネ250の付勢力に起因して回動ピン230を中心として回動部材220に作用する回転力(モーメント)」とが平衡する領域である。 【0121】 原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属するとき、回動部材220の第一カム部221aは第一スライダ240の当接部241の当接面241aに当接する。 また、原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属するとき、回動部材220の第二カム部221bは第二スライダ260から離間している(第二スライダ260に当接しない)。 【0122】 原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板23が閉じる方向に回動した場合、(A2)の回転力は増大する。 一方、原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板23が閉じる方向に回動した場合、ケース部材210が回動部材220に対して右側面視で時計回りに回動し、回動部材220の第一カム部221aと第一スライダ240の当接部241の当接面241aとの当接部位が変化し、第一スライダ240は第一収容室211の内部に没入する方向に移動する。 第一スライダ240が第一収容室211の内部に没入する方向に移動することにより、第一バネ250は圧縮され(第一バネ250の全長は小さくなり)、第一バネ250の付勢力が増大し、(B2)の回転力が増大する。 その結果、原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属するとき、原稿圧着板23の回動角度θが変化しても(A2)の回転力と(B2)の回転力とが平衡する。より厳密には、原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属するときには原稿圧着板23の回動角度θが変化しても(A2)の回転力と(B2)の回転力とが平衡するように第一カム部221aおよび当接部241の形状が予め設定される。 従って、原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属するときに作業者が原稿圧着板23から手を離した場合、原稿圧着板23の回動角度θは保持される。 【0123】 本実施形態における「落下領域」は(A2)の回転力が(B2)の回転力よりも大きくなる領域である。 原稿圧着板23が「落下領域」に属するときに作業者が原稿圧着板23から手を離した場合、原稿圧着板23は自重(厳密には、(A2)の回転力と(B2)の回転力との差分)により閉じる方向に回動する。 【0124】 原稿圧着板23が「落下領域」に属するとき、回動部材220の第一カム部221aは第一スライダ240の当接部241の当接面241aに当接する。 しかし、原稿圧着板23が「落下領域」に属するとき、原稿圧着板23の回動角度θが変化してもケース部材210に対する第一スライダ240の位置が変化しない。より厳密には、原稿圧着板23が「落下領域」に属するときには原稿圧着板23の回動角度θが変化してもケース部材210に対する第一スライダ240の位置が変化しないように第一カム部221aおよび当接部241の形状が予め設定される。 その結果、原稿圧着板23が「落下領域」に属するときには(B2)の回転力は実質的にゼロとなり、(A2)の回転力が(B2)の回転力よりも大きくなる。 【0125】 原稿圧着板23が「落下領域」に属するとき、回動部材220の第二カム部221bは第二スライダ260の当接面261に当接する。 従って、原稿圧着板23が「落下領域」に属する状態で原稿圧着板23が閉じる方向に回動した場合、ケース部材210が回動部材220に対して右側面視で時計回りに回動し、回動部材220の第二カム部221bと第二スライダ260の当接面261との当接部位が変化し、第二スライダ260は第二収容室212の内部に没入する方向に移動する。」 「【0227】 以下では図52から図67を用いて本発明に係るヒンジの第五実施形態であるヒンジ500について説明する。 【0228】 図52および図53に示す如く、ヒンジ500は複合機51の本体52に原稿圧着板53を回動可能に連結する。 複合機51は事務機器の実施の一形態である。複合機51は本体52および原稿圧着板53を具備する。 複合機51、本体52および原稿圧着板53の基本的な構成および機能は図1に示す複合機11、本体12および原稿圧着板13と概ね同じであることから、説明を省略する。 【0229】 図53に示す如く、本実施形態のヒンジ500は、別体となる(分離された)二つの部品である主ヒンジ部材501および副ヒンジ部材502を具備する点において、これまでに説明した四つの実施形態(ヒンジ100、ヒンジ200、ヒンジ300およびヒンジ400)と異なる。 主ヒンジ部材501および副ヒンジ部材502は、互いに所定の間隔を空けて本体52および原稿圧着板53に固定される。 【0230】 以下では、図52から図60を用いて主ヒンジ部材501について説明する。 【0231】 主ヒンジ部材501は本発明に係る主ヒンジ部材の実施の一形態である。 図54から図58に示す如く、主ヒンジ部材501は主ケース部材510、主回動部材520、回動ピン530、第一スライダ540および第一バネ549を具備する。 【0232】 主ケース部材510は本発明に係る第一主ウイング部材の実施の一形態である。 本実施形態の主ケース部材510は樹脂製であり、射出成形により製造される。 図54、図57および図59に示す如く、主ケース部材510は概ね薄い直方体形状の部材である。 図58および図59に示す如く、主ケース部材510の内部には第一収容室511が形成される。 【0233】 第一収容室511は本発明に係る第一収容室の実施の一形態である。第一収容室511は主ケース部材510の内部に形成された空間である。 第一収容室511は主ケース部材510の基端部(主ケース部材510と主回動部材520とが回動可能に連結される位置に近い方の端部)において開口しており、当該開口している部分が第一開口部511aを成す。すなわち、第一収容室511は第一開口部511aを有する。第一開口部511aは本発明に係る第一開口部の実施の一形態である。 第一収容室511の内周面にはガイド溝511b・511bが形成される。ガイド溝511b・511bは第一収容室511の第一開口部511aから第一収容室511の奥に向かって(主ケース部材510の基端部から先端部に向かって)延びた溝である。」 「【0236】 図54および図59に示す如く、主ケース部材510の基端部には突起部514および突起部515が形成される。 突起部514は主ケース部材510の基端部かつ第一開口部511aの左側方に配置される突起であり、突起部515は主ケース部材510の基端部かつ第一開口部511aの右側方に配置される突起である。 突起部514には貫通孔514aが形成され、突起部515には貫通孔515aが形成される。 貫通孔514aおよび貫通孔515aは一直線に並んで配置され、貫通孔514aおよび貫通孔515aを合わせたものは実質的に主ケース部材510の左側面から右側面までを貫通する。 貫通孔514aおよび貫通孔515aの長手方向(軸線方向)は左右方向に対して平行である。」 「【0238】 主回動部材520は本発明に係る第二主ウイング部材の実施の一形態である。 本実施形態の主回動部材520は樹脂製であり、射出成形により製造される。 図54、図57および図60に示す如く、主回動部材520は胴体部521および取り付け部522を有する。 【0239】 胴体部521は主回動部材520の上半部を成す部分である。図60に示す如く、本実施形態の胴体部521は概ね直方体形状の部分である。 【0240】 胴体部521には第一カム部521aが形成される。 第一カム部521aは本発明に係る第一カム部の実施の一形態であり、胴体部521の上面から上方に突出する塊状の部分である。 第一カム部521aには貫通孔521bが形成される。貫通孔521bは第一カム部521aの左側面後部から右側面後部までを貫通する孔である。」 「【0243】 回動ピン530は本発明に係る回動軸の実施の一形態である。 図54および図56に示す如く、本実施形態の回動ピン530は胴体部531および頭部532を有し、胴体部531の一端部(先端部)にカシメ穴531aが形成される金属製の部材である。 本実施形態の回動ピン530の基本的な構成は図8に示す回動ピン130と略同じであるため説明を省略する。 図56に示す如く、回動ピン530の胴体部531を左から順に貫通孔514a、貫通孔521bおよび貫通孔515aに貫装することにより、主回動部材520は回動ピン530を介して主ケース部材510に回動可能に連結され、ひいては、主ヒンジ部材501により原稿圧着板53(の下面において後右端部となる部分)が本体52(の上面において後右端部となる部分)に回動可能に連結される。 【0244】 図54および図58に示す如く、主回動部材520が回動ピン530を介して主ケース部材510に回動可能に連結されたとき、第一カム部521aは主ケース部材510に形成された第一収容室511の第一開口部511aに対向する。 【0245】 第一スライダ540は本発明に係る第一スライド部材の実施の一形態である。 本実施形態の第一スライダ540は樹脂製であり、射出成形により製造される。 図58に示す如く、第一スライダ540は当接部541、ガイド部542・542および筒部543を有し、当接部541には当接面541aが形成される。 本実施形態の第一スライダ540の基本的な構成は図27に示す第一スライダ240と略同じであるため説明を省略する。 【0246】 図58に示す如く、第一スライダ540は主ケース部材510の第一収容室511に収容される。 第一収容室511に収容された第一スライダ540は第一収容室511の内周面に当接する。また、第一収容室511に収容された第一スライダ540は第一開口部511aから突出する方向(本実施形態では、上方)および第一収容室511の内部(奥部)に没入する方向(本実施形態では、下方)に移動可能である。 より詳細には、第一スライダ540が第一収容室511に収容されたとき、当接部541の薄い直方体部分の四つの端面はそれぞれ第一収容室511の内周面(四つの内壁面)に摺動可能に当接するとともに、ガイド部542・542はガイド溝511b・511bに摺動可能に係合する。 【0247】 第一バネ549は本発明に係る第一付勢部材の実施の一形態である。 本実施形態の第一バネ549は金属製の巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。 図58に示す如く、第一バネ549は主ケース部材510の第一収容室511に収容される。 第一収容室511に収容された第一バネ549の一端部は第一収容室511の底面に当接し、第一バネ549の他端部は第一スライダ540の筒部543に嵌装されるとともに当接部541の他方の板面(二分割された円柱形状の突起が積層されていない方の板面)に当接する。 従って、第一バネ549は第一スライダ540を第一収容室511の第一開口部511aから突出する方向に付勢し、第一スライダ540の当接部541の当接面541aは主回動部材520の第一カム部521aに当接する。 その結果、第一バネ549の付勢力は第一スライダ540を経て主回動部材520に伝達されるので、主ケース部材510は主回動部材520に対して右側面視で反時計回りに回動する方向に付勢され、原稿圧着板53は本体52に対して開く方向に付勢される(図52参照)。」 「【0250】 副ケース部材560は本発明に係る第一副ウイング部材の実施の一形態である。 本実施形態の副ケース部材560は樹脂製であり、射出成形により製造される。 図61、図64および図66に示す如く、副ケース部材560は概ね薄い直方体形状の部材である。 図65および図66に示す如く、副ケース部材560の内部には第二収容室561が形成される。 【0251】 第二収容室561は本発明に係る第二収容室の実施の一形態である。第二収容室561は副ケース部材560の内部に形成された空間である。 第二収容室561は副ケース部材560の基端部(副ケース部材560と副回動部材570とが回動可能に連結される位置に近い方の端部)において開口しており、当該開口している部分が第二開口部561aを成す。すなわち、第二収容室561は第二開口部561aを有する。第二開口部561aは本発明に係る第二開口部の実施の一形態である。 図66に示す如く、第二収容室561の内周面にはガイド溝561b・561bが形成される。ガイド溝561b・561bは第二収容室561の第二開口部561aから第二収容室561の奥に向かって(副ケース部材560の基端部から先端部に向かって)延びた溝である。」 「【0254】 図61および図66に示す如く、副ケース部材560の基端部には突起部564、突起部565、突起部566および突起部567が形成される。 突起部564は副ケース部材560の基端部かつ左端部となる位置に配置される突起であり、突起部565は副ケース部材560の基端部において突起部564の右側方かつ第二開口部561aの左側方となる位置に配置される突起であり、突起部566は副ケース部材560の基端部において第二開口部561aの右側方となる位置に配置される突起であり、突起部567は副ケース部材510の基端部かつ右端部となる位置(突起部566の右側方)に配置される突起である。 突起部564には貫通孔564aが形成され、突起部565には貫通孔565aが形成され、突起部566には貫通孔566aが形成され、突起部567には貫通孔567aが形成される。 貫通孔564a、貫通孔565a、貫通孔566aおよび貫通孔567aは一直線に並んで配置され、貫通孔564a、貫通孔565a、貫通孔566aおよび貫通孔567aを合わせたものは実質的に副ケース部材560の左側面から右側面までを貫通する。 貫通孔564a、貫通孔565a、貫通孔566aおよび貫通孔567aの長手方向(軸線方向)は左右方向に対して平行である。」 「【0256】 副回動部材570は本発明に係る第二副ウイング部材の実施の一形態である。 本実施形態の副回動部材570は樹脂製であり、射出成形により製造される。 図61、図64および図67に示す如く、副回動部材570は胴体部571、突起部572、突起部573および取り付け部574を有する。 【0257】 胴体部571は副回動部材570の上半部を成す塊状の部分である。 胴体部571には第二カム部571aが形成される。 第二カム部571aは本発明に係る第二カム部の実施の一形態であり、胴体部571の上面の前端部から上方に向かって突出する塊状の部分である。 【0258】 突起部572・573は胴体部571の基端部に形成される突起状の部分である。 より詳細には、突起部572は胴体部571の上面における左端部から上方に向かって突出する板状の部分であり、突起部573は胴体部571の上面における右端部から上方に向かって突出する板状の部分である。 図67に示す如く、突起部572には貫通孔572aが形成され、突起部573には貫通孔573aが形成される。 貫通孔572aおよび貫通孔573aは一直線に並んで配置され、貫通孔572aおよび貫通孔573aを合わせたものは実質的に副回動部材570の左側面から右側面までを貫通する。 貫通孔572aおよび貫通孔573aの長手方向(軸線方向)は左右方向に対して平行である。」 「【0260】 本実施形態では、本体52の上面において左後端部となる位置に形成された平面視略正方形状の穴(不図示)に取り付け部574を嵌装することにより、副回動部材570が本体52に固定される(図53参照)。 【0261】 回動ピン580は本発明に係る回動軸の実施の一形態である。 図61および図63に示す如く、本実施形態の回動ピン580は胴体部581および頭部582を有し、胴体部581の一端部(先端部)にカシメ穴581aが形成される金属製の部材である。 本実施形態の回動ピン580の基本的な構成は図8に示す回動ピン130と略同じであるため説明を省略する。 図63に示す如く、回動ピン580の胴体部531を左から順に貫通孔564a、貫通孔572a、貫通孔565a、貫通孔566a、貫通孔573aおよび貫通孔567aに貫装することにより、副回動部材570は回動ピン580を介して副ケース部材560に回動可能に連結され、ひいては、副ヒンジ部材502により原稿圧着板53(の下面において後左端部となる部分)が本体52(の上面において後左端部となる部分)に回動可能に連結される。 なお、主ヒンジ部材501および副ヒンジ部材502が本体52に原稿圧着板53を回動可能に連結したとき、主ヒンジ部材501の回動ピン530の軸線および副ヒンジ部材502の回動ピン580の軸線は一直線となる。 【0262】 図62および図65に示す如く、副回動部材570が回動ピン580を介して副ケース部材560に回動可能に連結されたとき、第二カム部571aは副ケース部材560に形成された第二収容室561の第二開口部561aに対向する。」 「【0267】 以下では、図52、図58および図65を用いて原稿圧着板53を閉じるときのヒンジ500の挙動について説明する。 本実施形態では原稿圧着板53が完全に閉じたとき、すなわち原稿圧着板53の下面が本体52の上面に当接しているときの原稿圧着板53の回動角度θ(本体52に対する原稿圧着板53の回動角度θ)を「0°」とし、原稿圧着板53が開く方向に回動した場合に回動角度θが増加する(回動角度θが正になる)ように原稿圧着板53の回動角度θを定義する(図52参照)。 【0268】 本実施形態では、原稿圧着板53の回動角度θが18°以上(θ≧18°)の場合には原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属し、原稿圧着板53の回動角度θが18°未満(0°≦θ<18°)の場合には原稿圧着板53が「落下領域」に属する。 【0269】 本実施形態における「フリーストップ領域」は、(A5)「原稿圧着板53の重量に起因して回動ピン530を中心として主ケース部材510に作用する回転力(モーメント)」と(B5)「第一バネ549の付勢力に起因して回動ピン530を中心として主ケース部材510に作用する回転力(モーメント)」とが平衡する領域である。 【0270】 原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属するとき、主回動部材520の第一カム部521aは第一スライダ540の当接部541の当接面541aに当接する(図58参照)。 また、原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属するとき、副回動部材570の第二カム部571aは第二スライダ590から離間しており、第二スライダ590に当接しない(図65参照)。 【0271】 原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板53が閉じる方向に回動した場合、(A5)の回転力は増大する。 一方、原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板53が閉じる方向に回動した場合、主ケース部材510が主回動部材520に対して(副ケース部材560が副回動部材570に対して)右側面視で時計回りに回動し、主回動部材520の第一カム部521aと第一スライダ540の当接部541の当接面541aとの当接部位が変化し、第一スライダ540は第一収容室511の内部に没入する方向に移動する。 第一スライダ540が第一収容室511の内部に没入する方向に移動することにより、第一バネ549は圧縮され(第一バネ549の全長は小さくなり)、第一バネ549の付勢力が増大し、(B5)の回転力が増大する。 その結果、原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属するとき、原稿圧着板53の回動角度θが変化しても(A5)の回転力と(B5)の回転力とが平衡する。より厳密には、原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属するときには原稿圧着板53の回動角度θが変化しても(A5)の回転力と(B5)の回転力とが平衡するように第一カム部521aおよび当接部541の形状が予め設定される。 従って、原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属するときに作業者が原稿圧着板53から手を離した場合、原稿圧着板53の回動角度θは保持される。 【0272】 本実施形態における「落下領域」は(A5)の回転力が(B5)の回転力よりも大きくなる領域である。 原稿圧着板53が「落下領域」に属するときに作業者が原稿圧着板53から手を離した場合、原稿圧着板53は自重(厳密には、(A5)の回転力と(B5)の回転力との差分)により閉じる方向に回動する。 【0273】 原稿圧着板53が「落下領域」に属するとき、主回動部材520の第一カム部521aは第一スライダ540の当接部541の当接面541aに当接する。 しかし、原稿圧着板53が「落下領域」に属するとき、原稿圧着板53の回動角度θが変化しても主ケース部材510に対する第一スライダ540の位置が変化しない。より厳密には、原稿圧着板53が「落下領域」に属するときには原稿圧着板53の回動角度θが変化しても主ケース部材510に対する第一スライダ540の位置が変化しないように第一カム部521aおよび当接部541の形状が予め設定される。 その結果、原稿圧着板53が「落下領域」に属するときには(B5)の回転力は実質的にゼロとなり、(A5)の回転力が(B5)の回転力よりも大きくなる。 【0274】 原稿圧着板53が「落下領域」に属するとき、副回動部材570の第二カム部571aは第二スライダ590の当接面591に当接する。 従って、原稿圧着板53が「落下領域」に属する状態で原稿圧着板53が閉じる方向に回動した場合、副ケース部材560が副回動部材570に対して右側面視で時計回りに回動し、副回動部材570の第二カム部571aと第二スライダ590の当接面591との当接部位が変化し、第二スライダ590は第二収容室561の内部に没入する方向に移動する。」 「【図18】 [図:0001433826000001.jpg] 」 「【図19】 [図:0001433826000002.jpg] 」 「【図20】 [図:0001433826000003.jpg] 」 「【図23】 [図:0001433826000004.jpg] 」 「【図25】 [図:0001433826000005.jpg] 」 「【図26】 [図:0001433826000006.jpg] 」 「【図52】 [図:0001433826000007.jpg] 」 「【図53】 [図:0001433826000008.jpg] 」 「【図54】 [図:0001433826000009.jpg] 」 「【図58】 [図:0001433826000010.jpg] 」 「【図59】 [図:0001433826000011.jpg] 」 「【図61】 [図:0001433826000012.jpg] 」 「【図63】 [図:0001433826000013.jpg] 」 「【図66】 [図:0001433826000014.jpg] 」 「【図67】 [図:0001433826000015.jpg] 」 イ 甲2の記載に基づいて当業者が把握できる事項 (ア)図23から、当業者は、「原稿圧着板23の回動角度θが「θ=35°」であるとき、第一カム部221aはケース部材210に形成された第一収容室211の第一開口部211aに対向している」ことを把握することができる。 (イ)図54及び59から、当業者は、「突起部514、515は、第一開口部511aの縁部から第一スライダ540の移動方向に沿って突出している」ことを把握することができる。 ウ 甲2に記載された発明 前記ア及びイから、甲2には、第二実施形態のヒンジ200に係る発明及び第五実施形態のヒンジ500に係る発明について、それぞれ、次の発明(以下、それぞれ、「甲2の1発明」及び「甲2の2発明」という。)が記載されていると認められる(参考までに、認定の根拠とした段落等と対応する図面を括弧内に記載する。以下同様。)。 <甲2の1発明(第二実施形態のヒンジ200に係る発明)> 「本体12に原稿圧着板23を開閉可能に連結するヒンジ200であって、 第一開口部211aを有する第一収容室211および第二開口部212aを有する第二収容室212が形成され、前記原稿圧着板23に固定されるケース部材210と、 前記本体12に固定され、前記ケース部材210に回動可能に連結される回動部材220と、 前記第一収容室211に収容され、前記第一収容室211の内周面に当接しつつ前記第一開口部211aから突出する方向および前記第一収容室211の内部に没入する方向に移動可能な第一スライダ240と、 前記第一収容室211に収容され、前記第一スライダ240を前記第一開口部211aから突出する方向に付勢する第一バネ250と、 前記第二収容室212に収容され、前記第二収容室212の内周面に当接しつつ前記第二開口部212aから突出する方向および前記第二収容室212の内部に没入する方向に移動可能な第二スライダ260と、 前記第二収容室212に収容され、前記第二スライダ260を前記第二開口部212aから突出する方向に付勢する第二バネ270と、 を具備し、 前記回動部材220には、前記第一スライダ240に当接する第一カム部221aが形成されるとともに前記第二スライダ260に当接する第二カム部221bが形成され、 前記第二スライダ260と前記第二収容室212の内周面との隙間には粘性体が配置されるヒンジであって、(請求項1。その際、当該請求項1の記載事項を第二実施形態における記載事項で適宜置き換えた。) 前記第一開口部211aおよび前記第二開口部212aは前記ケース部材110に対する前記回動部材220の回動軸の軸線方向に並んで配置され、 前記第一カム部221aおよび前記第二カム部221bは前記回動軸の軸線方向に並んで配置されるヒンジ200であって、(請求項4。その際、当該請求項4の記載事項を第二実施形態における記載事項で適宜置き換えた。) ケース部材210は概ね薄い直方体形状の部材であり、その内部には左側の空間に第一収容室211、右側の空間に第二収容室212の二つの空間が形成されており、(【0088】・【0089】・【0090】・図25) 第一収容室211はケース部材210の基端部(ケース部材210と回動部材220とが回動可能に連結される位置に近い方の端部)において開口しており、当該開口している部分が第一開口部211aを成し、(【0089】・図25) 第二収容室212はケース部材210の基端部において開口しており、当該開口している部分が第二開口部212aを成し、(【0090】・図25) ケース部材210の基端部には貫通孔215a・215b・215cが形成され、(【0093】・図25) 第一カム部221aには貫通孔221cが形成され、(【0097】・図26) 回動部材220の胴体部221には突起部221dが形成され、突起部221dには貫通孔221eが形成され、(【0099】・図26) 回動ピン230の胴体部231を左から順に貫通孔215a、貫通孔221c、貫通孔215b、貫通孔221e及び貫通孔215cに貫装することにより、回動部材220は回動ピン230を介してケース部材210に回動可能に連結され、(【0103】・図21・25・26) 回動部材220が回動ピン230を介してケース部材210に回動可能に連結されたとき、第一カム部221aはケース部材210に形成された第一収容室211の第一開口部211aに対向し、(【0104】・図23) 後述する原稿圧着板23の回動角度θが「θ=35°」であるとき、第一カム部221aはケース部材210に形成された第一収容室211の第一開口部211aに対向しており、(前記イ(ア)・図23) 第一スライダ240は当接部241、筒部243を有し、(【0105】・図23・図27) 第一スライダ240はケース部材240の第一収容室211に収容され、第一開口部211aから突出する方向及び第一収容室211の内部に没入する方向に移動可能であり、(【0109】・図23) 第一バネ250はケース部材210の第一収容室211に収容され、第一バネ250の一端部は第一収容室211の底面に当接し、第一バネ250の他端部は第一スライダ240の筒部243に嵌装されるとともに当接部241の他方の板面に当接し、第一バネ250は第一スライダ240を第一収容室211の第一開口部211aから突出する方向に付勢し、第一スライダ240の当接部241の当接面241aは回動部材220の第一カム部221aに当接し、(【0110】・図23) 原稿圧着板23が完全に閉じたとき、すなわち原稿圧着板23の下面が本体22の上面に当接しているときの原稿圧着板23の回動角度θを「0°」とし、原稿圧着板23が開く方向に回動した場合に回動角度θが増加するように原稿圧着板23の回動角度θを定義し、(【0118】・図18) 原稿圧着板23の回動角度θが35°以上の場合には原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属し、原稿圧着板23の回動角度θが35°未満の場合には原稿圧着板23が「落下領域」に属し、(【0119】・図18) 原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属するとき、回動部材220の第二カム部221bは第二スライダ260から離間しており、(【0121】・図24) 原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板23が閉じる方向に回動した場合、ケース部材210が回動部材220に対して右側面視で時計回りに回動し、回動部材220の第一カム部221aと第一スライダ240の当接部241の当接面241aとの当接部位が変化し、第一スライダ240は第一収容室211の内部に没入する方向に移動し、(【0122】・図18・図23) 原稿圧着板23が「落下領域」に属するとき、原稿圧着板23の回動角度θが変化してもケース部材210に対する第一スライダ240の位置が変化しないように第一カム部221a及び当接部241の形状が予め設定される、(【0124】・図18・図23) ヒンジ200。」 <甲2の2発明(第五実施形態のヒンジ500に係る発明)> 「本体52に原稿圧着板53を開閉可能に連結するヒンジ500であって、 主ヒンジ部材501と、 前記主ヒンジ部材501に対して別体となる副ヒンジ部材502と、 を具備し、 前記主ヒンジ部材501は、 第一開口部511aを有する第一収容室511が形成され、前記原稿圧着板53に固定される主ケース部材510と、 前記本体52に固定され、前記主ケース部材510に回動可能に連結される主回動部材520と、 前記第一収容室511に収容され、前記第一収容室511の内周面に当接しつつ前記第一開口部511aから突出する方向および前記第一収容室511の内部に没入する方向に移動可能な第一スライダ540と、 前記第一収容室511に収容され、前記第一スライダ540を前記第一開口部511aから突出する方向に付勢する第一バネ549と、 を具備し、 前記主回動部材520には、前記第一スライダ540に当接する第一カム部521aが形成され、 前記副ヒンジ部材502は、 第二開口部561aを有する第二収容室561が形成され、前記原稿圧着板53に固定される副ケース部材560と、 前記本体52に固定され、前記副ケース部材560に回動可能に連結される副回動部材570と、 前記第二収容室561に収容され、前記第二収容室561の内周面に当接しつつ前記第二開口部561aから突出する方向および前記第二収容室561の内部に没入する方向に移動可能な第二スライダ590と、 前記第二収容室561に収容され、前記第二スライダ590を前記第二開口部561aから突出する方向に付勢する第二バネ599と、 を具備し、 前記副回動部材570には、前記第二スライダ590に当接する第二カム部571aが形成され、 前記第二スライダ590と前記第二収容室561の内周面との隙間には粘性体が配置されるヒンジであって、(請求項9。その際、当該請求項9の記載事項を第五実施形態における記載事項で適宜置き換えた。) 主ケース部材510は概ね薄い直方体形状の部材であり、その内部には第一収容室511が形成され、(【0232】・図58・図59) 第一収容室511は主ケース部材510の基端部(主ケース部材510と主回動部材520とが回動可能に連結される位置に近い方の端部)において開口しており、当該開口している部分が第一開口部511aを成し、(【0233】・図59) 主ケース部材510の基端部には突起部514及び突起部515が形成され、突起部514には貫通孔514aが、突起部515には貫通孔515aが形成され、(【0236】・図59) 第一カム部521aには貫通孔521bが形成され、(【0240】・図60) 回動ピン530の胴体部531を左から順に貫通孔514a、貫通孔521b及び貫通孔515aに貫装することにより、主回動部材520は回動ピン530を介して主ケース部材510に回動可能に連結され、(【0243】・図54・図59・図60) 突起部514、515は、第一開口部511aの縁部から第一スライダ540の移動方向に沿って突出しており、(前記イ(イ)・図54・図59) 主回動部材520が回動ピン530を介して主ケース部材510に回動可能に連結されたとき、第一カム部521aは主ケース部材510に形成された第一収容室511の第一開口部511aに対向し、(【0244】・図58) 第一スライダ540は当接部541、筒部543を有し、(【0245】・図58) 第一スライダ540は主ケース部材510の第一収容室511に収容され、第一開口部511aから突出する方向及び第一収容室511の内部に没入する方向に移動可能であり、(【0246】・図58) 第一バネ549は主ケース部材510の第一収容室511に収容され、第一バネ549の一端部は第一収容室511の底面に当接し、第一バネ549の他端部は第一スライダ540の筒部543に嵌装されるとともに当接部541の他方の板面に当接し、第一バネ549は第一スライダ540を第一収容室511の第一開口部511aから突出する方向に付勢し、第一スライダ540の当接部541の当接面541aは主回動部材520の第一カム部521aに当接し、(【0247】・図58) 副ケース部材560は概ね薄い直方体形状の部材であり、その内部には第二収容室561が形成され、(【0250】・図66) 第二収容室561は副ケース部材560の基端部(副ケース部材560と副回動部材570とが回動可能に連結される位置に近い方の端部)において開口しており、当該開口している部分が第二開口部561aを成し、(【0251】・図66) 副ケース部材560の基端部には突起部564、突起部565、突起部566及び突起部567が形成され、突起部564には貫通孔564aが形成され、突起部565には貫通孔565aが形成され、突起部566には貫通孔566aが形成され、突起部567には貫通孔567aが形成され、(【0254】・図66) 副回動部材570の上半部を成す塊上の部分である胴体部571には第二カム部571aが形成され、(【0257】・図67) 突起部572・573は胴体部571の基端部に形成される突起状の部分であり、突起部572には貫通孔572aが形成され、突起部573には貫通孔573aが形成され、(【0258】・図67) 回動ピン580の胴体部531を左から順に貫通孔564a、貫通孔572a、貫通孔565a、貫通孔566a、貫通孔573a及び貫通孔567aに貫装することにより、副回動部材570は回動ピン580を介して副ケース部材560に回動可能に連結され、(【0261】・図61・図63) 副回動部材570が回動ピン580を介して副ケース部材560に回動可能に連結されたとき、第二カム部571aは副ケース部材560に形成された第二収容室561の第二開口部561aに対向し、(【0262】・図65) 原稿圧着板53が完全に閉じたとき、すなわち原稿圧着板53の下面が本体52の上面に当接しているときの原稿圧着板53の回動角度θ(本体52に対する原稿圧着板53の回動角度θ)を「0°」とし、原稿圧着板53が開く方向に回動した場合に回動角度θが増加するように原稿圧着板53の回動角度θを定義し、(【0267】・図52)。 原稿圧着板53の回動角度θが18°以上(θ≧18°)の場合には原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属し、原稿圧着板53の回動角度θが18°未満(0°≦θ<18°)の場合には原稿圧着板53が「落下領域」に属し、(【0268】・図52) 原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属するとき、副回動部材570の第二カム部571aは第二スライダ590から離間しており、(【0270】・図65) 原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板53が閉じる方向に回動した場合、主ケース部材510が主回動部材520に対して(副ケース部材560が副回動部材570に対して)右側面視で時計回りに回動し、主回動部材520の第一カム部521aと第一スライダ540の当接部541の当接面541aとの当接部位が変化し、第一スライダ540は第一収容室511の内部に没入する方向に移動し、(【0271】・図52・図58・図65) 原稿圧着板53が「落下領域」に属するときには原稿圧着板53の回動角度θが変化しても主ケース部材510に対する第一スライダ540の位置が変化しないように第一カム部521aおよび当接部541の形状が予め設定される、(【0273】・図52・図58・図65) ヒンジ500。」 (2)甲3 ア 甲3に記載された事項 甲3には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 第一連結対象物と第二連結対象物とを回動可能に連結するヒンジであって、 前記第一連結対象物または前記第二連結対象物のうちいずれか一方に固定される第一ウイング部材と、 カム部を備え、前記第一連結対象物または前記第二連結対象物のうちいずれか他方に固定され、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、 前記第二ウイング部材に接近する方向である接近方向および前記第二ウイング部材から離間する方向である離間方向に移動可能に前記第一ウイング部材に支持されるスライド部材と、 一端部が前記第一ウイング部材に当接するとともに他端部が前記スライド部材に当接し、前記スライド部材を前記接近方向に付勢して前記スライド部材を前記カム部に当接させることにより、前記第二ウイング部材が前記第一ウイング部材に対して回動するように前記第二ウイング部材にトルクを付与する付勢部材と、 を具備し、 前記スライド部材は、 前記付勢部材の他端部に当接する受け部と、 前記カム部に当接するカム当接部と、 を備え、 前記カム当接部は前記受け部に固定され、または、前記受け部と一体的に成形され、 前記カム当接部は、前記受け部に対して、前記第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動軸の軸線方向にずれた位置に配置され、 前記カム当接部において前記カム部と当接する面は、前記受け部における前記接近方向側の端部よりも前記離間方向寄りとなる位置に配置されるヒンジ。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば事務機器の本体に事務機器の原稿圧着板を開閉可能に連結する等、第一連結対象物と第二連結対象物とを回動可能に連結するヒンジに関する。」 「【発明を実施するための形態】 【0015】 以下では、図面を参照し本発明に係るヒンジの実施の一形態であるヒンジ100について説明する。 【0016】 図1に示す如く、ヒンジ100は複合機1の本体2と原稿圧着板3とを回動可能に連結する。複合機1は事務機器の実施の一形態であり、本体2および原稿圧着板3を具備する。」 「【0021】 図1から図8に示す如く、ヒンジ100はケース10、アーム20、回動ピン30、スライダ40およびバネ50(図7参照)を具備する。 以下では、ヒンジ100を構成する各部材の詳細について説明する。 なお、以下では便宜上、図1において実線で示す如く複合機1の原稿圧着板3が本体2に対して閉じているときの複合機1の上下方向、前後方向および左右方向を基準として(原稿圧着板3が本体2に対して閉じているときの複合機1の上下方向、前後方向および左右方向と、原稿圧着板3が本体2に対して閉じているときの複合機1が具備するヒンジ100の上下方向、前後方向および左右方向と、を対応させて)説明を行う。 【0022】 以下では、主に図9を用いてケース10の詳細について説明する。 ケース10は本発明に係る第一ウイング部材の実施の一形態である。 図9に示す如く、本実施形態のケース10は左右方向に比べて前後方向に短い概ね直方体形状の部材であり、樹脂材料を一体成形することにより製造される。 【0023】 ケース10には収容室11が形成される。収容室11はケース10の内部に形成される空間であり、ケース10の後面に(後方に)開口している。収容室11の内周面は概ね、上面、下面、左側面、右側面および底面(前面)を有する。収容室11には後で詳述するスライダ40およびバネ50が収容される(図7参照)。」 「【0027】 ケース10にはアーム支持突起16・17が形成される。アーム支持突起16・17はそれぞれケース10の後面の左右端部(収容室11の開口部の左側方および右側方となる位置)から後方に突出する突起である。 アーム支持突起16には貫通孔16aが形成される。貫通孔16aはアーム支持突起16の左側面から右側面まで左右方向に貫通する。 アーム支持突起17には貫通孔17aが形成される。貫通孔17aはアーム支持突起17の左側面から右側面まで左右方向に貫通する。 ケース10を左右方向から見たとき、貫通孔16aおよび貫通孔17aは重なる(一直線に並ぶ)。 【0028】 図1に示す如く、ケース10は原稿圧着板3の後端部に固定される。 より詳細には、原稿圧着板3の下面の後端部に形成された空間(不図示)にケース10を収容し、位置決め突起12・13を原稿圧着板3の下面の後端部に形成された空間の上面に形成された位置決め穴(不図示)に嵌装し、貫通孔14・15にネジを貫装し、当該ネジを原稿圧着板3の下面の後端部に形成された空間の上面に形成されたネジ穴(不図示)に螺装する、という一連の作業を行うことにより、ケース10が原稿圧着板3の後端部に固定される。 【0029】 以下では、主に図10を用いてアーム20の詳細について説明する。 アーム20は本発明に係る第二ウイング部材の実施の一形態である。 図10に示す如く、本実施形態のアーム20は概ね上下方向に延びた形状の部材であり、樹脂材料を一体成形することにより製造される。 本実施形態のアーム20はアーム本体21、第一カム部22および第二カム部23を備える。 第一カム部22および第二カム部23を合わせたものは本発明に係るカム部の実施の一形態である(言い換えれば、本発明に係るカム部の実施の一形態は、第一カム部22および第二カム部23を有する)。第一カム部22は本発明に係る第一カム部の実施の一形態である。第二カム部23は本発明に係る第二カム部の実施の一形態である。」 「【0031】 第一カム部22はアーム本体21の上左端部に連なる部材であり、アーム本体21の前方および上方に突出した形状を有する。 第一カム部22の前方から前上部を経て上部までの部分には滑らかな曲面が形成され、当該曲面がカム面22aを成す。 第一カム部22には貫通孔22bが形成される。貫通孔22bは第一カム部22の後下部に配置され、第一カム部22の左側面から右側面まで左右方向に貫通する。 【0032】 第二カム部23はアーム本体21の上右端部に連なる部材であり、アーム本体21の前方および上方に突出した形状(本実施形態の場合、第一カム部22に対して左右対称となる形状)を有する。 第二カム部23の前方から前上部を経て上部までの部分には滑らかな曲面が形成され、当該曲面がカム面23aを成す。 第二カム部23には貫通孔23bが形成される。貫通孔23bは第二カム部23の後下部に配置され、第二カム部23の左側面から右側面まで左右方向に貫通する。 アーム20を左右方向から見たとき、貫通孔22bおよび貫通孔23bは重なる(一直線に並ぶ)。 図3、図5の(a)および図10に示す如く、第一カム部22および第二カム部23は左右方向に間隔を空けて配置される。」 「【0037】 図5の(a)に示す如く、回動ピン30の胴体部31は、左方向から右方向に向かってケース10のアーム支持突起16に形成された貫通孔16aおよびアーム20の第一カム部22に形成された貫通孔22bに貫装され、次いで「アーム20の第一カム部22および第二カム部23で挟まれる空間」を通り、続いてアーム20の第二カム部23に形成された貫通孔23bおよびケース10のアーム支持突起17に形成された貫通孔17aに貫装される。 本実施形態では貫通孔16aおよび貫通孔17aの内径(直径)は胴体部31の外径(直径)よりも僅かに小さく、かつ貫通孔22bおよび貫通孔23bの内径(直径)は胴体部31の外径(直径)よりも僅かに大きいので、回動ピン30はケース10に対して回動ピン30の軸線方向(本実施形態では、左右方向)に移動不能(ケース10から脱落不能)かつ回転不能に固定されるとともにアーム20に回動可能に軸支される。 従って、回動ピン30はケース10とアーム20とを回動可能に連結し、ひいては、ヒンジ100は本体2(の上面後端部)と原稿圧着板3(の下面後端部)とを回動可能に連結する。」 「【0040】 以下では、主に図11を用いてスライダ40の詳細について説明する。 スライダ40は本発明に係るスライド部材の実施の一形態である。 図11に示す如く、本実施形態のスライダ40は受け部41、第一カム当接部42および第二カム当接部43を備える。本実施形態のスライダ40は樹脂材料を一体成形することにより製造される(受け部41、第一カム当接部42および第二カム当接部43は一体的に成形される)。 受け部41は本発明に係る受け部の実施の一形態である。第一カム当接部42および第二カム当接部43を合わせたものは本発明に係るカム当接部の実施の一形態である(本発明に係るカム当接部の実施の一形態は、第一カム当接部42および第二カム当接部43を有する)。第一カム当接部42は本発明に係る第一カム当接部の実施の一形態である。第二カム当接部43は本発明に係る第二カム当接部の実施の一形態である。 【0041】 受け部41は前端部が開口し、かつ後端部が閉塞された概ね円筒形状の部分である。 受け部41にはバネ収容穴41aが形成される。バネ収容穴41aは受け部41の内周面および底面(受け部41の後端部を閉塞する板状の部分の前側の板面)で囲まれ、受け部41の前端面には開口するが、受け部41の後端面には開口しない(図7参照)。 【0042】 第一カム当接部42は受け部41の外周面の左端部に連なり、受け部41の外周面の左端部から左側方に突出したブロック状の部分である。 第一カム当接部42の後面には後方に突出する突起が形成され、当該突起の表面(後面)が第一カム当接面42aを成す。 図8および図11の(b)に示す如く、第一カム当接部42は受け部41の後端部よりも前方寄りとなる位置に配置される。従って、第一カム当接面42aも受け部41の後端部よりも前方寄りとなる位置に配置される。 第一カム当接部42の左上端部には摺動突起42bが形成される。摺動突起42bは前後方向に延びた形状の突起(突条)である。 【0043】 第二カム当接部43は受け部41の外周面の右端部に連なり、受け部41の外周面の右端部から右側方に突出したブロック状の部分である。 第二カム当接部43の後面には後方に突出する突起が形成され、当該突起の表面(後面)が第二カム当接面43aを成す。 図11の(b)に示す如く、第二カム当接部43は受け部41の後端部よりも前方寄りとなる位置に配置される。従って、第二カム当接面43aも受け部41の後端部よりも前方寄りとなる位置に配置される。 第二カム当接部43の右上端部には摺動突起43bが形成される。摺動突起43bは前後方向に延びた形状の突起(突条)である。 【0044】 第一カム当接部42および第二カム当接部43は左右方向に間隔を空けて配置される。 より詳細には、第二カム当接部43は受け部41を挟んで第一カム当接部42の反対側となる位置に配置される(第一カム当接部42は受け部41の左側方に配置され、第二カム当接部43は受け部41の右側方に配置される)。 【0045】 図2、図7および図8に示す如く、スライダ40はケース10の収容室11に収容される。 図7に示す如く、スライダ40が収容室11に収容されたとき、受け部41の外周面の上端部が湾曲面11aに当接し、受け部41の外周面の下端部が湾曲面11bに当接する。 図8に示す如く、スライダ40が収容室11に収容されたとき、第一カム当接部42の上面が収容室11の内周面における上面の左半部に当接し、第一カム当接部42の下面が収容室11の内周面における下面の左半部に当接する。 同様に、スライダ40が収容室11に収容されたとき、第二カム当接部43の上面が収容室11の内周面における上面の右半部に当接し、第二カム当接部43の下面が収容室11の内周面における下面の右半部に当接する。 また、スライダ40が収容室11に収容されたとき、第一カム当接部42の左側面は収容室11の内周面における左側面に当接し、摺動突起42bは摺動溝11cに嵌合する(図9、図11参照)。 同様に、スライダ40が収容室11に収容されたとき、第二カム当接部43の右側面は収容室11の内周面における右側面に当接し、摺動突起43bは摺動溝11dに嵌合する。 【0046】 従って、スライダ40が収容室11に収容されたとき、スライダ40はケース10に対して「ケース10に回動可能に連結されたアーム20に接近する方向(図7においては、後方)」および「ケース10に回動可能に連結されたアーム20から離間する方向(図7においては、前方)」には移動可能に支持される。 なお、以下では便宜上、「ケース10に支持されたスライダ40がケース10に回動可能に連結されたアーム20に接近する方向」を「スライダ40の接近方向」と定義し、「ケース10に支持されたスライダ40がケース10に回動可能に連結されたアーム20から離間する方向」を「スライダ40の離間方向」と定義し、「スライダ40の接近方向」および「スライダ40の離間方向」を合わせたものを「スライダ40の移動方向」と定義する。」 「【0048】 以下では、図1および図7を用いてバネ50の詳細について説明する。 バネ50は本発明に係る付勢部材の実施の一形態である。 本実施形態のバネ50は金属材料からなる巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。 図7に示す如く、バネ50はケース10の収容室11に収容される。 ケース10の収容室11に収容されたバネ50の一端部(前端部)は収容室11の底面(前面)に当接するとともに突起11eに嵌合し、バネ50の他端部(後端部)はスライダ40のバネ収容穴41aに挿入されるとともにバネ収容穴41aの底面(受け部41の後端部を閉塞する板状の部分の前側の板面)に当接する。 バネ50はスライダ40をケース10の収容室11の開口部から突出する方向、すなわち「スライダ40の接近方向(図7においては、後方)」に付勢し、スライダ40の第一カム当接部42の第一カム当接面42aをアーム20の第一カム部22のカム面22aに当接させ(図8参照)、スライダ40の第二カム当接部43の第二カム当接面43aをアーム20の第二カム部23のカム面23aに当接させる(図10、図11参照)。 その結果、バネ50の付勢力(圧縮される方向に弾性変形したバネ50が元の形状に戻ろうとする力)はスライダ40を経てアーム20に伝達され、アーム20はケース10に対して左側面視で反時計回りに回動する方向に付勢され(図7、図8参照)、原稿圧着板3は本体2に対して開く方向に付勢される(図1参照)。 このように、バネ50はアーム20がケース10に対して左側面視で反時計回りに回動するように(ひいては、原稿圧着板3が本体2に対して開く方向に回動するように)アーム20にトルクを付与する。 【0049】 組み立てられたヒンジ100においては、以下の(1-1)~(1-4)の事項が成立する。 【0050】 (1-1)第一カム当接部42および第二カム当接部43は、受け部41に対して「回動ピン30の軸線方向(本実施形態の場合、左右方向)」にずれた位置に配置される(図5の(a)、図11参照)。 【0051】 (1-2)第一カム当接面42a(第一カム当接部42において第一カム部22と当接する面)は、「受け部41におけるスライダ40の接近方向側の端部(受け部41の後端部)」よりも「スライダ40の離間方向寄り(前方寄り)」となる位置に配置される(図8参照)。 同様に、第二カム当接面43a(第二カム当接部43において第二カム部23と当接する面)は、「受け部41におけるスライダ40の接近方向側の端部(受け部41の後端部)」よりも「スライダ40の離間方向寄り(前方寄り)」となる位置に配置される。 【0052】 (1-3)受け部41は、第一カム部22および第二カム部23に対して、「回動ピン30の軸線方向(本実施形態の場合、左右方向)」にずれた位置に配置される(図3、図5参照)。 より詳細には、受け部41は、「回動ピン30の軸線方向(本実施形態の場合、左右方向)」において第一カム部22および第二カム部23で挟まれる位置に配置される(図3、図5参照)。 【0053】 (1-4)受け部41におけるスライダ40の接近方向側の端部(受け部41の後端部)が「回動ピン30の軸線方向(本実施形態の場合、左右方向)」において第一カム部22および第二カム部23で挟まれる空間に配置されることにより、受け部41におけるスライダ40の接近方向側の端部(受け部41の後端部)が「回動ピン30の軸線方向(本実施形態の場合、左右方向)」から見たときに第一カム部22および第二カム部23に重なる。」 「【0055】 以上の如くヒンジ100を構成することは、以下の利点を有する。 すなわち、第一カム当接部42および第二カム当接部43を受け部41に対して「回動ピン30の軸線方向(本実施形態の場合、左右方向)」にずれた位置に配置することにより、スライダ40を「従来のヒンジにおけるスライダ」に比べて「スライダ40の移動方向」において小さくする(短くする)ことが可能である。 その結果として、スライダ40を支持するケース10(ひいてはヒンジ100)を回動ピン30の軸線方向に垂直な方向において小さくすることが可能である。 また、第一カム当接面42aおよび第二カム当接面43aを受け部41の後端部よりも「スライダ40の離間方向寄り(前方寄り)」となる位置に配置することにより、「従来のヒンジにおけるスライダ」に比べてバネ50をよりアーム20に接近した位置(スライダ40の接近方向寄りとなる位置)に配置することが可能であり、この点からもスライダ40を「従来のヒンジにおけるスライダ」に比べて「スライダ40の移動方向」において小さくする(短くする)ことが可能である。」 「【図1】 [図:0001433826000016.jpg] 」 「【図2】 [図:0001433826000017.jpg] 」 「【図3】 [図:0001433826000018.jpg] 」 「【図5】 [図:0001433826000019.jpg] 」 「【図7】 [図:0001433826000020.jpg] 」 「【図8】 [図:0001433826000021.jpg] 」 「【図9】 [図:0001433826000022.jpg] 」 「【図10】 [図:0001433826000023.jpg] 」 「【図11】 [図:0001433826000024.jpg] 」 イ 甲3の記載に基づいて当業者が把握できる事項 (ア)図9から、当業者は「収容室11の開口がケース10の一方端部にある」ことを把握することができる。 (イ)図9において、収容室11にスライダ40(図11)が収容される形態を考慮すれば、当業者は、「アーム支持突起16・17は、収容室11の開口の縁部からスライダ40の移動方向に沿った位置に存在する部位である」ことを把握できる。 ウ 甲3に記載された発明 前記ア及びイから、甲3には、ヒンジ100に係る発明について、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 <甲3発明> 「本体2と原稿圧着板23とを回動可能に連結するヒンジ100であって、 前記原稿圧着板23に固定されるケース10と、 第一カム部22および第二カム部23を備え、前記本体2に固定され、前記ケース10に回動可能に連結されるアーム20と、 前記アーム20に接近する方向である接近方向および前記アーム20から離間する方向である離間方向に移動可能に前記ケース10に支持されるスライダ40と、 一端部が前記ケース10に当接するとともに他端部が前記スライダ40に当接し、前記スライダ40を前記接近方向に付勢して前記スライダ40を前記第一カム部22および第二カム部23に当接させることにより、前記アーム20が前記ケース10に対して回動するように前記アーム20にトルクを付与するバネ50と、 を具備し、 前記スライダ40は、 前記バネ50の他端部に当接する受け部41と、 前記第一カム部22および第二カム部23にそれぞれ当接する第一カム当接部42および第二カム当接部43と、 を備え、 前記第一カム当接部42および第二カム当接部43は前記受け部41に固定され、または、前記受け部41と一体的に成形され、 前記第一カム当接部42および第二カム当接部43は、前記受け部41に対して、前記ケース10に対するアーム20の回動軸の軸線方向にずれた位置に配置され、 前記第一カム当接部42および第二カム当接部43においてそれぞれ前記第一カム部22および第二カム部23と当接する面は、前記受け部41における前記接近方向側の端部よりも前記離間方向寄りとなる位置に配置されるヒンジ100であって、(請求項1。その際、当該請求項の記載事項をヒンジ100に係る実施形態における記載事項で適宜置き換えた。) ヒンジ100はケース10、アーム20、回動ピン30、スライダ40及びバネ50を具備し、(【0021】) ケース10には収容室11が形成され、収容室11はケース10の内部に形成される空間であり、ケース10の後面に開口しており、収容室11にはスライダ40及びバネ50が収容され、(【0023】・図9・図7) 前記開口がケース10の一方端部にあり、(前記イ(ア)・図9) ケース10にはアーム支持突起16・17が形成され、アーム支持突起16・17はそれぞれケース10の後面の左右端部から後方に突出する突起であり、アーム支持突起16には貫通孔16aが、アーム支持突起17には貫通孔17aが形成され、(【0027】・図9) アーム支持突起16・17は、収容室11の開口の縁部からスライダ40の移動方向に沿った位置に存在する部位であり、(前記イ(イ)・図9) ケース10は原稿圧着板3の後端部に固定され、(【0028】) アーム20はアーム本体21、第一カム部22及び第二カム部23を備え、(【0029】・図10) 第一カム部22はアーム本体21の上左端部に連なる部材であり、アーム本体21の前方及び上方に突出した形状を有し、第一カム部22には貫通孔22bが形成され、(【0031】・図10) 第二カム部23はアーム本体21の上右端部に連なる部材であり、アーム本体21の前方及び上方に突出した形状(第一カム部22に対して左右対称となる形状)を有し、第二カム部23には貫通孔23bが形成され、第一カム部22及び第二カム部23は左右方向に間隔を空けて配置され、(【0032】・図10) 回動ピン30の胴体部31は、左方向から右方向に向かってケース10のアーム支持突起16に形成された貫通孔16a及びアーム20の第一カム部22に形成された貫通孔22bに貫装され、次いで「アーム20の第一カム部22及び第二カム部23で挟まれる空間」を通り、続いてアーム20の第二カム部23に形成された貫通孔23b及びケース10のアーム支持突起17に形成された貫通孔17aに貫装され、回動ピン30はケース10とアーム20とを回動可能に連結し、(【0037】・図5) スライダ40は受け部41、第一カム当接部42及び第二カム当接部43を備え、(【0040】・図11) 受け部41は前端部が開口し、かつ後端部が閉塞された概ね円筒形状の部分であり、受け部41にはバネ収容穴41aが形成され、バネ収容穴41aは受け部41の内周面及び底面で囲まれ、受け部41の前端面に開口するが、受け部41の後端面に開口せず、(【0041】・図11) 第一カム当接部42は受け部41の外周面の左端部に連なり、受け部41の外周面の左端部から左側方に突出したブロック状の部分であり、(【0042】・図11) 第二カム当接部43は受け部41の外周面の右端部に連なり、受け部41の外周面の右端部から右側方に突出したブロック状の部分であり、(【0043】・図11) 第一カム当接部42及び第二カム当接部43は左右方向に間隔を空けて配置され、(【0044】・図11) スライダ40は、ケース10の収容室11に収容され、(【0045】・図7) スライダ40が収容室11に収容されたとき、スライダ40はケース10に対して「ケース10に回動可能に連結されたアーム20に接近する方向」及び「ケース10に回動可能に連結されたアーム20から離間する方向」には移動可能に支持され、(【0046】) バネ50はケース10の収容室11に収容され、(【0048】) ケース10の収容室11に収容されたバネ50の一端部(前端部)は収容室11の底面(前面)に当接するとともに突起11eに嵌合し、バネ50の他端部(後端部)はスライダ40のバネ収容穴41aに挿入されるとともにバネ収容穴41aの底面(受け部41の後端部を閉塞する板状の部分の前側の板面)に当接し、バネ50はスライダ40をケース10の収容室11の開口部から突出する方向、すなわち「スライダ40の接近方向」に付勢し、スライダ40の第一カム当接部42の第一カム当接面42aをアーム20の第一カム部22のカム面22aに当接させ、スライダ40の第二カム当接部43の第二カム当接面43aをアーム20の第二カム部23のカム面23aに当接させ、その結果、バネ50の付勢力(圧縮される方向に弾性変形したバネ50が元の形状に戻ろうとする力)はスライダ40を経てアーム20に伝達され、アーム20はケース10に対して左側面視で反時計回りに回動する方向に付勢され、原稿圧着板3は本体2に対して開く方向に付勢され、バネ50はアーム20がケース10に対して左側面視で反時計回りに回動するように(ひいては、原稿圧着板3が本体2に対して開く方向に回動するように)アーム20にトルクを付与し、(【0048】・図9・図11・図7・図8) 第一カム当接面42a(第一カム当接部42において第一カム部22と当接する面)は、「受け部41におけるスライダ40の接近方向側の端部(受け部41の後端部)」よりも「スライダ40の離間方向寄り(前方寄り)」となる位置に配置され、同様に、第二カム当接面43a(第二カム当接部43において第二カム部23と当接する面)は、「受け部41におけるスライダ40の接近方向側の端部(受け部41の後端部)」よりも「スライダ40の離間方向寄り(前方寄り)」となる位置に配置される、(【0051】・図8) ヒンジ100。」 (3)甲4 甲4には、以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、比較的軽量のカバーの開閉用に用いて好適なヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を用いた事務機器に関する。」 「【0022】 図5乃至図8に示すように、ヒンジ装置40は、事務機器本体10上に上下方向へ移動可能に差し込まれた取付部材50(図9)と、カバー23に取り付けられる支持部材60(図10、図11)と、取付部材50と支持部材60とを回動可能に連結しているヒンジシャフト70と、支持部材60の内部にヒンジシャフト70の軸方向と直交する方向(X軸方向)にスライド可能に設けられスライダ80(図12)と、スライダ80を取付部材50に向けて付勢する付勢手段としての鋼製の圧縮ばね90と、を有している。 このヒンジ装置40は、取付部材50が事務機器本体10上に取り付けられたものが示されているが、このものに限定されず、原稿圧着板20の側に取り付けるように構成してもよい。 【0023】 取付部材50は合成樹脂製の部材である。図5、図6乃至図9に示すように、取付部材50は、原稿圧着板20の取付孔24に上方から挿入して嵌め込まれる基部51と、原稿圧着板20の上方に突出する本体部52と、を有する。基部51の下端部には、取付孔24からの抜けを防止するための係合片51aが形成されている。取付部材50の本体部52の上端近傍の前後方向(X軸方向)の中央部には、ヒンジシャフト70が挿通されるシャフト孔52aが形成されている。シャフト孔52aは、本体部52を左右(Y軸方向)に貫通している。本体部52の上端部の前端部分にはカム部53が形成されている。本体部52の上端部の後縁部には、スライダ80に形成された後述する摺接面85a(図12)と接する摺接面52bが形成されている。本体部52の上端の前後方向の中央部には、スライダ80に形成された後述する係合部81bと係合する係合部52cが形成されている。 【0024】 図7及び図8に示すように、支持部材60は、カバー23に締着固定される外側ハウジング61と、外側ハウジング61に収容された内側ハウジング67と、から成る。」 「【図5】 [図:0001433826000025.jpg] 」 「【図6】 [図:0001433826000026.jpg] 」 「【図7】 [図:0001433826000027.jpg] 」 「【図8】 [図:0001433826000028.jpg] 」 「【図10】 [図:0001433826000029.jpg] 」 (4)甲5 甲5には、以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、二つの物品を相互に回動可能に連結するヒンジの技術に関する。」 「【0017】 ヒンジ10は、図1、図2及び図3に示すように、カム部材20、収容部材30、付勢部材であるバネ40、及び摺動部材50等を具備する。 【0018】 カム部材20は、図1、図2、図3及び図4に示すように、柱状の部材である。カム部材20には、カム部21とカム部材側ピン孔22とカム部材側突起部23と回動停止部24と後方突起部25とが形成される。このようなカム部材20は、例えば、樹脂材料を金型等によって成形することで構成される。 【0019】 カム部21は、カム部材20の上端部に形成される部分である。カム部21は後で詳述する摺動部材50の摺動部材側突起部52と当接する。図3に示す如く、カム部21は、カム部材20の上端部において、側面視で前方に膨らんだ略半楕円状に形成される。 なお、図3においては、摺動部材50及びカム部材20のそれぞれの構造を明確にするために、説明の便宜上、敢えて摺動部材50がカム部21から浮いた状態で描いている。」 「【図3】 [図:0001433826000030.jpg] 」 「【図5】 [図:0001433826000031.jpg] 」 (5)甲6 甲6には、以下の事項が記載されている。 「【請求項5】 複写機等の機器本体に取付けられたヒンジケースに上下スライド自在に挿設される取付ステムと、該取付ステムの上部にヒンジピンを介して回動自在に枢着されると共に原稿圧着板を一体的に取り付けるケース状の回動アームと、上記取付ステムの上部に一体的に設けられるカム部材と、上記回動アーム内に沿ってスライド自在に収められると共に前記カム部材に当接するスライダーと、上記回動アームの底壁と前記スライダーの間に収められて、該スライダーを上記カム部材のカム面に弾性的に当接せしめる圧縮スプリングと、から成る原稿圧着板の開閉装置において、 上記カム部材の両側面に第1圧入部を形成すると共に、該第1圧入部に摺接するように、上記回動アームの内側面に第2圧入部を形成することを特徴とする原稿圧着板の開閉装置。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は、複写機、ファクシミリ、スキャナ、プリンタ或いはそれらの複合機における原稿圧着板の開閉装置に関するものである。」 「【実施例2】 【0020】 図6および図7は、本発明装置の第2実施例を示すもので、本実施例装置は、複写機等の機器本体(図示せず)に取付けられたヒンジケース(図示せず)に上下スライド自在に挿設される取付ステム7と、該取付ステム7の上部にヒンジピン8を介して回動自在に枢着されると共に原稿圧着板(図示せず)を一体的に取り付けるケース状の回動アーム9と、上記取付ステム7の上部に一体的に設けられるカム部材10と、上記回動アーム9内に沿ってスライド自在に収められると共に前記カム部材10に当接するスライダー11と、上記回動アーム9の底壁と前記スライダー11の間に収められて、該スライダー11を上記カム部材10のカム面に弾性的に当接せしめる圧縮スプリング12と、から構成されている。 【0021】 図8(A)から明らかなように、上記カム部材10の両側面には、テーパー状の第1圧入部10aが形成されている。他方、図8(B)から明らかなように、上記回動アーム9の内側面であって、上記カム部材10の第1圧入部10aに対向する部分には、テーパー状の第2圧入部9aが形成されている。 【0022】 従って、上記回動アーム9に取り付けた原稿圧着板を閉じる際に、上記第2圧入部9aが上記第1圧入部10aに当接し、さらに、閉じる方向に回動すると、さらに圧接状態でスライド、すなわち摺接する。その結果、原稿圧着板の落下加速度が押さえられ、衝撃が緩和される。」 「【図6】 [図:0001433826000032.jpg] 」 「【図7】 [図:0001433826000033.jpg] 」 「【図8】 [図:0001433826000034.jpg] 」 2 無効理由1及び2についての当合議体の判断 (1)甲2の1発明を主引用発明とした場合 ア 対比 本件発明1と甲2の1発明とを対比すると以下のとおりである。 (ア)基本的な相当関係について a 甲2の1発明の「ヒンジ200」、「回動部材220」及び「ケース部材210」は、それぞれ、本件発明1の「ヒンジ」、「第一ウイング部材」及び「第二ウイング部材」に相当する。 b 甲2の1発明の「第一カム部221a」及び「第一スライダ240」は、それぞれ、本件発明1の「カム部」及び「スライダ」に相当する。 c 甲2の1発明の(第一スライダ240の)「当接部241」及び「第一バネ250」は、それぞれ、本件発明1の「当接部」及び「付勢部材」に相当する。 (イ)特定事項1A及び1Jについて 前記(ア)から、甲2の1発明は、本件発明1の特定事項1A及び1Jを備える。 (ウ)特定事項1Bについて a 甲2の1発明の「第一開口部211a」、「第一収容室211」及び「回動ピン230」は、それぞれ、本件発明1の「開口部」、「収容部」及び「回動軸」に相当する。なお、「第二収容室212」は、それに収容された「第二スライダ260」が、「原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属するとき、回動部材220の第二カム部221bから離間して」いることから特定事項1Eにおける、「第二ウイング部材の回動時に、」「前記カム部と前記当接部との当接により前記離間する方向へ移動」する構成を満たしているとはいえず、そのため、本件発明1の「収容部」には相当しない。 ここで、甲2の1発明の「第一開口部211a」と本件発明1の「開口部」との相当関係について、本件発明1の「開口部」は「筒状の部材」を構成する「第二ウイング部材」の開口部である一方、甲2の1発明の「第一開口部211a」は「第一収容室211」の開口部であるところ、本件発明1の当該「第二ウイング部材」と甲2の1発明の当該「第一収容室211」が相当関係にないことから、両者も相当関係にあるとはいえないが、甲2の1発明の「第一開口部211a」は、「ケース部材210の基端部(ケース部材210と回動部材220とが回動可能に連結される位置に近い方の端部)において開口して」いることから、「ケース部材210」の開口部をも構成しているといえるのであり、結局、上記の両者は相当関係にあるといってよい。 b 甲2の1発明の当該「ケース部材210」は、「概ね薄い直方体形状の部材であり、その内部には左側の空間に第一収容室211、右側の空間に第二収容室212の二つの空間が形成されて」いるところ、当該「第一収容室211」は、「第一開口部211a」を有するとともに、「第一スライド240」及び「第一バネ250」を収容するものである。そして、当該「第一収容室211」は、「第一バネ250」が当接する「底面」を有し、「ケース部材210」の基端部において開口している部分が「第一開口部211a」を成すものであるから、筒状といえるのであり、そうすると、当該「ケース部材210」は、本件発明1でいう「筒状の部材」といえるかはさておき、それの一部を構成する「第一収容室211」が筒状である以上、筒状の部分を含むといえる。 甲2の1発明の当該「第一収容室211」の「第一開口部211a」は、「ケース部材210の基端部(ケース部材210と回動部材220とが回動可能に連結される位置に近い方の端部)において開口して」いるものであるため、本件発明1でいう筒状の部材の「一方端部」にあるといえる。また、当該「第一収容室211」の「底面」は、本件発明1でいう「他方端部」にあるといえる。 c 甲2の1発明は、「ケース部材210」(本件発明1の「第二ウイング部材」に相当。)が、「原稿圧着板23」に固定されており、したがって、それ自体が回動するところ、このことに、「回動部材220が回動ピン230を介してケース部材210に回動可能に連結されたとき、第一カム部221aはケース部材210に形成された第一収容室211の第一開口部211aに対向」するものであることを併せ考慮すれば、当該「ケース部材210」は、本件発明1でいう「前記カム部を前記開口部付近に位置させつつ、前記第一ウイング部材に回動軸を介して回動可能に連結される」ものといえる。 d したがって、本件発明1と甲2の1発明は、「一方端部に開口部を有し、他方端部に底部を有する」筒状の部分を含み、「前記開口部に繋がった収容部を備え、前記カム部を前記開口部付近に位置させつつ、前記第一ウイング部材に回動軸を介して回動可能に連結される第二ウイング部材」を具備する点で共通するが、本件発明1の「第二ウイング部材」は、「筒状の部材」であるのに対し、甲2の1発明の「ケース部材210」は、それに含まれる「第一収容室211」が筒状とはいえるものの、「第二収容室212」も形成されていることから、当該「ケース部材210」全体をもって「筒状の部材」とはいえない。 (エ)特定事項1Cについて 甲2の1発明の「第一スライダ240」(本件発明1の「スライダ」に相当。)は、「当接部241」(本件発明1の「当接部」に相当。)「を有し」ている。 また、甲2の1発明は、「第一スライダ240」が「ケース部材240の第一収容室211に収容され、第一開口部211aから突出する方向及び第一収容室211の内部に没入する方向に移動可能であ」り、「第一カム部221aはケース部材210に形成された第一収容室211の第一開口部211aに対向して」いることから、甲2の1発明において、第一スライダ240の移動方向のうち、「第一開口部211aから突出する方向」及び「第一収容室211の内部に没入する方向」は、それぞれ、第一カム部221aに近づく方向及び離間する方向であるといえ、そのため、それぞれ、本件発明1の「前記カム部に対して接近する方向」及び「前記カム部に対して」「離間する方向」に相当する。 したがって、甲2の1発明は特定事項1Cを備える。 (オ)特定事項1Dについて 甲2の1発明の「第一バネ250」(本件発明1の「付勢部材」に相当。)は、「第一スライダ240を第一収容室211の第一開口部211aから突出する方向に付勢し、第一スライダ240の当接部241の当接面241aは回動部材220の第一カム部221aに当接」させるものである。 また、前記(エ)のとおり、甲2の1発明の「第一開口部211aから突出する方向」は、本件発明1の「前記カム部に対して接近する方向」に相当する。 したがって、甲2の1発明は特定事項1Dを備える。 (カ)特定事項1Eについて 甲2の1発明では「ケース部材210が原稿圧着板23に固定」されていることから、原稿圧着板23の回動が、ケース部材210(本件発明1の「第二ウイング部材」に相当。)の回動を意味する。 そして、甲2の1発明には、(i)「原稿圧着板23」が「フリーストップ領域」(回動角度θ≧35°)に属する状態と、(ii)「落下領域」(回動角度θ<35°)に属する状態があるところ、まず、(i)「原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板23が閉じる方向に回動した場合、ケース部材210が回動部材220に対して右側面視で時計回りに回動し、回動部材220の第一カム部221aと第一スライダ240の当接部241の当接面241aとの当接部位が変化し、第一スライダ240は第一収容室211の内部に没入する方向に移動」するものである。このように、甲2の1発明では、原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属する状態において、原稿圧着板23が閉じる方向に回動した場合に第一スライダ240は第一カム部221aと当接部241との当接により第一収容室211の内部に没入する方向に移動することになることから、逆に、原稿圧着板23が開く方向に回動した場合には、第一バネ250の付勢により第一スライダ240は逆方向、すなわち第一収容室211から突出する方向に移動すると認められる。 次に、甲2の1発明は「原稿圧着板23が「落下領域」に属するとき、原稿圧着板23の回動角度θが変化してもケース部材210に対する第一スライダ240の位置が変化しない」ものである。 以上によれば、甲2の1発明は、原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属する状態では、本件発明1の特定事項1Eを備えるものの、原稿圧着板23が「落下領域」に属する状態では、「原稿圧着板23の回動角度θが変化してもケース部材210に対する第一スライダ240の位置が変化しない」ものである。すなわち、本件発明1と甲2の1発明は、「前記スライダは、前記第二ウイング部材の回動時に、」前記第二ウイング部材の回動位置に応じて、「前記付勢部材による付勢により前記接近する方向に移動し、及び、前記カム部と前記当接部との当接により前記離間する方向へ移動」することを含む点で共通するが、前記スライダが、本件発明1は、「付勢部材による付勢によりカム部に対して接近する方向に移動し、カム部と当接部との当接によりカム部に対して離間する方向に移動する」のに対し、甲2の1発明は、原稿圧着板23の回動角度θが35°以上である「フリーストップ領域」では、そのようになっているものの、原稿圧着板23の回動角度θが35°未満である「落下領域」では、第一スライダ240のケース部材210に対する位置が変化しない。 (キ)特定事項1Fについて 甲2の1発明は、「原稿圧着板23の回動角度θが「θ=35°」であるとき、第一カム部221aはケース部材210に形成された第一収容室211の第一開口部211aに対向して」いることから、原稿圧着板23の回動角度θが「θ=35°」であるとき、第一カム部221aは第一収容室211の第一開口部211aと対向する位置、すなわち、第一カム部221aは第一収容室211の「外」に位置していると認められる。そして、「原稿圧着板23の回動角度θが35°以上の場合には原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属し、原稿圧着板23の回動角度θが35°未満の場合には原稿圧着板23が「落下領域」に属し、」「原稿圧着板23が「落下領域」に属するとき、原稿圧着板23の回動角度θが変化してもケース部材210に対する第一スライダ240の位置が変化しないように第一カム部221a及び当接部241の形状が予め設定される」ことから、原稿圧着板23の回動角度θが35°未満、すなわち図23に示される「θ=35°」の状態から原稿圧着板23を閉じる方向に回動させても、ケース部材210に対する第一スライダ240の位置が変化せず、前述した第一カム部221aは第一収容室211の「外」に位置している状態から変化しないこととなる。 そうすると、甲2の1発明は、θ=0°、すなわち原稿圧着板23が完全に閉じたとき、第一カム部221aは第一収容室211の「外」に位置していることとなり、そのため、本件発明1の「前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が閉状態のとき、前記当接部と前記カム部との当接する部分が第二ウイング部材の収容部内に位置」することと甲2の1発明とは、「前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が閉状態のとき、前記当接部と前記カム部との当接する部分が第二ウイング部材の収容部」付近「に位置」する点で共通するものの、前記当接部と前記カム部との当接する部分が、本件発明1は収容部「内」に位置しているのに対し、甲2の1発明は「収容室211」の外に位置している。 (ク)特定事項1G~1Iについて 特定事項1G~1Iは、第二ウイング部材の突出部、第一ウイング部材の支持部及び前記突出部と前記支持部に回動軸が挿入される貫通孔が設けられていることを特定するものであり、これらの特定事項により第一ウイング部材と第二ウイング部材の連結機構を特定するものであることから、一体のものとして検討するのが相当である。 a 甲2の1発明では、「ケース部材210の基端部には貫通孔215a・215b・215cが形成され」ており、「ケース部材210における貫通孔215a・215b・215cが形成された部分は、第一開口部211aの縁部から第一スライダ240の移動方向に沿って突出して」いるものである。 したがって、甲2の1発明において前記「貫通孔215a・215b・215cが形成された部分」は、いずれも、本件発明1の「突出部」であるといえる。 b 甲2の1発明では、「第一カム部221aには貫通孔221cが形成され」、「胴体部221には突起部221dが形成され、突起部221dには貫通孔221eが形成され」、「回動ピン230の胴体部231を左から順に貫通孔215a、貫通孔221c、貫通孔215b、貫通孔221e及び貫通孔215cに貫装することにより、回動部材220は回動ピン230を介してケース部材210に回動可能に連結される」ことから、ケース部材210と回動部材220には、回動ピン230が挿入される複数の貫通孔が設けられていると認められる。そして、ケース部材210と回動部材220とは、前述した複数の貫通孔に回動ピン230が挿入されることで連結されるものであるため、「回動部材220」(本件発明1の「第一ウイング部材」に相当。)におけるこれらの貫通孔が設けられる、「第一カム部221a」及び「突起部221d」は、いずれも、本件発明1の「支持部」に相当する。 c したがって、本件発明1と甲2の1発明は、「前記第二ウイング部材は、前記開口部の縁部から前記スライダの移動方向に沿って突出した突出部を有し、前記第一ウイング部材は、前記突出部」を支持する「支持部を有し、前記突出部と、前記」「支持部とには、前記回動軸が挿入される貫通孔が設けられている」点で共通するが、「支持部」が、本件発明1は、「前記突出部を間に挟む一対のものである」のに対し、甲2の1発明は、貫通孔221cが形成された第一カム部221a、及び胴体部221に形成された、貫通孔221eが形成された突起部211dからなるものであって、その支持の仕方が、回動ピン230の胴体部231を左から順に貫通孔215a、貫通孔221c、貫通孔215b、貫通孔221e及び貫通孔215cに貫装することにより、回動部材220は回動ピン230を介してケース部材210に回動可能に連結されるようにするものである。 イ 一致点及び相違点 前記アによれば、本件発明1と甲2の1発明は、次の点で一致し、次の点で相違する。 <一致点> 「カム部を備える第一ウイング部材と、 一方端部に開口部を有し、他方端部に底部を有する筒状の部分を含み、前記開口部に繋がった収容部を備え、前記カム部を前記開口部付近に位置させつつ、前記第一ウイング部材に回動軸を介して回動可能に連結される第二ウイング部材と、 当接部を備え、前記収容部内に収容されつつ前記カム部に対して接近する方向および離間する方向に移動可能なスライダと、 前記スライダを前記接近する方向に付勢することにより前記当接部を前記カム部に当接させる付勢部材と、を具備し、 前記スライダは、前記第二ウイング部材の回動時に、前記第二ウイング部材の回動位置に応じて、前記付勢部材による付勢により前記接近する方向に移動し、及び、前記カム部と前記当接部との当接により前記離間する方向へ移動することを含み、 前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が閉状態のとき、前記当接部と前記カム部との当接する部分が第二ウイング部材の収容部付近に位置し、 前記第二ウイング部材は、前記開口部の縁部から前記スライダの移動方向に沿って突出した突出部を有し、 前記第一ウイング部材は、前記突出部を支持する支持部を有し、 前記突出部と、前記支持部とには、前記回動軸が挿入される貫通孔が設けられている、 ヒンジ。」 <相違点1>(特定事項1B関係) 第二ウイング部材について、本件発明1は、筒状の部材であるのに対して、甲2の1発明は、それに含まれる「第一収容室211」が筒状とはいえるものの、「第二収容室212」も形成されていることから、当該「ケース部材210」全体をもって「筒状の部材」とはいえない点。 <相違点2>(特定事項1E関係) 第二ウイング部材の回動時のスライダについて、本件発明1は、付勢部材による付勢によりカム部に対して接近する方向に移動し、カム部と当接部との当接によりカム部に対して離間する方向に移動するものであるのに対して、甲2の1発明は、原稿圧着板23の回動角度θが35°以上である「フリーストップ領域」では、そのようになっているものの、原稿圧着板23の回動角度θが35°未満である「落下領域」では、第一スライダ240のケース部材210に対する位置が変化しない点。 <相違点3>(特定事項1F関係) 第一ウイング部材に対して第二ウイング部材が閉状態のとき、当接部とカム部との当接する部分について、本件発明1は、第二ウイング部材の収容部内に位置するのに対して、甲2の1発明は、第一収容室211の外に位置する点。 <相違点4>(特定事項1G~1I関係) 第一ウイング部材に有された支持部について、本件発明1は、前記突出部を間に挟む一対のものであるのに対し、甲2の1発明は、貫通孔221cが形成された第一カム部221a、及び胴体部221に形成された、貫通孔221eが形成された突起部211dからなるものであって、その支持の仕方が、回動ピン230の胴体部231を左から順に貫通孔215a、貫通孔221c、貫通孔215b、貫通孔221e及び貫通孔215cに貫装することにより、回動部材220は回動ピン230を介してケース部材210に回動可能に連結されるようにするものである点。 ウ 判断 (ア)無効理由1(対象は本件発明1及び2である。)について 前記イによれば、相違点1についてはともかく、相違点2~4は、明らかに実質的な相違点である。したがって、本件発明1が甲2の1発明であるとはいえない。 本件発明2は、本件発明1に従属することから、上記と同様である。 (イ)無効理由2(対象は本件発明3及び4である。)について 本件発明3は、本件発明1に従属することから、前記(ア)の説示を踏まえれば、甲2の1発明とは、少なくとも相違点2~4で相違することになる。 a そこで、事案に鑑み相違点3から検討すると、甲2の1発明は、前記ア(キ)(特定事項1Fについて)で説示したとおり、θ=0°、すなわち原稿圧着板23が完全に閉じたとき、第一カム部221aは第一収容室211の「外」に位置していることから、甲2の1発明から出発した当業者が相違点3に係る本件発明3の構成に至るためには、このときに、第一カム部221aが第一収容室211の「内」に位置するようにすることを要するといえる。 しかしながら、甲2にはそのようにすることの記載も示唆もないし、甲4~6をみても同様である。この点、請求人は、甲2にその旨記載があると主張するようであるが、根拠が全く不明である。 したがって、甲2の1発明から出発した当業者が、甲2の1発明及び甲2、4~6に記載された技術的事項に基づいて相違点3に係る本件発明3の構成に至るとはいえない。 b 次に相違点4を検討すると、甲2の1発明から出発した当業者が相違点4に係る本件発明3の構成に至るためには、「ケース部材210」(本件発明3の「第二ウイング部材」に相当。)の「貫通孔215a・215b・215cが形成された部分」(本件発明3の「突出部」に相当。)を支持するために「回動部材220」(本件発明3の「第一ウイング部材」に相当。)に設けられる構成について、当該「回動部材220」に本件発明3でいう「一対の支持部」に相当する構成を備えさせた上で、これらを備えさせられた構成により(「ケース部材210」の)当該「貫通孔215a・215b・215cが形成された部分」が間に挟まれるようにする必要があるとは、論理的には、いえる。 しかしながら、甲2には、そのようにすることについて記載も示唆もないし、そもそも、上記に関連する甲2の図25及び26をみても、そのように構成したものが、果たしてどのようなものとなるのかが全く観念できない。 また、甲2の1発明は、上記の「ケース部材210」における「貫通孔215a・215b・215cが形成された部分」を「回動部材220」に支持するための構成が、回動ピン230の胴体部231を左から順に貫通孔215a、貫通孔221c、貫通孔215b、貫通孔221e及び貫通孔215cに貫装することにより、回動部材220は回動ピン230を介してケース部材210に回動可能に連結されるものとなっているところ、このように構成されている理由は、甲2の1発明が、「ケース部材210」において、「第一収容室211」(本件発明3の「収容部」に相当。)のみならず、「第二収容室212」を備えるとともに、「回動部材220」において、「第一カム部221a」(本件発明3の「カム部」に相当。)のみならず、「第二カム部221b」を備えていることにある。しかるに、甲2の1発明における当該「第二収容室212」及び「第二カム部221b」は、「前記第二スライダ260と前記第二収容室212の内周面との隙間には粘性体が配置される」ことからも明らかなとおり、甲2の1発明が解決しようとする課題であるところの、原稿圧着板23を本体12に対して緩やかかつ確実に閉じることを可能にする(甲2の【0009】)という観点から設けられているのであり、そうである以上、甲2の1発明から出発した当業者が上記の構成を容易に変更するともいえない。 これに対して請求人は、判然としないものの、甲2には、主回動部材520(図60)について、本件発明3の相違点4に係る構成(支持部が、第二ウイング部材に有された突出部を間に挟む一対のものであること)が開示されている旨主張するようであるが、甲2にそのような開示があるとはいえない。また、当該主回動部材520は、第五実施形態のヒンジ500に係るものであって、甲2の1発明に係る第二実施形態のヒンジ200に係るものではないところ、両実施形態のヒンジは、ヒンジとしての基本的機能を果たす部分と上記で説示したところの粘性体が配置される部分が、一のヒンジに併せて組み込まれているのか、別々のヒンジに組み込まれているのかで全く異なるものであることから、当該両実施形態のヒンジに係る部材を互いに流用することが当業者にとって容易に可能であるともいえない。 そして、甲2の他の記載及び甲4~6をみても上記の判断を左右するものはない。 したがって、甲2の1発明から出発した当業者が、甲2、4~6に記載された技術的事項に基づいて相違点4に係る本件発明3の構成に至るとはいえない。 c 以上によれば、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲2の1発明、甲2、4~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 本件発明4も、本件発明3と同様に、甲2の1発明とは、少なくとも相違点2~4で相違することから、同様の議論が成り立つ。 (2)甲2の2発明を主引用発明とした場合 ア 対比 本件発明1と甲2の2発明とを対比すると以下のとおりである。 (ア)基本的な相当関係について a 甲2の2発明の「主ヒンジ部材501」に含まれる「主回動部材520」及び「主ケース部材510」は、それぞれ、本件発明1の「第一ウイング部材」及び「第二ウイング部材」に相当する。なお、「副ヒンジ部材502」に含まれる「副ケース部材560」は、前記(1)ア(ウ)aで説示したことと同様の理由で、それに収容された「第二スライダ590」が特定事項1Eを満たしているとはいえないため、同じく「副ヒンジ部材502」に含まれる「副ケース部材510」と併せて、ここでは、説示していない。 b 甲2の2発明の「第一カム部521a」及び「第一スライダ540」は、それぞれ、本件発明1の「カム部」及び「スライダ」に相当する。 c 甲2の2発明の(第一スライダ540の)「当接部541」及び「第一バネ549」は、それぞれ、本件発明1の「当接部」及び「付勢部材」に相当する。 (イ)特定事項1Aについて 前記(ア)から、甲2の2発明は、本件発明1の特定事項1Aを備える。 (ウ)特定事項1Bについて a 甲2の2発明の「第一開口部511a」、「第一収容室511」及び「回動ピン530」は、それぞれ、本件発明1の「開口部」、「収容部」及び「回動軸」に相当する。 b 甲2の2発明の「第一収容室511」は、「主ケース部材510」が、「概ね薄い直方体形状の部材であり、その内部には第一収容室511が形成され」ているものである。そして、当該「第一収容室511」は、「第一バネ549」が当接する「底面」を有し、主ケース部材510の基端部において開口している部分が第一開口部511aを成すものであるから、「筒状」であるといえる。 また、当該「第一収容室511」の「第一開口部511a」は、「主ケース部材510の基端部において開口している部分」であるため、本件発明1でいう筒状の部材の「一方端部」にあるといえる。また、当該「第一収容室511」の「底面」は、本件発明1でいう「他方端部」にあるといえる。 c 甲2の2発明は、「主ケース部材510」(本件発明1の「第二ウイング部材」に相当。)が、「原稿圧着板53」に固定されており、したがって、それ自体が回動するところ、このことに、「主回動部材520が回動ピン530を介して主ケース部材510に回動可能に連結されたとき、第一カム部521aは主ケース部材510に形成された第一収容室511の第一開口部511aに対向」するものであることを併せ考慮すれば、当該「主ケース部材510」は、本件発明1でいう「前記カム部を前記開口部付近に位置させつつ、前記第一ウイング部材に回動軸を介して回動可能に連結される第二ウイング部材」を具備するものといえる。 d したがって、甲2の2発明は、本件発明1の特定事項1Bを備える。 (エ)特定事項1Cについて 甲2の2発明の「第一スライダ540」(本件発明1の「スライダ」に相当。)は、「当接部541」(本件発明1の「当接部」に相当。)「を有し」ている。 また、甲2の2発明は、「第一スライダ540」が「主ケース部材510の第一収容室511に収容され、第一開口部511aから突出する方向及び第一収容室511の内部に没入する方向に移動可能であ」り、「第一カム部521aは主ケース部材510に形成された第一収容室511の第一開口部511aに対向し」ていることから、甲2の2発明において、第一スライダ540の移動方向のうち、「第一開口部511aから突出する方向」及び「第一収容室511の内部に没入する方向」は、それぞれ、第一カム部521aに近づく方向及び離間する方向であるといえ、そのため、それぞれ、本件発明1の「前記カム部に対して接近する方向」及び「前記カム部に対して」「離間する方向」に相当する。 したがって、甲2の2発明は特定事項1Cを備える。 (オ)特定事項1Dについて 甲2の2発明の「第一バネ549」(本件発明1の「付勢部材」に相当。)は、「第一スライダ540を第一収容室511の第一開口部511aから突出する方向に付勢し、第一スライダ540の当接部541の当接面541aは主回動部材520の第一カム部521aに当接」させるものである。 また、前記(エ)のとおり、甲2の2発明の「第一開口部511aから突出する方向」は、本件発明1の「前記カム部に対して接近する方向」に相当する。 したがって、甲2の2発明は特定事項1Dを備える。 (カ)特定事項1Eについて 前記(1)ア(カ)と同様の理由で、甲2の2発明の「主ヒンジ部材501」は、原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属する状態では、本件発明1の特定事項1Eを備えるものの、原稿圧着板53が「落下領域」に属する状態では、「原稿圧着板53の回動角度θが変化しても主ケース部材510に対する第一スライダ540の位置が変化しない」ものである。すなわち、本件発明1と甲2の2発明は、「前記スライダは、前記第二ウイング部材の回動時に、」前記第二ウイング部材の回動位置に応じて、「前記付勢部材による付勢により前記接近する方向に移動し、及び、前記カム部と前記当接部との当接により前記離間する方向へ移動」することを含む点で共通するが、前記スライダが、本件発明1は、「付勢部材による付勢によりカム部に対して接近する方向に移動し、カム部と当接部との当接によりカム部に対して離間する方向に移動する」のに対し、甲2の2発明は、原稿圧着板23の回動角度θが18°以上である「フリーストップ領域」では、そのようになっているものの、原稿圧着板23の回動角度θが18°未満である「落下領域」では、第一スライダ240のケース部材210に対する位置が変化しない。 (キ)特定事項1Fについて 甲2の2発明の「主ヒンジ部材501」は、「原稿圧着板53が「落下領域」に属するときには原稿圧着板53の回動角度θが変化しても主ケース部材510に対する第一スライダ540の位置が変化しないように第一カム部521aおよび当接部541の形状が予め設定される」ものであるものの、原稿圧着板53が閉状態のときの当接部541の位置は不明である(なお、甲2の2発明に係る図58は、甲2の1発明に係る図23とは異なり、回動角度θがフリーストップ領域の下限である回動角度(18°)に一致していないため、甲2の1発明における議論(前記(1)ア(キ))とは同様ではない。)。 したがって、本件発明1と甲2の2発明は、「前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が閉状態のとき、前記当接部と前記カム部との当接する部分が第二ウイング部材の収容部」付近「に位置」する点で共通するものの、前記当接部と前記カム部との当接する部分が、本件発明1は収容部「内」に位置しているのに対して、甲2の2発明では第一収容室511の内部に位置するのか外部に位置するのか不明である。 (ク)特定事項1G~1Iについて 前記(1)ア(ク)の冒頭で説示した理由により、特定事項1G~1Iは一体のものとして検討するのが相当である。 a 甲2の2発明の「主ヒンジ部材501」において、「主ケース部材510の基端部には突起部514及び突起部515が形成され」ており、「突起部514、515は、第一開口部511aの縁部から第一スライダ540の移動方向に沿って突出して」いるものである。 したがって、甲2の2発明の「主ケース部材510」(本件発明1の「第二ウイング部材」に相当。)の「突起部514」及び「突起部515」は、いずれも、本件発明1の「突出部」であるといえる。 b 甲2の2発明の「主ヒンジ部材501」において、「主回動部材520」(本件発明1の「第一ウイング部材」に相当。)に形成された「第一カム部521a」には「貫通孔521bが形成され」ており、「回動ピン530の胴体部531を左から順に貫通孔514a、貫通孔521b及び貫通孔515aに貫装することにより、主回動部材520は回動ピン530を介して主ケース部材510に回動可能に連結され」ることから、「主回動部材520」において貫通孔521bが設けられる第一カム部521aは、本件発明1の「支持部」に相当する。 c したがって、本件発明1と甲2の2発明は、「前記第二ウイング部材は、前記開口部の縁部から前記スライダの移動方向に沿って突出した突出部を有し、前記第一ウイング部材は前記突出部を」支持する「支持部を有し、前記突出部と、前記」「支持部とには、前記回動軸が挿入される貫通孔が設けられている」点で共通するが、「支持部」が、本件発明1は、「前記突出部を間に挟む一対のものである」のに対し、甲2の2発明は、一対の支持部とはいえずその支持の仕方が、回動ピン530の胴体部531を左から順に貫通孔514a、貫通孔521b及び貫通孔515aに貫装することにより、主回動部材520は回動ピン530を介して主ケース部材510に回動可能に連結されるようにするものである。 (ケ)特定事項1Jについて 本件発明1の「ヒンジ」と甲2の2発明の「ヒンジ500」は、ヒンジを構成するヒンジ構成部材である点で共通するが、ヒンジ構成部材が、本件発明1は「ヒンジ」であるのに対して、甲2の2発明は「主ヒンジ部材501」と「副ヒンジ部材502」を合わせた「ヒンジ500」である。 イ 一致点及び相違点 前記アによれば、本件発明1と甲2の2発明は、次の点で一致し、次の点で相違するか一応相違する。 <一致点> 「カム部を備える第一ウイング部材と、 一方端部に開口部を有し、他方端部に底部を有する筒状の部材であり、前記開口部に繋がった収容部を備え、前記カム部を前記開口部付近に位置させつつ、前記第一ウイング部材に回動軸を介して回動可能に連結される第二ウイング部材と、 当接部を備え、前記収容部内に収容されつつ前記カム部に対して接近する方向および離間する方向に移動可能なスライダと、 前記スライダを前記接近する方向に付勢することにより前記当接部を前記カム部に当接させる付勢部材と、を具備し、 前記スライダは、前記第二ウイング部材の回動時に、前記第二ウイング部材の回動位置に応じて、前記付勢部材による付勢により前記接近する方向に移動し、及び、前記カム部と前記当接部との当接により前記離間する方向へ移動することを含み、 前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が閉状態のとき、前記当接部と前記カム部との当接する部分が第二ウイング部材の収容部付近に位置し、 前記第二ウイング部材は、前記開口部の縁部から前記スライダの移動方向に沿って突出した突出部を有し、 前記第一ウイング部材は、前記突出部を支持する支持部を有し、 前記突出部と、前記支持部とには、前記回動軸が挿入される貫通孔が設けられている、 ヒンジ構成部材。」 <相違点5>(特定事項1E関係) 第二ウイング部材の回動時のスライダについて、本件発明1は、付勢部材による付勢によりカム部に対して接近する方向に移動し、カム部と当接部との当接によりカム部に対して離間する方向に移動するものであるのに対して、甲2の2発明は、原稿圧着板53の回動角度θが18°以上である「フリーストップ領域」でそのようになっているものの、原稿圧着板53の回動角度θが18°未満である「落下領域」では、第一スライダ540の主ケース部材510に対する位置が変化しない点。 <相違点6>(特定事項1F関係) 第一ウイング部材に対して第二ウイング部材が閉状態のとき、当接部とカム部との当接する部分について、本件発明1は、第二ウイング部材の収容部内に位置するのに対して、甲2の2発明は、第一収容室511の内部に位置するのか外部に位置するのか不明である点。 <相違点7>(特定事項1G~1I関係) 第一ウイング部材に有された支持部について、本件発明1は、前記突出部を間に挟む一対のものであるのに対し、甲2の2発明は、貫通孔521bが形成された第一カム部521aであって、その支持の仕方が、回動ピン530の胴体部531を左から順に貫通孔514a、貫通孔521b及び貫通孔515aに貫装することにより、主回動部材520は回動ピン530を介して主ケース部材510に回動可能に連結されるようにするものである点。 <相違点8>(特定事項1J関係) ヒンジ構成部材について、本件発明1は、「ヒンジ」であるのに対して、甲2の2発明は、「主ヒンジ部材501」と「副ヒンジ部材502」とを合わせた「ヒンジ500」である点。 ウ 判断 (ア)無効理由1(対象は本件発明1及び2である。)について 前記イによれば、相違点8についてはともかく、相違点5~7は、明らかに実質的な相違点である。したがって、本件発明1が甲2の2発明であるとはいえない。 本件発明2は、本件発明1に従属することから、上記と同様である。 (イ)無効理由2(対象は本件発明3及び4である。)について 本件発明3は、本件発明1に従属することから、甲2の2発明とは、相違点8についてはともかく、少なくとも相違点5~7で相違する。 a そこで、事案に鑑み相違点6から検討すると、前記(1)ウ(イ)aと同様に甲2にはそのようにすることの記載も示唆もなく、甲4~6をみても同様である。請求人の主張が採用できないことも同様である。 したがって、甲2の2発明から出発した当業者が、甲2の2発明及び甲2、4~6に記載された技術的事項に基づいて相違点6に係る本件発明3の構成に至るとはいえない。 b 次に相違点7を検討すると、甲2の2発明から出発した当業者が相違点7に係る本件発明3の構成に至るためには、少なくとも「主ヒンジ部材501」において、「主ケース部材510」(本件発明3の「第二ウイング部材」に相当。)の「突起部514」及び「突起部515」(いずれも、本件発明3の「突出部」に相当。)を支持するために「主回動部材520」(本件発明3の「第一ウイング部材」に相当。)に設けられる構成について、当該「主回動部材520」に本件発明3でいう「一対の支持部」に相当する構成を備えさせた上で、これらを備えさせられた構成により当該「突起部514」及び「突起部515」が間に挟まれるようにする必要があるとは、論理的には、いえるが、前記(1)ウ(イ)bで説示したことと同様に、甲2には、そのように構成することについて記載も示唆もないし、そもそも、そのように構成したものがどのようなものとなるのかが全く観念できない。 これに対して請求人は、前記(1)ウ(イ)bと同様の主張をするが、同様に、甲2には、主回動部材520(図60)について、本件発明3の相違点7に係る構成(支持部が、第二ウイング部材に有された突出部を間に挟む一対のものであること)が開示されているとはいえない。この点、「副回動部材570」(図67)には、一対のものが見て取れるが、これは「副ヒンジ部材502」に係るものであって、前記ア(ア)aで説示したとおり、本件発明3の「第一ウイング部材」には相当しないものであるし、「主ヒンジ部材501」と「副ヒンジ部材502」は、前記ウ(イ)bで説示したとおり、ヒンジとしての基本的機能を果たす部分と粘性体が配置される部分ということにおいて役割が全く異なるものであることから、これを「主回動部材520」として採用することが当業者にとって容易ともいえない。 そして、甲2の他の記載及び甲4~6をみても上記の判断を左右するものはない。 したがって、甲2の2発明から出発した当業者が、甲2、4~6に記載された技術的事項に基づいて、相違点7に係る本件発明3の構成に至るとはいえない。 c 以上によれば、本件発明3は、他の相違点について検討するまでもなく、甲2の2発明、甲2、4~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 本件発明4も、本件発明3と同様に、甲2の2発明とは、少なくとも相違点5~7で相違することから、同様の議論が成り立つ。 (3)小括 以上のとおり、本件発明1及び2は、甲2の1発明及び甲2の2発明ではなく、また、甲2の1発明及び甲2、4~6に記載された技術的事項に基づいて、又は甲2の2発明及び甲2、4~6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 そして、甲2の他の記載及び請求人が提出する他の証拠をみても、前記判断を左右するものはない。 したがって、本件発明1及び2は、甲2に記載された発明ではなく、また、本件発明3及び4は、甲2に記載された発明及び甲2、4~6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 無効理由3及び4についての当合議体の判断 (1)対比 本件発明1と甲3発明とを対比すると以下のとおりである。 ア 基本的な相当関係について (ア)甲3発明の「ヒンジ100」、「アーム20」及び「ケース10」は、それぞれ、本件発明1の「ヒンジ」、「第一ウイング部材」及び「第二ウイング部材」に相当する。 (イ)甲3発明の「第一カム部22」及び「第二カム部23」は、いずれも、本件発明1の「カム部」に相当する。 (ウ)甲3発明の「スライダ40」は、本件発明1の「スライダ」に相当する。 (エ)甲3発明の(スライダ40の)「第一カム当接部42」及び「第二カム当接部43」は、いずれも、本件発明1の「当接部」に相当する。 (オ)甲3発明の「バネ50」は、本件発明1の「付勢部材」に相当する。 イ 特定事項1A及び1Jについて 前記アから、甲3発明は、本件発明1の特定事項1A及び1Jを備えているといえる。 ウ 特定事項1Bについて (ア)甲3発明の「ケース10」(本件発明1の「第二ウイング部材」に相当。)は、一方に開口する空間である収容室11が形成されるため、当該「開口」及び「収容室11」は、それぞれ、本件発明1の「開口部」及び「収容部」に相当する。 ここで、本件発明1の「開口部」は「筒状の部材」を構成する「第二ウイング部材」の開口部である一方、甲3発明の「開口」は「収容室11」の開口であることから、両者は直ちに相当関係にあるものではないが、「収容室11」は、「ケース10の後面に開口して」いること」、及び「前記開口がケース10の一方端部にあ」ることから、甲3発明の「開口」は、「ケース10」の開口部を構成しているといえるから、結局、上記の両者は相当関係にあるといってよい。 また、甲3発明の「収容室11」は、「ケース10の後面に開口」する空間であり、当該「収容室11」は、バネ50が当接する底部を備え、前記開口が「ケース10の一方端部にあ」ることから、甲3発明の「開口」は、本件発明1でいう「一方端部」にあり、前記「収容室11」の「底面」は、本件発明1でいう「他方端部」にあるといえる。 (イ)甲3発明の「回動ピン30」は本件発明1の「回動軸」に相当する。そして、甲3発明の「ケース10とアーム20とを回動可能に連結する」「回動ピン30」は、アーム20に回動ピン30を介してケース10が回動可能に連結されるものと言えるため、甲3発明は、本件発明1でいう「第二ウイング部材」が「前記第一ウイング部材に回動軸を介して回動可能に連結される」ものといえる。 (ウ)甲3発明の「スライダ40」は、「ケース10の収容室11に収容され」、当該スライダ40の第一カム当接部42と第二カム当接部43は、収容室11の開口している側において、前記第一カム当接部42の第一カム当接面42a、第二カム当接部43の第二カム当接面43aが、それぞれ、第一カム部22、第二カム部23と当接することから、前記第一カム部22と第二カム部23は前記開口付近に位置するものと認められる。 (エ)したがって、甲3発明は、本件発明1の特定事項1Bを備える。 エ 特定事項1Cについて 甲3発明の「スライダ40」(本件発明1の「スライダ」に相当。)は、「第一カム当接部42及び第二カム当接部43」(いずれも本件発明1の「当接部」に相当。)「を備え」ている。 また、甲3発明の「スライダ40」は、「ケース10の収容室11に収容され、」「スライダ40はケース10に対して「ケース10に回動可能に連結されたアーム20に接近する方向」及び「ケース10に回動可能に連結されたアーム20から離間する方向」には移動可能に支持され」ており、スライダ40の移動方向のうち、「ケース10に回動可能に連結されたアーム20に接近する方向」及び「ケース10に回動可能に連結されたアーム20から離間する方向」は、それぞれ、「アーム20」に備えられた「第一カム部22及び第二カム部23」に近づく方向及び離間する方向であるといえ、そのため、それぞれ、本件発明1の「前記カム部に対して接近する方向」及び「前記カム部に対して」「離間する方向」に相当する。 したがって、甲3発明は特定事項1Cを備える。 オ 特定事項1Dについて 甲3発明の「バネ50」(本件発明1の「付勢部材」に相当。)は、「スライダ40をケース10の収容室11の開口部から突出する方向、すなわち「スライダ40の接近方向」に付勢し、スライダ40の第一カム当接部42の第一カム当接面42aをアーム20の第一カム部22のカム面22aに当接させ、スライダ40の第二カム当接部43の第二カム当接面43aをアーム20の第二カム部23のカム面23aに当接させ」るものである。 また、前記エのとおり、甲3発明の「ケース10に回動可能に連結されたアーム20に接近する方向」は、本件発明1の「前記カム部に対して接近する方向」に相当する。 したがって、甲3発明は特定事項1Dを備える。 カ 特定事項1Eについて 甲3発明において「ケース10は原稿圧着板3の後端部に固定」されていることから、原稿圧着板23の回動は、ケース10の回動(本件発明1の「第二ウイング部材の回動」に相当。)を意味する。 そして、甲3発明は、「バネ50の付勢力(圧縮される方向に弾性変形したバネ50が元の形状に戻ろうとする力)はスライダ40を経てアーム20に伝達され、アーム20はケース10に対して左側面視で反時計回りに回動する方向に付勢され、原稿圧着板3は本体2に対して開く方向に付勢され、バネ50はアーム20がケース10に対して左側面視で反時計回りに回動するように(ひいては、原稿圧着板3が本体2に対して開く方向に回動するように)アーム20にトルクを付与する」ものである。このように、甲3発明は、原稿圧着板3が本体2に対して開く方向にバネ50によりスライダ40を付勢しているところ、これを逆に言うと、原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動すると、スライダ40は第一カム部22及び第二カム部23と第一カム当接部42と第二カム当接部43との当接によりバネ50が圧縮される方向(すなわち、ケース10に回動可能に連結されたアーム20から離間する方向)に移動するものと認められる。 これに対して被請求人は、甲3の「スライダ40」は基本的に接近する方向にも離間する方向にも移動しない旨主張し、その根拠として、甲3発明のカム面22aが回動ピン30の軸心を中心とする円で構成されていることが図8から見て取れることを挙げるが、当該主張は甲3発明の認定の根拠となった甲3の【0046】の「スライダ40が収容室11に収容されたとき、スライダ40はケース10に対して「ケース10に回動可能に連結されたアーム20に接近する方向」及び「ケース10に回動可能に連結されたアーム20から離間する方向」には移動可能に支持される」という記載と明らかに整合しない上、図8という図面のみに基づいては、請求人の主張の妥当性を確認することはできない。 したがって、甲3発明は、本件発明1の特定事項1Eを備える。 キ 特定事項1Fについて 甲3発明のスライダ40は、「ケース10の収容室11に収容され」ているところ、スライダ40の第一カム当接面42a及び第二カム当接面43aは、スライダ40の「受け部41におけるスライダ40の接近方向側の端部(受け部41の後端部)」よりも「前方寄りとなる位置」に配置されることから、前記第一カム当接面42a及び第二カム当接面43aが配置されている位置は、常に、前記収容室11内であると認められる。 したがって、甲3発明は、本件発明1の特定事項1Fを備える。 ク 特定事項1G~1Iについて 前記(1)ア(ク)の冒頭で説示した理由により、特定事項1G~1Iは、一体のものとして検討するのが相当である。 (ア)甲3発明は、「ケース10にはアーム支持突起16・17が形成され、アーム支持突起16・17はそれぞれケース10の後面の左右端部から後方に突出する突起であり、アーム支持突起16には貫通孔16aが、アーム支持突起17には貫通孔17aが形成され」ており、当該「アーム支持突起16・17」は、「収容室11の開口の縁部からスライダ40の移動方向に沿った位置に存在する部位であ」る。 (イ)甲3発明は、「回動ピン30の胴体部31は、左方向から右方向に向かってケース10のアーム支持突起16に形成された貫通孔16a及びアーム20の第一カム部22に形成された貫通孔22bに貫装され、次いで「アーム20の第一カム部22及び第二カム部23で挟まれる空間」を通り、続いてアーム20の第二カム部23に形成された貫通孔23b及びケース10のアーム支持突起17に形成された貫通孔17aに貫装され、回動ピン30はケース10とアーム20とを回動可能に連結」するものであることから、ケース10のアーム突起部16・17の貫通孔16a・17aと、アーム20の第一カム部22と第二カム部23にそれぞれ形成された貫通孔22b・23bに、回動ピン30を貫装して、アーム20がケース10を支持するものであるといえるため、前記貫通孔22b・23bが設けられた「第一カム部22」及び「第二カム部23」は、いずれも、本件発明1の「支持部」に相当する。 (ウ)したがって、本件発明1と甲3発明とは、「前記第二ウイング部材は、前記開口部の縁部から前記スライダの移動方向に沿っ」た位置に存在する部位「を有し、前記第一ウイング部材は、前記」部位「を支持する一対の支持部を有し、」前記部位と、「前記一対の支持部とには、前記回動軸が挿入される貫通孔が設けられている」点で共通するが、前記部位が、本件発明1は、開口部の縁部からスライダの移動方向に沿って突出する突出部であって、「支持部」が「前記突出部を間に挟む」ものであるのに対し、甲3発明は、アーム支持突起16・17であるが、これは開口の縁部からスライダ40の移動方向に沿って突出する部位であるとはいえず、また、第一カム部22と第二カム部23が、アーム支持突起16・17を間に挟むものとはいえず、その支持の仕方が、回動ピン30の胴体部31は、左方向から右方向に向かってケース10のアーム支持突起16に形成された貫通孔16a及びアーム20の第一カム部22に形成された貫通孔22bに貫装され、次いで「アーム20の第一カム部22及び第二カム部23で挟まれる空間」を通り、続いてアーム20の第二カム部23に形成された貫通孔23b及びケース10のアーム支持突起17に形成された貫通孔17aに貫装されるようにするものである。 (2)一致点及び相違点 前記(1)によれば、本件発明1と甲3発明との一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「カム部を備える第一ウイング部材と、 一方端部に開口部を有し、他方端部に底部を有する筒状の部材であり、前記開口部に繋がった収容部を備え、前記カム部を前記開口部付近に位置させつつ、前記第一ウイング部材に回動軸を介して回動可能に連結される第二ウイング部材と、 当接部を備え、前記収容部内に収容されつつ前記カム部に対して接近する方向および離間する方向に移動可能なスライダと、 前記スライダを前記接近する方向に付勢することにより前記当接部を前記カム部に当接させる付勢部材と、を具備し、 前記スライダは、前記第二ウイング部材の回動時に、前記付勢部材による付勢により前記接近する方向に移動し、及び、前記カム部と前記当接部との当接により前記離間する方向へ移動し、 前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が閉状態のとき、前記当接部と前記カム部との当接する部分が第二ウイング部材の収容部内に位置し、 前記第二ウイング部材は、前記開口部の縁部から前記スライダの移動方向に沿った位置に存在する部位を有し、 前記第一ウイング部材は、前記部位を支持する一対の支持部を有し、 前記部位と、前記一対の支持部とには、前記回動軸が挿入される貫通孔が設けられている、 ヒンジ。」 <相違点9>(特定事項1G~1I関係) 第一ウイング部材に有された支持部、及び第二ウイング部材に有された(前記開口部の縁部から前記スライダの移動方向に沿った位置に存在する)部位について、本件発明1は、前記部位が前記スライダの移動方向に沿って突出した突出部であって、前記支持部が前記突出部を間に挟むものであるのに対し、甲3発明は、前記部位がアーム支持突起16・17であって、前記支持部が第一カム部22と第二カム部23であるが、第一カム部22と第二カム部23は、アーム支持突起16・17を間に挟むものとはいえず、その支持の仕方が、回動ピン30の胴体部31は、左方向から右方向に向かってケース10のアーム支持突起16に形成された貫通孔16a及びアーム20の第一カム部22に形成された貫通孔22bに貫装され、次いで「アーム20の第一カム部22及び第二カム部23で挟まれる空間」を通り、続いてアーム20の第二カム部23に形成された貫通孔23b及びケース10のアーム支持突起17に形成された貫通孔17aに貫装されるようにするものであって、前記部位が前記スライダの移動方向に沿った位置に存在する部位である点。 (3)判断 ア 無効理由3(対象は本件発明1及び2である。)について 前記(2)によれば、相違点9が存在することから、本件発明1が甲3発明であるとはいえない。 本件発明2は、本件発明1に従属することから、上記と同様である。 イ 無効理由4(対象は本件発明3及び4である。)について (ア)本件発明3は、本件発明1に従属することから、甲3発明とは、少なくとも相違点9で相違する。 そこで、相違点9を検討すると、甲3発明から出発した当業者が相違点9に係る本件発明3の構成に至るためには、「ケース10」(本件発明3の「第二ウイング部材」に相当。)の「アーム支持突起16・17」を支持するために「アーム20」(本件発明3の「第一ウイング部材」に相当。)に設けられる構成について、当該「アーム20」に本件発明3でいう「一対の支持部」に相当する構成を備えさせた上で、これらを備えさせられた構成により当該「アーム支持突起16・17」が間に挟まれるようにする必要があるとは、論理的には、いえる。 しかしながら、甲3には、そのようにすることについて記載も示唆もないし、そもそも、上記に関連する甲3の図9及び10をみても、そのように構成したものがどのようなものとなるのかが全く観念できない。 また、甲3発明は、上記の「ケース10」における「アーム支持突起16・17」を「アーム20」に支持するための構成が、回動ピン30の胴体部31を、左方向から右方向に向かってケース10のアーム支持突起16に形成された貫通孔16a及びアーム20の第一カム部22に形成された貫通孔22bに貫装され、次いで「アーム20の第一カム部22及び第二カム部23で挟まれる空間」を通り、続いてアーム20の第二カム部23に形成された貫通孔23b及びケース10のアーム支持突起17に形成された貫通孔17aに貫装されるようになっているところ、このように構成されている理由は、甲3発明が、「ケース10」の左右側にそれぞれ突出した「アーム支持突起16・17」に挟まれた位置に「スライダ40」の「第一カム当接部42」及び「第二カム当接部43」を備え、当該「第一カム当接部42」及び「第二カム当接部43」と「アーム20の第一カム部22及び第二カム部23」が当接することで、スライダ40を「従来のヒンジにおけるスライダ」に比べて「スライダ40の移動方向」において小さくする(短くする)ことを可能することにある(【0055】)。しかるに、甲3発明における当該「第一カム当接部42」、「第二カム当接部43」及び「第一カム部22及び第二カム部23」は、甲3発明が解決しようとする課題であるところの、スライダ40を「従来のヒンジにおけるスライダ」に比べて「スライダ40の移動方向」において小さくする(短くする)ことを可能にする(甲3の【0007】)という観点から設けられているのであり、そうである以上、甲3発明から出発した当業者が上記の構成を容易に変更するともいえない。 これに対して請求人は、甲3には、「ケース10」(本件発明3の「第二ウイング部材」に相当。)が、開口部の縁部からスライダ40の移動方向に沿って突出した突出部を有していること、「アーム20」(本件発明3の「第一ウイング部材」に相当。)が、前記突出部を間に挟む一対の「第1カム部22」及び「第2カム部23」を有していること、が開示されている旨主張する(なお、請求人の令和6年12月11日付け上申書の主張は、判然としないが、結局のところ、同旨であると解される。)が、甲3の図9及び10をみても、「アーム20の第一カム部22及び第二カム部23で挟まれる空間」に突出部が挟まれていないことは明らかであるから、請求人の主張を採用することができない。 そして、甲3の他の記載及び甲4~6をみても上記の判断を左右するものはない。 したがって、甲3発明から出発した当業者が、甲3、4~6に記載された技術的事項に基づいて、相違点9に係る本件発明3の構成に至るとはいえない。 (イ)以上によれば、本件発明3は、他の相違点について検討するまでもなく、甲3発明、甲3、4~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 本件発明4も、本件発明3と同様に、甲3発明とは、少なくとも相違点9で相違することから、同様の議論が成り立つ。 (4)小括 以上のとおり、本件発明1及び2は、甲3発明ではなく、また、甲3発明及び甲3、4~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 そして、甲3の他の記載及び請求人が提出する他の証拠をみても、前記判断を左右するものはない。 したがって、本件発明1及び2は、甲3に記載された発明ではなく、また、本件発明3及び4は、甲3に記載された発明及び甲3、4~6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、無効理由1~4はいずれも理由がないものであり、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件発明1~4についての特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-800001

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    共通の審決分類: 113・G03B、121・G03B
  • 2024-000861拒絶査定不服審判 / 2025-07-09 / 原査定取消(特許/登録すべき)光学式手ぶれ補正機構及び制御方法
    共通の審決分類: 113・G03B、121・G03B

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