特許訂正審判
2024-390021
光デバイス
- 審判番号
- 2024-390021
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2022-566946
- 登録番号
- 7331272
- 請求日
- 2024年03月08日
- 審決日
- 2024年06月17日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】シチズン電子 株式会社
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】三橋 真二
- 【請求人代理人】南山 知広
- 【請求人代理人】三浦 剛
- 【請求人代理人】遠藤 力
- 【請求人】シチズン時計 株式会社
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】三橋 真二
- 【請求人代理人】南山 知広
- 【請求人代理人】三浦 剛
- 【請求人代理人】遠藤 力
- 審判長/審判官
- 審判長 山村 浩
- 審判官 齋藤 卓司
- 審判官 松川 直樹
- 分類
- P141 .852-Y (G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7331272号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7331272号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7331272号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、令和3年11月30日(優先権主張 令和2年12月1日)を国際出願日とする出願であって、令和5年8月14日に特許権の設定登録がされ、令和6年3月8日に訂正審判(以下「本件訂正審判」という。)の請求がされ、その後、令和6年4月12日に審判請求書に対する手続補正書が提出されたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第7331272号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判の請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に「前記第3発光素子は、前記第3光が前記第1光導波路に入射するように配置される」とあるのを、「前記第3発光素子は、前記第3光が前記第3光導波路に入射するように配置される」に訂正するというものである。
第4 当審の判断
1 訂正の目的について
(1)本件訂正前後における特許請求の範囲の記載
ア 本件訂正前(本件特許の登録時)の特許請求の範囲の記載
「【請求項1】
基板と、
第1実装面、及び、前記第1実装面に第1段差を介して接続される第2実装面を有し、前記基板に実装された第1サブ基板と、
前記第1実装面に実装され、第1の波長を有する第1光を出射する第1発光素子と、
第3実装面、及び、前記第3実装面に第2段差を介して接続される第4実装面を有し、前記基板に実装された第2サブ基板と、
前記第3実装面に実装され、前記第1の波長と異なる第2の波長を有する第2光を出射する第2発光素子と、
第5実装面、及び、前記第5実装面に第3段差を介して接続される第6実装面を有し、前記基板に実装された第3サブ基板と、
前記第5実装面に実装され、前記第1の波長及び前記第2の波長と異なる第3の波長を有する第3光を出射する第3発光素子と、
第1光導波路、第2光導波路及び第3光導波路を有し、前記第2実装面、前記第4実装面及び前記第6実装面に実装された光学素子と、を有し、
前記第1段差によって位置調整されて、前記第1発光素子は、前記第1光が前記第1光導波路に入射するように配置され、
前記第2段差によって位置調整されて、前記第2発光素子は、前記第2光が前記第2光導波路に入射するように配置され、
前記第3段差によって位置調整されて、前記第3発光素子は、前記第3光が前記第1光導波路に入射するように配置される、
ことを特徴とする光デバイス。」
イ 本件訂正後の特許請求の範囲の記載(下線は請求人が訂正箇所として付したものである。)
「【請求項1】
基板と、
第1実装面、及び、前記第1実装面に第1段差を介して接続される第2実装面を有し、前記基板に実装された第1サブ基板と、
前記第1実装面に実装され、第1の波長を有する第1光を出射する第1発光素子と、
第3実装面、及び、前記第3実装面に第2段差を介して接続される第4実装面を有し、前記基板に実装された第2サブ基板と、
前記第3実装面に実装され、前記第1の波長と異なる第2の波長を有する第2光を出射する第2発光素子と、
第5実装面、及び、前記第5実装面に第3段差を介して接続される第6実装面を有し、前記基板に実装された第3サブ基板と、
前記第5実装面に実装され、前記第1の波長及び前記第2の波長と異なる第3の波長を有する第3光を出射する第3発光素子と、
第1光導波路、第2光導波路及び第3光導波路を有し、前記第2実装面、前記第4実装面及び前記第6実装面に実装された光学素子と、を有し、
前記第1段差によって位置調整されて、前記第1発光素子は、前記第1光が前記第1光導波路に入射するように配置され、
前記第2段差によって位置調整されて、前記第2発光素子は、前記第2光が前記第2光導波路に入射するように配置され、
前記第3段差によって位置調整されて、前記第3発光素子は、前記第3光が前記第3光導波路に入射するように配置される、
ことを特徴とする光デバイス。」
(2)本件明細書等の記載
ア 「【0008】
本実施形態に係る光デバイスの一態様では、基板と、第1実装面及び第1実装面に第1段差を介して接続される第2実装面を有し、且つ、基板に実装された第1サブ基板と、第1実装面に実装され且つ、第1の波長を有する第1光を出射する第1発光素子と、第2実装面に実装された光学素子と、を有し、第1段差によって位置調整されて、第1発光素子は、光学素子に光学的に接続されるように配置される。」
「【0015】
さらに、本実施形態に係る光デバイスでは、第3実装面及び第3実装面に第2段差を介して接続される第4実装面を有し、且つ、基板に実装された第2サブ基板と、第3実装面に実装され、且つ、第1の波長と異なる第2の波長を有する第2光を出射する第2発光素子と、第5実装面及び第5実装面に第3段差を介して接続される第6実装面を有し、且つ、基板に実装された第3サブ基板と、第5実装面に実装され、且つ、第1の波長及び第2の波長と異なる第3の波長を有する第3光を出射する第3発光素子と、を更に有し、光学素子は第4実装面及び前記第6実装面に実装され、第2段差によって位置調整されて、第2発光素子は光学素子に光学的に接続されるように配置され、第3段差によって位置調整されて、第3発光素子は光学素子に光学的に接続されるように配置される、ことが好ましい。」
イ 前記アによれば、本件明細書等の発明の詳細な説明には、
(ア)第1段差によって位置調整されて、第1発光素子14は第1光が第1光導波路に入射するように配置されること、
(イ)第2段差によって位置調整されて、第2発光素子15は第2光が第2光導波路に入射するように配置されること、
(ウ)第3段差によって位置調整されて、第3発光素子16は第3光が第3光導波路に入射するように配置されること、
が記載されていると認められる。
(3)判断
ア 請求人は、訂正の目的が誤記の訂正である旨主張しているから、まずは、本件訂正に係る事項が誤記の訂正を目的とするものといえるかどうか検討する。
ここで、「誤記」というためには、訂正前の記載が誤りで訂正後の記載が正しいことが、本件明細書等の記載又は当業者の技術常識などから明らかで、当業者であればそのことに気付いて訂正後の趣旨に理解するのが当然であるという場合でなければならないものと解される。
イ そこで検討すると、訂正前の請求項1には、「段差」について「第1段差」、「第2段差」及び「第3段差」の3つが特定されており、「発光素子」について「第1発光素子」、「第2発光素子」及び「第3発光素子」の3つが特定されており、「光」について「第1光」、「第2光」及び「第3光」の3つが特定されており、「光導波路」について「第1光導波路」、「第2光導波路」及び「第3光導波路」の3つが特定されている。
そして、当該請求項1には、これらの特定同士の相互関係について、
(ア)「前記第1段差によって位置調整されて、前記第1発光素子は、前記第1光が前記第1光導波路に入射するように配置され」ること、
(イ)「前記第2段差によって位置調整されて、前記第2発光素子は、前記第2光が前記第2光導波路に入射するように配置され」ること、
(ウ)「前記第3段差によって位置調整されて、前記第3発光素子は、前記第3光が前記第1光導波路に入射するように配置されること、
が特定されている(下線は当審が付した。)。
上記によれば、(ア)及び(イ)では、「段差」、「発光素子」、「光」及び「光導波路」の各要素それぞれに付された序数(「第1」、「第2」などの順序を表す数)が互いに一致しているのに対し、(ウ)では、「光導波路」についてのみ、付された序数が他の要素と一致していないことが明らかである。このように、(ウ)についてのみ不一致が存在することから、訂正前の請求項1に接した当業者は、(ウ)の記載に何らか誤りがあるとの疑義を当然に持つといえる。
しかるに、前記(2)イによれば、本件明細書等の発明の詳細な説明の記載では、(ア)及び(イ)のみならず(ウ)についても、序数同士の間に不一致が存在せず、しかも、本件明細書等の他の記載をみても、この不一致が存在しないことに差し支えがあるとは認められないことから、当業者は、(ウ)の記載のうち、「光導波路」に付された序数(「第1」)に誤記があることを当然に認識し、その記載を正したものが、他の要素に付された序数(「第3」)であることを当然に認識するといえる。
そして、訂正後の請求項1の記載は、(ウ)の記載について、「光導波路」に付された序数が「第3」となっていることから、上記の誤記を正したものと一致している。
このように、本件明細書等の記載に接した当業者は、訂正前の請求項1の記載のうち、訂正前の請求項1の「第3発光素子は、前記第3光が前記第1光導波路に入射するように配置される」との記載における「第1光導波路」の記載に誤りがあると当然に認識し、誤りを正したものの意味合いが、訂正後の請求項1の「第3光導波路」の記載と一致することを当然に認識するといえる。
ウ 小括
以上によれば、本件訂正は、明らかな誤記を訂正するものであって、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものである。
したがって、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書の規定に適合する。
2 新規事項の有無
(1)願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲(以下「当初明細書等」という。)の記載
ア 「【請求項1】
基板と、
第1実装面、及び、前記第1実装面に第1段差を介して接続される第2実装面を有し、前記基板に実装された第1サブ基板と、
前記第1実装面に実装され、第1の波長を有する第1光を出射する第1発光素子と、
前記第2実装面に実装された光学素子と、を有し、
前記第1段差によって位置調整されて、前記第1発光素子は、前記光学素子に光学的に接続されるように配置される、
ことを特徴とする光デバイス。」
「【請求項8】
第3実装面、及び、前記第3実装面に第2段差を介して接続される第4実装面を有し、前記基板に実装された第2サブ基板と、
前記第3実装面に実装され、前記第1の波長と異なる第2の波長を有する第2光を出射する第2発光素子と、
第5実装面、及び、前記第5実装面に第3段差を介して接続される第6実装面を有し、前記基板に実装された第3サブ基板と、
前記第5実装面に実装され、前記第1の波長及び前記第2の波長と異なる第3の波長を有する第3光を出射する第3発光素子と、を更に有し、
前記光学素子は、前記第4実装面及び前記第6実装面に実装され、
前記第2段差によって位置調整されて、前記第2発光素子は、前記光学素子に光学的に接続されるように配置され、
前記第3段差によって位置調整されて、前記第3発光素子は、前記光学素子に光学的に接続されるように配置される、請求項1~7の何れか一項に記載の光デバイス。」
「【請求項9】
前記光学素子は、第2光導波路及び第3光導波路を更に有し、
前記第2発光素子は、前記第2光が前記第2光導波路に入射するように配置され、
前記第3発光素子は、前記第3光が前記第3光導波路に入射するように配置される、請求項8に記載の光デバイス。」
イ 前記アによれば、当初明細書等には、
(ア)第1段差によって位置調整されて、第1発光素子14は第1光が第1光導波路に入射するように配置されること、
(イ)第2段差によって位置調整されて、第2発光素子15は第2光が第2光導波路に入射するように配置されること、
(ウ)第3段差によって位置調整されて、第3発光素子16は第3光が第3光導波路に入射するように配置されること、
が記載されていると認められる。
そして、この記載は、当初明細書等において一貫していると認められる。
(2)判断
本件訂正は、請求項1において、第3発光素子からの第3光が入射する光導波路を、訂正前の第1光導波路から訂正後の第3光導波路とするものである。
そこで、このような本件訂正が新規事項を追加しないものといえるかについて検討すると、本件訂正は、前記(1)によれば、要するに、第3発光素子からの第3光が入射する光導波路を、当初明細書等の記載とおりのものに訂正したにほかならないことから、訂正後の請求項1に係る訂正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、本件訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
3 実質上特許請求の範囲を拡張又は変更することの有無
前記1のとおり、本件訂正は、明らかな誤記を訂正するものであって、当業者は訂正前の請求項1の記載の意味を、当然に訂正後の請求項1の記載の意味であると認識するといえることから、本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものには該当しない。
したがって、本件訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4 独立特許要件について
前記1のとおり、本件訂正は、明らかな誤記を訂正するにとどまるところ、本件訂正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際に独立して特許を受けることができないとする理由はない。
したがって、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第5 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項、第6項及び第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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