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特許異議申立

2024-700271

ガス流の流速を測定する方法及び装置

審判番号
2024-700271
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-513828
登録番号
7350366
請求日
2024年03月26日
審決日
2026年01月29日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】プロメコン・プロセス・メジャーメント・コントロール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
  • 【権利者代理人】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
  • 【権利者代理人】蔵田 昌俊
  • 【権利者代理人】井上 正
  • 【異議申立人】テノヴァ・グッドフェロー・インコーポレイテッド
  • 【異議申立人代理人】黒田 晋平
  • 【異議申立人代理人】阿部 達彦
審判長/審判官
  • 審判長 濱本 禎広
  • 審判官 小島 寛史
  • 審判官 井海田 隆
分類
P1651.121-ZAA(G01P)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7350366号発明「ガス流の流速を測定する方法及び装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7350366号の特許請求の範囲及び図面を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲及び図面のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕について訂正することを認める。 特許第7350366号の請求項1、2、4、5、7、9、10に係る特許を取り消す。 特許第7350366号の請求項3、6、8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7350366号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、令和元年9月24日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年9月24日 独国)、令和5年9月15日にその特許権の設定登録がされ、同月26日に特許掲載公報が発行された。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和6年 3月26日 : 特許異議申立書の提出 (特許異議申立人テノヴァ・グッドフェロー・インコーポレイテ ッド、全請求項1~10に対して) 同年 6月20日付け: 取消理由通知書 同年 9月24日 : 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 同年12月17日 : 意見書の提出(特許異議申立人) 令和7年 3月19日付け: 取消理由通知書(決定の予告) 同年 6月20日 : 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 同年 7月23日付け: 訂正拒絶理由通知書 同年 9月12日 : 意見書及び手続補正書の提出(特許権者) 同年11月14日 : 意見書の提出(特許異議申立人) 以下、令和7年6月20日に提出され、同年9月12日に提出された手続補正書により補正された訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。また、2018年9月24日を以下「優先日」といい、令和6年6月20日付け取消理由通知を以下「先の取消理由通知」というとともに、令和7年3月19日付け取消理由通知(決定の予告)を以下、単に「取消理由通知(決定の予告)」という。さらに、令和7年6月20日に特許権者より提出された意見書を以下、単に「意見書」という。 また、本件訂正の請求により、令和6年9月24日に提出された訂正請求書による訂正(以下「先の訂正」という。)の請求は取り下げられたものとみなされる(特許法120条の5第7項)。 第2 本件訂正について 1 請求の趣旨 本件訂正に係る請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲及び図面を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲及び図面のとおり、訂正後の請求項1~10について訂正することを求めるものである。 2 本件訂正の前後の特許請求の範囲の記載 (1) 本件訂正前の特許請求の範囲の記載 本件訂正前(設定登録時)の特許請求の範囲の請求項1~10の記載は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~10に記載された、次のとおりのものである。 「【請求項1】 ガス流(14)の流速(v)を測定する方法であって、 (a)前記ガス流(14)の外側の第1の測定箇所(P1)において前記ガス流(14)のIR放射線のIR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定し、それにより第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))が得られる工程と、 (b)前記ガス流(14)の外側の第2の測定箇所(P2)において前記IR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定し、それにより第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))が得られる工程と、 (c)特に相互相関を用いて前記第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))及び前記第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))から経過時間(τ1)を算出する工程と、 (d)前記経過時間(τ1)から前記流速(vG)を算出する工程と、 を包含し、 (e)前記IR放射線パラメータ(Eg1)が少なくとも780nmの波長(λg1)で光電的に測定され、 (f)測定周波数(f)が少なくとも1キロヘルツである、 方法。 【請求項2】 (i)前記ガス流(14)が第1のガス(g1)及び少なくとも1つの第2のガス(g2)を含有するガス混合物の流れであり、 (ii)前記第1のガス(g1)が第1ガス励起波長(λg1)を有し、かつ (iii)前記IR放射線パラメータ(E)が前記第1ガス励起波長(λg1)での照射強度(Eg1)である、 ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 (i)前記第2のガス(g2)が第2ガス励起波長(λg2)を有し、 (ii)前記方法は、 (a)前記第1の測定箇所(P1)において前記第2ガス励起波長(λg2)での照射強度の形式の第2のIR放射線パラメータ(Eg2)を時間に依存して検出し、それにより第1の照射強度プロファイル(Eg2,1(t))が得られる工程と、 (b)前記第2の測定箇所(P2)において前記第2のIR放射線パラメータ(Eg2)を時間に依存して検出し、それにより第2の照射強度プロファイル(Eg2,2(t))が得られる工程と、 (c)特に相互相関を用いて前記第1、第2の照射強度プロファイル(Eg2,1(t))(Eg2,2(t))間の第2の経過時間(τ2)を算出する工程と、 (d)第1の経過時間(τ1)及び前記第2の経過時間(τ2)から前記流速(vG)を算出する工程と、 を包含することを特徴とする、請求項2に記載の方法。 【請求項4】 前記第1ガス励起波長(λg1)の周りの0.3μmの予め定められた第1の測定インターバル(Mg1)内にない、又は 前記第2ガス励起波長(λg2)の周りの0.3μmの第2の測定インターバル(Mg2)内にない、前記ガス流(14)のIR放射線をフィルタリング除去する工程 によって特徴付けられる、請求項3に記載の方法。 【請求項5】 前記IR放射線パラメータ(Eg1)は、最大でも15μmの波長(λg1)で測定されることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の方法。 【請求項6】 前記ガス流(14)の温度(T)が少なくとも1000℃であることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の方法。 【請求項7】 ガス流(14)の流速を測定する装置であって、 (a)第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))を得るために、前記ガス流(14)のIR放射線のIR放射線パラメータ(Eg1)を時間分解的に測定する第1のIR放射線センサ(22.1)と、 (b)第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))を得るために、前記ガス流(14)のIR放射線の前記IR放射線パラメータ(Eg1)を時間分解的に測定する第2のIR放射線センサ(22.2)と、 (c)特に相互相関を用いて前記第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))と前記第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))との間の経過時間(τ1)を自動的に算出するように、及び 前記経過時間(τ1)から前記流速(vG)を自動的に算出するように形成されている評価ユニット(32)、と を備え、 (d)前記第1、第2のIR放射線センサ(22)は、 光電式IR放射線センサであり、 下限波長(λmin)が少なくとも0.78μmである測定範囲Mを有し、かつ 少なくとも1キロヘルツの測定周波数(fmess)を有する、 装置。 【請求項8】 前記測定範囲(M)の上限波長(λmax)が最大でも15μmであることを特徴とする、請求項7に記載の装置。 【請求項9】 前記評価ユニット(32)は、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の方法を自動的に実行するように設定されていることを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の装置。 【請求項10】 (a)前記ガス流(14)を導く配管(18)であって、前記配管(18)からのIR放射線を検出するために前記第1のIR放射線センサ(22.1)及び前記第2のIR放射線センサ(22.2)が配置されている配管、又は (b)流出若しくは貫流開口部(38)であって、前記流出若しくは貫流開口部(38)から流れる前記ガス流(14)のIR放射線を検出するために前記第1のIR放射線センサ(22.1)及び前記第2のIR放射線センサ(22.2)が配置されている流出若しくは貫流開口部、 によって特徴付けられる、請求項7~請求項9のいずれか1項に記載の装置。」 (2) 本件訂正後の特許請求の範囲の記載 本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~10の記載は、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された、次のとおりのものである。下線は、訂正箇所を示す。 「【請求項1】 ガス流(14)の流速(v)を測定する方法であって、 (a)前記ガス流(14)の外側の第1の測定箇所(P1)において、第1のIR放射線センサを用いて、前記ガス流(14)の第1のIR放射線束のIR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定し、それにより第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))が得られる工程と、 (b)前記ガス流(14)の外側の第2の測定箇所(P2)において、第2のIR放射線センサを用いて、第2のIR放射線束の前記IR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定し、それにより第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))が得られる工程と、 (c)相互相関を用いて前記第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))及び前記第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))から経過時間(τ1)を算出する工程と、 (d)前記経過時間(τ1)から前記流速(vG)を算出する工程と、 を包含し、 (e)前記IR放射線パラメータ(Eg1)が少なくとも1.5μmの波長(λg1)、最大でも15μmの波長(λg1)で、かつ、0.5μm未満の波長幅で光電的に測定され、 (f)測定周波数(f)が少なくとも1キロヘルツであり、最大でも1MHzであり、 (g)前記ガス流(14)は配管中を導かれ、前記ガス流(14)は黒体放射をする粒子を含み、前記配管の壁は黒体放射をし、 (h)前記ガス流(14)の温度(T)が少なくとも1000℃であり、 (i)前記第1のIR放射線センサは、第1の直線上を進む前記第1のIR放射線束を検出するように配置され、前記第2のIR放射線センサは、第2の直線上を進む前記第2のIR放射線束を検出するように、そして2つの前記直線間の最小の距離を示す方向が流れの方向に延在するように配置され、2つの前記直線間の距離が測定距離であり、前記測定距離は、少なくとも、前記ガス流(14)の流速と1000ヘルツとの商に相当する、方法。 【請求項2】 ガス流(14)の流速(v)を測定する方法であって、 前記ガス流(14)が第1のガス(g1)及び少なくとも1つの第2のガス(g2)を含有するガス混合物の流れであり、 前記第1のガス(g1)が第1ガス励起波長(λg1)を有し、 前記第1ガス励起波長(λg1)での前記ガス流(14)のIR放射線照射強度が第1のIR放射線パラメータ(Eg1)であり、 前記第2のガス(g2)が第2ガス励起波長(λg2)を有し、 前記第2ガス励起波長(λg2)での前記ガス流(14)のIR放射線照射強度が第2のIR放射線パラメータ(Eg2)であり、 前記方法は、 (a1)前記ガス流(14)の外側の第1の測定箇所(P1)において、第1のIR放射線センサを用いて、第1のIR放射線束の前記第1のIR放射線パラメータ(Eg1)を時間分解的に測定し、それにより第1の照射強度プロファイル(Eg1,1(t))が得られる工程と、 (b1)前記ガス流(14)の外側の第2の測定箇所(P2)において、第2のIR放射線センサを用いて、第2のIR放射線束の前記第1のIR放射線パラメータ(Eg1)を時間分解的に測定し、それにより第2の照射強度プロファイル(Eg1,2(t))が得られる工程と、 (c1)相互相関を用いて前記第1の照射強度プロファイル(Eg1,1(t))及び前記第2の照射強度プロファイル(Eg1,2(t))から第1の経過時間(τ1)を算出する工程と、 (a2)前記第1の測定箇所(P1)において前記第2のIR放射線パラメータ(Eg2)を時間分解的に測定し、それにより第1の照射強度プロファイル(Eg2,1(t))が得られる工程と、 (b2)前記第2の測定箇所(P2)において前記第2のIR放射線パラメータ(Eg2)を時間分解的に測定し、それにより第2の照射強度プロファイル(Eg2,2(t))が得られる工程と、 (c2)相互相関を用いて前記第1の照射強度プロファイル(Eg2,1(t))及び前記第2の照射強度プロファイル(Eg2,2(t))から第2の経過時間(τ2)を算出する工程と、 (d)前記第1の経過時間(τ1)及び前記第2の経過時間(τ2)から前記流速(vG)を算出する工程と、を包含し、 (e)前記第1のIR放射線パラメータ(Eg1)及び前記第2のIR放射線パラメータ(Eg2)が、少なくとも1.5μmの波長(λg1)、最大でも15μmの波長(λg1)で、かつ、0.5μm未満の波長幅で光電的に測定され、 (f)測定周波数(f)が少なくとも1キロヘルツであり、最大でも1MHz であり、 (g)前記ガス流(14)は配管中を導かれ、前記ガス流(14)は黒体放射をする粒子を含み、前記配管の壁は黒体放射をし、 (h)前記ガス流(14)の温度(T)が少なくとも1000℃であり、 (i)前記第1のIR放射線センサは、第1の直線上を進む前記第1のIR放射線束を検出するように配置され、前記第2のIR放射線センサは、第2の直線上を進む前記第2のIR放射線束を検出するように、そして2つの前記直線間の最小の距離を示す方向が流れの方向に延在するように配置され、2つの前記直線間の距離が測定距離であり、前記測定距離は、少なくとも、前記ガス流(14)の流速と1000ヘルツとの商に相当することを特徴とする、方法。 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 前記第1ガス励起波長(λg1)の周りの0.3μmの予め定められた第1の測定インターバル(Mg1)内にない、又は 前記第2ガス励起波長(λg2)の周りの0.3μmの第2の測定インターバル(Mg2)内にない、前記ガス流(14)のIR放射線をフィルタリング除去する工程 によって特徴付けられる、請求項2に記載の方法。 【請求項5】 前記測定距離は、少なくとも50ミリメートルであり、最大でも1000ミリメートルであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。 【請求項6】 (削除) 【請求項7】 ガス流(14)の流速を測定する装置であって、 (a)第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))を得るために、前記ガス流(14)のIR放射線の第1のIR放射線束の第1のIR放射線パラメータ(Eg1)を時間分解的に測定する第1のIR放射線センサ(22.1)であって、前記ガス流(14)の外側の第1の測定箇所(P1)に配置された第1のIR放射線センサ(22.1)と、 (b)第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))を得るために、前記ガス流(14)のIR放射線の第2のIR放射線束の前記第1のIR放射線パラメータ(Eg1)を時間分解的に測定する第2のIR放射線センサ(22.2)であって、前記ガス流(14)の外側の第2の測定箇所(P2)に配置された第2のIR放射線センサ(22.2)と、 (c)相互相関を用いて前記第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))と前記第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))との間の経過時間(τ1)を自動的に算出するように、及び 前記経過時間(τ1)から前記流速(vG)を自動的に算出するように形成されている評価ユニット(32)、と を備え、 (d)前記第1、第2のIR放射線センサ(22)は、 光電式IR放射線センサであり、 下限波長(λmin)が少なくとも1.5μmであり、上限波長(λmax)が最大でも15μmであり、かつ、0.5μm未満の波長幅である測定範囲Mを有し、かつ 少なくとも1キロヘルツ、最大でも1MHzの測定周波数(fmess)を有し、 前記ガス流(14)は配管中を導かれ、前記配管の壁は黒体放射をし、 (e)前記第1のIR放射線センサは、第1の直線上を進む前記第1のIR放射線束を検出するように配置され、前記第2のIR放射線センサは、第2の直線上を進む前記第2のIR放射線束を検出するように、そして2つの前記直線間の最小の距離を示す方向が流れの方向に延在するように配置され、2つの前記直線間の距離が測定距離であり、前記測定距離は、少なくとも、前記ガス流(14)の流速と1000ヘルツとの商に相当する、装置。 【請求項8】 (削除) 【請求項9】 前記評価ユニット(32)は、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の方法を自動的に実行するように設定されていることを特徴とする、請求項7に記載の装置。 【請求項10】 (a)前記ガス流(14)を導く配管(18)であって、前記配管(18)からのIR放射線を検出するために前記第1のIR放射線センサ(22.1)及び前記第2のIR放射線センサ(22.2)が配置されている配管、又は (b)流出若しくは貫流開口部(38)であって、前記流出若しくは貫流開口部(38)から流れる前記ガス流(14)のIR放射線を検出するために前記第1のIR放射線センサ(22.1)及び前記第2のIR放射線センサ(22.2)が配置されている流出若しくは貫流開口部、によって特徴付けられる、請求項7又は請求項9に記載の装置。」 3 本件訂正の前後の図面の記載 (1) 本件訂正前の図面の記載 本件訂正前(設定登録時)の図面の記載は、願書に添付した図面に記載された、次のとおりのものである。 「【図1】 [図:0001439170000001.jpg] 【図2】 [図:0001439170000002.jpg] 【図3】 [図:0001439170000003.jpg] 」 (2) 本件訂正後の図面の記載 本件訂正後の図面の記載は、本件訂正請求書に添付した訂正図面に記載された、次のとおりのものである。 「【図1】 [図:0001439170000004.jpg] 【図2】 [図:0001439170000005.jpg] 【図3】 [図:0001439170000006.jpg] 」 4 本件訂正の内容 本件訂正は、一群の請求項〔1~10〕について訂正するものであるところ、本件訂正の内容を、訂正される記載のある請求項ごとに整理すると、以下の(1)から(11)に示す訂正事項1~訂正事項20からなる。ただし、後記(11)は、図面の記載に係る訂正事項を示したものである。 なお、一群の請求項の認定については、後記(12)において示したとおりである。 (1) 訂正事項1~5(請求項1の記載に係る訂正) ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「(a)前記ガス流(14)の外側の第1の測定箇所(P1)において前記ガス流(14)のIR放射線のIR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定し、」 と記載されているのを 「(a)前記ガス流(14)の外側の第1の測定箇所(P1)において、第1のIR放射線センサを用いて、前記ガス流(14)の第1のIR放射線束のIR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定し、」 に訂正する。 (請求項1の記載を引用する請求項9、10も同様に訂正する。) イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に 「(b)前記ガス流(14)の外側の第2の測定箇所(P2)において前記IR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定し、」 と記載されているのを 「(b)前記ガス流(14)の外側の第2の測定箇所(P2)において、第2のIR放射線センサを用いて、第2のIR放射線束の前記IR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定し、」 に訂正する。 (請求項1の記載を引用する請求項9、10も同様に訂正する。) ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に 「(c)特に相互相関」 と記載されているのを 「(c)相互相関」 に訂正する。 (請求項1の記載を引用する請求項9、10も同様に訂正する。) エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項1に 「(e)前記IR放射線パラメータ(Eg1)が少なくとも780nmの波長(λg1)で光電的に測定され、」 と記載されているのを 「(e)前記IR放射線パラメータ(Eg1)が少なくとも1.5μmの波長(λg1)、最大でも15μmの波長(λg1)で、かつ、0.5μm未満の波長幅で光電的に測定され、」 に訂正する。 (請求項1の記載を引用する請求項9、10も同様に訂正する。) オ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項1に 「(f)測定周波数(f)が少なくとも1キロヘルツである、 方法。」 と記載されているのを 「(f)測定周波数(f)が少なくとも1キロヘルツであり、最大でも1MHz であり、 (g)前記ガス流(14)は配管中を導かれ、前記ガス流(14)は黒体放射をする粒子を含み、前記配管の壁は黒体放射をし、 (h)前記ガス流(14)の温度(T)が少なくとも1000℃であり、 (i)前記第1のIR放射線センサは、第1の直線上を進む前記第1のIR放射線束を検出するように配置され、前記第2のIR放射線センサは、第2の直線上を進む前記第2のIR放射線束を検出するように、そして2つの前記直線間の最小の距離を示す方向が流れの方向に延在するように配置され、2つの前記直線間の距離が測定距離であり、前記測定距離は、少なくとも、前記ガス流(14)の流速と1000ヘルツとの商に相当する、方法。」 に訂正する。 (請求項1の記載を引用する請求項9、10も同様に訂正する。) (2) 訂正事項6(請求項2の記載に係る訂正) ア 訂正事項6-1 特許請求の範囲の請求項1の記載を引用する請求項2について、請求項1との引用関係を解消して独立形式に改める。 (請求項2の記載を引用する請求項4、5、9、10も同様に訂正する。) イ 訂正事項6-2 特許請求の範囲の請求項2により引用される請求項1に 「(a)前記ガス流(14)の外側の第1の測定箇所(P1)において前記ガス流(14)のIR放射線のIR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定し、それにより第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))が得られる工程と、 (b)前記ガス流(14)の外側の第2の測定箇所(P2)において前記IR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定し、それにより第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))が得られる工程と、 (c)特に相互相関を用いて前記第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))及び前記第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))から経過時間(τ1)を算出する工程と、 (d)前記経過時間(τ1)から前記流速(vG)を算出する工程と、 を包含し、」 と記載され、同請求項2に 「(iii)前記IR放射線パラメータ(E)が前記第1ガス励起波長(λg1)での照射強度(Eg1)である、」 と記載されているのを、独立形式により記載した本件訂正後の請求項2において、 「前記第1ガス励起波長(λg1)での前記ガス流(14)のIR放射線照射強度が第1のIR放射線パラメータ(Eg1)であり、 前記第2のガス(g2)が第2ガス励起波長(λg2)を有し、 前記第2ガス励起波長(λg2)での前記ガス流(14)のIR放射線照射強度が第2のIR放射線パラメータ(Eg2)であり、 前記方法は、 (a1)前記ガス流(14)の外側の第1の測定箇所(P1)において、第1のIR放射線センサを用いて、第1のIR放射線束の前記第1のIR放射線パラメータ(Eg1)を時間分解的に測定し、それにより第1の照射強度プロファイル(Eg1,1(t))が得られる工程と、 (b1)前記ガス流(14)の外側の第2の測定箇所(P2)において、第2のIR放射線センサを用いて、第2のIR放射線束の前記第1のIR放射線パラメータ(Eg1)を時間分解的に測定し、それにより第2の照射強度プロファイル(Eg1,2(t))が得られる工程と、 (c1)相互相関を用いて前記第1の照射強度プロファイル(Eg1,1(t))及び前記第2の照射強度プロファイル(Eg1,2(t))から第1の経過時間(τ1)を算出する工程と、 (a2)前記第1の測定箇所(P1)において前記第2のIR放射線パラメータ(Eg2)を時間分解的に測定し、それにより第1の照射強度プロファイル(Eg2,1(t))が得られる工程と、 (b2)前記第2の測定箇所(P2)において前記第2のIR放射線パラメータ(Eg2)を時間分解的に測定し、それにより第2の照射強度プロファイル(Eg2,2(t))が得られる工程と、 (c2)相互相関を用いて前記第1の照射強度プロファイル(Eg2,1(t))及び前記第2の照射強度プロファイル(Eg2,2(t))から第2の経過時間(τ2)を算出する工程と、 (d)前記第1の経過時間(τ1)及び前記第2の経過時間(τ2)から前記流速(vG)を算出する工程と、を包含し、」 に訂正する。 (請求項2の記載を引用する請求項4、5、9、10も同様に訂正する。) ウ 訂正事項6-3 特許請求の範囲の請求項2により引用される請求項1に 「(e)前記IR放射線パラメータ(Eg1)が少なくとも780nmの波長(λg1)で光電的に測定され、」 と記載されているのを、独立形式により記載した本件訂正後の請求項2において、 「(e)前記第1のIR放射線パラメータ(Eg1)及び前記第2のIR放射線パラメータ(Eg2)が、少なくとも1.5μmの波長(λg1)、最大でも15μmの波長(λg1)で、かつ、0.5μm未満の波長幅で光電的に測定され、」 に訂正する。 (請求項2の記載を引用する請求項4、5、9、10も同様に訂正する。) エ 訂正事項6-4 特許請求の範囲の請求項2により引用される請求項1に 「(f)測定周波数(f)が少なくとも1キロヘルツである、」 と記載されているのを、独立形式により記載した本件訂正後の請求項2において、 「(f)測定周波数(f)が少なくとも1キロヘルツであり、最大でも1MHz であり、 (g)前記ガス流(14)は配管中を導かれ、前記ガス流(14)は黒体放射をする粒子を含み、前記配管の壁は黒体放射をし、 (h)前記ガス流(14)の温度(T)が少なくとも1000℃であり、 (i)前記第1のIR放射線センサは、第1の直線上を進む前記第1のIR放射線束を検出するように配置され、前記第2のIR放射線センサは、第2の直線上を進む前記第2のIR放射線束を検出するように、そして2つの前記直線間の最小の距離を示す方向が流れの方向に延在するように配置され、2つの前記直線間の距離が測定距離であり、前記測定距離は、少なくとも、前記ガス流(14)の流速と1000ヘルツとの商に相当することを特徴とする、」 に訂正する。 (請求項2の記載を引用する請求項4、5、9、10も同様に訂正する。) (3) 訂正事項7(請求項3の記載に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4) 訂正事項8(請求項4の記載に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項4に 「請求項3に記載の方法。」 と記載されているのを 「請求項2に記載の方法。」 に訂正する。 (請求項4の記載を引用する請求項9、10も同様に訂正する。) (5) 訂正事項9(請求項5の記載に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項5に 「前記IR放射線パラメータ(Eg1)は、最大でも15μmの波長(λg1)で測定されることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の方法。」 と記載されているのを 「前記測定距離は、少なくとも50ミリメートルであり、最大でも1000ミリメートルであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。」 に訂正する。 (請求項5の記載を引用する請求項9、10も同様に訂正する。) (6) 訂正事項10(請求項6の記載に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 (7) 訂正事項11~15(請求項7の記載に係る訂正) ア 訂正事項11 特許請求の範囲の請求項7に 「(a)第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))を得るために、前記ガス流(14)のIR放射線のIR放射線パラメータ(Eg1)を時間分解的に測定する第1のIR放射線センサ(22.1)と、」 と記載されているのを 「(a)第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))を得るために、前記ガス流(14)のIR放射線の第1のIR放射線束の第1のIR放射線パラメータ(Eg1)を時間分解的に測定する第1のIR放射線センサ(22.1)であって、前記ガス流(14)の外側の第1の測定箇所(P1)に配置された第1のIR放射線センサ(22.1)と、」 に訂正する。 (請求項7の記載を引用する請求項9、10も同様に訂正する。) イ 訂正事項12 特許請求の範囲の請求項7に 「(b)第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))を得るために、前記ガス流(14)のIR放射線の前記IR放射線パラメータ(Eg1)を時間分解的に測定する第2のIR放射線センサ(22.2)と、」 と記載されているのを 「(b)第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))を得るために、前記ガス流(14)のIR放射線の第2のIR放射線束の前記第1のIR放射線パラメータ(Eg1)を時間分解的に測定する第2のIR放射線センサ(22.2)であって、前記ガス流(14)の外側の第2の測定箇所(P2)に配置された第2のIR放射線センサ(22.2)と、」 に訂正する。 (請求項7の記載を引用する請求項9、10も同様に訂正する。) ウ 訂正事項13 特許請求の範囲の請求項7に 「(c)特に相互相関」 と記載されているのを 「(c)相互相関」 に訂正する。 (請求項7の記載を引用する請求項9、10も同様に訂正する。) エ 訂正事項14 特許請求の範囲の請求項7に 「下限波長(λmin)が少なくとも0.78μmである測定範囲Mを有し、」 と記載されているのを 「下限波長(λmin)が少なくとも1.5μmであり、上限波長(λmax)が最大でも15μmであり、かつ、0.5μm未満の波長幅である測定範囲Mを有し、」 に訂正する。 (請求項7の記載を引用する請求項9、10も同様に訂正する。) オ 訂正事項15 特許請求の範囲の請求項7に 「少なくとも1キロヘルツの測定周波数(fmess)を有する、 装置。」 と記載されているのを 「少なくとも1キロヘルツ、最大でも1MHzの測定周波数(fmess)を有し、 前記ガス流(14)は配管中を導かれ、前記配管の壁は黒体放射をし、 (e)前記第1のIR放射線センサは、第1の直線上を進む前記第1のIR放射線束を検出するように配置され、前記第2のIR放射線センサは、第2の直線上を進む前記第2のIR放射線束を検出するように、そして2つの前記直線間の最小の距離を示す方向が流れの方向に延在するように配置され、2つの前記直線間の距離が測定距離であり、前記測定距離は、少なくとも、前記ガス流(14)の流速と1000ヘルツとの商に相当する、装置。」 に訂正する。 (請求項7の記載を引用する請求項9、10も同様に訂正する。) (8) 訂正事項16(請求項8の記載に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 (9) 訂正事項17(請求項9の記載に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項9に 「請求項7又は請求項8に記載の装置。」 と記載されているのを 「請求項7に記載の装置。」 に訂正する。 (請求項9の記載を引用する請求項10も同様に訂正する。) (10) 訂正事項18(請求項10の記載に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項10に 「請求項7~請求項9のいずれか1項に記載の装置。」 と記載されているのを 「請求項7又は請求項9に記載の装置。」 に訂正する。 (11) 訂正事項19~20(図面の記載に係る訂正) ア 訂正事項19 図2に「D」という符号が記載されているのを、「d」に訂正する。 イ 訂正事項20 図3に「D」という符号が記載されているのを、「d」に訂正する。 ウ 関係する請求項について 訂正事項19~20の訂正は、いずれも全請求項1~10に関係するものであるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条4項の規定に照らせば、一群の請求項〔1~10〕についてするものである。 (12) 一群の請求項について ア 本件訂正前の請求項1~6、9、10は、請求項2~6、9、10がそれぞれ訂正事項1~5によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるから、一群の請求項である。 イ 本件訂正前の請求項7~10は、請求項8~10がそれぞれ訂正事項11~15によって記載が訂正される請求項7に連動して訂正されるから、一群の請求項である。 ウ 上記ア及びイの二つの一群の請求項は、請求項9、10を含む点において共通するものであるから、本件訂正前の請求項1~10が一つの一群の請求項となる。 エ したがって、請求項1~10は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 第3 本件訂正の適否についての当合議体の判断 1 訂正の目的 (1) 訂正事項1~5(請求項1の記載に係る訂正) ア 訂正事項1 訂正事項1の訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「前記ガス流(14)の外側の第1の測定箇所(P1)において前記ガス流(14)のIR放射線のIR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定[する]」ことについて、「第1のIR放射線センサを用いて、」測定するものに限定するとともに、測定対象である「IR放射線のIR放射線パラメータ(E)」を、「第1のIR放射線束のIR放射線パラメータ(E)」に限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 イ 訂正事項2 訂正事項2の訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「前記ガス流(14)の外側の第2の測定箇所(P2)において前記IR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定[する]」ことについて、「第2のIR放射線センサを用いて、」測定するものに限定するとともに、測定対象である「前記IR放射線パラメータ(E)」を、「第2のIR放射線束の前記IR放射線パラメータ(E)」に限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 ウ 訂正事項3 訂正事項3の訂正は、先の取消理由通知における取消理由2(明確性要件違反)の理由(1)に対応するために、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「特に相互相関を用いて」という不明確な記載を、「相互相関を用いて」という明確な記載にするものであるから、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 エ 訂正事項4 訂正事項4の訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「前記IR放射線パラメータ(Eg1)」が「光電的に測定され[る]」波長範囲について、 「少なくとも780nmの波長(λg1)」 としていたものを、 「少なくとも1.5μmの波長(λg1)、最大でも15μmの波長(λg1)」 として、波長範囲を限定するともに、 「0.5μm未満の波長幅」 と波長幅を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 オ 訂正事項5 訂正事項5の訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「測定周波数(f)」について、 「少なくとも1キロヘルツ」 としていたものを、 「少なくとも1キロヘルツであり、最大でも1MHz」 と限定するとともに、特許請求の範囲の請求項1に 「(g)前記ガス流(14)は配管中を導かれ、前記ガス流(14)は黒体放射をする粒子を含み、前記配管の壁は黒体放射をし、 (h)前記ガス流(14)の温度(T)が少なくとも1000℃であり、 (i)前記第1のIR放射線センサは、第1の直線上を進む前記第1のIR放射線束を検出するように配置され、前記第2のIR放射線センサは、第2の直線上を進む前記第2のIR放射線束を検出するように、そして2つの前記直線間の最小の距離を示す方向が流れの方向に延在するように配置され、2つの前記直線間の距離が測定距離であり、前記測定距離は、少なくとも、前記ガス流(14)の流速と1000ヘルツとの商に相当する、」 との構成要件を付加するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (2) 訂正事項6(請求項2の記載に係る訂正) ア 訂正事項6-1について 訂正事項6-1は、特許請求の範囲の請求項1の記載を引用する請求項2について、請求項1との引用関係を解消して独立形式に改めるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものに該当する。 イ 訂正事項6-2について 訂正事項6-2の訂正は、(ア) 特許請求の範囲の請求項2に対して、請求項3の記載事項を追加して限定するとともに、訂正事項1及び訂正事項2と同様の内容の訂正をし、そのうえで、(イ) 先の取消理由通知における取消理由2(明確性要件違反)の理由(1)及び(2)に対応するために、本件訂正前の請求項2により引用される請求項1の「特に相互相関を用いて」という不明確な記載を、「相互相関を用いて」という明確な記載にするとともに、訂正前の記載を整理して「第1の経過時間(τ1)」及び「第2の経過時間(τ2)」の関係を明らかにするものである。 そうすると、訂正事項6-2の訂正は、前記(ア)の部分については、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とし、前記(イ)の部分については、同3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 ウ 訂正事項6-3について (ア) 訂正事項6-3の訂正は、訂正事項6-2の訂正に記載を整合させるために、「前記IR放射線パラメータ(Eg1)」を「前記第1のIR放射線パラメータ(Eg1)及び前記第2のIR放射線パラメータ(Eg2)」に訂正することを含むから、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする。 (イ) そして、前記(ア)以外の訂正内容は、訂正事項4と同様の内容であるから、同様の理由により、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする。 (ウ) 前記(ア)及び(イ)によれば、訂正事項6-3の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 エ 訂正事項6-4について 訂正事項6-4の訂正は、訂正事項5と同様の内容であるから、同様の理由により、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (3) 訂正事項7(請求項3の記載に係る訂正) 訂正事項7の訂正は、請求項3を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (4) 訂正事項8(請求項4の記載に係る訂正) 訂正事項8の訂正は、訂正事項7により請求項3が削除されたことに伴い、請求項4の引用請求項を「請求項3」から「請求項2」として、請求項の引用関係を整合させるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 (5) 訂正事項9(請求項5の記載に係る訂正) 訂正事項9の訂正は、「請求項1~請求項4」を引用している請求項5において、引用請求項を「請求項2」のみにすることを含むものである。 また、訂正事項6-3の訂正により、本件訂正前の請求項5に記載されていた「前記IR放射線パラメータ(Eg1)は、最大でも15μmの波長(λg1)で測定されること」は、訂正後の請求項5が引用する請求項2において特定されることになったところ、訂正事項9の訂正は、「前記測定距離は、少なくとも50ミリメートルであり、最大でも1000ミリメートルである」との構成要件を付加するものである。 そうすると、訂正事項9の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (6) 訂正事項10(請求項6の記載に係る訂正) 訂正事項10の訂正は、請求項6を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (7) 訂正事項11~15(請求項7の記載に係る訂正) ア 訂正事項11 訂正事項11の訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7の「第1のIR放射線センサ(22.1)」について、「前記ガス流(14)の外側の第1の測定箇所(P1)に配置された」ものに限定するとともに、測定対象である「IR放射線のIR放射線パラメータ(Eg1)」を、「IR放射線の第1のIR放射線束の第1のIR放射線パラメータ(Eg1)」に限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 イ 訂正事項12 訂正事項12の訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7の「第2のIR放射線センサ(22.2)」について、「前記ガス流(14)の外側の第2の測定箇所(P2)に配置された」ものに限定するとともに、測定対象である「IR放射線の前記IR放射線パラメータ(Eg1)」を「IR放射線の第2のIR放射線束の前記第1のIR放射線パラメータ(Eg1)」に限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 ウ 訂正事項13 訂正事項13の訂正は、訂正事項3と同様の内容であるから、同様の理由により、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 エ 訂正事項14 訂正事項14の訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7の「測定範囲M」について、 「下限波長(λmin)が少なくとも0.78μmである」 としていたものを、 「下限波長(λmin)が少なくとも1.5μmであり、上限波長(λmax)が最大でも15μmであり、かつ、0.5μm未満の波長幅である」 として、測定範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 オ 訂正事項15 訂正事項15の訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7の「測定周波数(fmess)」について、 「少なくとも1キロヘルツ」 としていたものを、 「少なくとも1キロヘルツ、最大でも1MHz」 と限定するとともに、特許請求の範囲の請求項7に 「前記ガス流(14)は配管中を導かれ、前記配管の壁は黒体放射をし、 (e)前記第1のIR放射線センサは、第1の直線上を進む前記第1のIR放射線束を検出するように配置され、前記第2のIR放射線センサは、第2の直線上を進む前記第2のIR放射線束を検出するように、そして2つの前記直線間の最小の距離を示す方向が流れの方向に延在するように配置され、2つの前記直線間の距離が測定距離であり、前記測定距離は、少なくとも、前記ガス流(14)の流速と1000ヘルツとの商に相当する」 との構成要件を付加するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (8) 訂正事項16(請求項8の記載に係る訂正) 訂正事項16の訂正は、請求項8を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (9) 訂正事項17(請求項9の記載に係る訂正) 訂正事項17の訂正は、「請求項1~請求項5」及び「請求項7又は請求項8」をそれぞれ引用している請求項9において、訂正事項16の訂正により請求項8が削除されたことに伴い、引用請求項を「請求項1~請求項5」及び「請求項7」とすることにより、引用関係を整合させるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 (10) 訂正事項18(請求項10の記載に係る訂正) 訂正事項18の訂正は、「請求項7~請求項9」を引用している請求項10において、訂正事項16の訂正により請求項8が削除されたことに伴い、引用請求項を「請求項7又は請求項9」とすることにより、引用関係を整合させるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 (11) 訂正事項19~20(図面の記載に係る訂正) ア 訂正事項19 訂正事項19の訂正は、図2に記載された符号における誤記である「D」を「d」に正すものであるから、特許法120条の5第2項ただし書2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに該当する。 イ 訂正事項20 訂正事項20の訂正は、図3に記載された符号における誤記である「D」を「d」に正すものであるから、特許法120条の5第2項ただし書2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに該当する。 2 新規事項の追加、特許請求の範囲の実質的拡張・変更 訂正事項1~18の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに該当しないから、これらの訂正における新規事項の追加の有無を判断する際の基準となる明細書等は、特許権の設定の登録がされた時点での願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、この明細書を「本件特許明細書」といい、これらを総称して「本件特許明細書等」という。)である。 また、訂正事項19~20の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに該当するから、これらの訂正における新規事項の追加の有無を判断する際の基準となる明細書等は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、この明細書を「当初明細書」といい、これらを総称して「当初明細書等」という。)である。 (1) 訂正事項1~5(請求項1の記載に係る訂正) ア 訂正事項1 訂正事項1における、特許請求の範囲の請求項1の「前記ガス流(14)の外側の第1の測定箇所(P1)において前記ガス流(14)のIR放射線のIR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定[する]」ことについて、「第1のIR放射線センサを用いて、」測定するものとするともに、測定対象である「IR放射線のIR放射線パラメータ(E)」を、「第1のIR放射線束のIR放射線パラメータ(E)」とする訂正は、以下に示す本件特許明細書の段落【0043】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。 「【0043】 測定装置20は、第1のIR放射線センサ22.1及び第2のIR放射線センサ22.2を備える。第1のIR放射線センサ22.1は、測定配管25.1を通って伝播する第1のIR放射線束24.1を検出するために配置されている。」 したがって、訂正事項1の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項1の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 イ 訂正事項2 訂正事項2における、特許請求の範囲の請求項1の「前記ガス流(14)の外側の第2の測定箇所(P2)において前記IR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定[する]」ことについて、「第2のIR放射線センサを用いて、」測定するものとするとともに、測定対象である「前記IR放射線パラメータ(E)」を、「第2のIR放射線束の前記IR放射線パラメータ(E)」とする訂正は、以下に示す本件特許明細書の段落【0048】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 「【0048】 第2のIR放射線センサ22.2は、第2の測定配管25.2内を伝播するIR放射線束24.2からの放射線を測定するように形成されている。第2のIR放射線束24.2のIR放射線は、例えば第2の分子26.2から出る。(後略)」 したがって、訂正事項2の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項2の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 ウ 訂正事項3 訂正事項3の訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「特に相互相関を用いて」という不明確な記載を、「相互相関を用いて」という明確な記載にするものであり、その記載本来の意味内容を明らかにするものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項3の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 エ 訂正事項4 (ア) 訂正事項4の訂正のうち、「前記IR放射線パラメータ(Eg1)」が「光電的に測定され[る]」波長範囲について、「少なくとも1.5μmの波長(λg1)、最大でも15μmの波長(λg1)」とする訂正は、以下に示す本件特許明細書の段落【0013】の記載、及び、願書に添付した特許請求の範囲の【請求項5】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 「【0013】 IR放射線パラメータが少なくとも0.78μm、特に少なくとも1.5μmの波長で測定されることが特に有利である。(後略)」 「【請求項5】 前記IR放射線パラメータ(Eg1)は、最大でも15μmの波長(λg1)で測定されることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の方法。 」 (イ) また、訂正事項4の訂正のうち、「前記IR放射線パラメータ(Eg1)」が「光電的に測定され[る]」波長幅について、「0.5μm未満の波長幅」とする訂正は、以下に示す本件特許明細書の段落【0022】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 「【0022】 IR放射線パラメータが第1ガス励起波長での照射強度であるという特徴は、特に、第1のガスの濃度の変化が、それ以外は同じ条件下でIR放射線パラメータの変化をもたらすことと解される。殊に、第1ガス励起波長を含む予め定められた測定インターバルの外にある放射線成分がフィルタリング除去される(herausgefiltert)。殊に、この測定インターバルのインターバル幅は0.5μm未満、殊に0.4μm未満である。」 (ウ) 前記(ア)及び(イ)から、訂正事項4の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 (エ) また、訂正事項4の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 オ 訂正事項5 (ア) 訂正事項5の訂正のうち、「測定周波数(f)」について、「少なくとも1キロヘルツ」としていたものを、「少なくとも1キロヘルツであり、最大でも1MHz」とする訂正は、以下に示す本件特許明細書の段落【0047】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 「【0047】 IR放射線センサ22.1は、少なくとも1kHzの測定周波数fmess、この事例ではfmess=16kHzで時間tに依存してIR放射線パラメータプロファイルEg1,1(t)を測定する。測定周波数fmessが最大でも1MHzであることが有利である。(後略)」 (イ) 訂正事項5の訂正のうち、特許請求の範囲の請求項1に 「(g)前記ガス流(14)は配管中を導かれ、前記ガス流(14)は黒体放射をする粒子を含み、前記配管の壁は黒体放射をする、」 との構成要件を付加する訂正は、以下に示す本件特許明細書の段落【0013】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 「【0013】 IR放射線パラメータが少なくとも0.78μm、特に少なくとも1.5μmの波長で測定されることが特に有利である。この場合、黒体放射線の影響が良好に利用される。黒体放射線は、例えばガス流を導く配管の壁、又はガス流中の粒子に起因し得る。1.5μmを上回る励起波長を有するガスは、背景黒体放射線の波長領域で吸収及び再放出し、それによりガス濃度に変動(Schwankungen)が特にはっきりと現れる。時間的に一定の背景は、例えば相互相関を用いた算出では考慮されない。」 (ウ) 訂正事項5の訂正のうち、特許請求の範囲の請求項1に 「(h)前記ガス流(14)の温度(T)が少なくとも1000℃であり、」 との構成要件を付加する訂正は、以下に示す願書に添付した特許請求の範囲の【請求項6】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 「【請求項6】 前記ガス流(14)の温度(T)が少なくとも1000℃であることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の方法。 」 (エ) 訂正事項5の訂正のうち、特許請求の範囲の請求項1に 「(i)前記第1のIR放射線センサは、第1の直線上を進む前記第1のIR放射線束を検出するように配置され、前記第2のIR放射線センサは、第2の直線上を進む前記第2のIR放射線束を検出するように、そして2つの前記直線間の最小の距離を示す方向が流れの方向に延在するように配置され、2つの前記直線間の距離が測定距離であり、前記測定距離は、少なくとも、前記ガス流(14)の流速と1000ヘルツとの商に相当する、」 との構成要件を付加する訂正は、以下に示す本件特許明細書の段落【0035】及び【0037】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 「【0035】 殊に(a)第1のIR放射線センサは、第1のIR放射線束が第1の直線上に延びるように配置され(b)第2のIR放射線センサは、第2のIR放射線束が第2の直線に沿って延びるように配置され、かつ2つの直線間の最小距離の区間が流れ方向に延在する。2つの直線間の距離は測定距離である。測定距離は、殊に少なくとも50~1000ミリメートル、特に最大でも600である。これに加えて、測定距離が最大でも600ミリメートルであることが有利である。」 「【0037】 殊に、2つの直線間の測定距離は、少なくとも流速と1000ヘルツの商、及び/又は最大でも流速と100ヘルツの商に相当する。この距離では流速を決定する際の測定不確実性は経過時間での不確実性にもとづいてすでに非常に小さい。これに加えて、不均一パターンの変化によって引き起こされる不確実性はまだ、測定不確実性に強度の悪影響を及ぼすほど大きくなりすぎてはいない。」 (オ) 前記(ア)~(エ)から、訂正事項5の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 (カ) また、訂正事項5の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 (2) 訂正事項6(請求項2の記載に係る訂正) ア 訂正事項6-1について 訂正事項6-1の訂正は、特許請求の範囲の請求項1の記載を引用する請求項2について、請求項1との引用関係を解消して独立形式に改めるものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項6-1の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 イ 訂正事項6-2について 訂正事項6-2の訂正は、(ア) 特許請求の範囲の請求項2に対して、請求項3の記載事項を追加して限定するとともに、訂正事項1及び訂正事項2と同様の内容の訂正をし、そのうえで、(イ) 本件訂正前の請求項2により引用される請求項1の「特に相互相関を用いて」という不明確な記載を、「相互相関を用いて」という明確な記載にするとともに、訂正前の記載を整理して「第1の経過時間(τ1)」及び「第2の経過時間(τ2)」の関係を明らかにして、その記載本来の意味内容を明らかにするものであるから、前記(1)ア及びイにおける訂正事項1及び訂正事項2についての判断も踏まえると、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項6-2の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 ウ 訂正事項6-3について 訂正事項6-3の訂正は、訂正事項6-2の訂正に記載を整合させるために、「前記IR放射線パラメータ(Eg1)」を「前記第1のIR放射線パラメータ(Eg1)及び前記第2のIR放射線パラメータ(Eg2)」に訂正すること以外の訂正は、訂正事項4と同様の内容であるところ、訂正事項6-2の訂正に記載を整合させる訂正については、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることが明らかであり、訂正事項4と同様の訂正については、訂正事項4と同様の理由により、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものといえる。 したがって、訂正事項6-3の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項6-3の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 エ 訂正事項6-4について 訂正事項6-4の訂正は、訂正事項5と同様の内容であるから、同様の理由により、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項6-4の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 (3) 訂正事項7(請求項3の記載に係る訂正) 訂正事項7の訂正は、請求項3を削除するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項7の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 (4) 訂正事項8(請求項4の記載に係る訂正) 訂正事項8の訂正は、訂正事項7の訂正により請求項3が削除されたことに伴い、請求項4の引用請求項を「請求項3」から「請求項2」とするものであり、本件訂正後の請求項2は訂正前の請求項3の記載事項を追加して限定したものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項8の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 (5) 訂正事項9(請求項5の記載に係る訂正) 訂正事項9における、特許請求の範囲の請求項5に 「前記測定距離は、少なくとも50ミリメートルであり、最大でも1000ミリメートルである」 との構成要件を付加する訂正は、以下に示す本件特許明細書の段落【0035】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 「【0035】 殊に(a)第1のIR放射線センサは、第1のIR放射線束が第1の直線上に延びるように配置され(b)第2のIR放射線センサは、第2のIR放射線束が第2の直線に沿って延びるように配置され、かつ2つの直線間の最小距離の区間が流れ方向に延在する。2つの直線間の距離は測定距離である。測定距離は、殊に少なくとも50~1000ミリメートル、特に最大でも600である。これに加えて、測定距離が最大でも600ミリメートルであることが有利である。」 したがって、訂正事項9の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項9の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 (6) 訂正事項10(請求項6の記載に係る訂正) 訂正事項10の訂正は、請求項6を削除するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項10の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 (7) 訂正事項11~15(請求項7の記載に係る訂正) ア 訂正事項11 (ア) 訂正事項11の訂正のうち、「第1のIR放射線センサ(22.1)」の測定対象である「IR放射線のIR放射線パラメータ(Eg1)」を、「IR放射線の第1のIR放射線束の第1のIR放射線パラメータ(Eg1)」とする訂正は、前記(1)アにおいて示した本件特許明細書の段落【0043】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 (イ) また、訂正事項11の訂正のうち、「第1のIR放射線センサ(22.1)」について、「前記ガス流(14)の外側の第1の測定箇所(P1)に配置された」ものとする訂正は、以下に示す願書に添付した特許請求の範囲の【請求項1】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 「【請求項1】 ガス流(14)の流速(v)を測定する方法であって、 (a)前記ガス流(14)の外側の第1の測定箇所(P1)において前記ガス流(14)のIR放射線のIR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定し、それにより第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))が得られる工程と、(後略)」 (ウ) 前記(ア)及び(イ)から、訂正事項11の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 (エ) また、訂正事項11の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 イ 訂正事項12 (ア) 訂正事項12の訂正のうち、「第2のIR放射線センサ(22.2)」の測定対象である「IR放射線の前記IR放射線パラメータ(Eg1)」を「IR放射線の第2のIR放射線束の前記第1のIR放射線パラメータ(Eg1)」とする訂正は、前記(1)イにおいて示した本件特許明細書の段落【0048】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 (イ) また、訂正事項12の訂正のうち、「第2のIR放射線センサ(22.2)」について、「前記ガス流(14)の外側の第2の測定箇所(P2)に配置された」ものとする訂正は、以下に示す願書に添付した特許請求の範囲の【請求項1】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 「【請求項1】 ガス流(14)の流速(v)を測定する方法であって、 …(中略)… (b)前記ガス流(14)の外側の第2の測定箇所(P2)において前記IR放射線パラメータ(E)を時間分解的に測定し、それにより第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))が得られる工程と、(後略)」 (ウ) 前記(ア)及び(イ)から、訂正事項12の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 (エ) また、訂正事項12の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 ウ 訂正事項13 訂正事項13の訂正は、訂正事項3と同様の内容であるから、同様の理由により、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項13の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 エ 訂正事項14 (ア) 訂正事項14の訂正のうち、「測定範囲M」について、「下限波長(λmin)が少なくとも1.5μmであり、上限波長(λmax)が最大でも15μmである」とする訂正は、前記(1)エ(ア)において示した本件特許明細書の段落【0013】の記載、及び、願書に添付した特許請求の範囲の【請求項5】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 (イ) 訂正事項14の訂正のうち、「測定範囲M」について、「0.5μm未満の波長幅である」とする訂正は、前記(1)エ(イ)において示した本件特許明細書の段落【0022】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 (ウ) 前記(ア)及び(イ)から、訂正事項14の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 (エ) また、訂正事項14の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 オ 訂正事項15 (ア) 訂正事項15の訂正のうち、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7の「測定周波数(fmess)」について、「少なくとも1キロヘルツ」としていたものを、「少なくとも1キロヘルツ、最大でも1MHz」とする訂正は、前記(1)オ(ア)において示した本件特許明細書の段落【0047】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 (イ) また、訂正事項15の訂正のうち、特許請求の範囲の請求項7に 「前記ガス流(14)は配管中を導かれ、前記配管の壁は黒体放射をする、」 との構成要件を付加する訂正は、前記(1)オ(イ)において示した本件特許明細書の段落【0013】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 (ウ) さらに、訂正事項15の訂正のうち、特許請求の範囲の請求項7に 「(e)前記第1のIR放射線センサは、第1の直線上を進む前記第1のIR放射線束を検出するように配置され、前記第2のIR放射線センサは、第2の直線上を進む前記第2のIR放射線束を検出するように、そして2つの前記直線間の最小の距離を示す方向が流れの方向に延在するように配置され、2つの前記直線間の距離が測定距離であり、前記測定距離は、少なくとも、前記ガス流(14)の流速と1000ヘルツとの商に相当する」 との構成要件を付加する訂正は、前記(1)オ(エ)において示した本件特許明細書の段落【0035】及び【0037】の記載から、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 (エ) 前記(ア)~(ウ)から、訂正事項15の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 (オ) また、訂正事項15の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 (8) 訂正事項16(請求項8の記載に係る訂正) 訂正事項16の訂正は、請求項8を削除するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項16の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 (9) 訂正事項17(請求項9の記載に係る訂正) 訂正事項17の訂正は、「請求項1~請求項5」及び「請求項7又は請求項8」をそれぞれ引用している請求項9において、訂正事項16の訂正により請求項8が削除されたことに伴い、引用請求項を「請求項1~請求項5」及び「請求項7」とするものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項17の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 (10) 訂正事項18(請求項10の記載に係る訂正) 訂正事項18の訂正は、「請求項7~請求項9」を引用している請求項10において、訂正事項16の訂正により請求項8が削除されたことに伴い、引用請求項を「請求項7又は請求項9」とするものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項18の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 (11) 訂正事項19~20(図面の記載に係る訂正) 訂正事項19~20における、図2及び図3にそれぞれ記載された符号における誤記である「D」を「d」と正す訂正は、以下に示す当初明細書の段落【0048】の記載、並びに、願書に最初に添付した図面における図2及び図3の記載から、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められる。 「【0048】 第2のIR放射線センサ22.2は、第2の測定配管25.2内を伝播するIR放射線束24.2からの放射線を測定するように形成されている。第2のIR放射線束24.2のIR放射線は、例えば第2の分子26.2から出る。第1のIR放射線束24.1は第1の直線G1に沿って延在し、第2のIR放射線束24.2は第2の直線G2に沿って延在する。2つの直線G1、G2は互いに測定距離dを有する。この事例で示されるように、2つの直線は、殊に互いに平行に延びる。」 したがって、訂正事項19~20の訂正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項19~20の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 3 独立特許要件 本件特許異議の申立てにおいては請求項1~10について特許異議の申立てがされているから、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。 4 本件訂正の適否についての当合議体の判断のまとめ 前記1~3において検討したとおり、訂正事項1~20の訂正は、いずれも、特許法120条の5第2項ただし書1号、2号、3号又は4号に掲げる事項を目的とするものであって同項の規定に適合し、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するから、本件訂正は適法なものである。 よって、前記結論のとおり、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲及び図面のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕について訂正することを認める。 第4 取消理由(決定の予告)の概要 本件特許について、取消理由通知(決定の予告)において特許権者に通知した取消理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 (進歩性の欠如)本件特許の請求項1~2、4、6、7、9、10(先の訂正により訂正されたもの)に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において発行された下記の文献に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~10に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 記 甲第1号証:国際公開第2012/145829号 甲第2号証:A Passive Mid-Infrared Sensor to Measure Real-Time Particle Emissivity and Gas Temperature in Coal-Fired Boilers and Steelmaking Furnaces 甲第3号証:ウィキペディアフリー百科事典「赤外線」 甲第4号証:Cross Correlation Velocity Measurement of Multiphase Flow 甲第5号証:A cross-correlation optical velocimeter 甲第6号証:Investigations concerning the application of the cross-correlation method in cardiac output measurements 第5 当合議体の判断 1 本件訂正発明について 前記第3のとおり、本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1、2、4、5、7、9、10に係る発明(以下、請求項の番号に従い「本件訂正発明1」等という。)は、それぞれ、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2、4、5、7、9、10に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1、2、4、5、7、9、10の記載は、前記第2の2(2)に示したとおりである。 2 各文献に記載された事項及び甲1発明等の認定 (1) 甲第1号証に記載された事項及び甲1発明の認定 ア 甲第1号証に記載された事項 本件特許の優先日前に発行された甲第1号証(国際公開第2012/145829号)には、以下の事項が記載されている。括弧内に日本語訳を示した。当該日本語訳は、特許異議申立人が提出したものに基づいて当合議体が作成したものであり、以下同様である。 (ア) 1頁6~13行 「FIELD OF THE INVENTION This invention relates to a method and apparatus used to measure the flow of a stream of high temperature, high dust load gas coming out of a combustion process. More preferably, the present invention is geared towards the measurement of gas flow volumes and/or velocities in the steel making industry, cement industry, and/or any other industry employing intense combustion processes, where the quantities of off-gas emitted from conversion vessels are large, and which may be at a high temperature and contain particulates.」 (技術分野 本発明は、燃焼過程から出てくる高温で大きな粉塵負荷のガスの流動の流れを測定するために使用される方法及び装置に関する。より好ましくは、本発明は、製鋼産業、セメント産業、及び/又は、変換容器から放出されるオフガスの量が多く、高い温度であり得、粒子を含み得る激しい燃焼過程を用いる任意の他の産業における、ガス流れの体積及び/又は速度の測定に向けて適合させられる。) (イ) 9頁20行~10頁8行、Fig.2、Fig.7 「DETAILED DESCRIPTION OF THE PREFERRED EMBODIMENTS Reference is made to Figure 2 which illustrates an assembly 10 used in the continuous and real-time monitoring of high temperature off-gas flow 8 velocities and/or volumes from an electric arc steel making furnace 50 (Figure 7) in accordance with a preferred embodiment of the invention. The assembly 10 includes a pair of identical optic sensors or probes 12a, 12b; two fiber optic cables 14a, 14b and a pair of photodetectors 18a, 18b; a protecting compartment 30 preserving the electronic components from the harsh environment. As will be described, the photodetectors 18a, 18b are electronically coupled with a data acquisition module 22, which in turn communicates with a computer 24. The computer 24 is further agreeable to control inputs respecting the combustion parameters of the steel making furnace 50. Optionally, the photodetectors 18a, 18b and data acquisition module 22 are housed within.」 (好ましい実施形態の詳細な説明 本発明の好ましい実施形態による電気アークの鋼鉄製造炉50(図7)からの、高温オフガス流れ8の速度及び/又は体積の連続的なリアルタイムの監視において使用される組立体10を示す図2が参照される。組立体10は、一対の同一の光学センサ又は光学プローブ12a、12bと、2つの光ファイバケーブル14a、14bと、光検出器18a、18bと、激しい環境から電子部品を保護する保護区画室30とを備える。 説明されるように、光検出器18a、18bはデータ取得モジュール22と電子的に結合され、データ取得モジュール22はさらにコンピュータ24と通信する。コンピュータ24は、鋼鉄製造炉50の燃焼パラメータに関する入力を制御するのがさらに好ましい。任意選択で、光検出器18a、18b及びデータ取得モジュール22は収容される。) 「Fig.2 [図:0001439170000007.jpg] 」 「Fig.7 [図:0001439170000008.jpg] 」 (ウ) 10頁9~19行、Fig.3 「An enlarged schematic view of the optical probes 12a, 12b is shown in Figure 3. Each probe 12 is provided with a lens assembly 32 includes electromagnetic energy collector 36 positioned at an inner end of a lens tube 38, and which is sealed at its outer end by a lens 40. The lens 40 is selected so as to collect and focus electromagnetic radiation which is emitted by the furnace off-gas flow onto the collector 36. The lens tube 38 encases the lens 40 and collector 36, and in turn protected by the probe outer shell 34. Optionally, the outer shell 34 is specially designed to prevent or minimize intrusion of off-gas particles into the probe 12. In this regard, the lens tube 38 and/or shell 34 may be provided with suitable back flow or gas purging systems to periodically clear any debris or particles which may accumulate on the surface of the lens 40.」 (光学プローブ12a、12bの拡大した概略図が図3に示されている。レンズ組立体32が設けられた各々のプローブ12は、レンズ管38の内側端に位置決めされた電磁エネルギー収集器36を備え、レンズ管38の外側端においてレンズ40によって封止されている。レンズ40は、炉オフガスによって収集器36へと放出される電磁放射を収集して焦点を合わせるように選択される。レンズ管38は、レンズ40と収集器36とを包み込み、さらにプローブ外側外殻34によって保護される。任意選択で、外側外殻34は、プローブ12へのオフガス粒子の侵入を防止又は最小限にするように特別に設計される。この点において、レンズ管38及び/又は外殻34には、レンズ40の表面に堆積し得る破片又は粒子を周期的にきれいにするために、適切な逆流システム又はガスパージシステムが設けられてもよい。) 「Fig.3 [図:0001439170000009.jpg] 」 (エ) 10頁20行~11頁23行 「Figure 2 shows the optical probes 12a, 12b as being placed open to the high temperature process off-gas stream or flow 8. The probes 12a,2b are preferably mounted perpendicularly to the direction 100 of the flow 8 at longitudinally spaced locations along the flue duct 20 by predetermined separation distance L. Optionally, the probes 12a, 12b can be introduced to a certain depth inside the off-gas flue duct 20 to measure the emitted radiation of the off-gases, preferably reaching upto the center line of the flue duct 20. Figures 2 and 3 show best the collector 36 of each probe 12a, 12b as being optionally coupled to an associated fiber optic cable 14a, 14b. The radiation emitted by the off-gas flow 8 is thus focused by the lens 40 of the optical probe 12a, 12b onto the energy collectors 36 and transmitted with fiber optic cables 14a, 14b. The fiber optic cables 14a, 14b are selected to transmit the light and/or electromagnetic energy over a long distance to a pair of photodetectors 18a, 18b enclosed inside the protective compartment 30 that can be located far from the point of measurement. Each photodetector 18a, 18b operates to generate electrical signals that are proportional to the intensity of the sensed radiation energy measured by each associated sensor 12a, 12b at the area of measurement. Presently, the protective compartment 30 also encloses the data acquisition module 22. The module 22 is electromagnetically connected to the photodetectors 18a, 18b and receives, manages and converts the analog signals from the photodetectors 18a, 18b during sensing operations. The data acquisition module 22 may be provided with an internal or external processor, but is most preferably electronically in communication with the computer 24 used to control overall furnace operations. The computer 24 performs a cross correlation calculation required to determine the time delay between the signals receive from each probe 12a, 12b. This time delay represents the time-of-flight of the moving off-gas flow 8 to travel the distance L between optical probes 12a, 12b. The computer 24 may thus calculate the flow velocity of the off-gas 8, and, by comparing the velocity to predeterminable geometries of the gas flue duct 20, its volumetric flow. This output is to be displayed to a user, and/or sent as output signals directly to an automated furnace control program providing an indication of the flow velocity and/or flow volume of an off-gas flow 8 along the flue duct 20.」 (図2は、光学プローブ12a、12bを、高温のプロセスオフガスの流動又は流れ8に対して開放して配置されているとして示している。プローブ12a、12bは、好ましくは、所定の分離距離Lによって煙道ダクト20に沿う長手方向に離間された場所において、流れ8の方向100に対して垂直に搭載される。任意選択で、プローブ12a、12bは、オフガスの放出された放射を測定するために、オフガス煙道ダクト20の内側の特定の深さまで導入させることができ、好ましくは、煙道ダクト20の中心線まで到達する。 図2及び図3は、各々のプローブ12a、12bの収集器36を、関連付けられた光ファイバケーブル14a、14bに光学的に結合されるとして最良に示している。 したがって、オフガス流れ8によって放出される放射は、光学プローブ12a、12bのレンズ40によってエネルギー収集器36へと焦点が合わされ、光ファイバケーブル14a、14bで伝搬させられる。光ファイバケーブル14a、14bは、光及び/又は電磁エネルギーを、測定の点から遠くに位置付けられ得る保護区画室30の内部で包み込まれる一対の光検出器18a、18bまでの長い距離にわたって伝搬するように選択される。各々の光検出器18a、18bは、測定の領域において、各々の関連付けられたセンサ12a、12bによって測定される感知された放射エネルギーの強度に比例する電気信号を発生させるように動作する。ここでは、保護区画室30はデータ取得モジュール22も包み込んでいる。モジュール22は、光検出器18a、18bに電磁的に接続されており、感知動作の間に光検出器18a、18bからのアナログ信号を受信、管理、及び変換する。データ取得モジュール22は、内部又は外部の処理装置が設けられ得るが、最も好ましくは、炉の動作全体を制御するために使用されるコンピュータ24と電子的に通信している。コンピュータ24は、各々のプローブ12a、12bから受信される信号同士の間の時間遅延を決定するために必要とされる相互相関計算を実施する。この時間遅延は、光学プローブ12a、12bの間の距離Lを進行するための、移動するオフガス流れ8の飛行時間を表す。したがって、コンピュータ24は、オフガス8の流れ速度を計算することができ、速度をガス煙道ダクト20のあらかじめ決定可能な形状と比較することで、その体積流量を計算することができる。この出力が、使用者に表示されることになる、及び/又は、自動化された炉制御プログラムに直接的に送信されることになり、煙道ダクト20に沿ってのオフガス流れ8の流れ速度及び/又は流れ体積の支持を提供する。) (オ) 11頁24行~12頁3行、Fig.6a~6c 「Figures 2 and 6a to 6c show a preferred embodiment of the invention, where the photodetectors 18a, 18b receive data and provide signals from the associated sensors 12a, 12b which represent electromagnetic radiation measurements the off- gas energy signature of the entire width of the off-gas stream 8, across the whole of the flue duct 20 diameter adjacent each sensors 12a, 12b. Figures 6a and 6b illustrate respectively, sample radiant energy data sensed during furnace operations by each sensor 12a, 12b over time. While sensing the entire width of the off-gas stream radiant energy profile presents a preferred embodiment, the invention is not so limited. Depending on the availability of photodetectors 18a, 18b, however, the range of emitted radiant energy can be selected to cover only a defined wavelength range, namely restricted to one or more of UV, visible, near-IR or mid-IR.」 (図2及び図6a~図6cは本発明の好ましい実施形態を示しており、光検出器18a、18bがデータを受信し、各々のセンサ12a、12bに隣接する煙道ダクト20の直径の全体を横切るオフガス流動8の幅全体の電磁放射測定のオフガスエネルギーサインを表す信号を、関連付けられたセンサ12a、12bから提供する。図6a及び図6bは、炉の動作の間に、時間に伴って各々のセンサ12a、12bによって感知されたサンプルの放射エネルギーデータを、それぞれ示している。 オフガス流動の放射エネルギープロファイルの全体の幅を感知するが、本発明はそのように限定されない。しかしながら、光検出器18a、18bの利用可能性に応じて、放出される放射エネルギーの範囲は、定められた波長範囲のみを網羅するように選択でき、つまり、紫外線、可視光、近赤外線、又は中赤外線のうちの1以上に制限できる。) 「Fig.6a~6c [図:0001439170000010.jpg] 」 (カ) 12頁4~13行、Fig.4 「A second embodiment of the invention is shown in Figure 4, wherein like reference numerals are used to identify like components. In Figure 4, the fiber optic cables 14a, 14b transmit collected radiant energy from the associated optical probes 12a, 12b (shown in Figure 2) first through an associated one of a pair of identical bandpass filters 44a,44b. Each bandpass filter 44a,44b in turn is optically coupled to a photodetector 18a, 18b by a fiber optic coupling. The bandpass filters 44a,44b are employed to select only a specific emission line or band of the sensed electromagnetic spectrum. This configuration allows the assembly 10 to focus on a single component of the off-gas stream 8, such as the emissions from CO or CO2, depending on the furnace applications.」 (本発明の第2の実施形態が図4に示されており、図4では、同様の符号は同様の構成要素を識別するために使用されている。図4では、光ファイバケーブル14a、14bは、収集された放射エネルギーを、関連付けられた光学プローブ12a、12b(図2に示されている)から、一対の同一の帯域通過フィルタ44a、44bのうちの関連付けられた一方を初めに通じて伝搬する。各々の帯域通過フィルタ44a、44bは、光ファイバ結合器によって光検出器18a、18bに光学的に結合される。帯域通過フィルタ44a、44bは、感知された電磁スペクトルのうちの特定の放出の線又は帯域のみを選択するために用いられる。この構成は、組立体10を、炉の用途に応じて、CO又はCO2からの放出など、オフガス流動8の単一の成分に焦点を合わせさせる。) 「Fig.4 [図:0001439170000011.jpg] 」 (キ) 12頁23行~13頁9行 「In operation, the sensors 12a, 12b receive radiant energy from the off-gas flow 8, and output the energy collected via the sensor collectors 36 via the fiber optic cables 14a, 14b to the photodetectors 18a, 18b. Each photodetector 18a, 18b outputs the detected radiant energy as signals to the data acquisition module 22 which compiles the signals for each sensor 12a, 12b, as for example as shown in the plotted output illustrated in Figure 6a (sensor 12a) and 6b (sensor 12b. The output signals will show similar structures representative of sensed characteristics of the off-gas flow 8. As shown in Figures 6a to 6c, profiles of the off-gas flow 8 are output as signals which are shifted by the time-of-flight Tm representing the distance L separating optical probes 12a, 12b.The computer 24 may thus perform a cross correlation function Rxy(T) analyses similarities in the signals received from the sensors 12a, 12b, x(t) and y(t), and calculate a maximum at the point of highest similarity. This maximum represents the time to move between (i.e. across) each sensor 2a, 12b. The flow velocity is then defined as the ratio of the separation between optical probes L by the time-of-flight Tm. To determine the volumetric flow the cross-sectional area of the off-gas flue duct 20 is factored against the calculated flow velocity.」 (動作中、センサ12a、12bは、オフガス流れ8から放射エネルギーを受け、センサ収集器36を介して収集されたエネルギーを、光ファイバケーブル14a、14bを介して光検出器18a、18bへと出力する。各々の光検出器18a、18bは、検出された放射エネルギーを、信号としてデータ取得モジュール22へと出力し、データ取得モジュール22は、例えば、図6a(センサ12a)及び図6b(センサ12b)に示されているプロットされた出力に示されているように、各々のセンサ12a、12bについての信号を編集する。出力信号は、オフガス流れ8の感知された特性を表す同様の構造を示すことになる。図6a~図6cに示されているように、オフガス流れ8のプロファイルが、光学プローブ12a、12bを分離する距離Lを表す飛行時間Tmでずらされた信号として出力される。したがって、コンピュータ24は、センサ12a、12bから受信された信号x(t)及びy(t)における類似性を分析する相互相関関数Rxy(T)を実施することができ、最も高い類似性の点における最大値を計算する。この最大値は、各々のセンサ12a、12bの間(つまり、各々のセンサ12a、12bを横切って)移動する時間を表す。そのため、流れ速度は、飛行時間Tmに対する光学プローブ同士の間の分離Lの比率として定められる。体積流量を決定するために、オフガス煙道ダクト20の断面積が、計算された流れ速度に対する係数とされる。) (ク) 13頁25~31行、Fig.8 「The implementation of the sensor assembly 10 in the monitoring and control of a BOF type vessel 60 is illustrated in Figure 8. In the BOF vessel 60, the optical probes 12a, 12b are typically mounted on a water cooled duct 20 of the fume system, and optionally may each be provided within their own mounting capsule. As the temperature of the off-gas stream flowing in front of the optical probes 12a, 12b will at times be in excess of 1500°C, the probes 12a, 12b may incorporate provisions for water cooling. While the preferred embodiments illustrate the assembly 10 as including optical probes 12a, 12b which are adapted to passively measure radiant energy from the off-gas flow 8, the invention is not so limited. In an alternate construction, the probes 12a, 12b could be provided as active flow sensors, and include respective electromagnetic light emitters and receptors positioned on opposing sides of the flue duct 20.」 (BOF式容器60の監視及び制御におけるセンサ組立体10の実施が、図8に示されている。BOF容器60では、光学プローブ12a、12bは、典型的には、煙霧システムの水冷ダクト20に搭載され、任意選択で、それ自体の装着カプセルの中にそれぞれ設けられ得る。光学プローブ12a、12bの前で流れるオフガス流動の温度が時に1500℃を越えるため、プローブ12a、12bは水冷却のための設備を組み込んでもよい。) 「Fig.8 [図:0001439170000012.jpg] 」 (ケ) 16頁23行~17頁3行 「10. The furnace system as claimed in claim 7 or claim 9, further including a plurality of bandpass filters, one said bandpass filter being associated with each said photodetector, each bandpass filter operable to allow the selective transmission of a preselected electromagnetic spectrum line of the sensed radiation energy between the photodetector and its associated optic sensor. 11. The furnace system as claimed in claim 10, wherein the sensed radiation energy is radiation energy emitted from at least one of a CO and a CO2 component of the combustion gas flow.」 (10.複数の帯域通過フィルタをさらに含み、1つの前記帯域通過フィルタが各々の前記光検出器と関連付けられ、各々の帯域通過フィルタは、前記光検出器とその関連付けられた光学センサとの間での感知された前記放射エネルギーのあらかじめ選択された電磁スペクトル線の選択的な伝搬を許可するように動作可能である、請求項7又は9に記載の炉制御システム。 11.前記感知された放射エネルギーは、前記燃焼ガス流れのCO成分及びCO2成分の少なくとも一方から放出される放射エネルギーである、請求項10に記載の炉制御システム。) イ 甲第1号証から読み取れる認定事項 甲第1号証のFig.2からは、光学プローブ12a、12bの先端が高温のプロセスオフガスの流れ8に面して当該光学プローブ12a、12bの全体が当該流れ8の外側に配置されていることが看て取れる。 ウ 甲1発明の認定 前記アにおいて摘記した事項及び前記イにおいて認定した事項から、甲第1号証には、Fig.4に示された第2の実施形態に係る次の発明が記載されていると認められる(以下「甲1発明」という。また、甲第1号証における認定の根拠となった箇所等を括弧内に示す。)。 なお、第2の実施形態を図示するFig.4には、保護区画室30の内部と保護区画室30内に導通される光ファイバケーブル14a、14bのみが示されており、また、第2の実施形態について説明する12頁6~7行には、「the associated optical probes 12a,12b (shown in Figure 2)」(関連付けられた光学プローブ12a、12b(図2に示されている))と記載され、第2の実施形態における光プローブ12a、12bが、「好ましい実施形態」を図示する図2のものと同じであることが示されているから、Fig.4に図示された部分以外の構成については、「好ましい実施形態」の構成と同じものとして、甲1発明を認定した。 <甲1発明> 「燃焼過程から出てくる高温で大きな粉塵負荷のガスの流動の流れを測定するために使用される方法であって、(前記ア(ア)の摘記事項) 電気アークの鋼鉄製造炉50からの、高温オフガス流れ8の速度の連続的なリアルタイムの監視において組立体10を使用し、(前記ア(イ)の摘記事項) 組立体10は、一対の同一の光学センサ又は光学プローブ12a、12bと、2つの光ファイバケーブル14a、14bと、光検出器18a、18bと、激しい環境から電子部品を保護する保護区画室30とを備え、(前記ア(イ)の摘記事項) 光検出器18a、18bはデータ取得モジュール22と電子的に結合され、データ取得モジュール22はさらにコンピュータ24と通信し、(前記ア(イ)の摘記事項) 光学プローブ12a、12bは、高温のプロセスオフガスの流れ8に対して開放して配置され、所定の分離距離Lによって煙道ダクト20に沿う長手方向に離間された場所において、流れ8の方向100に対して垂直に、かつ、その先端が当該流れ8に面してその全体が当該流れ8の外側に配置されるように搭載され、(前記ア(エ)の摘記事項、前記イの認定事項) オフガス流れ8によって放出される放射は、光学プローブ12a、12bのレンズ40によってエネルギー収集器36へと焦点が合わされ、光ファイバケーブル14a、14bで伝搬させられ、光ファイバケーブル14a、14bは、光及び/又は電磁エネルギーを、保護区画室30の内部で包み込まれる一対の光検出器18a、18bまでの長い距離にわたって伝搬するように選択され、各々の光検出器18a、18bは、測定の領域において、各々の関連付けられたセンサ12a、12bによって測定される感知された放射エネルギーの強度に比例する電気信号を発生させるように動作し、(前記ア(エ)の摘記事項) データ取得モジュール22は、炉の動作の間に、時間に伴って各々のセンサ12a、12bによって感知された放射エネルギーデータがそれぞれ示されているプロットされた出力に示されているように、各々のセンサ12a、12bについての信号を編集し、オフガス流れ8のプロファイルが、光学プローブ12a、12bを分離する距離Lを表す飛行時間Tmでずらされた信号として出力され、(前記ア(オ)の摘記事項、前記ア(キ)の摘記事項) コンピュータ24は、センサ12a、12bから受信された信号x(t)及びy(t)における類似性を分析する相互相関関数Rxy(T)を実施することができ、最も高い類似性の点における最大値を計算し、この最大値は、各々のセンサ12a、12bを横切って移動する時間を表し、そのため、流れ速度は、飛行時間Tmに対する光学プローブ同士の間の分離Lの比率として定められ、コンピュータ24は、オフガス8の流れ速度を計算することができ、(前記ア(キ)の摘記事項、前記ア(エ)の摘記事項) 光ファイバケーブル14a、14bは、収集された放射エネルギーを、関連付けられた光学プローブ12a、12bから、一対の同一の帯域通過フィルタ44a、44bのうちの関連付けられた一方を初めに通じて伝搬し、各々の帯域通過フィルタ44a、44bは、光ファイバ結合器によって光検出器18a、18bに光学的に結合され、帯域通過フィルタ44a、44bは、感知された電磁スペクトルのうちの特定の放出の線又は帯域のみを選択するために用いられ、この構成は、組立体10を、炉の用途に応じて、CO又はCO2からの放出など、オフガス流動8の単一の成分に焦点を合わせさせる、(前記ア(カ)の摘記事項) 方法。」 (2) 甲第2号証に記載された事項及び技術常識1の認定 ア 甲第2号証に記載された事項 本件特許の優先日前に発行された甲第2号証(A Passive Mid-Infrared Sensor to Measure Real-Time Particle Emissivity and Gas Temperature in Coal-Fired Boilers and Steelmaking Furnaces)には、次の事項が記載されている。 (ア) ii頁9行~iii頁2行 「Abstract A novel technique for measuring gas temperature and spectral particle emissivity in high-temperature gas-particle streams is presented. The main application of this optical sensor is to improve the process control of batch unit operations, such as steelmaking furnaces. The spectral emission profile of CO and CO2 and the continuous particle emission in the 3.5 to 5 μm wavelength region was recorded and analyzed in real time with a low-resolution passive sensor. The sensor consisted of light collecting optics, a dispersion element (grating spectrometer) and a 64-pixel pyroelectric array. Wavelength and radiance calibrations were performed. The temperature of the gas-particle medium (Tg+p) followed from the least-squares minimization of the difference between the measured radiance in the 4.56-4.7 μm region -which saturates due to the large CO2 concentrations and path lengths in industrial furnaces- and the corresponding blackbody radiance. Particle emissivity (εp) was calculated at 3.95 μm from an asymptotic approximation of the Radiative Transfer Equation that yields the emerging radiance from a semi-infinite particle cloud. The major source of error in the magnitude of Tg+p and εp could come from particle scattering. Through the method of embedded invariance an expression was developed to estimate the lowering effect of particle size and volume fraction on the saturation of the 4.56-4.7 μm CO2 emission region.」 (要約 高温ガス粒子流中のガス温度とスペクトル粒子放射率を測定するための新しい技術を紹介する。この光学センサの主な用途は、製鋼炉のようなバッチ単位操作のプロセス制御を改善することである。3.5~5μmの波長領域におけるCOとCO2のスペクトル発光プロファイルと連続粒子発光が、低分解能パッシブセンサによりリアルタイムで記録・分析された。センサは集光光学系、分散素子(グレーティング分光器)、64ピクセルの焦電アレイで構成されている。波長と放射輝度の校正が行われた。ガス-粒子媒質の温度(Tg+p)は、4.56-4.7μm領域の放射輝度(工業炉ではCO2濃度と経路長が大きいため飽和する)の測定値と対応する黒体放射輝度との差を最小二乗法で求めた。粒子放射率(εp)は、半無限粒子雲からの放射輝度を得る放射伝達方程式の漸近近似から3.95μmで計算された。Tg+pとεpの大きさの誤差の主な原因は粒子散乱によるものである。4.56-4.7μmのCO2エミッション領域の飽和度に対する粒子径と体積分率の低減効果を推定する式が、埋め込み不変性の方法によって開発された。) (イ) 15頁1~17行、Figure2-2 「2.2.3 Description of IR Spectra This section describes the spectral features that appear between 3.7 and 5.0 μm due to the emitted radiation by CO2 and particles. Some of this radiation is absorbed by room temperature CO2 present between the combustion gas and the IR sensor (Figure 2-3). There are three distinct spectral regions that fall in this wavelength interval (Figure 2-2a). From left to right, these regions are characterized primarily by (a) particle-only radiation that is gray due to scattering and the assumed gray nature of the particles between 3.8 and 4.1 μm, (b) a significant decrease in radiation due to absorption by room temperature CO2, and (c) saturated or blackbody radiation from CO2 in the boiler. (Note that the use of furnace CO2 instead of boiler CO2 in figures and to refer to the 4.56-4.7 μm spectral region, implies that the technique is not restricted to boiler furnaces). Figure 2-2b shows how radiance calibration smoothes some of the jagged instrument features in the raw signal. The spectral features that remain are attributed to the sapphire window present at the proof-of-concept test but not during radiance calibration in the laboratory. Since they were constant for all scans their effect canceled out in the least-squares procedure to retrieve boiler temperatures (Section 2.2.4). The marked decrease in signal on both sides of the spectra is caused by vignetting from the plano-convex lens used to direct the radiation onto the array detector [9].」 (2.2.3 赤外スペクトルの説明 このセクションでは、CO2や粒子から放出される放射により、3.7~5.0μmの間に現れるスペクトルの特徴について説明する。この放射の一部は、燃焼ガスとIRセンサの間に存在する室温のCO2によって吸収される(図2-3)。この波長域には3つの明確なスペクトル領域がある(図2-2a)。左から右へ、これらの領域は主に、(a)3.8~4.1μm間の散乱と想定される粒子の灰色性質により灰色となる粒子のみの放射、(b)室温CO2による吸収により放射が著しく減少する、(c)ボイラ内のCO2による飽和又は黒体放射によって特徴付けられる。(図中、ボイラCO2の代わりに炉CO2を使用し、4.56-4.7μmのスペクトル領域に言及しているのは、この技術がボイラ炉に限定されないことを意味していることに注意)。図2-2bは、放射輝度校正が生信号のギザギザした機器の特徴のいくつかをどのように平滑化するかを示している。残っているスペクトルの特徴は、概念実証テストでは存在したが、実験室での放射輝度校正では存在しなかったサファイア窓によるものである。これらは全スキャンで一定であったため、ボイラ温度を求める最小二乗法(セクション2.2.4)ではその影響は相殺された。スペクトルの両側で信号が著しく減少しているのは、放射線をアレイ検出器に導くために使用された平凸レンズによるケラレが原因である[9]。) 「Figure2-2 [図:0001439170000013.jpg] 」 (ウ) 87頁22行~88頁3行 「(前略) The optical sensor used in this study [8,9] is similar to that described by Sharan [7] but has the advantage of working well under suppressed combustion conditions since it analyzes the mid-infrared emission of CO and CO2, whether there is a flame or not. This is due to the fact that both CO and CO2 at high temperatures have emission bands in the mid-infrared, or example between 4 and 5 μm, but not at visible wavelengths (400 to 700 nm). (後略)」 ((前略)本研究[8,9]で使用された光学センサは、Sharan [7]で説明されたものと類似しているが、火炎の有無にかかわらずCOとCO2の中赤外放射を分析するため、燃焼が抑制された条件下でも十分に機能するという利点がある。これは、高温のCOとCO2がともに中赤外、たとえば4~5μmに発光帯を持ち、可視波長(400~700nm)には発光帯を持たないことによる。(後略)) イ 技術常識1の認定 前記甲第2号証に例示されるように、次の事項は、本件特許の優先日前に当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識1」という。)。 <技術常識1> 「CO2(二酸化炭素)が4.56-4.7μmの波長範囲に放射領域を有すること。」 (3) 甲第3号証に記載された事項及び技術常識2の認定 ア 甲第3号証に記載された事項 甲第3号証(ウィキペディアフリー百科事典「赤外線」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E5%A4%96%E7%B7%9A)には、次の事項が記載されている。 ここで、Wayback Machine(http://web.archive.org/web/20171120084545/https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E5%A4%96%E7%B7%9A)によれば、次に摘記する甲第3号証の記載内容は、本件特許の優先日前に公知であったと認められる。 ・第3葉下から6行~第4葉9行 「センサ 詳細は「赤外線センサ」を参照 近赤外線と遠赤外線は、センサ目的に各分野で広く用いられている。 赤外線は可視光に比べて波長が長いため、散乱しにくい性質を利用して、煙や薄い布などを透過して向こう側の物体を撮影するために用いることができる。また目に見えないという特性もあるため、夜間に被写体を近赤外線光源で照らしても被写体に気付かれることなく撮影することができることから、警備・防衛用途や、野生動物の観察・研究用途にも広く用いられている。これらの用途には、主として近赤外線が用いられる。 一方、あらゆる物体はそれ自身の温度によった遠赤外線を出している(黒体放射)ため、対象物の放つ遠赤外線を感知するセンサは、光源が無い場所でも目標を発見することが可能である。また黒体放射においては、温度に応じて異なる強度の赤外線が放射されることから、対象物の温度を測定することができる。これを利用した技術がサーモグラフィーである。」 イ 技術常識2の認定 前記甲第3号証に例示されるように、次の事項は本件特許の優先日前に当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識2」という。)。 <技術常識2> 「あらゆる物体は、それ自身の温度に応じた黒体放射をしていること。」 (4) 甲第4~6号証に記載された事項及び周知技術1の認定 ア 甲第4号証に記載された事項 本件特許の優先日前に発行された甲第4号証(Cross Correlation Velocity Measurement of Multiphase Flow)には、次の事項が記載されている。 (ア) 802頁要約欄 「Abstract: The cross correlation signal processing is not a new idea it has wide spread and has large numbers of applications in the engineering field. It became as a suitable tool for analysing time invariant systems and system identification dynamics. However, one of the eminent applications of cross correlation is velocity measurements in multiphase and difficult fluids such as; pneumatically conveyed solid materials, highly polluted liquids, mixture of extremely hot gases and liquids. This paper is divided into two segments practical execution and data acquisition analysis to ameliorate the accuracy of velocity evaluation. The cross correlation velocity evaluation is based on the measurement of transit time of the tagging signals of multiphase flow between two separated sensors. The number of techniques and multiphase flow sensors (MPFs) is used for velocity evaluation such as, ultrasonic sensors, capacitive sensors and electrostatic sensors etc. However, this comparative study was conducted on the coal test-rig of Teesside university while: ring shaped electrostatic sensor are used to determine the velocity of gas/solid two phase flow. The acquired data of the test-rig are executed on the LabVIEW (national instrument software).」 (要約:相互相関信号処理は新しいアイデアではなく、工学分野で広く普及し、多くの応用例がある。応用されている。時間不変システムやシステム同定ダイナミクスの分析に適したツールとなった。しかし、相互相関の卓越した応用のひとつは、多相で困難な流体における速度測定である。また、空気輸送される固体物質、高濃度汚染液体、高温の気体と液体の混合流体など、多相で困難な流体における速度測定にも応用されている。本論文は次の2つのセグメントに分けられる、すなわち、速度評価の精度を向上させるための実践的な実行及びデータ取得の分析である。相互相関速度評価は、分離された2つのセンサ間の混相流のタグ信号の通過時間の測定に基づいている。そのため、流速評価には、超音波センサ、静電容量式センサ、静電容量式センサなど、多くの技術や混相流センサ(MPF)が使用される。センサ、静電センサなどである。しかし、この比較研究はTeesside大学の石炭テストリグで行われた:リング型静電センサは、気体/固体の二相流の速度を測定するために使用される。テストリグの取得データはLabVIEW(ナショナルインスツルメントソフトウェア)で実行した。) (イ) 805頁左下欄6行~806頁左欄6行 「The cross correlation of two signals are defined by the equation: [図:0001439170000014.jpg] Where x(t) is upstream signal and y(t-τ) is the downstream signal with a time delay τ. The flow velocity of gas/solid two phase flow is given by: [図:0001439170000015.jpg] Where L= 5cm it is used to define the spacing between upstream and downstream transducers. Suppose the samp1ing frequency is 1 KHz. As we know [図:0001439170000016.jpg] n is used to defined the direct peak position. ・・・(中略)・・・ When the sampling frequency fs= 5 KHz.」 (2つの信号の相互相関は、以下の式によって定義される。 [図:0001439170000017.jpg] ここで、x(t)は上流側の信号であり、y(t-τ)は時間遅延τを持った下流側の信号である。気体/固体の二層流体の流速は、以下の式で得られる。 [図:0001439170000018.jpg] ここで、L=5cmであり、上流側及び下流側のトランスデューサ間の間隔を規定するために使用されている。サンプリング周波数を1KHzとすると、知られているように、 [図:0001439170000019.jpg] であり、nは直接ピーク位置である。 ・・・(中略)・・・ サンプリング周波数fs=5KHzである場合) イ 甲第5号証に記載された事項 本件特許の優先日前に発行された甲第5号証(A cross-correlation optical velocimeter)には、次の事項が記載されている。 (ア) 555頁要約欄 「Abstract This study presents a newly developed approach to velocity measurements of moist air in a natural-draught cooling tower (CT). It is based on the cross-correlation of two signa1s acquired from infrared (IR) 1ight-to-voltage optical sensors. The air flowing through the CT becomes supersaturated in CT packings and thus consists of small water droplets of size 4-12 μm. The same air usually contains droplets resulting from drift, which drags along too small droplets in the spray zone. When the moist-air droplet pattern crosses the beam emitted by IR light-emitting diodes (LEDs), the optical sensors detect a certain signal. The cross-correlation technique gives the time delay of the measured signals. Therefore, by knowing the distance between the sensors, it is possible to calculate the velocity of the moist air. The method has been developed for dynamic velocity measurements of moist air and has achieved a satisfactory precision. The optical velocimeter is a very practical device that makes it possible to carry out measurements on a local basis across the entire plane area of the CT. With the use of simultaneous measurements of velocities and temperatures, the exact location of problems with the packings, nozzles and water distribution system can be thus determined.」 (要約 本研究では、自然通風冷却塔(CT)内の湿った空気の速度測定について、新たに開発したアプローチを紹介する。これは、赤外線(IR)光-電圧光学センサから取得した2つの信号の相互相関に基づいている。CTを流れる空気は、CTパッキン内で過飽和状態になるため、サイズが4~12μmの小さな水滴で構成される。同じ空気には通常、ドリフトに起因する水滴が含まれ、スプレーゾーンでは小さすぎる水滴が引きずられる。湿った空気中の液滴パターンが赤外線発光ダイオード(LED)から発せられるビームを横切ると、光学センサが一定の信号を検出する。相互相関技術により、測定された信号の時間遅延が得られる。したがって、センサ間の距離を知ることにより、湿った空気の速度を計算することができる。この方法は、湿った空気の動的速度測定用に開発され、十分な精度を達成している。光学式速度計は非常に実用的な装置であり、CTの平面全域にわたって局所的に測定を行うことが可能である。速度と温度を同時に測定することで、パッキン、ノズル、配水システムの問題の正確な位置を特定することができる。) (イ) 557頁右欄3~32行 「4. Description of the measuring procedure Measurements were conducted at a natural-draught CT of 800 MW cooling capacity, which is a part of the 260 MW thermal power plant. The CT is 95m high with a base diameter of 75m and an inlet height of 20m. The measurement position was 7m from the edge of the coo1ing tower and 1.5m from the passage. The optical velocimeter was installed 0.4m above the droplet eliminators. Prior to the experiment, the spraying system, package material and droplet eliminators at the measurement location were inspected to prevent improper local operation of the cooling tower. The operating point of the power plant's unit was at 60% of its maximum value. A block diagram of the measuring equipment used in the CT is shown in figure 3. The signals from the light-to-voltage sensors are fed to the SCXI signal-conditioning unit with low-pass filters at 10 kHz and an amplifier. The signals are then digitized using a data-acquisition board with a 16 bit A/D converter. The sampling frequency was 10 kHz. The hardware sampling clock used as the main demand of the correlation measurement system is exact timing of consecutive A/D conversions of both moist-air droplet pattern signals. The frequency of the low-pass filters and the sampling frequency of the A/D converter were selected such that they were much higher than the frequency of the velocity signal (figure 4). The purpose of the low-pass filtering at 10 kHz was the filtering of very high frequency noise signals usual in the industrial environment of a power plant. The signal-conditioning unit and the data-acquisition unit were located outside the cooling tower.」 (4.測定手順の説明 測定は、260MWの火力発電所の一部である、冷却能力800MWの自然通風CT260MWの火力発電所の一部であり、冷却能力は800MWである。測定位置は冷却塔の端から7m、通路から1.5mであった。光学式流速計は液滴除去装置から0.4m上方に設置した。実験に先立ち、冷却塔の局所的な不適切な操作を防ぐため、測定位置の噴霧システム、梱包材、液滴除去装置を点検した。発電所のユニットの動作点は、最大値の60%であった。CTで使用した測定装置のブロック図を図3に示す。光-電圧センサからの信号は、10kHzのローパスフィルタとアンプを備えたSCXI信号調整ユニットに送られる。その後、16ビットのA/Dコンバーターを備えたデータ収集ボードを使って信号をデジタル化する。サンプリング周波数は10kHzである。相関測定システムの主な要求として使用されるハードウェアサンプリングクロックは、霧と空気の両方の液滴パターン信号の連続したA/D変換の正確なタイミングである。ローパスフィルターの周波数とA/Dコンバーターのサンプリング周波数は、速度信号の周波数よりもはるかに高くなるように選択された(図4)。10kHzのローパスフィルタの目的は、発電所という産業環境にありがちな非常に高い周波数のノイズ信号をフィルタすることである。信号調整ユニットとデータ収集ユニットは冷却塔の外に設置された。) ウ 甲第6号証に記載された事項 本件特許の優先日前に発行された甲第6号証(Investigations concerning the application of the cross-correlation method in cardiac output measurements)には、次の事項が記載されている。 (ア) 1頁要約欄1~9行 「Abstract Background: In spite of numerous non-invasive examinations the "gold clinical standard" of cardiac output measurements is the invasive pulmonary artery catheterization by means of the Swan-Ganz catheter and the application of the thermodilution method to estimate the blood flow. The results obtained by means of thermodilution are sensitive to many physical and biological disturbances. The unreliability of this method amounts to 20-45% and depends on the given variant of the method. Therefore some other method, more accurate and resistant to disturbances, was looked for. This paper presents a new approach to cardiac output measurements, based on cross-correlation signal analysis. The goal of investigations was to verify experimentally the application of the cross-correlation method of cardiac output measurements.」 (要約 背景:多くの非侵襲的検査があるにもかかわらず、心拍出量測定の「臨床的ゴールドスタンダード」は、Swan-Ganzカテーテルによる侵襲的肺動脈カテーテル検査と、血流量を推定するための熱希釈法の適用である。熱希釈法で得られる結果は、多くの物理的・生物学的障害の影響を受けやすい。この方法の信頼性は20-45%に達しないが、これは方法の種類によって異なる。そのため、より正確で外乱に強い他の方法が探された。本稿では、相互相関信号解析に基づく心拍出量計測の新しいアプローチを紹介する。調査の目的は、心拍出量測定における相互相関法の適用を実験的に検証することである。) (イ) 5頁右欄4~15行 「After the injection of the indicator the signals originated by the sensors (0)...(3) were registered (sampling frequency 1 kHz). Next, the registered signals were processed (LabVIEW, SignalProcessing Toolkit) in the following way: filtering (digital Bessel low-pass filter, cutoff frequency 0.25 Hz), normalization, cross-correlation calculation (Fourier's method), searching for the cross-correlation function extreme, estimation of the transit time τ of the disturbance. The extreme of the cross-correlation function was determined by the differential method. The last step was the calculation of the volumetric flow value by means of the algorithm described below:」 (指示薬の注入後、センサ(0)...(3)から発信された信号が登録された(サンプリング周波数1kHz)。次に、登録された信号を以下の方法で処理した(LabVIEW、SignalProcessing Toolkit):フィルタリング(デジタルBesselローパスフィルタ、カットオフ周波数0.25Hz)、正規化、相互相関計算(フーリエ法)、相互相関関数の極値の探索、外乱の通過時間τの推定。相互相関関数の極値は微分法によって求めた。最後のステップは、以下に述べるアルゴリズムによる体積流量値の計算である:) エ 周知技術1の認定 前記甲第4~6号証に例示されるように、次の事項は、本件優先日前に当業者にとって周知の技術であったと認められる(以下「周知技術1」という。)。 <周知技術1> 「複数のセンサから得られる信号の相互相関に基づいて流体の速度又は流量を求める測定技術において、測定周波数を1キロヘルツ以上、かつ、1MHz以下とすること。」 3 対比・判断 (1) 本件訂正発明1について ア 対比分析 本件訂正発明1と甲1発明を対比する。 (ア) 甲1発明の「電気アークの鋼鉄製造炉50からの、高温オフガス流れ8」は、本件訂正発明1の「ガス流(14)」に相当するから、甲1発明の「電気アークの鋼鉄製造炉50からの、高温オフガス流れ8の速度」は、本件訂正発明1の「ガス流(14)の流速(v)」に相当する。 また、甲1発明において、「燃焼過程から出てくる高温で大きな粉塵負荷のガスの流動の流れを測定するために使用される方法」は、「電気アークの鋼鉄製造炉50からの、高温オフガス流れ8の速度の連続的なリアルタイムの監視において組立体10を使用[する]」ものであるところ、「高温オフガス流れ8の速度の連続的なリアルタイムの監視」は、連続的かつリアルタイムに高温オフガス流れ8の速度を把握する必要があることから、高温オフガス流れ8の速度の測定を伴うことは、当業者にとって明らかである。 そうすると、本件訂正発明1と甲1発明は、「ガス流の流速を測定する方法」の発明である点で一致する。 (イ)a 甲1発明の「一対の光検出器18a、18b」のうち、「光検出器18a」、「光検出器18b」は、それぞれ本件訂正発明1の「第1のIR放射線センサ」、「第2のIR放射線センサ」と、「第1の放射線センサ」、「第2の放射線センサ」である点で共通する。 b そして、甲1発明の「各々のセンサ12a、12bによって感知された放射エネルギーデータ」は、本件訂正発明1の「IR放射線パラメータ(E)」と、「放射線パラメータ」である点で共通する。なお、甲1発明認定の冒頭にもあるとおり、甲第1号証に「一対の同一の光学センサ又は光学プローブ12a、12b」との記載があることから、「センサ12a、12b」と「光学プローブ12a、12b」は同じ構成部材を異なる表現で表したものと認められる。 c また、甲1発明の「オフガス流れ8によって放出される放射」は、例えば「CO又はCO2からの放出など」に係るものといえるところ、オフガス中にCO又はCO2などの分子が多数存在することは自明であり、当該「放射」が多数の分子から放射束となって放出されることも明らかであるから、甲1発明の「オフガス流れ8によって放出される放射」のうち「センサ12a」(光学プローブ12a)、「センサ12b」(光学プローブ12b)に係るものは、それぞれ本件訂正発明1の「前記ガス流(14)の第1のIR放射線束」、「第2のIR放射線束」と、「前記ガス流の第1の放射線束」、「第2の放射線束」である点で共通する。 d そして、甲1発明の「オフガス流れ8のプロファイル」は、「炉の動作の間に、時間に伴って各々のセンサ12a、12bによって感知された放射エネルギーデータがそれぞれ示されているプロットされた出力」として示されるものであり、「各々のセンサ12a、12bによって感知された放射エネルギーデータ」を時間分解的に測定することにより得られるものといえるから、このうち「センサ12a」(光学プローブ12a)、「センサ12b」(光学プローブ12b)に係るものは、それぞれ本件訂正発明1の「第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))」、「第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))」と、「第1の放射線パラメータプロファイル」、「第2の放射線パラメータプロファイル」である点で共通する。 e 甲1発明の「光学プローブ12a、12b」は、「所定の分離距離Lによって煙道ダクト20に沿う長手方向に離間された場所において、流れ8の方向100に対して垂直に、かつ、その先端が当該流れ8に面してその全体が当該流れ8の外側に配置されるように搭載され[る]」ものであるから、「光学プローブ12a」と「光学プローブ12b」は、異なる位置に配置されるものであり、いずれもその全体が高温オフガス流れ8の外側に位置するものである。 そして、甲1発明の「一対の光検出器18a、18b」は、「光学プローブ12a、12bのレンズ40によってエネルギー収集器36へと焦点が合わされ、光ファイバケーブル14a、14bで伝搬させられ」た「オフガス流れ8によって放出される放射」を検出するものであり、「光ファイバケーブル14a、14b」は、「オフガス流れ8によって放出される放射」を伝搬させるだけのものであるから、実質的な検出位置は、「光学プローブ12a、12b」の「エネルギー収集器36」の位置であるといえる。 そうすると、前述のとおり、甲1発明の「光学プローブ12a」と「光学プローブ12b」は、異なる位置に配置されるものであり、いずれもその全体が高温オフガス流れ8の外側に位置するものであるから、甲1発明の「光学プローブ12a」の「エネルギー収集器36」の位置は、本件訂正発明1の「前記ガス流(14)の外側の第1の測定箇所(P1)」に相当する。また、同様に、甲1発明の「光学プローブ12b」の「エネルギー収集器36」の位置は、本件訂正発明1の「前記ガス流(14)の外側の第2の測定箇所(P2)」に相当する。 f したがって、前記a~eにより、本件訂正発明1と甲1発明は、「前記ガス流の外側の第1の測定箇所において、第1の放射線センサを用いて、前記ガス流の第1の放射線束の放射線パラメータを時間分解的に測定し、それにより第1の放射線パラメータプロファイルが得られる工程」と、「前記ガス流の外側の第2の測定箇所において、第2の放射線センサを用いて、第2の放射線束の前記放射線パラメータを時間分解的に測定し、それにより第2の放射線パラメータプロファイルが得られる工程」とを包含する点において共通する。 (ウ)a 甲1発明の「各々のセンサ12a、12bを横切って移動する時間」は、本件訂正発明1の「経過時間(τ1)」に相当する。 b また、甲1発明の「センサ12a、12bから受信された信号x(t)及びy(t)」は、「(t)」との記載から明らかなように、時間により変化する関数として示される信号であるから、「オフガス流れ8のプロファイル」と同じものであることが明らかである。そして、「オフガス流れ8のプロファイル」のうち「センサ12a」(光学プローブ12a)、「センサ12b」(光学プローブ12b)に係るものが、それぞれ本件訂正発明1の「第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))」、「第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))」と、「第1の放射線パラメータプロファイル」、「第2の放射線パラメータプロファイル」である点で共通することは、前記(イ)bで説明したとおりである。 c そうすると、甲1発明において「コンピュータ24」により実施される、「センサ12a、12bから受信された信号x(t)及びy(t)における類似性を分析する相互相関関数Rxy(T)を実施[し]」、「最も高い類似性の点における最大値を計算[する]」工程は、「この最大値は、各々のセンサ12a、12bを横切って移動する時間を表[す]」から、本件訂正発明1の「相互相関を用いて前記第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))及び前記第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))から経過時間(τ1)を算出する工程」と、「相互相関を用いて前記第1の放射線パラメータプロファイル及び前記第2の放射線パラメータプロファイルから経過時間を算出する工程」である点で共通する。 (エ) 甲1発明において、「コンピュータ24は、」「最も高い類似性の点における最大値を計算し、この最大値は、各々のセンサ12a、12bを横切って移動する時間を表し、そのため、流れ速度は、飛行時間Tmに対する光学プローブ同士の間の分離Lの比率として定められ[る]」から、「オフガス8の流れ速度を計算する」にあたり、「飛行時間Tm」、すなわち、「各々のセンサ12a、12bを横切って移動する時間」を用いているといえる。 そうすると、前記(ウ)aの対比を踏まえると、甲1発明の「オフガス8の流れ速度を計算する」工程は、本件訂正発明1の「前記経過時間から前記流速を算出する工程」に相当する。 (オ)a 甲1発明は、「光ファイバケーブル14a、14bは、収集された放射エネルギーを、関連付けられた光学プローブ12a、12bから、一対の同一の帯域通過フィルタ44a、44bのうちの関連付けられた一方を初めに通じて伝搬し、各々の帯域通過フィルタ44a、44bは、光ファイバ結合器によって光検出器18a、18bに光学的に結合され[る]」ものであり、「帯域通過フィルタ44a、44bは、感知された電磁スペクトルのうちの特定の放出の線又は帯域のみを選択するために用いられ、この構成は、組立体10を、炉の用途に応じて、CO又はCO2からの放出など、オフガス流動8の単一の成分に焦点を合わせさせる」ものであるから、甲1発明の「帯域通過フィルタ44a、44b」は、CO又はCO2からの放出など、オフガス流動8の単一の成分に焦点を合わせさせることを目的に、感知された放射エネルギーデータを特定の波長範囲で測定するために用いられるものといえる。 一方、本件訂正発明1の「前記IR放射線パラメータ(Eg1)が少なくとも1.5μmの波長(λg1)、最大でも15μmの波長(λg1)で」「光電的に測定され[る]」構成も、IR放射線パラメータの測定が「少なくとも1.5μmの波長」、「最大でも15μmの波長」の範囲に限定されているから、IR放射線パラメータを特定の波長範囲で測定するものといえる。 そうすると、前記(イ)の対比も踏まえると、本件訂正発明1と甲1発明は、「前記放射線パラメータが特定の波長範囲で測定される」点で共通する。 b また、甲1発明は、「各々の光検出器18a、18bは、測定の領域において、各々の関連付けられたセンサ12a、12bによって測定される感知された放射エネルギーの強度に比例する電気信号を発生させるように動作[する]」ものであるから、「各々の光検出器18a、18b」による検出は、「光電的に測定」するものといえる。 c したがって、本件訂正発明1と甲1発明は、「前記放射線パラメータが特定の波長範囲で光電的に測定される」点で共通する。 (カ)a 甲1発明の「煙道ダクト20」は、本件訂正発明1の「配管」に相当する。 また、甲1発明において、「光学プローブ12a、12bは、高温のプロセスオフガスの流れ8に対して開放して配置され、所定の分離距離Lによって煙道ダクト20に沿う長手方向に離間された場所において、流れ8の方向100に対して垂直に、かつ、その先端が当該流れ8に面してその全体が当該流れ8の外側に配置されるように搭載され[る]」から、「高温のプロセスオフガスの流れ8」が「煙道ダクト20」中を導かれることは明らかである。 b また、甲1発明は、「燃焼過程から出てくる高温で大きな粉塵負荷のガスの流動の流れを測定するために使用される方法」であるから、「ガスの流動の流れ」、すなわち、「高温のプロセスオフガスの流れ8」が「粉塵」の粒子を含むことも明らかである。 c したがって、本件訂正発明1と甲1発明は、「前記ガス流は配管中を導かれ、前記ガス流は粒子を含む」点で共通する。 (キ)a 甲1発明においては、「オフガス流れ8によって放出される放射は、光学プローブ12a、12bのレンズ40によってエネルギー収集器36へと焦点が合わされ、光ファイバケーブル14a、14bで伝搬させられ、光ファイバケーブル14a、14bは、光及び/又は電磁エネルギーを、保護区画室30の内部で包み込まれる一対の光検出器18a、18bまでの長い距離にわたって伝搬するように選択され[る]」から、甲1発明の「光検出器18a」、「光検出器18b」は、それぞれ「光学プローブ12a」、光学プローブ12b」により収集された「オフガス流れ8によって放出される放射」を検出するものといえる。 b そして、甲1発明の「光学プローブ12a、12b」は、「高温のプロセスオフガスの流れ8に対して開放して配置され、所定の分離距離Lによって煙道ダクト20に沿う長手方向に離間された場所において、流れ8の方向100に対して垂直に、かつ、その先端が当該流れ8に面してその全体が当該流れ8の外側に配置されるように搭載され[る]」ものであるところ、当該「光学プローブ12a」、「光学プローブ12b」は、それぞれ本件訂正発明1がいうところの「第1の直線上」、「第2の直線上」に延在するものということができる。また、「光学プローブ12a」及び「光学プローブ12b」の延在する方向は、「流れ8の方向100に対して垂直」といえるから、光学プローブ12a、12b間の最小の距離が示す方向は、「流れ8の方向100」であるといえる。 c 前記(イ)a及びcにおける検討を踏まえると、前記a及びbから、本件訂正発明1と甲1発明は、「前記第1の放射線センサは、第1の直線上を進む前記第1の放射線束を検出するように配置され、前記第2の放射線センサは、第2の直線上を進む前記第2の放射線束を検出するように、そして2つの前記直線間の最小の距離を示す方向が流れの方向に延在するように配置される」点で共通する。 d また、甲1発明の「光学プローブ12a、12b」間の「分離距離L」は、本件訂正発明1の「2つの前記直線間の距離」である「測定距離」に相当する。 e したがって、本件訂正発明1と甲1発明は、「前記第1の放射線センサは、第1の直線上を進む前記第1の放射線束を検出するように配置され、前記第2の放射線センサは、第2の直線上を進む前記第2の放射線束を検出するように、そして2つの前記直線間の最小の距離を示す方向が流れの方向に延在するように配置され、2つの前記直線間の距離が測定距離である」点において共通する。 イ 一致点及び相違点の認定 前記アの対比分析の検討結果をまとめると、本件訂正発明1と甲1発明は、次の(ア)の一致点において一致し、後記(イ)の相違点において相違する。 (ア) 一致点 「ガス流の流速を測定する方法であって、 (a′)前記ガス流の外側の第1の測定箇所において、第1の放射線センサを用いて、前記ガス流の第1の放射線束の放射線パラメータを時間分解的に測定し、それにより第1の放射線パラメータプロファイルが得られる工程と、 (b′)前記ガス流の外側の第2の測定箇所において、第2の放射線センサを用いて、第2の放射線束の前記放射線パラメータを時間分解的に測定し、それにより第2の放射線パラメータプロファイルが得られる工程と、 (c′)相互相関を用いて前記第1の放射線パラメータプロファイル及び前記第2の放射線パラメータプロファイルから経過時間を算出する工程と、 (d)前記経過時間から前記流速を算出する工程と、 を包含し、 (e′)前記放射線パラメータが特定の波長範囲で光電的に測定され、 (g′)前記ガス流は配管中を導かれ、前記ガス流は粒子を含み、 (i′)前記第1の放射線センサは、第1の直線上を進む前記第1の放射線束を検出するように配置され、前記第2の放射線センサは、第2の直線上を進む前記第2の放射線束を検出するように、そして2つの前記直線間の最小の距離を示す方向が流れの方向に延在するように配置され、2つの前記直線間の距離が測定距離である、 方法。」 (イ) 相違点 a 相違点1 本件訂正発明1においては、 (i) 「第1の放射線センサ」及び「第2の放射線センサ」が、それぞれ「第1のIR放射線センサ」及び「第2のIR放射線センサ」であり、第1の測定箇所及び第2の測定箇所で測定されるガス流の「第1の放射線束の放射線パラメータ」及び「第2の放射線束の前記放射線パラメータ」が、それぞれ「第1のIR放射線束のIR放射線パラメータ(E)」及び「第2のIR放射線束の前記IR放射線パラメータ(E)」であり、それにより得られる「第1の放射線パラメータプロファイル」及び「第2の放射線パラメータプロファイル」が、それぞれ「第1のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,1(t))」及び「第2のIR放射線パラメータプロファイル(Eg1,2(t))」であり、特定の波長範囲で光電的に測定される放射線パラメータが、「IR放射線パラメータ(Eg1)」であって、「少なくとも1.5μmの波長」、「最大でも15μmの波長」で、かつ、「0.5μm未満の波長幅」で測定されるものであり、 (ii) 「前記ガス流」に含まれる「粒子」及び「前記配管の壁」が「黒体放射」するものであり、 (iii) 「前記ガス流(14)の温度(T)が少なくとも1000℃であ[る]」のに対して、 甲1発明においては、 (i) 「第1の放射線センサ」、「第2の放射線センサ」、「第1の放射線束の放射線パラメータ」、「第2の放射線束の前記放射線パラメータ」、「第1の放射線パラメータプロファイル」、「第2の放射線パラメータプロファイル」が赤外線(IR)によるものか明らかでなく、放射線パラメータが測定される波長範囲や波長幅も明らかでなく、 (ii) 「高温のプロセスオフガスの流れ8」に含まれる「粉塵」の粒子、及び、「煙道ダクト20」の壁が黒体放射するものか明らかでなく、 (iii) 「高温のプロセスオフガスの流れ8」の温度も明らかでない点。 b 相違点2 本件訂正発明1においては、 (iv) 「測定周波数が少なくとも1キロヘルツであり、最大でも1MHz であり」、 (v) 「前記測定距離は、少なくとも、前記ガス流(14)の流速と1000ヘルツとの商に相当する」のに対して、 甲1発明においては、 (iv) 測定周波数の上限及び下限がどのような数値であるか明らかでなく、 (v) 「分離距離L」とオフガスの流速及び1000ヘルツとの関係も明らかでない点。 ウ 相違点についての判断 (ア) 相違点1について a 黒体放射(相違点1における(ii)に係る構成)について 前記2(3)イにおいて技術常識2として認定したとおり、「あらゆる物体は、それ自身の温度に応じた黒体放射をしていること。」は技術常識である。 そうすると、甲1発明において、「高温のプロセスオフガスの流れ8」に含まれる「粉塵」の粒子、及び、「煙道ダクト20」の壁が、いずれも黒体放射していることは明らかであるから、相違点1のうち、「前記ガス流」に含まれる「粒子」及び「前記配管の壁」が「黒体放射」するものである点は、実質的な相違点とはいえない。 b 測定波長(相違点1における(i)に係る構成)について 甲1発明の「帯域通過フィルタ44a、44b」は、「感知された電磁スペクトルのうちの特定の放出の線又は帯域のみを選択するために用いられ、この構成は、組立体10を、炉の用途に応じて、CO又はCO2からの放出など、オフガス流動8の単一の成分に焦点を合わせさせる」ものであるところ、オフガス流動8の単一の成分として「CO2」が例示されていることから、甲第1号証には、「帯域通過フィルタ44a、44b」が、感知された電磁スペクトルのうち「CO2」からの放出に係る特定の帯域のみを選択(通過)するものであることが開示されているといえる。 そして、前記2(2)イにおいて技術常識1として認定したとおり、「CO2(二酸化炭素)が4.56-4.7μmの波長範囲に放射領域を有すること。」は、本件特許の優先日前に技術常識であったから、甲1発明において、「帯域通過フィルタ44a、44b」において選択(透過)される帯域を、CO2の放射領域に対応する4.56-4.7μmを含む波長範囲とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 ここで、4.56-4.7μmの波長範囲は、赤外線(IR)に対応するものであり、また、甲1発明において、「帯域通過フィルタ44a、44b」は、「感知された電磁スペクトルのうちの特定の放出の線又は帯域のみを選択するために用いられ[る]」ものであって、CO2以外の物質からの放射を含むような広い波長範囲を選択するものとすることは想定されないから、4.56-4.7μmを含む狭い波長範囲とすることは当然であって、選択(透過)される電磁スペクトルの波長範囲は、必然的に少なくとも1.5μmの波長、最大でも15μmの波長となり、また、0.5μm未満の波長幅とすることも、当業者が適宜なし得たことといえる。 また、これらの波長範囲及び波長幅の数値に臨界的意義があると認めることもできない。 してみると、甲1発明において、放射線の放射線パラメータや放射線パラメータプロファイル等を赤外線(IR)によるものとし、放射線パラメータが少なくとも1.5μmの波長、最大でも15μmの波長で、かつ、0.5μm未満の波長幅で測定されるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 c ガス流の温度(相違点1における(iii)に係る構成)について 前記2(1)ア(ク)に摘記したとおり、甲第1号証には、BOF式容器60の監視及び制御におけるセンサ組立体10の実施において、「光学プローブ12a、12bの前で流れるオフガス流動の温度が時に1500℃を越える」ことが記載されている。 そうすると、甲1発明の用途を、ガス流の温度が少なくとも1000℃であるようなものにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 d 相違点1についての判断のまとめ 前記a~cの判断を踏まえると、甲1発明において、本件訂正発明1の相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 (イ) 相違点2について a 測定周波数(相違点2における(iv)に係る構成)について 甲1発明は、甲第1号証のFig.6a~6bに例示されるような、光学プローブ12aと光学プローブ12bのそれぞれに係る「オフガス流れ8のプロファイル」が、光学プローブ12a、12bを分離する距離Lを表す飛行時間Tmでずらされた信号として出力されることを前提に、「センサ12a、12bから受信された信号x(t)及びy(t)における類似性を分析する相互相関関数Rxy(T)を実施[し]」、「最も高い類似性の点における最大値を計算[する]」ものであるところ、相互相関関数を実施することにより、「各々のセンサ12a、12bを横切って移動する時間」(本件訂正発明1の「経過時間」に相当)を表す「最も高い類似性の点における最大値」を精度よく計算するためには、「オフガス流れ8のプロファイル」が一定程度正確なものである必要があるから、各々のプローブ12a、12bから受信される信号自体が一定の周期よりも細かい時間周期で測定されたものである必要があることは、当業者にとって自明の事項である。 また、測定のためのコストの低減のために、測定周波数に一定の上限を設けることも、当業者であれば当然に考慮すべきことにすぎない。 そうすると、甲1発明において、各々のプローブ12a、12bから受信される信号の測定周波数の上限値及び下限値をどの程度にするかは、必要とされる流速測定の精度や許容されるコスト等に応じて当業者が適宜決定し得る設計事項にすぎない。 そして、前記2(4)エにおいて周知技術1として認定したとおり、「複数のセンサから得られる信号の相互相関に基づいて流体の速度又は流量を求める測定技術において、測定周波数を1キロヘルツ以上、かつ、1MHz以下とすること。」は、本件特許の優先日前に周知の技術であり、「1キロヘルツ以上、かつ、1MHz以下」は測定周波数として普通に採用される範囲といえるし、「1キロヘルツ」、「1MHz」という数値に臨界的意義があるとも認められないから、甲1発明において、測定周波数が少なくとも1キロヘルツであり、最大でも1MHzであるようにすることは、当業者が容易に想到できたことである。 b 測定距離(相違点2における(v)に係る構成)について 甲1発明は、「センサ12a、12bから受信された信号x(t)及びy(t)における類似性を分析する相互相関関数Rxy(T)を実施[し]」、「最も高い類似性の点における最大値を計算し、この最大値は、各々のセンサ12a、12bを横切って移動する時間を表し、そのため、流れ速度は、飛行時間Tmに対する光学プローブ同士の間の分離Lの比率として定められ、コンピュータ24は、オフガス8の流れ速度を計算することができ[る]」ものであるところ、このことは、甲1発明が、オフガスの流れの上流側にあるセンサ12aにおいてある特徴を有する流れが検出された時刻から、下流側にあるセンサ12bにおいて同様の特徴を有する流れが検出されるまでの時間を算出して、その時間とセンサ12a、12b間の距離から流れ速度を計算するものであることを意味する。そうすると、センサ12a、12b間の距離(分離距離L)については、下流側にあるセンサ12bにおいて上流側にあるセンサ12aで検出された特徴と同様の特徴を有する流れを検出できるように、想定されるオフガスの流れ速度や測定周波数等に応じて、当業者が適宜決定し得る設計事項にすぎない。 ここで、本件訂正発明1における「前記測定距離は、少なくとも、前記ガス流(14)の流速と1000ヘルツとの商に相当する」こと(以下「測定距離要件」という。)について検討する。 本件訂正発明1において、測定距離要件における「1000ヘルツ」は、測定周波数の下限値である「1キロヘルツ」と同じであるから、例えば、測定周波数がその下限値である「1キロヘルツ」である場合について検討すると、「前記ガス流(14)の流速」は単位時間(1秒間)あたりにガス流が流れる距離を表し、「1000ヘルツ」は1秒間の測定回数を表すから、「前記ガス流(14)の流速と1000ヘルツとの商」は、ある測定タイミングから次の測定タイミングまでにガスの流れる距離に対応する。そうすると、「測定距離」が「前記ガス流(14)の流速と1000ヘルツとの商」よりも小さい場合は、上流側のIR放射線センサにより検出されたある特徴を有する流れが、次の測定タイミングでは、下流側のIR放射線センサよりも更に下流側まで流れてしまうことになるから、下流側のIR放射線センサにより上流側と同様の特徴を有する流れを検出すること、すなわち、「経過時間」を算出することはできない。つまり、本件訂正発明1における測定距離要件は、「経過時間」を算出して「流速」を求めることが不可能になり得ることが明らかな測定距離を排除しただけであって、当業者であれば当然に選択すべき測定距離の範囲を規定したものにすぎない(さらに加えていえば、本件訂正発明1は、「ガス流(14)の流速(v)を測定する方法」の発明であり、想定されるガス流の速度が含まれるある程度の測定レンジが設定されていることを踏まえれば、測定レンジの上限となるガス流の速度、すなわち、想定されるガス流の速度以上の速度を検出するために、測定距離は更に長くする必要があるといえる。)。 そして、本件訂正発明1における測定距離要件に、これ以上の技術的意義を認めることはできない。 したがって、甲1発明において、「分離距離L」を少なくともオフガスの流速と1000ヘルツとの商に相当するものとすることは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。 c 相違点2についての判断のまとめ 前記a及びbの判断を踏まえると、甲1発明において、本件訂正発明1の相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 エ 総合評価 前記ウにおいて検討したとおり、前記相違点1及び相違点2に係る本件訂正発明1の構成は、格別のものではなく、当業者が容易に想到し得たものである。 そして、本件訂正発明1の奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本件訂正発明1は、甲1発明、周知技術1及び技術常識1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2) 本件訂正発明2について 前記2(1)ア(ケ)に摘記したとおり、甲第1号証には、請求項11の記載として、「前記感知された放射エネルギーは、前記燃焼ガス流れのCO成分及びCO2成分の少なくとも一方から放出される放射エネルギーである」ことが記載され、「少なくとも一方」との記載により、燃焼ガス流れのCO成分及びCO2成分の両方から放出される放射エネルギーを感知することが示唆されている。 ここで、甲1発明の「CO2」、「CO」は、それぞれ本件訂正発明2の「第1のガス(g1)」、「第2のガス(g2)」に相当する。 そして、前記(1)ウ(ア)で言及した、CO2の放射領域である「4.56-4.7μmの波長範囲」は、本件訂正発明2の「第1のガス(g1)」が有する「第1ガス励起波長(λg1)」に対応するものである。なお、本件特許明細書の【0058】には、「4.27μm」が二酸化炭素のガス励起波長であることが記載されているが、「4.56-4.7μmの波長範囲」についても、CO2の放射領域であるから、CO2のガス励起波長であると認められる。 なお、仮に「4.56-4.7μmの波長範囲」がCO2のガス励起波長でないとしても、励起波長が物質固有の吸収・放出特性に関わる波長であることは技術常識であるから、甲1発明において、「帯域通過フィルタ44a、44b」が選択(通過)する、「CO2」からの放出に係る特定の帯域として、CO2のガス励起波長を採用することは、当業者が容易に想到し得たことにすぎない。 また、前記2(2)ア(ウ)に摘記したとおり、引用文献2には、「高温のCOとCO2がともに中赤外、たとえば4~5μmに発光帯を持ち、可視波長(400~700nm)には発光帯を持たない」と記載されているから、COの発光帯は中赤外、たとえば4~5μmの波長範囲内にあり、このCOの発光帯の波長は、本件訂正発明2の「第2のガス(g2)」が有する「第2ガス励起波長(λg2)」に対応するものである。 さらに、甲1発明の「帯域通過フィルタ44a、44b」は、「感知された電磁スペクトルのうちの特定の放出の線又は帯域のみを選択するために用いられ、この構成は、組立体10を、炉の用途に応じて、CO又はCO2からの放出など、オフガス流動8の単一の成分に焦点を合わせさせる」ものである。 そうすると、甲1発明において、前記示唆に従い、CO成分及びCO2成分のそれぞれから対応する波長範囲の放射エネルギーを感知して、それぞれ「各々のセンサ12a、12bを横切って移動する時間」を求め、それらからオフガス8の流れ速度を計算して、本件訂正発明2のように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。 なお、甲1発明は、「炉の用途に応じて、CO又はCO2からの放出など、オフガス流動8の単一の成分に焦点を合わせさせる」ものであるところ、「CO又はCO2からの放出など」との記載から明らかなように、「CO」や「CO2」は例示であって、オフガスに「H2O」などの他のガスが含まれることは技術常識であるから、仮に本件訂正発明2における「第1のガス(g1)」及び「第2のガス(g2)」の組み合わせが、本件特許明細書の【0057】~【0058】に記載されるように「H2O」及び「CO2」の組み合わせであったとしても、同様の理由により進歩性は否定される。 したがって、本件訂正発明2は、甲1発明、周知技術1及び技術常識1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3) 本件訂正発明4について 甲1発明において、「帯域通過フィルタ44a、44b」は、「感知された電磁スペクトルのうちの特定の放出の線又は帯域のみを選択するために用いられ[る]」ものであって、CO2又はCO以外の物質からの放射を含むような広い波長範囲を選択するものとすることは想定されないから、それぞれの放射に対応する波長を含む狭い波長範囲とすることは当然であるところ、その範囲としてどの程度の幅を持つものとするかは、当業者が適宜設定すべきものであって、これを「CO2」、「CO」それぞれの励起波長の周り0.3μmとすることは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。 したがって、本件訂正発明4は、甲1発明、周知技術1及び技術常識1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4) 本件訂正発明5について 前記(1)ウ(イ)bにおいて述べたとおり、測定距離を具体的にどのような距離とするかは、下流側にあるセンサ12bにおいて上流側にあるセンサ12aで検出された特徴と同様の特徴を有する流れを検出できるように、想定されるオフガスの流れ速度や測定周波数等に応じて、また設定される測定レンジの範囲に応じて、当業者が適宜決定し得る設計事項にすぎない。 したがって、本件訂正発明5は、甲1発明、周知技術1及び技術常識1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5) 本件訂正発明7について 本件訂正発明7は、「ガス流(14)の流速を測定する装置」の発明であって、「ガス流(14)の流速(v)を測定する方法」の発明である本件訂正発明1とは概ね発明特定事項が対応するものである。 したがって、本件訂正発明7は、前記(1)において本件訂正発明1について説明した理由と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明、周知技術1及び技術常識1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 なお、本件訂正発明7においては、「経過時間(τ1)」及び「流速(vG)」の算出が「自動的」であることが特定されているが、甲1発明において、「各々のセンサ12a、12bを横切って移動する時間」(「経過時間」に相当)及び「オフガス8の流れ速度」(「流速」に相当)は、「コンピュータ24」によって計算されるものであるから、これらの算出が「自動的」であることは明らかである。 (6) 本件訂正発明9について 前記(1)~(5)において説明した内容を参照。 したがって、本件訂正発明9は、甲第1号証に記載された発明、周知技術1及び技術常識1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (7) 本件訂正発明10について 甲1発明の「煙道ダクト20」は、本件訂正発明10の「前記ガス流(14)を導く配管(18)」に相当する。 また、ガス流を導く配管として「流出若しくは貫流開口部」を有するものは、例示するまでもなく周知のものであるから、甲1発明において、「流出若しくは貫流開口部」において放射線を検出して流れ8の速度を測定することは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。 したがって、本件訂正発明10は、甲第1号証に記載された発明、周知技術1及び技術常識1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 特許権者の主張について (1) 特許権者の主張1 ア 特許権者の主張1の概要 特許権者は、意見書において、概ね次の主張をしている(以下「特許権者の主張1」という。)。 黒体放射からのノイズは、可視光の温度が高くなるほど強くなる。すなわち、高温では、黒体放射によってセンサがいわゆる盲目になり、必要な情報がマスクされてしまう。本件訂正発明1等では、1.5μmから15μmの限られた周波数範囲であって、0.5μm未満の波長幅を使用するため、上記したような高温での目くらまし効果を回避できる。 以下に示す参考図から、例えば、1300ケルビン(1027℃)での最大スペクトルパワー密度は2.2μmのとき0.05であり、1700ケルビン(1427℃)では1.7μmのとき0.16となっていることが読み取れる。そして、測定対象波長が1.0μmではスペクトルパワー密度が、温度変化(1300ケルビンから1700ケルビン)により、およそ10.8倍増加するのに対し、測定対象波長が1.5μmでは当該温度変化に対しおよそ4.6倍しか増加しないことがわかる。 [図:0001439170000020.jpg] つまり、本件訂正発明1における測定波長(λg1)の下限である1.5μmは、温度変動の影響を抑えるための臨界的意義のある値として、上記発見的事項に基づき、特別に選択されている。 イ 特許権者の主張1に対する当合議体の判断 特許権者は、黒体放射からのノイズが可視光の温度が高くなるほど強くなり、高温では黒体放射によってセンサが盲目になる旨主張する。しかしながら、本件訂正発明1においては、「(h)前記ガス流(14)の温度(T)が少なくとも1000℃であり」と特定されているところ、特許権者が意見書において示した参考図を参照すると、ガス流の温度が1000℃を超える1300ケルビン(1027℃)において、黒体放射は可視光の領域においてほとんど放射されないことが理解できるから(さらに言えば、可視光の波長を超える領域においても、1.5μm以下の波長範囲では黒体放射の放射量は少ない。)、特許権者の上記主張は請求項の記載に基づくものではなく、採用することができない。 また、特許権者は、本件訂正発明1における測定波長の下限である1.5μmが温度変動の影響を抑えるための臨界的意義のある値である旨主張するが、その根拠としては、測定対象波長が1.0μmの場合と1.5μmの場合それぞれにおける、1300ケルビンから1700ケルビンへの温度変化に伴うスペクトルパワー密度の増加を示しているだけであって、このことをもって直ちに測定波長の下限である1.5μmに臨界的な意義があるということはできない。そして、測定波長の下限値に臨界的な意義があることは、本件特許明細書等に記載されておらず、他に臨界的な意義を有することを認めるに足りる証拠も提出されていないから、特許権者の主張する臨界的な意義を認めることはできない。 したがって、特許権者の主張1は採用できない。 (2) 特許権者の主張2 ア 特許権者の主張2の概要 特許権者は、意見書において、概ね次の主張をしている(以下「特許権者の主張2」という。)。 本件訂正発明1では、0.5μm未満の測定幅とすることにより、測定波長(λg1)が0.5μmの幅から外れる測定信号がフィルタリング除去されることから、黒体放射をする粒子を含み、配管の壁が黒体放射をするガス流の流速についての測定精度の一層の向上が図れるものである。 イ 特許権者の主張2に対する当合議体の判断 前記3(1)ウ(ア)bにおいて説示したとおり、甲1発明において、「帯域通過フィルタ44a、44b」は、「感知された電磁スペクトルのうちの特定の放出の線又は帯域のみを選択するために用いられ[る]」ものであって、CO2以外の物質からの放射を含むような広い波長範囲を選択するものとすることは想定されないから、放射線パラメータを測定する波長範囲の波長幅を0.5μm未満とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 したがって、特許権者の主張2は採用できない。 (3) 特許権者の主張3 ア 特許権者の主張3の概要 特許権者は、意見書において、概ね次の主張をしている(以下「特許権者の主張3」という。)。 本件訂正発明1のような時間依存測定において、測定周波数を増加すると時間分解能は向上するが、信号対雑音比は劣化する。本件訂正発明1では、黒体放射をする配管中を流れ、黒体放射をする粒子を含むガス流の流速(v)の測定に適した測定周波数、すなわち、少なくとも1キロヘルツであり、最大でも1MHzである測定周波数を特に選んでいるのであり、これら数値範囲には臨界的意義がある。 イ 特許権者の主張3に対する当合議体の判断 本件訂正発明1において「少なくとも1キロヘルツであり、最大でも1MHz であ[る]」という「測定周波数(f)」の数値範囲の上限値及び下限値が臨界的な意義を有するものであることは、本件特許明細書等に記載されておらず、他に臨界的な意義を有することを認めるに足りる証拠も提出されていないから、特許権者の主張する臨界的な意義を認めることはできない。 そして、前記3(1)ウ(イ)aにおいて説示したとおり、甲1発明において、測定周波数が少なくとも1キロヘルツであり、最大でも1MHzであるようにすることは、当業者が容易に想到できたことである。 したがって、特許権者の主張3は採用できない。 (4) 特許権者の主張4 ア 特許権者の主張4の概要 特許権者は、意見書において、概ね次の主張をしている(以下「特許権者の主張4」という。)。 測定距離については、ガス流が第1のIR放射線センサを通過後、十分に長い距離を通過して第2のIR放射線センサに到達することが必要であり、これは、もし測定距離が短かすぎるとIR放射線センサで急峻な変動を検出できず、有意な相互相関が得られる十分な変動を有するIR放射線パラメータプロファイルを測定することができないからである。 このように本件訂正発明1では相互相関をとる際の測定距離を、少なくとも、ガス流(14)の流速と1000ヘルツとの商の値としており、これは臨界的な意義を有するものである。 イ 特許権者の主張4に対する当合議体の判断 本件訂正発明1の測定距離要件が臨界的な意義を有するものであることは、本件特許明細書等に記載されておらず、他に臨界的な意義を有することを認めるに足りる証拠も提出されていないから、特許権者の主張する臨界的な意義を認めることはできない。 そして、前記3(1)ウ(イ)bにおいて説示したとおり、甲1発明において、「分離距離L」を少なくともオフガスの流速と1000ヘルツとの商に相当するものとすることは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。 したがって、特許権者の主張4は採用できない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、請求項1、2、4、5、7、9、10に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、請求項3、6、8に係る特許は、前記のとおり本件訂正により削除され、請求項3、6、8に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700271

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